(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110383
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】立体培養装置及び生物培養器
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20240807BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
C12M3/00 A
C12M1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112840
(22)【出願日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】63/442,776
(32)【優先日】2023-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523261414
【氏名又は名称】新原生細胞製備股フン有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】黄忠諤
(72)【発明者】
【氏名】郭旭ソン
(72)【発明者】
【氏名】張懋中
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB11
4B029CC11
4B029DA01
4B029GA03
4B029GB03
4B029GB04
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、立体培養装置および生物培養器を開示する。生物培養器は、培養液を収容するために用いられ、容器と、蓋体と、蓋体に取り付けられた駆動機構と、を備える。容器は、互いに離間して配置された複数の収容ウェルを備える。収容ウェルの各々は、濾過底部構造と、濾過底部構造に取り付けられた環状壁と、を有する。環状壁の各々は、培養液および少なくとも1つの生物粒子を含むための培養空間を画定する。蓋体は、連通部と、連通部に連通された複数の挿入管とを備える。挿入管の各々は、収容ウェルの1つに挿入され、濾過底部構造を介して培養空間に連通される。駆動機構は、蓋体を介して各培養空間における培養液の量を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物粒子を培養するための立体培養装置であって、
濾過底部構造と、前記濾過底部構造に取り付けられ、前記生物粒子を少なくとも1つを収容するための培養空間を前記濾過底部構造にて区画する環状壁と、をそれぞれが備える、複数の収容ウェルと、
連通部と、前記連通部を介して互いに連通可能に前記連通部に接続され、複数の前記収容ウェルにおける培養空間にそれぞれ挿入され、前記濾過底部構造を介して対応する前記収容ウェルの前記培養空間と連通する複数の挿入管とを備える、蓋体と、
複数の前記収容ウェルの前記培養空間、前記蓋体、及び複数の前記挿入管の前記連通部を満たすことで、前記培養空間のそれぞれに位置する前記生物粒子の少なくとも1つを浸す、培養液と、
前記蓋体に取り付けられ、前記蓋体内の前記培養液を駆動して、前記培養液を前記培養空間のそれぞれに流入または流出させ、前記培養空間のそれぞれにおける前記培養液の量を制御する、駆動機構と、
を具備することを特徴とする、立体培養装置。
【請求項2】
前記蓋体は、前記各収容ウェル内の前記培養空間が対応する前記挿入管にのみ連通するように、前記各収容ウェルを閉じることが可能である、請求項1に記載の立体培養装置。
【請求項3】
前記培養液は、前記蓋体および前記複数の収容ウェルの前記濾過底部構造を介して複数の前記培養空間を流れることができ、複数の前記培養空間に位置する前記生物粒子が、前記培養液を介して互いに生物信号を伝達できる、請求項1に記載の立体培養装置。
【請求項4】
前記収容ウェルの各々において、前記濾過底部構造は、基部と、前記基部に取り付けられた複数の直立アームとを備え、複数の前記直立アームは互いに離間しており、互いに隣接する前記直立アームの間の隙間は、前記生物粒子の粒子サイズよりも小さい、請求項1に記載の立体培養装置。
【請求項5】
前記隙間は2ミクロン(μm)以下であり、複数の前記直立アームは5μm以上15μm以下の平均高さを有する、請求項4に記載の立体培養装置。
【請求項6】
間隔をおいて配置される複数の前記濾過底部構造が形成され、板状に構成されるキャリアと、
複数の前記収容ウェルを形成するように前記キャリアに接続され、互いに間隔をあけて配置された複数の環状壁が配置された、ホルダと、
を備える、請求項4に記載の立体培養装置。
【請求項7】
前記キャリアおよび前記ホルダは、さらに半導体チップとされ、前記駆動機構は、圧電(piezoelectric)マイクロ制御素子である、請求項6に記載の立体培養装置。
【請求項8】
前記ホルダは、複数の前記環状壁を連結する上端面を有し、前記蓋体は、前記連通部を介して前記上端面に当接して複数の前記収容ウェルを閉鎖する、請求項6に記載の立体培養装置。
【請求項9】
前記連通部は板状であり、底面及び上面を有し、前記連通部の前記底面には複数の前記挿入管が接続され、前記蓋体は前記上面に接続された外管を有し、前記外管は前記連通部を介して前記各挿入管に連通され、前記駆動機構は前記外管に取り付けられる、請求項1記載の立体培養装置。
【請求項10】
前記挿入管の少なくとも1つには、複数のフィルター孔が形成されており、前記挿入管の少なくとも1つは、複数の前記フィルター孔を介して対応する前記培養空間に連通可能である、請求項1に記載の立体培養装置。
【請求項11】
複数の前記フィルター孔は、1ミクロン未満の平均孔径を有する、請求項10に記載の立体培養装置。
【請求項12】
複数の前記フィルター孔が、対応する前記濾過底部構造に隣接し、前記培養液に浸漬される、請求項10に記載の立体培養装置。
【請求項13】
培養液を保持し、複数の生物粒子を前記培養液に浸漬して培養するための生物培養器であって、
濾過底部構造と、前記生物粒子を少なくとも1つ及び培養液を収容するための培養空間を前記濾過底部構造にて区画するように前記濾過底部構造に取り付けられる環状壁と、を含むと共に互いに間隔をおいて連通される複数の収容ウェルを備える、容器と、
連通部と、前記連通部を介して互いに連通可能に前記連通部に接続され、複数の前記収容ウェルにおける培養空間にそれぞれ挿入され、前記濾過底部構造を介して対応する前記収容ウェルの前記培養空間と連通する複数の挿入管とを備える、蓋体と、
前記蓋体に取り付けられ、前記蓋体を介して前記各培養空間内の前記培養液の量を制御する駆動機構と、
を具備することを特徴とする、生物培養器。
【請求項14】
板状で、間隔をおいて配置される複数の前記濾過底部構造が形成された、キャリアと、
複数の前記収容ウェルを形成するように前記キャリアに接続され、互いに間隔をあけて配置された複数の環状壁が配置された、ホルダと、を備え、
前記蓋体が、前記連通部が前記上面に押し付けられることによって、複数の前記収容ウェルを閉鎖する、請求項13に記載の生物培養器。
【請求項15】
前記収容ウェルの各々において、前記濾過底部構造は、複数の直立アームを備え、前記複数の直立アームは、互いに離間しており、互いに隣接する前記直立アームの間の隙間は、前記生体粒子の少なくとも1つの粒子サイズよりも小さい、請求項14に記載の生物培養器。
【請求項16】
前記隙間は2ミクロン以下であり、複数の前記直立アームは5ミクロンから15ミクロンの間の平均高さを有する、請求項15に記載の生物培養器。
【請求項17】
前記連通部は板状であり、底面及び上面を有し、前記連通部の前記底面には複数の前記挿入管が接続され、前記蓋体は前記上面に接続された外管を有し、前記外管は前記連通部を介して前記各挿入管に連通され、前記駆動機構は前記外管に取り付けられる、請求項13記載の生物培養器。
【請求項18】
前記挿入管の少なくとも1つには、複数のフィルター孔が形成されており、前記挿入管の少なくとも1つは、複数の前記フィルター孔を介して対応する前記培養空間に連通可能であり、各前記挿入管の複数の前記フィルター孔は、1ミクロン未満の平均孔径を有する、請求項13に記載の生物培養器。
【請求項19】
生物粒子を培養するための立体培養装置であって、
底部構造と、前記生物粒子を少なくとも1つを収容するための培養空間を前記濾過底部構造にて区画するように前記底部構造に取り付けられる環状壁と、を含むと共に互いに間隔をおいて連通される複数の収容ウェルを備える、容器と、
連通部と、前記連通部を介して互いに連通可能に前記連通部に接続され、複数のフィルター孔が形成されており、複数の前記収容ウェルにおける培養空間にそれぞれ挿入され、複数前記フィルター孔を介して対応する前記収容ウェルの前記培養空間と連通する複数の挿入管と、を備える、蓋体と、
複数の前記収容ウェルの前記培養空間、前記蓋体、及び複数の前記挿入管の前記連通部を満たすことで、前記培養空間のそれぞれに位置する前記生物粒子の少なくとも1つを浸す、培養液と、
前記蓋体に取り付けられ、前記蓋体内の前記培養液を駆動して、前記培養液を前記培養空間のそれぞれに流入または流出させ、前記培養空間のそれぞれにおける前記培養液の量を制御する、駆動機構と、
を具備することを特徴とする、立体培養装置。
【請求項20】
各前記挿入管の複数の前記フィルター孔は、対応する前記下底部構造に隣接し、前記培養液に浸漬され、各前記挿入管の複数の前記フィルター孔は、1ミクロン未満の平均孔径を有する、請求項19に記載の立体培養装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養器、特に立体培養装置および生物培養器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の生物培養器は、複数のチャンバーのそれぞれに培養液を収容し、前記チャンバーのそれぞれにおいて前記培養液中で生物粒子を培養するようになっている。この場合、複数の前記チャンバー内の前記培養液の量は空気圧によって制御されるが、空気の圧縮性により、複数の前記チャンバー内の前記培養液の制御は不安定になり、生物粒子の培養には適さない。
【0003】
そこで、発明者は、上記不具合を改善することができると考え、科学的な原理を研究・応用して、合理的に設計され、上記不具合を改善するのに有効な発明を考え出た。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、既存の生物培養器が有する可能性のある不具合を改善するのに有効な立体培養装置及び生物培養器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のこの実施形態は、生物粒子を培養するための立体培養装置を開示する。立体培養装置は、濾過底部構造と、濾過底部構造に取り付けられ、生物粒子を少なくとも1つを収容するための培養空間を濾過底部構造にて区画する環状壁と、をそれぞれが備える、複数の収容ウェルと、連通部と、連通部を介して互いに連通可能に連通部に接続され、複数の収容ウェルにおける培養空間にそれぞれ挿入され、濾過底部構造を介して対応する収容ウェルの培養空間と連通する複数の挿入管とを備える、蓋体と、複数の収容ウェルの培養空間、蓋体、及び複数の挿入管の連通部を満たすことで、培養空間のそれぞれに位置する生物粒子の少なくとも1つを浸す、培養液と、蓋体に取り付けられ、蓋体内の培養液を駆動して、培養液を培養空間のそれぞれに流入または流出させ、培養空間のそれぞれにおける培養液の量を制御する、駆動機構と、を具備する。
【0006】
本発明のこの実施形態はまた、培養液を保持し、複数の生物粒子を培養液に浸漬して培養するための生物培養器を開示する。生物培養器は、濾過底部構造と、生物粒子を少なくとも1つ及び培養液を収容するための培養空間を濾過底部構造にて区画するように濾過底部構造に取り付けられる環状壁と、を含むと共に互いに間隔をおいて連通される複数の収容ウェルを備える、容器と、連通部と、連通部を介して互いに連通可能に連通部に接続され、複数の収容ウェルにおける培養空間にそれぞれ挿入され、濾過底部構造を介して対応する収容ウェルの培養空間と連通する複数の挿入管とを備える、蓋体と、蓋体に取り付けられ、蓋体を介して各培養空間内の培養液の量を制御する駆動機構とを具備する。
【0007】
本発明の実施形態はまた、生物粒子を培養するための立体培養装置を開示する。立体培養装置は、底部構造と、生物粒子を少なくとも1つを収容するための培養空間を濾過底部構造にて区画するように底部構造に取り付けられる環状壁と、を含むと共に互いに間隔をおいて連通される複数の収容ウェルを備える、容器と、連通部と、連通部を介して互いに連通可能に連通部に接続され、複数のフィルター孔が形成されており、複数の収容ウェルにおける培養空間にそれぞれ挿入され、複数フィルター孔を介して対応する収容ウェルの培養空間と連通する複数の挿入管と、を備える、蓋体と、複数の収容ウェルの培養空間、蓋体、及び複数の挿入管の連通部を満たすことで、培養空間のそれぞれに位置する生物粒子の少なくとも1つを浸す、培養液と、蓋体に取り付けられ、蓋体内の培養液を駆動して、培養液を培養空間のそれぞれに流入または流出させ、培養空間のそれぞれにおける培養液の量を制御する、駆動機構と、を具備する。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明の本実施形態に開示された立体培養装置および生物培養器は、複数の前記収容ウェルと前記蓋体との間(例えば、前記培養空間が前記連通部および複数の前記挿入管に連通されて前記培養液の充填を容易にする)に構成され、各前記収容ウェル内の前記培養液量を液圧によって安定的に制御できるため、複数種の生物粒子の培養が容易である。
【0009】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態の立体培養装置の立体模式図である。
【
図2】
図1の培養液を省略した状態で示す分解模式図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の立体の他の構成を示す断面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態の立体培養装置の立体模式図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態の立体培養装置の立体模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に示す具体的な実施形態は、この発明に開示された「立体培養装置および生物培養器」の実施形態を示すものである。本発明は、他の具体的な実施形態によって実施または適用することができ、本明細書における様々な詳細は、本発明の思想から逸脱することなく、異なる見解および用途に応じて修正および変化させることができる。さらに、本発明の添付図面は、簡単に説明するためのものであり、実際の寸法を描写することを意図したものではないことは、あらかじめ述べておくとおりである。以下の実施では、本発明の関連する技術的側面をさらに詳細に説明するが、この開示は、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではない。
【0012】
本書を通じて「第1」、「第2」、「第3」などの用語が様々なコンポーネントまたは信号を説明するために使用されることがあるが、これらのコンポーネントまたは信号は、理解されるべきである。は、これらの用語によって制限されるべきではありません。これらの用語は、主に、ある構成要素を別の構成要素から区別するため、または、ある信号を別の信号から区別するために使用される。さらに、本明細書で使用される「または」という用語は、関連する列挙された項目のいずれか1つまたは組み合わせを適切に含むことができる。
【0013】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を示す
図1~
図8を参照する。
図1~
図4に示すように、本実施形態では、複数の生体粒子Pを培養するための立体培養装置100を開示し、本実施形態の立体培養装置100は、容器1と、容器1に取り付けられた蓋体2と、容器1及び蓋体2内に充填された培養液3と、蓋体2内に取り付けられた駆動機構4を含むが、本発明はこれに限られない。
【0014】
即ち、本実施形態において、容器1、蓋体2および駆動機構4を合わせて、本実施形態では、培養液3を収容し、複数の生物粒子Pを培養液3に浸漬して培養するための生物培養器100aということができる。なお、本実施形態では、立体培養装置100を、生物培養器100aと培養液3との組み合わせとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本明細書に図示しない他の実施形態においても、生物培養器100aは、単独(例えば販売用)で、または他の構成要素と組み合わせて使用することができる。
【0015】
本実施形態では、
図3~
図5に示すように、容器1は、キャリア11と、キャリア11に取り付けられたホルダ12とを含み、キャリア11とホルダ12とが一緒になって、相互に連通するように離間的に配置された複数の収容ウェル13を形成する。さらに、容器1(例えば、キャリア11およびホルダ12)は、半導体チップまたは基部であってもよく、それに従って、複数の生体粒子Pを培養するのに適したサイズおよび構成を形成することができることに留意されたい。なお、容器1の具体的な構成及び種類は、設計要件に合わせることができ(例えば、
図4の場合、キャリア11及びホルダ12は一体型構成であり、又は、
図6の場合、ホルダ12はキャリア11に配置される)、本発明はここに限定されない。
【0016】
より詳細には、キャリア11はプレートの形態であり、キャリア11は、その上面に、間隔を空けた複数の濾過底部構造111が形成されており、ホルダ12は、間隔を空けた複数の環状壁121と、複数の環状壁121(キャリア11から離れた位置)を接続する上端面122とが形成されており、濾過底部構造111およびその濾過底部構造111のそれぞれに関連した環状壁121の各々は、収容ウェル13を一緒に定義する。複数の収容ウェル13の構成は、本実施形態において実質的に同じであるので、以下の説明は、主に収容ウェル13の1つの実施形態に基づいているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本明細書で図示しない他の実施形態においても、複数の収容ウェル13の構成は若干異なる場合がある。
【0017】
さらに、収容ウェル13の環状壁121は、少なくとも1つの生物粒子Pを(培養液3とともに)保持するための培養空間Sを画定している。ここで、濾過底部構造111は、基部1112と、基部1112に取り付けられた複数の直立アーム1111とを備え、複数の直立アーム1111が互いに離間し、任意の2つの隣接する直立アーム1111間の隙間Gが生物粒子Pの粒子サイズより小さいが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本明細書に図示されない他の実施形態において、濾過底部構造111は、複数の直立アーム1111以外のフィルター構成も採用し得る。
【0018】
本実施形態において、隙間Gは、好ましくは2ミクロン(μm)以下であり、直立アーム1111は、設計要件に応じて規則的(例えばマトリックス)または不規則(例えばランダム)な配置で配置され得る。ここで、複数の直立アーム1111が、好ましくは、濾過底部構造111が、生物粒子Pが自由に動くかまたは通過するのに十分な空隙を生じないような密度で基部1112上に分布する。
【0019】
さらに、複数の直立アーム1111は、5μmと15μmの間の平均高さHを有し、すなわち、それらの端部が共に起伏のある培養環境を形成するように、複数の直立アーム1111の間にわずかな高さの差があってもよい。ここで、各直立アーム1111は、好ましくは可撓性を有し、かつ、その端部は非鋭利であり、これにより、生物粒子Pと接触したときに直立アーム1111のいずれかが揺動することで、生物粒子Pの損傷を避けることができるが、本発明はこれに限られない。
【0020】
蓋体2は、容器1に対応する構成を有する。蓋体2は、連通部21と、連通部21に接続された複数の挿入管22と、連通部21に接続された外管23とを含む。本実施形態では、連通部21は板状であり、対向する側面に底面211と上面212を有し、連通部21の底面211に複数の挿入管22が接続され、連通部21の上面212に外管23が接続されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本明細書で図示しない他の実施形態において、蓋体2の外管23を省略したり、他の部品に置き換えたりしてもよい。
【0021】
さらに、複数の挿入管22を連通部21を介して互いに連結し、外管23を連通部21を介して挿入管22の各々に連結することもでき、すなわち、この実施形態では、蓋体2は中空構造であってもよいが、これは本発明の限定ではない。例えば、本明細書では図示しない他の実施形態において、蓋体2は、連通部21内に、複数の挿入管22と外管23とを連通する通路を有することもできる。
【0022】
さらに、蓋体2は、容器1に着脱可能に装着され、複数の挿入管22は、複数の収容ウェル13の培養空間Sにそれぞれ挿入され(例えば、各収容ウェル13に少なくとも1つの挿入管22が挿入可能)、各挿入管22は、対応する収容ウェル13の濾過底部構造111を介して培養空間Sに連通可能である。
【0023】
さらに、蓋体2は、本実施形態では、各収容ウェル13の培養空間Sが対応する挿入管22にのみ接続されるように、各収容ウェル13を閉じる(例えば、蓋体2は連通部21が上端面122に当接することにより複数の収容ウェル13を閉じる)、つまり、蓋体2(あるいは複数の挿入管22)が容器1の複数の濾過底部構造111を利用して複数の培養空間Sのみに接続できる。すなわち、蓋体2(または複数の挿入管22)は、容器1の複数の濾過底部構造111を介してのみ、複数の培養空間Sと連通することができる。
【0024】
培養液3は、複数の収容ウェル13の培養空間S内、及び蓋体2内(例えば、連通部21、複数の挿入管22、及び外管23)に充填されており、各培養空間Sに位置する少なくとも1つの生体粒子Pが培養液3中に浸漬される。本実施形態では、複数の収容ウェル13が蓋体2によって閉じられているため、各培養空間S内の空気は一定に保たれる。
【0025】
さらに、本実施形態では、培養液3は、蓋体2と複数の収容ウェル13の濾過底部構造111とを介して複数の培養空間S間を流れることができるので、複数の培養空間Sに位置する複数の生体粒子Pが培養液3を介して互いに生体信号を伝達し、複数の生体粒子Pの生存率(サバイバルレート)を有効に高めることができる。
【0026】
また、本実施形態では、駆動機構4を圧電マイクロ制御素子で説明し、駆動機構4を蓋体2の外管23に設置したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本明細書では図示しない他の実施形態において、蓋体2が外管23を省略し、駆動機構4が蓋体2の連通部21に設置されていてもよい。
【0027】
従って、駆動機構4は、蓋体2によって各培養空間Sにおける培養液3の体積を制御することができる。さらに、本実施形態では、
図7および
図8に示すように、駆動機構4は、培養液3が各培養空間Sに流入または流出するように蓋体2内の培養液3を駆動し、各培養空間S内の培養液3の体積(または液位)を制御するように用いることができる。ここで、本実施形態では、培養空間S内の複数の培養液3は、好ましくは同じ液面を有しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
要約すると、本実施形態に開示された立体培養装置100(又は生物培養器100a)は、複数の収容ウェル13と蓋体2との間(例えば、培養空間Sが連通部21及び複数の挿入管22に連通されて培養液3の充填を容易にする)に構成されており、各収容ウェル13内の培養液3の体積を液圧手段によって定常的に制御することができるので、複数の生物粒子Pの培養を容易にすることが可能である。
【0029】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態を示す
図9を参照されたい。本実施形態は、上記第1の実施形態と類似しているため、両実施形態の類似点の説明は繰り返さず、本実施形態と上記第1の実施形態との相違点を大別すると、以下のようになる。
【0030】
本実施形態において、複数の挿入管22のうち少なくとも1つは、その管口221以外の部分(例えば側壁)に複数のフィルター孔222が形成されてもよい。また、複数のフィルター孔222が形成された挿入管22の少なくとも1つは、複数のフィルター孔222を介して対応する培養空間Sに接続可能であり、複数のフィルター孔222は対応する濾過底部構造111に隣接して培養液3中に浸漬される。
【0031】
すなわち、本実施形態において、キャップ本体2(または複数の挿入管22)は、複数の濾過底部構造111と複数のフィルター孔222とによって、複数の培養空間Sに連通することができる。さらに、複数のフィルター孔222は、好ましくは、平均孔径が1μm以下であるが、これは本発明の限定ではない。
【0032】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態については、
図10及び
図11を参照されたい。本実施形態は、上記第1の実施形態と類似しているため、両実施形態の類似点の説明は繰り返さず、本実施形態と上記第1の実施形態との相違点を大別すると、以下の通りである。
【0033】
本実施形態において、立体培養装置100の収容ウェル13の各々は、底構造112と、底構造112に取り付けられた環状壁121とを有し、底構造112はフィルター機能を有さず、環状壁121は第1の実施形態に規定された通りである。
【0034】
さらに、蓋体2の挿入管22のそれぞれには、管口221以外の部分(例えば側壁)に複数のフィルター孔222が形成されており、挿入管22のそれぞれが複数のフィルター孔222を介して対応する培養空間Sに連通され得るようになっている。即ち、この実施形態では蓋体2(あるいは複数の挿入管22)は、複数のフィルター孔222のみを介して複数の培養空間Sに連通され得る。
【0035】
さらに、各挿入管22の複数のフィルター孔222は、対応する底部構造112に隣接して培養液3に浸漬され、各挿入管22の複数のフィルター孔222は、1ミクロン未満の平均孔径を有する。従って、駆動機構4は、各培養空間Sにおける培養液3の量を制御するために、各培養空間Sに培養液3が流入又は流出するように蓋体2内の培養液3を駆動することができ、複数の生物粒子Pの培養を容易にする。
【0036】
さらに、各挿入管22の複数のフィルター孔222を通る培養液3の円滑な流れを可能にするために、各挿入管22の管口221は好ましくは閉じられ、例えば、挿入管22の端部は底構造112に当接し、したがって管口221を閉じ、代わりに、管口221が閉じられるように、挿入管22が形成されてもよい。
【0037】
[実施形態による効果]
以上、本発明の本実施形態に開示された立体培養装置および生物培養器は、複数の収容ウェルと蓋体との構成(例えば、培養空間が連通部および複数の挿入管に連通されて培養液の充填を容易にする)によって、各収容ウェル内の培養液量を液圧によって安定的に制御できるため、複数種の生物粒子の培養が容易である。
【0038】
さらに、本発明の本実施形態に開示された立体培養装置および生物培養器は、培養空間が連通部および複数の挿入管に連通され、共同で培養液が充填されていることに基づいて、複数の培養空間に位置する複数の生物粒子が培養液を介して互いに生体信号を伝達することができるので、複数の生物粒子の生存率を有効に高めることができる。
【0039】
以上に開示される内容は本発明の好ましい実施可能な実施形態に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではないので、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0040】
100:立体培養装置
1:容器
11:キャリア
111:濾過底部構造
1111:直立アーム
1112:基部
112:底構造
12:ホルダ
121:環状壁
122:上端面
13:収容ウェル
2: 蓋体
21:連通部
211:底面
212:上面
22: 挿入管
221:管口
222:フィルター孔
23:外管
3:培養液
4:駆動機構
100a:生物培養器
S:培養空間
P:生物粒子
G:隙間
H:平均高さ
【手続補正書】
【提出日】2024-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物粒子を培養するための立体培養装置であって、
濾過機能付き底部構造と、前記濾過機能付き底部構造に取り付けられ、前記生物粒子を少なくとも1つを収容するための培養空間を前記濾過機能付き底部構造にて区画する環状壁と、をそれぞれが備える、複数の収容ウェルと、
連通部と、前記連通部を介して互いに連通可能に前記連通部に接続され、複数の前記収容ウェルにおける培養空間にそれぞれ挿入され、前記濾過機能付き底部構造を介して対応する前記収容ウェルの前記培養空間と連通する複数の挿入管とを備える、蓋体と、
複数の前記収容ウェルの前記培養空間、前記蓋体、及び複数の前記挿入管の前記連通部を満たすことで、前記培養空間のそれぞれに位置する前記生物粒子の少なくとも1つを浸す、培養液と、
前記蓋体に取り付けられ、前記蓋体内の前記培養液を駆動して、前記培養液を前記培養空間のそれぞれに流入または流出させ、前記培養空間のそれぞれにおける前記培養液の量を制御する、駆動機構と、
を具備することを特徴とする、立体培養装置。
【請求項2】
前記蓋体は、前記各収容ウェル内の前記培養空間が対応する前記挿入管にのみ連通するように、前記各収容ウェルを閉じることが可能である、請求項1に記載の立体培養装置。
【請求項3】
前記培養液は、前記蓋体および前記複数の収容ウェルの前記濾過機能付き底部構造を介して複数の前記培養空間を流れることができ、複数の前記培養空間に位置する前記生物粒子が、前記培養液を介して互いに生物信号を伝達できる、請求項1に記載の立体培養装置。
【請求項4】
前記収容ウェルの各々において、前記濾過機能付き底部構造は、基部と、前記基部に取り付けられた複数の直立アームとを備え、複数の前記直立アームは互いに離間しており、互いに隣接する前記直立アームの間の隙間は、前記生物粒子の粒子サイズよりも小さい、請求項1に記載の立体培養装置。
【請求項5】
前記隙間は2ミクロン(μm)以下であり、複数の前記直立アームは5μm以上15μm以下の平均高さを有する、請求項4に記載の立体培養装置。
【請求項6】
間隔をおいて配置される複数の前記濾過機能付き底部構造が形成され、板状に構成されるキャリアと、
複数の前記収容ウェルを形成するように前記キャリアに接続され、互いに間隔をあけて配置された複数の環状壁が配置された、ホルダと、
を備える、請求項4に記載の立体培養装置。
【請求項7】
前記キャリアおよび前記ホルダは、さらに半導体チップとされ、前記駆動機構は、圧電(piezoelectric)マイクロ制御素子である、請求項6に記載の立体培養装置。
【請求項8】
前記ホルダは、複数の前記環状壁を連結する上端面を有し、前記蓋体は、前記連通部を介して前記上端面に当接して複数の前記収容ウェルを閉鎖する、請求項6に記載の立体培養装置。
【請求項9】
前記連通部は板状であり、底面及び上面を有し、前記連通部の前記底面には複数の前記挿入管が接続され、前記蓋体は前記上面に接続された外管を有し、前記外管は前記連通部を介して前記各挿入管に連通され、前記駆動機構は前記外管に取り付けられる、請求項1記載の立体培養装置。
【請求項10】
前記挿入管の少なくとも1つには、複数のフィルター孔が形成されており、前記挿入管の少なくとも1つは、複数の前記フィルター孔を介して対応する前記培養空間に連通可能である、請求項1に記載の立体培養装置。
【請求項11】
複数の前記フィルター孔は、1ミクロン未満の平均孔径を有する、請求項10に記載の立体培養装置。
【請求項12】
複数の前記フィルター孔が、対応する前記濾過機能付き底部構造に隣接し、前記培養液に浸漬される、請求項10に記載の立体培養装置。
【請求項13】
培養液を保持し、複数の生物粒子を前記培養液に浸漬して培養するための生物培養器であって、
濾過機能付き底部構造と、前記生物粒子を少なくとも1つ及び培養液を収容するための培養空間を前記濾過機能付き底部構造にて区画するように前記濾過機能付き底部構造に取り付けられる環状壁と、を含むと共に互いに間隔をおいて連通される複数の収容ウェルを備える、容器と、
連通部と、前記連通部を介して互いに連通可能に前記連通部に接続され、複数の前記収容ウェルにおける培養空間にそれぞれ挿入され、前記濾過機能付き底部構造を介して対応する前記収容ウェルの前記培養空間と連通する複数の挿入管とを備える、蓋体と、
前記蓋体に取り付けられ、前記蓋体を介して前記各培養空間内の前記培養液の量を制御する駆動機構と、
を具備することを特徴とする、生物培養器。
【請求項14】
板状で、間隔をおいて配置される複数の前記濾過機能付き底部構造が形成された、キャリアと、
複数の前記収容ウェルを形成するように前記キャリアに接続され、互いに間隔をあけて配置された複数の環状壁と、前記複数の環状壁を連結する上端面とが配置された、ホルダと、を備え、
前記蓋体が、前記連通部が前記上端面に押し付けられることによって、複数の前記収容ウェルを閉鎖する、請求項13に記載の生物培養器。
【請求項15】
前記収容ウェルの各々において、前記濾過機能付き底部構造は、複数の直立アームを備え、前記複数の直立アームは、互いに離間しており、互いに隣接する前記直立アームの間の隙間は、前記生物粒子の少なくとも1つの粒子サイズよりも小さい、請求項14に記載の生物培養器。
【請求項16】
前記隙間は2ミクロン以下であり、複数の前記直立アームは5ミクロンから15ミクロンの間の平均高さを有する、請求項15に記載の生物培養器。
【請求項17】
前記連通部は板状であり、底面及び上面を有し、前記連通部の前記底面には複数の前記挿入管が接続され、前記蓋体は前記上面に接続された外管を有し、前記外管は前記連通部を介して前記各挿入管に連通され、前記駆動機構は前記外管に取り付けられる、請求項13記載の生物培養器。
【請求項18】
前記挿入管の少なくとも1つには、複数のフィルター孔が形成されており、前記挿入管の少なくとも1つは、複数の前記フィルター孔を介して対応する前記培養空間に連通可能であり、各前記挿入管の複数の前記フィルター孔は、1ミクロン未満の平均孔径を有する、請求項13に記載の生物培養器。
【請求項19】
生物粒子を培養するための立体培養装置であって、
底部構造と、前記生物粒子を少なくとも1つを収容するための培養空間を区画するように前記底部構造に取り付けられる環状壁と、を含むと共に互いに間隔をおいて連通される複数の収容ウェルを備える、容器と、
連通部と、前記連通部を介して互いに連通可能に前記連通部に接続され、複数のフィルター孔が形成されており、複数の前記収容ウェルにおける培養空間にそれぞれ挿入され、複数の前記フィルター孔を介して対応する前記収容ウェルの前記培養空間と連通する複数の挿入管と、を備える、蓋体と、
複数の前記収容ウェルの前記培養空間、前記蓋体、及び複数の前記挿入管の前記連通部を満たすことで、前記培養空間のそれぞれに位置する前記生物粒子の少なくとも1つを浸す、培養液と、
前記蓋体に取り付けられ、前記蓋体内の前記培養液を駆動して、前記培養液を前記培養空間のそれぞれに流入または流出させ、前記培養空間のそれぞれにおける前記培養液の量を制御する、駆動機構と、
を具備することを特徴とする、立体培養装置。
【請求項20】
各前記挿入管の複数の前記フィルター孔は、対応する前記底部構造に隣接し、前記培養液に浸漬され、各前記挿入管の複数の前記フィルター孔は、1ミクロン未満の平均孔径を有する、請求項19に記載の立体培養装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明のこの実施形態は、生物粒子を培養するための立体培養装置を開示する。立体培養装置は、濾過機能付き底部構造と、濾過機能付き底部構造に取り付けられ、生物粒子を少なくとも1つを収容するための培養空間を濾過機能付き底部構造にて区画する環状壁と、をそれぞれが備える、複数の収容ウェルと、連通部と、連通部を介して互いに連通可能に連通部に接続され、複数の収容ウェルにおける培養空間にそれぞれ挿入され、濾過機能付き底部構造を介して対応する収容ウェルの培養空間と連通する複数の挿入管とを備える、蓋体と、複数の収容ウェルの培養空間、蓋体、及び複数の挿入管の連通部を満たすことで、培養空間のそれぞれに位置する生物粒子の少なくとも1つを浸す、培養液と、蓋体に取り付けられ、蓋体内の培養液を駆動して、培養液を培養空間のそれぞれに流入または流出させ、培養空間のそれぞれにおける培養液の量を制御する、駆動機構と、を具備する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明のこの実施形態はまた、培養液を保持し、複数の生物粒子を培養液に浸漬して培養するための生物培養器を開示する。生物培養器は、濾過機能付き底部構造と、生物粒子を少なくとも1つ及び培養液を収容するための培養空間を濾過機能付き底部構造にて区画するように濾過機能付き底部構造に取り付けられる環状壁と、を含むと共に互いに間隔をおいて連通される複数の収容ウェルを備える、容器と、連通部と、連通部を介して互いに連通可能に連通部に接続され、複数の収容ウェルにおける培養空間にそれぞれ挿入され、濾過機能付き底部構造を介して対応する収容ウェルの培養空間と連通する複数の挿入管とを備える、蓋体と、蓋体に取り付けられ、蓋体を介して各培養空間内の培養液の量を制御する駆動機構とを具備する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の実施形態はまた、生物粒子を培養するための立体培養装置を開示する。立体培養装置は、底部構造と、生物粒子を少なくとも1つを収容するための培養空間を濾過機能付き底部構造にて区画するように底部構造に取り付けられる環状壁と、を含むと共に互いに間隔をおいて連通される複数の収容ウェルを備える、容器と、連通部と、連通部を介して互いに連通可能に連通部に接続され、複数のフィルター孔が形成されており、複数の収容ウェルにおける培養空間にそれぞれ挿入され、複数フィルター孔を介して対応する収容ウェルの培養空間と連通する複数の挿入管と、を備える、蓋体と、複数の収容ウェルの培養空間、蓋体、及び複数の挿入管の連通部を満たすことで、培養空間のそれぞれに位置する生物粒子の少なくとも1つを浸す、培養液と、蓋体に取り付けられ、蓋体内の培養液を駆動して、培養液を培養空間のそれぞれに流入または流出させ、培養空間のそれぞれにおける培養液の量を制御する、駆動機構と、を具備する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
より詳細には、キャリア11はプレートの形態であり、キャリア11は、その上面に、間隔を空けた複数の濾過機能付き底部構造111が形成されており、ホルダ12は、間隔を空けた複数の環状壁121と、複数の環状壁121(キャリア11から離れた位置)を接続する上端面122とが形成されており、濾過機能付き底部構造111およびその濾過機能付き底部構造111のそれぞれに関連した環状壁121の各々は、収容ウェル13を一緒に定義する。複数の収容ウェル13の構成は、本実施形態において実質的に同じであるので、以下の説明は、主に収容ウェル13の1つの実施形態に基づいているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本明細書で図示しない他の実施形態においても、複数の収容ウェル13の構成は若干異なる場合がある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
さらに、収容ウェル13の環状壁121は、少なくとも1つの生物粒子Pを(培養液3とともに)保持するための培養空間Sを画定している。ここで、濾過機能付き底部構造111は、基部1112と、基部1112に取り付けられた複数の直立アーム1111とを備え、複数の直立アーム1111が互いに離間し、任意の2つの隣接する直立アーム1111間の隙間Gが生物粒子Pの粒子サイズより小さいが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本明細書に図示されない他の実施形態において、濾過機能付き底部構造111は、複数の直立アーム1111以外のフィルター構成も採用し得る。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本実施形態において、隙間Gは、好ましくは2ミクロン(μm)以下であり、直立アーム1111は、設計要件に応じて規則的(例えばマトリックス)または不規則(例えばランダム)な配置で配置され得る。ここで、複数の直立アーム1111が、好ましくは、濾過機能付き底部構造111が、生物粒子Pが自由に動くかまたは通過するのに十分な空隙を生じないような密度で基部1112上に分布する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
さらに、蓋体2は、容器1に着脱可能に装着され、複数の挿入管22は、複数の収容ウェル13の培養空間Sにそれぞれ挿入され(例えば、各収容ウェル13に少なくとも1つの挿入管22が挿入可能)、各挿入管22は、対応する収容ウェル13の濾過機能付き底部構造111を介して培養空間Sに連通可能である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
さらに、蓋体2は、本実施形態では、各収容ウェル13の培養空間Sが対応する挿入管22にのみ接続されるように、各収容ウェル13を閉じる(例えば、蓋体2は連通部21が上端面122に当接することにより複数の収容ウェル13を閉じる)、つまり、蓋体2(あるいは複数の挿入管22)が容器1の複数の濾過機能付き底部構造111を利用して複数の培養空間Sのみに接続できる。すなわち、蓋体2(または複数の挿入管22)は、容器1の複数の濾過機能付き底部構造111を介してのみ、複数の培養空間Sと連通することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
さらに、本実施形態では、培養液3は、蓋体2と複数の収容ウェル13の濾過機能付き底部構造111とを介して複数の培養空間S間を流れることができるので、複数の培養空間Sに位置する複数の生体粒子Pが培養液3を介して互いに生体信号を伝達し、複数の生体粒子Pの生存率(サバイバルレート)を有効に高めることができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本実施形態において、複数の挿入管22のうち少なくとも1つは、その管口221以外の部分(例えば側壁)に複数のフィルター孔222が形成されてもよい。また、複数のフィルター孔222が形成された挿入管22の少なくとも1つは、複数のフィルター孔222を介して対応する培養空間Sに接続可能であり、複数のフィルター孔222は対応する濾過機能付き底部構造111に隣接して培養液3中に浸漬される。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
すなわち、本実施形態において、キャップ本体2(または複数の挿入管22)は、複数の濾過機能付き底部構造111と複数のフィルター孔222とによって、複数の培養空間Sに連通することができる。さらに、複数のフィルター孔222は、好ましくは、平均孔径が1μm以下であるが、これは本発明の限定ではない。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
100:立体培養装置
1:容器
11:キャリア
111:濾過機能付き底部構造
1111:直立アーム
1112:基部
112:底構造
12:ホルダ
121:環状壁
122:上端面
13:収容ウェル
2: 蓋体
21:連通部
211:底面
212:上面
22: 挿入管
221:管口
222:フィルター孔
23:外管
3:培養液
4:駆動機構
100a:生物培養器
S:培養空間
P:生物粒子
G:隙間
H:平均高さ