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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110379
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】安定なマシテンタン含有医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20240807BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240807BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P9/12
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/10
A61K9/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023075199
(22)【出願日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2023024724
(32)【優先日】2023-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306020438
【氏名又は名称】日本ジェネリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】財家 紳之介
(72)【発明者】
【氏名】長島 彰太
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC11
4C076DD38Q
4C076DD41
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE32Q
4C076EE38
4C076FF65
4C086AA01
4C086AA10
4C086BC42
4C086GA07
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA03
4C086ZA42
(57)【要約】
【課題】 マシテンタンまたはその製薬学的に許容される塩及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む医薬組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 マシテンタンまたはその製薬学的に許容される塩及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む医薬組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシテンタンまたはその製薬学的に許容される塩及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む医薬組成物。
【請求項2】
さらにD-マンニトールを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
フィルムコーティング錠である、請求項1~2のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定なマシテンタン含有医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マシテンタンは、化学名プロピルスルファミン酸[5-(4-ブロモ-フェニル)-6-[2-(5-ブロモ-ピリミジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-ピリミジン-4-イル]-アミドであり、マシテンタンを有効成分とする錠剤は、エンドセリン受容体拮抗薬であることが知られており、オプスミット(登録商標)錠10mgとして販売されている(非特許文献1)。
【0003】
効能・効果は「肺動脈性肺高血圧症」であり、用法・用量は、通常、成人には、マシテンタンとして10mgを1日1回経口投与する、という薬剤である。
【0004】
特許文献1には、マシテンタン及びその薬学的に許容される塩等と、微結晶セルロースと乳糖からなる充填剤等を含む、安定な医薬組成物に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4955685号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】添付文書「オプスミット錠10mg」、2022年8月改訂(第6版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、安定なマシテンタン含有医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者らは、マシテンタンまたはその製薬学的に許容される塩を含有するマシテンタン含有医薬組成物において、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有することで、安定なマシテンタン含有医薬組成物を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)マシテンタンまたはその製薬学的に許容される塩及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む医薬組成物、
(2)さらにD-マンニトールを含む、前記(1)に記載の医薬組成物、
(3)フィルムコーティング錠である、前記(1)~(2)のいずれかに記載の医薬組成物、
に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安定なマシテンタン含有医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書における「安定な」あるいは「安定性が良好である」とは、温湿度苛酷条件下、薬物の分解等に起因する類縁物質量の増大及び/又は未知物質の生成・増加が抑制された状態を意味する。評価方法としては、例えば、温度苛酷条件下又は温湿度苛酷条件下、医薬組成物を保存した後、高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)により試験を行い、類縁物質量を算出する方法が挙げられる。
【0012】
本明細書におけるD90とは、 レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径をいう。原理的には、一定体積の粒子を小さいものから順に篩分けし、その90%体積に当たる粒子が分別された時点での粒子径を意味する。
【0013】
本明細書におけるD50とは、レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径をいう。原理的には、一定体積の粒子を小さいものから順に篩分けし、その50%体積に当たる粒子が分別された時点での粒子径を意味する。
【0014】
本明細書におけるD10とは、レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径をいう。原理的には、一定体積の粒子を小さいものから順に篩分けし、その10%体積に当たる粒子が分別された時点での粒子径を意味する。
【0015】
以下に、本発明の安定なマシテンタン含有医薬組成物に関して説明する。
【0016】
本発明に用いられるマシテンタンは、例えば、特許4245130号に記載された方法に従って製造され得る。マシテンタンの形態は、結晶状態、非晶質状態のいずれでも使用することができる。
【0017】
本発明に用いられるマシテンタンの配合量は、医薬品製剤としての用量を構成する製剤中のマシテンタン量であれば、特に制限されない。具体的には、例えば、0.2~600mgであり、ある態様として10mgである。また、例えば、単位組成物全量あたり、ある態様として2~50重量%であり、ある態様として3~30重量%であり、ある態様として5~20重量%である。
【0018】
本発明に用いられるマシテンタンのD90は、製造適性及び溶出性の観点から、ある態様として1μm以上200μm以下であり、ある態様として2μm以上100μm以下であり、ある態様として4μm以上50μm以下である。
【0019】
本発明に用いられるマシテンタンのD50は、製造適性及び溶出性の観点から、ある態様として0.2μm以上150μm以下であり、ある態様として0.5μm以上80μm以下であり、ある態様として0.8μm以上30μm以下である。
【0020】
本発明に用いられるマシテンタンのD10は、製造適性及び溶出性の観点から、ある態様として0.1μm以上100μm以下であり、ある態様として0.2μm以上60μm以下であり、ある態様として0.3μm以上20μm以下である。
【0021】
本発明に用いられる低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとしては、製薬学的に許容されるものであれば特に制限されない。具体的には、例えば、LH-11、LH-21、LH-22、LH-B1、LH-31、LH-32、NBD-022、NBD-021、NBD-020(信越化学工業製)からなる群から選択される1種または2種以上の添加剤を包含する。ある態様として、LH-11、LH-21、NBD-021からなる群から選択される1種または2種以上の添加剤である。
【0022】
本発明に用いられる低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの配合量は、安定性の観点から、1錠剤あたりの全重量に対し、ある態様として1~50重量%であり、ある態様として2~40重量%であり、ある態様として3~30重量%である。
【0023】
本発明に用いられる低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの配合量は、安定性の観点から、1単位組成物あたりのマシテンタンの配合量を1とすると、ある態様として0.05~10であり、ある態様として0.1~8であり、ある態様として0.15~5である。
【0024】
本発明のマシテンタン含有医薬組成物には、必要に応じて、更に医薬品添加物を配合することができる。具体的には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、流動化剤、コーティング剤、酸味料、発泡剤、甘味剤、香料、着色剤、緩衝剤、抗酸化剤等が挙げられる。
【0025】
賦形剤としては、例えば、D-マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、トレハロース、無水リン酸水素カルシウム、D-ソルビトール、乳糖、白糖、デンプン、アルファ化デンプン、カルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン等が挙げられる。
【0026】
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0027】
崩壊剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルファ化デンプン等が挙げられる。
【0028】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0029】
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0030】
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、タルク等が挙げられる。
【0031】
コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
【0032】
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0033】
発泡剤としては、例えば、重曹等が挙げられる。
【0034】
甘味剤としては、例えば、スクラロース、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等が挙げられる。
【0035】
香料としては、例えば、レモン、レモンライム、オレンジ、メントール等が挙げられる。
【0036】
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用青色3号等が挙げられる。
【0037】
緩衝剤としては、例えば、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、アスコルビン酸又はその塩類、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン又はその塩類、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸、ホウ酸又はその塩類等が挙げられる。
【0038】
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル等が挙げられる。
【0039】
本発明のマシテンタン含有医薬組成物には、本発明の所望の効果が達成される範囲で更なる各種医薬品添加物が適宜使用される。
本発明のマシテンタン含有医薬組成物に配合される上記更なる各種医薬品添加物は、適宜組合せることができる。
【0040】
配合量は、本発明の所望の効果の達成に影響を与えない量であれば特に制限されない。
【0041】
本発明のマシテンタン含有医薬組成物には、具体的には、散剤、顆粒、錠剤が含まれる。また、錠剤には口腔内崩壊錠も含まれ、素錠、フィルムコーティング錠であってもよい。
【0042】
本発明のマシテンタン含有医薬組成物は、通常の医薬組成物製造方法により製造することが可能である。より具体的には、例えば、錠剤であれば、マシテンタン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、賦形剤、崩壊剤及び流動化剤を混合し、滑沢剤を添加して混合し、打錠用末が得られる。
【0043】
またある態様では、マシテンタン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、賦形剤、崩壊剤及び流動化剤を混合し、乾式造粒機により圧縮し、得られた造粒品を整粒する。得られる整粒品に、崩壊剤、滑沢剤を添加し、混合することで打錠用末が得られる。
【0044】
またある態様では、マシテンタン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、賦形剤を流動層造粒機に投入して、精製水に結合剤を溶解させ、必要に応じて色素を分散させた結合剤溶液を噴霧し、造粒・乾燥する。マシテンタン、賦形剤及び結合剤を流動層造粒機に投入して、精製水を噴霧し、造粒・乾燥することもできる。乾燥終了後、整粒機を用いて整粒し、得られる整粒品に、崩壊剤、滑沢剤を添加し、混合することで打錠用末が得られる。
【0045】
またある態様では、マシテンタン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、賦形剤を撹拌造粒機に投入して、精製水に結合剤を溶解させ、必要に応じて色素を分散させた結合剤溶液を噴霧し、造粒・乾燥する。マシテンタン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、賦形剤及び結合剤を撹拌造粒機に投入して、精製水を噴霧し、造粒・乾燥することもできる。乾燥終了後、整粒機を用いて整粒し、得られる整粒品に、崩壊剤、滑沢剤を添加し、混合することで打錠用末が得られる。
【0046】
得られた整粒品に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤、滑沢剤を添加し、混合することで打錠用末を得ることもできる。
【0047】
得られた打錠用末を打錠機で製錠し、素錠を得る。製錠の際に、外部滑沢装置を用いて滑沢剤を噴霧しながら打錠してもよい。必要に応じて、素錠にフィルムコーティング液を噴霧し、フィルムコーティングを行う。
【実施例0048】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0049】
実施例1~2、比較例1の医薬組成物(錠剤)を以下の通り製造した。各検体における製剤処方を表1に示す。
【0050】
<比較例1>
マシテンタン500mg、乳糖水和物(DFEファーマ製;Pharmatose(登録商標)200M)1943mg、結晶セルロース(旭化成製;セオラス(登録商標)PH-101)175mg、ポビドン(BASFジャパン製;Kollidon(登録商標)30)105mg、デンプングリコール酸ナトリウム(DFEファーマ製;Primojel(登録商標))70mgを乳鉢にて混合した。ポリソルベート80(三洋化成工業製;ポリソルベート80)7mg及び水350mgを上記に添加し、混合したのち、500μmの篩で篩過して乾燥器で乾燥し、乾燥品を得た。次いで、乾燥品を500μmの篩で篩過して整粒品とした。整粒品と結晶セルロース(旭化成製;セオラス(登録商標)PH-101)612.5mg、デンプングリコール酸ナトリウム(DFEファーマ製;Primojel(登録商標))70mg及びステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製;ステアリン酸マグネシウム(植物性))17.5mgを混合して調製した打錠用末を、ロータリー打錠機(菊水製作所製;VEL5)を用いて打錠し、錠剤質量70mg、φ5.5mmの円形の錠剤を得た。
【実施例0051】
マシテンタン500mg、D-マンニトール(ロケットジャパン製;PEARLITOL(登録商標)50C)1943mg、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製;LH-21)175mg、ポビドン(BASFジャパン製;Kollidon(登録商標)30)105mg、デンプングリコール酸ナトリウム(DFEファーマ製;Primojel(登録商標))70mgを乳鉢にて混合した。ポリソルベート80(三洋化成工業製;ポリソルベート80)7mg及び水350mgを上記に添加し、混合したのち、500μmの篩で篩過して乾燥器で乾燥し、乾燥品を得た。次いで、乾燥品を500μmの篩で篩過して整粒品とした。整粒品と低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製;LH-21)612.5mg、デンプングリコール酸ナトリウム(DFEファーマ製;Primojel(登録商標))70mg及びステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製;ステアリン酸マグネシウム(植物性))17.5mgを混合して調製した打錠用末を、ロータリー打錠機(菊水製作所製;VEL5)を用いて打錠し、錠剤質量70mg、φ5.5mmの円形の錠剤を得た。
【実施例0052】
実施例1と同様に整粒品を得た。整粒品とD-マンニトール(メルク製;パーテック(登録商標)M100)612.5mg、デンプングリコール酸ナトリウム(DFEファーマ製;Primojel(登録商標))70mg及びステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製;ステアリン酸マグネシウム(植物性))17.5mgを混合して調製した打錠用末を、ロータリー打錠機(菊水製作所製;VEL5)を用いて打錠し、錠剤質量70mg、φ5.5mmの円形の錠剤を得た。
【0053】
【表1】
【0054】
<比較例2>
比較例1と同様に作製したマシテンタン10mgを含む70mgの錠剤をフィルムコーティング機(パウレック製;PRC-GTX mini)を用いて、ヒプロメロース(信越化学工業製;TC-5(登録商標)R)、マクロゴール6000(三洋化成工業製;マクロゴール6000SP)、酸化チタン(フロイント産業製;酸化チタンFG)、タルク(松村産業製;クラウンタルク(登録商標)局方PP)を用いて表2に示す成分比でコーティングし、72.8mgの錠剤を得た。
【実施例0055】
実施例1と同様に作製したマシテンタン10mgを含む70mgの錠剤をフィルムコーティング機(パウレック製;PRC-GTX mini)を用いて、ヒプロメロース(信越化学工業製;TC-5(登録商標)R)、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製;HPC-SL)、酸化チタン(フロイント産業製;酸化チタンFG)、タルク(松村産業製;クラウンタルク(登録商標)局方PP)を用いて表2に示す成分比でコーティングし、72.8mgの錠剤を得た。
【実施例0056】
実施例1と同様に作製したマシテンタン10mgを含む70mgの錠剤をフィルムコーティング機(パウレック製;PRC-GTX mini)を用いて、ポリビニルアルコール(部分けん化物)(三菱ケミカル製;ゴーセノールEG-05P)、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製;HPC-SL)、酸化チタン(フロイント産業製;酸化チタンFG)、タルク(松村産業製;クラウンタルク(登録商標)局方PP)を用いて表2に示す成分比でコーティングし、72.8mgの錠剤を得た。
【実施例0057】
実施例1と同様に作製したマシテンタン10mgを含む70mgの錠剤をフィルムコーティング機(パウレック製;PRC-GTX mini)を用いて、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(BASFジャパン製;Kollicoat(登録商標) IR)、酸化チタン(フロイント産業製;酸化チタンFG)、タルク(松村産業製;クラウンタルク(登録商標)局方PP)を用いて表2に示す成分比でコーティングし、72.8mgの錠剤を得た。
【実施例0058】
実施例1と同様に作製したマシテンタン10mgを含む70mgの錠剤をフィルムコーティング機(パウレック製;PRC-GTX mini)を用いて、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(大同化成工業製;POVACOAT(登録商標) TypeF)、酸化チタン(フロイント産業製;酸化チタンFG)、タルク(松村産業製;クラウンタルク(登録商標)局方PP)を用いて表2に示す成分比でコーティングし、72.8mgの錠剤を得た。
【実施例0059】
実施例1と同様に作製したマシテンタン10mgを含む70mgの錠剤をフィルムコーティング機(パウレック製;PRC-GTX mini)を用いて、ヒプロメロース(信越化学工業製;TC-5(登録商標)R)、マクロゴール6000(三洋化成工業製;マクロゴール6000SP)、酸化チタン(フロイント産業製;酸化チタンFG)、タルク(松村産業製;クラウンタルク(登録商標)局方PP)を用いて表2に示す成分比でコーティングし、72.8mgの錠剤を得た。
【実施例0060】
実施例2と同様に作製したマシテンタン10mgを含む70mgの錠剤をフィルムコーティング機(パウレック製;PRC-GTX mini)を用いて、ヒプロメロース(信越化学工業製;TC-5(登録商標)R)、マクロゴール6000(三洋化成工業製;マクロゴール6000SP)、酸化チタン(フロイント産業製;酸化チタンFG)、タルク(松村産業製;クラウンタルク(登録商標)局方PP)を用いて表2に示す成分比でコーティングし、72.8mgの錠剤を得た。
【0061】
【表2】
【0062】
≪試験例1:安定性試験≫
実施例1~2、比較例1で得られた錠剤について、温湿度苛酷条件下(60℃75%RH)にガラス瓶(開放)にて14日間及び28日間保存した後、総類縁物質量及び個々最大の類縁物質量を液体クロマトグラフ法により測定し、温湿度安定性を評価した。測定結果を表3に示す。
【0063】
純度試験(類縁物質)
本品1個をとり、水5mLを加え、振とうして崩壊させた後、アセトニトリル35mLを加えてさらに振とうする。その後3分間超音波処理を行い、アセトニトリルを加えて正確に50mLとする。この液を遠心分離し、上澄液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルタ―でろ過する。初めのろ液5mLを除き次のろ液を試料溶液とする。別にマシテンタン20mgを精密に量り、アセトニトリルに溶かし、正確に100mLとし、標準溶液とする。試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり、次の条件で液体クロマトグ
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:280nm)
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用シリカゲルを充填する。
カラム温度:25℃付近の一定温度
サンプル温度:10℃
移動相A:トリフルオロ酢酸0.2mLを水に溶かし1000mLとする
移動相B:アセトニトリル
流量:1mL/min
分析時間:20分
【0064】
【表3】
【0065】
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合した実施例1及び2では、総類縁物質量及び個々最大の類縁物質量の増加が抑制されていた。
【0066】
≪試験例2:安定性試験≫
実施例3~6、比較例2で得られた錠剤について、温度苛酷条件下(60℃)にガラス瓶(密栓)にて14日間保存した後、総類縁物質量及び個々最大の類縁物質量を液体クロマトグラフ法により測定し、温度安定性を評価した。実施例3~8、比較例2で得られた錠剤について、温湿度苛酷条件下(60℃75%RH)にガラス瓶(開放)にて28日間保存した後、総類縁物質量及び個々最大の類縁物質量を液体クロマトグラフ法により測定し、温湿度安定性を評価した。測定結果を表4及び表5に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合した実施例3~8では、総類縁物質量及び個々最大の類縁物質量の増加が抑制されていた。