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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110368
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】放射性廃棄物保管容器
(51)【国際特許分類】
   G21F 5/005 20060101AFI20240807BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G21F5/005
G21F9/36 501F
G21F9/36 501C
G21F9/36 511P
G21F9/36 511L
G21F9/36 521A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014933
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】藤原 寛明
(72)【発明者】
【氏名】金子 郁
(72)【発明者】
【氏名】篠原 健
(72)【発明者】
【氏名】鍋本 豊伸
(57)【要約】
【課題】閉じ込め機能及び監視機能の向上を図ることができる放射性廃棄物保管容器を提供する。
【解決手段】
放射性廃棄物保管容器1は、放射性廃棄物を収容する容器を形成する胴体2と、胴体2の開口部に配置される蓋体3と、を備え、胴体2は、内側胴体21及び外側胴体22により構成された二重壁構造を有している。また、放射性廃棄物保管容器1は、内側胴体21と外側胴体22とにより形成される胴間空間20の圧力を監視する監視装置4を備えている。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物を収容する容器を形成する胴体と、前記胴体の開口部に配置される蓋体と、を備えた放射性廃棄物保管容器であって、
前記胴体は、内側胴体及び外側胴体により構成された二重壁構造を有し、
前記内側胴体と前記外側胴体とにより形成される胴間空間の圧力を監視する監視装置を備える、
ことを特徴とする放射性廃棄物保管容器。
【請求項2】
前記監視装置は、前記胴間空間と連通可能に接続される配管と、前記配管に接続された圧力計と、を備える、請求項1に記載の放射性廃棄物保管容器。
【請求項3】
前記蓋体の上部に前記配管を挿通する挿通口を有する、請求項2に記載の放射性廃棄物保管容器。
【請求項4】
前記蓋体は、前記胴体の開口部を封止する内蓋と、前記内蓋の外側に配置される外蓋と、を有する、請求項1に記載の放射性廃棄物保管容器。
【請求項5】
前記蓋体は、前記胴体の開口部を封止する内蓋と、前記内蓋を覆うように前記胴体に接続される外蓋と、を有し、前記内蓋は、前記内蓋と前記外蓋とにより形成される蓋間空間と前記胴間空間とを連通可能に接続する連通部を有する、請求項1に記載の放射性廃棄物保管容器。
【請求項6】
前記監視装置は、前記外蓋に接続される配管と、前記配管の圧力を計測する圧力計と、を備える請求項5に記載の放射性廃棄物保管容器。
【請求項7】
前記胴体と前記蓋体とはボルトで締結され、締結部にガスケットが配置されている、請求項1に記載の放射性廃棄物保管容器。
【請求項8】
前記蓋体は、前記胴体側に配置された遮蔽体を備える、請求項1に記載の放射性廃棄物保管容器。
【請求項9】
前記胴間空間は、前記内側胴体の内部空間より高い圧力となるように構成されている、請求項1に記載の放射性廃棄物保管容器。
【請求項10】
前記内側胴体を有する内側容器と前記外側胴体を有する外側容器とを別々の容器として構成した、請求項1に記載の放射性廃棄物保管容器。
【請求項11】
前記内側容器は、前記内側胴体の底部を構成する内底と前記内側胴体の開口部を封止する内蓋とを備え、前記外側容器は、前記外側胴体の底部を構成する外底と前記外側胴体の開口部を封止する外蓋とを備え、前記内側容器と前記外側容器との間には、前記内蓋と前記外蓋とにより形成される蓋間空間と前記胴間空間とを連通可能に接続する連通部が形成されている、請求項10に記載の放射性廃棄物保管容器。
【請求項12】
前記放射性廃棄物は、燃料デブリである、請求項1に記載の放射性廃棄物保管容器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物保管容器に関し、特に、性状が不明確な放射性廃棄物の保管に適した放射性廃棄物保管容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、使用済燃料である放射性廃棄物を保管する容器が開示されている。かかる保管容器は、放射性物質を収納する内部空間を形成する胴体と、前記内部空間を覆う一次蓋と、前記一次蓋を覆う二次蓋と、前記一次蓋と前記二次蓋の間に形成された蓋部空間と、を有し、前記内部空間を負圧に、前記蓋間空間を正圧に管理することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-128920号公報
【特許文献2】特開2021-032792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用済燃料は乾燥させてから収容されることから放射性廃棄物としては性状が比較的明確である。したがって、使用済燃料の保管容器では、放射性物質の閉じ込めのため上部の蓋部構造を二重壁構造とし、その蓋間空間の圧力を監視する構成を採用している。
【0005】
しかしながら、原子炉内の構造物や燃料が溶けて固まった燃料デブリは、性状が不明確であり、保管中に放射線分解による水素が発生し得る条件にあるものと考えられる。したがって、使用済燃料の保管容器よりも閉じ込め機能及び監視機能の向上が不可欠である。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、閉じ込め機能及び監視機能の向上を図ることができる放射性廃棄物保管容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、放射性廃棄物を収容する容器を形成する胴体と、前記胴体の開口部に配置される蓋体と、を備えた放射性廃棄物保管容器であって、前記胴体は、内側胴体及び外側胴体により構成された二重壁構造を有し、前記内側胴体と前記外側胴体とにより形成される胴間空間の圧力を監視する監視装置を備える、ことを特徴とする放射性廃棄物保管容器が提供される。
【0008】
前記監視装置は、前記胴間空間と連通可能に接続される配管と、前記配管に圧縮気体を供給する圧縮気体供給源と、前記配管の圧力を計測する圧力計と、を備えていてもよい。
【0009】
前記放射性廃棄物保管容器は、前記蓋体の上部に前記配管を挿通する挿通口を有していてもよい。
【0010】
前記蓋体は、前記胴体の開口部を封止する内蓋と、前記内蓋の外側に配置される外蓋と、を有していてもよい。
【0011】
前記蓋体は、前記胴体の開口部を封止する内蓋と、前記内蓋を覆うように前記胴体に接続される外蓋と、を有し、前記内蓋は、前記内蓋と前記外蓋とにより形成される蓋間空間と前記胴間空間とを連通可能に接続する連通部を有していてもよい。
【0012】
前記監視装置は、前記外蓋に接続される配管と、前記配管の圧力を計測する圧力計と、を備えていてもよい。
【0013】
前記胴体と前記蓋体とはボルトで締結され、締結部にガスケットが配置されていてもよい。
【0014】
前記蓋体は、前記胴体側に配置された遮蔽体を備えていてもよい。
【0015】
前記胴間空間は、前記内側胴体の内部空間より高い圧力となるように構成されていてもよい。
【0016】
前記放射性廃棄物保管容器は、前記内側胴体を有する内側容器と前記外側胴体を有する外側容器とを別々の容器として構成してもよい。
【0017】
前記内側容器は、前記内側胴体の底部を構成する内底と前記内側胴体の開口部を封止する内蓋とを備え、前記外側容器は、前記外側胴体の底部を構成する外底と前記外側胴体の開口部を封止する外蓋とを備え、前記内側容器と前記外側容器との間には、前記内蓋と前記外蓋とにより形成される蓋間空間と前記胴間空間とを連通可能に接続する連通部が形成されていてもよい。
【0018】
前記放射性廃棄物は、燃料デブリであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明に係る放射性廃棄物保管容器によれば、放射性廃棄物を収容する容器を形成する胴体を二重壁構造とし、その胴間空間を加圧することにより、保管容器としての閉じ込め機能及び監視機能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第一実施形態に係る放射性廃棄物保管容器の全体構成を示す断面図である。
図2図1に示した放射性廃棄物保管容器の説明図であり、(a)は平面図、(b)は部分拡大断面図、である。
図3】第二実施形態に係る放射性廃棄物保管容器の全体構成を示す概念図である。
図4図3に示した放射性廃棄物保管容器のA部拡大図である。
図5図3に示した放射性廃棄物保管容器のB部拡大図である。
図6】第三実施形態に係る放射性廃棄物保管容器の全体構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図1図6を用いて説明する。ここで、図1は、第一実施形態に係る放射性廃棄物保管容器の全体構成を示す断面図である。図2は、図1に示した放射性廃棄物保管容器の説明図であり、(a)は平面図、(b)は部分拡大断面図、である。なお、図2(b)は図2(a)におけるA-A線断面図を示している。
【0022】
図1に示した第一実施形態に係る放射性廃棄物保管容器1は、放射性廃棄物を収容する容器を形成する胴体2と、胴体2の開口部に配置される蓋体3と、を備え、胴体2は、内側胴体21及び外側胴体22により構成された二重壁構造を有している。また、放射性廃棄物保管容器1は、図1及び図2(b)に示したように、内側胴体21と外側胴体22とにより形成される胴間空間20の圧力を監視する監視装置4を備えている。
【0023】
放射性廃棄物は、例えば、所定の形状・大きさに切断された燃料デブリである。燃料デブリは、例えば、胴体2内に収容される格子形状又は籠形状のバスケットとともに収容される。また、放射性廃棄物保管容器1は、例えば、廃棄物処分場等に形成された空間に乾式貯蔵される容器である。
【0024】
胴体2は、例えば、容器の底板を形成する円板形状の底部23と、容器の開口部を形成する環状のリング部材24と、を有している。内側胴体21及び外側胴体22は、例えば、円筒形状を有し、それぞれ底部23及びリング部材24に溶接される。胴体2は金属製の容器である。
【0025】
内側胴体21は、外側胴体22よりも小さい径を有している。したがって、内側胴体21及び外側胴体22を底部23及びリング部材24に溶接した状態で、内側胴体21及び外側胴体22の間に所定の隙間(胴間空間20)が形成される。胴間空間20は、少なくとも胴体2の側面に沿って形成される。
【0026】
内側胴体21の内側の空間は放射性廃棄物を収容する収容空間26を形成する。なお、図示しないが、内側胴体21及び外側胴体22の底板を別々に形成して、胴体2の底部を二重壁構造に形成してもよい。また、図示しないが、内側胴体21の外周と外側胴体22の内周とを連結するように放熱フィンを配置してもよい。
【0027】
蓋体3は、例えば、リング部材24と略同じ大きさを有する金属板である。蓋体3は、リング部材24の上方に配置され、胴体2を構成するリング部材24にボルト等の締結部材31により締結される。また、図示しないが、蓋体3とリング部材24との間にはガスケットを配置してもよい。
【0028】
また、蓋体3の内側(胴体2側)には、γ線や中性子等の放射線を遮蔽する遮蔽体32が配置されていてもよい。遮蔽体32は、機能によって素材を変更して積層構造に形成してもよい。遮蔽体32は、固定部材32aにより蓋体3の内側面に固定される。
【0029】
監視装置4は、例えば、胴間空間20と連通可能に接続される配管41と、配管41に圧縮気体を供給する圧縮気体供給源42と、配管41の圧力を計測する圧力計43と、を備えている。なお、図1では、説明の便宜上、配管41を点線で図示してある。
【0030】
図2(b)に示したように、リング部材24には胴間空間20と連通する連通部25が形成されており、蓋体3には連通部25と連通する連通部33が形成されている。配管41の端部は、蓋体3の連通部33に接続される。したがって、配管41、連通部33、連通部25及び胴間空間20は連通した状態に構成される。
【0031】
圧縮気体供給源42は、例えば、放射性廃棄物保管容器1を貯蔵する空間の外側に配置される。圧力計43のデータは、放射性廃棄物保管容器1を貯蔵する空間の外側でモニタリングできるように構成されている。
【0032】
また、蓋体3の外側面には、配管41を挿通する挿通口5を配置してもよい。挿通口5は、例えば、略円筒形状の筒体51と、筒体51の上部(蓋体3と反対側)の開口部を封止する封止部材52と、により構成される。筒体51は、蓋体3に溶接されており、封止部材52は、ボルトにより筒体51に固定される。挿通口5を形成することにより、配管41の露出部分を低減することができる。
【0033】
また、挿通口5の封止部材52には、胴体2の収容空間26に水素を掃気するための掃気配管を挿通可能な掃気配管接続部53が形成されていてもよい。図示しないが、掃気配管は、掃気配管接続部53から蓋体3及び遮蔽体32を貫通するように配置された入口側の掃気配管と、蓋体3及び遮蔽体32を貫通し掃気配管接続部53を貫通するように配置された出口側の掃気配管と、を備えている。したがって、掃気配管接続部53は、掃気配管の入口側と出口側の2箇所に形成される。
【0034】
また、図2(a)に示したように、挿通口5の封止部材52には、挿通口5の内部を監視する監視窓が形成されていてもよい。監視窓は窓蓋54により封止される。また、図2(a)に示したように、蓋体3には放射性廃棄物保管容器1を搬送するための吊りピース34が配置されていてもよい。また、封止部材52は、施工時、メンテナンス時、異常発生時のタイミングで容易に取り外すことができるように、ボルト等の締結部材55により筒体51に固定される。
【0035】
上述した本実施形態に係る放射性廃棄物保管容器1によれば、放射性廃棄物を収容する容器を形成する胴体2を二重壁構造としたことにより、性状の不明確な燃料デブリのような放射性廃棄物を収容した場合であっても、内側胴体21の環境を外側胴体22により保護することができ、胴体2の腐食を抑制することができ、閉じ込め機能の向上を図ることができる。
【0036】
また、胴間空間20に監視装置4により圧縮気体を供給して加圧することにより、胴間空間20を正圧に保持することができ、収容空間26を負圧にすることにより圧力バウンダリを形成することができる。したがって、胴間空間20の圧力を収容空間26(内側胴体21の内部空間)の圧力より高く保持することができ、内側胴体21が腐食した場合であっても放射性ガス等の漏洩を抑制することができ、閉じ込め機能の向上を図ることができる。
【0037】
また、胴間空間20内の圧力を監視することにより、胴体2の状態変化を監視することができ、監視機能の向上を図ることができる。また、蓋体3を胴体2にボルト等の締結部材31で固定したことにより、メンテナンス時や異常発生時には蓋体3を容易に取り外すことができ、収容した放射性廃棄物の状態を確認したり、放射性廃棄物を出し入れしたり、異常を鎮静化する措置を施したりすることができる。
【0038】
次に、図3図5を参照しつつ第二実施形態に係る放射性廃棄物保管容器1について説明する。ここで、図3は、第二実施形態に係る放射性廃棄物保管容器の全体構成を示す概念図である。図4は、図3に示した放射性廃棄物保管容器のA部拡大図である。図5は、図3に示した放射性廃棄物保管容器のB部拡大図である。なお、上述した第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0039】
図3に示した第二実施形態に係る放射性廃棄物保管容器1は、蓋体3が胴体2の開口部を封止する内蓋35と、内蓋35を覆うように胴体2に接続される外蓋36と、を有している。内蓋35と外蓋36とにより所定の隙間(蓋間空間30)が形成される。なお、図示しないが、内蓋35の内側には遮蔽体を配置してもよい。
【0040】
胴体2は、例えば、内側胴体21と、外側胴体22と、リング部材24と、を有し、リング部材24は、胴体2の端部にフランジ部を形成するように、外側胴体22よりも大きな外径を有している。また、第二実施形態では、内側胴体21及び外側胴体22の底板を別々に形成して、胴体2の底部23も二重壁構造に形成している。
【0041】
図3において、中心線Lの左側は蓋体3の締結部を含む部分の断面を示し、中心線Lの右側は連通部25を含む部分の断面を示している。図3に示したように、リング部材24には、平板形状の内蓋35がボルト等の締結部材35aにより固定される。リング部材24は、内蓋35を収容する凹部24aを有していてもよい。
【0042】
外蓋36は、例えば、リング部材24に接続される第一円筒部36aと、第一円筒部36aよりも径の小さい第二円筒部36bと、第二円筒部36bの開口部を封止する封止部材36cと、を備えている。なお、外蓋36の構成は図示した構成に限定されるものではなく、例えば、第二円筒部36bを省略した構成であってもよい。
【0043】
例えば、図4に示したように、封止部材36cはボルト等の締結部材36dにより第二円筒部36bに固定され、締結部材36dの内側の締結部にはガスケット36eが配置される。また、第二円筒部36bの端部には、締結部材36d及びガスケット36eを配置するためのフランジ部36fを形成してもよい。フランジ部36fは、第二円筒部36bの内側に拡径する構成であってもよいし、第二円筒部36bの外側に拡径する構成であってもよい。
【0044】
図3に示したように、外蓋36はボルト等の締結部材36gにより胴体2に固定される。締結部材36gは、リング部材24の凹部24aの外側に固定される。蓋間空間30には、収容空間26に水素を掃気する掃気配管等の機器が挿通されるため、内蓋35を固定した後、外蓋36を固定できるように構成することが好ましい。
【0045】
また、図5に示したように、リング部材24には、胴間空間20と連通する連通部25が形成されている。内蓋35には連通部25と連通する連通部37が形成されている。これらの連通部25,37を介して、蓋間空間30と胴間空間20とが連通可能に接続される。
【0046】
リング部材24と内蓋35との締結部にはガスケット35bを配置してもよい。ガスケット35bは、例えば、図示したように、連通部25,37の内側に配置される。かかる構成により、連通部25,37と収容空間26との間を効果的にシールすることができる。
【0047】
また、図5に示したように、内蓋35と外蓋36(第一円筒部36a)との締結部にもガスケット36hを配置してもよい。ガスケット36hは、図3に示した締結部材36gの内側に配置される。
【0048】
上述した第二実施形態に係る放射性廃棄物保管容器1では、胴体2及び蓋体3を二重壁構造とし、胴間空間20及び蓋間空間30とを連通可能に構成したことにより、胴間空間20に蓋間空間30を介して圧縮気体を供給することができ、監視装置4の配管構成を簡略化することができ、閉じ込め機能の向上を図ることができる。
【0049】
なお、図3では、監視装置4の構成を簡略化して図示してある。例えば、圧力計43は配管41に接続された開閉弁44を介して接続されており、開閉弁44の開閉により圧縮気体の流量を調整することができる。圧力計43の数値が所定の数値に達した場合には、圧縮気体の供給を遮断するように開閉弁44を操作する。
【0050】
また、蓋体3の構成は、図示した構成に限定されるものではなく、胴体2の開口部を封止する内蓋35と、内蓋35の外側に配置される外蓋36と、を有し、内蓋35と外蓋36とにより蓋間空間30が形成されていればよい。例えば、胴間空間20と蓋間空間30との連通方法は図示した構成に限定されるものではない。
【0051】
次に、図6を参照しつつ第三実施形態に係る放射性廃棄物保管容器1について説明する。ここで、図6は、第三実施形態に係る放射性廃棄物保管容器の全体構成を示す概念図である。なお、上述した第一実施形態又は第二実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0052】
図6に示した第三実施形態に係る放射性廃棄物保管容器1は、内側胴体21を有する容器(内側容器6)と外側胴体22を有する容器(外側容器7)とを別々の容器として構成したものである。
【0053】
内側容器6は、例えば、略円筒形状の内側胴体21と、内側胴体21の底部を構成する内底61と内側胴体21の開口部を封止する内蓋62とを備えている。また、外側容器7は、例えば、内側胴体21を囲うように配置された略円筒形状の外側胴体22と、外側胴体22の底部を構成する外底71と外側胴体22の開口部を封止する外蓋72とを備えている。
【0054】
図示したように、内側容器6は内蓋62を取り付けた状態で外側容器7内に収容可能に構成されている。内側容器6の内部空間は収容空間26を形成し、内側胴体21と外側胴体22との間の空間は胴間空間20を形成し、内蓋62と外蓋72との間の空間は蓋間空間30を形成している。なお、第三実施形態において、胴体2は内側胴体21及び外側胴体22を含む意味であり、蓋体3は内蓋62及び外蓋72を含む意味である。
【0055】
内蓋62は、内側胴体21の上部に締結部材63により固定される。内側胴体21の内蓋62の取付部は拡径したフランジ形状に形成されていてもよい。なお、図示しないが、内蓋62の内側には遮蔽体を配置してもよい。
【0056】
また、内側容器6の内底61は、外側容器7の外底71の内面に載置される。内側容器6の最大外径部は、内蓋62又はその取付部により構成され、外側容器7の外側胴体22の内面との間に所定の隙間を有するように構成されている。この隙間は、蓋間空間30と胴間空間20とを連通可能に接続する連通部8を形成している。
【0057】
外側容器7は、図示したように、内側胴体21及び内蓋62の外径の大きさに合わせて外側胴体22の外径を変化させるようにしてもよい。また、外底71の内側の角部には、内側容器6を位置決めするためのテーパ部73を形成してもよい。また、外底71の内面に内側容器6を支持するための台座や突起を配置してもよい。
【0058】
外蓋72は、例えば、外側胴体22の開口部に固定される環状のリング部材72aと、リング部材72aの内縁部に配置される略円筒形状の円筒部72bと、円筒部72bの開口部を封止する封止部材72cと、を備えている。リング部材72aは締結部材72dにより外側胴体22に固定され、封止部材72aは締結部材72eにより円筒部72bに固定される。円筒部72bは、リング部材72aに溶接により固定される。なお、外蓋72は図示した構成に限定されるものではない。
【0059】
また、外蓋72の上部には、監視装置4が配置されている。したがって、第三実施形態に係る放射性廃棄物保管容器1によっても胴間空間20に蓋間空間30を介して圧縮気体を供給することができ、保管容器としての閉じ込め機能及び監視機能の向上を図ることができる。
【0060】
ここで、上述した第一実施形態~第三実施形態の特徴及び効果について整理する。上述した第一実施形態に係る放射性廃棄物保管容器1は、胴体2のみを内側胴体21及び外側胴体22により二重壁構造としたものである。したがって、内側胴体21及び外側胴体22により形成される胴間空間20の圧力監視により胴体2の漏洩を検出することができる。
【0061】
上述した第二実施形態に係る放射性廃棄物保管容器1は、胴体2、底部23及び蓋体3を二重壁構造としたものである。内側胴体21及び外側胴体22はリング部材24により一体化されているが、胴間空間20と蓋間空間30とを連通させることにより、胴間空間20及び蓋間空間30を圧力監視することができ、胴体2、底部23及び蓋体3の漏洩を検出することができる。
【0062】
上述した第三実施形態に係る放射性廃棄物保管容器1は、容器全体を二重壁構造としたものである。内側胴体21及び外側胴体22は一体化されておらず、それぞれ内側容器6及び外側容器7として別々の容器として構成されている。胴間空間20と蓋間空間30とを連通させることにより、胴間空間20及び蓋間空間30を圧力監視することができ、胴体2及び蓋体3の漏洩を検出することができる。第三実施形態では、放射性廃棄物保管容器1の全体を二重壁構造とすることができ、内側容器6及び外側容器による二重バウンダリにより閉じ込め機能をより向上させることができる。
【0063】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【0064】
本開示は、例えば、国際連合が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」及び目標13「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 放射性廃棄物保管容器
2 胴体
3 蓋体
4 監視装置
5 挿通口
6 内側容器
7 外側容器
8 連通部
20 胴間空間
21 内側胴体
22 外側胴体
23 底部
24 リング部材
24a 凹部
25 連通部
26 収容空間
30 蓋間空間
31 締結部材
32 遮蔽体
32a 固定部材
33 連通部
34 吊りピース
35 内蓋
35a 締結部材
35b ガスケット
36 外蓋
36a 第一円筒部
36b 第二円筒部
36c 封止部材
36d 締結部材
36e ガスケット
36f フランジ部
36g 締結部材
36h ガスケット
37 連通部
41 配管
42 圧縮気体供給源
43 圧力計
44 開閉弁
51 筒体
52 封止部材
53 掃気配管接続部
54 窓蓋
55 締結部材
61 内底
62 内蓋
63 締結部材
71 外底
72 外蓋
72a リング部材
72a 封止部材
72b 円筒部
72c 封止部材
72d,72e 締結部材
73 テーパ部

図1
図2
図3
図4
図5
図6