(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110400
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】複合粉体およびこれを含有する化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20240807BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20240807BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240807BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20240807BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240807BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240807BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240807BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20240807BHJP
A61Q 1/06 20060101ALI20240807BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/55
A61K8/19
A61K8/60
A61K8/44
A61Q1/00
A61Q17/04
A61Q1/12
A61Q1/06
A61Q1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024010061
(22)【出願日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2023014639
(32)【優先日】2023-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500154423
【氏名又は名称】株式会社マツモト交商
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄太
(72)【発明者】
【氏名】井口 里紗
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB432
4C083AB441
4C083AB442
4C083AB472
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC332
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC552
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD191
4C083AD212
4C083AD242
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD492
4C083AD571
4C083AD572
4C083BB07
4C083BB12
4C083BB21
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC19
4C083DD11
4C083DD17
4C083DD23
4C083DD32
4C083EE06
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】マイクロプラスチックビーズの代替技術としてより優れた複合粉体を提供する。
【解決手段】次の(A)と、(B)および/または(C)
(A)常温で半固形の油剤および固形の油剤から選ばれる1種または2種以上
(B)両性界面活性剤
(C)油性ゲル化剤
を被覆した平均粒子径が1~20μmの球状粉体に、平均粒子径が50μm以下の板状粉体が付着したことを特徴とする複合粉体およびこれを含有する化粧料。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(A)と、(B)および/または(C)
(A)常温で半固形の油剤および固形の油剤から選ばれる1種または2種以上
(B)両性界面活性剤
(C)油性ゲル化剤
を被覆した平均粒子径が1~20μmの球状粉体に、平均粒子径が50μm以下の板状粉体が付着したことを特徴とする複合粉体。
【請求項2】
(A)と、(B)および(C)の合計の質量比が1:0.01~1:2である請求項1に記載の複合粉体。
【請求項3】
(B)の両性界面活性剤がリン脂質である請求項1に記載の複合粉体。
【請求項4】
(C)の油性ゲル化剤が有機変性粘土鉱物、糖エステルおよびアミノ酸誘導体から選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の複合粉体。
【請求項5】
SPF向上用である請求項1に記載の複合粉体。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の複合粉体を含有する化粧料。
【請求項7】
メイクアップ用または日焼け止め用である請求項6記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロプラスチックビーズの代替となる複合粉体およびこれを含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な製剤で感触向上、光拡散性の付与、SPF向上効果を付与する目的でマイクロプラスチックビーズが汎用されてきた。マイクロプラスチックビーズとは5mm以下の固形の合成高分子(プラスチック)の粉末、フィルム、繊維である。
【0003】
しかしながら、近年、マイクロプラスチックビーズが海洋環境に与える影響が問題視されており、マイクロプラスチックビーズの配合量を抑えたもしくは配合しない化粧料が求められている。
【0004】
マイクロプラスチックビーズを配合しない化粧料としては、例えば、球状無孔質シリカを含有する粉末と、油剤とを混合することにより調製される化粧料基材と、溶剤とを混合してスラリー状にし、容器に充填した後、該溶剤を除去することを特徴とする固形粉末化粧料が知られている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、この化粧料は、マイクロプラスチックビーズを用いた化粧料と比較して、感触が劣り、化粧料としての効果が低い問題点があった。
【0006】
そこで本出願人はマイクロプラスチックビーズの代替技術として、常温で半固形の油剤および固形の油剤から選ばれる1種または2種以上を被覆した平均粒子径が1~20μmの球状粉体に、平均粒子径が50μm以下の板状粉体が付着したことを特徴とする複合粉体を報告している(特許文献2)。この複合粉体もマイクロプラスチックビーズに近く優れているが、より優れた複合粉体を開発することは技術の豊富化のため必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-93996号公報
【特許文献2】特許第7031912号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、以上の状況を踏まえ、マイクロプラスチックビーズの代替技術としてより優れた複合粉体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、上記複合粉体を構成する球状粉体に特定の油剤と共に、両性界面活性剤および/またはゲル化剤を被覆することにより、両性界面活性剤および/またはゲル化剤を被覆しない場合に比べて顕著に優れた複合粉体となることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、次の(A)と、(B)および/または(C)
(A)常温で半固形の油剤および固形の油剤から選ばれる1種または2種以上
(B)両性界面活性剤
(C)油性ゲル化剤
を被覆した平均粒子径が1~20μmの球状粉体に、平均粒子径が50μm以下の板状粉体が付着したことを特徴とする複合粉体である。
【0011】
また、本発明は、上記複合粉体を含有することを特徴とする化粧料である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の複合粉体は、マイクロプラスチックビーズと同様の感触で、両性界面活性剤および/またはゲル化剤を被覆しない場合と比べて、光拡散性、SPF向上等の効果を有し、更に、なめらか、しっとりといった感触評価が顕著に向上した優れたものである。
【0013】
そのため、本発明の複合粉体を含有させた化粧料は、従来のマイクロプラスチックビーズの代替技術となり、更には従来の複合粉体を用いたものよりも顕著に感触の優れた化粧料となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1の複合粉体の電子顕微鏡写真である(×1500)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の複合粉体は、次の(A)と、(B)および/または(C)
(A)常温で半固形の油剤および固形の油剤から選ばれる1種または2種以上
(B)両性界面活性剤
(C)油性ゲル化剤
を被覆した平均粒子径が1~20μmの球状粉体に、平均粒子径が50μm以下の板状粉体が付着したものである。ここで付着したとは、走査型電子顕微鏡にて上記(A)の油剤と、(B)両性界面活性剤および/または(C)油性ゲル化剤を被覆した球状粉体表面に板状粉体が接している様子が確認されることをいう。また、上記(A)の油剤と、(B)両性界面活性剤および/または(C)油性ゲル化剤を被覆した球状粉体への板状粉体の付着は一部または全部でもよい。
【0016】
上記複合粉体に用いられる(A)常温で半固形の油剤および固形の油剤は、常温(15~25℃)で流動性のない半固形の油剤または常温で固形の油剤であって、球状粉体を被覆できるものである。
【0017】
このような常温で半固形の油剤としては、特に限定されず、例えば、炭化水素系半固形の油剤、エステル系半固形の油剤、エーテル系半固形の油剤、シリコーン系半固形の油剤等があり、例えばワセリン等の炭化水素系半固形の油剤、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ビスジグリセリルポリアシルアジペート‐2、ステアリン酸硬化ヒマシ油、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、水添パーム油、水添ヤシ油、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソスアテリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ペンタヒドロキシステアリン酸スクロース、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ビス(ラウロイルグルタミン酸/ラウロイルサルコシン)ダイマージリノレイル、ライステロールエステル等のエステル系半固形の油剤、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル等のエーテル系半固形の油剤、ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等のシリコーン系半固形の油剤が挙げられる。
【0018】
また、このような常温で固形の油剤としては、特に限定されず、例えば、炭化水素系固形の油剤、エステル系固形の油剤、高級アルコール系固形の油剤、高級脂肪酸系固形の油剤、シリコーン系固形の油剤等が使用できる。例えばパラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成ワックス、キャンデリラロウ炭化水素等の炭化水素系固形の油剤、水添ホホバ油、ミツロウ、カルナウバワックス、カルナウバロウエキス、キャンデリラワックス、キャンデリラロウエキス、キャンデリラロウエステルズ、ライスワックス、ヒマワリワックス、ローズワックス、サトウキビワックス、モクロウ、(エイコセン/ビニルピロリドン)コポリマー、α-オレフィン・ビニルピロリドン共重合体、トリベヘン酸グリセリル等のエステル系固形の油剤、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール系固形の油剤、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸系固形の油剤、トリメチルシロキシケイ酸、ポリシルセスキオキサン、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、アルキル(C30-45)メチコン、ステアリルジメチコン、ステアロキシトリメチルシラン、アルキル(C30-45)ジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン等のシリコーン系固形の油剤等が挙げられる。
【0019】
これらの常温で半固形の油剤および固形の油剤の中でも、炭化水素系の固形の油剤、炭化水素系の半固形の油剤、エステル系半固形の油剤、エステル系の固形の油剤、高級アルコール系の固形の油剤が好ましく、炭化水素系の固形の油剤、エステル系の固形の油剤、高級アルコール系の固形の油剤、高級脂肪酸系の固形の油剤がより好ましい。また、これらの常温で半固形の油剤および固形の油剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
上記複合粉体に用いられる(B)両性界面活性剤は、pHによって親水基の部分がプラスに帯電したり、マイナスに帯電したりする界面活性剤であって、球状粉体を被覆できるものである。
【0021】
このような両性界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、オレイルベタイン、ステアリルベタイン、セチルベタイン、ベヘニルベタイン、ミリスチルベタイン等のベタイン系界面活性剤、ラウロアンホ酢酸Na、ココアンホ酢酸Na、ステアロアンホ酢酸Na、イソステアロアンホ酢酸Na等のイミダゾリン系界面活性剤、ココアミンオキシド、ラウラミンオキシド等のアミンオキシド系界面活性剤、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン等のスルホベタイン系界面活性剤、ラウラミノプロピオン酸Na、アルキル(C12、14)オキシヒドロキシプロピルアルギニンHCl等のアミノ酸系界面活性剤、レシチン、リゾレシチン、水添レシチン等のリン脂質が挙げられる。
【0022】
これらの両性界面活性剤の中でもレシチン、リゾレシチン、水添レシチン等のリン脂質が好ましく、レシチンがより好ましい。また、これらの両性界面活性剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
上記複合粉体に用いられる(C)油性ゲル化剤は、(A)常温で半固形の油剤および固形の油剤に柔軟性を付与することができるものである。
【0024】
このような油性ゲル化剤としては特に限定されず、例えば、ステアラルコニウムヘクトライト、ジステアルジモニウムヘクトライト、クオタニウム-18ヘクトライト等の有機変性粘土鉱物、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン、ショ糖パルミチン酸エステル、フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル、ステアリン酸イヌリン等の糖エステル、12-ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸、トリヒドロキシステアリン等のエステル、ジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド等のアミノ酸誘導体、ポリアミド-3、ポリアミド-8等のポリアミド樹脂、(スチレン/イソプレン)コポリマー、(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、(スチレン/ブタジエン)コポリマー、(スチレン/エチレン/ブチレン)コポリマー、(スチレン/プロピレン/ブチレン)コポリマー、(スチレン/ブチレン)コポリマー、(エチレン/プロピレン)コポリマー、水添(スチレン/イソプレン)コポリマー、(ヒマシ油/IPDI)コポリマー、(水添ヒマシ油/セバシン酸)コポリマー等のポリマー、シリカ等の煙霧状無水ケイ酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。また、前記煙霧状無水ケイ酸は、疎水化処理してもよく、その処理方法としては、例えば、トリメチルシリルクロライドやヘキサメチルジシラザンによるトリメチルシロキシ処理、オクチルシラン化処理、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたコーティング焼き付け処理、金属石鹸によるコーティング等が挙げられる。
【0025】
これら油性ゲル化剤の中でも有機変性粘土鉱物、糖エステル、アミノ酸誘導体が好ましく、ステアラルコニウムヘクトライト、ジステアルジモニウムヘクトライト、クオタニウム-18ヘクトライト、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン、ステアリン酸イヌリン、ジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミドがより好ましい。また、これら油性ゲル化剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
上記(B)両性界面活性剤と、(C)油性ゲル化剤は、それぞれ一方か両方を用いることができるが、両方用いることが好ましい。
【0027】
上記複合粉体に用いられる球状粉体は、本発明の複合粉体がマイクロプラスチックビーズの代替技術であることから、プラスチック以外であれば特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、セルロース、結晶セルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、シルク、加水分解シルク、デンプン、疎水化デンプン等が挙げられ、これらの表面に酸化チタン、酸化鉄等が被覆されているもしくは内包されているものを用いても良く、油剤、シリコーン、アミノ酸等で表面処理されていてもよい。これらの中でもシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましく、シリカがより好ましい。これら球状粉体は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、球状粉体の大きさも特に限定されないが、平均粒子径が1~20μm、好ましくは3~10μmである。なお、この平均粒子径は電子顕微鏡観察、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定にて測定される値である。
【0028】
上記板状粉体は、本発明の複合粉体がマイクロプラスチックビーズの代替技術であることから、プラスチック以外であれば特に限定されないが、例えば、酸化チタン、リン酸チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、炭、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、ベンガラ、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン酸化スズ被覆合成金雲母、酸化亜鉛被覆雲母、硫酸バリウム被覆雲母、酸化チタン被覆ガラス末、ガラス末、アルミ末、シルク、加水分解シルク、セルロース、結晶セルロース、酢酸セルロース、デンプン、疎水化デンプン、ラウロイルリシン、N-カプリロイルリシン、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛等が挙げられ、これらは油剤、シリコーン、アミノ酸等で表面処理されていてもよい。これらの中でもタルク、マイカ、セリサイト、合成雲母、窒化ホウ素が好ましく、セリサイト、合成雲母、窒化ホウ素がより好ましい。これら板状粉体は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
また、板状粉体の大きさも特に限定されないが、平均粒子径が50μm以下、好ましくは1~20μmである。更に、板状粉体のアスペクト比も特に限定されないが、2~200、好ましくは10~200である。なお、この平均粒子径は電子顕微鏡観察、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定にて測定される値である。また、アスペクト比は板状粉体の長径を厚みで除した値であり、一般的には粉体の電子顕微鏡観察から求められ、例えば電子顕微鏡写真10~20サンプルの平均値を用いて計算することができる。
【0030】
本発明の複合粉体における、球状粉体、板状粉体、(A)と(B)と(C)の合計((B)か(C)をどちらか一方しか用いない場合にはどちらか一方と(A)の合計)の質量比は特に限定されないが、例えば、99.8:0.1:0.1~1:1:1、好ましくは98:1:1~4:3:3である。
【0031】
また、本発明の複合粉体における、(A)と、(B)および(C)の合計((B)か(C)をどちらか一方しか用いない場合にはどちらか一方と(A)の合計)の質量比は特に限定されないが、例えば、1:0.01~1:2、好ましくは1:0.05~1:1.5である。この質量比にすることでマイクロプラスチックビーズと同様のすべり性、なめらかさ、しっとりとした感触を付与することができる。
【0032】
なお、本発明の複合粉体は、ナイロン、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、オルガノポリシロキサン等のマイクロプラスチックビーズと同様の感触であり、更に、両性界面活性剤および/またはゲル化剤を被覆しない場合と比べて、光拡散性、SPF向上等の効果を有し、更に、なめらか、しっとりといった感触評価が顕著に向上するという効果を有する。特に本発明の複合粉体はSPF向上効果を生かしてSPF向上用に用いることが好ましい。
【0033】
また、本発明の複合粉体は、実施例に記載の感触の官能評価試験結果を主成分分析して得られた、第1主成分得点が-4.5以下、好ましくは-5.5以下、第2主成分得点が7.5以下、好ましくは6.0以下である。なお、主成分分析とは感触評価項目ごとの要因の中から最も相関の高い2つの説明成分を抽出する分析手法のことをいい、第1主成分得点とは主成分分析によって得られた第1主成分に個々の感触評価値を代入した数値をいい、第2主成分得点とは主成分分析によって得られた第2主成分に個々の感触評価値を代入した値をいう。また、本発明の複合粉体は両性界面活性剤を添加していない比較例の第1主成分と第2主成分の有意差検定(例えば、Dunett法)において、危険率が0.5未満、好ましくは0.3未満、より好ましくは0.1未満である。
【0034】
本発明の複合粉体は、例えば、以下の工程(1)および(2)を含むこと、好ましくは工程(1)、(2)の順で製造することができるが、本発明の複合粉体を製造することができるのであれば、以下の工程以外の製法を用いても構わない。
(1)(A)常温で半固形の油剤および固形の油剤、(B)両性界面活性剤および/または(C)油性ゲル化剤を加熱溶解し、球状粉体へ添加、混合し、前記(A)と、(B)および/または(C)を被覆した球状粉体を得る工程
(2)前記(A)と、(B)および/または(C)を被覆した球状粉体と、板状粉体を撹拌し、前記(A)と、(B)および/または(C)を被覆した球状粉体に板状粉体が付着した複合粉体を得る工程
【0035】
工程(1)においては、まず、(A)と、(B)および/または(C)を加熱溶解した後、球状粉体へ添加し、ディスパーミキサー、リボンミキサー、プラネタリーミキサー、ヘンシェルミキサー等で混合する。
【0036】
工程(2)において、(A)と、(B)および/または(C)を被覆した球状粉体と板状粉体を撹拌する方法は、(A)と、(B)および/または(C)を被覆した球状粉体に板状粉体を物理的に付着させることができるものであれば特に限定されないが、例えば、乳鉢、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、ピンミル、ハンマーミル等の物理的な力を撹拌と同時に加えられる方法が好ましい。撹拌の時間は特に限定されないが、5~60分であり、好ましくは30~60分である。
【0037】
工程(1)および(2)を行った後は、更に、解砕、分級等をしてもよい。
【0038】
本発明の複合粉体は、従来のマイクロプラスチックビーズが使用されていた化粧料においてマイクロプラスチックビーズと置き換えて利用可能である。本発明の複合粉体を含有する化粧料にはマイクロプラスチックビーズを含有させる必要がなく、マイクロプラスチックビーズを含有しない化粧料となるため環境負荷が低いものとなる。ただし、本発明の複合粉体はマイクロプラスチックビーズと併用して化粧料に利用可能なことはいうまでもない。
【0039】
本発明の化粧料のうち好ましいものとしては、複合粉体の感触向上、光拡散性等を生かしたパウダーファンデーション、リキッドファンデーション、チーク、アイシャドウ、リップ等のメイクアップ化粧料、SPF向上を生かしたサンケア、下地等の日焼け止め用化粧料等が挙げられる。これらの中でも特にメイクアップ用化粧料、日焼け止め用化粧料が好ましい。
【0040】
本発明の複合粉体を白色顔料、着色顔料と併用することですることでマイクロプラスチックビーズを用いずとも、光拡散性が増し、なめらかさ、しっとり感といった感触が向上する。
【0041】
白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが挙げられる。
【0042】
着色顔料としては、例えば、ベンガラ、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黄土等、黒酸化鉄、低次酸化チタン、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等、群青、紺青、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号、青色1号、クロロフィル、β-カロチン、アントシアニン等が挙げられる。
【0043】
本発明の複合粉体は、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤及びこれらを内包、被覆もしくは複合化した粉体と併用することでマイクロプラスチックビーズを用いずともSPFの向上効果を付与することができ、なめらかさ、しっとり感といった感触も向上する。
【0044】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β,β-ジフェニルアクリラート誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリン誘導体、ベンザルマロナート誘導体、4,4-ジアリールブタジエン誘導体等が挙げられる。
【0045】
紫外線散乱剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等が挙げられる。
【0046】
紫外線吸収剤、紫外線散乱剤を内包、被覆もしくは複合化した粉体としては、例えば、酸化チタン、リン酸チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化鉄、カーボンブラック、炭、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、ベンガラ、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン酸化スズ被覆合成金雲母、酸化亜鉛被覆雲母、硫酸バリウム被覆雲母、酸化チタン被覆ガラス末、ガラス末、アルミ末、シルク、加水分解シルク、セルロース、結晶セルロース、酢酸セルロース、デンプン、疎水化デンプン、ラウロイルリシン、N-カプリロイルリシンこれらに紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤を内包、被覆もしくは複合化した粉体が挙げられる。
【実施例0047】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0048】
実施例1~5および比較例1~4
複合粉体の調製:
表1、表2に記載の処方に併せて、以下の製法で複合粉体を調製した。これらについて以下の評価方法で主成分分析を行った。その結果も表1、表2に示した。
1)球状粉体と加熱溶解した固形油・半固形油(常温で半固形の油剤および固形の油剤)と界面活性剤および/または油性ゲル化剤を添加し均一に混合することで固形油・半固形油、両性界面活性剤および/または油性ゲル化剤で被覆された球状粉体を得た。
2)1に板状粉体を加え均一に混合した。
3)2で得た固形油・半固形油で被覆された球状粉体と、板状粉体を30分乳鉢ですりつぶし、球状粉体に板状粉体を物理的に付着させた。
【0049】
実施例1で得られた複合粉体について、電子顕微鏡観察を行ったところ、確かに固形油・半固形油、両性界面活性剤を被覆した球状粉体に、板状粉体が付着していた(
図1)。
【0050】
【0051】
【0052】
(評価方法)
上記で調製した複合粉体をブラインドでランダムに触ってもらい「さらさら」、「ざらざら」、「つるつる」、「するする」、「なめらかさ」、「がさがさ」、「すべすべ」、「ぬめぬめ」、「かさかさ」、「しっとり」の10項目についてSD法を用いて1点~7点の7段階で評価し、7名分の評価の平均値にて主成分分析を実施した(感触評価で用いた評価シートを
図2に示す)。また、比較例1を対照群とし、Dunett法で有意差検定を行った。
【0053】
なお、主成分分析は、特許第6868468号、特許第6667607号、特許第6879276号、特許第6617767号等でも行われている公知の方法である。具体的に、特許6868468号の[0036]~[0048]に記載に従って主成分分析を行う場合には、以下の通りになる。
まず、主成分uは下記式1で表される。ここで主成分uは多変量のデータからそのデータ群の特徴を表す少数の特徴的な変量になる(合成変量ともいう)。
【0054】
[数1]
ui=a1x1,i+a2x2,i+・・・+an-1xn-1.i+anxn,i …式1
ただし、nは変数の数(本願では評価項目数)、iは自然数、xは各変数のデータ(各評価項目の評点)、a1,a2,・・・an-1, anは主成分の係数である。
主成分の係数a1,a2,・・・an-1, anは、主成分uの分散が最大になるように求めるものである。ただし、主成分の係数は下記式2の関係を満たすものである。
【0055】
[数2]
a12+ a22+・・・+ an-12+ an2=1 …式2
主成分の係数a1,a2,…an-1, anを求めるためにはまず、元のデータ群の分散・共分散行列を計算し、その分散・共分散行列の固有値問題を解く。その固有値問題の解である固有ベクトルが係数a1,a2,…an-1, anに対応する。また、得られる主成分はn組(本願では評価項目数の10組)であり、固有値の大きいものから第1主成分、第2主成分、第n主成分と呼ばれ、本願では第1主成分、第2主成分を用いている。
【0056】
上記のような公知の方法で主成分分析から求めた固有ベクトルを使用し、主成分得点を求めることで粉体原料の感触特徴を把握することができるものである。
【0057】
第1主成分の得点は、このような公知の方法にのっとって、「第1主成分得点=「さらさら」評点×「さらさら」第1主成分の固有ベクトル+「かさかさ」評点×「かさかさ」第1主成分の固有ベクトル+「がさがさ」評点×「がさがさ」第1主成分の固有ベクトル+「ざらざら」評点×「ざらざら」第1主成分の固有ベクトル+「つるつる」評点×「つるつる」第1主成分の固ベクトル+「するする」評点×「するする」第1主成分の固有ベクトル+「すべすべ」評点×「すべすべ」第1主成分の固有ベクトル+「なめらかさ」評点×「なめらかさ」第1主成分の固有ベクトル+「ぬめぬめ」評点×「ぬめぬめ」第1主成分の固有ベクトル+「しっとり」評点×「しっとり」第1主成分の固有ベクトル」として計算した。
【0058】
なお、ここで第1主成分の得点は、主成分分析により求められた各評価項目の固有ベクトルと各評価項目の評点の積の和になる。また、第2主成分の得点も第1主成分の得点と同様にして計算された。
【0059】
本願においては、粉体を「さらさら」、「ざらざら」、「つるつる」、「するする」、「なめらかさ」、「がさがさ」、「すべすべ」、「ぬめぬめ」、「かさかさ」、「しっとり」の10項目についてSD法を用いて1点~7点の7段階で評価し、7名分の評価の得点の平均値にて主成分分析を行っている。この主成分分析において、第1主成分は粉体の「ざらざら」、「つるつる」、「なめらかさ」、「がさがさ」、「すべすべ」、「ぬめぬめ」と相関が高く、主に粉体の「なめらかさ」を評価でき、第2主成分は粉体の「さらさら」、「するする」、「しっとり」、「かさかさ」と相関が高く、主に粉体の「しっとり感」の評価ができるものである。
【0060】
マイクロプラスチックビーズはいずれも第1主成分得点が-4.5以下かつ第2主成分得点が7.5以下であることは特許第7031912号の[0043]に記載の通りである。マイクロプラスチックビーズとは具体的に、ナイロン、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、オルガノポリシロキサン、シリコーンエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
【0061】
実施例1~5はいずれも第1主成分の得点が-5.5以下、第2主成分の得点が6.0以下とマイクロプラスチックビーズと同等のなめらかさ、しっとり感を有する複合粉体であった。また、比較例1を対照群としたDunett法による有意差検定から、実施例1~4はいずれも第1主成分において危険率が0.3未満、第2主成分において危険率が0.1未満と、共に有意に低い値をとることが確認できた。このことから、(A)、(B)および/または(C)を被覆した平均粒子径が1~20μmの球状粉体に平均粒子径が50μm以下の板状粉体が付着した複合粉体は、(B)および/または(C)を用いない比較例1と比較して、なめらかさ、しっとりといった感触評価が有意に向上することが示された。
【0062】
実施例1、6~11
複合粉体の調製:
表3に記載の処方を用い、上記した実施例1~5および比較例1~4の複合粉体の調製に準じて実施例6~11の複合粉体を調製した。これらの複合粉体について、上記した実施例1~5および比較例1~4の複合粉体と同様に主成分分析を行った。その結果を表3に示した。
【0063】
【0064】
(A)と(B)または(C)の比率を変えた複合粉体を評価した。いずれも第1主成分の得点が-4.5以下、第2主成分の得点が7.5以下であり、マイクロプラスチックビーズと同等のなめらかさ、しっとり感を有する複合粉体であった。
【0065】
実施例12~14および比較例5~7
複合粉体の調製:
表4に記載の処方を用い、上記した実施例1~5および比較例1~4の複合粉体の調製に準じて実施例12~14および比較例5~7の複合粉体を調製した。これらの複合粉体について、上記した実施例1~5および比較例1~4の複合粉体と同様に主成分分析を行った。その結果を表4に示した。
【0066】
【0067】
両性界面活性剤を用いた実施例の複合粉体はいずれもその他の活性剤を用いた比較例の複合粉体に比べ、マイクロプラスチックビーズと同等のなめらかさ、しっとり感を有する複合粉体であった。
【0068】
実施例15~17および比較例8~10
複合粉体の調製:
表5に記載の処方を用い、上記した実施例1~5および比較例1~4の複合粉体の調製に準じて実施例15~17および比較例8~10の複合粉体を調製した。これらの複合粉体について、上記した実施例1~5および比較例1~4の複合粉体と同様に主成分分析を行った。その結果を表5に示した。
【0069】
【0070】
固形油・半固形油と両性界面活性剤を用いた実施例の複合粉体はいずれも両性界面活性剤を用いていない比較例の複合粉体に比べ、マイクロプラスチックビーズと同等のなめらかさ、しっとり感を有する複合粉体であった。
【0071】
実施例18~19および比較例11~12
パウダーファンデーションの調製:
表6の処方を用い、1~13をミキサーで混合した。14~16を均一混合した後、1~13に添加しミキサーで混合した。所定量を金皿に充填しプレスすることで実施例18~19および比較例11~12のパウダーファンデーションを調製した。SPF測定はこれらのパウダーファンデーションをPMMA板上に塗布し、所定の5箇所をSPFアナライザー(Labsphere UV-2000S 、Labsphere社製)を用いて測定し、平均値を算出した。また、これらのパウダーファンデーションについて以下の評価基準で付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感を評価した。これらの結果を表6に示した。
【0072】
【0073】
(評価方法)
各試料について7名のパネラーで使用テストを行い評価した。付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感を5点満点で評価してもらい平均点が4.5以上のものを◎、3.5点以上4.5点未満のものを〇、1.0点以上3.5点未満のものを△、1.0点未満のものを×とした。
【0074】
(評点)(内容)
5 :非常に良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :非常に悪い
【0075】
実施例18~19のパウダーファンデーションは付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感が良好で、SPF向上効果にも優れたものであった。
【0076】
実施例20および比較例13~14
W/Oサンスクリーンの調製:
表7の処方を用い、1~9を加熱混合し、10~13を均一混合した。1~9に10~13を添加し乳化した後、14~17を添加し混合して実施例20および比較例13~14のW/Oサンスクリーンを調製した。これらのW/Oサンスクリーンについて実施例16~17および比較例11~12と同様にしてSPFの測定、付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感の評価をした。これらの結果を表7に示した。
【0077】
【0078】
実施例20のW/Oサンスクリーンは付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感が良好で、SPF向上効果にも優れたものであった。
【0079】
実施例21および比較例15~16
O/Wサンスクリーンの調製:
表8の処方を用い、1~4、5~7を加熱混合した。1~4に5~7を添加し乳化した後、8~14を添加し混合して実施例20および比較例13~14のW/Oサンスクリーンを調製した。これらのO/Wサンスクリーンについて実施例21および比較例15、16と同様にしてSPFの測定、付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感の評価をした。これらの結果を表8に示した。
【0080】
【0081】
実施例21のO/Wサンスクリーンは付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感が良好で、SPF向上効果にも優れたものであった。
【0082】
実施例22および比較例17~18
W/Oリキッドファンデーションの調製:
表9の処方を用い、1~12、13~16を混合した。1~12に13~16を添加し乳化した後、17、18を添加し混合して実施例22および比較例17、18のW/Oリキッドファンデーションを調製した。これらのW/Oリキッドファンデーションについて実施例22および比較例17、18と同様にしてSPFの測定、付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感の評価をした。これらの結果を表9に示した。
【0083】
【0084】
実施例22のW/Oリキッドファンデーションは付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感が良好で、SPF向上効果にも優れたものであった。
【0085】
実施例23
O/Wリキッドファンデーションの調製:
表10の処方を用い、1~7、8~11、12、13を混合したのち、8~11に1~7を添加し混合した後、12、13を添加し乳化することで実施例23のO/Wリキッドファンデーションを調製した。
【0086】
【0087】
実施例23のO/Wリキッドファンデーションは付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感が良好でしわぼかし効果が優れたものであった。
【0088】
実施例24
口紅の調製:
表11の処方を用い、1~17を加熱混合したのち、容器に充填することで実施例24の口紅を調製した。
【0089】
【0090】
実施例24の口紅は付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感が良好でしわぼかし効果が優れたものであった。
【0091】
実施例25
リキッドリップの調製:
表12の処方を用い、1~18を加熱混合したのち、放冷し、容器に充填することで実施例24のリキッドリップを調製した
【0092】
【0093】
実施例25のリキッドリップは付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感が良好でしわぼかし効果が優れたものであった。
【0094】
実施例26
ルースパウダーの調製:
表13の処方を用い、1~10をミキサーで混合した。11を加熱溶解し、1~10に添加してミキサーで混合した後、容器に充填することで実施例26のルースパウダーを調製した。
【0095】
【0096】
実施例26のルースパウダーは付着性、塗布時ののび、塗布時のなめらかさ、しっとり感が良好でしわぼかし効果が優れたものであった。
本発明の複合粉体は、マイクロプラスチックビーズと同様の感触で、両性界面活性剤および/またはゲル化剤を被覆しない場合と比べて、光拡散性、SPF向上等の効果を有し、更に、なめらか、しっとりといった感触評価が顕著に向上したものであるため、従来のマイクロプラスチックビーズが使用されていた化粧料においてマイクロプラスチックビーズと置き換えて利用可能である。