(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110381
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】建具周縁の防水構造及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20240807BHJP
E06B 1/58 20060101ALI20240807BHJP
E06B 1/60 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
E06B1/56 Z
E06B1/58
E06B1/60
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089188
(22)【出願日】2023-05-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】P 2023014905
(32)【優先日】2023-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523038377
【氏名又は名称】井上瀝青工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 寛之
(72)【発明者】
【氏名】小林 淳志
(72)【発明者】
【氏名】民辻 松弘
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KA03
2E011KB02
2E011KC03
2E011KC07
2E011KD26
2E011KD29
2E011KF02
2E011KG06
(57)【要約】
【課題】構造的な強度を維持しつつ防水効果を高めることができる建具周縁の防水構造を提供する。
【解決手段】建具周縁の防水構造1は、本体部10と、本体部と一体又は別体として設けられる垂下部22とを備え、本体部は、平板状に形成されて建具に設けられる上下の枠体の幅方向に沿って延びるとともに、室内外方向において建具から遠ざかるに従い下方側に傾斜する傾斜部11と、傾斜部の上端において建具の下方側に固定される固定部12と、傾斜部の下端において下方側に突出する突出板13と、を有し、垂下部は、傾斜部の下方側において幅方向及び下方に向けて延びるとともに、室内外方向において下端から離間した位置に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具とともに使用され、前記建具と躯体との間に形成される建具周縁の防水構造であって、
前記防水構造は、本体部と、前記本体部と一体又は別体として設けられる垂下部とを備え、
前記本体部は、
平板状に形成されて前記建具に設けられる上下の枠体の幅方向に沿って延びるとともに、室内外方向において前記建具から遠ざかるに従い下方側に傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の上端において前記建具の下方側に固定される固定部と、
前記傾斜部の下端において下方側に突出する突出板と、を有し、
前記垂下部は、前記傾斜部の下方側において前記幅方向及び下方に向けて延びるとともに、前記室内外方向において前記下端から離間した位置に設けられていることを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建具周縁の防水構造であって、
前記本体部と別体に設けられる補助部材を更に備え、
前記傾斜部には、前記補助部材を収容する収容部が設けられ、
前記補助部材は、前記収容部に収容された状態で下方に向けて延びるとともに前記垂下部として機能する垂下片を有することを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建具周縁の防水構造であって、
前記収容部は、前記傾斜部の下方側において前記幅方向に間隔をおいて複数配置されていることを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の建具周縁の防水構造であって、
前記本体部には、前記突出板の先端側が前記上端側に折り曲げられた嵌合部が設けられ、
前記傾斜部の下方側には、前記室内外方向において前記嵌合部と間隔を隔てた位置に前記嵌合部側へ開放された凹状の取付部が設けられ、
前記嵌合部と前記取付部により前記収容部が構成されていることを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の建具周縁の防水構造であって、
前記傾斜部の下方側には、前記室内外方向において間隔を隔てた位置に一対の係合凹部が互いに対向した状態で設けられ、
前記一対の係合凹部により前記収容部が構成されていることを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項6】
請求項5に記載の建具周縁の防水構造であって、
前記補助部材は、
前記収容部に収容された状態で前記本体部に固定される第1部材と、
前記第1部材が前記本体部に固定された際に前記第1部材を介して前記本体部に固定される第2部材と、を有し、
前記第1部材は、平板部と、前記平板部の下面側から突出する突片とを有し、
前記第2部材は、前記垂下片としての基板と、前記基板の側面から一方側に突出する側板部とを有し、
前記突片と前記側板部の少なくともいずれか一方には前記室内外方向に延びる長孔が形成され、他方には挿通孔が形成され、
前記長孔及び前記挿通孔に挿通されるボルトと、前記ボルトに螺合するナットにより前記第1部材と前記第2部材が前記室内外方向に沿って相対移動可能に連結されていることを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項7】
請求項1に記載の建具周縁の防水構造であって、
前記垂下部は、前記本体部と溶接により一体成形されることを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項8】
請求項1に記載の建具周縁の防水構造であって、
前記本体部と別体に設けられる補助部材を更に備え、
前記補助部材は、上下方向に延びる主板部と、前記主板部の延びる方向と交差する方向に張り出す張出部とを有し、
前記突出板には、前記上端側に突出する結合板が設けられ、
前記張出部は前記結合板に結合されていることを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項9】
請求項1に記載の建具周縁の防水構造であって、
前記本体部と別体に設けられる補助部材を更に備え、
前記補助部材は、上下方向に延びる基部と、前記基部が延びる方向と交差する第1の方向に延出する第1延出部と、前記基部が延びる方向と交差する方向であって前記第1の方向と反対の方向である第2の方向に延出する第2延出部とを有し、
前記第1延出部は、前記傾斜部の下方側に設けられていることを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項10】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項7、請求項8、請求項9のいずれか1項に記載の建具周縁の防水構造の施工方法であって、
前記垂下部と前記躯体の先端が室外側において一致するように、前記防水構造が取り付けられた前記建具を前記躯体に配置する配置工程と、
前記配置工程で配置された前記建具と前記躯体との間に形成される下部空間に、前記垂下部に至るまで室内側からモルタルを充填する充填工程と、
前記垂下部及び前記躯体を室外側からシート状部材で覆う第1封止工程と、を有することを特徴とする建具周縁の防水構造の施工方法。
【請求項11】
請求項10に記載の建具周縁の防水構造の施工方法であって、
前記第1封止工程の後に、前記シート状部材よりも室外側において前記突出板と前記垂下部との間に形成された隙間を封止部材により封止する第2封止工程を有することを特徴とする建具周縁の防水構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具とともに使用され、建具と躯体との間に形成される建具周縁の防水構造及びその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ルーフバルコニーに設置するサッシ等の建具と建物の躯体の取り合い部を防水するために、水切り等の防水部材が用いられている。躯体に形成された開口の内側に建具が取り付けられ、雨水等が建具と躯体との間から建物の内部に浸入することを防止するために、建具の下部と躯体との間に形成された空間において建具の下方側に水切りが取り付けられる。
【0003】
水切りを建具に取り付ける手法としては、予め水切りを建具に取り付けた状態でモルタルを充填する方式(水切先付方式)と、モルタルをある程度充填した後に建具に水切りを取り付ける方式(水切後付方式)がある。水切先付方式では、建具あるいは水切りと躯体との間に形成された隙間に、室内側から室外側に向けて、躯体の先端までモルタルを充填する。例えば、特許文献1には、水切先付方式が開示されている。特許文献1では、水切り及び建具を溶接により躯体に固定し、水切りを建具に固定した状態で建具の下部と躯体との間に形成された空間にモルタルを充填することが行われる。
【0004】
水切先付方式では、水切りと躯体との間に形成された隙間にも室内側から室外側に向けてモルタルを充填するが、躯体の先端ともなれば、室内側からかなり離れているため、充填作業にムラが生じ室外側のモルタルの表面には凹凸が生じ易くなる傾向がある。このように、表面に凹凸が生じた状態のモルタルに対しシーリング材により防水加工しても、十分な防水効果が得られない可能性がある。このような不都合を解消するための一つの候補が水切後付方式である。
【0005】
水切後付方式では、建具を躯体に取り付け、建具の下部と躯体との間に形成された空間にモルタルを充填するとともに、躯体の室外側をシーリング材により防水加工する。その後、水切りを建具にビス等により固定し、更に水切りと躯体との間に形成された隙間において水切りの先端側から室内側に向けてモルタルを充填する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、水切りの建具に対する取り付けの強度を考慮すると、溶接作業を伴う点で水切先付方式の方が優れている。しかしながら、この場合にはモルタルの先端側に凹凸が生じやすく、十分な防水効果が得られない。一方、防水機能の観点からは、水切後付方式の方が優れていることになる。しかしながら、この場合には躯体をシーリング材により覆うことになるため、その後の水切りと建具との溶接作業に伴い生じる火花によりシーリング材が損傷してしまうため、水切りを建具に対して固定する際には溶接作業を行うことが難しい。
【0008】
そこで、本発明は、構造的な強度を維持しつつ防水効果を高めることができる建具周縁の防水構造及びその施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に対して、本発明は、建具とともに使用され、前記建具と躯体との間に形成される建具周縁の防水構造であって、前記防水構造は、本体部と、前記本体部と一体又は別体として設けられる垂下部とを備え、前記本体部は、平板状に形成されて前記建具に設けられる上下の枠体の幅方向に沿って延びるとともに、室内外方向において前記建具から遠ざかるに従い下方側に傾斜する傾斜部と、前記傾斜部の上端において前記建具の下方側に固定される固定部と、前記傾斜部の下端において下方側に突出する突出板と、を有し、前記垂下部は、前記傾斜部の下方側において前記幅方向及び下方に向けて延びるとともに、前記室内外方向において前記下端から離間した位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、建具周縁の防水構造の施工方法の発明は、建具とともに使用され、前記建具と躯体との間に形成される建具周縁の防水構造の施工方法であって、前記垂下部と前記躯体の先端が室外側において一致するように、前記防水構造が取り付けられた前記建具を前記躯体に配置する配置工程と、前記配置工程で配置された前記建具と前記躯体との間に形成される下部空間に、前記垂下部に至るまで室内側からモルタルを充填する充填工程と、前記垂下部及び前記躯体を室外側からシート状部材で覆う第1封止工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上記構成によって、構造的な強度を維持しつつ防水効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る建具周縁の防水構造が設けられた建物の外壁部分を示す縦断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る建具周縁の防水構造の側面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る補助部材の斜視図である。
【
図4】建具周縁の防水構造の施工方法における配置工程を示す図である。
【
図5】建具周縁の防水構造の施工方法における充填工程を示す図である。
【
図6】建具周縁の防水構造の施工方法における第1封止工程を示す図である。
【
図7】シート状部材が防水構造に固定された状態を示す図である。
【
図8】建具周縁の防水構造の施工方法における第2封止工程を示す図である。
【
図9】第2の実施形態に係る建具周縁の防水構造の側面図である。
【
図10】第2の実施形態に係る補助部材の分解斜視図である。
【
図11】第2の実施形態において第1部材と第2部材とが連結された状態を示す図である。
【
図12】第3の実施形態に係る建具周縁の防水構造の側面図である。
【
図13】第3の実施形態に係る補助部材の斜視図である。
【
図14】第3の実施形態に係る建具周縁の防水構造による施工の一例を示す図である。
【
図15】第4の実施形態に係る建具周縁の防水構造の側面図である。
【
図16】第4の実施形態に係る補助部材の斜視図である。
【
図17】第4の実施形態に係る建具周縁の防水構造による施工の一例を示す図である。
【
図18】第1の実施形態の変形例に係る防水構造の側面図である。
【
図19】第1の実施形態の変形例に係る補助部材の斜視図である。
【
図20】第3の実施形態の変形例に係る防水構造の側面図である。
【
図21】第4の実施形態の変形例に係る防水構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る建具周縁の防水構造(以下単に「防水構造」と称する)について、図面を参照して説明する。
図1は、防水構造1を概略的に示す図である。躯体200は、下側躯体201と上側躯体202により構成され、下側躯体201と上側躯体202との間に建具100が取り付けられる。防水構造1は、建具100と躯体200との間に形成される建具周縁に適用されるものである。なお、建具100を躯体200に取り付ける工程については後述する。
【0014】
建具100は、下枠111と、下枠レール112と、上枠113と、上枠レール114と、ガラス120とを有して構成されている。以下の説明では、見込み方向(室内外方向)をX方向とし、見付け方向(下枠111の幅方向)をY方向とし、上下方向をZ方向とする。
【0015】
防水構造1は、建具100の下方側であって室外側の部分に取り付けられる。防水構造1は、建具100の下方側から室外側に延びる本体部10と、本体部10の下方側に設けられる補助部材20とを有して構成されている。本体部10は、水切りとして機能する部材であり、傾斜部11と、固定部12と、突出板13とを有する。本体部10は、例えば一枚の鋼板を折り曲げて、傾斜部11、固定部12及び突出板13が一体となるように形成されている。
【0016】
傾斜部11は、平板状に形成されて見付け方向(Y方向)に沿って延びるとともに、見込み方向(X方向)において建具100から遠ざかるに従い下方側に傾斜している。具体的には、傾斜部11は見込み方向において、固定部12側よりも突出板13側が低くなるように傾斜している。傾斜部11は、下側躯体201のうち室外側に突出する部分を覆う寸法に形成されている。
【0017】
固定部12は、傾斜部11の上端において建具100の下方側に固定される。具体的には、固定部12は傾斜部11の一端側から上方側に向けて延び、ビス140により下枠レール112に固定され、更に室外側においてシーリング材141により防水加工されている。
【0018】
突出板13は、傾斜部11の下端において下方側に突出している。突出板13の先端側は室内側(固定部12側)に折り曲げられることにより、本体部10に嵌合部13aが形成されてもよい。嵌合部13aは、室内側に開放されている。
【0019】
傾斜部11の下方側には、略水平方向に延びる第1固定部材131が設けられ、建具100の下方側には、鉛直方向に延びる第2固定部材132が設けられている。第1固定部材131の一端側は傾斜部11の下部に予め溶接により固定され、第1固定部材131の他端側は第2固定部材132に溶接により固定されている。第2固定部材132の上端側は建具100の下部に予め溶接により固定され、第2固定部材132が建具100とともに躯体200に固定される。防水構造1は、第1固定部材131及び第2固定部材132を介して建具100に溶接により固定されている。これにより、建具100を躯体200に取り付けた際、防水構造1の強度が確保される。
【0020】
図2は、防水構造1の側面図であり、
図3は補助部材20の斜視図である。傾斜部11の上側の面は上面11aとされ、下側の面は下面11bとされている。下面11bには、見込み方向において嵌合部13aと間隔を隔てた位置に取付部14が設けられている。取付部14は、嵌合部13a側へ開放された凹状に形成されている。取付部14は、見付け方向(
図2の紙面奥行き方向)において傾斜部11の幅方向全体に亘って連続して形成されていてもよく、間隔をおいて複数設けられてもよい。
【0021】
室内側(取付部14側)に開放された嵌合部13aと室外側(嵌合部13a側)に開放された取付部14により収容部16が構成される。第1の実施形態では、補助部材20は本体部10と別体に設けられ、収容部16に補助部材20が収容されることにより、補助部材20が本体部10と一体化した状態で使用される。収容部16は傾斜部11の下方側において、傾斜部11の幅方向全体に亘って連続して一体的に形成されていてもよく、幅方向に間隔をおいて複数配置されていてもよい。
【0022】
補助部材20は、ベース部21と、垂下片22と、曲折部23とを有して構成されている。ベース部21と曲折部23は、例えば一枚の金属片を折り曲げて一体的に形成されるとともに、ベース部21と別体に設けられた垂下片22が、ベース部21の下方側に対し溶接等により固定されることにより補助部材20が構成されている。
【0023】
ベース部21は、傾斜部11に沿って見込み方向及び見付け方向に拡がる平板状の部材である。ベース部21は、見付け方向において傾斜部11とほぼ同じ幅を有し、見込み方向において収容部16内に収まる範囲の寸法に形成されている。ベース部21の見込み方向における寸法は、取付部14と嵌合部13aとの離間距離に応じて、適宜設定されればよい。
【0024】
垂下片22は、ベース部21から下方側に延びるとともに見付け方向(Y方向)に沿って延びる平板状の部材である。垂下片22は、ベース部21の下方側において取付部14及び嵌合部13aのいずれからも離間した位置に設けられている。補助部材20が本体部10と一体化された状態で、垂下片22は下方に向けて延びるとともに、垂下部として機能する。
【0025】
垂下片22は、傾斜部11と下側躯体201との間の空間を見込み方向に区切るために設けられる部材である。そのため、上下方向(Z方向)において垂下片22の先端側は下側躯体201側に近接あるいは当接していることが望ましく、見込み方向において垂下片22は下側躯体201の先端と一致していることが望ましい。なお、補助部材20と下側躯体201との離間距離は、建具100と躯体200との取り付け状況に応じて変化し得ることを考慮すると、垂下片22の下方側における寸法及び見込み方向における位置は変更することができる構成であることが望ましい。
【0026】
曲折部23は、補助部材20において前方側に設けられている。曲折部23は、ベース部21の先端側から折れ曲がる形状に形成され、嵌合部13aの内側に収まる寸法に形成されている。
【0027】
補助部材20を収容部16に収容する際には、例えば先ずベース部21の後端側を取付部14に挿入し、ベース部21の後端側が本体部10に固定された状態でベース部21を湾曲させながら曲折部23を嵌合部13aに嵌合させる。その後、ベース部21が弾性復帰することにより、補助部材20が本体部10対して固定される。
【0028】
次に、建具周縁の防水構造1の施工方法について、
図4乃至
図8を参照して説明する。
【0029】
<配置工程>
図4は、防水構造1の施工方法における配置工程を示す図である。
図4に示すように、配置工程では、垂下部としての垂下片22と躯体200の先端が室外側において一致するように、防水構造1が取り付けられた建具100を躯体200に配置する。具体的には、補助部材20が本体部10と一体化された状態の防水構造1が取り付けられた建具100を、下側躯体201と上側躯体202との間に取り付ける。建具100が躯体200に配置された状態では、防水構造1と躯体200により下部空間Sが形成される。建具100には予め鉛直方向に延びる第2固定部材132が設けられており、第2固定部材132の下端が下側躯体201に挿入されることにより建具100が躯体200に固定される。なお、第2固定部材132が建具100ではなく予め下側躯体201側に設けられており、第2固定部材132の上端に建具100の下部を固定する手順であってもよい。
【0030】
見込み方向において垂下片22が先端部201aよりも室内側に位置していればその分だけ下部空間Sに充填可能なモルタルの量が減少する。反対に、垂下片22が先端部201aよりも室外側に位置していれば、モルタルを充填する過程において下部空間Sからモルタルが漏れ出す可能性が高まる。従って、垂下片22と下側躯体201の先端部201aが見込み方向において一致することが望ましい。また、下部空間Sの防水性を向上させるという観点からは、垂下片22は、補助部材20が本体部10に取り付けられた状態で建具100が躯体200に取り付けられる際、上下方向(Z方向)において躯体200に近いことが望ましい。即ち、垂下片22と先端部201a(下側躯体201)との上下方向における離間距離をDとした場合、垂下片22と先端部201aとの間に生じる離間距離Dの値が小さいことが望ましい。
【0031】
<充填工程>
図5は、防水構造1の施工方法における充填工程を示す図である。
図5に示すように、充填工程では配置工程で配置された建具100と躯体200との間に形成される下部空間Sに、垂下片22に至るまで室内側からモルタル70を充填する。モルタル70は、下部空間S全体を満たすように充填される。なお、室内側からモルタル70を充填するため、室外側から本体部10の下方側にモルタル70を充填する場合と比較して、充填作業をスムーズに進めることができる。
【0032】
モルタル70が傾斜部11の下面11bに接する状態まで充填されることにより、本体部10に上から荷重がかかった場合でも傾斜部11を変形させない支持力(耐力)を確保することができる。また、モルタル70が垂下片22に到達する位置まで、即ち、下側躯体201の先端部201aに到達する位置まで充填されることにより、室内側への防水効果を増大させることができる。更に、モルタル70の先端側が垂下片22に当接するので、室外側にモルタル70が漏れ出すことを防止することができるとともに、室外側のモルタル70の端部に凹凸が生じにくく、防水効果をより高めることができる。
【0033】
<第1封止工程>
図6は、防水構造1の施工方法における第1封止工程を示す図である。
図6に示すように、第1封止工程では垂下片22及び下側躯体201を室外側からシート状部材80で覆う。具体的には、ルーフバルコニーなどの床面に敷設されたシート状部材80の縁部を、下側躯体201から垂下片22の上端に向けて立ち上げる。このようにシート状部材80を垂下片22及び下側躯体201に密着させて配置することで、室外側から下部空間Sに雨水等が入り込むことを防止することができる。
【0034】
シート状部材80は、例えばウレタンゴムにより形成された防水シート81と、合成繊維不織布にアスファルトを含浸させたアスファルトルーフィング82により構成されている。アスファルトルーフィング82を垂下片22に対して加熱融解させてシート状部材80を垂下片22に一体化させる。これにより、垂下片22と下側躯体201との間に隙間が生じた場合であっても、この隙間から室外側にモルタル70が漏出しないようにすることができる。
【0035】
なお、
図7に示すように、ビス83及び固定板84を使用して、より強固にシート状部材80を垂下片22及び下側躯体201に取り付けることとしてもよい。これにより、シート状部材80が剥がれることを防止し、防水機能をより高めることができる。
【0036】
<第2封止工程>
図8は、防水構造1の施工方法における第2封止工程を示す図である。第1封止工程の後に更に第2封止工程を有していてもよい。
図8に示すように、第2封止工程ではシート状部材80よりも室外側において突出板13と垂下片22との間に形成された隙間を封止部材90により封止する。封止部材90は、例えば傾斜部11側(上側)に配置されるバッカー材91と、下側躯体201側(下側)に配置される蓋部材92により構成されている。第2封止工程を設けることにより、防水構造1の室外側における先端、即ち、突出板13及び曲折部23における防水効果を高めることができる。
【0037】
このように、第1の実施形態に係る建具周縁の防水構造1では、予め溶接により防水構造1が固定された建具100を躯体200に取り付け、防水構造1及び建具100と躯体200との間に形成された下部空間Sにモルタル70を充填する。下部空間Sにおいて室内側から充填されるモルタル70の室外側における先端部分は、防水構造1に設けられた垂下片22(垂下部)により室外側への移動が規制される。これにより、防水構造1を建具100に対して強固に固定することができるとともに、モルタル70の先端側に凹凸が生じることを回避することができる。従って、防水構造1の構造的な強度を維持しつつ建具周縁の防水効果高めることができる。
【0038】
また、本体部10とは別体の補助部材20が設けられ、傾斜部11には補助部材20を収容する収容部16が設けられ、補助部材20に垂下片22(垂下部)が設けられていてもよい。このような構成では、例えば前後方向(見込み方向)において垂下片22の設けられる位置が異なる補助部材20を本体部10に取り付けることができる。従って、本体部10に対する垂下片22の設けられる位置の自由度を高めることができる。
【0039】
また、収容部16は、傾斜部11の下方側において幅方向に間隔をおいて複数配置されていてもよい。このような構成により、補助部材20を本体部10に安定した状態で取り付けることができる。
【0040】
また、収容部16の一部は、嵌合部13aにより形成されていてもよい。既に本体部10に設けられている部材を利用することにより、効率よく収容部16を設けることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る防水構造2について、
図9乃至
図11を参照して説明する。なお、以下では、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通の構成要素には第1の実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0042】
図9は、防水構造2の側面図であり、
図10は補助部材30の分解斜視図である。
図9に示すように、第2の実施形態では、一対の係合凹部15が下面11b側において見込み方向(X方向)に間隔を隔てて設けられ、収容部17を構成している。収容部17には、補助部材30の上部が収容されている。
【0043】
図10に示すように、補助部材30は第1部材40と第2部材50とを有して構成されている。第1部材40は、略水平方向に延びる平板部41と、平板部41の下面側から突出する突片42を有している。具体的には、第1部材40には傾斜部11の下方側において見付け方向に沿って延びる平板部41が設けられ、平板部41の下方側において複数の突片42が見付け方向に沿って複数設けられている。なお、突片42は1つのみ設けられていてもよい。突片42には、見込み方向に長い長孔42aが形成されている。平板部41が一対の係合凹部15間に係合されることにより補助部材30が収容部17に収容される。
【0044】
第2部材50は、基板51と、基板51の側面51aから一方側に突出する側板部52とを有して構成されている。基板51は、本体部10と別体として設けられ、傾斜部11から下方側に延びる垂下部として機能する。具体的には、補助部材30が収容部17に収容された状態では、基板51は傾斜部11の下方側において見付け方向(Y方向)及び下方(Z方向)に向けて延びるとともに、見込み方向(X方向)において突出板13から離間した位置に設けられている。基板51は、見付け方向においては、傾斜部11の幅と同じ寸法に形成されていることが望ましい。また、下方側において下側躯体201との間に隙間が生じない程度の寸法に形成されていることが望ましい。基板51が面状に広がる部材であることにより、見込み方向においてモルタル70が室外側に漏れ出すことを防止することができる。
【0045】
側板部52は、見付け方向において突片42に対応する位置に設けられる平板状の部材であり、基板51の室内側に複数設けられている。具体的には、平板部41における突片42同士の間隔と基板51における側板部52同士の間隔とが等しくなるように、側板部52が設けられている。なお、側板部52は1つのみ設けられていてもよい。側板部52には、長孔42aと連通する位置に挿通孔52aが形成されている。
【0046】
図11は、第1部材40と第2部材50とが連結された状態を示す図である。
図11に示すように、第2部材50は第1部材40の下方側において、ボルト61とボルト61に螺合するナット62により第1部材40に連結されている。挿通孔52aに対して長孔42aが重なる位置をずらすことにより、第2部材50を見込み方向に前後させることができる。これにより、補助部材30が収容部17に収容された状態で基板51の下側躯体201に対する位置を調整することができる。
【0047】
長孔は、第1部材40又は第2部材50の少なくともいずれか一方に形成されていればよい。具体的には、補助部材30が収容部17に収容された状態で、第2部材50が本体部10に対して見込み方向に前後させることができるように構成されていればよい。第1部材40あるいは第2部材50に形成される長孔の見込み方向における寸法が大きければ大きいほど、第2部材50の本体部10に対する移動距離を大きくすることができる。更に、第1部材40と第2部材50のいずれにも長孔が形成されている場合には、より第2部材50の本体部10に対する移動距離を大きくすることができる。
【0048】
このように、第2の実施形態に係る建具周縁の防水構造2では、見込み方向に長い長孔42aが形成された第1部材40に対して第2部材50を連結する際に、第1部材40に対して第2部材50が連結される箇所を任意の位置にずらすことができる。これにより、補助部材30が本体部10に取り付けられた状態で作業現場に搬入された後であっても、補助部材30の本体部10に対する相対的な位置を変更することができる。従って、垂下部として機能する基板51の下側躯体201に対する位置を、作業現場において簡易な構成で見込み方向において前後させることができる。
【0049】
また、傾斜部11の下方側には、室内側方向において間隔を隔てた位置に一対の係合凹部15が互いに対向した状態で設けられ、一対の係合凹部15により収容部17が構成されていてもよい。更に、収容部17には、補助部材30が収容される。従って、補助部材30が本体部10から外れにくくすることができる。
【0050】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る防水構造3について、
図12乃至
図14を参照して説明する。なお、以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる構成について主に説明し、これらの実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0051】
図12は、防水構造3の側面図であり、
図13は補助部材150の斜視図であり、
図14は防水構造3により下部空間Sが封止された状態(防水構造3による施工の一例)を示す図である。
図12に示すように、第3の実施形態では、突出板13には傾斜部11の上端側に向けて突出する結合板13bが設けられ、結合板13bを介して補助部材150が本体部10に固定されている。張出部152は少なくともその一部が結合板13bと重なった状態で、例えばビス153により結合板13bに結合される。
【0052】
図13に示すように、補助部材150は主板部151と張出部152とを有して構成されている。主板部151は、上下方向(鉛直方向)に沿って延びる板状の部材である。張出部152は、主板部151が延びる方向と交差する方向(略水平方向)に張り出す板状の部材である。即ち、張出部152は、主板部151の上側の端部からX方向に突出するとともに、Y方向に沿って延びている。補助部材150は、例えば一枚の金属板を折り曲げることにより側面視において逆L字状に形成されている。
【0053】
図14に示すように、例えば予め溶接などにより防水構造3が取り付けられた建具100が躯体200に配置される。防水構造3の前方側(室外側)において、予め結合板13bに結合された補助部材150が下部空間Sの前方側を封止する。補助部材150は、下部空間Sの前方側を封止することができる程度の寸法に形成されていればよい。
【0054】
主板部151は、モルタル70の室外側への移動を堰き止める垂下部として機能し、張出部152は防水構造3における前方側において本体部10と一体化されている。張出部152は見込み方向において先端部201aと一致する位置に配置され、先端部201aと面接触している。このように、防水構造3と躯体200により、下部空間Sが密閉される。
【0055】
防水構造3により下部空間Sの室外側が覆われた状態で、防水シート81とアスファルトルーフィング82により構成されたシート状部材80が、下側躯体201と主板部151に密着されている。これにより、室外側から下部空間Sに雨水等が入り込むことを防止することができる。
【0056】
なお、
図14に示すように、ビス83及び固定板84aを使用して、より強固にシート状部材80を主板部151及び下側躯体201に取り付けることとしてもよい。これにより、シート状部材80が剥がれることを防止し、防水機能をより高めることができる。
【0057】
また、固定板84aと結合板13bとの間に形成された隙間を封止部材90により封止してもよい。これにより、防水構造3の室外側における先端、即ち、突出板13と補助部材150との隙間における防水効果を高めることができる。
【0058】
このように、第3の実施形態に係る建具周縁の防水構造3では、予め溶接により防水構造3が固定された建具100を躯体200に取り付け、防水構造3及び建具100と躯体200との間に形成された下部空間Sにモルタル70を充填する。ここで、傾斜部11の下面11bと結合板13bとの間に形成された空間も下部空間Sの一部として機能する。従って、傾斜部11の上端側から下端側の全範囲に亘ってモルタル70を充填することができる。また、主板部151と先端部201aとを面接触させることができる。従って、防水構造3と躯体200との密着性を担保することができる。
【0059】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る防水構造4について、
図15乃至
図17を参照して説明する。なお、以下では、第1の実施形態乃至第3の実施形態と異なる構成について主に説明し、これらの実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0060】
図15は、防水構造4の側面図であり、
図16は補助部材170の斜視図であり、
図17は防水構造4により下部空間Sが封止された状態(防水構造4による施工の一例)を示す図である。
図15に示すように、第4の実施形態では、補助部材170は傾斜部11の下方側に設けられ、本体部10と一体化される。具体的には、
図17に示すように、補助部材170は、本体部10と躯体200により挟まれた状態で配置される。なお、補助部材170は、傾斜部11に溶接等により接合されてもよく、あるいは傾斜部11に螺子等の固定部材により固定されてもよい。
【0061】
図16に示すように、補助部材170は基部171と、第1延出部172と、第2延出部173とを有して構成されている。基部171は上下方向(鉛直方向)に沿って延びる板状の部材である。第1延出部172及び第2延出部173は、いずれも基部171が延びる方向と交差する方向(略水平方向)に延出する板状の部材である。即ち、第1延出部172と第2延出部173は、基部171の上側の端部からX方向においてそれぞれ反対側に突出するとともに、Y方向に沿って延びている。
【0062】
補助部材170は、例えば一枚の金属板を折り曲げることにより側面視においてZ字状に形成されている。第1延出部172と第2延出部173は、基部171に対してそれぞれ水平方向において同じ寸法だけ反対側に突出している。但し、これに限定されず、第1延出部172と第2延出部173の基部171から突出する寸法は、異なっていてもよい。
【0063】
図17に示すように、例えば予め溶接などにより防水構造4が取り付けられた建具100が躯体200に配置される。補助部材170は、防水構造4における前方側において、本体部10と躯体200との間に形成された下部空間Sに差し込まれた状態で配置されている。補助部材170を弾性変形させつつ下部空間Sに差し込み、その後補助部材170が弾性復帰することにより、補助部材170が本体部10と躯体200に対して固定される。なお、補助部材170は、予め本体部10に固定されてもよい。補助部材170は、下部空間Sの前方側を封止することができる程度の寸法に形成されていればよい。
【0064】
基部171は、傾斜部11の下面11bと躯体上面201bとの間に位置し、見込み方向において先端部201aと面一となった状態でモルタル70の室外側への移動を堰き止める垂下部として機能する。下部空間Sにおいて、第1延出部172は傾斜部11の下面11bに面接触し、第2延出部173は躯体上面201bに面接触する。このように、防水構造4と躯体200により、下部空間Sが密閉される。
【0065】
防水構造4により下部空間Sの室外側が覆われた状態で、防水シート81とアスファルトルーフィング82により構成されたシート状部材80により、補助部材170と下側躯体201とが室外側から覆われている。これにより、室外側から下部空間Sに雨水等が入り込むことを防止することができる。
【0066】
なお、
図17に示すように、ビス83及び固定板84を使用して、より強固にシート状部材80を補助部材170及び下側躯体201に取り付けることとしてもよい。これにより、シート状部材80が剥がれることを防止し、防水機能をより高めることができる。
【0067】
また、補助部材170と突出板13との間に形成された隙間を封止部材90により封止してもよい。封止部材90は、バッカー材91と、蓋部材92とにより構成されている。防水構造4の室外側における先端、即ち、突出板13と補助部材170との間における防水効果を高めることができる。
【0068】
このように、第4の実施形態に係る建具周縁の防水構造4では、補助部材170は本体部10と躯体200との間に形成された隙間に差し込まれることにより配置される。従って、本体部10側に補助部材170を固定するための構造を設ける必要がなく、防水構造4の室外側への突出寸法が長くなることを抑制することができる。また、補助部材170自体は、一枚の金属板を折り曲げることにより、弾性変形可能な部材として形成されている。従って、本体部10あるいは躯体200の形状に依存することなく下部空間Sを封止することができる。
【0069】
(変形例)
図18は、第1の実施形態の変形例に係る防水構造1Aの側面図である。上記第1の実施形態では、本体部10と別体で設けられた補助部材20に垂下部としての垂下片22が設けられ、この垂下片22がモルタル70の室外側への移動を規制していた。変形例では、これに代えて、本体部10に直接垂下部としての延出片18が設けられている。延出片18は、本体部10と溶接により一体成形されている。このような構成により、補助部材20を別体として設ける場合と比較して、部品点数を少なくすることができる。
【0070】
図19は、第1の実施形態の変形例に係る補助部材20Aの斜視図である。第1の実施形態では、別体として形成された垂下片22がベース部21に対して溶接等により固定されていた。変形例に係る補助部材20Aは、ベース部21と垂下片22との間に屈曲部24を有し、1枚の板を折り曲げて加工することにより、ベース部21、垂下片22、曲折部23及び屈曲部24が一体的に形成されている。単に1枚の板を折り曲げて垂下片22の位置を前後することができるため、溶接作業を伴う場合と比較して垂下片22の位置を容易に変更することができる。
【0071】
図20は、第3の実施形態の変形例に係る防水構造3Aの側面図である。上記第3の実施形態では、本体部10と補助部材150とは、それぞれ独立した別部材として設けられていた。変形例では、これに代えて、本体部10と一体化された封止部250が突出板13に設けられ、封止部250は垂下部として機能する突出片250Aを有している。このような構成により、補助部材150を別体として設ける場合と比較して、部品点数を少なくすることができる。
【0072】
図21は、第4の実施形態の変形例に係る防水構造4Aの側面図である。上記第4の実施形態では、本体部10と補助部材170とは、それぞれ独立した別部材として設けられていた。変形例では、これに代えて、本体部10と一体化された封止部270が設けられ、封止部270は垂下部として機能する突出片270Aを有している。このような構成により、補助部材170を別体として設ける場合と比較して、部品点数を少なくすることができる。
【0073】
以上、図面を参照して、本発明の各実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1、2、3、4 防水構造
10 本体部
11 傾斜部
12 固定部
13 突出板
13a 嵌合部
14 取付部(収容部)
15 係合凹部(収容部)
16 収容部
17 収容部
20 補助部材
22 垂下片
40 第1部材
41 平板部
42 突片
42a 長孔
50 第2部材
51 基板
52 側板部
52a 挿通孔
61 ボルト
62 ナット
70 モルタル
100 建具
151 主板部
152 張出部
171 基部
172 第1延出部
173 第2延出部
200 躯体
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具とともに使用され、前記建具と躯体との間に形成される建具周縁の防水構造であって、
前記防水構造は、本体部と、前記本体部と一体又は別体として設けられる垂下部とを備え、
前記本体部は、
平板状に形成されて前記建具に設けられる上下の枠体の幅方向に沿って延びるとともに、室内外方向において前記建具から遠ざかるに従い下方側に傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の上端において前記建具の下方側に固定される固定部と、
前記傾斜部の下端において下方側に突出する突出板と、を有し、
前記垂下部は、前記傾斜部の下方側において前記幅方向及び下方に向けて延びるとともに、前記室内外方向において前記下端から離間した位置に設けられ、
前記本体部と別体に設けられる補助部材を更に備え、
前記傾斜部には、前記補助部材を収容する収容部が設けられ、
前記補助部材は、前記収容部に収容された状態で下方に向けて延びるとともに前記垂下部として機能する垂下片を有し、
前記本体部には、前記突出板の先端側が前記上端側に折り曲げられた嵌合部が設けられ、
前記傾斜部の下方側には、前記室内外方向において前記嵌合部と間隔を隔てた位置に前記嵌合部側へ開放された凹状の取付部が設けられ、
前記嵌合部と前記取付部により前記収容部が構成されていることを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項2】
建具とともに使用され、前記建具と躯体との間に形成される建具周縁の防水構造であって、
前記防水構造は、本体部と、前記本体部と一体又は別体として設けられる垂下部とを備え、
前記本体部は、
平板状に形成されて前記建具に設けられる上下の枠体の幅方向に沿って延びるとともに、室内外方向において前記建具から遠ざかるに従い下方側に傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の上端において前記建具の下方側に固定される固定部と、
前記傾斜部の下端において下方側に突出する突出板と、を有し、
前記垂下部は、前記傾斜部の下方側において前記幅方向及び下方に向けて延びるとともに、前記室内外方向において前記下端から離間した位置に設けられ、
前記本体部と別体に設けられる補助部材を更に備え、
前記傾斜部には、前記補助部材を収容する収容部が設けられ、
前記補助部材は、前記収容部に収容された状態で下方に向けて延びるとともに前記垂下部として機能する垂下片を有し、
前記傾斜部の下方側には、前記室内外方向において間隔を隔てた位置に一対の係合凹部が互いに対向した状態で設けられ、
前記一対の係合凹部により前記収容部が構成され、
前記補助部材は、
前記収容部に収容された状態で前記本体部に固定される第1部材と、
前記第1部材が前記本体部に固定された際に前記第1部材を介して前記本体部に固定される第2部材と、を有し、
前記第1部材は、平板部と、前記平板部の下面側から突出する突片とを有し、
前記第2部材は、前記垂下片としての基板と、前記基板の側面から一方側に突出する側板部とを有し、
前記突片と前記側板部の少なくともいずれか一方には前記室内外方向に延びる長孔が形成され、他方には挿通孔が形成され、
前記長孔及び前記挿通孔に挿通されるボルトと、前記ボルトに螺合するナットにより前記第1部材と前記第2部材が前記室内外方向に沿って相対移動可能に連結されていることを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項3】
建具とともに使用され、前記建具と躯体との間に形成される建具周縁の防水構造であって、
前記防水構造は、本体部と、前記本体部と一体又は別体として設けられる垂下部とを備え、
前記本体部は、
平板状に形成されて前記建具に設けられる上下の枠体の幅方向に沿って延びるとともに、室内外方向において前記建具から遠ざかるに従い下方側に傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の上端において前記建具の下方側に固定される固定部と、
前記傾斜部の下端において下方側に突出する突出板と、を有し、
前記垂下部は、前記傾斜部の下方側において前記幅方向及び下方に向けて延びるとともに、前記室内外方向において前記下端から離間した位置に設けられ、
前記本体部と別体に設けられる補助部材を更に備え、
前記補助部材は、上下方向に延びる主板部と、前記主板部の延びる方向と交差する方向に張り出す張出部とを有し、
前記突出板には、前記上端側に突出する結合板が設けられ、
前記張出部は前記結合板に結合されていることを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項4】
請求項1または2に記載の建具周縁の防水構造であって、
前記収容部は、前記傾斜部の下方側において前記幅方向に間隔をおいて複数配置されていることを特徴とする建具周縁の防水構造。
【請求項5】
建具とともに使用され、前記建具と躯体との間に形成される建具周縁の防水構造の施工方法であって、
前記防水構造は、本体部と、前記本体部と一体又は別体として設けられる垂下部とを備え、
前記本体部は、
平板状に形成されて前記建具に設けられる上下の枠体の幅方向に沿って延びるとともに、室内外方向において前記建具から遠ざかるに従い下方側に傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の上端において前記建具の下方側に固定される固定部と、
前記傾斜部の下端において下方側に突出する突出板と、を有し、
前記垂下部は、前記傾斜部の下方側において前記幅方向及び下方に向けて延びるとともに、前記室内外方向において前記下端から離間した位置に設けられ、
前記垂下部と前記躯体の先端が室外側において一致するように、前記防水構造が取り付けられた前記建具を前記躯体に配置する配置工程と、
前記配置工程で配置された前記建具と前記躯体との間に形成される下部空間に、前記垂下部に至るまで室内側からモルタルを充填する充填工程と、
前記垂下部及び前記躯体を室外側からシート状部材で覆う第1封止工程と、を有することを特徴とする建具周縁の防水構造の施工方法。
【請求項6】
請求項5に記載の建具周縁の防水構造の施工方法であって、
前記第1封止工程の後に、前記シート状部材よりも室外側において前記突出板と前記垂下部との間に形成された隙間を封止部材により封止する第2封止工程を有することを特徴とする建具周縁の防水構造の施工方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の建具周縁の防水構造の施工方法であって、
前記垂下部を、前記本体部と溶接により一体成形することを特徴とする建具周縁の防水構造の施工方法。
【請求項8】
請求項5または6に記載の建具周縁の防水構造の施工方法であって、
前記防水構造は、前記本体部と別体に設けられる補助部材を更に備え、
前記補助部材は、上下方向に延びる基部と、前記基部が延びる方向と交差する第1の方向に延出する第1延出部と、前記基部が延びる方向と交差する方向であって前記第1の方向と反対の方向である第2の方向に延出する第2延出部とを有し、
前記第1延出部は、前記傾斜部の下方側に設けられていることを特徴とする建具周縁の防水構造の施工方法。