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特開2024-110403たるみ部を有するワイヤを有するステータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110403
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】たるみ部を有するワイヤを有するステータ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20240807BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G01D5/20 110H
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024011397
(22)【出願日】2024-01-30
(31)【優先権主張番号】18/163322
(32)【優先日】2023-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】503388120
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ベルギー ビーブイ
(71)【出願人】
【識別番号】524037856
【氏名又は名称】テエ センソレス エセ・デ・エレ・エレ・デ・セ・ウベ
(71)【出願人】
【識別番号】521523202
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス (スーヂョウ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100229736
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 剛
(72)【発明者】
【氏名】シィンヂゥーア オースティン ヂァン
(72)【発明者】
【氏名】トム オッケト
(72)【発明者】
【氏名】オスカル ソーサ
(72)【発明者】
【氏名】ヂィーリウ ウィリアム シィアオ
【テーマコード(参考)】
2F077
5H605
【Fターム(参考)】
2F077AA41
2F077AA46
2F077FF34
2F077PP26
2F077VV33
2F077WW02
2F077WW03
2F077WW06
5H605BB00
5H605EC05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レゾルバのステータに関し、より詳細には、ステータのワイヤの張力に関する。厳しい環境における、例えば急速な温度変化により、張力のかかったワイヤに、ワイヤの破損を引き起こし得る歪みが生じる。
【解決手段】ステータは、極を有する本体と、本体の一部分に配され、成端端部141におけるワイヤ成端部144を有する端子140を含むコネクタインターフェースと、極の周囲に配され、端子140の成端端部141まで延びるワイヤ150とを含む。端子140は、端子140の主要部分148に対して0°よりも大きく90°以下である屈曲角度147に屈曲する成端端部141における屈曲部分146を有する。ワイヤ150は、ワイヤ成端部144において端子140と電気的かつ機械的に接続される。端子140の屈曲部分146は、ワイヤ成端部144に隣接するワイヤ150のたるみ部156を形成する。
【選択図】図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極(114)を有する本体(110)と、
前記本体(110)の一部分に配され、成端端部(141)におけるワイヤ成端部(144)を有する端子(140)を含むコネクタインターフェース(120)であって、前記端子(140)は、前記端子(140)の主要部分(148)に対して0°よりも大きく90°以下である屈曲角度(147)に屈曲する前記成端端部(141)における屈曲部分(146)を有する、コネクタインターフェース(120)と、
前記極(114)の周囲に配され、前記端子(140)の前記成端端部(141)まで延びるワイヤ(150)であって、前記ワイヤ(150)は、前記ワイヤ成端部(144)において前記端子(140)と電気的かつ機械的に接続され、前記端子(140)の前記屈曲部分(146)は、前記ワイヤ成端部(144)に隣接する前記ワイヤ(150)のたるみ部(156)を形成する、ワイヤ(150)と
を備える、ステータ(100)。
【請求項2】
前記コネクタインターフェース(120)は、端子通路(132)を有する端子基部(130)を有し、前記端子通路(132)は、前記端子基部(130)を通って延び、前記端子(140)は、前記端子通路(132)に配され、前記屈曲部分(146)を有する前記端子(140)の前記成端端部(141)は、前記端子基部(130)を越えて突出する、請求項1に記載のステータ(100)。
【請求項3】
前記端子基部(130)は、前記端子通路(132)において前記端子(140)に隣接するフックピン(134)を有し、前記フックピン(134)は、前記端子通路(132)の反対側の端部における突出部(138)を有する、請求項2に記載のステータ(100)。
【請求項4】
前記極(114)と前記ワイヤ成端部(144)との間の前記ワイヤ(150)の一部分は、前記フックピン(134)の前記突出部(138)により保持され、前記ワイヤ(150)の前記たるみ部(156)は、前記ワイヤ成端部(144)と前記フックピン(134)の前記突出部(138)との間にある、請求項3に記載のステータ(100)。
【請求項5】
前記屈曲部分(146)は、屈曲前状態(P)および屈曲状態(B)を有し、前記屈曲部分(146)は、前記屈曲状態(B)において前記屈曲角度(147)を有し、前記ワイヤ成端部(144)は、前記屈曲前状態(P)よりも前記屈曲状態(B)において前記フックピン(134)の前記突出部(138)の近くに配置されている、請求項3に記載のステータ(100)。
【請求項6】
前記屈曲部分(146)は、前記屈曲前状態(P)において前記端子(140)の前記主要部分(148)に平行であるか、または、前記屈曲部分(146)は、前記屈曲前状態(P)において前記端子(140)の前記主要部分(148)に垂直である、請求項5に記載のステータ(100)。
【請求項7】
前記端子(140)は、前記コネクタインターフェース(120)を通って延び、前記成端端部(141)の反対側の嵌合端部(142)を有し、前記端子(140)は、前記成端端部(141)から前記嵌合端部(142)まで延びる単一品として一体に形成されている、請求項1に記載のステータ(100)。
【請求項8】
前記極(114)は、前記本体(110)の複数の極(114)のうちの1つであり、前記端子(140)は、複数の端子(140)のうちの1つであり、前記ワイヤ(150)は、複数のワイヤ(150)のうちの1つであり、前記ワイヤ(150)の各々は、前記極(114)のうちの1つの周囲に配され、前記端子(140)のうちの1つの前記成端端部(141)まで延び、前記ワイヤ(150)の各々は、前記端子(140)のうちの1つの前記屈曲部分(146)により形成されている前記端子(140)のうちの前記1つに隣接する前記たるみ部(156)を有する、請求項1に記載のステータ(100)。
【請求項9】
極(114)を有する本体(110)を含むステータ(100)と、前記本体(110)の一部分に配されているコネクタインターフェース(120)と、前記極(114)の周囲に配されているワイヤ(150)とを備えるレゾルバ(10)であって、
前記コネクタインターフェース(120)は、ワイヤ成端部(144)を有する成端端部(141)を有する端子(140)を含み、前記端子(140)は、前記端子(140)の主要部分(148)に対して0°よりも大きく90°以下である屈曲角度(147)に屈曲する前記成端端部(141)における屈曲部分(146)を有し、前記ワイヤ(150)は、前記端子(140)の前記成端端部(141)まで延び、前記ワイヤ成端部(144)において前記端子(140)と電気的かつ機械的に接続され、前記端子(140)の前記屈曲部分(146)は、前記ワイヤ成端部(144)に隣接する前記ワイヤ(150)のたるみ部(156)を形成する、
レゾルバ(10)。
【請求項10】
前記本体(110)は、ロータ受入れ空間(112)を画定する略円形の部材であり、前記ロータ受入れ空間(112)に配されているロータ(200)をさらに備え、前記ロータ(200)は、前記ステータ(100)に対して回転可能である、請求項9に記載のレゾルバ(10)。
【請求項11】
ステータ(100)におけるワイヤ(150)のたるみ部(156)を形成する方法であって、
極(114)を有する本体(110)と、前記本体(110)の一部分に配されているコネクタインターフェース(120)とを有するステータ(100)を提供することであって、前記コネクタインターフェース(120)は、成端端部(141)におけるワイヤ成端部(144)を有する端子(140)を含む、提供することと、
前記ワイヤ(150)を前記極(114)の周囲に、かつ前記端子(140)の前記成端端部(141)まで延びるように配置することであって、前記ワイヤ(150)は、前記ワイヤ(150)が張った状態(T)にあり、前記端子(140)が屈曲前状態(P)にある状態で、前記ワイヤ成端部(144)において前記端子(140)と電気的かつ機械的に接続される、配置することと、
前記端子(140)を前記屈曲前状態(P)から屈曲状態(B)へと屈曲させることであって、前記屈曲状態(B)への前記端子(140)の前記屈曲により、前記ワイヤ(150)がたるんで、前記ワイヤ(150)が前記ワイヤ成端部(144)に隣接するたるみ部(156)を有するたるみ状態(S)となる、屈曲させることと
を含む、方法。
【請求項12】
前記屈曲させるステップにおいて、屈曲器具(300)が、前記端子(140)を前記屈曲状態(B)へと屈曲させるために用いられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記屈曲させるステップは、前記端子(140)の屈曲部分(146)を前記端子(140)の主要部分(148)に対して0°よりも大きく90°以下である屈曲角度(147)に屈曲させる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記コネクタインターフェース(120)は、端子通路(132)と、前記端子通路(132)に隣接するフックピン(134)とを有する端子基部(130)を有し、前記端子通路(132)は、前記端子基部(130)を通って延び、前記フックピン(134)は、前記端子通路(132)の反対側の端部における突出部(138)を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記端子(140)は、前記屈曲させるステップにおいて、前記突出部(138)に向かう方向にかつ前記フックピン(134)の上に屈曲する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバのステータに関し、より詳細には、ステータのワイヤの張力に関する。
【背景技術】
【0002】
レゾルバは一般に、ステータと、ステータ内に配されるロータとを含む。ステータは、ロータに対向する複数の極に巻回されたワイヤを用いて、ロータの回転位置を決定する。ワイヤの各々は、極のうちの1つからステータの端子まで延びる。ワイヤは、端子に接続されたときに、張力がかかって概ね張った状態となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
レゾルバは、様々な用途において厳しい環境にさらされる場合がある。これらの厳しい環境における、例えば急速な温度変化により、張力のかかったワイヤに、ワイヤの破損を引き起こし得る歪みが生じる。
【0004】
一部のレゾルバは、厳しい条件下でのワイヤの損傷または破損を回避するために、ステータのワイヤに歪みの緩和を提供する。これらのレゾルバは通常、ステータに配置され、ワイヤが端子に張力をかけて接続されたときにワイヤと接触する外部要素を含む。次いで、外部要素が取り外されることで、温度変化を補償し得るたるみをワイヤに生じさせることが可能となる。しかしながら、これらの解決策は、追加の工程段階を必要とし、実行に時間がかかり、その上、材料コストおよび生産コストを増大させる追加の構成要素も必要とする。さらに、外部要素の取り外しにより、ワイヤに損傷が生じる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
レゾルバのステータは、極を有する本体と、本体の一部分に配され、成端端部におけるワイヤ成端部を有する端子を含むコネクタインターフェースと、極の周囲に配され、端子の成端端部まで延びるワイヤとを含む。端子は、端子の主要部分に対して0°よりも大きく90°以下である屈曲角度に屈曲する成端端部における屈曲部分を有する。ワイヤは、ワイヤ成端部において端子と電気的かつ機械的に接続される。端子の屈曲部分は、ワイヤ成端部に隣接するワイヤのたるみ部(slackened portion)を形成する。
【0006】
ここで、添付の図面を参照して、本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るレゾルバの斜視図である。
図2】一実施形態に係るレゾルバのステータの斜視図である。
図3】カバーがない状態の図2の部分Aの詳細斜視図である。
図4図2のステータの断面斜視図である。
図5】ステータの端子および端子基部を伴う、一実施形態に係る屈曲器具の斜視図である。
図6A】端子が屈曲前状態にある図2のステータのコネクタインターフェースの断面側面図である。
図6B】端子が屈曲状態にある図6Aのコネクタインターフェースの断面側面図である。
図6C】別の実施形態に係る端子が屈曲状態にあるコネクタインターフェースの断面側面図である。
図7A】別の実施形態に係る端子が屈曲前状態にあるコネクタインターフェースの斜視図である。
図7B】端子が屈曲前状態にある図7Aのコネクタインターフェースの断面側面図である。
図7C】端子が屈曲状態にある図7Bのコネクタインターフェースの断面側面図である。
図8A】別の実施形態に係る端子が屈曲前状態にあるコネクタインターフェースの斜視図である。
図8B】端子が屈曲前状態にある図8Aのコネクタインターフェースの模式的側面図である。
図8C】端子が屈曲状態にある図8Bのコネクタインターフェースの模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照して、本開示の例示的実施形態を以下で詳細に説明する。図面において、同様の参照符号は同様の要素を指す。しかしながら、本開示は、多数の異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が開示の概念を当業者に伝達するように提供されている。加えて、以下の詳細な説明においては、説明の目的で、多数の具体的な詳細事項が、開示の実施形態の完全な理解をもたらすために記載されている。しかしながら、1つまたは複数の実施形態がこれらの具体的な詳細事項なしで実現されてもよいことは明らかである。
【0009】
図面の全体にわたって、図面を明確にするために、図中で複数の同一の要素のうちの1つのみに符号を付している場合があるが、本明細書における要素の詳細な説明は、その図中で同一のものとして出現する要素の各々に等しく当てはまる。本明細書の全体にわたって、「鉛直」、「長手」、および「幅」などの方向の記述語が用いられる。これらの記述語は、単に説明を明確にするためのものであり、様々な方向を区別するためのものである。これらの方向の記述語は、開示されている要素の任意の特定の向きを含意または要求するものではない。
【0010】
一実施形態に係るレゾルバ10を図1に示す。レゾルバ10は、ステータ100と、ステータ100内に配されるロータ200とを含む。ロータ200は、ステータ100に対して回転可能であり、ステータ100は、ロータ200の回転位置および/または回転速度を示す出力を有する。
【0011】
ステータ100は、図1および図2において複数の実施形態で示されている。各実施形態において、ステータ100は、本体110と、本体110の一部分に配されるコネクタインターフェース120と、本体110からコネクタインターフェース120まで延びる複数のワイヤ150とを含む。
【0012】
図1および図2に示すように、本体110は、ロータ受入れ空間112を画定する略円形の部材である。ロータ200は、ロータ受入れ空間112に配される。本体110は、ロータ受入れ空間112の周囲に配置され、ロータ受入れ空間112に向く複数の極114を有する。極114は、周囲に等間隔で配置され、互いに離隔している。本体110は、鉛直方向Vに延び、コネクタインターフェース120に隣接してまたはコネクタインターフェース120内に配置される、図2および図3に示す一対のポスト116を有する。
【0013】
コネクタインターフェース120は、図1および図2の実施形態において全体的に示され、コネクタインターフェース120を含む図2の部分Aの詳細図が、図3に示されている。コネクタインターフェース120は、コネクタハウジング122と、コネクタハウジング122内に配される端子基部130と、端子基部130内に配される複数の端子140とを含む。
【0014】
図1の実施形態において、コネクタハウジング122は、本体110の縁部に配され、コネクタインターフェース120は、コネクタハウジング122とコネクタインターフェース120の嵌合部124との間に延びるワイヤ123を有する。図2および図4に示す別の実施形態において、コネクタハウジング122は、本体110の平面に垂直な鉛直方向Vに延びる細長部材である。図4に示すように、この実施形態において、コネクタハウジング122は、嵌合部124まで連続的に延び、コネクタハウジング122と嵌合部124との間にはワイヤが配置されない。
図2図4に示す実施形態に関連してコネクタインターフェース120を詳細に説明するが、他の実施形態においては、コネクタハウジング122は代替的に、左方に、右方に、または本体110の平面において平坦に延びることを含め、嵌合部124まで他の方向に延びてもよい。コネクタインターフェース120の全ての実施形態において、端子基部130および端子140の特徴は、ここで説明するものと同じである。
【0015】
図2に示すように、コネクタハウジング122は、鉛直方向Vにおいてコネクタハウジング122の端部を覆うカバー126を含む。図2のコネクタハウジング122は、図3では取り除かれているカバー126と共に示されている。カバー126は、端子基部130に配された端子140を覆って保護する。一実施形態において、カバー126は、ポスト116の上に設置される別個の部品である。別の実施形態において、カバー126は、コネクタハウジング122の端部内に充填され固化されたポッティングである。
【0016】
図3および図4に示すように、端子基部130は、鉛直方向Vにおいて端子基部130を通って延びる複数の端子通路132と、端子通路132の各々に隣接して配置されるフックピン134とを有する。フックピン134の各々は、鉛直方向Vに垂直な長手方向Lにおいて、端子通路132に隣接する第1の端部135から第1の端部135の反対側の第2の端部136まで延びる。フックピン134の各々は、鉛直方向Vにおいて端子基部130の上方に距離を空けて延びる第2の端部136における突出部138を有する。端子基部130は、絶縁材料から形成され、図示の実施形態において、フックピン134は各々、端子基部130と単一品として一体に形成される。
【0017】
図3および図4に示すように、端子140は各々、成端端部141と、成端端部141の反対側の嵌合端部142とを有する。端子140は各々、端子140をワイヤなどの導電要素に機械的かつ電気的に接続することが可能な成端端部141におけるワイヤ成端部144を有する。図示の実施形態において、ワイヤ成端部144は、溶接可能なフォークコンタクトである。他の実施形態においては、ワイヤ成端部144は、端子140を導電要素に機械的かつ電気的に接続することが可能な任意のタイプの成端部であってよい。端子140は各々、導電材料から形成され、図示の実施形態においては、成端端部141から嵌合端部142まで延びる単一品として一体に形成される。
【0018】
ここで、ステータ100を組み立てるプロセスをより詳細に説明する。
【0019】
図4に示すように、端子140は最初に、端子140の屈曲前状態Pにおいて端子基部130の端子通路132に配置される。端子140の各々の成端端部141は、鉛直方向Vにおいて端子基部130を越えて突出する。端子140の各々の嵌合端部142は、コネクタインターフェース120の嵌合部124において露出する。図示の実施形態において、ステータ100は、2列に配置される6つの端子140を有する。他の実施形態においては、ステータ100は、任意の数の列に配置される任意の数の端子140を、対応する数の端子通路132およびフックピン134と共に有してもよい。
【0020】
端子140が図4の屈曲前状態Pにある状態で、ワイヤ150がステータ100に配置される。ワイヤ150は各々、本体110の極114のうちの1つに巻き付けられる極端部152を有する。ワイヤ150の極端部152は、図面の明確性のために、図1図2、および図4において極114の周囲に模式的に示されている。一実施形態において、ワイヤ150は、銅材料から形成される。
【0021】
図3に示すように、ワイヤ150は、極端部152の反対側の端子端部154まで延びる。極端部152と端子端部154との間において、ワイヤ150は各々、本体110のポスト116のうちの1つに巻き付けられる。ワイヤ150の各々は、ポスト116から、端子140のうちの1つにつながる。ポスト116と端子端部154との間のワイヤ150の各々の一部分は、フックピン134のうちの1つの突出部138の下に配置され、突出部138により保持される。別の実施形態においては、ポスト116が省かれてもよく、ワイヤ150は、極114からフックピン134のうちの1つの突出部138まで直接つながってもよい。
【0022】
図3に示すように、ワイヤ150の各々の端子端部154は、端子140のうちの1つのワイヤ成端部144に配置される。ワイヤ150の各々は、ワイヤ成端部144により、端子端部154において端子140のうちの1つに機械的かつ電気的に接続される。図示の実施形態において、ワイヤ150の各々は、端子140のうちの1つのワイヤ成端部144に溶接される。
【0023】
図3に示すように、端子140が屈曲前状態Pにある状態でワイヤ150が最初に端子140に接続されたとき、ワイヤ150は各々、張った状態T(taut state T)にある。張った状態Tにおいて、ワイヤ150の各々は、極端部152と端子端部154との間で張力を受ける。ワイヤ150は、極114からポスト116まで、ポスト116からフックピン134の突出部138まで、およびフックピン134からワイヤ成端部144までにおいて張力を受ける。
【0024】
ワイヤ150が張った状態Tにあり端子140が屈曲前状態Pにある、図3に示す状態から、端子140は、屈曲状態Bへと屈曲する。図5に示すように、一実施形態において、屈曲器具300が、複数の端子140を同時に屈曲させるために用いられる。端子140は、図5では図面の明確性のためにワイヤ150なしで端子基部130のみを伴って示されているが、屈曲器具300は、図3を参照して上記で説明したように、ワイヤ150が端子140に接続され本体110内に配置された状態で、端子140を屈曲させるために用いられる。
【0025】
図5の実施形態に示すように、屈曲器具300は、一対の屈曲アーム310と、屈曲アーム310の各々の端部に配される屈曲突出部320とを有する。図5の実施形態における屈曲器具300は、下記で詳細に説明するように、2つの端子140を同時に屈曲させるために用いられてよい。他の実施形態において、屈曲器具300は、1つまたは任意の他の数の端子140を一度に屈曲させるために、1つの屈曲アーム310または2つよりも多くの屈曲アーム310を、対応する数の屈曲突出部320と共に有してよい。下記で詳細に説明する端子140を屈曲させる実施形態の各々において、端子140は、屈曲器具300を長手方向Lに動かすことにより屈曲状態Bへと屈曲してもよく、あるいは、任意の他の屈曲デバイスまたはプロセスにより屈曲状態Bへと屈曲してもよい。
【0026】
屈曲前状態Pから屈曲状態Bへの図3に示す端子140の屈曲を、図6Aおよび図6Bに示す。端子140は各々、端子140に隣接するフックピン134の上で長手方向Lに屈曲する。図6Bに示す屈曲状態Bにおいて、端子140の各々は、端子140の主要部分148に対して屈曲角度147に屈曲する成端端部141における屈曲部分146を有する。屈曲角度147は、0°よりも大きく90°以下である。図示の実施形態において、屈曲角度147は、略30°である。
【0027】
図6Bに示すように、屈曲状態Bにおいて、ワイヤ150の端子端部154が端子140に接続されるワイヤ成端部144は、屈曲前状態Pよりもフックピン134の突出部138の近くに配置される。よって、屈曲状態Bへの端子140の屈曲により、ワイヤ150がフックピン134の突出部138と端子140との間に延びる距離が短くなり、それにより、ワイヤ150が、ワイヤ150にかかる張力が減少するたるみ状態Sになることが可能となる。
【0028】
ワイヤ150のたるみ部156は、図6Bに示すように、屈曲状態Bにおいてワイヤ成端部144に隣接し、少なくともワイヤ成端部144とフックピン134の突出部138との間に延びる。図示の実施形態において、たるみ状態Sにおけるワイヤ150のたるみ部156は、突出部138とポスト116との間にも延びる。ただし、全ての実施形態において、ワイヤ150は、端子140の屈曲状態Bにおいて、極114の周囲では張った状態のままであり、ワイヤ150のたるみは、コネクタインターフェース120において、端子140のより近くに集中する。
【0029】
屈曲状態Bへの端子140の屈曲により、特定の適用条件におけるワイヤ150に対する歪みを緩和するワイヤ150のたるみ部156が形成される。たるみ状態Sにおいてたるみ部156を有するワイヤ150は、例えば、ワイヤ150にかかる張力を損傷点または破壊点を越えて増大させることなく、急速な温度変化の下で膨張および収縮することができる。さらに、ワイヤ150は、組み立て後に取り外す必要があるステータ100の追加の要素を必要とすることなく、たるみ状態Sに変化する。本発明に係るステータ100は、大幅な追加の工程段階および構成要素を必要とすることなく、より広範な用途において高信頼に使用することができ、それにより、ステータ100の材料コストおよび生産コストが減少する。
【0030】
図6Bに示す実施形態において、フックピン134の各々の第1の端部135は、端子基部130に垂直な鉛直方向Vに延びる。第1の端部135のこの実施形態は、端子140がフックピン134の上に屈曲したときに、屈曲角度147を付けてではなく端子基部130の上方に鉛直に延びる端子140の主要部分148を形成する。図6Bの実施形態において、端子140は、主要部分138および屈曲部分146の両方が端子基部130を越えて突出する。
【0031】
図6Cに示す別の実施形態において、フックピン134の各々の第1の端部135は、鉛直方向Vに対して鋭角に延びる。第1の端部135のこの実施形態により、端子140の全体が、フックピン134の上で屈曲角度147に屈曲するように、端子基部130を越えて延びることが可能となる。図6Cの実施形態において、端子140の主要部分148は、端子基部130に配され、屈曲部分146のみが、端子基部130を越えて突出する。
【0032】
図3図6Cに示す実施形態において、端子140は各々、屈曲前状態Pにおいて端子基部130を越えて単一方向に延び、屈曲部分146は、屈曲前状態Pにおいて主要部分148に平行である。図7A図8Cに示し、下記でより詳細に説明する他の実施形態において、端子140は、屈曲前状態Pにおいて異なるように形成されてよく、ワイヤ150のたるみ部156およびたるみ状態Sを形成するように屈曲状態Bへと屈曲してよい。
【0033】
図7Aおよび図7Bに示す実施形態において、屈曲部分146は、屈曲前状態Pにおいて主要部分148に垂直である。この実施形態における屈曲部分146は、屈曲前状態Pにおいて、長手方向Lにおいてフックピン134の上に延びる。図7Cに示すように、端子140が屈曲状態Bへと屈曲すると、屈曲部分146は、主要部分148に対して屈曲角度147をなすように、フックピン134に向かって鉛直方向Vにさらに屈曲し、それにより、ワイヤ150のたるみ部156およびたるみ状態Sを形成する。
【0034】
図8Aおよび図8Bに示す別の実施形態において、屈曲部分146は、屈曲前状態Pにおいて主要部分148に垂直であり、主要部分148から鉛直方向Vおよび長手方向Lに垂直な幅方向Wに延びる。図8Cに示すように、端子140が屈曲状態Bへと屈曲すると、屈曲部分146は、主要部分148に対して垂直な屈曲角度147をなすように、フックピン134の上に延びるように長手方向Lに屈曲し、それにより、ワイヤ150のたるみ部156およびたるみ状態Sを形成する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
【外国語明細書】