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特開2024-110401高精度のピクセルキャリブレーション装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110401
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】高精度のピクセルキャリブレーション装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/80 20170101AFI20240807BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20240807BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240807BHJP
【FI】
G06T7/80
G01B11/02 H
G06T7/60 150Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024010142
(22)【出願日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】10-2023-0014380
(32)【優先日】2023-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】515309575
【氏名又は名称】オーロステクノロジー, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ウ ヨンジェ
(72)【発明者】
【氏名】イ チャンホ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヒュンジン
【テーマコード(参考)】
2F065
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA22
2F065BB27
2F065FF01
2F065FF15
2F065FF42
2F065JJ03
2F065JJ26
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA05
5L096FA09
5L096FA32
5L096FA54
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA19
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】キャリブレーション装置が提供される。
【解決手段】前記キャリブレーション装置は、複数のマーカーが表示された設定領域を撮影する撮影機から撮影イメージを取得する取得部;前記設定領域、前記撮影機のうち少なくとも1つの物理的移動データ及び前記撮影イメージの分析により前記撮影イメージピクセル当たりの物理的サイズを分析する分析部;を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマーカーが表示された設定領域を撮影する撮影機から撮影イメージを取得する取得部;
前記設定領域、前記撮影機のうち少なくとも1つの物理的移動データ及び前記撮影イメージの分析により前記撮影イメージピクセル当たりの物理的サイズを分析する分析部;
を含むキャリブレーション装置。
【請求項2】
第1マーカーと第2マーカーの間に存在するピクセルの数に該当するピクセル距離を把握するピクセル部が備えられ、
前記第1マーカーから前記第2マーカーまでの物理的移動データを利用して前記第1マーカーと前記第2マーカーの間の物理的距離に該当する座標距離を把握する座標部が備えられ、
前記分析部は前記ピクセル距離と前記座標距離を利用して前記ピクセル当たりの物理的サイズを把握する請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項3】
前記撮影イメージの基準位置から前記撮影イメージに含まれた特定マーカーまで存在するピクセルの数を計数するピクセル部が備えられ、
前記ピクセル部は、前記基準位置に対する前記特定のマーカーの位置を2つの間に存在するピクセルの数に該当するピクセル座標と表現し、
前記ピクセル部は、各マーカーのピクセル座標を利用して第1マーカーと第2マーカーの間に存在するピクセルの数に該当するピクセル距離を把握し、
前記分析部は、前記ピクセル距離を利用して前記ピクセル当たりの物理的サイズを分析する請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項4】
前記ピクセル部は単一のピクセルを複数のサブピクセルに区分し、
前記ピクセル部は前記サブピクセルの数を利用して前記ピクセル座標の小数点以下の数値を表現する請求項3に記載のキャリブレーション装置。
【請求項5】
前記撮影機と前記設定領域のうち少なくとも1つの移動体を動かす座標部が備えられ、
前記座標部は前記撮影機の撮影イメージをリアルタイムで入手し、
前記座標部は前記移動体の現在の位置においてリアルタイムで入手される撮影イメージの分析により特定のマーカーのイメージに該当するターゲットを把握し、
前記座標部は前記撮影イメージの分析上に、前記ターゲットの特定点が前記撮影イメージの中心に来るように特定の位置を開始点にして前記移動体を動かし、
前記特定位置を開始点とする前記移動体の動きにより前記ターゲットの特定点が前記撮影イメージの中心に来た状態をマッチングの状態と定義する時、
前記座標部は前記撮影イメージの分析上に前記マッチング状態になるまで、前記移動体が前記特定の位置から移動してきた直線距離を把握し、
前記座標部は前記特定の位置から移動してきた前記移動体の直線距離を利用して前記特定のマーカーの位置座標を設定し、
前記分析部は前記座標距離を利用して前記ピクセル当たりの物理的サイズを分析する請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項6】
前記撮影機と前記設定領域のうち少なくとも1つの移動体を動かす座標部が備えられ、
前記座標部は前記撮影イメージの中心に第1マーカーが配置されるように、前記移動体を動かし、
前記座標部は前記撮影イメージの中心に前記第1マーカーが配置された状態で測定された前記移動体の座標を前記第1マーカーの第1位置座標に設定し、
前記座標部は前記撮影イメージの中心に第2マーカーが配置されるように、前記移動体を動かし、
前記座標部は前記撮影イメージの中心に前記第2マーカーが配置された状態で測定された前記移動体の座標を前記第2マーカーの第2位置座標に設定し、
前記座標部は前記第1位置座標と前記第2位置座標間の差を前記第1マーカーと前記第2マーカーの間の物理的距離に該当する座標距離として把握し、
前記分析部は前記座標距離を利用して前記ピクセル当たりの物理的サイズを分析する請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項7】
前記撮影機と前記設定領域のうち少なくとも1つの移動体を動かす座標部が備えられ、
前記撮影イメージがx軸とy軸が形成するxy平面に平行に形成される時、
前記座標部は前記撮影イメージの中心に特定のマーカーが配置されるように、初期位置の前記移動体を動かし、
前記座標部は前記初期位置から前記特定のマーカーまで前記移動体が移動したx軸の距離値、y軸の距離値を前記特定のマーカーの位置座標に設定し、
前記座標部は前記特定のマーカーの位置座標の設定が完了すると、前記撮影イメージの中心に他のマーカーが配置されるように、前記特定のマーカーに位置した前記移動体を動かし、
前記座標部は前記特定のマーカーから前記他のマーカーまで前記移動体が移動したx軸の距離値、y軸の距離値を前記特定のマーカーの位置座標に加算する方式により前記他のマーカーの位置座標を設定し、
前記座標部は前記複数のマーカーのそれぞれに位置情報を設定し、
前記座標部は前記複数のマーカーから選択された第1マーカーの位置座標と第2マーカーの位置座標間の差に該当する座標距離を把握し、
前記分析部は前記第1マーカーと前記第2マーカーの間の座標距離を利用して前記第1マーカーと前記第2マーカーの間に存在するピクセル当たりの物理的サイズを把握する請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項8】
マーカーとマーカーの間に存在するピクセルの数をピクセル距離として定義し、マーカーとマーカーの間の物理的距離を座標距離として定義する時、
前記設定領域に含まれた前記複数のマーカーのそれぞれを対象に前記ピクセル距離を把握するピクセル部が備えられ、
前記設定領域に含まれた前記複数のマーカーのそれぞれを対象に前記座標距離を把握する座標部が備えられ、
前記分析部は複数で把握された前記ピクセル距離と複数で把握された前記座標距離を利用して、各マーカーの間のピクセル当たりの物理的サイズに該当する第1サイズを1次的に複数算出し、
前記分析部は複数算出された前記第1サイズの平均値を2次算出し、
前記分析部は前記第1サイズの平均値を前記撮影イメージ全体のピクセル当たりの物理的サイズに該当する第2サイズとして最終決定する請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項9】
マーカーとマーカーの間に存在するピクセルの個数をピクセル距離として定義し、マーカーとマーカーの間の物理的距離を座標距離として定義する時、
前記分析部は前記マーカーが2つずつペアになったグループを複数形成し、
前記分析部は前記ピクセル距離と前記座標距離を利用して各グループを形成する2つのマーカーの間のピクセル当たりの物理的サイズに該当する第1サイズを1次算出し、
前記分析部は1次算出された複数の前記第1サイズの平均値を2次算出し、
前記分析部は2次算出された前記第1サイズの平均値を前記撮影イメージ全体のピクセル当たりの物理的サイズに該当する第2サイズとして出力する請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項10】
前記撮影イメージの分析により前記マーカーを把握するピクセル部が備えられ、
前記ピクセル部は撮影イメージの分析により複数のマーカーのうち第1マーカーに最も近い第2マーカーを前記第1マーカーとペアを組み、
前記ピクセル部はペアにした前記第1マーカーと前記第2マーカーの間に存在するピクセルの数に該当する第1ピクセル距離を把握し、
前記第1マーカーと前記第2マーカーの間の物理的距離に該当する第1座標距離を把握する座標部が備えられ、
前記分析部は前記第1ピクセル距離と前記第1の座標距離を利用して前記第1マーカーと前記第2マーカーの間のピクセル当たりの物理的サイズを把握する請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項11】
前記ピクセル部は撮影イメージ上に、複数のマーカーのうち前記第1マーカーを除いて第2マーカーに最も近い第3マーカーを前記第2マーカーとペアにし、
前記ピクセル部はペアになった前記第2マーカーと前記第3マーカーの間に存在するピクセルの数に該当する第2ピクセル距離を把握し、
前記座標部は前記第2マーカーと前記第3マーカーの間の物理的距離に該当する第2座標距離を把握し、
前記分析部は前記第2ピクセル距離と前記第2座標距離を利用して前記第2マーカーと前記第3マーカーの間のピクセル当たりの物理的サイズを把握し、
前記分析部は前記第1マーカーと前記第2マーカーの間のピクセル当たりの物理的サイズ、前記第2マーカーと前記第3マーカーの間のピクセル当たりの物理的サイズの平均値を算出し、
前記分析部は前記平均値を利用して前記撮影イメージピクセル当たりの物理的サイズを分析する請求項10に記載のキャリブレーション装置。
【請求項12】
前記撮影イメージの分析により前記マーカーを把握するピクセル部が備えられ、
前記ピクセル部は前記撮影イメージを同一面積の複数の細部領域に区分し、
前記ピクセル部は同一細部領域に含まれたマーカー同士のみのピクセル距離を把握し、
前記座標部は前記同一細部領域に含まれたマーカー同士のみの座標距離を把握して、
前記分析部は前記ピクセル距離と前記座標距離を利用して前記細部領域単位でピクセル当たりの物理的サイズを算出し、
前記分析部は各細部領域単位で算出されたピクセル当たりの物理的サイズを全てまとめて平均値を算出し、
前記分析部は前記平均値を前記撮影イメージ全体のピクセル当たりの物理的サイズとして出力する請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項13】
前記撮影イメージの分析により前記マーカーを把握するピクセル部が備えられ、
前記ピクセル部は前記撮影イメージの中心を横切る互いに直交する2つの仮想線分を利用して前記撮影イメージを4つの細部領域に区分し、
前記ピクセル部は同一細部領域に含まれたマーカーを対象に時計回りの方向または反時計回りの方向に沿ってマーカーを2つずつペアにし、
前記分析部は2つずつペアにしたマーカーの間のピクセル距離と座標距離を利用して前記細部領域単位でピクセル当たりの物理的サイズを算出し、
前記分析部は各細部領域単位で算出されたピクセル当たりの物理的サイズを全てまとめて平均値を算出し、
前記分析部は前記平均値を前記撮影イメージ全体のピクセル当たりの物理的サイズとして出力する請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のうちいずれか1項のキャリブレーション装置が適用されたオーバーレイ装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項13のうちいずれか1項のキャリブレーション装置に適用されるターゲット装置において、
前記設定領域を有するテストボードが備えられ、
前記テストボードは中央地点を横切る互いに直交する2つの仮想線分を利用して前記設定領域を4つの細部領域に区分し、
前記テストボードの各細部領域ごとに同一数のマーカーが形成され、
前記テストボードの各細部領域に配置された複数のマーカーは隣接した他の細部領域との境界となる前記仮想線分の中心点を基準に点対称する位置に配列されるターゲット装置。
【請求項16】
キャリブレーション装置により実行されるキャリブレーション方法において、
複数のマーカーが表示された設定領域を撮影する撮影機から撮影イメージを取得する取得段階;
第1マーカーと第2マーカーの間に存在するピクセルの数に該当するピクセル距離を把握するピクセル段階;
前記第1マーカーから前記第2マーカーまでの物理的移動データを利用して前記第1マーカーと前記第2マーカーの間の物理的距離に該当する座標距離を把握する座標段階;
前記ピクセル距離と前記座標距離を利用して前記ピクセル当たりの物理的サイズを把握する分析段階;
を含むキャリブレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージピクセルの物理的サイズをキャリブレーションする装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ピクセルキャリブレーション(pixel calibration)により1つのピクセルの物理的な距離(サイズ、横の長さ、縦の長さ、対角線の長さ、直径など)を測定すると、オーバーレイ(overlay)を測定するときにピクセルで測定された値がメーター(meter)などの長さの単位に換算できる。
【0003】
従来は、物理的な距離を測定できるターゲットをカメラで撮影し、当該ターゲット内に幾つのピクセルが存在するかを測定する方式により1つのピクセル当たりの物理的サイズを把握する方式を採用している。
【0004】
しかしながら、従来の方式によれば、測定精度が低く、繰り返し再現性が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、対象物を撮影したイメージのピクセル当たりのサイズを正確に分析してキャリブレーションするキャリブレーション装置及び方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のキャリブレーション装置は、複数のマーカーが表示された設定領域を撮影する撮影機から撮影イメージを取得する取得部;前記設定領域、前記撮影機のうち少なくとも1つの物理的移動データ及び前記撮影イメージの分析により前記撮影イメージピクセル当たりの物理的サイズを分析する分析部;を含んでもよい。
【0007】
本発明のキャリブレーション方法は、複数のマーカーが表示された設定領域を撮影する撮影機から撮影イメージを取得する取得段階;第1マーカーと第2マーカーの間に存在するピクセルの数に該当するピクセル距離を把握するピクセル段階;前記第1マーカーから前記第2マーカーまでの物理的移動データを利用して前記第1マーカーと前記第2マーカーの間の物理的距離に該当する座標距離を把握する座標段階;前記ピクセル距離と前記座標距離を利用して前記ピクセル当たりの物理的サイズを把握する分析段階;を含んでもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のキャリブレーション装置は、テストボードにマーキングされたマーカーの実際のサイズ、マーカー間の実際の距離などの事前設定値を利用する方式と区分されるように動作することができる。
【0009】
すなわち、設定サイズのマーカー内に幾つのピクセルが含まれているかを把握し、当該マーカーのサイズを該当ピクセル数で割ると、ピクセル当たりのサイズが簡単に算出できる。
【0010】
ウエハのように微細な物体を撮影する場合、光学的な拡大鏡などが追加で要求され、このような付加手段の追加により測定イメージに歪曲現象などが追加されることもありうる。結果的に、撮影イメージに含まれたマーカーのサイズは物理的に不変であるが、イメージ上では変形があり得る。
【0011】
ピクセル当たりのサイズはイメージ上で処理されるものなので、前記のような理由で事前に設定されたマーカーの物理的サイズ、マーカー間の距離などは適用が困難である。その理由は、微細な物体を対象とする場合、測定精度と繰り返し再現率(再現性)が低下するためである。
【0012】
本発明のキャリブレーション装置及び方法は、ピクセル当たりのサイズを正確に分析、設定、キャリブレーションできる他の代案を提示することができる。
【0013】
本発明によれば、複数のマーカーが設けられ、マーカー間の距離が物理的に測定できる。例えば、本発明のキャリブレーション装置は、撮影イメージの中心にマーカーの特定の点、例えば、マーカーの中心が来るように撮影機を動かしたり撮影機の撮影対象である設定領域を動かすことができる。設定領域は、ウエハが置かれるチャック、テストベッドを含むか、チャック又はテストベッドに置かれたテストボードを含んでもよい。設定領域を動かすとは、ウエハまたはテストボードが置かれたチャックやテストベッドを動かすことを意味し得る。
【0014】
この時、キャリブレーション装置は、移動体が動いた距離を該当マーカーの位置座標として定義することができる。キャリブレーション装置は、各マーカー毎に位置座標を定義、設定し、当該位置座標を利用して2つのマーカー間の距離を算出する方式を採用している。
【0015】
本発明によれば、各マーカーに設定された位置座標は現在の時点で実測された値であり得る。また、本発明によれば、各マーカーの間に存在するピクセルの数も撮影イメージの分析により実測された値であり得る。
【0016】
結果的に、本発明によれば、テストボードなどの毀損、反りなどにより、各マーカー間の距離が変わっても当該環境に関係なく両マーカー間の物理的な距離及びピクセル数が正確に実測できる。これにより、非常に正確にピクセル当たりの物理的サイズを把握することができる。
【0017】
また、本発明によれば、設定領域に複数のマーカーを形成し、複数のマーカーを利用してピクセル当たりの物理的サイズが複数取得される。本発明のキャリブレーション装置は、複数取得されたピクセル当たりの物理的サイズを平均した値を現在撮影イメージピクセル当たりの物理的サイズに分析、設定、キャリブレーションすることができる。これにより、撮影イメージなどのようなノイズ環境でもピクセル当たりの物理的サイズが頑健性を有し、正確に取得されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のキャリブレーション装置を示した概略図である。
図2】比較実施例の分析システムを示した概略図である。
図3】撮影機により撮影された撮影イメージを示した概略図である。
図4】エンコーダを示した概略図である。
図5】ピクセル部の動作を示した概略図である。
図6】テストボードを示した概略図である。
図7】各マーカーのピクセル座標と位置座標を示した表である。
図8】撮影イメージの歪曲現象を示した概略図である。
図9】本発明のキャリブレーション方法を示したフローチャートである。
図10】本発明の実施例による、コンピューティング装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、添付の図面を参考にして、本発明の実施例に対して本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で実現でき、ここで説明する実施例に限定されない。そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分に対しては類似の図面符号を付けている。
【0020】
本明細書において、同一の構成要素に関する重複説明は省略する。
【0021】
また、本明細書において、ある構成要素が他の構成要素に「連結」されていか「接続」されていると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結または接続されている可能性もあるが、中間に他の構成要素が存在する可能性もあると理解されるべきであろう。それに対して、本明細書において、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」されているか「直接接続」されていると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されるべきであろう。
【0022】
また、本明細書において使用される用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されるものであり、本発明を限定しようとする意図で使用されものではない。
【0023】
また、本明細書において、単数の表現は文脈上明らかに異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0024】
また、本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は明細書に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものに過ぎず、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を事前に排除しないものと理解されるべきであろう。
【0025】
また、本明細書において、「及び/又は」という用語は、複数の記載項目の組み合わせまたは複数の記載項目のうちいずれかの項目を含む。本明細書において、「AまたはB」は、「A」、「B」、または「AとBの両方」を含んでもよい。
【0026】
また、本明細書において、本発明の要旨を不明確にする公知機能及び構成に関する詳細な説明は省略される。
【0027】
図1は、本発明のキャリブレーション装置100を示した概略図である。図7は、各マーカーのピクセル座標と位置座標を示した表である。図8は、撮影イメージの歪曲現象を示した概略図である。
【0028】
図1に示したキャリブレーション装置100は、取得部110、ピクセル部130、座標部150、分析部170を含む。
【0029】
取得部110は、複数のマーカーが表示された設定領域を撮影する撮影機10から撮影イメージを取得する。このために、取得部110には撮影機10と有無線通信できる通信モジュールが備えられる。
【0030】
分析部170は、設定領域、撮影機10のうち、少なくとも1つの物理的移動データ及び撮影イメージの分析により撮影イメージピクセル当たりの物理的サイズを分析する。
【0031】
一例として、撮影イメージの分析により特定のマーカーから他のマーカーまで存在するピクセルの数が把握できる。撮影イメージ上の照準点に配置された特定のマーカーを開始点とし、当該照準点に他のマーカーが来るように撮影機10または設定領域を動かすことができる。この時、撮影機10または設定領域が動いた直線距離が特定のマーカーと他のマーカーの間の実際の物理的距離に該当し得る。特定のマーカーと他のマーカーの間に存在するピクセルの数、2つのマーカーの間の実際の物理的距離が把握されると、実際の物理的距離をピクセルの数で割ることによりピクセル当たりの物理的サイズが把握できる。
【0032】
一方、各マーカーは複数のサブピクセルが含まれたピクセルより大きいサイズを有する閉曲線、例えば、正方形の形状に形成されてもよい。
【0033】
分析部170は、マーカーのサイズを利用する既存の方式と異なってマーカー間の距離を実測した値を利用している。
【0034】
図2は、比較実施例の分析システムを示した概略図である。
【0035】
比較実施例の分析システムによれば、設定線幅を有する図形またはラインnが撮影されることができる。ラインnが撮影されたイメージkは、図2の(a)のようである。
【0036】
線幅は既に決定された値であり、線幅内に含まれたピクセルの数はイメージkの分析により簡単に把握できる。その後、線幅をピクセル数で割ると、ピクセル当たりの物理的サイズが導出される。
【0037】
比較実施例の正確度を改善するためにはラインのエッジ(edge)が正確に検出される必要がある。しかしながら、イメージk上においてラインのエッジ(edge)は現実世界と異なってどこの部分であるかの明確な決定が困難である。このような問題を解決するために、図2の(b)のようにグレーレベル(gray level)を利用したエッジ検出法が利用されている。
【0038】
該当エッジ検出法は、グレーレベル丸囲み数字1において最小(Min)、最大(Max)を求め、ライジングエッジ位置(Rising Edge Location)丸囲み数字4とフォーリングエッジ位置(Falling Edge Location)丸囲み数字5を上限及び下限とするヒステリシス(hysteresis)丸囲み数字3を利用して相対的なスレッショルド(threshold)位置丸囲み数字2をエッジと認識することができる。
【0039】
しかしながら、比較実施例によれば、現実的に線幅の正確な値が分からない問題がある。また、1/20(1つのピクセルを20個に分ける)~1/10(1つのピクセルを10個に分ける)サブピクセル程度の繰り返し再現性を有する限界を有する。従って、比較実施例は1/10000サブピクセル単位まで考慮しなければならないウエハ検査のような分野への適用が困難である。
【0040】
加えて、撮影イメージの歪曲、FOV(Field of View)位置、複数のマーカーが表示された表示領域を提供する物体に該当するテストボードの変形の問題を考慮できる方策が要求される。
【0041】
該当問題を解決するために、キャリブレーション装置100はピクセル当たりの物理的サイズを算出する時点に各種の必要データを実測する方式を採用する。
【0042】
分析部170に各種の実測値を提供するためにピクセル部130と座標部150が利用されてもよい。
【0043】
マーカーとマーカーの間に存在するピクセルの数をピクセル距離として定義し、マーカーとマーカーの間の物理的距離を座標距離として定義する。
【0044】
ピクセル部130は、複数のマーカーから選択された第1マーカーと第2マーカーの間に存在するピクセルの数に該当するピクセル距離を把握する。ピクセル部130は、当該ピクセル距離を1/10000サブピクセル単位まで把握できる。
【0045】
単一のピクセルを複数のサブピクセルに区分するピクセル部130は、サブピクセルの数を利用して図7のようにピクセル座標の小数点以下の数値を表現することができる。例えば、図7において「Target」はマーカーの識別番号を示す。ターゲット1に該当するマーカーは基準位置からx軸に320個のピクセル距離を有し、ターゲット2に該当するマーカーは基準位置からx軸方向に120.1235のピクセル距離を有することが分かる。
【0046】
座標部150は、第1マーカーから第2マーカーまでの物理的移動データ、例えば、x軸移動距離、y軸移動距離を利用して第1マーカーと第2マーカーの間の物理的距離に該当する座標距離を把握する。座標部150は、当該座標距離を1/10000サブピクセル単位を利用して把握することができる。
【0047】
分析部170は、ピクセル距離と座標距離を利用してピクセル当たりの物理的サイズを把握、分析、設定、キャリブレーションする。前述のように、分析部170は、第1マーカーと第2マーカーの座標距離をピクセル距離で割る演算によりピクセル当たりの物理的サイズを把握することができる。
【0048】
図3は、撮影機10により撮影された撮影イメージを示した概略図である。
【0049】
撮影イメージiは複数のマーカーm1、m2、m3、...が表示された設定領域tを撮影したものであってもよい。
【0050】
ピクセル部130は、イメージ分析により、撮影イメージiの基準位置oから撮影イメージiに含まれた特定マーカーまで存在するピクセル(サブピクセルを含む)の数を計数する。そして、ピクセル部130は、基準位置oに対する特定のマーカーの位置を2つの間に存在するピクセルの数に該当するピクセル座標として表現することができる。
【0051】
ピクセル部130は、各マーカーのピクセル座標を利用して第1マーカーと第2マーカーの間に存在するピクセルの数に該当するピクセル距離を把握することができる。
【0052】
例えば、第1マーカーのピクセル座標が(230.6351,250.8354)であり、第2マーカーのピクセル座標が(120.1235,136.3154)であると、両座標間の差値(110.5116,114.5200)が第1マーカーと第2マーカー間のピクセル距離に該当する。
【0053】
分析部170は、ピクセル距離を利用してピクセル当たりの物理的サイズを分析する。
【0054】
座標部150は、撮影機10を基準とする各マーカーの位置座標を把握する。
【0055】
座標部150は、各マーカーの位置座標を利用して第1マーカーと第2マーカーの間の物理的距離に該当する座標距離を把握する。
【0056】
分析部170は、座標距離を利用してピクセル当たりの物理的サイズを分析する。
【0057】
撮影イメージiに含まれたマーカーに位置座標を付与するためにエンコーダなどの長さ測定装備が利用されてもよい。
【0058】
図4は、エンコーダを示した概略図である。
【0059】
例えば、座標部150は、撮影機10と設定領域tのうち少なくとも1つの移動体90を動かすことができる。この時、設定領域tは、座標部150により移動制御できるチャックまたはテストベッド20を含んでもよい。撮影イメージiが仮想のxy平面に平行に形成されるとき、移動体はxyロボットによりx軸方向またはy軸方向に動くことができる。
【0060】
エンコーダは、xyロボットにより移動体がx軸方向に移動した長さまたは距離、移動体がy軸方向に移動した長さまたは距離を測定することができる。例えば、エンコーダは、図4のようにx軸またはy軸方向に沿って形成された目盛り23、当該目盛りを判読するスキャナ21を含んでもよい。目盛りとスキャナのうち1つは固定され、残りの1つは移動体に連結される。移動体が連結された目盛りまたはスキャナが動くと、移動体が動いたx軸方向距離またはy軸方向距離が把握できる。
【0061】
他の例として、エンコーダは、移動体を動かすモータの回転数を測定することができる。モータの1回転当たりの移動体の移動距離を知っている場合、モータの回転数を利用して移動体の移動距離が把握できる。
【0062】
座標部150は、撮影機10の撮影イメージをリアルタイムで入手できる。
【0063】
座標部150は、移動体の現在の位置においてリアルタイムで入手される撮影イメージの分析により特定のマーカーのイメージに該当するターゲットを把握できる。
【0064】
座標部150は、撮影イメージの分析上で、ターゲットの特定点が撮影イメージの中心に来るように特定の位置を開始点にして移動体を動かすことができる。ターゲットの特定点はターゲットの中心点、ターゲットの一側頂点など多様に設定できる。当該特定点は、サブピクセルのサイズに設定されることが有利でありうる。この場合、少なくともサブピクセルのサイズ単位で位置座標が決定されることができる。
【0065】
特定の位置を開始点とする移動体の動きによりターゲットの特定点が撮影イメージiの中心oに来た状態を「マッチング状態」と定義する。一般的に、撮影イメージiの中心oは撮影機10の位置と一致する。
【0066】
座標部150は、撮影イメージiの分析上にマッチング状態になるまで、移動体が特定の位置から移動してきた直線距離、最短距離を把握することができる。
【0067】
座標部150は、特定の位置から移動してきた移動体の直線距離を利用して特定のマーカーの位置座標を設定することができる。例えば、特定の位置の移動体がx軸に10mm、y軸に5mmほど動いた時にマッチング状態になる場合、特定のマーカーの位置座標は(10mm,5mm)に設定される。
【0068】
前記方式によって、座標部150は、撮影イメージiの中心oに第1マーカーm1が配置されるように、移動体を動かすことができる。
【0069】
座標部150は、撮影イメージiの中心oに第1マーカーm1が配置された状態で測定された移動体の座標を第1マーカーm1の第1位置座標に設定することができる。
【0070】
座標部150は、撮影イメージiの中心oに第2マーカーm2が配置されるように、移動体を動かすことができる。
【0071】
座標部150は、撮影イメージiの中心oに第2マーカーm2が配置された状態で測定された移動体の座標を第2マーカーm2の第2位置座標に設定することができる。
【0072】
座標部150は、第1位置座標と第2位置座標間の差を第1マーカーと第2マーカーの間の物理的距離に該当する座標距離として把握できる。座標部150は把握された座標距離を分析部170に提供する。分析部170は座標距離を利用してピクセル当たりの物理的サイズを分析する。
【0073】
座標部150は、複数のマーカーに対して次のような方式で位置座標を設定することができる。
【0074】
一応、前述したように、撮影イメージiがx軸とy軸が形成するxy平面に平行に形成されるとき、座標部150は撮影イメージiの中心に特定のマーカーが配置されるように、初期位置の移動体を動かすことができる。座標部150は、初期位置から特定のマーカーまで移動体が移動したx軸の距離値、y軸の距離値を特定のマーカーの位置座標に設定することができる。
【0075】
その後、他のマーカーの位置座標を設定するために、座標部150は、特定マーカーに位置した移動体を再び初期の位置に戻し、再び前述の方式を適用して他のマーカーの位置座標を設定することができる。しかしながら、高速化のために特定マーカーに位置した移動体はすぐに他のマーカーに移動されることが有利であり得る。
【0076】
すなわち、座標部150は、特定のマーカーの位置座標の設定が完了すると、撮影イメージの中心に他のマーカーが配置されるように、特定のマーカーに位置した移動体を動かすことができる。
【0077】
座標部150は、特定マーカーから他のマーカーまで移動体が移動したx軸の距離値、y軸の距離値を特定のマーカーの位置座標に加算する方式により他のマーカーの位置座標を設定することができる。
【0078】
このような方式により、座標部150は複数のマーカーのそれぞれに位置情報を設定することができる。
【0079】
座標部150は、複数のマーカーから選択された第1マーカーm1の位置座標と第2マーカーm2の位置座標間の差に該当する座標距離を把握することができる。
【0080】
分析部170は、第1マーカーm1と第2マーカーm2の間の座標距離を利用して第1マーカーm1と第2マーカーm2の間に存在するピクセル当たりの物理的サイズを把握することができる。
【0081】
ピクセル部130は、設定領域tに含まれた複数のマーカーのそれぞれを対象にピクセル距離を把握することができる。これによって、ピクセル距離は複数個であり得る。
【0082】
座標部150は、設定領域tに含まれた複数のマーカーのそれぞれを対象に座標距離を把握することができる。これによって、座標距離は複数個であり得る。
【0083】
分析部170は、複数で把握されたピクセル距離と複数で把握された座標距離を利用して、各マーカーの間のピクセル当たりの物理的サイズに該当する第1サイズを1次的に複数算出することができる。
【0084】
分析部170は、複数で算出された第1サイズの平均値を2次算出することができる。
【0085】
分析部170は、第1サイズの平均値を撮影イメージi全体のピクセル当たりの物理的サイズに該当する第2サイズとして最終決定する。分析部170は、第2サイズにピクセル当たりの物理的サイズをキャリブレーションすることができる。
【0086】
例えば、分析部170は、マーカーが2つずつペアになったグループを複数形成することができる。
【0087】
この時、各マーカーは2つのグループにのみ含まれる規定が追加で適用されてもよい。これによれば、チェーン構造のグループ化が行われる。
【0088】
分析部170は、ピクセル距離と座標距離を利用して各グループを形成する2つのマーカーの間のピクセル当たりの物理的サイズに該当する第1サイズを1次算出する。分析部170は、1次算出された複数の第1サイズの平均値を2次算出する。分析部170は、2次算出された第1サイズの平均値を撮影イメージ全体のピクセル当たりの物理的サイズに該当する第2サイズとして出力することができる。
【0089】
第2サイズは、マーカー同士でどのようにペアを組むかに応じて値が変わる。従って、第2サイズの正確度が改善される方向にマーカーのペアを組む方案、グループ化する案が設けられたほうが良い。
【0090】
図5は、ピクセル部130の動作を示した概略図である。
【0091】
例えば、機械的に移動体は遠い距離を移動するほど、各種の長さ誤差または公差が累積される傾向を有する。これによるエラーが最小になるようにできるだけ近い距離のマーカー同士で1つのグループを形成することが有利であり得る。
【0092】
撮影イメージの分析によりマーカーを把握するピクセル部130によりグループ化が実施されることができる。
【0093】
ピクセル部130は、撮影イメージの分析により複数のマーカーのうち第1マーカーm1に最も近い第2マーカーm2を第1マーカーとペアにすることができる。
【0094】
ピクセル部130は、ペアになった第1マーカーと第2マーカーの間に存在するピクセルの数に該当する第1ピクセル距離を把握することができる。
【0095】
座標部150は、第1マーカーと第2マーカーの間の物理的距離に該当する第1座標距離を把握することができる。
【0096】
分析部170は、第1ピクセル距離と第1の座標距離を利用して第1マーカーと第2マーカーの間のピクセル当たりの物理的サイズを把握することができる。
【0097】
以上の実施例によれば、最も近いマーカー同士で1つのグループを形成することができる。第2サイズの正確度改善のために最大限多くの数の第1サイズが把握されることが有利であるので、チェーン状のグループ化が行われるのが良い。
【0098】
チェーン状のグループを形成するために、ピクセル部130は、撮影イメージ上に、複数のマーカーのうち第1マーカーを除いて第2マーカーに最も近い第3マーカーを第2マーカーとペアにすることができる。
【0099】
ピクセル部130は、ペアになった第2マーカーと第3マーカーの間に存在するピクセルの数に該当する第2ピクセル距離を把握することができる。
【0100】
座標部150は、第2マーカーと第3マーカーの間の物理的距離に該当する第2座標距離を把握することができる。
【0101】
分析部170は、第2ピクセル距離と第2の座標距離を利用して第2マーカーと第3マーカーの間のピクセル当たりの物理的サイズを把握することができる。
【0102】
この時、歪曲などにより、第1マーカーと第2マーカーの間の第1範囲を対象とするピクセル当たりの物理的サイズ、第2マーカーと第3マーカーの間の第2範囲を対象とするピクセル当たりの物理的サイズは異なってもよい。
【0103】
分析部170は、第1マーカーと第2マーカーの間のピクセル当たりの物理的サイズ、第2マーカーと第3マーカーの間のピクセル当たりの物理的サイズの平均値を算出することができる。分析部170は、当該平均値を利用して撮影イメージiのピクセル当たりの物理的サイズを分析し、キャリブレーションすることができる。
【0104】
第3マーカー、第4マーカー、第5マーカー...のように残りのマーカーに対しても同一の方法を適用すると、設定領域に含まれた複数のマーカーの全部を対象にピクセル当たりの物理的サイズが算出され、その平均値が撮影イメージiのピクセル当たりの物理的サイズとして導出される。
【0105】
一方、グループ化の過程で特定のマーカーに最も近い他のマーカーが既に2つの他のグループに含まれる状況が発生する可能性がある。この場合、特定のマーカーは遠い距離に配置されたマーカーとグループ化されるしかない状況が発生する。許容可能な距離より遠い距離のマーカー同士のグループ化現象を防止するとともに撮影イメージ全体に対して均等にピクセル当たりの物理的サイズが算出されるようにする方案が設けられることができる。
【0106】
一例として、ピクセル部130は撮影イメージiを同一の面積の複数の細部領域に区分することができる。
【0107】
ピクセル部130は、同一細部領域に含まれたマーカー同士のみのピクセル距離を把握することができる。
【0108】
座標部150は、同一細部領域に含まれたマーカー同士のみの座標距離を把握することができる。
【0109】
分析部170は、ピクセル距離と座標距離を利用して細部領域単位でピクセル当たりの物理的サイズを算出する。
【0110】
分析部170は、各細部領域単位で算出されたピクセル当たりの物理的サイズを全てまとめて平均値を算出することができる。
【0111】
分析部170は、平均値を撮影イメージ全体のピクセル当たりの物理的サイズとして出力することができる。
【0112】
例えば、特定の細部領域に3つのマーカーが含まれる場合がある。この時、分析部170は、特定の細部領域に含まれた3つのマーカー間のピクセル当たりのサイズを第1平均して特定の細部領域全体のピクセル当たりのサイズ(第1平均値)を算出することができる。そして、分析部170は、各細部領域を対象に第1平均した値を集めて再び2次平均することができる。分析部170は、2次平均した値(第2平均値)を撮影イメージ全体のピクセル当たりの物理的サイズとして出力することができる。
【0113】
一方、ピクセル部130は、撮影イメージiに対して4つ以上の細部領域を形成することができる。この時、分析部170は、各細部領域に対するピクセル当たりの物理的サイズ(第1平均値)を互いに比較し、最も大きい値と最も小さい値が出た細部領域を排除し、残りの細部領域に対する第1平均値を利用して第2平均値を算出することができる。
【0114】
撮影イメージiを4つの細部領域に区分する場合、ピクセル部130は撮影イメージiの中心oを横切る互いに直交する2つの仮想線分を利用して撮影イメージiを4つの細部領域に区分することができる。
【0115】
ピクセル部130は、同一細部領域に含まれたマーカーを対象に時計回りの方向または反時計回りの方向に沿ってマーカーを2つずつペアにする。例えば、図5において、2四分面に4つのマーカーm1、m2、m3、m4が設けられ、反時計回りの方向に沿って第1マーカーm1は第2マーカーm2とペアを組む。第2マーカーm2は第3マーカーm3とペアを組み、第3マーカーm3は第4マーカーm4とペアを組む。第4マーカーm4は第1マーカーm1とペアを組む。図5において、1四分面に第5マーカーm5、第6マーカーm6、第7マーカーm7、第8マーカーm8、第9マーカーm9が半時計回りの方向に沿って配列され、第1マーカーなどと類似の方式でグループ化されることができる。
【0116】
分析部170は2つずつペアになったマーカーの間のピクセル距離と座標距離を利用して細部領域単位でピクセル当たりの物理的サイズを算出することができる。分析部170は、各細部領域単位で算出されたピクセル当たりの物理的サイズを全てまとめて平均値を算出することができる。
【0117】
分析部170は、当該平均値を撮影イメージ全体のピクセル当たりの物理的サイズとして出力し、キャリブレーションすることができる。キャリブレーションにより該当撮影イメージの後処理、当該撮影イメージに含まれたピクセルのサイズは分析部170の出力値になる。
【0118】
キャリブレーション装置100は、複数のマーカーを用いて算出される平均値の精度を改善するために特殊な構造のテストボードを含んでもよい。
【0119】
図6は、テストボードを示した概略図である。
【0120】
テストボードは機構的にキャリブレーション装置100から分離できる別のターゲット装置に備えられてもよい。
【0121】
該当テストボードは、複数のマーカーが表示された設定領域tを有してもよい。
【0122】
テストボードは、中央地点を横切る互いに直交する2つの仮想線分を利用して設定領域を4つの細部領域に区分することができる。
【0123】
テストボードの各細部領域ごとに同一数のマーカーが形成されてもよい。
【0124】
テストボードの各細部領域に配置された複数のマーカーは隣接した他の細部領域との境界となる仮想線分h1、h2、h3、h4の中心点e1、e2、e3、e4を基準に点対称する位置に配列されてもよい。
【0125】
以上のテストボードを利用すると、ピクセル部130は4つの細部領域を容易に区別することができる。また、各細部領域ごとに同一数のマーカーが互いに対応する構造を有するように配置されるので、撮影イメージi全体のピクセル当たりの物理的サイズに対する信頼度、正確度が改善することができる。
【0126】
以上のキャリブレーション装置はオーバーレイ装置に適用されてもよい。
【0127】
オーバーレイ装置は、ウエハに回路パターンを積層する時、形成されたパターン間の整列誤差が発生するか否かを検査することができる。
【0128】
一例として、本発明のキャリブレーション装置はオーバーレイ計測前にオーバーレイ装置のキャリブレーションに適用されてもよい。
【0129】
図9は、本発明のキャリブレーション方法を示したフローチャートである。
【0130】
図9のキャリブレーション方法は、図1に示したキャリブレーション装置100により行われる。
【0131】
キャリブレーション方法は、取得段階(S510)、ピクセル段階(S520)、座標段階(S530)、分析段階(S540)を含む。
【0132】
取得段階(S510)は、複数のマーカーが表示された設定領域を撮影する撮影機10から撮影イメージを取得する。取得段階(S510)は、取得部110により行われてもよい。
【0133】
ピクセル段階(S520)は、第1マーカーと第2マーカーの間に存在するピクセルの数に該当するピクセル距離を把握する。ピクセル段階(S520)は、ピクセル部130により行われてもよい。
【0134】
座標段階(S530)は、第1マーカーから第2マーカーまでの物理的移動データを利用して第1マーカーと第2マーカーの間の物理的距離に該当する座標距離を把握する。座標段階(S530)は、座標部150により行われてもよい。
【0135】
分析段階(S540)はピクセル距離と座標距離を利用してピクセル当たりの物理的サイズを把握する。分析段階(S540)は分析部170により行われてもよい。
【0136】
本発明のキャリブレーション方法は、ピクセル当たりの物理的サイズをキャリブレーションする時点で実測された座標距離とピクセル距離を利用してピクセル当たりの物理的サイズを把握することができる。これをより、ピクセル当たりの物理的サイズの正確度が大きく改善され、1/10000サブピクセル単位までの精度が提供される。
【0137】
図10は、本発明の実施例による、コンピューティング装置を示した図である。図10のコンピューティング装置TN100は、本明細書において記述された装置(例えば、キャリブレーション装置100など)であってもよい。
【0138】
図10の実施例において、コンピューティング装置TN100は、少なくとも1つのプロセッサTN110、送受信装置TN120、及びメモリTN130を含んでもよい。また、コンピューティング装置TN100は、格納装置TN140、入力インタフェース装置TN150、出力インタフェース装置TN160などをさらに含んでもよい。コンピューティング装置TN100に含まれた構成要素はバス(bus)TN170により接続されて互いに通信を行うことができる。
【0139】
プロセッサTN110は、メモリTN130及び格納装置TN140のうち少なくとも1つに格納されたプログラム命令(program command)を実行することができる。プロセッサTN110は、中央処理装置(CPU:central processing unit)、グラフィック処理装置(GPU:graphics processing unit)、または本発明の実施例による方法が実行される専用のプロセッサを意味し得る。プロセッサTN110は、本発明の実施例と関連して記述された手順、機能、及び方法などを実現するように構成されてもよい。プロセッサTN110はコンピューティング装置TN100の各構成要素を制御することができる。
【0140】
メモリTN130及び格納装置TN140のそれぞれは、プロセッサTN110の動作に関連した多様な情報を格納することができる。メモリTN130及び格納装置TN140のそれぞれは、揮発性の格納媒体及び不揮発性格納媒体のうち少なくとも1つで構成されてもよい。例えば、メモリTN130は、読み取り専用メモリ(ROM:read only memory)及びランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)のうち少なくとも1つで構成されてもよい。
【0141】
送受信装置TN120は、有線信号又は無線信号を送信または受信することができる。送受信装置TN120は、ネットワークに接続されて通信を行うことができる。
【0142】
一方、本発明の実施例は、前述の装置及び/又は方法によりのみ実現されるものではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体により実現されてもよく、このような実現は前述の実施例の記載から本発明が属する技術分野の通常の技術者であれば容易に実現できるものである。
【0143】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求範囲において定義している本発明の基本概念を利用した通常の技術者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0144】
10 撮影機 20 テストベッド
100 キャリブレーション装置 110 取得部
130 ピクセル部 150 座標部
170 分析部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10