(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110372
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ペット用飼育ケージ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/03 20060101AFI20240807BHJP
A01K 1/01 20060101ALI20240807BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20240807BHJP
A01K 39/04 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
A01K1/03 B
A01K1/01 801A
A01K1/01 801D
A01K29/00 B
A01K39/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014940
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】523038997
【氏名又は名称】オウ シリョク
(71)【出願人】
【識別番号】523039008
【氏名又は名称】ユー ベイウォン
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】オウ シリョク
【テーマコード(参考)】
2B101
2B102
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101BB01
2B101BB07
2B101CA08
2B101CC13
2B102AA04
2B102AA15
2B102AD05
2B102AD12
2B102AD22
2B102AD26
2B102AD29
2B102AD35
(57)【要約】
【課題】 ペットの居住快適性を向上させることができ、ペットが生活する環境を確実に保証することのできるペット用飼育ケージを提供する。
【解決手段】 猫や犬などのペットを飼育するためのケージであって、ケージ内の温度および湿度の少なくとも何れかを検知する検知部と、ケージ内の温度および湿度の少なくとも何れかを制御する環境制御装置とを備え、前記検知部が検知した温度および湿度の少なくとも何れかに基づいて、前記環境制御装置の動作を制御してケージ内の環境を調整するコントロール手段を備える、ペット用飼育ケージ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
猫や犬などのペットを飼育するためのケージであって、
ケージ内の温度および湿度の少なくとも何れかを検知する検知部と、
ケージ内の温度および湿度の少なくとも何れかを制御する環境制御装置とを備え、
前記検知部が検知した温度および湿度の少なくとも何れかに基づいて、前記環境制御装置の動作を制御してケージ内の環境を調整するコントロール手段を備える、ペット用飼育ケージ。
【請求項2】
猫や犬などのペットを飼育するためのケージであって、
ケージ内を撮影する撮影手段と、
当該撮影手段が撮影した画像または映像を、情報通信ネットワークを介して送信する通信装置を備える、ペット用飼育ケージ。
【請求項3】
猫や犬などのペットを飼育するためのケージであって、
ケージ内で飼育されるペットに対して、一定の間隔または任意の間隔で水および/または餌を提供する供給装置と、当該供給装置の動作信号を、情報通信ネットワークを介して外部の端末から取得する通信装置とを備える、ペット用飼育ケージ。
【請求項4】
猫や犬などのペットを飼育するためのケージであって、
ケージ内には、飼育しているペットの排泄領域が確保されており、
当該排泄領域は網状又は篩状に形成されるとともに、その下部には排せつ物の受け皿が設けられており、
当該受け皿には水を供給する給水部と、給水された水を排出する排水部が設けられている、ペット用飼育ケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猫、犬、鳥、ハムスターなどのペットの飼育用ケージに関するものであり、特に1又は2以上の機能を備えるペット用飼育ケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、猫、犬、鳥、ハムスターなどのペット(愛玩動物)を室内で飼育する場合には、飼育用ケージが使用されることもある。かかる飼育用ケージはペットが安心できる空間を作ることができるとともに、必要に応じてペットの悪戯を防止するために有効に利用されている。
【0003】
かかるペットの飼育用ケージについては、様々な機能を装備したものの提案されている。例えば特許文献1(特開2020-162543号公報)では、動物の排泄物を適切に除去することができる飼育ケージユニットが提案されている。この文献で提案されている飼育ケージユニットは、マウス等の動物を個飼いで飼育する飼育ケージユニットであって、床部と天井部と壁部とにより区画されたマウス居住エリアと、マウス居住エリアに隣接して設けられる排泄物回収エリアと、排泄物回収エリアに設けられ、マウスの排泄物を受ける排泄シートと、を備え、床部及び壁部は、樹脂を含む材料を用いて形成され、マウス居住エリアから排泄物回収エリアへ排泄物を通過させる一方でマウスの四足の逸脱を規制する排泄孔を有し、排泄シートは、排泄孔に対向して設けられる。
【0004】
また特許文献2(登録実用新案第3091214号公報)では、餌及び飲料水を毎日定刻に一定量与えたり、餌器及ペット用品を手近に収納でき、かつ直ちに利用出来る様にし、又、犬小屋の水洗清掃を手短に出来るようにする自動与餌給水装置付犬小屋が提案されている。この文献で提案されている自動与餌給水装置付犬小屋は、犬小屋の屋根部分を雨水、散水等に濡れぬ様に二階式に仕切り二階床を設け、その内部にペット用品、収納餌、必需品及自動与餌用機器、給水用ホース等を収容して、その屋根の傾斜部の片側及び丸型屋根の場合は全面片側の蝶番により開閉出来、取り出しが手軽に作業出来るように構成しており、二階部分は本来の犬小屋の一階部分と分離する様に差込部分を設け固定し、手洗いする場合は収納庫を移動して、上から水洗いホースで洗浄するものとし、飼主の不在時に与餌及吸水が自動的に希望する時刻に定量を給与する装置を収納庫内に内蔵するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-162543号公報
【特許文献2】登録実用新案第3091214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように排せつ物の処理や給餌・給水機能を備えた飼育用ケージも提案されているが、ペットの居住快適性の向上については、未だ十分には検討されていない。そこで本発明では、ペットの居住快適性を向上させることのできるペット用飼育ケージを提供することを第1の課題とする。
【0007】
また飼い主が数日間不在となる場合には、従前においてはペットホテルなどを利用するしか解決方法がなかった。しなしながら、この場合には預けられるペットも居住環境の変化に伴うストレスを感じることになり、快適さとはかけ離れた環境となっていた。
【0008】
そこで本発明は、ペットが生活する環境を確実に保証することのできるように、そのための機能を備えたペット用飼育ケージを提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題の少なくとも何れかを解決するために、本発明ではインターネットなどの情報通信ネットワークを介して制御可能な機能を有するペット用飼育ケージを提供する。
【0010】
即ち本発明では、猫や犬などのペットを飼育するためのケージであって、ケージ内の温度および湿度の少なくとも何れかを検知する検知部と、ケージ内の温度および湿度の少なくとも何れかを制御する環境制御装置とを備え、前記検知部が検知した温度および湿度の少なくとも何れかに基づいて、前記環境制御装置の動作を制御してケージ内の環境を調整するコントロール手段を備える、ペット用飼育ケージを提供する。
【0011】
かかるペット用飼育ケージにおいて、前記コントロール手段はインターネット、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などの情報通信ネットワークを介して接続された外部端末(例えば携帯情報端末など)によって制御することもでき、その場合には、前記ケージ内の温度および湿度の少なくとも何れかの情報は、当該コントロール手段を介して外部端末に送信することが望ましい。
【0012】
そして上記のようにケージ内の温度および湿度の少なくとも何れかを制御するペット用飼育ケージにおいては、室内環境を維持できる構造に形成することが望ましい。望ましくは通気性の低い壁面や天井などによって形成することが望ましく、さらに透明な樹脂板やガラスなどでケージの壁面や天井面を構成することが望ましい。
【0013】
また本発明では、猫や犬などのペットを飼育するためのケージであって、ケージ内を撮影する撮影手段と、当該撮影手段が撮影した画像または映像を、情報通信ネットワークを介して送信する通信装置を備える、ペット用飼育ケージを提供する。
【0014】
かかる撮影手段は例えばWEBカメラを使用することができ、ケージ内の画像や映像を、携帯情報端末などの外部端末に送信するほか、さらにマイクを伴う場合には、当該ケージ内の音を外部端末に送信することもできる。さらに当該撮影手段は、インターネットを介して外部端末から操作できるようにすることも望ましく、その場合には撮影方向の制御や照明のON/OFFなどを外部端末から操作することができる。さらにスピーカーを伴う場合には、外部端末に入力された音声をインターネットを介して受信し、ケージ内のペットに対して出力することもできる。
【0015】
また本発明では、猫や犬などのペットを飼育するためのケージであって、ケージ内で飼育されるペットに対して、一定の間隔または任意の間隔で水および/または餌を提供する供給装置と、当該供給装置の動作信号を情報通信ネットワークを介して外部の端末から取得する通信装置とを備える、ペット用飼育ケージを提供する。
【0016】
前記コントロール手段はメモリ等の記憶手段を備えることもでき、外部端末から情報通信ネットワークを介して指定された時間または間隔、および供給量を記憶し、これに従って所定量の水および/または餌をケージ内のペットに提供するように構成することもできる。
【0017】
また当該水および/または餌を提供する供給装置は、ペットに供給する容器の残量を質量や容積によって検知し、一定の量になった段階で当該容器に供給するように構成しても良い。
【0018】
そして本発明では、猫や犬などのペットを飼育するためのケージであって、ケージ内には、飼育しているペットの排泄領域が確保されており、当該排泄領域は網状又は篩状に形成されるとともに、その下部には排せつ物の受け皿が設けられており、当該受け皿には水を供給する給水部と、給水された水を排出する排水部が設けられている、ペット用飼育ケージを提供する。
【0019】
ケージ内のペットが当該排泄領域で排泄すると、網状又は篩状の床を通って、その下の受け皿に落下する。そして受け皿に落下した排せつ物は、当該受け皿に供給される水によって流され、水と一緒に排水部から放出することができる。これにより排せつ物を迅速に除去でき、快適な環境を提供することのできるペット用飼育ケージとなる。
【0020】
かかる水による排せつ物の清掃は、所定の時間、一定の時間間隔で行うことができるほか、受け皿の質量を検知し、その質量の変化によって動作するように構成することもできる。さらに、当該受け皿に水を供給する給水部を、インターネットなどの情報通信ネットワークを介して外部端末から操作できるように構成しても良い。
【0021】
そして本発明では、前記ケージ内の温度および湿度の少なくとも何れかの制御、ケージ内の撮影機能、水および/または餌の供給機能、および排せつ物の廃棄機能は、全て備えていても良く、また何れか1又は2以上の機能を備えていても良い。そして何れかの機能を組み合わせる場合には、外部端末との情報通信を行う通信装置は、共通のものを使用することができ、外部端末に導入するソフトウエアも共通のものを使用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のペット用飼育ケージによれば、ケージ内に収容されるペットの生活環境を改善するができる。特に温度および/または湿度をコントロールすることにより、季節に応じて快適な生活環境を提供することができる。また撮影手段を備えることにより、ペットとのコミュニケーションを改善し、ペットの不安を解消することができる。また水および/または餌の供給機能を備えることにより、ペットの健康管理を行うこともできる。そして排せつ物の排出機能を備えることにより生活環境を快適にすることができる。
【0023】
そしてこれら何れか1又は2以上の機能を備えることにより、ペットの生活環境を保持できるのであるから、仮に飼い主が数日間不在になる場合であっても、自動または外部端末からの制御により、ペットの生活環境を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかるペット用飼育ケージ50を具体的に説明する。特に本実施の形態では、
図1に犬用の飼育ゲージを示し、
図2に猫用の飼育ゲージを示しているが、当然に他のペット(愛玩動物)の飼育用として具体化することもできる。
【0026】
図1は第1の実施の形態にかかる犬用の飼育ケージ50を示す正面図である。この実施の形態にかかる飼育ゲージでは正面に、ペットが出入りするためのドア10が設けられており、周囲はプラスチック板などで覆われている。また天井と床も備えており、すなわち全体が囲われた空間となるように構成されている。これによりケージ内の温度や湿度環境を確実に調整することができる。特に本実施の形態において壁面は透明なプラスチック板を用いて形成しており、それゆえにケージ内のペットを観察することができる。
【0027】
本実施の形態における飼育ケージ50内には、排泄領域としてのトイレ30と、所定又は任意のタイミングで水および/または餌を供給する供給装置40と、ケージ内を撮影する撮影手段としてのカメラ20を備えており、図示していなが、ケージ内の温度および/または湿度を検知する検知部と、この検知部の見地結果に応じてケージ内の温度および/または湿度を制御する環境制御装置を備える。検知部は温度計や湿度計であってよいが、これらは温度や湿度を電気信号として出力するものであることが望ましい。また環境制御装置は、ケージ内の温度を調整する場合には、ヒータや換気扇、扇風機であってよく、湿度を調整する場合には、加湿器や除湿器であってよい。
【0028】
撮影手段としてのカメラ20は、Wi-Fi等の情報通信ネットワークに接続可能なWebカメラ20であることが望ましく、少なくともネットワークに接続可能なモデムなどに接続されていることが望ましい。かかるカメラ20は携帯情報端末などの外部端末からの操作によって動作することが望ましく、撮影方向を任意に制御できることが望ましい。また、当該カメラ20がマイクやスピーカーを備える場合には、外部端末を介して飼い主とのコミュニケーションを図ることができる。かかるカメラ20を備えることにより、飼い主は外出先からもペットの様子を確認することができる。特にペットは飼育ケージ50にいることが多いことを鑑みれば、当該飼育ケージ50にカメラ20(撮影手段)を設けることにより、ペットを観察できる機会を増大させることができる。
【0029】
供給装置40は所定又は任意のタイミングで水および/または餌を飼育ケージ50内の容器に供給することができ、水用の容器と、餌用の容器を備えることもできる。かかる供給装置40はメモリ等の情報記憶装置を備えることができ、情報通信ネットワークを介した外部端末からの操作によって、当該メモリに、水および/または餌の供給タイミング、供給間隔、供給量などの動作情報を設定することができる。そして供給装置40は当該動作情報に従って水および/または餌を供給することができる。また外部端末からの操作により、当該供給装置40を動作させて、任意のタイミングで水および/または餌を供給できるように構成しても良い。さらに、当該供給装置40は、水用の容器や餌用の容器の質量を検知して、その質量が一定の値まで減ったタイミングで、所定の量の水および/または餌を供給するように構成しても良い。
【0030】
前記排泄領域は、当該領域の床部分が網状または篩状に形成されており、その下には受け皿が設けられている。そしてこの受け皿には水を供給する給水部と、供給された水と一緒に排せつ物をケージ外に排出する排水部が設けられている。かかる排泄領域としてのトイレ30を設けることにより、ペットの排せつ物のにおいがケージ内に籠ることをなくすことができ、これにより衛生環境を改善することができる。特にこのトイレ30における受け皿には質量の見地部を設けておくことができ、ペットの排せつ物が収容された時の質量変化に基づいて、水の供給と排出を行うことができる。そして当該排せつ物の排出の動作が行われた場合には、その事実を外部端末に送信することもできる。これにより飼い主はペットの健康状態を監視することもできる。
【0031】
そして当該飼育ケージには、前記ケージ内の環境や排せつ物、餌や水の供給を制御する制御装置を設けることができ、当該制御装置はコンピュータを用いて構成することができる。
【0032】
また外部端末には、前記飼育ケージの情報を取得するためのソフトウエア導入することができ、当該ソフトウエアは前記ペット用飼育ケージの動作を制御し、情報を取得するための動作を行うように構築することができる。
【0033】
図2は第2の実施の形態にかかる猫用の飼育ケージ50を示す正面図である。この実施の形態にかかる飼育ケージ50は、特に猫用として構成されていることから、キャットタワーとしても活用できる携帯で形成している。当該実施の形態にかかる飼育ケージ50も、前記実施の形態1に示した犬用のケージと同様に、飼育ケージ50の周囲(壁面)はプラスチック板などで覆って形成することができ、天井と床も備えていることから、すなわち全体が囲われた空間となるように構成されている。特に本実施の形態において壁面は透明なプラスチック板を用いて形成しており、それゆえにケージ内のペットを観察することができる。
【0034】
また、この猫用の飼育ケージ50内にも、前記実施の形態1と同様に、排泄領域としてのトイレ30と、所定又は任意のタイミングで水および/または餌を供給する供給装置40と、ケージ内を撮影する撮影手段としてのカメラ20を備えており、図示していなが、ケージ内の温度および/または湿度を検知する検知部と、この検知部の見地結果に応じてケージ内の温度および/または湿度を制御する環境制御装置を備えている。
【0035】
これにより、猫の特性に合った生活環境を確保しながら、飼い主とのコミュニケーションや、餌と水の管理、および排せつ物の管理を円滑に行うことができ、生活環境の整った飼育ケージ50とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のペット用飼育ケージは、猫や犬などのペットの飼育に利用することができ、その他にも実験動物の飼育や観察などにも使用することができる。そして当該ペット用飼育ケージは屋内でのペット飼育に利用することができる他、屋外でのペットの飼育にも利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 ドア
20 カメラ
20 Webカメラ
30 トイレ
40 供給装置
50 ペット用飼育ケージ
50 飼育ケージ