(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110369
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】放射性廃棄物保管システムの掃気装置
(51)【国際特許分類】
G21F 9/36 20060101AFI20240807BHJP
G21C 19/06 20060101ALI20240807BHJP
G21C 17/02 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G21F9/36 511L
G21F9/36 541A
G21F9/36 501H
G21C19/06 400
G21C17/02 200
G21C17/02 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014934
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】藤原 寛明
(72)【発明者】
【氏名】金子 郁
(72)【発明者】
【氏名】篠原 健
(72)【発明者】
【氏名】鍋本 豊伸
【テーマコード(参考)】
2G075
【Fターム(参考)】
2G075AA18
2G075BA03
2G075CA38
2G075DA03
2G075DA04
2G075FA03
2G075GA36
(57)【要約】
【課題】閉じ込め機能の向上を図ることができる放射性廃棄物保管システムの掃気装置を提供する。
【解決手段】放射性廃棄物保管システムの掃気装置1は、放射性廃棄物2を収容する保管容器3と保管容器3を収納する保管設備4とを含む放射性廃棄物保管システムの掃気装置1であって、保管設備4外から保管容器3内に掃気ガスを供給する給気配管5と、保管設備4と保管容器3との間で給気配管5を囲うように配置された給気保護管6と、保管容器3内から保管設備4外に排気ガスを排出する排気配管7と、保管設備4と保管容器3との間で排気配管7を囲うように配置された排気保護管8と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物を収容する保管容器と前記保管容器を収納する保管設備とを含む放射性廃棄物保管システムの掃気装置であって、
前記保管設備外から前記保管容器内に掃気ガスを供給する給気配管と、前記保管設備と前記保管容器との間で前記給気配管を囲うように配置された給気保護管と、前記保管容器内から前記保管設備外に排気ガスを排出する排気配管と、前記保管設備と前記保管容器との間で前記排気配管を囲うように配置された排気保護管と、を備える、
ことを特徴とする放射性廃棄物保管システムの掃気装置。
【請求項2】
前記給気配管、前記給気保護管、前記排気配管及び前記排気保護管は、柔軟性を有する管により構成されている、請求項1に記載の放射性廃棄物保管システムの掃気装置。
【請求項3】
前記給気配管と前記給気保護管との間に形成された給気側封止空間及び前記排気配管と前記排気保護管との間に形成された排気側封止空間に加圧気体を封入する加圧装置を備える、請求項1に記載の放射性廃棄物保管システムの掃気装置。
【請求項4】
前記給気側封止空間の圧力を計測する給気側圧力計と、前記排気側封止空間の圧力を計測する排気側圧力計と、を備える請求項3に記載の放射性廃棄物保管システムの掃気装置。
【請求項5】
前記給気配管に接続され前記掃気ガスを脱塩する脱塩装置を備える、請求項1に記載の放射性廃棄物保管システムの掃気装置。
【請求項6】
前記排気配管に接続され前記排気ガスの温度を計測する温度計と、前記給気配管に接続され前記掃気ガスを冷却する冷却装置と、を備え、前記温度計の計測結果に基づいて前記掃気ガスの温度を制御するようにした、請求項1に記載の放射性廃棄物保管システムの掃気装置。
【請求項7】
前記掃気ガスは、乾燥空気である、請求項1に記載の放射性廃棄物保管システムの掃気装置。
【請求項8】
前記放射性廃棄物は、燃料デブリである、請求項1に記載の放射性廃棄物保管システムの掃気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物保管システムの掃気装置に関し、特に、性状が不明確な放射性廃棄物の保管に適した放射性廃棄物保管システムの掃気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力発電所で発生する使用済燃料は、金属製の容器(キャニスタ等)に密閉された状態で保管される。
【0003】
使用済燃料と比較して、原子炉内の構造物や燃料が溶けて固まった燃料デブリは、性状が不明確であり、水分を含むため、保管中の放射性分解により水素が発生し得る条件にあるものと考えられる。水素は可燃性ガスであり気中濃度が4%を超えると引火して爆発するおそれがある。したがって、燃料デブリ等の放射性廃棄物を貯蔵する際には水素濃度を低減する措置を講じる必要性が高い。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された発明では、放射性廃棄物を開放構造のキャニスタ内に密封しない状態で収容し、前記キャニスタを、該キャニスタを収納する主管と、該主管内に外気を給気する入口ポンプを備えた入口管と、前記主管内の気体を外部に排気する出口ポンプを備えた出口管とを備えてなる収納管内に収納して貯蔵し、貯蔵にあたり、前記収納管内の気体を前記出口管から外部に排気すると共に、外気を前記入口管から前記収納管内に給気することで該収納管の掃気の工程を実行する放射性廃棄物の貯蔵方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発明では、開放構造のキャニスタを収容管に収納し、収容管に掃気配管(入口管及び出口管)を接続して、放射性廃棄物から発生した水素を掃気するようにしている。
【0007】
しかしながら、かかる構成を有する掃気装置では、例えば、収容管及び掃気配管が腐食した場合には放射性物質や水素が保管設備内に漏洩する可能性があり、閉じ込め機能をより強化したいという要求があった。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、閉じ込め機能の向上を図ることができる放射性廃棄物保管システムの掃気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、放射性廃棄物を収容する保管容器と前記保管容器を収納する保管設備とを含む放射性廃棄物保管システムの掃気装置であって、前記保管設備外から前記保管容器内に掃気ガスを供給する給気配管と、前記保管設備と前記保管容器との間で前記給気配管を囲うように配置された給気保護管と、前記保管容器内から前記保管設備外に排気ガスを排出する排気配管と、前記保管設備と前記保管容器との間で前記排気配管を囲うように配置された排気保護管と、を備える、ことを特徴とする放射性廃棄物保管システムの掃気装置が提供される。
【0010】
前記給気配管、前記給気保護管、前記排気配管及び前記排気保護管は、柔軟性を有する管により構成されていてもよい。
【0011】
前記掃気装置において、前記給気配管と前記給気保護管との間に形成された給気側封止空間及び前記排気配管と前記排気保護管との間に形成された排気側封止空間に加圧気体を封入する加圧装置を備えていてもよい。
【0012】
前記掃気装置は、前記給気側封止空間の圧力を計測する給気側圧力計と、前記排気側封止空間の圧力を計測する排気側圧力計と、を備えていてもよい。
【0013】
前記掃気装置は、前記給気配管に接続され前記掃気ガスを脱塩する脱塩装置を備えていてもよい。
【0014】
前記掃気装置は、前記排気配管に接続され前記排気ガスの温度を計測する温度計と、前記給気配管に接続され前記掃気ガスを冷却する冷却装置と、を備え、前記温度計の計測結果に基づいて前記掃気ガスの温度を制御するようにしてもよい。
【0015】
前記掃気ガスは、乾燥空気であってもよい。
【0016】
前記放射性廃棄物は、燃料デブリであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
上述した本発明にかかる放射性廃棄物保管システムの掃気装置によれば、放射性廃棄物の保管容器を掃気する配管(給気配管及び排気配管)を保管設備内で二重配管構造に構成したことにより、放射性廃棄物保管システムの閉じ込め機能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第一実施形態にかかる放射性廃棄物保管システムの掃気装置の概略を示す全体構成図である。
【
図2】掃気装置の配管構成の一例を示す拡大図である。
【
図4】第二実施形態にかかる放射性廃棄物保管システムの掃気装置の概略を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について
図1~
図4を用いて説明する。ここで、
図1は、第一実施形態にかかる放射性廃棄物保管システムの掃気装置の概略を示す全体構成図である。
【0020】
図1に示した第一実施形態にかかる放射性廃棄物保管システムの掃気装置1は、放射性廃棄物2を収容する保管容器3と保管容器3を収納する保管設備4とを含む放射性廃棄物保管システムの掃気装置1であって、保管設備4外から保管容器3内に掃気ガスを供給する給気配管5と、保管設備4と保管容器3との間で給気配管5を囲うように配置された給気保護管6と、保管容器3内から保管設備4外に排気ガスを排出する排気配管7と、保管設備4と保管容器3との間で排気配管7を囲うように配置された排気保護管8と、を備えている。
【0021】
放射性廃棄物2は、例えば、所定の形状・大きさに切断された燃料デブリである。燃料デブリは、例えば、保管容器3内に収容される格子形状又は籠形状のバスケットとともに収容される。
【0022】
保管容器3は、例えば、廃棄物保管場所等に形成された空間に乾式貯蔵される金属製の容器(キャニスタ)である。保管容器3は、放射性廃棄物2を密封状態に収容することができればどのような構成であってもよい。
【0023】
保管設備4は、例えば、廃棄物保管場所等に建設されたコンクリート製の建物である。保管設備4は、保管容器3を個別に収納可能に構成されていてもよいし、複数の保管容器3を収納可能に構成されていてもよい。保管設備4の内面には金属製のライナーが配置されていてもよいし、放射線を遮蔽する遮蔽体が配置されていてもよい。
【0024】
また、保管設備4は、給気配管5を挿通可能な開口部41と、排気配管7を挿通可能な開口部42と、を備えている。開口部41には、給気配管5を取り付ける保管設備開口部封止板貫通部43が設置され、開口部42には、排気配管7を取り付ける保管設備開口部封止板貫通部44が設置される。なお、開口部41と保管設備開口部封止板貫通部43との間、給気配管5と保管設備開口部封止板貫通部43との間、開口部42と保管設備開口部封止板貫通部44との間及び排気配管7と保管設備開口部封止板貫通部44との間はそれぞれシールされる。
【0025】
掃気装置1は、保管容器3に掃気ガスを供給する給気ライン10と、保管容器3から排気ガスを排気する排気ライン11と、を備えている。掃気ガスは、例えば、乾燥空気である。給気ライン10は、保管設備4の外部に配置された空気供給源(例えば、大気)から保管容器3内に掃気ガスを所定の圧力で供給する。
【0026】
給気配管5は、一端が空気供給源に接続され、他端が保管容器3に接続されている。本実施形態において、空気供給源から給気配管5に取り込んだ空気を掃気ガスと称する。また、給気配管5は、例えば、配管の取り回しの都合により、部分的に柔軟性を有するフレキシブルチューブで構成してもよい。
【0027】
給気ライン10は、例えば、給気配管5に接続され掃気ガスを脱塩する脱塩装置12と、掃気ガスを除湿する除湿装置13と、掃気ガスの異物を除去するフィルタ装置14と、掃気ガスを圧送する圧縮機15と、掃気ガスの供給と停止を切り替える開閉弁16と、を備えている。なお、図示しないが、給気ライン10は、脱塩装置12の上流側に空気供給源から空気を取り込む圧縮機を備えていてもよい。
【0028】
脱塩装置12は、例えば、放射性廃棄物保管システムが海に近い場所に設置されている場合に効果的である。脱塩装置12を配置することにより掃気ガスに触れる箇所の腐食を抑制することができる。なお、脱塩装置12は必要に応じて省略することができる。
【0029】
除湿装置13は、掃気ガス中の水分を除去して掃気ガスの湿度を制御する機能を有する。除湿装置13により掃気ガスを乾燥させることができ、保管容器3に入り込む水分を除去し、掃気ガスに触れる箇所の腐食を抑制することができる。
【0030】
フィルタ装置14は、保管容器3に入り込む異物を除去する機能を有する。フィルタ装置14の構成は、除去したい異物に合わせて任意に構成することができる。圧縮機15は、保管容器3に掃気ガスを所定の圧力で送り込む機能を有する。開閉弁16は、掃気ガスを供給する際は開状態に設定され、掃気ガスの供給を停止する際は閉状態に設定される。なお、開閉弁16は流量調整弁であってもよい。
【0031】
給気保護管6は、保管容器3と保管設備4との間で保管設備4内に敷設される給気配管5の外周に配置される配管である。給気保護管6の一端は保管容器封止部材接続部61により保管容器3に接続され、給気保護管6の他端は保管設備開口部封止部材接続部62により保管設備開口部封止板貫通部43に接続される。
【0032】
かかる構成により、給気配管5を内管とし、給気保護管6を外管とする二重配管構造を構成することができる。給気保護管6は、取り回しの都合により、部分的に柔軟性を有するフレキシブルチューブで構成してもよい。
【0033】
また、給気配管5と給気保護管6との間に密閉された給気側封止空間63が形成される。また、給気側封止空間63に加圧気体を封入することにより、給気側封止空間63内を正圧に保持し、給気配管5が腐食した場合の放射性物質の漏洩を効果的に抑制することができる。加圧気体は、例えば、アルゴン等の不活性ガスである。
【0034】
給気側封止空間63に加圧気体を供給する加圧装置64は、例えば、給気側封止空間63に接続された加圧配管64aと、加圧配管64aに接続された圧縮機64bと、加圧気体の供給又は停止を切り替える開閉弁64cと、給気側封止空間63の圧力を計測する給気側圧力計64dと、により構成される。
【0035】
加圧配管64aは、例えば、保管設備開口部封止板貫通部43又は保管設備開口部封止部材接続部62を介して給気側封止空間63に加圧気体を供給するように構成されている。開閉弁64cは、給気側封止空間63に加圧気体を供給する際に開状態に設定され、給気側封止空間63内が所定の圧力になった際に閉状態に設定される。
【0036】
給気側圧力計64dは、給気側封止空間63内の圧力を監視する機能を有している。給気側圧力計64dにより給気側封止空間63内が所定の圧力に達したことを把握することができ、放射性廃棄物保管システムの運用中における給気配管5及び給気保護管6の異常を検知することができる。
【0037】
排気配管7は、一端が排出口に接続され、他端が保管容器3に接続されている。本実施形態において、掃気ガスにより保管容器3から吸い出された又は押し出されたガスを排気ガスと称する。また、排気配管7は、例えば、配管の取り回しの都合により、部分的に柔軟性を有するフレキシブルチューブで構成してもよい。
【0038】
排気ライン11は、例えば、排気ガスの排気と停止を切り替える開閉弁17と、排気ガスを吸い出す圧縮機18と、排気ガスの異物を除去するフィルタ装置19と、を備えている。なお、図示しないが、排気ライン11は、フィルタ装置19の下流側に排気ガスを排気する圧縮機を備えていてもよい。
防止を可能とする。
【0039】
開閉弁17は、排気ガスを送り出す際は開状態に設定され、排気ガスの排気を停止する際は閉状態に設定される。なお、開閉弁17は流量調整弁であってもよい。フィルタ装置19は、大気に放出される異物を除去する機能を有する。フィルタ装置19の構成は、除去したい異物に合わせて任意に構成することができる。
【0040】
排気保護管8は、保管容器3と保管設備4との間で保管設備4内に敷設される排気配管7の外周に配置される配管である。排気保護管8の一端は保管容器封止部材接続部81により保管容器3に接続され、排気保護管8の他端は保管容器封止部材接続部82により保管設備開口部封止板貫通部44に接続される。
【0041】
かかる構成により、排気配管7を内管とし、排気保護管8を外管とする二重配管構造を構成することができる。排気保護管8は、取り回しの都合により、柔軟性を有する管(例えば、フレキシブルチューブ等)で構成してもよい。
【0042】
また、排気配管7と排気保護管8との間に密閉された排気側封止空間83が形成される。また、排気側封止空間83に加圧気体を封入することにより、排気側封止空間83内を正圧に保持し、排気配管7が腐食した場合の放射性物質の漏洩を効果的に抑制することができる。加圧気体は、例えば、アルゴン等の不活性ガスである。
【0043】
排気側封止空間83に加圧気体を供給する加圧装置84は、例えば、排気側封止空間83に接続された加圧配管84aと、加圧配管84aに接続された圧縮機84bと、加圧気体の供給又は停止を切り替える開閉弁84cと、排気側封止空間83の圧力を計測する排気側圧力計84dと、により構成される。
【0044】
加圧配管84aは、例えば、保管設備開口部封止板貫通部44又は保管容器封止部材接続部82を介して排気側封止空間83に加圧気体を供給するように構成されている。開閉弁84cは、排気側封止空間83に加圧気体を供給する際に開状態に設定され、排気側封止空間83内が所定の圧力になった際に閉状態に設定される。
【0045】
排気側圧力計84dは、排気側封止空間83内の圧力を監視する機能を有している。排気側圧力計84dにより排気側封止空間83内が所定の圧力に達したことを把握することができ、放射性廃棄物保管システムの運用中における排気配管7及び排気保護管8の異常を検知することができる。
【0046】
上述した本実施形態にかかる放射性廃棄物保管システムの掃気装置1によれば、放射性廃棄物2の保管容器3を掃気する配管(給気配管5及び排気配管7)を保管設備4内で二重配管構造に構成したことにより、放射性廃棄物保管システムの閉じ込め機能の向上を図ることができる。
【0047】
また、上述した掃気装置1によれば、保管容器3・給気配管5及び排気配管7の圧力調整により放射性廃棄物に接する領域を負圧に保持することができ、給気側封止空間63及び排気側封止空間83を正圧に保持することにより、保管容器3・給気配管5及び排気配管7が腐食した場合の放射性物質の外部放出を抑制することができる。
【0048】
次に、掃気装置1の配管構成の詳細について、
図2及び
図3を参照しつつ説明する。ここで、
図2は、掃気装置の配管構成の一例を示す拡大図である。
図3は、
図2に示した配管構成の平面図である。なお、
図2及び
図3において、説明の便宜上、加圧装置64,84の図を省略してある。
【0049】
図2及び
図3に示した保管容器3は、例えば、放射性廃棄物を収容する容器を形成する胴体31と、胴体31の開口部に配置される蓋体32と、を備えている。胴体31は、例えば、円筒形状の金属製の容器である。蓋体32は、例えば、金属製の円板である。蓋体32の内側には遮蔽体33が配置されていてもよい。また、蓋体32の外側には、給気配管5及び排気配管7を挿通する挿通口34が形成されていてもよい。挿通口34の開口部には、円板形状の封止部材35が配置される。
【0050】
また、保管容器3は、挿通口34、蓋体32及び封止部材35により構成された密閉空間36が形成される。また、保管容器3の胴体31を二重壁構造に構成し、その隙間に形成された空間に保管設備4の外部から加圧配管37を介して加圧気体を封入してもよい。加圧配管37は挿通口34に挿通される。また、保管容器3に供給した加圧空気の圧力を圧力センサ38により監視するようにしてもよい。また、図示しないが、密閉空間36に加圧気体を封入し、その圧力を監視するようにしてもよい。
【0051】
なお、図示した保管容器3の構成は単なる一例であり、図示した構成に限定されるものではない。例えば、蓋体32を内蓋と外蓋で構成し、挿通口34を省略して給気配管5及び排気配管7を外蓋に直に接続するようにしてもよい。
【0052】
図2及び
図3に示した保管設備4は、例えば、保管容器3を挿入可能な胴部45と、胴部45の上部に配置され放射線を遮蔽する蓋部46と、保管容器3の挿通口34の外周に配置される環状部材47と、を備えている。環状部材47は、蓋体32の上部空間に配置される環状の遮蔽体であり、掃気装置1の設置工事等の足場としても利用される。
【0053】
なお、図示した保管設備4の構成は単なる一例であり、図示した構成に限定されるものではない。例えば、保管設備4は、広い空間に複数の保管容器3を並べて配置する構成であってもよい。
【0054】
給気配管5は、例えば、保管設備4の保管設備開口部封止板貫通部43に接続される金属配管部と、蓋体32及び封止部材35に接続される金属配管部と、保管設備開口部封止板貫通部43及び封止部材35との間に接続される柔軟性を有する管(例えば、フレキシブルチューブ等)と、を備えている。
【0055】
給気保護管6は、例えば、保管容器封止部材接続部61により封止部材35に接続され、保管設備開口部封止部材接続部62により保管設備開口部封止板貫通部43に接続される。給気保護管6は、例えば、柔軟性を有する管(例えば、フレキシブルチューブ等)により構成され、その内部には柔軟性を有する給気配管5が挿通されている。したがって、
図3に示したように、給気配管5及び給気保護管6を撓曲させて敷設することができる。
【0056】
排気配管7は、例えば、保管設備4の保管設備開口部封止板貫通部44に接続される金属配管部と、蓋体32及び封止部材35に接続される金属配管部と、保管設備開口部封止板貫通部44及び封止部材35との間に接続される柔軟性を有する管(例えば、フレキシブルチューブ等)と、を備えている。
【0057】
排気保護管8は、例えば、保管容器封止部材接続部81により封止部材35に接続され、保管容器封止部材接続部82により保管設備開口部封止板貫通部44に接続される。排気保護管8は、例えば、柔軟性を有する管(例えば、フレキシブルチューブ等)により構成され、その内部には柔軟性を有する排気配管7が挿通されている。したがって、
図3に示したように、排気配管7及び排気保護管8を撓曲させて敷設することができる。
【0058】
なお、
図2及び
図3に示した、給気配管5、給気保護管6、排気配管7、排気保護管8等の掃気装置1の配管構成は単なる一例であり、図示した構成に限定されるものではない。
【0059】
例えば、給気配管5及び給気保護管6と封止部材35とを保管容器封止部材接続部61で予め溶接し、かつ、給気配管5及び給気保護管6と保管設備開口部封止板貫通部43とを保管設備開口部封止部材接続部62で予め溶接し、溶接検査及び漏洩検査を実施することで給気配管5の外側に閉じ込め境界を構築し、二重配管構造を構成することができる。
【0060】
また、排気配管7及び排気保護管8と封止部材35とを保管容器封止部材接続部81で予め溶接し、かつ、排気配管7及び排気保護管8と保管設備開口部封止板貫通部44とを保管容器封止部材接続部82で予め溶接し、溶接検査及び漏洩検査を実施することで排気配管7の外側に閉じ込め境界を構築し、二重配管構造を構成することができる。
【0061】
次に、第二実施形態にかかる放射性廃棄物保管システムの掃気装置1について
図4を参照しつつ説明する。ここで、
図4は、第二実施形態にかかる放射性廃棄物保管システムの掃気装置の概略を示す全体構成図である。なお、
図1に示した第一実施形態に係る掃気装置1と同じ構成部品については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0062】
図4に示した第二実施形態にかかる放射性廃棄物保管システムの掃気装置1は、排気配管7に接続され排気ガスの温度を計測する温度計111と、給気配管5に接続され掃気ガスを冷却する冷却装置101と、を備え、温度計111の計測結果に基づいて掃気ガスの温度を制御するようにしたものである。
【0063】
排気ガスの温度を監視することにより、保管容器3内の冷却状態を監視することができる。温度計111の計測結果に基づいて冷却装置101を作動させて掃気ガスを冷却することにより保管容器3内の冷却効率の向上を図ることができる。冷却装置101は、例えば、除湿装置13よりも上流側に配置することが好ましい。
【0064】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【0065】
本開示は、例えば、国際連合が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」及び目標13「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 掃気装置
2 放射性廃棄物
3 保管容器
4 保管設備
5 給気配管
6 給気保護管
7 排気配管
8 排気保護管
10 給気ライン
11 排気ライン
12 脱塩装置
13 除湿装置
14,19 フィルタ装置
15,18 圧縮機
16,17 開閉弁
31 胴体
32 蓋体
33 遮蔽体
34 挿通口
35 封止部材
36 密閉空間
37 加圧配管
38 圧力センサ
41,41 開口部
43,44 保管設備開口部封止板貫通部
45 胴部
46 蓋部
47 環状部材
61,81,82 保管容器封止部材接続部
62 保管設備開口部封止部材接続部
63 給気側封止空間
64 加圧装置
64a 加圧配管
64b 圧縮機
64c 開閉弁
64d 給気側圧力計
83 排気側封止空間
84 加圧装置
84a 加圧配管
84b 圧縮機
84c 開閉弁
84d 排気側圧力計
101 冷却装置
111 温度計