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  • 特開-果肉除去装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110371
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】果肉除去装置
(51)【国際特許分類】
   D01B 1/00 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
D01B1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014939
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】517335318
【氏名又は名称】株式会社フードリボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】浅野 薫
(72)【発明者】
【氏名】平林 充
(57)【要約】
【課題】高圧ジェット水を用いて果肉を除去する場合において、繊維の暴れを防止できるようにするとともに、部品点数を少なくしてコストを低減させるようにした果肉除去装置を提供する。
【解決手段】長繊維を有するパイナップルの葉8から果肉を除去して長繊維のみを抽出する果肉除去装置1において、前記パイナップルの葉8の長繊維の長手方向に沿った根元側を保持する第一保持部2と、前記長繊維の長手方向に沿った先端側を保持する第二保持部3と、当該第一保持部2と第二保持部3で保持された間の領域に高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去させる高圧ジェット器4とを備える。そして、第一保持部2と第二保持部3で構成された搬送部を、下流側に向けて間隔を広げながら搬送し、テンションを与えながら高圧ジェット水を当てる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長繊維を有する植物から果肉を除去して長繊維を抽出する果肉除去装置において、
前記植物の長繊維の長手方向に沿った一端側を保持する第一保持部と、
前記長繊維の長手方向に沿った他端側を保持する第二保持部と、
当該第一保持部と第二保持部で保持された間の領域に高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去させる高圧ジェット器と、
を備えたことを特徴とする果肉除去装置。
【請求項2】
前記第一保持部および第二保持部によって保持された植物の長繊維に、当該長繊維の長手方向に沿ってテンションを付与するテンション付与手段を備えた請求項1に記載の果肉除去装置。
【請求項3】
前記第一保持部および第二保持部が、植物の長繊維の一端側および他端側を保持させながら搬送させる左右の搬送ベルトによって構成させるものであり、
当該左右の搬送ベルトを下流側に向かって、それぞれの搬送ベルトの間隔を広げるように構成されるものである請求項1に記載の果肉除去装置。
【請求項4】
前記第一保持部および第二保持部が、植物の長繊維の一端側および他端側を保持させながら搬送させる左右の搬送ベルトによって構成させるものであり、
当該第一保持部および第二保持部の上流側に、前記植物の長繊維が、前記搬送ベルトの搬送方向に沿って略直交するように整列させる整列手段を設けるようにした請求項1に記載の果肉除去装置。
【請求項5】
前記第一保持部および第二保持部が、植物の長繊維の一端側および他端側を保持させながら搬送させる左右の搬送ベルトによって構成させるものであり、
前記第一保持部および第二保持部の間に、前記植物から果肉の除去された長繊維を収容させる複数の凹部を備えた繊維収容部材を設け、
当該繊維収容部材を、前記搬送ベルトとともに周回させるようにした請求項1に記載の果肉除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パイナップルの葉、芭蕉、バナナの仮茎などから果肉を除去して、長繊維を抽出できるようにした果肉除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、パイナップルの葉や、芭蕉、バナナの仮茎などから50cm以上の長い葉脈長繊維(以下「長繊維」と称する)を抽出する場合、次のような方法が用いられている。
【0003】
例えば、下記の非特許文献1には、葉や仮茎を平らな板の上に載置し、石や鉄でできたスクレーパを用いて果肉を削ぎ落して長繊維を抽出する方法が提案されており、また、下記の特許文献1には、バナナ長繊維を手で剥ぎ取る方法が提案されている。
【0004】
また、下記の非特許文献2には、パイナップルの果肉を回転ローラーで擦り取って長繊維を抽出する方法が提案されており、非特許文献3には、長繊維束をさらに爪で一本一本引き裂いて長繊維を抽出する方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらのいずれの方法においても、葉や仮茎の長繊維から完全に果肉を除去することができなかった。
【0006】
これに対して、下記の非特許文献4には、平板上に植物を載置し、その上から高圧ジェット水を当てて果肉を除去する方法が提案されている。この方法を用いれば、上記方法に比べて、効果的に果肉を除去することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-095805号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Global Sci. Journals, Vol.7, Issue 1 (2019) pp.317-326
【非特許文献2】Int. J. of Polymer Science, Vol.2012 (doi.org/10.1155 /2015/950567)
【非特許文献3】http://okinoerabu-bashofu.jp/process.html(令和4年5月2日確認)
【非特許文献4】J. of Eng. Fibers and Fabrics, Vol.15, (2020) pp.1-7 (doi: 101177/1558925050940109)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この方法を用いて果肉を除去する場合においても、平板上に載置された植物の葉などに対して、上から高圧ジェット水を当てるようにしているため、高圧ジェット水が下に抜けず、また、高圧ジェット水の跳ね返りなどによって、水圧を高くした状態で効率よく果肉を除去することができない。
【0010】
一方、この平板に代えてメッシュ状の部材などの上に植物の葉を載置させ、上から高圧ジェット水を当てることもできるが、このようにした場合、高圧ジェット水によって果肉の除去された葉や繊維が暴れてしまい、繊維同士が絡まってしまうといった問題がある。
【0011】
これに対して、メッシュ状の部材の上から押圧部材を用いて植物の葉を固定し、この状態で上から高圧ジェット水を当てるようこともできるが、このようにした場合、押圧部材に高圧ジェット水が当たってしまうため、その押圧部材の下側の葉の果肉を上手く除去することができなくなり、また、押圧部材を設けることによる部品点数の増加で、コストが高くなるといった問題を生ずる。
【0012】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、高圧ジェット水を用いて果肉を除去する場合において、繊維の暴れを防止できるようにするとともに、部品点数を少なくしてコストを低減させるようにした果肉除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明の果肉除去装置は、上記課題を解決するために、長繊維を有する植物から果肉を除去して前記長繊維を抽出する果肉除去装置において、前記植物の長繊維の長手方向に沿った一端側を保持する第一保持部と、前記長繊維の長手方向に沿った他端側を保持する第二保持部と、当該第一保持部と第二保持部で保持された間の領域に高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去させる高圧ジェット器とを備えるようにしたものである。
【0014】
このように構成すれば、高圧ジェット水で果肉を除去する際に、押圧部材が邪魔になることがなく、また、両端を保持しておくことによって、果肉の除去された繊維同士の絡まりを少なくすることができるようになる。しかも、押圧部材などを設ける必要がないため、部品点数を少なくして、コストを低減させることができるようになる。
【0015】
また、このような発明において、前記第一保持部および第二保持部によって保持された植物の長繊維に、当該長繊維の長手方向に沿ってテンションを付与するテンション付与手段を設けるようにする。
【0016】
このように構成すれば、テンションを与えた状態で高圧ジェット水を当てるため、果肉が除去されて弛んだ長繊維が絡まるようなことがなくなる。
【0017】
さらに、前記第一保持部および第二保持部を設ける場合、植物の長繊維の一端側および他端側を保持させながら搬送させる左右の搬送ベルトで構成し、当該左右の搬送ベルトを下流側に向かって、それぞれの搬送ベルトの間隔を広げるようにする。
【0018】
このように構成すれば、連続的に植物を搬送させながらテンションを付与することができ、連続的に長繊維を抽出していくことができるようになる。
【0019】
また、前記第一保持部および第二保持部を設ける場合、植物の長繊維の一端側および他端側を保持させながら搬送させる左右の搬送ベルトによって構成し、当該第一保持部および第二保持部の上流側に、前記植物を、前記搬送ベルトの搬送方向に沿って略直交する方向に整列させる整列手段を設けるようにする。
【0020】
このように構成すれば、複数の植物の葉や茎などを並べて搬送させる際に、テンションを与える方向に沿って植物の葉や茎などを整列させることができるため、搬送方向に対して直交方向に植物の葉などを整列させて搬送ベルトに供給することができるようになる。
【0021】
また、前記第一保持部および第二保持部を設ける場合、植物の長繊維の一端側および他端側を保持させながら搬送させる左右の搬送ベルトによって構成し、前記第一保持部および第二保持部の間に、前記植物から果肉の除去された長繊維を収容させる複数の凹部を備えた繊維収容部材を設け、当該繊維収容部材を、前記搬送ベルトとともに周回させるようにする。
【0022】
このように構成すれば、果肉が除去されて弛んだ長繊維を繊維収容部材の凹部に収めておくことができ、高圧ジェット水による繊維の暴れを防止して、繊維同士の絡まりを防止することができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、長繊維を有する植物から果肉を除去して前記長繊維を抽出する果肉除去装置において、前記植物の長繊維の長手方向に沿った一端側を保持する第一保持部と、前記長繊維の長手方向に沿った他端側を保持する第二保持部と、当該第一保持部と第二保持部で保持された間の領域に高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去させる高圧ジェット器とを備えるようにしたので、高圧ジェット水で果肉を除去する際に、押圧部材が邪魔になることがなく、また、両端を保持しておくことによって、果肉の除去された繊維同士の絡まりを少なくすることができるようになる。しかも、押圧部材などを設ける必要がないため、部品点数を少なくして、コストを低減させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施の形態による果肉除去装置の平面概略図
図2】同形態における搬送部と整列手段の関係を示す側面概略図
図3】同形態における上側搬送ベルトと下側搬送ベルトによる挟持状態を示す図
図4】同形態における表皮切削装置を示す図
図5】他の形態における果肉除去装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
この実施の形態における果肉除去装置1は、表皮や果肉で覆われた長繊維を有する植物の葉や仮茎などから表皮や果肉を除去し、長繊維のみを抽出できるようにしたものであって、図1から図3に示すように、長繊維の長手方向に沿った植物の一端側を保持する第一保持部2と、当該植物の他端側を保持する第二保持部3と、当該第一保持部2と第二保持部3を構成する搬送部20によって両端の保持された植物の中間領域に高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器4とを備えるようにしたものである。そして、このように構成することによって、第一保持部2と第二保持部3の間の何もない中間領域で高圧ジェット水を上方から下方へと貫通させ、効率よく果肉を除去できるようにするとともに、植物の葉の両端を保持させることで、植物の暴れを防止して、繊維同士の絡まりを防止できるようにしたものである。以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
まず、この実施の形態において使用される長繊維を有する植物としては、複数本の長繊維の間に、水分を多く含んだ柔らかい果肉で覆われる植物が用いられ、例えば、キジカクシ科のサイザルアサ、バナナ科のバナナ、アサ科の芭蕉マニラアサ、亜麻、苧麻などが挙げられる。なお、この実施の形態では、パイナップルの葉8を例として説明する。
【0028】
このようなパイナップルの葉8としては、食用に供される果実を採取した後、本来、廃棄されるパイナップルの葉8を葉元近傍から切除したものが用いられる。一般的に、パイナップルの果実の収穫時期である5月から7月頃には、パイナップルの葉8の長さが50cmから100cm程度の長さになり、厚みも、2mm程度となる。そこで、このように育成した長いパイナップルの葉8を用いるようにする。ここで、使用されるパイナップルの葉8としては、採取後、水分を50%以上含有している新鮮なものを用いる。このように水分の多く含有しているパイナップルの葉8を用いると、そのパイナップルの葉8を屈曲させた場合に、果肉の表裏に亀裂を生じやすくなり、その亀裂に高圧ジェット水を当てて、果肉を除去させやすくすることができる。一方、長期間保管したパイナップルの葉8を使用する場合は、そのパイナップルの葉8を一定期間水中に浸漬させ、水分含有率が50%以上となるようにする。ただし、余り水分含有率が高くなった場合は、屈曲によって果肉に亀裂を生じさせることができないため、水分含有率を50%から70%程度にしておく。
【0029】
このようなパイナップルの葉8から長繊維を抽出する場合、まず、図4に示すような表皮切削装置7によって表面の硬い表皮を削り落とし、その後、果肉を除去して長繊維のみを抽出できるようにする。
【0030】
この表皮切削装置7は、パイナップルの葉8を上下からローラーで挟持して低速で送り出す送り出し部71と、その送り出し部71の下流側に設けられ、パイナップルの葉8を交互に屈曲させながら表皮を切削する切削部72などを備えて構成される。この切削部72は、送り出し部71の上下のローラーよりも高速回転する複数枚の羽根74を有する回転部材73で構成されており、送り出し部71によってパイナップルの葉8を挟持させた状態で、高速回転する羽根74でパイナップルの葉8を交互に屈曲させながら、羽根74の先端の摩擦によって表皮を切削し、また、交互に屈曲させることで、根元付近のカールした部分を略扁平状にできるようにしている。
【0031】
この果肉除去装置1は、表皮の切削されたパイナップルの葉8から果肉を除去するもので、パイナップルの葉8の根元側と先端側の両端を搬送部20で保持し、テンションを与えた状態で、その中央部分に高圧ジェット水を当てて果肉を除去できるように構成されている。具体的には、果肉除去装置1は、図1から図3に示すように、パイナップルの葉8の根元側を保持する第一保持部2と、パイナップルの葉8の先端側を保持する第二保持部3と、これら第一保持部2および第二保持部3によって保持されたパイナップルの葉8の中間領域に高圧ジェット水を当てて果肉を除去できるようにした高圧ジェット器4などを備えて構成される。
【0032】
このうち、第一保持部2は、図3に示すように、パイナップルの葉8の根元付近を上下から挟み込んで保持し、パイナップルの葉8を短手方向に搬送させるようにした下側搬送ベルト21および上側搬送ベルト23によって構成される。このうち、下側搬送ベルト21は、歯車に噛み合う歯付きベルトを内周面側に設けて構成されるもので、その歯付きベルトの外周面側の長手方向に沿った中央部分に突起22を設けて構成される。また、これと同様に、上側搬送ベルト23についても、歯車に噛み合う歯付きベルトで構成されており、また、左右両端近傍に長手方向に沿った二つの突起24を設けて、パイナップルの葉8を上下から挟み込めるようにしている。
【0033】
また、この第一保持部2の反対側に設けられる第二保持部3も、図3に示すように、長手方向に沿って中央部分に突起32を有する下側搬送ベルト31と、左右両端近傍に突起34を有する上側搬送ベルト33を設けて構成されており、上側搬送ベルト33を下側搬送ベルト21側に押圧させることによって、パイナップルの葉8の先端側を挟み込めるように構成されている。
【0034】
そして、このように構成された第一保持部2と第二保持部3のベルトとを、図1に示すように、それぞれが下流側に向けて広がるように設け、これによって、下流側に向けてパイナップルの葉8を搬送させながら、パイナップルの葉8を長手方向に引っ張ってテンションを掛けられるようにしている。
【0035】
この第一保持部2や第二保持部3によって保持されたパイナップルの葉8は、搬送方向に対して、パイナップルの葉8の長手方向が直交する方向に入口部分25に搬送され、そこから下流側に搬送されていく。このとき、この実施の形態では、ある程度ランダムに投入されたパイナップルの葉8を、搬送方向に対して直交方向に向けられるようにした整列手段5を設け、入口部分25から方向を揃えて搬送できるようにしている。
【0036】
この整列手段5は、ある程度ランダムに投入されたパイナップルの葉8を下流側に搬送させ、搬送方向に対して直交方向に揃えられるようにしたものであって、第一保持部2や第二保持部3を構成する搬送部20の上流側に、搬送部20の搬送速度よりも速い上流側搬送ベルト51(図1および図2参照)を設けて構成される。この上流側搬送ベルト51は、パイナップルの葉8を載置させた状態で比較的高速で下流側に搬送させるように構成されており、これによって、第一保持部2や第二保持部3の搬送部の入口部分25で滞留させ、これによって、互いのパイナップルの葉8を短手方向に衝突させて、パイナップルの葉8の方向を揃えられるように構成される。
【0037】
なお、ここでは、上流側搬送ベルト51の搬送速度を速くしてパイナップルの葉8の方向を揃えられるようにしたが、左右にそれぞれ独立した搬送ベルトを設けておき、また、パイナップルの葉8の根元側と先端側の位置を検出するセンサーを設け、根元側の位置と先端側の位置のずれによって左右の搬送ベルトの速度を調整して、パイナップルの葉8の方向を揃えられるようにしてもよい。
【0038】
このように方向が揃えられた状態で搬送部20によって両端の保持されたパイナップルの葉8は、長手方向に沿ってテンションが掛けられた状態で下流側に搬送され、その途中で、高圧ジェット器4から噴射される高圧ジェット水によって果肉が除去される。
【0039】
この高圧ジェット器4は、上方からパイナップルの葉8に向けて高圧ジェット水を噴射させるようにしたものであって、可能な限り水圧を高められるように、線状の高圧ジェット水を噴射させ、この高圧ジェット水を回転させることによって、その回転領域に位置する果肉を除去できるように構成される。そして、この高圧ジェット器4を左右方向に揺動させることで、パイナップルの葉8から果肉を除去して、高圧ジェット水や果肉を下側に貫通させようにしている。なお、ここでは、線状の高圧ジェット水を噴射させるようにしたが、三角形状に高圧ジェット水を噴射させるようにしてもよい。
【0040】
ところで、このようにパイナップルの葉8の両端を保持した状態で、その中央部分に高圧ジェット水を当てると、果肉の除去された長繊維にある程度弛みを生じ、高圧ジェット水の水圧によって互いに絡まってしまう可能性がある。このため、この実施の形態では、パイナップルの葉8の長繊維を収容する凹部61(図3参照)を備えた繊維収容部材6を設けておき、この凹部61に、果肉の除去された長繊維を収容させて、高圧ジェット水による暴れを防止して、繊維同士の絡まりを防止できるようにしている。このような繊維収容部材6として、例えば、歯付きベルトを表裏逆向けにしたベルトを用い、この歯付きベルトの凹部61を外側に表出させて、その凹部61に長繊維を収容させ、第一保持部2や第二保持部3の搬送速度と同じ速度で周回させるようにしておく。
【0041】
次に、このように構成された果肉除去装置1を用いて果肉を除去する場合の作用について説明する。
【0042】
まず、圃場で刈り取られたパイナップルの葉8を上流側搬送ベルト51の上に載せ、下流側に高速で搬送させる。このとき、パイナップルの葉8は、ある程度方向が揃えられた状態でランダムに上流側搬送ベルト51の上に載せられる。
【0043】
すると、この上流側搬送ベルト51に載せられたパイナップルの葉8は、搬送部20の入口部分25まで搬送され、そこで、相対的に搬送速度の遅い搬送部20の入口部分25で滞留する。そして、その滞留によって、パイナップルの葉8が互いに衝突し、方向が揃えられた状態で、搬送部20に取り込まれていく。
【0044】
この搬送部20に取り込まれたパイナップルの葉8のうち、根元付近は、第一保持部2の下側搬送ベルト21と上側搬送ベルト23の突起22、24の間に挟み込まれ、また、先端部分は、第二保持部3の下側搬送ベルト32と上側搬送ベルト33の突起32、34との間に挟み込まれて搬送される。
【0045】
そして、下流側に向けて第一保持部2と第二保持部3の距離を広げるようにして搬送させていき、パイナップルの葉8に長手方向に沿ったテンションを掛ける。
【0046】
そして、そのようにテンションを掛けた状態で、上方から高圧ジェット水を当て、果肉を除去する。このとき、パイナップルの葉8の果肉や高圧ジェット水は、パイナップルの葉8の下方へと抜けるように貫通していく。
【0047】
このように、高圧ジェット水によって果肉の除去されたパイナップルの葉8の長繊維は、果肉の除去によってある程度弛んだ状態となるが、第一保持部2や第二保持部3の搬送速度と同じ速度で搬送される繊維収容部材6の凹部61に収容され、高圧ジェット水による暴れが防止された状態で搬送される。
【0048】
そして、このように果肉の除去されたパイナップルの葉8のうち、第一保持部2や第二保持部3で保持されていた根元側や先端側を切除し、方向が揃えられた状態の長繊維のみを抽出する。
【0049】
このように上記実施の形態によれば、長繊維を有するパイナップルの葉8から果肉を除去して長繊維を抽出する果肉除去装置1において、パイナップルの葉8の長繊維の長手方向に沿った根元側を保持する第一保持部2と、前記長繊維の長手方向に沿った先端側を保持する第二保持部3と、当該第一保持部2と第二保持部3で保持された間の中間領域に高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去させる高圧ジェット器4とを備えるようにしたので、高圧ジェット水を当てて果肉を除去する際に、押圧部材が邪魔になることがなく、また、両端を保持しているため、果肉の除去された繊維同士の絡まりも防止することができる。しかも、押圧部材などを設ける必要がないため、部品点数を少なくして、コストを低減させることができるようになる。
【0050】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0051】
例えば、上記実施の形態では、繊維収容部材6を設けるようにしたが、このような繊維収容部材6を設けることなく、何も存在しない中間領域に高圧ジェット水を当てるようにしてもよい。また、この繊維収容部材6を設ける場合、パイナップルの葉8よりも若干下方側に歯付きベルトなどの繊維収容部材6を設けておき、これによって、高圧ジェット水を下方側に貫通させるとともに、果肉の除去によって弛んだ長繊維を繊維収容部材6の凹部61に収容させるようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、繊維収容部材6として、歯付きベルトを用いるようにしたが、針状部材を間欠的に設けた部材を用い、これを第一保持部2や第二保持部3の搬送速度と同じ速度で周回させるようにしてもよく、あるいは、波状の部材を周回させるようにしてもよい。
【0053】
また、この実施の形態では、繊維収容部材6をパイナップルの葉8の下方に設けるようにしたが、高圧ジェット水の噴射に影響の少ない線状の部材をパイナップルの葉8の下方に設け、水圧によるパイナップルの葉8の撓みなどを防止できるようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施の形態では、第一保持部2でパイナップルの葉8の根元側を保持させるとともに、第二保持部でパイナップルの葉8の先端側を保持させるようにしたが、パイナップルの葉8の根元側と先端側の厚みが異なるため、根元側を保持する第一保持部2の突起22、24の高さを低くして、厚い根元付近を軽く挟み込めるようにするとともに、先端側の突起32、34の高さを高くして、厚みの薄い先端側を強く挟み込めるようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では、パイナップルの葉8を搬送させながら果肉を除去するようにしたが、図5に示すように、矩形状の枠体で果肉除去装置1aを構成してもよい。この果肉除去装置1aは、対向する位置に第一保持部2aと第二保持部3aを設け、上下のフレーム21a、23a、31a、33aによってパイナップルの葉8の根元側および先端側を上下から挟み込み、中間領域に高圧ジェット水を当てて果肉を除去するように構成される。このとき、対向するフレーム21a、23a、31a、33aの間隔を広げられるようにすることで、パイナップルの葉8にテンションを掛けられるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1・・・果肉除去装置
2・・・第一保持部
20・・・搬送部
21・・・下側搬送ベルト
22・・・突起
23・・・上側搬送ベルト
24・・・突起
25・・・入口
3・・・第二保持部
31・・・下側搬送ベルト
32・・・突起
33・・・上側搬送ベルト
34・・・突起
4・・・高圧ジェット器
5・・・整列手段
51・・・上流側搬送ベルト
6・・・繊維収容部材
61・・・凹部
7・・・表皮切削装置
71・・・送り出し部
72・・・切削部
73・・・回転部材
74・・・羽根
8・・・パイナップルの葉
図1
図2
図3
図4
図5