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特開2024-110407有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110407
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
   C07C 211/61 20060101AFI20240807BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20240807BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240807BHJP
   H10K 50/11 20230101ALI20240807BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20240807BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20240807BHJP
   H10K 50/18 20230101ALI20240807BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20240807BHJP
   C07D 333/76 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
C07C211/61
H10K85/60
H10K59/10
H10K50/11
H10K50/15
H10K50/17
H10K50/18
C07D307/91 CSP
C07D333/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024012681
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】10-2023-0014289
(32)【優先日】2023-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2024-0000823
(32)【優先日】2024-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】デュポン スペシャルティ マテリアルズ コリア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DUPONT SPECIALTY MATERIALS KOREA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】カン ヒョンウ
(72)【発明者】
【氏名】オ ホンセ
(72)【発明者】
【氏名】パク ソミ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジンマン
(72)【発明者】
【氏名】イ ドンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム サムエル
(72)【発明者】
【氏名】イ テジン
【テーマコード(参考)】
3K107
4H006
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC04
3K107CC22
3K107DD59
3K107DD68
3K107DD71
3K107DD78
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB92
(57)【要約】
【課題】有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供する。
【解決手段】本開示は、式1で表される有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を含めることにより、改善された電流効率及び/又は寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造することが可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式1で表される有機エレクトロルミネセント化合物:
【化1】
(式1において、
及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表すか、或いは互いに連結して環を形成していてもよく;
11~R13は、それぞれ独立して、水素、重水素、又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリールを表すか、又は以下の式1-1で表されるが、R12及びR13のうちの少なくとも1つは、以下の式1-1で表されることを条件とし;
【化2】
式1-1において、
Arは、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
21及びR25は、それぞれ独立して、水素、重水素、無置換(C1~C30)アルキル、又はそれらの組み合わせを表し;
22~R24は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表すが、R22~R24のうちの少なくとも1つは、オルト形態の以下の連結基を含む置換若しくは無置換(C12~C30)アリールを表すことを条件とし;
【化3】
環Aは、置換若しくは無置換(C6~C24)アレーン環を表し;
a及びcは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、bは1~2の整数を表し、a~cが2以上の整数を表す場合には、各R11~各R13は、同じであっても異なっていてもよく;
前記ヘテロアリール及びヘテロアレーンは、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子をそれぞれ含む)。
【請求項2】
前記置換アリール、前記置換アレーン、前記置換ヘテロアリール、前記置換ヘテロアレーン、及び前記置換アルキルが、それぞれ独立して、重水素;ハロゲン;シアノ;カルボキシル;ニトロ;ヒドロキシ;ホスフィンオキシド;無置換であるか又は重水素で置換された(C1~C30)アルキル;ハロ(C1~C30)アルキル;(C2~C30)アルケニル;(C2~C30)アルキニル;(C1~C30)アルコキシ;(C1~C30)アルキルチオ;(C3~C30)シクロアルキル;(C3~C30)シクロアルケニル;(3~7員)ヘテロシクロアルキル;(C6~C30)アリールオキシ;(C6~C30)アリールチオ;無置換であるか又は(C6~C30)アリールで置換された(3~30員)ヘテロアリール;無置換であるか又は(3~30員)ヘテロアリールで置換された(C6~C30)アリール;トリ(C1~C30)アルキルシリル;トリ(C6~C30)アリールシリル;ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル;(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル;(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香環との縮合環基;アミノ;モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ;モノ-又はジ-(C2~C30)アルケニルアミノ;モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ;モノ-又はジ-(3~30員)ヘテロアリールアミノ;(C1~C30)アルキル(C2~C30)アルケニルアミノ;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ;(C1~C30)アルキル(3~30員)ヘテロアリールアミノ;(C2~C30)アルケニル(C6~C30)アリールアミノ;(C2~C30)アルケニル(3~30員)ヘテロアリールアミノ;(C6~C30)アリール(3~30員)ヘテロアリールアミノ;(C1~C30)アルキルカルボニル;(C1~C30)アルコキシカルボニル;(C6~C30)アリールカルボニル;ジ(C6~C30)アリールボロニル;ジ(C1~C30)アルキルボロニル;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル;(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル;及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つで置換されている、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項3】
式1が、以下の式2~4のうちのいずれか1つによって表される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物:
【化4】
(式2~4において、
c’は、1~3の整数を表し、c’が2以上の整数である場合には、R13のそれぞれは、同じであっても異なっていてもよく;
、R、R11~R13、R21~R25、Ar、a、及びbは、請求項1で定義した通りである)。
【請求項4】
前記連結基aが、以下の構造のいずれか1つによって表される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物:
【化5】
(これらの構造において、水素は少なくとも1つの重水素によって置換されていてもよい)。
【請求項5】
オルト形態の前記連結基aを含む前記置換若しくは無置換(C12~C30)アリールが、以下の構造のいずれか1つによって表される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物:
【化6】
(これらの構造において、水素は、重水素、及び無置換であるか又は少なくとも1つの重水素で置換されたメチルのうちの少なくとも1つで置換されていてもよい)。
【請求項6】
及びRが、それぞれ独立して、無置換であるか若しくは重水素で置換されたメチル、又は無置換であるか若しくは重水素で置換されたフェニルを表す、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項7】
11~R13が、それぞれ独立して、水素、無置換であるか若しくは重水素で置換されたメチル、無置換であるか若しくは重水素で置換されたフェニル、又は式1-1を表す、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項8】
式1で表される前記化合物が以下の化合物から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物:
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
(これらの構造において、Phはフェニル基を表す)。
【請求項9】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料。
【請求項10】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項11】
前記有機エレクトロルミネセント化合物が、発光層、第1の正孔輸送層、第2の正孔輸送層、正孔補助層、電子阻止層、及び発光補助層のうちの少なくとも1つの層に含まれる、請求項10に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機エレクトロルミネセント化合物、及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネセントデバイス(ELデバイス)は、広い視野角、優れたコントラスト、及び速い応答速度などの利点を有する自発光型のディスプレイデバイスである。1987年、Eastman Kodakは、発光層を形成する材料として小さい芳香族ジアミン分子とアルミニウム錯体とを使用した有機エレクトロルミネセントデバイスを初めて開発した[(非特許文献1)]。
【0003】
有機エレクトロルミネセントデバイスは、その効率及び安定性を増加させるために、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層等を含む多層構造を有する。この場合、正孔輸送層に含まれる化合物の選択は、発光層への正孔輸送効率、発光効率、及び寿命などのデバイス特性を改善する手段の1つとして認識されている。
【0004】
これに関連して、銅フタロアシアニン(CuPc)、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(TPD)、4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等が有機エレクトロルミネセントデバイス中の正孔注入及び輸送材料として使用された。しかしながら、これらの材料が使用される場合、有機エレクトロルミネセントデバイスの量子効率及び寿命が低下する。その理由は、有機エレクトロルミネセントデバイスが高電流で駆動される場合、アノードと正孔注入層との間で熱応力が起こり、この熱応力により、デバイスの寿命が急速に減少するためである。加えて、正孔注入層で使用される有機材料は、非常に高い正孔移動度を有しているため、正孔-電子帯電バランスが壊れ、それによって量子効率(cd/A)が低下する。
【0005】
一方で、(特許文献1)は、アミノ基を含むベンゾフルオレン化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを開示している。しかしながら、前述した参考文献は、本明細書で特許請求されている化合物を具体的には開示しておらず、OLEDの性能を改善するための正孔輸送材料の開発が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2017-0124957号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.51,913,1987
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、まず第1に、改善された電流効率及び/又は寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造するために有効な有機エレクトロルミネセント化合物を提供することである。第2に、本開示の別の目的は、有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
技術的課題を解決するために集中的に研究した結果、本発明者らは、上記の目的が、以下の式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物によって達成され得ることを見出した。
【化1】
【0010】
式1において、
及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表すか、或いは互いに連結して環を形成していてもよく;
11~R13は、それぞれ独立して、水素、重水素、又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリールを表すか、又は以下の式1-1で表されるが、R12及びR13のうちの少なくとも1つは、以下の式1-1で表されることを条件とし;
【化2】
式1-1において、
Arは、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
21及びR25は、それぞれ独立して、水素、重水素、無置換(C1~C30)アルキル、又はそれらの組み合わせを表し;
22~R24は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表すが、R22~R24のうちの少なくとも1つは、オルト形態の以下の連結基を含む置換若しくは無置換(C12~C30)アリールを表すことを条件とし;
【化3】
環Aは、置換若しくは無置換(C6~C24)アレーン環を表し;
a及びcは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、bは1~2の整数を表し、a~cが2以上の整数を表す場合には、各R11~各R13は、同じであっても異なっていてもよく;
ヘテロアリール及びヘテロアレーンは、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子をそれぞれ含む。
【0011】
発明の有利な効果
本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を使用することにより、改善された電流効率及び/又は寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示が詳細に説明される。しかしながら、以下の説明は、本開示を説明することを意図し、本開示の範囲を限定することを決して意味しない。
【0013】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント化合物」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用することができ、且つ必要に応じて有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る化合物を意味する。
【0014】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得る、少なくとも1つの化合物を含み得る材料を意味する。有機エレクトロルミネセント材料は、必要に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る。例えば、有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料(ホスト材料及びドーパント材料を含む)、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、電子注入材料等であってよい。正孔輸送帯材料は、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子阻止材料、正孔補助材料、及び発光補助材料からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。
【0015】
本開示の有機エレクトロルミネセント材料は、上の式1によって表される少なくとも1つの化合物を含み得る。式1の化合物は、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する少なくとも1つの層に含まれることができ、且つ正孔輸送帯を構成する層の少なくとも1つの層に含まれることができるが、それらに限定されない。式1の化合物が正孔輸送層、正孔補助層、電子阻止層、発光層、又は発光補助層に含まれる場合、それは、正孔輸送材料、正孔補助材料、電子阻止材料、ホスト材料、又は発光補助材料として含まれ得る。
【0016】
本明細書では、用語「(C1~C30)アルキル」は、炭素原子数が好ましくは1~20個及びより好ましくは1~10個である鎖を構成する1~30個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐状アルキルであることを意味する。上記のアルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどが挙げられ得る。用語「(C2~C30)アルケニル」は、鎖を構成する2~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐状アルケニルであることを意味し、ここで、炭素原子の数は、好ましくは、2~20個、より好ましくは2~10個である。上記のアルケニルは、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、及び2-メチルブト-2-エニル等を含み得る。用語「(C2~C30)アルキニル」は、炭素原子の数が好ましくは2~20個、より好ましくは2~10個である鎖を構成する2~30個の炭素原子を有する、直鎖若しくは分岐状アルキニルであることを意味する。上記のアルキニルは、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチルペント-2-イニル等を含み得る。用語「(C3~C30)シクロアルキル」は、炭素原子数が好ましくは、3~20個、より好ましくは3~7個である3~30個の環骨格炭素原子を有する、単環式又は多環式炭化水素であることを意味する。上記のシクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれ得る。「(3~7員)ヘテロシクロアルキル」という用語は、3~7個、好ましくは5~7個の環骨格原子を有し、B、N、O、S、Si、及びPからなる群、好ましくはO、S、及びNからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキルであることを意味する。上記のヘテロシクロアルキルには、テトラヒドロフラン、ピロリジン、チオラン、テトラヒドロピラン等が含まれ得る。「(C6~C30)アリール(エン)」又は「(C6~C30)アレーン」という用語は、6~30の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導される単環式又は縮合環ラジカルであることを意味する。上記のアリールは、部分的に飽和されていてもよく、またスピロ構造を含んでいてもよい。その環骨格炭素原子の数は、好ましくは6~25、より好ましくは6~18である。上記のアリールは、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フェニルテルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、スピロビフルオレニル等を含み得る。具体的には、上記のアリールは、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、ベンズアントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、ナフタセニル、ピレニル、1-クリセニル、2-クリセニル、3-クリセニル、4-クリセニル、5-クリセニル、6-クリセニル、ベンゾ[c]フェナントリル、ベンゾ[g]クリセニル、1-トリフェニレニル、2-トリフェニレニル、3-トリフェニレニル、4-トリフェニレニル、1-フルオレニル、2-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオレニル、9-フルオレニル、ベンゾ[a]フルオレニル、ベンゾ[b]フルオレニル、ベンゾ[c]フルオレニル、ジベンゾフルオレニル、2-ビフェニリル、3-ビフェニリル、4-ビフェニリル、o-テルフェニル、m-テルフェニル-4-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-2-イル、m-クアテルフェニル、3-フルオランテニル、4-フルオランテニル、8-フルオランテニル、9-フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-キシリル、メシチル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、p-tert-ブチルフェニル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニリル、4’’-tert-ブチル-p-テルフェニル-4-イル、9,9-ジメチル-1-フルオレニル、9,9-ジメチル-2-フルオレニル、9,9-ジメチル-3-フルオレニル、9,9-ジメチル-4-フルオレニル、9,9-ジフェニル-1-フルオレニル、9,9-ジフェニル-2-フルオレニル、9,9-ジフェニル-3-フルオレニル、9,9-ジフェニル-4-フルオレニル、11,11-ジメチル-1-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-2-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-3-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-4-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-5-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-6-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-7-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-8-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-9-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-10-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-1-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-2-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-3-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-4-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-5-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-6-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-7-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-8-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-9-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-10-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-1-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-2-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-3-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-4-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-5-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-6-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-7-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-8-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-9-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-10-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-1-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-2-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-3-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-4-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-5-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-6-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-7-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-8-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-9-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-10-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-1-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-2-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-3-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-4-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-5-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-6-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-7-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-8-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-9-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-10-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-1-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-2-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-3-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-4-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-5-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-6-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-7-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-8-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-9-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-10-ベンゾ[c]フルオレニル、9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-1-フェナントレニル、9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-2-フェナントレニル、9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-3-フェナントレニル、9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-4-フェナントレニル等を含み得る。
【0017】
用語「(3~30員)ヘテロアリール(エン)」及び「(3~30員)ヘテロアレーン」は、3~30個の環骨格原子を有し、且つB、N、O、S、Si、P、Se、Te、及びGeからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは1~4つのヘテロ原子を含むアリール(エン)基であることを意図する。上記のヘテロアリール(エン)は、単環式環、又は少なくとも1つのベンゼン環と縮合した縮合環であってよく、部分的に飽和していてもよく、単結合を介してヘテロアリール(エン)基に少なくとも1つのヘテロアリール又はアリール基を連結させることによって形成されるものであってよく、スピロ構造を含んでいてもよい。上記のヘテロアリールは、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等の単環式環型ヘテロアリール、及びベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾナフトフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾフェナントロチオフェニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、フェナントロオキサゾリル、フェナントロチアゾリル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、ベンゾキナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾキノキサリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロアクリジニル等の縮合環型ヘテロアリールを含み得る。より具体的には、上記のヘテロアリールは、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、ピラジニル、2-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、1,2,3-トリアジン-4-イル、1,2,4-トリアジン-3-イル、1,3,5-トリアジン-2-イル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、1-ピラゾリル、1-インドリジニル、2-インドリジニル、3-インドリジニル、5-インドリジニル、6-インドリジニル、7-インドリジニル、8-インドリジニル、2-イミダゾピリジル、3-イミダゾピリジル、5-イミダゾピリジル、6-イミダゾピリジル、7-イミダゾピリジル、8-イミダゾピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、2-フリル、3-フリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフラニル、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル、9-カルバゾリル、アザカルバゾール-1-イル、アザカルバゾール-2-イル、アザカルバゾール-3-イル、アザカルバゾール-4-イル、アザカルバゾール-5-イル、アザカルバゾール-6-イル、アザカルバゾール-7-イル、アザカルバゾール-8-イル、アザカルバゾール-9-イル、1-フェナントリジニル、2-フェナントリジニル、3-フェナントリジニル、4-フェナントリジニル、6-フェナントリジニル、7-フェナントリジニル、8-フェナントリジニル、9-フェナントリジニル、10-フェナントリジニル、1-アクリジニル、2-アクリジニル、3-アクリジニル、4-アクリジニル、9-アクリジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-オキサジアゾリル、5-オキサジアゾリル、3-フラザニル、2-チエニル、3-チエニル、2-メチルピロール-1-イル、2-メチルピロール-3-イル、2-メチルピロール-4-イル、2-メチルピロール-5-イル、3-メチルピロール-1-イル、3-メチルピロール-2-イル、3-メチルピロール-4-イル、3-メチルピロール-5-イル、2-tert-ブチルピロール-4-イル、3-(2-フェニルプロピル)ピロール-1-イル、2-メチル-1-インドリル、4-メチル-1-インドリル、2-メチル-3-インドリル、4-メチル-3-インドリル、2-tert-ブチル-1-インドリル、4-tert-ブチル-1-インドリル、2-tert-ブチル-3-インドリル、4-tert-ブチル-3-インドリル、1-ジベンゾフラニル、2-ジベンゾフラニル、3-ジベンゾフラニル、4-ジベンゾフラニル、1-ジベンゾチオフェニル、2-ジベンゾチオフェニル、3-ジベンゾチオフェニル、4-ジベンゾチオフェニル、1-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、2-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、3-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、4-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、5-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、6-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、7-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、8-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、9-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、10-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、1-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、2-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、3-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、4-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、5-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、6-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、7-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、8-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、9-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、10-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、1-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、2-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、3-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、4-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、5-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、6-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、7-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、8-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、9-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、10-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、1-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、2-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、3-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、4-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、5-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、6-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、7-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、8-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、9-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、10-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、1-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、2-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、3-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、4-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、5-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、1-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、2-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、3-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、4-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、5-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、6-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、7-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、8-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、9-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、10-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、2-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、6-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、7-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、8-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、9-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、2-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、6-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、7-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、8-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、9-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、2-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、6-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、7-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、8-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、9-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、2-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、6-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、7-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、8-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、9-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、1-シラフルオレニル、2-シラフルオレニル、3-シラフルオレニル、4-シラフルオレニル、1-ゲルマフルオレニル、2-ゲルマフルオレニル、3-ゲルマフルオレニル、4-ゲルマフルオレニル、1-ジベンゾセレノフェニル、2-ジベンゾセレノフェニル、3-ジベンゾセレノフェニル、4-ジベンゾセレノフェニル等を含み得る。「ヘテロアリール(エン)」は、電子的特性を持つヘテロアリール(エン)と正孔的特性を持つヘテロアリール(エン)とに分類することができる。電子的特性を持つヘテロアリール(エン)は、親核が比較的電子に富む置換基、例えば、置換若しくは無置換ピリジル、置換若しくは無置換ピリミジニル、置換若しくは無置換トリアジニル、置換若しくは無置換キナゾリニル、置換若しくは無置換キノキサリニル、又は置換若しくは無置換キノリル等である。正孔特性を持つヘテロアリール(エン)は、親核が比較的電子に乏しい置換基、例えば、置換若しくは無置換カルバゾリル、置換若しくは無置換ジベンゾフラニル、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェニル等である。更に「ハロゲン」には、F、Cl、Br、及びIが含まれる。
【0018】
加えて、「オルト(o-)」、「メタ(m-)」、及び「パラ(p-)」は、それぞれ置換基の相対位置を表す接頭辞である。オルトは、2つの置換基が互いに隣接することを示し、例えば、ベンゼン誘導体の2つの置換基が1位と2位又は2位と3位を占めるとき、それは、オルト位と呼ばれる。メタは、2つの置換基が1位と3位にあることを示し、例えば、ベンゼン誘導体の2つの置換基が1位と3位を占めるとき、それは、メタ位と呼ばれる。パラは、2つの置換基が1位と4位にあることを示し、例えば、ベンゼン誘導体の2つの置換基が1位と4位を占めるとき、それは、パラ位と呼ばれる。
【0019】
特に明記しない限り、置換基は、置換基が限定なしに置換することができる場所で水素と置き換わっていてもよく、ある種の官能基における2個以上の水素原子が置換基でそれぞれ置き換わっている場合、各置換基は、互いに同じものであっても異なっていてもよい。ある種の官能基に関して置換することができる置換基の最大数は、官能基を形成する各原子に関して置換できる原子価の総数であってよい。本明細書において、置換アリール、置換アレーン、置換ヘテロアリール、置換ヘテロアレーン、及び置換アルキルは、それぞれ独立して、重水素;ハロゲン;シアノ;カルボキシル;ニトロ;ヒドロキシ;ホスフィンオキシド;無置換であるか又は重水素で置換された(C1~C30)アルキル;ハロ(C1~C30)アルキル;(C2~C30)アルケニル;(C2~C30)アルキニル;(C1~C30)アルコキシ;(C1~C30)アルキルチオ;(C3~C30)シクロアルキル;(C3~C30)シクロアルケニル;(3~7員)ヘテロシクロアルキル;(C6~C30)アリールオキシ;(C6~C30)アリールチオ;無置換であるか又は(C6~C30)アリールで置換された(3~30員)ヘテロアリール;無置換であるか又は(3~30員)ヘテロアリールで置換された(C6~C30)アリール;トリ(C1~C30)アルキルシリル;トリ(C6~C30)アリールシリル;ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル;(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル;(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香環との縮合環基;アミノ;モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ;モノ-又はジ-(C2~C30)アルケニルアミノ;モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ;モノ-又はジ-(3~30員)ヘテロアリールアミノ;(C1~C30)アルキル(C2~C30)アルケニルアミノ;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ;(C1~C30)アルキル(3~30員)ヘテロアリールアミノ;(C2~C30)アルケニル(C6~C30)アリールアミノ;(C2~C30)アルケニル(3~30員)ヘテロアリールアミノ;(C6~C30)アリール(3~30員)ヘテロアリールアミノ;(C1~C30)アルキルカルボニル;(C1~C30)アルコキシカルボニル;(C6~C30)アリールカルボニル;ジ(C6~C30)アリールボロニル;ジ(C1~C30)アルキルボロニル;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル;(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル;及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つで置換されている。本開示の一実施形態によれば、置換アリールなどは、それぞれ独立して、無置換であるか又は重水素で置換された(C1~C30)アルキル及び(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つで置換されている。本開示の別の実施形態によれば、置換アリールなどは、それぞれ独立して、重水素、無置換であるか又は重水素で置換された(C1~C10)アルキル、及び(C6~C20)アリールからなる群から選択される少なくとも1つで置換されている。例えば、置換アリールなどは、それぞれ独立して、重水素、メチル、tert-ブチル、無置換であるか若しくは重水素で置換されたイソプロピル、重水素で置換されたメチル、フェニル、ナフチル、シクロヘキシル、ビシクロ(2,2,1)ヘプチル、又はアダマンチルからなる群から選択される少なくとも1つで置換されていてもよい。
【0020】
置換基が本明細書での化学式又は化合物構造において示されていない場合、それは置換され得る全ての位置が、水素又は重水素であることを意味し得る。すなわち、重水素の場合には、それは、水素の同位体であり、いくつかの水素原子は、同位体の重水素であってよく、この場合に、重水素の含有量は、0%~100%であってよい。置換基が本明細書での化学式又は化合物構造において示されていない場合、重水素が明白に排除されない場合には、例えば重水素の含有量が0%で水素の含有量が100%でない限り、全ての置換基が水素でない限り、水素及び重水素は、化合物中で一緒に使用することができる。重水素は、水素の同位体の1つであり、その原子核として、1つのプロトンと1つの中性子とからなる、重陽子を有する元素である。重水素は水素-2と表すことができ、元素記号D又は2Hと表記することができる。同位体は、同じ原子番号(Z)であるが異なる質量数(A)の原子を指し、また同じ数のプロトンを有するが異なる数の中性子を有する元素として解釈することもできる。
【0021】
本開示における用語「それらの組み合わせ」は、関連するリストから当業者によって想定され得る公知の若しくは化学的に安定した配置を形成するための、関連するリストからの1つ以上の要素の組み合わせを指す。例えば、アルキルと重水素とは、部分的に若しくは完全に重水素化されたアルキル基を形成するために組み合わせることができ;ハロゲンとアルキルとは、ハロゲン化アルキル置換基を形成するために組み合わせることができ;ハロゲンと、アルキルと、アリールとは、ハロゲン化アリールアルキルを形成するために組み合わせることができる。例えば、置換基の好ましい組み合わせには、水素若しくは重水素である50原子まで、又は水素若しくは重水素ではない40原子まで、又は水素若しくは重水素ではない30原子までが含まれる。或いはまた、多くの場合に、置換基の好ましい組み合わせには、水素若しくは重水素ではない20原子までが含まれ得る。
【0022】
以下では、式1によって表される化合物をより詳細に説明する。
【0023】
式1において、R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表すか、或いは互いに結合して環を形成していてもよい。本開示の一実施形態によれば、R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C1~C10)アルキル又は置換若しくは無置換(C6~C20)アリールを表す。本開示の別の実施形態によれば、R及びRは、それぞれ独立して、無置換(C1~C10)アルキル又は無置換(C6~C20)アリールを表す。本開示の別の実施形態によれば、R及びRは、それぞれ独立して、無置換であるか若しくは重水素で置換されたメチル、無置換であるか若しくは重水素で置換されたエチル、又は無置換であるか若しくは重水素で置換されたフェニルを表す。例えば、R及びRは、それぞれ独立して、メチル、エチル、フェニルなどであってよい。
【0024】
式1において、R11~R13は、それぞれ独立して、水素、重水素、又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリールを表すか、又は式1-1によって表されるが、R12とR13のうちの少なくとも1つが式1-1によって表されることを条件とする。本開示の一実施形態によれば、R11~R13は、それぞれ独立して、水素、又は置換若しくは無置換(C6~C20)アリールを表すか、又は式1-1によって表される。本開示の別の実施形態によれば、R11~R13は、それぞれ独立して、水素又は無置換(C6~C20)アリールを表すか、又は式1-1によって表される。本開示の別の実施形態によれば、R11~R13は、それぞれ独立して、水素、無置換であるか若しくは重水素で置換されたメチル、又は無置換であるか若しくは重水素で置換されたフェニルを表すか、又は式1-1によって表される。例えば、R11~R13は、それぞれ独立して、水素、フェニル等であってよく、或いは式1-1によって表され得る。
【0025】
式1-1において、Arは、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表す。本開示の一実施形態によれば、Arは、置換若しくは無置換(C6~C20)アリール、又は置換若しくは無置換(5~20員)ヘテロアリールを表す。本開示の別の実施形態によれば、Arは、無置換であるか、又は重水素と無置換であるか又は重水素で置換された(C1~C10)アルキルとのうちの少なくとも1つで置換された(C6~C20)アリール;又は無置換(5~20員)ヘテロアリールを表す。例えば、Arは、無置換であるか、又はメチル、無置換であるか又は重水素で置換されたイソプロピル、重水素で置換されたメチル、シクロヘキシル、ビシクロ(2,2,1)ヘプチル、又はアダマンチルで置換されたフェニル;ナフチル;無置換であるか又はメチル、tert-ブチル、又は重水素で置換されたメチルで置換されたビフェニル;ジメチルフルオレニル;ターフェニル;ジベンゾフラニル;ジベンゾチオフェニルなどであってよい。
【0026】
式1-1において、R21及びR25は、それぞれ独立して、水素、重水素、無置換(C1~C30)アルキル、又はそれらの組み合わせを表す。本開示の一実施形態によれば、R21及びR25は、それぞれ独立して、水素、又は置換若しくは無置換(C1~C10)アルキルを表す。本開示の別の実施形態によれば、R21及びR25は、それぞれ独立して、水素、又は無置換であるか若しくは重水素で置換された(C1~C10)アルキルを表す。例えば、R21及びR25は、それぞれ独立して、水素、メチル、重水素で置換されたメチルなどであってよい。
【0027】
式1-1において、R22~R24は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表すが、R22~R24のうちの少なくとも1つはオルト形態の連結基を含む置換若しくは無置換(C12~C30)アリールを表すことを条件とする。本開示の一実施形態によれば、R22~R24は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換(C1~C10)アルキル、又はオルト形態の連結基を含む置換若しくは無置換(C12~C20)アリールを表す。本開示の別の実施形態によれば、R22~R24は、それぞれ独立して、水素、無置換(C1~C10)アルキル、又はオルト形態の連結基を含む無置換(C12~C20)アリールを表す。例えば、R22~R24は、それぞれ独立して、水素、メチル等であってよく、或いはオルト形態の連結基を含むビフェニル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、ターフェニル等であってよい。
【0028】
連結基において、環Aは、置換若しくは無置換(C6~C24)アレーン環を表す。本開示の一実施形態によれば、環Aは、置換若しくは無置換(C6~C12)アレーン環を表す。本開示の別の実施形態によれば、環Aは、無置換(C6~C12)アレーン環を表す。例えば、環Aは、ベンゼン環、ナフタレン環等であってよい。
【0029】
式1において、a及びcは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、bは1~2の整数を表し、a~cが2以上の整数を表す場合には、各R11~各13は、同じであっても異なっていてもよい。
【0030】
本開示の一実施態様によれば、式1は、以下の式2~4のうちの少なくとも1つによって表される:
【化4】
【0031】
式2~4において、
c’は、1~3の整数を表し、c’が2以上の整数である場合には、R13のそれぞれは、同じであっても異なっていてもよく;
、R、R11~R13、R21~R25、Ar、a、及びbは式1で定義されている通りである。
【0032】
本開示の一実施形態によれば、式1において、連結基aは、以下の構造のいずれか1つによって表される。
【化5】
【0033】
これらの構造において、水素は、少なくとも1つの重水素で置換されていてもよい。
【0034】
本開示の一実施形態によれば、式1において、オルト形態の連結基aを含む置換若しくは無置換(C12~C30)アリールは、以下の構造のいずれか1つによって表される。
【化6】
【0035】
これらの構造において、水素は、重水素、及び無置換であるか少なくとも1つの重水素で置換されたメチルのうちの少なくとも1つで置換されていてもよい。
【0036】
式1で表される化合物は、以下の化合物からなる群から選択され得るが、それらに限定されない。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0037】
これらの構造において、Phはフェニル基を表す。
【0038】
本開示による式1によって表される化合物は、以下の反応スキーム1~4を参照して製造することができるが、これらに限定されない。
[反応スキーム1]
【化15】
[反応スキーム2]
【化16】
[反応スキーム3]
【化17】
[反応スキーム4]
【化18】
【0039】
反応スキーム1~4において、R、R、R11~R13、R21~R25、Ar、及びa~cは、式1に定義される通りである。
【0040】
本開示の有機エレクトロルミネセント化合物と組み合わせて使用することができるホスト化合物の例としては、以下の式11~13のいずれか1つで表される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【化19】
【0041】
式11~13において、
Maは、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
Laは、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Aは、S、O、N(Re)又はC(Rf)(Rg)を表し;
Ra~Rdは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルキニル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C6~C60)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノを表すか;或いは隣接する置換基に連結されて、置換若しくは無置換の、単環式若しくは多環式の(3~30員)脂環式環若しくは芳香環又はそれらの組み合わせを形成していてもよく、前記形成された脂環式環若しくは芳香環又はそれらの組み合わせは、N、O、及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよく;
Re~Rgは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか;或いはRf及びRgは、互いに連結して、置換若しくは無置換の、単環式若しくは多環式の(3~30員)脂環式環若しくは芳香環又はそれらの組み合わせを形成していてもよく、前記形成された脂環式環若しくは芳香環又はそれらの組み合わせは、N、O、及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよく;
w~yは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、zは、1~3の整数を表し;w~zが2以上の整数である場合には、各Ra~各Rdは同じであっても異なっていてもよく;
ヘテロアリール(エン)は、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む。
【0042】
本開示による式11~13のいずれか1つによって表される化合物は、当業者に公知の合成方法により製造することができるが、これらに限定されない。
【0043】
本開示は、式1の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料、及び有機エレクトロルミネセント材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供する。
【0044】
本開示は、式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物と、上の式11~13のいずれか1つによって表される化合物とを含む有機エレクトロルミネセント材料、及び有機エレクトロルミネセント材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供する。
【0045】
有機エレクトロルミネセント材料は、正孔輸送材料、正孔補助材料、電子阻止材料、発光材料、又は発光補助材料であってよく、具体的には、青色発光有機エレクトロルミネセントデバイスの正孔輸送材料、正孔補助材料、電子阻止材料、発光材料、又は発光補助材料であってよく、2つ以上の正孔輸送層が存在する場合には、それは発光層に隣接する正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料(正孔補助材料)であってよい。
【0046】
有機エレクトロルミネセント材料は、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物のみから構成されていてもよく、また有機エレクトロルミネセント材料に含まれる従来の材料を更に含んでいてもよい。
【0047】
本開示の正孔輸送帯は、正孔輸送層、正孔注入層、電子阻止層、及び正孔補助層からなる少なくとも1つの層から構成されていてもよく、各層は、複数の層として更に構成されていてもよい。
【0048】
本開示の一実施形態によれば、正孔輸送帯は、正孔輸送層を含む。加えて、正孔輸送帯は、正孔輸送層を含んでいてもよく、また正孔注入層、電子阻止層、及び正孔補助層のうちの少なくとも1つを更に含み得る。
【0049】
本開示による有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間の少なくとも1つの有機層と、を含み、有機層は、式1の少なくとも1種の有機エレクトロルミネセント化合物を含み得る。第1の電極及び第2の電極の一方は、アノードであってよく、他方はカソードであってよい。加えて、有機層は、発光層を含んでいてもよく、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子輸送層、電子緩衝層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、及び電子阻止層から選択される少なくとも1つの層を更に含み得る。
【0050】
本開示による式1の有機エレクトロルミネセント化合物は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子輸送層、電子緩衝層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、及び電子阻止層のうちの少なくとも1つの層に含まれ得る。これは、好ましくは、正孔輸送層、正孔補助層、電子阻止層、発光補助層、及び発光層のうちの少なくとも1つに含まれ得る。2つ以上の正孔輸送層が存在する場合、それは、それらの少なくとも1つにおいて使用され得る。例えば、正孔輸送層において使用される場合、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物は、正孔輸送材料として含まれ得る。加えて、発光層において使用される場合、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物は、ホスト材料として含まれ得る。
【0051】
発光層は、少なくとも1種のホストと、少なくとも1種のドーパントとを含み得る。必要に応じて、発光層は、共ホスト材料、すなわち2種以上のホスト材料を含み得る。本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を共ホスト材料として使用することができる。
【0052】
本明細書で使用されるホストは、リン光性ホスト化合物又は蛍光性ホスト化合物であってよく、これらのホスト化合物は、特に限定されない。
【0053】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれるドーパントは、少なくとも1種のリン光性又は蛍光性ドーパントであってよく、好ましくはリン光性ドーパントである。本開示による有機エレクトロルミネセントデバイスに適用されるリン光性ドーパント材料は、特に限定されないが、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)及び白金(Pt)の金属化錯体化合物から選択することができ、好ましくはイリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)及び白金(Pt)のオルト金属化錯体化合物から選択することができ、更により好ましくはオルト金属化イリジウム錯体化合物であってよい。
【0054】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれるドーパントは、以下の式101によって表される化合物であってよいが、それに限定されない。
【化20】
【0055】
式101において、
Lは、以下の構造1~3:
【化21】
から選択されるいずれか1つであり;
100~R103は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、無置換であるか、又は重水素及び/若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、シアノ、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール或いは置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシを表すか;或いは隣接する置換基と連結して、ピリジンと一緒に環、例えば置換若しくは無置換のキノリン、イソキノリン、ベンゾフロピリジン、ベンゾチエノピリジン、インデノピリジン、ベンゾフロキノリン、ベンゾチエノキノリン又はインデノキノリン環を形成していてもよく;
104~R107は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、無置換であるか重水素及び/若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、シアノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシを表すか;或いは隣接する置換基と連結して置換若しくは無置換の環、例えば、ベンゼンと一緒に、置換若しくは無置換の、ナフタレン、フルオレン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、インデノピリジン、ベンゾフロピリジン、又はベンゾチエノピリジンを形成していてもよく;
201~R220は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、無置換であるか又は重水素及び/若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリールを表すか;或いは隣接する置換基と連結して置換若しくは無置換環を形成してもよく;
sは、1~3の整数を表す。
【0056】
ドーパント化合物の具体的な例は、以下の通りであるが、それらに限定されない。
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【0057】
更なる態様では、本開示は、有機エレクトロルミネセントデバイスを製造するための組成物を提供する。この組成物は、好ましくは、有機エレクトロルミネセントデバイスの正孔輸送層、正孔補助層、電子阻止層、発光層、又は発光補助層を作製するための組成物であり、本開示の化合物を含む。2つ以上の正孔輸送層が存在する場合、本開示の化合物は、発光層に隣接した正孔輸送層(正孔補助層)を作製するための組成物に含まれ得る。
【0058】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスは、アノード;カソード;及びアノードとカソードとの間の少なくとも1つの有機層を含み、有機層は、発光層を含むことができ、また正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子輸送層、電子緩衝層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、及び電子阻止層から選択される少なくとも1つの層を更に含むことができる。層のそれぞれは、複数の層として更に構成され得る。
【0059】
アノード及びカソードは、それぞれ透明導電性材料、或いは半透過性又は反射性導電性材料で形成され得る。有機エレクトロルミネセントデバイスは、アノード及びカソードを形成する材料に応じて、上面発光型、底面発光型、又は両面発光型であってよい。加えて、正孔注入層は、p型ドーパントで更にドープされていてもよく、電子注入層は、n型ドーパントで更にドープされていてもよい。
【0060】
有機層は、アリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を更に含み得る。
【0061】
更に、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、有機層は、周期表の第1族の金属、第2族の金属、第4周期の遷移金属、第5周期の遷移金属、ランタニド、及びd-遷移元素の有機金属からなる群から選択される少なくとも1つの金属、又は金属を含む少なくとも1つの錯体化合物を更に含み得る。
【0062】
加えて、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスは、本開示の化合物に加えて、この分野において公知の青色、赤色、又は緑色エレクトロルミネセント化合物を含む少なくとも1つの発光層を更に含むことによって白色光を発し得る。必要に応じて、それは、黄色又はオレンジ色発光層を更に含み得る。
【0063】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、好ましくは、カルコゲナイド層、金属ハロゲン化物層、及び金属酸化物層からなる群から選択される少なくとも1つの層(本明細書では以下、「表面層」)が、一方又は両方の電極の内面上に配置され得る。具体的には、ケイ素又はアルミニウムのカルコゲナイド(酸化物を含む)層は、好ましくは、エレクトロルミネセント媒体層のアノード表面上に配置され、金属ハロゲン化物層又は金属酸化物層は、好ましくは、エレクトロルミネセント媒体層のカソード表面上に配置される。そのような表面層は、有機エレクトロルミネセントデバイスに運転安定性を提供する。好ましくは、カルコゲナイドには、SiO(1≦X≦2)、AlO(1≦X≦1.5)、SiON、SiAlONなどが含まれ、金属ハロゲン化物には、LiF、MgF、CaF、希土類金属フッ化物などが含まれ、金属酸化物には、CsO、LiO、MgO、SrO、BaO、CaOなどが含まれる。
【0064】
正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層又はこれらの組み合わせをアノードと発光層の間に使用することができる。正孔注入層は、アノードから正孔輸送層又は電子阻止層への正孔注入障壁(又は正孔注入電圧)を下げるために多層であってよく、この場合、多層のそれぞれでは2つの化合物が同時に使用され得る。正孔輸送層又は電子阻止層も多層であってよい。
【0065】
電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層又はこれらの組み合わせを発光層とカソードの間に使用することができる。電子緩衝層は、電子の注入を制御し、且つ発光層と電子注入層の間の界面特性を改善するために多層であってよく、この場合、多層のそれぞれは、2つの化合物を同時に使用し得る。正孔阻止層又は電子輸送層も多層であってよく、この場合、多層のそれぞれは、複数の化合物を使用し得る。
【0066】
発光補助層は、アノードと発光層の間又はカソードと発光層の間に配置され得る。発光補助層がアノードと発光層の間に配置される場合、それは、正孔注入及び/又は正孔輸送を促進するために又は電子のオーバーフローを防止するために使用することができる。発光補助層をカソードと発光層の間に配置する場合、それは、電子注入及び/又は電子輸送を促進するために、又は正孔のオーバーフローを防止するために使用することができる。また、正孔補助層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層の間に配置することができ、正孔輸送速度(又は正孔注入速度)を促進又は阻止するのに有効でありことができ、これにより電荷のバランスを制御することができる。更に、電子阻止層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層の間に配置することができ、発光層からの電子のオーバーフローを阻止することによって励起子を発光層内に閉じ込めて、発光漏れを防止することができる。有機エレクトロルミネセントデバイスが2つ以上の正孔輸送層を含む場合、更に含まれる正孔輸送層は、正孔補助層又は電子阻止層として使用され得る。発光補助層、正孔補助層又は電子阻止層は、有機エレクトロルミネセントデバイスの効率及び/又は寿命を改善する効果を有し得る。
【0067】
加えて、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、電子輸送化合物と還元性ドーパントとの混合領域、又は正孔輸送化合物と酸化性ドーパントとの混合領域は、電極の対の少なくとも1つの表面上に配置され得る。この場合に、電子輸送化合物は、アニオンに還元され、こうして混合領域から発光媒体に電子を注入する及び輸送することがより容易になる。更に、正孔輸送化合物は、カチオンに酸化され、その結果混合領域から発光媒体に正孔を注入及び輸送することがより容易になる。好ましくは、酸化性ドーパントは、種々のルイス酸及びアクセプター化合物を含み、還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの混合物を含む。還元性ドーパント層は、2つ以上の発光層を有し、白色光を発する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造するために電荷生成層として用いられ得る。
【0068】
本開示による有機エレクトロルミネセント材料は、白色有機発光デバイスのための発光材料として使用され得る。白色有機発光デバイスは、R(赤)、G(緑)若しくはYG(黄緑)、及びB(青)発光パーツの配置、又は色変換材料(CCM)方法等に応じて、サイドバイサイド構造又は積み重ね構造などの様々な構造を有するように提案されてきた。本開示による有機エレクトロルミネセント材料は、量子ドット(QD)を含む有機エレクトロルミネセントデバイスにも使用され得る。
【0069】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスの各層を形成するために、真空蒸発、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング法等などの乾式膜形成法、又はインクジェット印刷、ノズル印刷、スロットコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、フローコーティング法等などの湿式膜形成法を使用することができる。
【0070】
湿式製膜法を用いる場合、各層を形成する材料をエタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等などの任意の適切な溶媒に溶解又は拡散させることによって薄膜を形成することができる。各層を形成する材料を溶解又は拡散させることができ、製膜能力に問題がない場合、溶媒は、任意の溶媒であってよい。
【0071】
本開示の一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスは、タンデム構造を有する有機エレクトロルミネセントデバイスであってよい。一実施形態によるタンデム有機エレクトロルミネセントデバイスの場合、シングル発光ユニット(発光部分)は、2つ以上の発光ユニットが電荷生成層によって連結されている構造で形成され得る。有機エレクトロルミネセントデバイスは、基板上で互いに向かいあっている第1の電極及び第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に積み重ねられており且つ特定の波長範囲で発光する発光層と、を有する複数の2つ以上の発光ユニット、例えば3つ以上の発光ユニットを含み得る。有機エレクトロルミネセントデバイスは、複数の発光ユニットを含むことができ、各発光ユニットは、正孔輸送帯、発光層、及び電子輸送帯を含み得る。正孔輸送帯は、正孔注入層及び正孔輸送層を含み得る。電子輸送帯は、電子輸送層及び電子注入層を含み得る。一実施形態によれば、発光ユニットは、3つ以上の発光層を含み得る。複数の発光ユニットは、同じ色又は異なる色を発し得る。その上、1つの発光ユニットは、1つ以上の発光層を含むことができ、複数の発光層は、同じ又は異なる色のものであってよい。有機エレクトロルミネセントデバイスは、各発光ユニットの間に配置された1つ以上の電荷生成層を含み得る。電荷生成層は、電圧が印加されたときに正孔及び電子が生成する層を指す。3つ以上の発光ユニットが存在する場合、電荷生成層は各発光ユニットの間に配置することができる。この場合、複数の電荷生成層は、互いに同じものであっても異なっていてもよい。電荷生成層を発光ユニットの間に配置することによって、電流効率を各発光ユニットにおいて高めることができ、また電荷をスムーズに分配することができる。具体的には、電荷生成層は、2つの隣接するスタックの間に設けられ、スタックの間に配置された分離内部電極なしにアノードとカソードとの対のみを使用してタンデム有機エレクトロルミネセントデバイスを駆動させるのに役立つことができる。
【0072】
電荷生成層は、N型電荷生成層とP型電荷生成層とから構成されていてもよく、N型電荷生成層には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルカリ金属及びアルカリ土類金属の化合物がドープされていてもよい。アルカリ金属は、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Yb、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つを含むことができ、アルカリ土類金属は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つを含むことができる。P型電荷生成層は、P型ドーパントでドープされた金属又は有機材料から構成され得る。例えば、金属は、Al、Cu、Fe、Pb、Zn、Au、Pt、W、In、Mo、Ni、及びTiからなる群から選択される1種以上の合金製であってよい。その上、一般に使用される材料は、P型ドーパント及びP型ドープ有機材料に使用されるホスト材料として使用され得る。
【0073】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスの製造方法は限定されず、以下に記載のデバイス実施例の製造方法は、例にすぎず、それらに限定されない。当業者は、既存の技術に頼ることによって以下に記載のデバイス実施例の製造方法を合理的に修正することができる。例えば、第1の化合物と第2の化合物との混合比に対する具体的な制限はなく、当業者は、既存の技術に応じて一定の範囲内でそれを合理的に選択することができる。例えば、発光層材料の総重量を基準として、第1の化合物及び第2の化合物の総重量は、発光層の総重量の99.5%~80.0%を占め、第1の化合物と第2の化合物との重量比は、1:99~99:1であり、第1の化合物と第2の化合物との重量比は、20:80~99:1であってよく、或いは第1の化合物と第2の化合物との重量比は、50:50~90:10であってよい。デバイスの製造において、2種以上のホスト材料と発光材料とを共蒸着させることによって発光層を形成する場合、2種以上のホスト材料及び発光材料が、異なる蒸発源にそれぞれ入れられ、共蒸着させられて発光層を形成することができ、或いは2種以上のホスト材料の予混合された混合物が同じ蒸発源上に置かれ、次いで別の蒸発源上に置かれた発光材料と共蒸着させられて発光層を形成することができる。この予混合法は、蒸発源を更に節約することができる。一実施形態によれば、本開示の第1の化合物、第2の化合物、及び発光材料がそれぞれ異なる蒸発源に入れられ、共蒸着させられて発光層を形成することができ、或いは第1の化合物と第2の化合物との予混合された混合物が同じ蒸発源に入れられ、次いで、別の蒸発源に入れられた発光材料と共蒸着させられて発光層を形成することができる。
【0074】
加えて、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスを用いることにより、表示システム、例えばスマートフォン、タブレット、ノートブック、PC、テレビ、又は自動車のための表示システム、或いは照明システム、例えば屋外又は屋内照明システムを製造することが可能である。
【0075】
以下では、本開示による有機エレクトロルミネセント化合物の調製方法及びそれらの特性並びに本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイス(OLED)の発光特性が、本開示の代表的な化合物に関して詳細に説明されるが、本開示は、以下の実施例に限定されない。
【実施例0076】
実施例1:化合物C-1の調製
【化28】
化合物1-1(10g、30.94mmol)、化合物1-2(13.53g、34.03mmol)、Pd(dba)(1.42g、1.55mmol)、NaOtBu(5.95g、61.88mmol)、S-Phos(1.27g、3.094mmol)、及びトルエン(155mL、0.2M)をフラスコに加え、溶解し、150℃で2時間還流した。反応の終了後、有機層を酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムを使用して残存水分を除去した後、残留物を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-1(4.6g、収率:23%)を得た。
【0077】
【表1】
【0078】
実施例2:化合物C-16の調製
【化29】
化合物2-1(10.7g、22mmol)、化合物2-2(6g、24mmol)、Pd(dba)(1.1g、1.2mmol)、NaOtBu(7g、73mmol)、P(t-Bu)(1.2mL、2.4mmol)、及びトルエン(120mL、0.2M)をフラスコに加え、溶解し、120℃で1時間還流した。反応の終了後、有機層を酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムを使用して残存水分を除去した後、残留物を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-16(8.4g、収率:52%)を得た。
【0079】
【表2】
【0080】
実施例3:化合物C-13の調製
【化30】
化合物3-1(10g、21mmol)、化合物3-2(6g、23mmol)、Pd(dba)(1g、1.1mmol)、NaOtBu(6.6g、68mmol)、P(t-Bu)(1.1mL、2.2mmol)、及びトルエン(115mL、0.2M)をフラスコに加え、溶解し、120℃で1時間還流した。反応の終了後、有機層を酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムを使用して残存水分を除去した後、残留物を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-13(5.8g、収率:38%)を得た。
【0081】
【表3】
【0082】
実施例4:化合物C-2の調製
【化31】
化合物4-1(10g、30.94mmol)、化合物4-2(12.30g、30.94mmol)、Pd(dba)(1.42g、1.55mmol)、NaOtBu(5.95g、61.88mmol)、s-Phos(1.27g、3.094mmol)、及びトルエン(155mL、0.2M)をフラスコに加え、溶解し、150℃で2時間還流した。反応の終了後、有機層を酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムを使用して残存水分を除去した後、残留物を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-2(3.1g、収率:16%)を得た。
【0083】
【表4】
【0084】
実施例5:化合物C-7の調製
【化32】
化合物5-1(3.94g、25.07mmol)、化合物5-2(11g、22.56mmol)、Pd(dba)(1.15g、1.254mmol)、NaOtBu(7.23g、75.21mmol)、P(t-Bu)(507mg、2.51mmol)、及びトルエン(125mL、0.2M)をフラスコに加え、溶解し、120℃で12時間還流した。反応の終了後、有機層を酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムを使用して残存水分を除去した後、残留物を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-7(7.8g、収率:61%)を得た。
【0085】
【表5】
【0086】
実施例6:化合物C-8の調製
【化33】
化合物6-1(7.72g、45.11mmol)、化合物6-2(11g、22.56mmol)、Pd(dba)(1.03g、1.128mmol)、NaOtBu(6.5g、67.68mmol)、P(t-Bu)(456mg、2.256mmol)、及びトルエン(113mL、0.2M)をフラスコに加え、溶解し、120℃で12時間還流した。反応の終了後、有機層を酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムを使用して残存水分を除去した後、残留物を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-8(11.4g、収率:87%)を得た。
【0087】
【表6】
【0088】
実施例7:化合物C-3の調製
【化34】
化合物1-1(10g、30.94mmol)、化合物1-7(11.46g、27.84mmol)、Pd(dba)(1.42g、1.55mmol)、NaOtBu(5.95g、61.88mmol)、P(t-Bu)(626mg、3.094mmol)、及びトルエン(155mL、0.2M)をフラスコに加え、溶解し、150℃で2時間還流した。反応の終了後、有機層を酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムを使用して残存水分を除去した後、残留物を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-3(10.3g、収率:51%)を得た。
【0089】
【表7】
【0090】
実施例8:化合物C-191の調製
【化35】
化合物8-1(8g、16.0mmol)、化合物8-2(5.10g、17.7mmol)、Pd(dba)(0.82g、0.09mmol)、NaOtBu(3.4g、35.40mmol)、s-Phos(2.0g、0.18mmol)、及びトルエン(90mL、0.2M)をフラスコに加え、溶解し、150℃で2時間還流した。反応の終了後、有機層を酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムを使用して残存水分を除去した後、残留物を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-191(7.1g、収率:57%)を得た。
【0091】
【表8】
【0092】
デバイス実施例1~7:本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を含むOLEDの製造
本開示に係るOLEDを作製した。OLED用のガラス基板上の透明電極酸化インジウムスズ(ITO)薄膜(10Ω/sq)(ジオマテック株式会社、日本)を、順次、アセトン及びイソプロピルアルコールでの超音波洗浄にかけ、次いで、イソプロピルアルコール中に保存した。次いで、ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。化合物HI-1を真空蒸着装置のセルに導入し、化合物HT-1を真空蒸着装置の別のセルに導入した。2つの材料を異なる速度で蒸発させ、化合物HI-1を、化合物HI-1及び化合物HT-1の総量を基準として3重量%のドーピング量で蒸着させてITO基板上に10nmの厚さを有する正孔注入層を形成した。次に、化合物HT-1を正孔注入層上に蒸着させて90nmの厚さを有する第1の正孔輸送層を形成した。次いで、下記の表1に示す化合物を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して蒸発させ、それにより第1の正孔輸送層に厚さ60nmの第2の正孔輸送層を形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、発光層を以下の通りその上に形成した:化合物PRHをホストとして真空蒸着装置の2つのセルに導入し、化合物D-39をドーパントとして別のセルに導入した。2つの材料を異なる速度で蒸発させ、ドーパントを、ホスト及びドーパントの総量を基準として2重量%のドープ量で蒸着させて、第2の正孔輸送上において、40nmの厚さを有する発光層を形成した。次に、発光層上に電子緩衝層として化合物HBLを5nmの厚さに蒸着させた。化合物ETL-1及び化合物EIL-1を50:50の重量比で蒸着して、電子緩衝層上において、30nmの厚さを有する電子輸送層を形成した。2nmの厚さを有する電子注入層として化合物EIL-1を電子輸送層上に蒸着させた後、80nmの厚さを有するAlカソードを、別の真空蒸着装置によって電子注入層上に蒸着させた。このようにして、OLEDを製造した。OLEDを製造するために使用された材料は、全て10-6トールでの真空昇華によって精製した。
【0093】
比較例1~3:本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を含まないOLEDの製造
下記の表1に示す化合物を第2の正孔輸送層の材料として使用したことを除いて、デバイス実施例1~7と同じ方法でOLEDを製造した。
【0094】
デバイス実施例1~7、及び比較例1~3において製造されたOLEDの、1,000ニットの輝度における駆動電圧、発光効率、及び発光色、並びに10,000ニットの輝度において輝度が100%から95%に減少するのに要した時間(寿命;T95)を下の表1に示す。
【0095】
【表9】
【0096】
上の表1に示されているように、本開示による化合物を第2の正孔輸送層中に含むOLEDは、本開示による化合物を含まないOLEDと比較して、同等レベルの駆動電圧特性及び発光効率特性を示し、また大幅に改善された寿命特性を示すことが確認できる。
【0097】
[表2]
デバイスの実施例及び比較例に用いた化合物を以下の表2に示す。
【0098】
【表10】
【0099】
【表11】
【外国語明細書】