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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110387
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】情報処理装置及び薬剤収納装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20240807BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177165
(22)【出願日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2023014355
(32)【優先日】2023-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003236
【氏名又は名称】弁理士法人杉浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】延壽 和魂
(72)【発明者】
【氏名】▲配▼嶋 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 達生
(72)【発明者】
【氏名】町田 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】畠山 潤
(72)【発明者】
【氏名】西郷 栄子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】例えば、患者の服薬行動の適正さを分類できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】少なくとも、服薬率と、患者の服薬行動に関するイレギュラー率とに基づいて、患者に対して、服薬行動の適正さについての分類を生成する分類生成部を有する、情報処理装置である。
【選択図】図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、服薬率と、患者の服薬行動に関するイレギュラー率とに基づいて、前記患者に対して、服薬行動の適正さについての分類を生成する分類生成部を有する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記分類生成部は、前記服薬率と前記イレギュラー率とに基づいて、前記患者に対して、認知機能に関する分類を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記服薬率は、服薬回数に対して患者が実際に服薬した回数の割合によって規定される、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記イレギュラー率は、服薬回数に対してイレギュラーと判断された服薬行動の回数の割合によって規定される、
請求項1又2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記患者の年齢に応じた前記服薬率の変化、及び、前記患者の年齢に応じた前記イレギュラー率の変化を示すグラフを生成するグラフ生成部を有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記患者の年齢に応じた前記認知機能の変化を示すグラフを生成するグラフ生成部を有する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
薬剤収納箱を収納可能な内部空間を有する筐体と、
前記内部空間に薬剤収納箱が収納されたことを検出する検出部と、
前記内部空間に収納された前記薬剤収納箱を、予め設定された時刻に取り出すことを容易とするロック部と、
前記ロック部の動作状態及び非動作状態を切替可能な制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、制御対象の前記ロック部を変更する、
請求項1に記載の薬剤収納装置。
【請求項8】
前記検出部の検出結果に応じて、前記内部空間に収納された薬剤収納箱の大きさを判定する制御部を有する、
請求項7に記載の薬剤収納装置。
【請求項9】
前記ロック部は、電磁ロックにより構成される、
請求項7又は8に記載の薬剤収納装置。
【請求項10】
前記電磁ロックの前記動作状態における吸着力が調整可能とされる、
請求項9に記載の薬剤収納装置。
【請求項11】
残薬数と服薬率、前記残薬数と患者の服薬行動に関するイレギュラー率、及び、前記残薬数と前記服薬率と前記イレギュラー率、の何れかの組み合わせに基づいて、前記患者に対して、前記服薬行動の適正さについての分類又は/及び認知機能に関する分類を生成する分類生成部を有する、
情報処理装置。
【請求項12】
薬剤収納箱を収納可能な内部空間を有する筐体と、
前記内部空間に薬剤収納箱が収納されたことを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に応じて、前記内部空間に収納された薬剤収納箱の大きさを判定する制御部と、
を有し、
前記筐体において、前記内部空間は、少なくとも所定単位の2倍以上の任意の大きさを有しており、
前記所定単位は、前記内部空間に収納可能な前記薬剤収納箱のうち最小の薬剤収納箱の大きさである、
薬剤収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び薬剤収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病気の患者にとって薬剤の服用タイミングや服用履歴を忘れることなく全て覚えておくことは困難であり、また、これらをメモ等で残しておくことも面倒である。そこで、従来から、患者の服薬を支援する服薬支援装置が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、薬剤の服用時刻を報知する薬収納箱が記載されている。特許文献1に記載の薬収納箱の内部には、3回の服用時刻(朝、昼、夜)に対応して3個の薬収納ケースが収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-244373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、薬収納箱に3個の薬収納ケースしかできないため、1日の薬剤の服用回数が3回の場合にしか対応できないという問題があった。薬剤によっては服用回数が例えば4回(朝、昼、夕、就寝前)のような場合もあるが、特許文献1の記載の技術では各服用タイミングに対応する薬剤を別々の薬収納ケースに収納することができなかった。また、服用対象の薬剤の大きさも一包化薬や錠剤のような比較的小さいものだけでなく、チューブに内蔵されるゼリー状のものや薬剤が充填された注射器等の大きいものもある。このような場合に、服用回数がたとえ3回であっても、特許文献1に記載の薬収納箱は薬収納ケースの大きさが全て同じであるため、大きい薬剤を収納できないという問題があった。
【0005】
従って、薬剤を収納する薬剤収納箱の大きさをカスタマイズできる装置にすれば、患者の服薬を効果的に支援することが可能となる。さらに、薬剤収納箱の大きさを判定できるようにすれば、薬剤収納装置のユーザーとなり得る薬剤師や患者に対して、様々な支援をできる可能性が広がる。また、薬剤収納箱の例えば開閉を検知して履歴として記録することで、患者の服薬行動の記録ができる。
【0006】
そこで本発明は、薬剤収納装置の内部空間に収納される薬剤収納箱の大きさをカスタマイズでき、さらに、当該薬剤収納箱の大きさや開閉を判定できるようにした薬剤収納装置を提供することを目的の一つとする。また、薬剤収納装置とデータのやりとりが可能な情報処理装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、
少なくとも、服薬率と、患者の服薬行動に関するイレギュラー率とに基づいて、患者の服薬行動の適正さについての分類を生成する分類生成部を有する、
情報処理装置である。
【0008】
本発明は、例えば、
残薬数と服薬率、残薬数と患者の服薬行動に関するイレギュラー率、及び、残薬数と服薬率とイレギュラー率、の何れかの組み合わせに基づいて、患者に対して、服薬行動の適正さについての分類又は/及び認知機能に関する分類を生成する分類生成部を有する、
情報処理装置である。
【0009】
本発明は、例えば、
薬剤収納箱を収納可能な内部空間を有する筐体と、
内部空間に薬剤収納箱が収納されたことを検出する検出部と、
検出部の検出結果に応じて、内部空間に収納された薬剤収納箱の大きさを判定する制御部と、
を有し、
筐体において、内部空間は、少なくとも所定単位の2倍以上の任意の大きさを有しており、
所定単位は、内部空間に収納可能な薬剤収納箱のうち最小の薬剤収納箱の大きさである、
薬剤収納装置である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る薬剤収納装置の外観例を示す図である。
図2】実施形態に係る薬剤収納装置の凹部にスマートホンが収納された状態を示す図である
図3】実施形態に係る薬剤収納装置の部分的な断面を示す部分断面図である。
図4】実施形態に係る第1薬剤収納箱の外観例を示す図である。
図5】実施形態に係る第1薬剤収納箱が筐体内に収納された状態を示す図である。
図6】所定の第1薬剤収納箱が筐体から引き出された状態を示す図である。
図7】実施形態に係る第2薬剤収納箱の外観例を示す図である。
図8】実施形態に係る第2薬剤収納箱を収納するための第2収納空間が筐体内に設定された状態を示す図である。
図9】実施形態に係る第2薬剤収納箱等が筐体内に収納された状態を示す図である。
図10】実施形態に係る第2薬剤収納箱が筐体から引き出された状態を示す図である。
図11】実施形態に係る薬剤収納装置の内部構成例を説明するための図である。
図12】実施形態に係るスマートホンの内部構成例を説明するための図である。
図13】GUI(Graphical User Interface)の一例を説明するためのである。
図14図13に示すGUIから遷移して表示されるGUIの一例を説明するためのである。
図15】GUIの他の例を説明するためのである。
図16】実施形態に係る薬剤収納装置とスマートホンとの間で行われる処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図17】実施形態に係る検出部の検出結果に応じて行われる処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図18】実施形態に係る検出部の検出結果に応じて変更されたGUIの一例を説明するためのである。
図19】実施形態に係る検出部の検出結果に応じて変更されたGUIの一例を説明するためのである。
図20】第2の実施形態に係る情報処理システムの構成例を説明するための図である。
図21】第2の実施形態に係る服用時刻の設定画面の一例を示す図である。
図22】第2の実施形態に係る薬剤収納装置の使用態様例を説明するための図である。
図23】第2の実施形態に係るサーバーの内部構成例を説明するための図である。
図24】第2の実施形態に係る薬局側コンピュータの内部構成例を説明するための図である。
図25】第2の実施形態に係る服薬履歴情報の一例を説明するための図である。
図26】第2の実施形態に係るイレギュラー率についての説明がなされる際に参照される図である。
図27】第2の実施形態に係るグラフ生成部が生成するグラフの一例を示す図である。
図28】第2の実施形態に係る薬局側コンピュータで表示されるGUIの一例を示す図である。
図29】第2の実施形態に係る薬局側コンピュータで表示されるGUIの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態等について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態等は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容がこれらの実施形態等に限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
<第1の実施形態>
<第2の実施形態>
<変形例>
なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものではない。特に、実施形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置、上下左右等の方向の記載等は特に限定する旨の記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがあり、また、図示が煩雑となることを防止するために、参照符号の一部のみを図示する場合や図示の一部を簡略化する場合もある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複する説明を適宜省略する。
【0012】
<第1の実施形態>
[薬剤収納装置の形状例]
図1は、実施形態に係る薬剤収納装置(薬剤収納装置1)の外観例を示す。患者は、処方箋に記述された薬剤を薬局の薬剤師に薬剤収納装置1に収納してもらう。その後、薬剤収納装置1を自宅に持ち帰り、所定の服用タイミングで薬剤収納装置1に収納された薬剤を服用する。
【0013】
薬剤収納装置1は、商用電源から供給される電力や、薬剤収納装置1とUSB(Universal Serial Bus)接続された装置やバッテリ等から供給される電力等を使用して動作する。薬剤収納装置1は、例えば、可搬可能な程度の大きさ(例えばティッシュ箱程度の大きさ)である。なお、薬剤収納装置1の全体形状は箱状に限定されることなく、円筒形状等の他の形状であってもよい。
【0014】
薬剤収納装置1は、略直方体状の形状を有する筐体10を有する。筐体10は、樹脂や金属等によって構成される。図1に示すように、筐体10は、前面部10A、背面部10B、上面部10C、底面部10D、右側面部10E、及び、左側面部10Fを有する。以下の説明では、前面部10Aの長手方向をX方向、当該X方向と直交する方向(筐体10の奥行方向)をY方向、X方向及びY方向と直交する方向(筐体10の厚み方向)をZ方向と適宜称する。
【0015】
筐体10は、内部に薬剤収納箱(詳細は後述する)を収納可能な内部空間SPを有している。筐体10の前面部10Aには、内部空間SPに連通する矩形状の開口部が形成されている。例えば、X方向に沿って左側から4個の開口部(開口部11A、開口部11B、開口部11C、及び、開口部11D)が前面部10Aに形成されている。なお、個々の開口部を区別する必要が無い場合は、開口部11と総称する。
【0016】
開口部間には、隔壁部が形成されている。一例として、開口部11Aと開口部11Bとの間には隔壁部12Aが、開口部11Bと開口部11Cとの間には隔壁部12Bが、開口部11Cと開口部11Dとの間には隔壁部12Cが、それぞれ形成されている。なお、個々の隔壁部を区別する必要が無い場合は、隔壁部12と総称する。
【0017】
隔壁部12は、例えば棒状の形状を有しており、筐体10に対して着脱自在とされている。具体的には、隔壁部12は、前面部10Aから筐体10のやや内部にかけての箇所に着脱自在とされている。例えば、筐体10の上面部10Cの内面、及び、底面部10Dの内面のそれぞれに溝部(不図示)が形成されており、この溝部に隔壁部12の上下両端をそれぞれ係合させることで、隔壁部12を筐体10に取り付けることができる。また、溝部から隔壁部12の両端を抜くことで、隔壁部12を筐体10から取り外すことができる。
【0018】
隔壁部12A、隔壁部12B、及び、隔壁部12Cを全て取り付けることで、上述した4個の開口部が形成される。すなわち、3個の隔壁部12の全てを筐体10に取り付けることで、内部空間SP内に、開口部11Aと連通し当該開口部11Aを内部空間SPに仮想的にスライドさせた領域を有する内部空間SP1、開口部11Bと連通し当該開口部11Bを内部空間SPに仮想的にスライドさせた領域を有する内部空間SP2、開口部11Cと連通し当該開口部11Cを内部空間SPに仮想的にスライドさせた領域を有する内部空間SP3、開口部11Dと連通し当該開口部11Dを内部空間SPに仮想的にスライドさせた領域を有する内部空間SP4が設定される。内部空間SP1~SP4は、略同じ大きさである。なお、本明細書における大きさは幅(X方向の長さ)を意味するが、空間的な大きさ(容積)であってもよい。なお、別の観点でみれば、隔壁部12の一部や全てを取り外せば、前面部10Aにおける開口部の大きさを変化させることができる。内部空間SP1、内部空間SP2、内部空間SP3、及び、内部空間SP4のそれぞれが、後述する第1薬剤収納箱(後述する第1薬剤収納箱100)を収納可能な第1収納空間の一例に対応している。
【0019】
薬剤収納装置1は、筐体10の前面部10Aに設けられた発光装置13を有する。発光装置13は、複数の発光部、例えば、4個の発光部を有する。発光部は例えばLED(Light Emitting Diode)であり、薬剤収納装置1は、4個の発光部として、第1LED13A、第2LED13B、第3LED13C、及び、第4LED13Dを有する。第1LED13Aは開口部11Aの上側(+Z方向側)に形成され、第2LED13Bは開口部11Bの上側に形成され、第3LED13Cは開口部11Cの上側に形成され、第4LED13Dは開口部11Dの上側に形成されている。4個のLEDのそれぞれは、薬剤の服用タイミングを光で報知する報知部の一例として機能する。4個のLEDの発光色は同色でもよいし、異なっていてもよい。
【0020】
薬剤収納装置1は、筐体10の上面部10Cに形成され、-Z方向にやや凹む凹部14を有する。凹部14には、薬剤収納装置1に対する入力装置として使用され、薬剤収納装置1と通信可能な装置が収納される。係る装置の一例として本実施形態ではスマートホン(後述するスマートホン30)が使用される。
【0021】
図2は、凹部14にスマートホン30が収納された状態を示す。スマートホン30は、タッチパネルとして構成されたディスプレイ302を有する。スマートホン30は、ディスプレイ302が上面を向くようにして凹部14に収納される。スマートホン30が薬剤収納装置1と近接した状態、例えば凹部14に収納された状態で、スマートホン30と薬剤収納装置1との間で通信が可能となる。スマートホン30と薬剤収納装置1との間で行われる通信としては、LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、WUSB(Wireless USB)、BLE(Bluetooth Low Energy)等が挙げられる。本実施形態では、スマートホン30と薬剤収納装置1との間でBLEに基づく通信が行われるものとして説明する。薬剤収納装置1のユーザーである薬剤師や患者は、ディスプレイ302に対するタッチ操作を行うことで、薬剤収納装置1に対する各種設定を行う。
【0022】
スマートホン30へのタッチ操作は、スマートホン30が凹部14に収納されていない状態でも行うことができるが、凹部14に収納された状態のほうが片手でスマートホン30を持つ必要がないので誤入力を発生しづらくすることができる。本実施形態に係るスマートホン30は薬剤収納装置1専用の携帯端末であるが、ユーザーが所有するスマートホンを使用することも可能である。また、必ずしも入力装置としてスマートホンが使用される必要は無い。例えば、入力装置として機能するタッチパネルやボタン等が薬剤収納装置1の筐体10に設けられる構成でもよい。
【0023】
凹部14のX方向両端側には、放音孔15A及び放音孔15Bが形成されている。放音孔15A及び放音孔15Bは、凹部14の内部空間と連通している。スマートホン30から再生された音がスマートホン30のスピーカだけでなく放音孔15A及び放音孔15Bからも出力される。これによりスマートホン30から再生された音を患者が聞き取りやすくすることができる。
【0024】
図3は、薬剤収納装置1の部分的な断面を示す部分断面図である。具体的に図3は、薬剤収納装置1の内部空間SP3を含む箇所をY方向に沿って切断した場合の断面を含む部分断面図である。
【0025】
背面部10Bの内面のうち内部空間SP3の最も奥に位置する面部16Cには、電磁ロック17C及び検出部18Cが設けられている。電磁ロック17Cは、電流制御によって動作状態/非動作状態の切替が可能なものである。電磁ロック17Cはその一部が背面部10Bに内蔵されており一部が面部16Cに露出している。電磁ロック17Cの一部が背面部10Bに内蔵されていなくてもよい。
【0026】
検出部18Cは、面部16Cへの薬剤収納箱の接触(近接を含む)を検出するセンサである。本実施形態では検出部18Cとしてレバースイッチが使用される。検出部18Cとしてレバースイッチではなく、磁石を用いたセンサや感圧センサを用いることもできる。
【0027】
なお、図示されていないが、背面部10Bの内面のうち内部空間SP1の最も奥に位置する面部16Aには、電磁ロック17A及び検出部18Aが設けられている。同様に、背面部10Bの内面のうち内部空間SP2の最も奥に位置する面部16Bには、電磁ロック17B及び検出部18Bが設けられている(図3参照)。また図示されていないが、背面部10Bの内面のうち内部空間SP4の最も奥に位置する面部16Dには、電磁ロック17D及び検出部18Dが設けられている。なお、個々の電磁ロックを区別する必要がない場合は電磁ロック17と総称する。また、個々の検出部を区別する必要がない場合は検出部18と総称する。
【0028】
[薬剤収納箱について]
薬剤収納装置1の内部空間SPには、一例として2種類の薬剤収納箱(第1薬剤収納箱100及び第2薬剤収納箱200)が収納可能とされる。なお、第1薬剤収納箱100及び第2薬剤収納箱200を特に区別する必要がない場合には、単に薬剤収納箱と称する場合がある。
【0029】
第1薬剤収納箱100のサイズ(第1の大きさ)は、薬剤収納装置の内部空間SP1~SP4のそれぞれの大きさに対応した大きさとなっている。言い換えると、第1薬剤収納箱100のサイズ(第1の大きさ)と、内部空間SP1~SP4のそれぞれの大きさは大凡同じ大きさである。第1薬剤収納箱100のサイズ(第1の大きさ)は、筐体10の内部空間SPに収納可能な薬剤収納箱のうち、最小の大きさであり、所定単位(1単位)に対応する大きさである。筐体10において、複数の薬剤収納箱が収納され得る内部空間SPは、少なくとも所定単位の2倍以上の任意の大きさを有する。
【0030】
第2薬剤収納箱200のサイズ(第2の大きさ)は、第1薬剤収納箱100のサイズ(第1の大きさ)よりも大きく大凡2倍程度である。言い換えると、第2薬剤収納箱200のサイズ(第2の大きさ)は、薬剤収納装置の内部空間SP1~SP4のそれぞれの大きさの大凡2倍の大きさである。例えば、第2薬剤収納箱200の幅(X方向の長さ)が、第1薬剤収納箱100の大凡2倍となっている。
【0031】
(第1薬剤収納箱)
実施形態に係る第1薬剤収納箱100の詳細について説明する。第1薬剤収納箱100は、開口部11を介して内部空間SPに収納される。図4は、実施形態に係る第1薬剤収納箱100の外観例を示す。第1薬剤収納箱100は、例えば、透明若しくは第1薬剤収納箱100内を視認できる程度に光透過性を有する樹脂により形成される。
【0032】
図4に示すように、第1薬剤収納箱100は周囲を囲う壁状の板部を有する。具体的には、第1薬剤収納箱100は、壁状の板部として、第1前面板101、第1背面板102、第1底面板103、第1右側面板104、及び、第1左側面板105を有する。第1前面板101及び第1背面板102はY方向で対向する位置に配置される。第1前面板101の底部周縁と第1背面板102の底部周縁とが第1底面板103よって連結される。また、第1前面板101の左右周縁と第1背面板102の左右周縁とが第1右側面板104と第1左側面板105とによってそれぞれ連結される。
【0033】
第1前面板101及び第1背面板102は、開口部11と略同じ形状及び大きさとなっている。また、第1底面板103、第1右側面板104、及び、第1左側面板105の長手方向の長さ(Y方向の長さ)は、筐体10の奥行き方向の長さ(Y方向の長さ)よりやや小さい長さとなっている。
【0034】
第1前面板101には、円状の孔部101Aが形成されている。孔部101Aの大きさは、例えば、人の人差し指を引っかけることが可能な程度の大きさである。また、第1背面板102の裏面(外側の面)には、第1金属板106が装着されている。第1金属板106は、例えば鉄板であり、上述した電磁ロック17が動作状態の場合に当該電磁ロック17によって吸着され得る。なお、第1金属板106がなく、第1背面板102が金属板であってもよいし、第1金属板106が第1背面板102に内蔵されていてもよい。
【0035】
第1底面板103の裏面(外側の底面)にはレール機構(不図示)が設けられており、このレール機構が筐体10の底面部10D内面に設けられたレール機構(不図示)と係合する。これにより、第1薬剤収納箱100を筐体10にスムーズに挿入でき、且つ、スムーズに引き出すことができるようになっている。なお、レール機構は無くてもよい。
【0036】
第1薬剤収納箱100は、上述した板部により区画された収納空間SPAを有する。収納空間SPAには、比較的小さい薬剤、例えば、錠剤や散剤等の薬剤が収納され得る。
【0037】
図5は、4個の第1薬剤収納箱100A、第1薬剤収納箱100B、第1薬剤収納箱100C、及び、第1薬剤収納箱100Dが筐体10の筐体10内に収納された状態を示す。なお、第1薬剤収納箱100A、第1薬剤収納箱100B、第1薬剤収納箱100C、及び、第1薬剤収納箱100Dは、それぞれ上述した第1薬剤収納箱100と同様の構成を有する。
【0038】
開口部11Aを介して、第1薬剤収納箱100Aが第1背面板102側から内部空間SP1に挿入される。第1薬剤収納箱100Aが収納された状態では、第1薬剤収納箱100Aの第1前面板101が開口部11Aの位置と略一致する。この状態では、第1薬剤収納箱100Aの第1背面板102が検出部18Aと接触するので、第1薬剤収納箱100Aが内部空間SP1に収納されたことを検出部18Aにより検出することができる。
【0039】
開口部11Bを介して、第1薬剤収納箱100Bが第1背面板102側から内部空間SP2に挿入される。第1薬剤収納箱100Bが収納された状態では、第1薬剤収納箱100Bの第1前面板101が開口部11Bの位置と略一致する。この状態では、第1薬剤収納箱100Bの第1背面板102が検出部18Bと接触するので、第1薬剤収納箱100Bが内部空間SP2に収納されたことを検出部18Bにより検出することができる。
【0040】
開口部11Cを介して、第1薬剤収納箱100Cが第1背面板102側から内部空間SP3に挿入される。第1薬剤収納箱100Cが収納された状態では、第1薬剤収納箱100Cの第1前面板101が開口部11Cの位置と略一致する。この状態では、第1薬剤収納箱100Cの第1背面板102が検出部18Cと接触するので、第1薬剤収納箱100Cが内部空間SP3に収納されたことを検出部18Cにより検出することができる。
【0041】
開口部11Dを介して、第1薬剤収納箱100Dが第1背面板102側から内部空間SP4に挿入される。第1薬剤収納箱100Dが収納された状態では、第1薬剤収納箱100Dの第1前面板101が開口部11Dの位置と略一致する。この状態では、第1薬剤収納箱100Dの第1背面板102が検出部18Dと接触するので、第1薬剤収納箱100Dが内部空間SP4に収納されたことを検出部18Dにより検出することができる。
【0042】
図6は、第1薬剤収納箱100(具体的には、第1薬剤収納箱100D)が手前側(-Y方向)に引き出された状態を示す図である。例えば、ユーザーは、孔部101Aに指を引っかけることで、第1薬剤収納箱100Dを手前側に容易に引き出すことができる。
【0043】
図5及び図6に示した例は、薬剤の服用タイミングが1日4回の場合に好適である。例えば、服用タイミングが朝、昼、夕、就寝前の場合に、第1薬剤収納箱100Aに朝用の薬剤、第1薬剤収納箱100Bに昼用の薬剤、第1薬剤収納箱100Cに夕方用の薬剤、第1薬剤収納箱100Dに就寝前用の薬剤がそれぞれ収納される。そして、それぞれの服用タイミングになった段階で、患者は対応する第1薬剤収納箱100を引き出し、引き出した第1薬剤収納箱100に収納されている薬剤を服用する。
【0044】
上述したように、内部空間SP1、内部空間SP2、内部空間SP3、及び、内部空間SP4のそれぞれの奥側の面部には、電磁ロック17が設けられている。電磁ロック17に対しては服用タイミングになるまで電流が供給される。換言すれば、電磁ロック17に磁力による吸着力が生じる。吸着力が生じた状態を電磁ロック17の動作状態と適宜称する。電磁ロック17が動作状態では、電磁ロック17と所定距離内に位置する第1金属板106が吸着力によって吸着されるので、第1薬剤収納箱100を引き出すことが困難となる。以下の説明では、第1薬剤収納箱100の第1金属板106が吸着力によって吸着され、第1薬剤収納箱100を引き出すことが困難となった状態をロック状態と適宜称する。
【0045】
一方で電磁ロック17に電流が供給されない状態では、電磁ロック17の吸着力が略0となる。吸着力が略0となる状態を電磁ロック17の非動作状態と適宜称する。電磁ロック17が非動作状態の場合は第1背面板102が電磁ロック17で吸着されないので、第1薬剤収納箱100を引き出すことが容易となる。以下の説明では、この状態をアンロック状態と適宜称する。
【0046】
例えば朝の薬剤の服用タイミングになると電磁ロック17Aのみに対する電流の供給が停止し電磁ロック17Aが非動作状態となる。これにより第1薬剤収納箱100Aがアンロック状態となる。但し、電磁ロック17B、電磁ロック17C、及び、電磁ロック17Dに対する電流の供給は継続し各電磁ロックは動作状態となるので、他の第1薬剤収納箱(第1薬剤収納箱100B、第1薬剤収納箱100C、第1薬剤収納箱100D)は容易に引き出すことができないロック状態となったままである。従って、朝以外の服用タイミングで服用すべき薬剤の誤飲を防止することができる。
【0047】
(第2薬剤収納箱)
次に、実施形態に係る第2薬剤収納箱200の詳細について説明する。図7は、実施形態に係る第2薬剤収納箱200の外観例を示す。第2薬剤収納箱200は、例えば、透明、若しくは、第2薬剤収納箱200内を視認できる程度に光透過性を有する樹脂により形成される。
【0048】
図7に示すように、第2薬剤収納箱200は周囲を囲う壁状の板部を有する。具体的には、第2薬剤収納箱200は、壁状の板部として、第2前面板201、第2背面板202、第2底面板203、第2右側面板204、及び、第2左側面板205を有する。第2前面板201及び第2背面板202はY方向で対向する位置に配置される。第2前面板201の底部周縁と第2背面板202の底部周縁とが第2底面板203よって連結される。また、第2前面板201の左右周縁と第2背面板202の左右周縁とが第2右側面板204と第2左側面板205とによってそれぞれ連結される。
【0049】
第2前面板201のX方向の長さは、第1薬剤収納箱100の第1前面板101の大凡2倍である。第2前面板201のY方向及びZ方向の長さは、第1前面板101のY方向及びZ方向の長さと同じである。
【0050】
第2前面板201には、2個の円状の孔部(孔部201A、孔部201B)が形成されている。孔部201A及び孔部201Bは、例えば、人の人差し指を引っかけることが可能な程度の大きさである。孔部は2個でなくてもよい。例えば、第2前面板201の中央付近に1個の孔部が形成された構成であってもよい。
【0051】
第2背面板202の裏面(外側の面)には、第2金属板206が装着されている。第2金属板206は、例えば鉄板であり、上述した電磁ロック17によって吸着され得る。第2金属板206のX方向の長さは第1金属板106のX方向の長さの大凡2倍である。なお、第2金属板107がなく、第2背面板202が金属板であってもよいし、第2金属板207が第2背面板202に内蔵されていてもよい。
【0052】
第2底面板203の裏面(外側の底面)には、レール機構(不図示)が設けられており、このレール機構が筐体10の底面部10D内面に設けられたレール機構(不図示)と係合する。これにより、第2薬剤収納箱200を筐体10にスムーズに挿入でき、且つ、スムーズに引き出すことができるようになっている。なお、レール機構は無くなくてもよい。
【0053】
第2薬剤収納箱200は、上述した板部により区画された収納空間SPBを有する。収納空間SPBの大きさは、第1薬剤収納箱100の収納空間SPAの大凡2倍の大きさである。収納空間SPBには、比較的大きい薬剤、例えば、チューブ状の薬剤や薬剤が充填された注射器が収納され得る。なお、本明細書における薬剤には、薬剤が充填された注射器のように薬剤の服用に供される器具が含まれる。
【0054】
上述したように、第2薬剤収納箱200の大きさは第1薬剤収納箱100の大きさよりも大きい。このため、内部空間SP1から内部空間SP4までのそれぞれ(図1参照)には、第2薬剤収納箱200を収納することはできない。すなわち、第2薬剤収納箱200を収納できる収納空間(第2収納空間)を内部空間SPに設定する必要がある。
【0055】
本実施形態では、隔壁部12を筐体10から取り外すことで、第2薬剤収納箱200を収納できる第2収納空間を内部空間SPに設定することができる。例えば、図8に示すように、隔壁部12Cを筐体10から取り外す。これにより、開口部11Cと開口部11Dとの間の隔壁がなくなるので、開口部11Cと開口部11Dとを合わせた開口部11Eが前面部10Aに形成される。そして、内部空間SP内に、開口部11Eと連通し当該開口部11Eを内部空間SPに仮想的にスライドさせた領域を含む内部空間SP5が形成される。内部空間SP5は、内部空間SP3と内部空間SP4とを含む大きさの空間(内部空間SP3又は内部空間SP4の大凡2倍の大きさの空間)である。このように隔壁部12Cを筐体10から取り外すことで、第2薬剤収納箱200を収納できる第2収納空間を筐体10の内部空間SPに設定できる。
【0056】
開口部11Eを介して、第2薬剤収納箱200が第2背面板202側から内部空間SP5に挿入される。図9は、第2薬剤収納箱200等が内部空間SP5に挿入された状態を示す。第2薬剤収納箱200が収納された状態では、第2薬剤収納箱200の第2前面板201が開口部11Eの位置と略一致する。この状態では、第2薬剤収納箱200の第2背面板202が検出部18C及び検出部18Dと接触する。すなわち、2個の検出部によって略同時の接触が検出された場合には、内部空間SP5に第1薬剤収納箱100ではなく、第2薬剤収納箱200が収納されたことを検出することができる。
【0057】
図10は、第2薬剤収納箱200が手前側(-Y方向)に引き出された状態を示す図である。例えば、ユーザーは、孔部201A及び孔部201Bの両方、若しくは一方に指を引っかけることで、第2薬剤収納箱200を手前側に容易に引き出すことができる。ユーザーは、引き出した第2薬剤収納箱200内に収納されている薬剤を取り出して服用する。
【0058】
図9及び図10に示した例は、薬剤の服用タイミングが1日3回の場合や、大型の薬剤がある場合に好適である。例えば、薬剤の服用タイミングが1日に朝、昼、夜の3回の場合に、第1薬剤収納箱100Aに朝用の薬剤、第1薬剤収納箱100Bに昼用の薬剤、第2薬剤収納箱200に夜用の薬剤をそれぞれ収納する。そして、それぞれの服用タイミングになった段階で、ユーザーは該当する薬剤収納箱を引き出し、当該薬剤収納箱に収納されている薬剤を服用する。また、朝に服用する薬剤の大きさが昼や夜に服用する薬剤の大きさに比べて大きい場合に、朝用の薬剤を第2薬剤収納箱200に収納し、昼用の薬剤を第1薬剤収納箱100Aに収納し、夜用の薬剤を第1薬剤収納箱100Bに収納する使い方も可能である。
【0059】
上述したように、内部空間SP1、内部空間SP2、内部空間SP3、及び、内部空間SP4のそれぞれの奥側の面部には、電磁ロック17が設けられている。例えば夜の薬剤の服用タイミングになると電磁ロック17C及び電磁ロック17Dに対する電流の供給が停止し、電磁ロック17C及び電磁ロック17Dが非動作状態となる。これにより、第2薬剤収納箱200がアンロック状態となり第2薬剤収納箱200を引き出すことが可能となる。但し、電磁ロック17A及び電磁ロック17Bは動作状態のままであるので、他の第1薬剤収納箱(第1薬剤収納箱100A及び第1薬剤収納箱100B)は容易に引き出すことができないロック状態のままである。これにより、夜以外の服用タイミングで服用すべき薬剤の誤飲を防止することができる。
【0060】
[薬剤収納装置の内部構成例]
図11は、薬剤収納装置1の内部構成例を示すブロック図である。薬剤収納装置1は、上述した発光装置13(第1LED13A、第2LED13B、第3LED13C、第4LED13D)、電磁ロック17、及び、検出部18の他に、制御部21と通信部22とを有する。
【0061】
制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等で構成されている。ROMには、CPUにより読み込まれ実行されるプログラム等が記憶されている。RAMは、CPUのワークメモリとして用いられる。CPUは、ROMに記憶されたプログラムにしたがい、様々な処理を実行してコマンドの発行を行うことによって薬剤収納装置1全体の制御を行う。また、制御部21は、タイマー(不図示)を有し、当該タイマーによる計時機能を有している。
【0062】
制御部21は発光装置13と接続されており、発光装置13に含まれる各LEDの発光制御を行う。具体的には、設定時刻になったタイミングで所定のLEDを発光させたり、発光させたLEDを消灯させる制御を行う。
【0063】
また、制御部21は電磁ロック17と接続されている。制御部21は、電磁ロック17へ供給する電流を制御することで電磁ロック17の動作状態/非動作状態を切り替える。4個の電磁ロック(電磁ロック17A、電磁ロック17B、電磁ロック17C、及び、電磁ロック17D)に対しては、動作状態/非動作状態の切替制御が電磁ロック毎に可能とされる。
【0064】
また、制御部21は検出部18と接続されており、検出部18の検出結果が制御部21に供給されるように構成されている。検出部18は、第1背面板102や第2背面板202との接触によって押されると、検出結果としてハイレベルの検出信号を生成する。なお、検出信号はローレベルの検出信号でもよいし、所定の波形を有する検出信号でもよい。検出部18は生成した検出信号を制御部21に出力する。これにより、制御部21は、検出部18が押された位置、具体的には、当該位置に薬剤収納箱が収納されたことを認識する。制御部21は、検出部18による検出結果に応じた制御を行う。
【0065】
また、制御部21は、検出部18の検出結果に基づいて、薬剤収納箱の開閉時刻情報を取得できる。例えば、制御部21は、検出部18から検出信号が供給されなくなったタイミング、換言すれば、薬剤収納箱が引き出されたタイミングで、タイマーから時刻情報を取得する。その時刻を、所定の薬剤収納箱が引き出された開時刻情報として認識する。そして、制御部21は、開時刻情報を記憶部等に記憶する。なお、薬剤収納箱が収納された時刻情報を記憶するようにしてもよい。例えば、制御部21は、検出部18から検出信号が供給されたタイミング、換言すれば、薬剤収納箱が収納されたタイミングで、タイマーから時刻情報を取得する。その時刻を、所定の薬剤収納箱が収納された閉時刻情報として認識する。そして、制御部21は、閉時刻情報を記憶部等に記憶するようにしてもよい。
【0066】
また、制御部21は通信部22と接続されている。制御部21は、通信部22に対する通信制御処理を行う。なお、制御部21によって行われる制御の詳細については後述する。
【0067】
通信部22は、所定の通信規格により他の装置やインターネットと通信する通信モジュールである。本実施形態に係る通信部22は、BLEに対応する通信規格に基づく通信をスマートホン30と行う。
【0068】
[スマートホンの内部構成例]
スマートホン30は、例えば、公知のスマートホンと同様の外観構成例を有している。具体的には、筐体の一面にディスプレイ302が設けられた外観を有している(図2参照)。本実施形態では、ディスプレイ302がタッチパネルとして構成されている。
【0069】
図12は、実施形態に係るスマートホン30の内部構成例を示すブロック図である。図12に示すように、スマートホン30は、ディスプレイ302の他に、例えば、制御部301、入力部303、無線通信部304、無線通信部304に接続されるアンテナ305、近距離無線通信部306、近距離無線通信部306に接続されるアンテナ307、位置センサ部308、位置センサ部308に接続されるアンテナ309、メモリ部310、バイブレータ311、モーションセンサ312、音声処理部313、マイクロホン314及びスピーカ315を有している。
【0070】
制御部301は、例えばCPUから構成されており、スマートホン30の各部を統括的に制御する。また、制御部301は、タイマー301Aを有し、タイマー301Aによる計時機能を有している。
【0071】
入力部303は、スマートホン30が有する、操作入力を受け付けるための構成を総称したものである。入力部303としては、タッチパネル、ボタン、ダイヤル等が挙げられる。なお、入力部303は、音声認識を行うための音声入力を受け付ける構成でもよいし、カメラ等のジェスチャー入力を受け付ける構成でもよい。
【0072】
無線通信部304は、例えば、LTE(Long Term Evolution)や4G、5G等の通信規格に基づいてスマートホン30以外の装置と通信を行う。無線通信部304は、通信規格に対応する変調/復調処理やエラー訂正処理等を行う。アンテナ305を介して上述した外部装置に対してデータが送信され、アンテナ305により外部装置からのデータが受信される。
【0073】
近距離無線通信部306は、BLEの規格に基づいて、薬剤収納装置1と無線通信を行う。アンテナ307を介して薬剤収納装置1に対してデータが送信され、アンテナ307により薬剤収納装置1からのデータが受信される。
【0074】
なお、近距離無線通信部306がスマートホン30以外の装置と無線通信を行うようにしてもよい。また、上述した例では、無線通信部304及び近距離無線通信部306が別個の構成であるものとして説明したが、両者の機能を有する1個の通信部として構成し、当該通信部が薬剤収納装置1等と通信を行うようにしてもよい。
【0075】
位置センサ部308は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)と称されるシステムを利用して、現在位置の測位を行う測位部である。これらの無線通信部304、近距離無線通信部306、位置センサ部308で得られたデータは、制御部301に供給される。そして、制御部301は、供給されたデータに基づく制御を実行する。
【0076】
メモリ部310は、制御部301が実行するプログラムが格納されるROMや制御部301がプログラムを実行する際のワークメモリとして使用されるRAMやデータ記憶用の不揮発性メモリ等を総称したものである。
【0077】
バイブレータ311は、例えば、スマートホン30全体を振動させる部材である。バイブレータ311による振動で、電話の着信や電子メールの受信等が通知される。
【0078】
モーションセンサ312は、例えば、スマートホン30の動きを検出する。モーションセンサ312としては、加速度センサ、ジャイロセンサ、電子コンパス、気圧センサ等が使用される。なお、スマートホン30は、モーションセンサ312以外のセンサを内蔵してもよい。例えば、スマートホン30を装着した患者の血圧、脈拍、汗腺、体温等の生体情報を検出するバイオセンサが内蔵されていてもよい。
【0079】
音声処理部313には、マイクロホン314とスピーカ315とが接続され、音声処理部313が、無線通信部304による無線通信で接続された相手と通話の処理を行う。また、音声処理部313は、音声入力操作のための処理を行うこともできる。
【0080】
なお、図示は省略しているが、スマートホン30の各部に対しては、リチウムイオン二次電池等のバッテリから電力が供給される。
【0081】
[第1の実施形態で行われる処理の具体例]
次に、第1の実施形態で行われる複数の処理の具体例について説明する。勿論、以下で説明する処理以外の処理が薬剤収納装置1やスマートホン30、薬剤収納装置1とスマートホン30との間で行われてもよい。
【0082】
(スマートホンへの設定処理)
一つのユースケースとして、患者が病院での診察を受けた後、薬剤を受け取るために薬局に出向く。薬局の薬剤師は、処方箋を確認しながら薬剤を薬剤収納箱に収納する。本例では、1日4回の薬剤の服用タイミングが医者より指示されているものとして説明する。
【0083】
薬剤師は、4個の第1薬剤収納箱100が収納された薬剤収納装置1(図5参照)を使用する。具体的に薬剤師は、医者より指示された薬剤の分量のうち朝に服用する薬剤を第1薬剤収納箱100Aに収納した後、第1薬剤収納箱100Aを内部空間SP1に収納する。次に、薬剤師は、医者より指示された薬剤の分量のうち昼に服用する薬剤を第1薬剤収納箱100Bに収納した後、第1薬剤収納箱100Bを内部空間SP2に収納する。次に、薬剤師は、医者より指示された薬剤の分量のうち夕方に服用する薬剤を第1薬剤収納箱100Cに収納した後、第1薬剤収納箱100Cを内部空間SP3に収納する。次に、薬剤師は、医者より指示された薬剤の分量のうち就寝前に服用する薬剤を第1薬剤収納箱100Dに収納した後、第1薬剤収納箱100Dを内部空間SP4に収納する。勿論、薬剤や薬剤収納箱の収納順序は適宜変更可能である。薬剤の収納後、薬剤師はスマートホン30に対する設定を行う。薬剤師は薬剤の収納前にスマートホン30に対する設定を行ってもよい。
【0084】
図13は、スマートホン30の起動時等にデフォルトで表示されるGUI50Aを示す。なお、以下に説明する表示に関する制御は、例えば制御部301によって行われる。また、スマートホン30に対して設定された内容は、メモリ部310に記憶される。GUI50Aは、例えば、現在時刻を示す現在時刻表示51、薬剤の服用期間を示す服用期間表示52、及び、薬剤収納箱表示53を含む。
【0085】
一般に薬剤の服用タイミングとしては4回が最も多い。従って、デフォルトの設定画面では、薬剤収納箱表示53として4個の数字(矩形で囲まれた数字)が表示される。4個の数字は薬剤収納装置1の前面部10A左側から数えた位置に対応している。各番号には、番号に対応する位置の第1薬剤収納箱100、発光部、及び、電磁ロック17が対応付けられている。具体的には、番号「1」には第1薬剤収納箱100A、第1LED13A、及び、電磁ロック17Aが対応付けられ、番号「2」には第1薬剤収納箱100B、第2LED13B、及び、電磁ロック17Bが対応付けられ、番号「3」には第1薬剤収納箱100C、第3LED13C、及び、電磁ロック17Cが対応付けられ、番号「4」には第1薬剤収納箱100D、第4LED13D、及び、電磁ロック17Dが対応付けられている。
【0086】
GUI50Aが表示された状態で、ディスプレイ302に対して例えばスワイプ(所定の方向へ指をなぞる操作)を行うと、GUI50Aが図14に示すGUI50Bに遷移する。GUI50Bは、上述した現在時刻表示51及び服用期間表示52の他に、薬剤収納装置1の状態表示として、MAC(Media Access Control address)アドレス表示54A、接続状態表示54B、及び、設定項目表示55を含む。
【0087】
MACアドレス表示54Aは、薬剤収納装置1のMACアドレスを表示する。接続状態表示54Bは、薬剤収納装置1とスマートホン30とがBLEで接続されているか否かを表示する。
【0088】
設定項目表示55は、第1薬剤収納箱100Aに対応する設定項目表示55A、第1薬剤収納箱100Bに対応する設定項目表示55B、第1薬剤収納箱100Cに対応する設定項目表示55C、及び、第1薬剤収納箱100Dに対応する設定項目表示55Dを含む。
【0089】
各設定項目表示は、時刻表示と当該時刻表示の左側に表示されるチェックボックス、及び、「電磁ロック」との文字表示と当該文字表示の左側に表示されるチェックボックスを含む。薬剤師(患者でもよい)が、例えば設定項目表示55Aに対して時刻の表示を切り替えて所定の時刻(例えば7:00)を設定し、チェックボックスをタップすることでチェックを入力すると、第1薬剤収納箱100Aに収納された薬剤の服用時刻として「7:00」が設定される。現在時刻が7:00になると、第1薬剤収納箱100Aに収納された薬剤を服用するタイミングであることが患者に報知される。また、「電磁ロック」との文字表示左側のチェックボックスをタップすることでチェックを入力すると、「電磁ロック」の使用が許可される。すなわち、7:00になるまで電磁ロック17Aが動作状態となり、第1薬剤収納箱100Aがアンロック状態となる。他の設定項目表示についても同様の操作及び設定がなされる。
【0090】
なお、時刻表示の左隣のチェックボックスにチェックを入力しない場合は、服用タイミングを患者に報知する機能(以下、アラーム機能とも適宜称する)が実行されない。例えば、チェックボックスにチェックを入力しないことで、患者が外出するときに、不必要なアラーム機能が実行されてしまうことを防止できる。また、「電磁ロック」との文字表示左側のチェックボックスにチェックを入力しない場合は、電磁ロックによるロックが行われない状態となる。換言すれば、服用タイミング以外の場合であっても第1薬剤収納箱100を引き出すことができる。このように本実施形態では、服用タイミングを報知するアラーム機能や電磁ロック17によるロックを行うか否かを、薬剤師や患者が設定できるようになっている。例えば、薬剤師は患者の要望に即してアラーム機能及び電磁ロック17の使用/不使用に関する設定を行う。設定内容がメモリ部310に記憶される。例えば電磁ロック17の使用/不使用に関する設定は、メモリ部310に電磁ロック使用情報として記憶される。なお、上述した設定は、日付毎に設定できるようにしてもよい。
【0091】
なお、服用時刻が設定された場合には、設定された時間に応じてGUIの内容が変化してもよい。例えば、図15に示すように、GUI50Aにおける各第1薬剤収納箱100に対応する番号表示が「朝」、「昼」、「夕」、「寝る前」のように変化してもよい。これにより薬剤師が、服用時刻が設定済みであることを容易に認識できる。
【0092】
薬剤収納装置1への薬剤の収納及びスマートホン30に関する設定が終了した後、薬剤師は、薬剤収納装置1及びスマートホン30を患者に渡す。患者は、薬剤師から渡された薬剤収納装置1及びスマートホン30を自宅等に持ち帰り、スマートホン30を凹部14に載置して薬剤収納装置1を使用する。
【0093】
(薬剤収納装置とスマートホンとの間で行われる処理)
次に、図16に示すフローチャートを参照して、薬剤収納装置1とスマートホン30との間で行われる処理の一例について説明する。以下に説明する処理は、例えば、上述した設定処理が完了後、患者が自宅で薬剤収納装置1及びスマートホン30を使用する際に、両者の間で行われる処理である。なお、以下に説明する薬剤収納装置1で行われる処理は、特に断らない限り制御部21の制御によって行われる。また、以下に説明するスマートホン30で行われる処理は、特に断らない限り制御部301の制御によって行われる。
【0094】
なお、本例では、上述した設定処理でアラーム機能を使用する設定がなされているものとして説明する。また、4個の電磁ロック17を全て使用する設定がなされているものとして説明する。
【0095】
処理が開始すると、薬剤収納装置1とスマートホン30との間で通信を確立するためのペアリング処理が行われる(ステップST11、ステップST12)。なお、既に薬剤収納装置1とスマートホン30との間でペアリングがなされている場合や、スマートホン30が薬剤収納装置1専用の端末で薬剤収納装置1との通信しかできない場合には、ペアリング処理が行われなくてもよい。
【0096】
ペアリング処理が行われた後、スマートホン30の制御部301は、メモリ部310から電磁ロック使用情報を読み出す。制御部301は、メモリ部310から読み出した電磁ロック使用情報をBLEに基づく通信で薬剤収納装置1に送信する(ステップST13)。
【0097】
薬剤収納装置1の制御部21は、電磁ロック使用情報に応じたロック制御を行う(ステップST14)。本例では全ての電磁ロック17を使用することが電磁ロック使用情報に記述されていることから、制御部21は4個の電磁ロック17(電磁ロック17A、電磁ロック17B、電磁ロック17C、及び、電磁ロック17D)に電流を供給する制御を行う。これにより全ての電磁ロック17が動作状態となり、各第1薬剤収納箱100を容易に引き出すことができないロック状態となる。制御部21は、ロック制御を行った後、スマートホン30からのBLEに基づくコマンドを待機するコマンド待機状態に薬剤収納装置1を遷移させる(ステップST15)。
【0098】
スマートホン30の制御部301は、タイマー301Aを利用して周期的に現在時刻を取得する(ステップST16)。そして、現在時刻が、設定処理で設定された薬剤の服用時刻になったものとする(ステップST17)。ここでは、現在時刻が朝用の薬剤の服用時刻(7:00)になったものとして説明する。
【0099】
制御部301が音声処理部313を制御することにより、スピーカ315からアラーム音声を再生する(ステップST18)。例えば制御部301の制御に応じて音声処理部313が「朝の薬を服用する時間になりました」等のアラーム音声データを生成する。音声処理部313は生成したアラーム音声データに対応する音声をスピーカ315から再生する。スピーカ315から再生された音声はスマートホン30だけでなく、放音孔15A及び放音孔15Bを介しても患者に対して再生される。
【0100】
また、制御部301は、現在時刻に基づいて、点灯すべきLED及び非動作状態とすべき電磁ロック17を識別する。「7:00」は番号「1」に対して設定された服用時刻であることから、制御部301は、点灯すべきLEDが第1薬剤収納箱100Aの位置に対応する第1LED13Aであり、非動作状態とすべき電磁ロックが電磁ロック17Aであることを識別する。そして、制御部301は、点灯対象のLED及び非動作状態とすべき電磁ロックが記述されたコマンドを生成する。制御部301は、生成したコマンドを近距離無線通信部306を介して薬剤収納装置1に送信する(ステップST19)。
【0101】
薬剤収納装置1の通信部22は、スマートホン30から送信されたコマンドを受信する。制御部21は、通信部22が受信したコマンドに記述された、点灯対象のLED及び非動作状態とすべき電磁ロックを解釈し判断する。コマンドの内容を解釈した結果、制御部21は、点灯対象のLEDが第1LED13Aであり、非動作状態とすべき電磁ロックが電磁ロック17Aであることを判断する。
【0102】
そして、制御部21は、判断結果に基づく制御を行う。具体的には、制御部21は、第1LED13Aを発光させる制御を行う(ステップST20)。これにより、スマートホン30で再生されるアラーム音声だけでなく、服用時刻になったことを光によっても報知できる。また、第1薬剤収納箱100Aに対応した第1LED13Aを発光させることで、服用すべき薬剤が収納された薬剤収納箱が第1薬剤収納箱100Aであることを患者に認識させることができる。
【0103】
また、制御部21は、電磁ロック17Aへの電流の供給を停止する。これにより、電磁ロック17Aが非動作状態となって吸着力が略なくなり、第1薬剤収納箱100Aがアンロック状態となる(ステップST21)。これにより、患者は第1薬剤収納箱100Aを容易に引き出すことができる。
【0104】
制御部21は、所定時間後に第1LED13Aを消灯する。所定時間は、患者が第1薬剤収納箱100Aに収納された薬剤を取り出した後、第1薬剤収納箱100Aを収納するまでに要すると考えられる時間、例えば、数分から5分程度に設定される。なお、検出部18Aからの検出信号の出力がなくなった段階、すなわち、第1薬剤収納箱100Aが引き出された段階で、第1LED13Aが消灯されてもよい。
【0105】
患者は、薬剤を取り出した後、引き出した第1薬剤収納箱100Aを奥に押すことで筐体10に第1薬剤収納箱100Aを収納する。第1薬剤収納箱100Aが収納されると、第1薬剤収納箱100Aの第1背面板102により検出部18Aが押される。検出部18Aが押されると、検出部18Aは検出信号を制御部21に出力する。制御部21は、係る検出信号が供給されることで第1薬剤収納箱100Aが収納されたことを認識する。そして、制御部21は、電磁ロック17Aへの電流の供給を再開して電磁ロック17Aを動作状態にする(ステップST23)。これにより、第1薬剤収納箱100Aがロック状態となる。
【0106】
そして、制御部21は、薬剤収納装置1をステップST15の状態、すなわち、コマンド待機状態に遷移させる(ステップST24)。
【0107】
一方、スマートホン30の制御部301は、所定時間後にアラーム音声の再生を停止する(ステップST25)。所定時間は例えば1分程度に設定される。所定時間後ではなく、アラーム音声を数回再生した後にアラーム音声の再生を停止するようにしてもよい。アラーム音声の再生を停止した後、制御部301は再び現在時刻を取得し、現在時刻が薬剤の服用時刻になったか否かを周期的に判断する(ステップST26)。
【0108】
(検出結果に応じた制御)
上述したように、薬剤収納装置1の筐体10内には、4個の第1薬剤収納箱100だけでなく第2薬剤収納箱200が収納され得る。本実施形態に係る薬剤収納装置1では、例えば、制御部21が検出部18の検出結果に基づいて、筐体10内に収納される薬剤収納箱の大きさの変化を判定し、判定結果に応じた制御を行う。
【0109】
一つのユースケースとして、薬剤の服用タイミングとして1日3回が処方箋に指示されているとする。この場合に、4個の第1薬剤収納箱100が収納された状態、すなわち、薬剤収納装置1の筐体10内に収納される薬剤収納箱の個数と、1日の薬剤の服用回数とが一致しない状態だと使用されない薬剤収納箱(空箱)が残ってしまうため、無駄なスペースが生じ、且つ、薬剤収納装置1の使い勝手が悪くなる。
【0110】
そこで、薬剤師は、例えば隔壁部12Cを筐体10から取り外して内部空間SP5を形成して、内部空間SP5に第2薬剤収納箱200を収納する(図9参照)。内部空間SP1に収納されている第1薬剤収納箱100A及び内部空間SP2に収納されている第1薬剤収納箱100Bについてはそのまま使用される。これにより、1日の薬剤の服用回数と筐体10内に収納される薬剤収納箱の個数とが一致し、スペースを効率的に使用できるとともに薬剤収納装置1の使い勝手が向上する。
【0111】
図17に示すフローチャートを参照して、薬剤収納装置1の筐体10内に収納される薬剤収納箱の大きさが変化した場合に行われる処理の一例について説明する。なお、本例では、薬剤収納装置1とスマートホン30との間でペアリング処理が既に完了し、両者の間で通信可能となっているものとして説明する。
【0112】
薬剤収納装置1の制御部21は、検出部18の検出結果に基づいて筐体10内に収納される薬剤収納箱の大きさの変化を認識する。具体的には、制御部21は、検出部18の検出結果に基づいて、筐体10内に収納される薬剤収納箱の大きさの変化が生じたことに伴い、筐体10内に収納される薬剤収納箱の個数がデフォルトの個数である4個以外になったことを認識する(ステップST31)。
【0113】
制御部21による判定処理について具体的に説明する。実際上、複数の薬剤収納箱が同時に収納されることは稀であり、それぞれの薬剤収納箱が順次、すなわち、所定の時間差をもって収納されることが一般的である。つまり、薬剤収納箱の収納に伴って各検出部18から出力される検出信号の出力タイミングには時間差が生じる。制御部21は、供給される検出信号のタイミングに応じて、どの位置に対して第1薬剤収納箱100及び第2薬剤収納箱200のどちらが収納されたかを判定することができる。
【0114】
例えば内部空間SP1に第1薬剤収納箱100Aが収納されると、検出部18Aのみが押され検出部18Aのみが検出信号を出力する。制御部21は、検出部18Aのみから検出信号が供給されたことに基づいて、内部空間SP1に第1薬剤収納箱100Aが収納されたことを判定できる。次に、例えば内部空間SP2に第1薬剤収納箱100Bが収納されると検出部18Bも押され、検出部18Aだけでなく検出部18Bも検出信号を出力する。制御部21は、検出部18Bから検出信号が新たに供給されたことに基づいて、内部空間SP2に第1薬剤収納箱100Bが収納されたことを判定できる。
【0115】
さらに、内部空間SP5に第2薬剤収納箱200が収納されると検出部18C及び検出部18Dも押され、検出部18A、検出部18Bに加え、検出部18C及び検出部18Dも検出信号を出力する。ここで、第2薬剤収納箱200が収納されると検出部18C及び検出部18Dが略同時に押されることから、検出部18C及び検出部18Dが出力した検出信号は略同時(同時若しくは所定の閾値以下の時間差)に制御部21に供給される。そこで、制御部21は、検出部18C及び検出部18Dから略同時に検出信号が供給されたことに基づいて、検出部18C及び検出部18Dに対応する内部空間SP5に、第1薬剤収納箱100ではなく第2薬剤収納箱200が収納されたと判定する。
【0116】
仮に、内部空間SP3に第1薬剤収納箱100Cが収納され、内部空間SP4に第1薬剤収納箱100Dが収納された場合には、検出部18Cから制御部21に検出信号が供給されるタイミングと、検出部18Dから制御部21に検出信号が供給されるタイミングとの間に一定以上の時間差が生じる。従って、制御部21は、検出信号が供給されたタイミングに基づいて、収納された薬剤収納箱が第1薬剤収納箱100及び第2薬剤収納箱200の何れであるかを判定できる。
【0117】
以上の判定結果に基づいて、制御部21は筐体10内に収納された薬剤収納箱が第1薬剤収納箱100A、第1薬剤収納箱100B、及び、第2薬剤収納箱200の3個、換言すれば、4個以外となったと認識する。制御部21は、検出部18の検出結果に基づく情報の一例として、筐体10内に収納される薬剤収納箱の個数を示す個数情報をスマートホン30に送信する(ステップST32)。
【0118】
薬剤収納箱の個数情報がスマートホン30の無線通信部304で受信され、無線通信部304から制御部301に供給される。制御部301は、個数情報を解釈することで薬剤収納箱の個数がデフォルトの4個から3個に変化したことを認識する。そして制御部301は認識結果に基づいて、上述した設定処理における設定画面におけるGUIを変更して表示する(ステップST33)。
【0119】
図18及び図19は、変更後のGUIの一例を示す。図18及び図19図13及び図14と異なる点は薬剤収納箱表示53が4個の数字(矩形で囲まれた数字)から、薬剤収納箱の個数に対応するように3個の数字となったことである。番号「3」が第2薬剤収納箱200に対応する。
【0120】
また、図19に示すように、設定項目表示55についても3個の薬剤収納箱に対応する表示に変化する。具体的には、設定項目表示55が、第1薬剤収納箱100Aに対応する設定項目表示55A、第1薬剤収納箱100Bに対応する設定項目表示55B、第2薬剤収納箱200に対応する設定項目表示55Cに変化する。なお、設定項目表示55Cが第2薬剤収納箱200に対応していることを明確にする表示、例えば「薬剤収納箱(大)」のような表示を含むようにしてもよい。
【0121】
上述したように設定画面におけるGUIを変化させることで、薬剤師による設定画面に対する入力を支援することができる。すわなち、患者の薬剤の服用タイミングにあわせて筐体10に収納される薬剤収納箱のサイズをカスタマイズした場合に、GUIの表示も薬剤収納箱の個数に対応した表示に変える必要がある。本実施形態では、薬剤収納箱の個数にあわせてGUIの表示が自動で変更されるので、薬剤師がGUIの内容を変える必要がなくなり操作性が向上する。
【0122】
なお、上述した説明では、検出部18の検出結果に基づく情報の一例として薬剤収納箱の個数情報を挙げたがこれに限定されることはない。検出部18の検出結果に基づく情報は、薬剤収納装置1から送信され、スマートホン30のユーザーインターフェース(本例ではGUI)の内容を変更させるコマンドであってもよい。係るコマンドを受信したスマートホン30の制御部301は、設定画面におけるGUIを図13に示したGUIから図18に示すGUIに変更する。
【0123】
また、上述したように、制御部21は、検出部18の検出結果に基づいて、薬剤収納箱の大きさだけでなく収納位置も判定することができる。制御部21は、判定した薬剤収納箱の収納位置を示す収納位置情報を個数情報と共に若しくは収納位置情報のみをスマートホン30に送信してもよい。例えば、スマートホン30で、薬剤収納箱の大きさと収納位置とをリンクさせたGUIを表示してもよい。上述した内部空間SP5に第2薬剤収納箱200が収納される例では、図18に示すGUI50Aが、内部空間5の位置に対応する右側の箇所に第2薬剤収納箱200の大きさが反映された表示、例えば横長の矩形(第2薬剤収納箱200を模した矩形)と矩形内に表示された数字「3」を含むようにしてもよい。
【0124】
なお、制御部21が、検出部18の検出結果に基づいて、発光させるLEDを変更してもよい。例えば、検出部18の検出結果に基づいて、制御部21が内部空間SP5に第2薬剤収納箱200が収納されたことを判定したとする。また、図19に示すように、第2薬剤収納箱200に収納された薬剤の服用時間が「19:00」に設定されているものとする。現在時刻が「19:00」となった段階で制御部21は、1個ではなく2個のLEDを点灯させる制御を行うようにしてもよい。具体的には、現在時刻が「19:00」となった段階で、第2薬剤収納箱200に対応する第3LED13Cと第4LED13Dとを点灯させる制御を行うようにしてもよい。これにより、患者は、第2薬剤収納箱200に収納された薬剤を服用すべきタイミングであることを明確に認識できる。
【0125】
また、制御部21が、検出部18の検出結果に基づいて、制御対象の電磁ロック17を変更してもよい。例えば、検出部18の検出結果に基づいて、制御部21が内部空間SP5に第2薬剤収納箱200が収納されたことを判定したとする。この場合には、制御部21が、第2薬剤収納箱200に対応する電磁ロックとして1組の電磁ロック17C及び電磁ロック17Dを同時に制御するようにしてもよい。具体的には、第2薬剤収納箱200に収納される薬剤の服用タイミングとなった段階で、制御部21が、電磁ロック17C及び電磁ロック17Dが同時に非動作状態となるように制御してもよい。
【0126】
[本実施形態により得られる効果]
本実施形態によれば、例えば、以下の効果が得られる。
患者の薬剤の服用回数や患者が服用する薬剤の大きさ等に応じて、薬剤収納装置内に収納される薬剤収納箱の大きさをカスタマイズすることができる。これにより、薬剤収納装置の使い勝手を向上させることができる。
また、上述した薬剤収納箱の大きさの変化を検出できる。これにより、薬剤収納装置や薬剤収納装置と通信可能な装置のユーザーとなり得る薬剤師や患者に対して、様々な支援をできるようになる。
例えば、薬剤収納箱の大きさの変化が検出されたことに応じて、薬剤収納毎の設定を行うGUIの内容を自動で変更することで、薬剤師がGUIの内容を変更する手間を省略できる。これにより、薬剤師がGUIの内容を変更する際に生じ得る入力ミスを防止でき、且つ、薬剤師の業務を効率化することができる。
また、薬剤収納箱の大きさの変化が検出されたことに応じて、発光させる発光部を変更することで、薬剤収納箱の大きさがカスタマイズされた場合であっても、どの薬剤収納箱に収納された薬剤を服用すべきかを、患者に対して明確に報知できる。
また、薬剤収納装置の電磁ロックが使用される場合に、薬剤収納箱の大きさの変化が検出されたことに応じて制御対象の電磁ロックを変更する。これにより、薬剤収納箱の大きさがカスタマイズされた場合であっても、薬剤収納箱の大きさに対応して適切な電磁ロックの数を設定できる。このため薬剤収納箱の大きさに対応した適切なロック力を実現できる。
【0127】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態の説明において、上述した説明における同一または同質の構成については同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。また、特に断らない限り、第1の実施形態で説明した事項は第2の実施形態に対して適用することができる。
【0128】
[情報処理システム構成例]
図20は、第2の実施形態に係る情報処理システム(情報処理システム60)の構成例を示す図である。図示の通り、情報処理システム60は、例えば、情報処理装置の一例であるサーバー62を有する。なお、図20では1つのサーバー62が図示されているが、情報処理システム60が複数のサーバー62を備える構成であってもよい。
【0129】
サーバー62に対して、インターネット等のネットワークを介して、複数の薬剤収納装置1が接続されている。サーバー62と各薬剤収納装置1との間でコマンドや各種のデータのやり取りが可能とされている。サーバー62に対して、インターネット等のネットワークを介して、複数の薬局側コンピュータ70が接続されている。サーバー62と各薬局側コンピュータ70との間でコマンドや各種のデータのやり取りが可能とされている。薬局側コンピュータ70は、薬局に備えられているコンピュータである。薬局側コンピュータ70は、薬剤師が使用可能なノート型のコンピュータや、薬剤師が使用可能なタブレット型のコンピュータであってもよい。また、薬局側コンピュータ70は、例えば介護士が使用可能なコンピュータであってもよい。なお、サーバー62に接続可能な薬剤収納装置1や薬局側コンピュータ70の個数は、図示の例に限定されることはない。
【0130】
[薬剤収納装置の例]
本実施形態に係る薬剤収納装置としては、第1の実施形態で説明した薬剤収納装置1を適用することができる。
【0131】
なお、第1の実施形態では、薬剤の服用回数が1日3回の場合等に第2薬剤収納箱200を用いたが、第2薬剤収納箱200を用いずに、例えば2個の第1薬剤収納箱100を同時に引き出すようにして、薬剤収納装置1が使用されてもよい。
【0132】
図21は、第1の実施形態でも使用した、薬剤収納箱が4個の場合の設定画面の一例を示す。例えば、第1薬剤収納箱100Aに対応する設定項目表示55A、及び、第1薬剤収納箱100Bに対応する設定項目表示55Bを用いて、同じ薬剤服用時刻(例えば、7:00)が設定される。
【0133】
現在時刻が7:00になると、図22に示すように、LED13A及びLED13Bが略同時に発光する。なお、図22では、LED13A及びLED13Bにドットが付されることによって、LED13A及びLED13Bが発光していることが示されている。LED13A及びLED13Bが発光することで、第1薬剤収納箱100A及び第1薬剤収納箱100Bに収納された薬剤を服用すべきタイミングであることを患者が認識できる。患者は、図22に示すように、第1薬剤収納箱100A及び第1薬剤収納箱100Bを引き出してそれぞれの薬剤収納箱に収納された薬剤を取り出して服用する。
【0134】
このように薬剤収納装置1を使用することで、第2薬剤収納箱200を使用しなくても、第2薬剤収納箱200を使用した場合と同等の機能を実現できる。もちろん、本実施形態において、第1の実施形態と同様に第2薬剤収納箱200を使用してもよい。
【0135】
[サーバーの構成例]
図23は、本実施形態に係るサーバー62の内部構成例を示すブロック図である。図23に示すように、サーバー62は、バスにより相互接続されている制御部63、記憶部64、入力部65、通信部66及び出力部67を有している。
【0136】
制御部63は、例えば、CPU、RAM及びROM等で構成されている。ROMには、CPUにより読み込まれ動作されるプログラム等が記憶されている。RAMは、CPUのワークメモリとして用いられる。CPUは、ROMに記憶されたプログラムにしたがい、様々な処理を実行してコマンドの発行を行うことによってサーバー62全体の制御を行う。
【0137】
制御部63は、機能ブロックとして、服薬率算出部63A、イレギュラー率算出部63B、分類生成部63C、及び、グラフ生成部63Dを有している。
【0138】
服薬率算出部63Aは、患者の服薬履歴情報に基づいて服薬率を算出する。服薬率は、所定の期間における服薬回数に対して、実際に服薬された回数の割合によって規定される。
【0139】
イレギュラー率算出部63Bは、患者の服薬履歴情報に基づいてイレギュラー率を生成する。イレギュラー率は、所定期間の服薬回数に対して、通常では行われない服薬行動、すなわち、イレギュラーな服薬行動と判断された服薬行動の回数の割合によって規定される。イレギュラーな服薬行動は特定の服薬行動に限定されるものではないが、例えば、設定された時刻とは異なる時刻での服薬、引き出して薬剤を取り出すべき薬剤収納箱とは異なる薬剤収納箱の取り出し、閉時刻情報を用いる場合には閉時刻情報の非存在、すなわち、薬剤収納箱の閉め忘れなどを例示することができる。
【0140】
分類生成部63Cは、上述した服薬率とイレギュラー率とに基づいて、対象の患者に対して、服薬行動の適正さについての分類を生成する。例えば、分類生成部63Cは、服薬率とイレギュラー率とに基づいて、分類対象の患者が、適正に服薬できている患者であるのか、若しくは、服薬に問題があり改善を要する患者であるのかについて分類する。分類生成部63Cは、例えば服薬率が所定の閾値(服薬率用の閾値)を上回り、且つ、イレギュラー率が所定の閾値(イレギュラー率用の閾値)を下回る場合には、分類対象の患者を適正に服薬できている患者として分類する。また、分類生成部63Cは、服薬率又はイレギュラー率が所定の閾値(服薬率又はイレギュラー率用の閾値)を下回る場合には、分類対象の患者を服薬に問題があり改善を要する患者であるとして分類する。
【0141】
さらに分類生成部63Cは、上述した服薬率とイレギュラー率とに基づいて、分類対象の患者に関する認知機能指数を求める。認知機能指数は、認知機能が正常であるほど高い数値となる指数である。すなわち、服薬率が高く、イレギュラー率が小さいほど認知機能指数は高くなる。そして、分類生成部63Cは、認知機能指数に基づいて、分類対象の患者が、認知機能が正常である患者か、若しくは、認知機能の低下が見られ、本人の服薬管理が困難な患者であるかについて分類する。分類生成部63Cは、例えば、認知機能指数が所定の閾値(認知機能指数用の閾値)を上回る場合には、分類対象の患者を認知機能が正常である患者として分類する。また、分類生成部63Cは、例えば、認知機能指数が所定の閾値を下回る場合には、分類対象の患者を認知機能の低下等により服薬管理が困難である患者として分類する。
【0142】
分類生成部63Cは、上記の分類を統合して、分類対象の患者が、適正に服薬できている患者、服薬に問題があり改善を要する患者、及び、認知機能の低下等により服薬管理が困難である患者の何れに該当するのかを最終的に分類する。なお、上述した分類の内容や種別は一例であり、上述した例に限定されることはない。
【0143】
グラフ生成部63Dは、患者の年齢に応じた服薬率の変化、及び、患者の年齢に応じたイレギュラー率の変化を示すグラフを生成する。また、グラフ生成部63Dは、患者の年齢に応じた認知機能(上述した認知機能指数)の変化を示すグラフを生成する。
【0144】
記憶部64は、例えば、HDD、SSD、半導体メモリ等により構成された記憶媒体である。記憶部64には、画像データ、動画データ、音声データ、テキストデータ等のコンテンツデータの他、プログラム(例えば、アプリケーション)等のデータが適宜、保存される。また、記憶部64には、患者毎の服薬履歴情報や、患者毎に算出された服薬率及びイレギュラー率、患者に対する分類結果等が記憶される。
【0145】
入力部65は、サーバー62に対して各種情報を入力するための装置である。入力部65により情報が入力されると、制御部63は、その入力情報に対応した各種処理を行う。入力部65は、マウス及びキーボードの他、マイクロホン、各種センサ、タッチパネル、モニタと一体に構成されたタッチスクリーン、物理ボタン等でもよい。なお、サーバー62への各種情報の入力は、通信部66を介して行われる構成であってもよい。
【0146】
通信部66は、所定の通信規格により外部接続機器やインターネットと通信する通信モジュールである。通信方法としては、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN、LTE、5G、ブロードバンド、Bluetooth(登録商標)等が挙げられる。
【0147】
出力部67は、各種情報を出力するための装置である。出力部67は、例えば、画像や映像を表示するディスプレイ(表示デバイス)、スピーカ等の音を出力する出力デバイスで構成されている。なお、各種情報の出力は、通信部66を介して行われる構成であってもよい。
【0148】
制御部63は、例えば、記憶部64に記憶されているプログラム(例えば、アプリケーション)を読み出し実行することで各種処理を行う。つまり、サーバー62は、コンピュータとしての機能を有している。
【0149】
[薬局側コンピュータの構成例]
図24は、薬局側コンピュータ70の内部構成例を示すブロック図である。図24に示すように、薬局側コンピュータ70は、バスにより相互接続されている制御部71、記憶部72、入力部73、通信部74及び出力部75を有している。
【0150】
制御部71は、例えば、CPU、RAM及びROM等で構成されている。ROMには、CPUにより読み込まれ動作されるプログラム等が記憶されている。RAMは、CPUのワークメモリとして用いられる。CPUは、ROMに記憶されたプログラムにしたがい、様々な処理を実行してコマンドの発行を行うことによって薬局側コンピュータ70全体の制御を行う。
【0151】
記憶部72は、例えば、HDD、SSD、半導体メモリ等により構成された記憶媒体である。記憶部72には、画像データ、動画データ、音声データ、テキストデータ等のコンテンツデータの他、プログラム(例えば、アプリケーション)等のデータが適宜、保存される。
【0152】
入力部73は、薬局側コンピュータ70に対して各種情報を入力するための装置である。入力部73により情報が入力されると、制御部71は、その入力情報に対応した各種処理を行う。入力部73は、マウス及びキーボードの他、マイクロホン、各種センサ、タッチパネル、モニタと一体に構成されたタッチスクリーン、物理ボタン等でもよい。なお、薬局側コンピュータ70への各種情報の入力は、通信部74を介して行われる構成であってもよい。
【0153】
通信部74は、所定の通信規格により他の装置やインターネットと通信する通信モジュールである。通信方法としては、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)等の無線LAN、LTE、5G、ブロードバンド、Bluetooth(登録商標)等が挙げられる。
【0154】
出力部75は、各種情報を出力するための装置である。出力部75は、例えば、画像や映像を表示するディスプレイ(表示デバイス)、スピーカ等の音を出力する出力デバイスで構成されている。例えば、出力部75が有するディスプレイには、サーバー62からダウンロードしたデータが所定のGUI(詳細は後述)によって表示される。なお、薬局側コンピュータ70からの各種情報の出力は、通信部74を介して行われる構成であってもよい。
【0155】
制御部71は、例えば、記憶部72に記憶されているプログラム(例えば、アプリケーション)を読み出し実行することで各種処理を行う。つまり、薬局側コンピュータ70は、コンピュータとしての機能を有している。
【0156】
なお、プログラム(例えば、アプリケーション)及びデータは、記憶部72に記憶されていなくてもよい。例えば、薬局側コンピュータ70が読み取り可能な記憶媒体に記憶されているプログラムやデータを読み出して使用するものでもよい。この記憶媒体としては、例えば、薬局側コンピュータ70に対して着脱自在な光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリ、HDDなどがあげられる。また、インターネット等のネットワークに接続された装置(例えば、クラウドストレージ)にプログラムやデータを記憶させておき、薬局側コンピュータ70がそこからプログラムやデータを読み出して実行するようにしてもよい。また、プログラムは、例えば、既存のアプリケーションに、処理の一部または全てを追加するプラグインプログラムであってもよい。
【0157】
[情報処理システムで行われる処理の一例]
次に、情報処理システム60で行われる処理の一例について説明する。薬剤収納装置1は、当該薬剤収納装置1を使用する患者の服薬履歴情報を周期的にサーバー62に送信する。本実施形態では、薬剤収納装置1は、当該薬剤収納装置1を使用する患者の服薬履歴情報を1週間蓄積し、蓄積した1週間分の服薬履歴情報をサーバー62に送信する。但し、服薬履歴情報は、1日毎や1ヶ月毎、若しくは、所定の操作(例えば、薬剤収納箱を引き出す操作)をトリガーとして、薬剤収納装置1からサーバー62に送信されてもよい。なお、服薬履歴情報は、薬剤収納装置1の通信部22を介してサーバー62に送信されてもよいし、スマートホン30の無線通信部304を介してサーバー62に送信されてもよい。
【0158】
図25は、薬剤収納装置1からサーバー62に送信される服薬履歴情報の一例を示す図である。服薬履歴情報は、患者ID(Identifier)を含む。患者IDは、薬剤収納装置1のユーザーである患者を特定できるものであれば何でもよい。例えば、患者に割り当てられた番号でもよいし、患者の氏名や電話番号、メールアドレス等でもよい。
【0159】
服薬履歴情報は、服薬の履歴が蓄積された期間を含む。本例では、当該期間の例として「2023/7/30~2023/8/5」の期間を含む。また、服薬履歴情報には、設定時刻が含まれる。設定時刻は、服薬する時刻として設定された時刻である。図25に示す例では、設定時刻として「9:00」、「12:00」、「15:00」、「17:00」が示されている。「9:00」は例えば第1薬剤収納箱100Aに収納された薬剤を服用すべき時刻として設定された時刻である。「12:00」は例えば第1薬剤収納箱100Bに収納された薬剤を服用すべき時刻として設定された時刻である。「15:00」は例えば第1薬剤収納箱100Cに収納された薬剤を服用すべき時刻として設定された時刻である。「17:00」は例えば第1薬剤収納箱100Dに収納された薬剤を服用すべき時刻として設定された時刻である。
【0160】
服薬履歴情報は、実際の服薬結果を含む。本例では、服薬結果として、第1薬剤収納箱100が引き出された開時刻情報を服薬結果として用いている。但し、開時刻情報だけでなく、閉時刻情報を服薬結果として用いてもよいし、開時刻情報及び閉時刻情報の両方を服薬結果として用いてもよい。
【0161】
例えば、図25に示す服薬履歴情報では、8/4(金)の「9:01」に第1薬剤収納箱100Aが引き出されたことが示されている。なお、服薬履歴情報における「OFF」は、外出等の理由でアラーム機能が設定されなかったことを示している。また、服薬履歴情報における「×」は、該当する日に開時刻情報が存在しない、すなわち、該当する日に薬剤収納箱が引き出されなかったことを示している。例えば、図25に示す例では、8/3(木)に第1薬剤収納箱100Aが一度も引き出されなかったことが示されている。服薬履歴情報が適宜なフォーマットに変換されて、薬剤収納装置1からサーバー62に送信される。
【0162】
なお、服薬履歴情報には、上述した情報以外の情報が含まれてもよい。例えば、薬剤収納装置1に対する設定時刻以外の設定情報(例えば、電磁ロック17を使用するか否かについての設定情報)が含まれていてもよい。
【0163】
薬剤収納装置1から送信された服薬履歴情報が、サーバー62の通信部66により受信される。そして、服薬履歴情報がバスを介して制御部63に供給される。
【0164】
制御部63の服薬率算出部63Aが、服薬履歴情報に基づいて、所定の期間における服薬率を算出する。本例の場合、服薬率算出部63Aが、「2023/7/30~2023/8/5」における服薬率を算出する。本例では、開時刻情報が存在する場合には、服薬率算出部63Aは、患者が薬剤を服薬したものと見なす。また、アラーム機能が設定されていない「OFF」の場合には、服薬率算出部63Aは、外出先で患者が薬剤を服用したものと判断する。また、「×」の場合には、薬剤収納箱が引き出されなかったことから、服薬率算出部63Aは、服薬がなされなかったものと判断する。
【0165】
本実施形態では、薬剤収納装置1に用いられる薬剤収納箱の個数毎に服薬率が求められ、その総和を薬剤収納箱の個数で除した値が最終的な服薬率とされる。本例の場合、第1薬剤収納箱100Aについては、1週間の全服薬回数7回に対して実際の服薬回数は6回(7-非服薬回数(「×」の個数))である。従って、服薬率は86%(6/7×100=86%)となる。他の第1薬剤収納箱100B~第1薬剤収納箱100Dについては、非服薬回数は0回であることから、服薬率は100%となる。従って、「2023/7/30~2023/8/5」における服薬率は、96%((86+100×3)/4=96(小数点以下は切り捨て))となる。
【0166】
または、外出中には患者がスマートホンを携帯するようにして、外出先での服薬の際に、スマートホンに表示された服薬ボタンをタップすることにより、服薬したものと見なしてもよい。この場合、箱の開閉時刻の代わりに、スマートホンに表示された服薬ボタンをタップした時刻がスマートホンから薬剤収納装置1に送信され服薬履歴情報の一部となる。
この場合、服薬履歴情報の中で、箱の開時刻情報が存在する箇所と、スマートホンをタップした時刻が存在する箇所との合計個数が実際の服薬回数として算出される。そして、上記の通り、算出された実際の服薬回数を全服薬回数で除してその結果を100倍したものが服薬率として算出される。このように、実際の服薬回数は、服薬履歴情報の中で箱の開時刻情報が存在する箇所の個数以外を含んでもよい。
【0167】
また、イレギュラー率算出部63Bは、服薬履歴情報に基づいて、イレギュラー率を生成する。イレギュラー率算出部63Bは、例えば、開時刻情報が存在しない場合には、薬剤の飲み忘れがあったものとして、イレギュラーな服薬行動としてカウントする。また、イレギュラー率算出部63Bは、設定時刻と開時刻情報との差が5分より大きい場合には、薬剤の飲み忘れや、引き出すべき薬剤収納箱に間違いがあったものとして、イレギュラーな服薬行動としてカウントする。但し、アラーム機能が設定されていない「OFF」の場合には、イレギュラー率算出部63Bは、外出先で患者が適切に薬剤を服用したものとみなして、イレギュラーな服薬行動としてカウントしない。以上より、図26に示すように、ハッチングを付した7箇所がイレギュラーな服薬行動の回数としてカウントされる。上述したように、1週間の服薬回数が28回であることから、イレギュラー率は25%(7/28×100)となる。
【0168】
他のイレギュラー率の算出方法として、例えば、箱の開閉に対する重みづけをしてもよい。例として、患者が箱を1回のみ引き出して使用していたのが、ある時期から、箱を複数回連続して開閉するようになった場合、その複数回連続する開閉のそれぞれをイレギュラー度が高い開閉、すなわちイレギュラーな服薬行動としてカウントしてもよいし、その複数回連続する開閉をまとめて1回の開閉とみなした上でイレギュラー度の高い開閉として重み付けをして、イレギュラー率を算出してもよい。最初から箱を複数回開閉する使用の仕方をしていた患者であれば、複数回の開閉が続いていたとしても、イレギュラー度の高い開閉(イレギュラーな服薬行動)とは見なされなくてもよい。または、箱を開いてから閉じるまでの時間が、だんだん長くなっている場合について、より長い時間の場合にイレギュラー度が高いとしてもよい(イレギュラーな服薬行動としてカウントしてもよい)。逆に、ごく短い時間である場合(開けてすぐに閉めており、薬を取り出すことが困難なほどに短い時間である場合)についても、イレギュラー度が高いとしてもよい(イレギュラーな服薬行動としてカウントしてもよい)。重み付けをした箱の開閉(回数)について、服薬上の何らかの理由があると判明した場合、その重み付けをやめて通常の開閉であると修正することもできる。修正によって重み付けが変わったことで、イレギュラーな服薬行動としてカウントする基準が変更されるので、修正後の重みづけによってイレギュラー率を算出することもできる。
【0169】
分類生成部63Cは、服薬率及びイレギュラー率に基づいて患者を分類する。例えば、服薬率が85%より大きく、且つ、イレギュラー率が30%未満の場合には、分類生成部63Cは、分類対象の患者を適正に服薬できている患者として分類する。また、例えば、服薬率が85%以下であり、又は、イレギュラー率が30%以上の場合には、分類生成部63Cは、分類対象の患者を、服薬行動に問題がある患者として分類する。
【0170】
さらに、分類生成部63Cは、服薬率及びイレギュラー率に基づいて、別の観点、すなわち、認知機能に応じて患者を分類する。分類生成部63Cは、服薬率及びイレギュラー率に基づいて、認知機能指数を算出する。認知機能指数の算出方法は特に限定されるものではないが、服薬率が顕著に低い場合(例えば、50%以下)や、イレギュラー率が顕著に高い場合(例えば、70%以上)に、認知機能指数が顕著に低下するような算出方法によって求められる。なお、週単位での服薬率やイレギュラー率は大きく変動する可能性もあるため、認知機能指数の算出に用いる服薬率及びイレギュラー率は、服薬率及びイレギュラー率を算出する周期(本例の場合1週間)に対して、より長い期間(例えば半年)の服薬率及びイレギュラー率を使用するようにしてもよい。分類生成部63Cは、例えば、患者の認知機能指数が80%以上の場合には、認知機能が正常な患者として分類し、認知機能指数が80%未満の場合には、認知機能が低下し、本人による服薬管理が困難な患者として分類する。
【0171】
グラフ生成部63Dは、服薬率の変化、イレギュラー率の変化、及び、認知機能指数の変化を示すグラフを生成する。グラフ生成部63Dは、例えば、記憶部64から患者IDに対応し、時系列で記録されている服薬率、イレギュラー率、認知機能指数を読み出し、読み出した服薬率等のデータを、患者の年齢に応じて正規化したグラフを生成する。
【0172】
図27は、グラフ生成部63Dにより生成されるグラフの一例である。グラフの横軸は、患者の年齢を示す。また、縦軸は、服薬率(%)、イレギュラー率(%)、認知機能指数(%)を示す。縦軸の下が0%に対応しており、縦軸の上が100%に対応している。なお、本例では、横軸を患者の年齢に対応させているが、所定の期間(例えば、1週間、1ヶ月、1年等)に対応するようにしてもよい。但し、患者の年齢とすることで、今後、普及すると考えられるPHR(Personal Health Record)に対応させることができる。また、図27に示すグラフの例では、40歳くらいから100歳程度まで服薬率等の算出がなされたことが前提となっているが、横軸は、現在の患者の年齢に応じたスケールとなる。
【0173】
グラフにおけるラインL1は、年齢に応じた服薬率の変化を示す。グラフにおけるラインL2は、年齢に応じたイレギュラー率の変化を示す。グラフにおけるラインL3は、年齢に応じた認知機能指数の変化を示す。
【0174】
ラインL1で示すように、一般に、年齢が上がるほど服薬忘れが増えることから服薬率は低下傾向となる。また、ラインL2で示すように、一般に、年齢が上がるほどイレギュラーな服薬行動の回数が増えることからイレギュラー率は増加傾向となる。また、ラインL3に示すように、年齢が上がるほど服薬率が低下し、イレギュラー率が増加することから、認知機能指数は、年齢が上がるほど低下する。本例は、服薬率及びイレギュラー率に基づいて80歳程度で急激に認知機能指数が低下した例である。係る認知機能指数の急激な低下がラインL3から分岐した点線のラインL4で示されている。このラインL4は認知症薬の処方がない場合の認知機能指数の低下を示している。分岐点以降のラインL3は、認知症薬の処方があった場合の認知機能指数の変化を示している。認知症薬が処方された場合には認知機能の低下度合いを緩和できることから、ラインL3の低下の度合いはラインL4の低下の度合いに比べて緩やかになる。
【0175】
なお、図27に示すグラフは、実際のデータだけでなく予測を含むものであってもよい。例えば、患者が70歳の場合、70歳までのラインL1、L2、L3は実際に算出された服薬率等に基づいた変化を示し、70歳以降の箇所は、それまでの変化に基づいた変化の予測であってもよい。予測の箇所は、線種や色を変更して実際の変化と区別して表示するようにしてもよい。
【0176】
また、グラフ生成部63Dがグラフを生成するタイミングは適宜なタイミングとすることができる。例えば、薬剤収納装置1から服薬履歴情報が送信されたタイミングでグラフ生成部63Dがグラフを生成してもよいし、薬局側コンピュータ70からグラフのダウンロードが要求された際にグラフ生成部63Dがグラフを生成してもよい。
【0177】
次に、薬局側コンピュータ70側で行われる処理の一例について説明する。薬局側コンピュータ70は、操作者(一般には薬剤師)の操作に応じてサーバー62にアクセスする。そして、薬局側コンピュータ70が患者IDをサーバー62に送信する。サーバー62は、患者IDに対応する患者の服薬履歴情報、サーバー62で算出された服薬率、サーバー62で算出されたイレギュラー率、及び、サーバー62で生成されたグラフ(図27参照)の少なくとも一つを記憶部64から読み出して薬局側コンピュータ70に送信する。これにより、薬局側コンピュータ70は、サーバー62から患者の服薬履歴情報等をダウンロードできる。薬局側コンピュータ70は、ダウンロードしたデータを出力部75の表示デバイスにGUIとして表示させる。なお、服薬履歴情報等のダウンロードの際には、患者IDだけでなく、パスワード等が要求されてもよい。
【0178】
図28は、薬局側コンピュータ70の表示デバイスに表示されるGUI(GUI80)の一例を示す。GUI80は、概略的には、上側に表示される患者情報81、右側中央付近に表示されるステータス情報82A、ステータス情報82Aの下側に表示されるデバイス情報82B、右側の下側に表示されるメモ欄情報83、左側に表示される服薬履歴情報84、左側の下側に表示される服薬率情報85、右上に表示されるグラフ作成アイコン86、及び、グラフ作成アイコン86の右側に表示される印刷アイコン87を含む表示内容によって構成される。
【0179】
患者情報81は、例えば、患者リスト表示81A、患者詳細表示81B、及び、アップデートアイコン81Cを含む。患者リスト表示81Aは、患者それぞれのIDを選択できるように構成されている表示である。薬剤師は、例えば、患者リスト表示81Aの右側のプルダウンボタン(下向きのアイコン)をクリックすることで、患者のリストを表示させて所定の患者IDを選択することができる。選択された患者の詳細情報(当該患者の登録メールアドレスや電番号等)が、患者詳細表示81Bとして表示される。例えば、患者リスト表示81Aを使用して患者IDの切替及び選択がなされた後、アップデートアイコン81Cが押下されると、当該患者IDに対応する服薬履歴情報等のダウンロード要求がサーバー62に送信される。
【0180】
ステータス情報82Aは、薬剤収納装置1と接続しているスマートホン30の情報や接続状況に関する表示内容である。また、デバイス情報82Bは、MACアドレス等の薬剤収納装置1に関する表示内容である。
【0181】
メモ欄情報83は、例えば、薬剤師が任意のテキスト情報を入力できる欄に関する表示内容である。
【0182】
GUI80における服薬履歴情報84は、期間選択表示84Aを含む。期間選択表示84Aは、1週間の期間(図示の例では、2023/7/30~2023/8/5の期間)を示す。GUI80における服薬履歴情報84は、服薬履歴表示84Bを含む。服薬履歴表示84Bは、例えば、期間選択表示84Aで選択された期間における服薬の履歴を示す。服薬履歴表示84Bは、基本的には、薬剤収納装置1からサーバー62に送信される服薬履歴情報と略同じ内容である。すなわち、服薬履歴表示84Bは、服薬時刻として設定された時刻、1週間の各日付、それぞれの日における開時刻情報等を表の形式で示す。
【0183】
本例における服薬履歴表示84Bは、電磁ロック17の設定の有無に関する表示を含む。本例では、電磁ロック17の設定の有無に関する表示として「Lock」と表示されている。これは、電磁ロック17が使用されていることを意味する。電磁ロック17が使用されない場合には、電磁ロック17の設定の有無に関する表示としては例えば「Unlock」と表示される。
【0184】
また、本例における服薬履歴表示84Bは、薬剤収納装置1からサーバー62に服薬履歴情報が送信された際の各薬剤収納箱の状態を示す表示を含む。本例では、係る表示の一例として「Close」と表示されている。これは、薬剤収納装置1からサーバー62に服薬履歴情報が送信された際に薬剤収納箱が閉じられていることを意味する。
【0185】
期間選択表示84Aの左右に表示されたボタンをクリックすることで、期間を変更することができる。例えば、右方向を向くボタンをクリックすることで、現在表示された期間を次の1週間に変更できる。そして、服薬履歴表示84Bは、変更後の期間に対応する服薬履歴を示す内容に遷移する。ここで、変更後の期間に対応する服薬履歴等が薬局側コンピュータ70に存在しない場合には、サーバー62に要求してもよい。左方向を向くボタンをクリックすることで、現在表示された期間を前の1週間に変更できる。そして、服薬履歴表示84Bは、変更後の期間に対応する服薬履歴を示す内容に遷移する。ここで、変更後の期間に対応する服薬履歴等が薬局側コンピュータ70に存在しない場合には、サーバー62に要求してもよい。
【0186】
服薬率情報85は、所定の期間における薬剤収納箱毎の服薬率を示す。例えば、期間選択表示84Aで選択された期間の前の週における薬剤収納箱毎の服薬率及び全体の服薬率(週服薬率)が服薬率情報85の一つとして表示される。具体的には、2023/7/23~2023/7/29における週服薬率として「96%」が表示され、その右側に第1薬剤収納箱100Aの服薬率として「86%」が表示される。その右側に第1薬剤収納箱100Bの服薬率として「100%」が表示される。その右側に第1薬剤収納箱100Cの服薬率として「100%」が表示され、さらに、その右側に第1薬剤収納箱100Dの服薬率として「100%」が表示される。
【0187】
本実施形態では、さらに、期間選択表示84Aで選択された期間の月の前の月における薬剤収納箱毎の服薬率及び全体の服薬率(月服薬率)が服薬率情報85の一つとして表示される。具体的には、2023年6月における1月の服薬率として「85%」が表示され、その右側に第1薬剤収納箱100Aの6月の服薬率として「62%」が表示される。その右側に第1薬剤収納箱100Bの6月の服薬率として「75%」が表示される。その右側に第1薬剤収納箱100Cの6月の服薬率として「95%」が表示され、さらに、その右側に第1薬剤収納箱100Dの6月の服薬率として「100%」が表示される。
【0188】
服薬率情報85として、期間選択表示84Aで選択された期間における薬剤収納箱毎の服薬率及び全体の服薬率(月服薬率)が表示されてもよいし、全体の服薬率のみが表示されてもよい。また、薬剤師が任意の期間(例えば、現在から前4週分や前52週分等)を指定できるようにし、指定された期間に対応する服薬率が表示されるようにしてもよい。
【0189】
グラフ作成アイコン86がクリックされると、薬局側コンピュータ70からサーバー62に対して、期間選択表示84Aで選択された期間でグラフ生成部63Dが生成したグラフのダウンロードが要求される。そして、サーバー62からダウンロードされたグラフ(例えば、図27に示すグラフ)が薬局側コンピュータ70の表示デバイスに表示される。
【0190】
印刷アイコン87がクリックされると、表示内容の印刷がなされる。例えば、図28に示されるGUI80の内容が印刷される。グラフ作成アイコン86がクリックされることで表示されたグラフが印刷されてもよい。GUI80の内容及びグラフの両方が印刷されてもよい。薬剤師は、印刷内容を医師に渡すことで、服薬率等のフィードバックを容易に行うことができる。例えば、印刷物をある患者の1ヶ月のレポートとして薬剤師が医師に渡すことができる。
【0191】
なお、サーバー62の分類生成部63Cで分類された結果が、GUI80に反映されることが好ましい。例えば、週服薬率が「96%」の場合は適正に服薬できている患者と分類されることから、週服薬率「96%」の箇所が、当該分類に対応する色(例えば、緑色)で着色されて表示される。月服薬率が「83%」の場合は、服薬行動に問題がある患者として分類されることから、当該分類に対応する色(例えば、黄色)で着色されて表示される。
【0192】
なお、図28では示されていないが、服薬率だけでなく、イレギュラー率や認知機能指数が表示されてもよい。また、図29に示すように、イレギュラー率ではなく、イレギュラーな服薬行動と判断された箇所(表形式の服薬履歴表示84Bにおけるセル)を着色したりハイライト表示することで、他のセルに比べて強調表示してもよい。また、認知機能指数が認知機能指数用の閾値を下回ると分類された場合には、認知機能指数の表示箇所を赤色等で示して強調表示してもよい。
【0193】
[本実施形態により得られる効果]
本実施形態によれば、例えば、下記の効果が得られる。
また、薬剤収納箱が引き出された操作に応じて、薬剤収納箱の開時刻情報を取得し、その履歴をサーバーで記録することで、どの薬剤収納箱の薬剤がいつ服用されたのか、患者による操作不要で取得し、記録できる。
服薬率とイレギュラー率とを使用して、患者の服薬行動の適正さを長期にわたって記録できる。そして、患者の服薬行動の適正さを分類することで、患者に対して医師や薬剤師が適切なアドバイスを行うことができる。従来は、例えば薬剤師が経験則で判断するため、薬剤師が服薬行動の適正さを見落とす虞があったが、本実施形態では薬剤師が服薬行動の適正さに関する分類を認識できるので、係る不都合を回避できる。また、ある患者に対応する薬剤師が変わった場合でも、交代した薬剤師が、過去から現在に至る継続的な服薬行動の適正さを認識できる。
服薬率及びイレギュラー率を使用して、服薬行動の適正さだけでなく、認知機能の低下に関する分類も可能となる。例えば、服薬行動の適正さに問題がある段階では、単に患者が忘れっぽい性格や、生活リズムと服薬スケジュールがあっていないことが想定される。そして、それらに対して服薬回数や服薬時間の変更などの改善を医師や薬剤師が患者に指示・提案できる。これにより、一般には服薬率やイレギュラー率が改善し、同じパラメータ(服薬率及びイレギュラー率)を使用して求められる認知機能指数も低下しない。しかしながら、改善後も服薬率の低下やイレギュラー率の増加が見られる場合には認知機能指数が低下する。すなわち、患者個人の性格や生活リズムに起因した服薬行動の問題ではなく、患者の認知機能そのものが低下していると判断できる。従来は、不適切な服薬行動の原因が患者の性格や生活リズムに起因していると判断され認知機能の低下が気付かれない虞があるが、本実施形態では認知機能の低下に関する分類を行うようにしたので係る不都合を回避できる。また、認知機能指数が認知機能指数用閾値を下回ったタイミングで認知機能の低下があると分類されるので、適正なタイミングで患者の認知機能の低下を検知できる。また、同じパラメータ(服薬率及びイレギュラー率)を使用するので、サーバーが多くのパラメータを取得する必要がなくなり、処理の効率化が図れる。
本実施形態では、従来はできなかったイレギュラーな服薬行動を、服薬履歴情報に基づいて把握できる。例えば、違う箱の開閉、複数回の開閉、適正時間以外の開閉、閉め忘れなどイレギュラーな服薬行動を把握できる。これに基づくイレギュラー率を認知機能指数に判断することで、認知機能指数の変化を精度よく把握できる。
【0194】
また、薬剤師がGUI80を使用することで下記の効果が得られる。
服薬率が服薬率用の閾値を下回る場合には、薬剤師は、医師や患者に対して、服薬の機会変更や服薬回数の削減をした方がいい旨のアドバイスを行うことができる。
具体的には、薬剤収納箱毎の服薬率を表示したり、イレギュラーな服薬行動を強調表示することで、患者のどの時間帯の服薬行動に問題があるのかを薬剤師が容易に理解できる。薬剤師は、患者の服薬行動に対して適切なアドバイスや改善法を提案できる。例えば、第1薬剤収納箱100Aに対応する服薬履歴にイレギュラーな服薬行動が多く見られる場合には、朝の服薬機会を無くした方がよい旨のアドバイスや提案を行うことができる。
また、グラフを容易に表示できるようにしているので、長期にわたる服薬率の変化やイレギュラー率の変化、及び、認知機能指数の変化を薬剤師が容易に認識できる。従って、薬剤師が変わった場合であっても、当該患者の長期にわたる状況変化を薬剤師が理解することができる。
GUI80に分類生成部63Cによる分類結果を反映されることで、患者の服薬行動に問題がある状況や、認知機能の低下がみられる状況を薬剤師が容易に認識することができる。そして、薬剤師は、患者の異常を認識した場合にはGUI80やグラフの内容を印刷し、印刷結果を医師に渡すことで患者の異常をフィードバックすることができる。従来は、患者の服薬に問題があり改善案を薬剤師が医師へ提案する場合、薬剤師の経験則による判断に個人差あるため、医師からの信頼を得られず提案を受け入れてもらえない場合もあった。本実施形態の場合には、薬剤師の判断に個人差が少ない、データに基づいた信頼性の高い提案が可能となる。なお、印刷結果を医師に渡すのではなく、GUI80やグラフの内容を電子メール等に添付して送信してもよい。また、服薬行動に問題があると分類された場合や、認知機能の低下がみられると分類された場合に、GUI80やグラフが自動で医師の端末に送信されてもよい。
従来のように人手で記入していた紙媒体のお薬カレンダーに比べて、簡易に且つ正確に患者の服薬履歴を管理できる。また、高価な服薬管理用ロボットに比べて、比較的低廉な価格で患者の服薬履歴を管理できる。
【0195】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0196】
上述した実施形態では、内部空間SP3と内部空間SP4とを含む内部空間SP5に第2薬剤収納箱200が収納された例を説明したが、これに限定されることはない。例えば、隔壁部12Aのみを取り外し、内部空間SP1と内部空間SP2とを含む内部空間に第2薬剤収納箱200が収納されてもよい。また、隔壁部12Bのみを取り外し、内部空間SP2と内部空間SP3とを含む内部空間に第2薬剤収納箱200が収納されてもよい。
【0197】
筐体10内に2個の第2薬剤収納箱200が収納されてもよい。例えば、隔壁部12A及び隔壁部12Cを取り外す。そして、内部空間SP1と内部空間SP2とを含む内部空間に第2薬剤収納箱200が収納され、且つ、内部空間SP3と内部空間SP4とを含む内部空間に第2薬剤収納箱200が収納されるようにしてもよい。これによって、服薬タイミングが1日2回の場合にも対応できる。
【0198】
上述した実施形態では、第2薬剤収納箱200の大きさ(第2の大きさ)が第1薬剤収納箱100の大きさ(第1の大きさ)の大凡2倍であるものとして説明したが、第2の大きさは第1の大きさの整数倍に限定されることなく、大凡3倍等の2倍以外であってもよいし、略小数倍(例えば、大凡1.5倍)であってもよい。
筐体10において、内部空間SPは、少なくとも所定単位の2倍以上の任意の大きさを有しているものとして説明したが、内部空間SPは所定単位の整数倍に限定されることなく、大凡3倍等の2倍以外であってもよいし、略小数倍(例えば、2.5倍)であってもよい。
【0199】
第2薬剤収納箱200よりも大きい薬剤収納箱が筐体10内に収納できるようにしてもよい。例えば、隔壁部12A及び隔壁部12Bを取り外し、内部空間SP1、内部空間SP2、及び、内部空間SP3を含む内部空間を形成し、このスペースに第2薬剤収納箱200よりも大きい薬剤収納箱(例えば、第1の大きさの大凡3倍の大きさを有する薬剤収納箱)を収納できるようにしてもよい。また、第1薬剤収納箱100や第2薬剤収納箱200の形状、筐体10の大きさ、及び、当該筐体10内に収納可能な薬剤収納箱の個数は実施形態で説明した形状等に限定されることはなく適宜変更可能である。
【0200】
上述した実施形態では2個の検出部18から略同時に検出信号が供給されることで、第2薬剤収納箱200が収納されたことを制御部21が判定したがこれに限定されることはない。薬剤収納装置1が、第2薬剤収納箱200が収納されたことを検出する専用の検出部(図示しない)を有していてもよい。係る専用の検出部は、第1薬剤収納箱100が通過せず、第2薬剤収納箱200のみが通過する箇所に設けられることが好ましい。例えば、各隔壁部12からY方向に延在する筐体10内の所定箇所に専用の検出部が設けられる。専用の検出部としてはレバースイッチや接触センサ等を用いることができる。
【0201】
例えば、面部16Aと面部16Bの間に、隔壁部12AからY方向に延在する所定箇所に専用の検出部Aを設け、同じように、面部16Bと面部16Cの間に、隔壁部12BからY方向に延在する所定箇所に専用の検出部Bを設け、面部16Cと面部16Dの間に、隔壁部12CからY方向に延在する所定箇所に専用の検出部Cを設けることができる。収納された薬剤収納箱によって専用の検出部Aが押されたが、専用の検出部Bは押されなかった場合、専用の検出部Aが出力した検出信号が制御部21に供給される。これにより、制御部21は、収納空間に収納された薬剤収納箱の大きさが第2薬剤収納箱200の大きさ(第2の大きさ)であることを判定できる。また、専用の検出部Aが押されず、検出部18Aが押された場合、検出部18Aが出力した検出信号が制御部21に供給される。これにより、制御部21は、内部空間SP1に収納された薬剤収納箱の大きさが、第1薬剤収納箱100(第1の大きさ)であることを判定できる。このように、制御部21は、各専用の検出部A~Cの検出結果と、必要に応じて検出部18A~18Dの検出結果とを用いて、収納された薬剤収納箱の大きさを判定することが可能である。
【0202】
上述した実施形態において、電磁ロック17を非動作状態にしてから所定時間後(例えば、2秒後)に、薬剤収納箱の収納が検出されない場合であっても電磁ロック17を動作状態としてもよい。係る制御に応じて、電磁ロック17が非動作状態になってから患者が薬剤収納箱を引き出した後に電磁ロック17に吸着力が発生する。患者が薬剤収納箱を引き出した状態では、電磁ロック17と薬剤収納箱との距離が大きくなるので、発生した電磁ロック17の吸着力は薬剤収納箱に略作用しない。患者が薬剤を取り出した後に薬剤収納箱を一定程度筐体10内に収納すると、薬剤収納箱の金属板に電磁ロック17の吸着力が作用する。これにより、薬剤収納箱を収納する際に適度な引き込み感を患者に与えることができる。また、患者が筐体10内に一定程度薬剤収納箱を収納すれば、電磁ロック17の吸着力によって薬剤収納箱を奥まで自動で収納することができる。
【0203】
上述した実施形態において、電磁ロック17の吸着力が可変とされてもよい。例えば、制御部21から電磁ロック17への電流供給経路に可変抵抗を設け、当該可変抵抗の抵抗値を変化させることで電磁ロック17への電流を制御できる。これにより電磁ロック17の吸着力を変更することができる。例えば、服薬時刻になった際にアンロック状態とすべき薬剤収納箱に対応する電磁ロック17の吸着力を徐々に減らすようにする。これにより、患者が薬剤収納箱を比較的強い力で引き出した場合でも、薬剤収納箱が筐体10から外れてしまうことを抑制できる。
【0204】
上述した実施形態において電磁ロック以外のロック機構(例えば、公知のメカニカルなロック機構)がロック部として用いられてもよいが、電磁ロックが好ましい。電磁ロックが動作状態の場合に薬剤収納箱が誤って強い力で引き出された場合であっても、薬剤収納箱や電磁ロックが損傷してしまう虞がメカニカルなロック機構よりも低いからである。また、災害等で停電になった場合には電磁ロックへの通電がなされず薬剤収納箱がアンロック状態になるので、患者の服薬の障害とならないからである。なお、薬剤収納装置が電磁ロック等のロック機構を有しない構成でもよい。但しこの場合には、第1薬剤収納箱100や第2薬剤収納箱200が勢いよく筐体10から排出されてしまうことを防止するために、引き出し方向への抗力を付与する磁石等が筐体10の面部16C等に設けられることが好ましい。
【0205】
上述した実施形態において、筐体10に隔壁部12がなくてもよい。但し、隔壁部12を設けることで薬剤収納装置1の機械的な強度を向上させることができる。また隔壁部12を設けることで、筐体10内に収納する薬剤収納箱の位置決めを容易とすることができる。
【0206】
上述した実施形態において、アラーム音声データがスマートホン30ではなく薬剤収納装置1で生成され、当該アラーム音声データに対応する音声が、放音孔15A及び放音孔15Bから再生されるようにしてもよい。
【0207】
上述した実施形態で説明したGUIを表示するディスプレイが筐体10に設けられてもよい。係るディスプレイはタッチパネルとして構成されてもよい。そして、実施形態で説明したように、薬剤収納箱の大きさの変化が検出された場合にGUIの内容が変更されるようにしてもよい。
【0208】
上述した実施形態において、隔壁部12は、筐体10の前面部10A付近だけでなく、背面部10B付近まで延在する薄板状の壁部であってもよい。また、上述した実施形態において、第1薬剤収納箱100と第2薬剤収納箱200のそれぞれのZ方向の長さが異なっていてもよい。また、薬剤収納装置1は、X方向に沿ってだけでなくZ方向(上下方向)に沿って薬剤収納箱を収納できるものでもよい。また、設定処理で薬剤師により設定された内容を患者が変更できないようにしてもよい。また、凹部14に収納されたスマートホン30に対してワイヤレス給電が行われるようにしてもよい。また、薬剤収納装置1と通信可能な装置はスマートホン30ではなく、タブレットコンピュータ等の電子機器であってもよい。また、薬剤収納箱の接触や近接を検出する検出部には、非接触式のスイッチやセンサを用いてもよい。また、本装置は薬剤収納装置であるが、薬剤以外のものも収納可能である。例えば、電磁ロック不使用の薬剤収納箱を設定しておき、お薬手帳や薬品の添付文書、点眼に用いる点眼補助具を収納することも可能である。
【0209】
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態は、組み合わせることも可能である。例えば、第1の実施形態で説明した薬剤収納装置1がサーバー62の機能を有していてもよい。具体的には、薬剤収納装置1が、上述した、服薬率算出部63A、イレギュラー率算出部63B、分類生成部63C、及び、グラフ生成部63Dの少なくとも一つの機能を有していてもよい。すなわち、本発明に係る情報処理装置は、サーバー62ではなく薬剤収納装置1であってもよい。
【0210】
実施形態で説明した薬剤収納装置のユースケースは一例であり、ユースケースの内容は適宜変更可能である。実施形態では、患者が薬剤収納装置をもって薬局に出向いて、薬剤師が処方箋を確認しながら薬剤を薬剤収納箱に収納するユースケースについて説明した。しかしながら、例えば、薬剤師や介護士が患者の自宅に出向き、患者の自宅にある薬剤収納装置の薬剤収納箱に薬剤を収納するようにしてもよい。
【0211】
第2の実施形態において、服薬率、イレギュラー率、及び、認知機能指数の変化を示すグラフ(図27参照)は、サーバー62が生成するようにしたが、薬局側コンピュータ70が生成してもよい。すなわち、薬局側コンピュータ70が、グラフ生成部63Dの機能を有していてもよい。
【0212】
上述した実施形態における分類生成部による分類の判断等は、学習により生成された機械学習モデルを適用することで行われるようにしてもよい。
【0213】
服薬率やイレギュラー率とは異なるパラメータをさらに用いて患者の服薬行動の適正さや認知機能を分類してもよい。係るパラメータとしては、例えば、残薬数(具体的には、所定の期間における理論的な残薬数と、実際の残薬数との差異)を挙げることができる。具体的には、分類生成部が、残薬数と服薬率、残薬数と患者の服薬行動に関するイレギュラー率、及び、残薬数と服薬率とイレギュラー率、の何れかの組み合わせに基づいて、患者に対して、服薬行動の適正さについての分類又は/及び認知機能に関する分類を生成するようにしてもよい。また、分類生成部は、服薬率とイレギュラー率とに基づいて、患者に対して、服薬行動の適正さについての分類又は認知機能に関する分類を生成するようにしてもよい。
残薬数は、実際の服薬の履歴に基づく情報である。または、所定期間に服薬予定であったが実際には服薬されなかった薬の数量である。より具体的には、例えば、予め配布された薬剤の数に対して、所定期間後に残っている薬剤の実際の残数である。例えば、薬剤師が所定期間経過後に残っている薬剤の実際の残数を確認する。または、患者が自分で残薬数を数えてもよい。
残薬数は、スマートホンまたは薬局側コンピュータに入力することにより、記憶部に記憶される。残薬数は、通信部を介して、サーバーにアップロードされる。
【0214】
第2の実施形態で説明したGUI80の内容やグラフは、スマートホン30がサーバー62にアクセスしダウンロード可能とされてもよい。そして、GUI80の内容やグラフがスマートホン30のディスプレイ302に表示されてもよい。これにより、薬剤師や介護士が患者宅を訪問した際に、当該患者の服薬履歴を確認することができる。
【0215】
実施形態又は変形例で説明した処理の流れは、一部の処理の順序が入れ替わってもよいし、複数の処理が並列的に行われてもよい。また、実施形態で説明した処理をどの装置や機能ブロックに分担させるかについては、適宜、変更可能である。
【0216】
上述した実施形態及び変形例の構成、方法、工程、形状、材料及び数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることや入れ替えることが可能である。また、1つのものを2つ以上に分けることも可能であり、2つ以上のものを1つに纏めることも可能である。さらに、一部を省略することも可能である。
【0217】
また、本発明は、装置、方法、プログラム、システム等、任意の形態により実現することもできる。例えば、上述した実施形態で説明した機能を行うプログラムをダウンロード可能とし、実施形態で説明した機能を有しない装置が当該プログラムをダウンロードしてインストールすることにより、当該装置において実施形態で説明した制御を行うことが可能となる。本発明は、このようなプログラムを配布するサーバーにより実現することも可能である。また、本明細書で例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0218】
1・・・薬剤収納装置
10・・・筐体
12A、12B、12C・・・隔壁部
13A・・・第1LED
13B・・・第2LED
13C・・・第3LED
13D・・・第4LED
17・・・電磁ロック
18・・・検出部
30・・・スマートホン
62・・・サーバー
63A・・・服薬率算出部
63B・・・イレギュラー率算出部
63C・・・分類生成部
63D・・・グラフ生成部
100、100A、100B、100C、100D・・・第1薬剤収納箱
200・・・第2薬剤収納箱
SP1、SP2、SP3、SP4、SP5・・・内部空間
図1
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