IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メタウォーター株式会社の特許一覧

特開2024-110415処理システム、制御装置及び処理方法
<>
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図1
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図2
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図3
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図4
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図5
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図6
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図7
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図8
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図9
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図10
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図11
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図12
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図13
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図14
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図15
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図16
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図17
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図18
  • 特開-処理システム、制御装置及び処理方法 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110415
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】処理システム、制御装置及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 13/04 20060101AFI20240807BHJP
   C02F 11/06 20060101ALI20240807BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20240807BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G05B13/04
C02F11/06 Z ZAB
C02F1/00 V
F23G5/50 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024014189
(22)【出願日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2023014880
(32)【優先日】2023-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】小関 泰志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彬
【テーマコード(参考)】
3K062
4D059
5H004
【Fターム(参考)】
3K062AA24
3K062AB01
3K062AC01
3K062AC02
3K062CB03
3K062DA01
3K062DB01
4D059AA03
4D059BB01
4D059BB03
4D059BD01
4D059CA14
4D059EA06
4D059EA15
4D059EB06
4D059EB15
5H004GA21
5H004GB01
5H004HA01
5H004HA02
5H004HA03
5H004HB01
5H004HB02
5H004HB03
5H004JA00
5H004KB01
5H004KC27
(57)【要約】
【課題】運転制御に伴う作業者の負荷を抑制することを可能とする処理システム、制御装置及び処理方法を提供する。
【解決手段】設定値に応じた処理を実行する処理設備と、設定値を算出する制御装置と、を備える処理システムであって、制御装置は、回帰分析を実行する第1モデルを用いることにより、設定値の候補に応じた処理を処理設備が実行した場合の処理設備における第1推定値を算出し、ブラックボックス最適化を実行する第2モデルを用いることにより、第1推定値から設定値を算出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定値に応じた処理を実行する処理設備と、前記設定値を算出する制御装置と、を備える処理システムであって、
前記制御装置は、
回帰分析を実行する第1モデルを用いることにより、前記設定値の候補に応じた処理を前記処理設備が実行した場合の前記処理設備における第1推定値を算出し、
ブラックボックス最適化を実行する第2モデルを用いることにより、前記第1推定値から前記設定値を算出する、処理システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2モデルを用いることにより、前記第1推定値が目標値に近づく前記設定値の新たな候補を前記設定値として算出する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記第1推定値を算出する処理と前記設定値の新たな候補を算出する処理との実行回数または実行時間が第1条件を満たすまで、前記第1推定値を算出する処理と前記設定値の新たな候補を算出する処理とを繰り返し行い、
繰り返し算出された前記第1推定値のうち、第2条件を満たす前記第1推定値に対応する前記設定値の新たな候補を前記設定値として算出する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項4】
前記設定値は、前記処理設備において設定が行われる複数種類の前記設定値の組み合わせであり、
前記制御装置は、
前記第1モデルを用いることにより、前記組み合わせの候補に応じた処理を前記処理設備が実行した場合における前記第1推定値を算出し、
前記第2モデルを用いることにより、前記第1推定値が目標値に近づく前記組み合わせの新たな候補を算出し、
前記第1推定値を算出する処理と前記組み合わせの新たな候補を算出する処理との実行回数または実行時間が第3条件を満たすまで、前記第1推定値を算出する処理と前記組み合わせの新たな候補を算出する処理とを繰り返し行い、
繰り返し算出された前記第1推定値のそれぞれと、繰り返し算出された前記組み合わせの新たな候補のそれぞれとに基づいて、前記複数種類から1以上の種類を特定し、
前記第1推定値を算出する処理と前記組み合わせの新たな候補を算出する処理との実行回数が第4条件を満たすまで、前記1以上の種類に対応する前記設定値が変更された前記組み合わせの新たな候補を算出しながら、前記第1推定値を算出する処理と前記組み合わせの新たな候補を算出する処理とを再度繰り返し行い、
再度繰り返し算出された前記第1推定値のうち、第2条件を満たす前記第1推定値に対応する前記組み合わせの新たな候補を前記設定値として算出する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
繰り返し算出された前記第1推定値のそれぞれと、繰り返し算出された前記組み合わせの新たな候補のそれぞれとから、前記複数種類ごとに、各種類に対応する前記設定値の候補を変更することによって前記第2条件を満たす前記第1推定値が算出される確度を算出し、
前記複数種類のうち、算出した前記確度が第5条件を満たす種類を前記1以上の種類として特定する、請求項4に記載の処理システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記第1推定値が第2条件を満たすまで、前記第1推定値を算出する処理と前記設定値の新たな候補を算出する処理とを繰り返し行い、
前記第2条件を満たす前記第1推定値に対応する前記設定値の新たな候補を前記設定値として算出する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記処理設備において測定される測定値を取得し、
取得した前記測定値が第2条件を満たさない場合に、前記第1モデルを用いることにより、前記第1推定値を算出する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項8】
前記制御装置は、
第3モデルを用いることにより、第1タイミングにおける前記測定値から前記第1タイミングよりも後の第2タイミングにおける第1予測値を算出し、
算出した前記第1予測値が前記第2条件を満たさない場合に、前記第1モデルを用いることにより、前記第1推定値を算出する、請求項7に記載の処理システム。
【請求項9】
前記処理設備は、被焼却物を焼却する焼却設備である、請求項1に記載の処理システム。
【請求項10】
前記焼却設備は、
前記被焼却物を焼却する焼却炉と、
前記焼却炉の廃熱から回収されたエネルギーを少なくとも一部を用いることによって、前記被焼却物と前記焼却炉から排出された物質と前記焼却炉から排出された流体とのうちの少なくともいずれかを処理する処理装置と、を備え、
前記設定値は、前記処理装置において設定が行われる設定値である、請求項9に記載の処理システム。
【請求項11】
前記処理設備は、被処理水の処理を行う水処理設備である、請求項1に記載の処理システム。
【請求項12】
処理設備において設定を行う設定値を算出する制御装置であって、
前記制御装置は、
回帰分析を実行する第1モデルを用いることにより、前記設定値の候補に応じた処理を前記処理設備が実行した場合の前記処理設備における第1推定値を算出し、
ブラックボックス最適化を実行する第2モデルを用いることにより、前記第1推定値から前記設定値を算出する、制御装置。
【請求項13】
処理設備において設定を行う設定値を算出する処理をコンピュータに実行させる処理方法であって、
回帰分析を実行する第1モデルを用いることにより、前記設定値の候補に応じた処理を前記処理設備が実行した場合の前記処理設備における第1推定値を算出し、
ブラックボックス最適化を実行する第2モデルを用いることにより、前記第1推定値から前記設定値を算出する、処理をコンピュータに実行させる処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理システム、制御装置及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の処理設備(以下、単に処理設備とも呼ぶ)を自動制御するシステムが各種提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-048524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、処理設備では、例えば、運転制御に伴う作業者の負荷を抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における処理システムは、設定値に応じた処理を実行する処理設備と、前記設定値を算出する制御装置と、を備える処理システムであって、前記制御装置は、回帰分析を実行する第1モデルを用いることにより、前記設定値の候補に応じた処理を前記処理設備が実行した場合の前記処理設備における第1推定値を算出し、ブラックボックス最適化を実行する第2モデルを用いることにより、前記第1推定値から前記設定値を算出する。
【発明の効果】
【0006】
本発明における処理システムによれば、運転制御に伴う作業者の負荷を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施の形態における処理システム1000の構成図について説明する図である。
図2図2は、制御装置1のハードウエア構成を説明する図である。
図3図3は、第1の実施の形態における制御装置1の機能のブロック図である。
図4図4は、第1の実施の形態における推定処理の概略について説明する図である。
図5図5は、第1の実施の形態における推定処理の詳細について説明するフローチャート図である。
図6図6は、第1の実施の形態における推定処理の詳細について説明する図である。
図7図7は、第2の実施の形態における推定処理を説明するフローチャート図である。
図8図8は、第2の実施の形態における推定処理を説明する図である。
図9図9は、第3の実施の形態における推定処理を説明するフローチャート図である。
図10図10は、第4の実施の形態における制御装置1の機能のブロック図である。
図11図11は、第4の実施の形態における学習処理を説明するフローチャート図である。
図12図12は、第4の実施の形態における推定処理を説明するフローチャート図である。
図13図13は、第4の実施の形態における推定処理を説明する図である。
図14図14は、第4の実施の形態における推定処理を説明する図である。
図15図15は、処理システム1000の構成について説明する図である。
図16図16は、複数の教師データDPの具体例について説明する図である。
図17図17は、複数の教師データDEの具体例について説明する図である。
図18図18は、処理システム1000の第1の変形例における構成について説明する図である。
図19図19は、処理システム1000の第2の変形例における構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる説明は限定的な意味に解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に記載の主題を限定するものではない。また、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することがなく様々な変更や置換や改変をすることができる。また、異なる実施の形態を適宜組み合わせることができる。
【0009】
[第1の実施の形態における処理システム1000]
初めに、第1の実施の形態における処理システム1000の構成例について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における処理システム1000の構成図について説明する図である。
【0010】
処理システム1000は、図1に示すように、例えば、処理設備100と、処理設備100の監視を行う監視装置2と、監視装置2による監視結果に基づいて処理設備100における運転制御を行う制御装置1とを有する。図1に示す例において、制御装置1及び監視装置2は、例えば、ネットワークNWを介して互いにアクセスが可能である。以下、処理設備100が被焼却物を焼却する焼却設備100aであり、監視装置2が焼却設備100aにおける焼却状態の監視を行う場合について説明を行う。なお、以下、被焼却物が下水汚泥等の汚泥(以下、単に汚泥とも呼ぶ)であるものとして説明を行うが、焼却設備100aは、例えば、汚泥以外の被焼却物(例えば、ゴミ等)を焼却するものであってもよい。
【0011】
監視装置2は、例えば、電子回路を有する電子機器である。具体的に、監視装置2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを有する1以上の物理マシンや1以上の仮想マシンである。そして、監視装置2は、例えば、焼却設備100aに設置された測定装置(図示せず)によって測定されるPV(Process Variable)の実績値や、焼却設備100aにおいて設定されるSV(Set point Variable)の実績値や、焼却設備100aにおいて操作されるMV(Manipulated Variable)の実績値を取得することによって、焼却設備100aにおける汚泥の焼却状態を監視する。以下、焼却設備100aに設置された測定装置によって測定されるPVの実績値を実績PVまたは測定値とも呼ぶ。また、以下、焼却設備100aにおいて設定されるSVの実績値を実績SVとも呼ぶ。さらに、以下、焼却設備100aにおいて操作されるMVの実績値を実績MVとも呼ぶ。
【0012】
制御装置1は、例えば、電子回路を有する電子機器である。具体的に、制御装置1は、例えば、CPUとメモリとを有する1以上の物理マシンまたは1以上の仮想マシンである。そして、制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける介入対象に設定することが好ましいSVの推定値または焼却設備100aにおける介入対象において操作を行うことが好ましいMVの推定値を算出する処理(以下、介入対象算出処理とも呼ぶ)を行う。介入対象は、例えば、焼却設備100aを構成する複数の設備のうちの少なくともいずれかの設備である。以下、介入対象において設定を行うことが好ましいSVの推定値を介入対象SVまたは設定値とも呼ぶ。また、介入対象において操作を行うことが好ましいMVの推定値を介入対象MVとも呼ぶ。その後、制御装置1は、例えば、算出した介入対象SVに対応する設定や介入対象MVに対応する操作を監視装置2に指示することにより、焼却設備100aにおける汚泥の焼却状態を制御する。以下、介入対象算出処理において介入対象SVの算出が行われるものとして説明を行う。
【0013】
具体的に、本実施の形態における制御装置1は、例えば、回帰分析を実行するPV推定モデル(以下、第1モデルとも呼ぶ)を用いることにより、介入対象SVの候補(以下、単に介入対象SVの候補とも呼ぶ)に応じた処理を焼却設備100aが実行した場合の焼却設備100aにおける最適化対象の推定値(以下、第1推定値とも呼ぶ)を算出する。
【0014】
最適化対象は、例えば、焼却設備100aにおいて測定されるPV(実績PV)や、焼却設備100aにおける介入対象に設定することが好ましいSVや、焼却設備100aにおける介入対象において操作を行うことが好ましいMVや、これらのうちの少なくともいずれかを用いることによって算出される変数(以下、単に合成変数とも呼ぶ)である。すなわち、第1推定値は、例えば、焼却設備100aにおいて測定されるPVの予測値(以下、第1予測PVとも呼ぶ)や、焼却設備100aにおける介入対象に設定することが好ましいSVの推定値(介入対象SV)や、焼却設備100aにおける介入対象において操作を行うことが好ましいMVの推定値(介入対象MV)や、合成変数の推定値である。このように、最適化対象は、例えば、任意の変数を対象とすることが可能である。以下、第1推定値が第1予測PVであるものとして説明を行う。
【0015】
なお、PV推定モデルMEは、回帰分析の手法として、例えば、GDBT(勾配ブースティング木:Gradient Boosted Tree)を用いるものであってよい。また、PV推定モデルMEは、回帰分析の手法として、例えば、LSTM(Long Short Term Memory)等のDeep Learningを用いるものであってよい。
【0016】
そして、本実施の形態における制御装置1は、例えば、ブラックボックス最適化を実行する逆問題解析モデル(以下、第2モデルとも呼ぶ)を用いることにより、第1推定値から介入対象SVを算出する。
【0017】
なお、逆問題解析モデルは、ブラックボックス最適化の手法として、例えば、Grid SearchやRandom Searchやベイズ最適化等を用いるものであってよい。
【0018】
さらに具体的に、本実施の形態における制御装置1は、例えば、第1推定値が予め定められた目標値(以下、単に目標値とも呼ぶ)に近づく介入対象SVの新たな候補を介入対象SVとして算出する。
【0019】
すなわち、本実施の形態における制御装置1は、例えば、介入対象SVの候補から第1推定値を算出(推定)することが可能なPV推定モデルと、第1推定値から介入対象SVの新たな候補を算出することが可能な逆問題解析モデルとを用いることによって、焼却設備100aにおける第1推定値を目標値に近づけることが可能な介入対象SVを算出する。そして、制御装置1は、例えば、算出した介入対象SVの設定を監視装置2に指示することによって、焼却設備100aにおける被焼却物の焼却状態についての制御を行う。
【0020】
これにより、本実施の形態における制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける被焼却物の焼却状態を正常な状態に維持することが可能になる。また、制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける被焼却物の焼却状態が正常な状態でない場合であっても、これを改善することが可能になる。そのため、制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける運転制御を自動的に行うことが可能になり、焼却設備100aにおける運転制御が作業者の手動によって行われる場合と比較して、作業者の負荷を抑制することが可能になる。
【0021】
なお、監視装置2は、例えば、制御装置1が算出した介入対象SVを焼却設備100aにおいて設定することで、焼却設備100aに含まれる各設備の圧力制御(PIC制御)、流量制御(FIC制御)及び温度制御(TIC制御)を行い、焼却設備100aにおける汚泥の焼却状態を制御するものであってよい。
【0022】
[制御装置1のハードウエア構成]
次に、制御装置1のハードウエア構成について説明する。図2は、制御装置1のハードウエア構成を説明する図である。
【0023】
制御装置1は、図2に示すように、電子回路として、例えばプロセッサであるCPU101と、メモリ102と、通信装置103と、記憶媒体104とを有する。各部は、バス105を介して互いに接続される。
【0024】
記憶媒体104は、例えば、介入対象算出処理を行うためのプログラム110を記憶するプログラム格納領域(図示しない)を有する。また、記憶媒体104は、例えば、介入対象算出処理を行う際に用いられる情報を記憶する記憶部130(以下、情報格納領域130とも呼ぶ)を有する。なお、記憶媒体104は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)であってよい。
【0025】
CPU101は、例えば、記憶媒体104からメモリ102にロードされたプログラム110を実行することによって介入対象算出処理を行う。
【0026】
通信装置103は、例えば、ネットワークNWを介して監視装置2とアクセスを行う。また、通信装置103は、例えば、ネットワークNWを介して作業者が操作を行う操作端末(図示しない)とアクセスを行う。なお、ネットワークNWは、例えば、インターネットであってよい。すなわち、制御装置1は、例えば、クラウド上に配置されるものであってもよい。また、ネットワークNWは、例えば、LAN(Lacal Area Network)であってもよい。
【0027】
以下、制御装置1がCPU101とメモリ102を有する場合について説明を行うがこれに限られない。具体的に、制御装置1は、例えば、CPU101及びメモリ102に代えて、または、CPU101及びメモリ102とともに、介入対象算出処理を実行可能な電子回路(図示せず)を有し、この電子回路において介入対象算出処理を実行するものであってもよい。この介入対象算出処理を実行可能な電子回路は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC( Application Specific Integrated Circuit)であってよい。
【0028】
[第1の実施の形態における制御装置1の機能]
次に、第1の実施の形態における制御装置1の機能について説明を行う。図3は、第1の実施の形態における制御装置1の機能のブロック図である。
【0029】
制御装置1は、図3に示すように、例えば、CPU101やメモリ102等のハードウエアとプログラムとが有機的に協働することにより、設定推定部116を含む各種機能を実現する。
【0030】
また、制御装置1は、図3に示すように、例えば、実績PV131と、実績SV132と、介入対象SV133とを情報格納領域130に記憶する。さらに、制御装置1は、例えば、PV推定モデルMEと、逆問題解析モデルPGとを情報格納領域130に記憶する。なお、情報格納領域130には、例えば、実績MVについても記憶されるものであってよい。以下、PV推定モデルMEと逆問題解析モデルPGとを総称して単にSV推定モデルとも呼ぶ。
【0031】
なお、以下、介入対象算出処理のうち、介入対象SV133の算出を行う処理を推定処理とも呼ぶ。すなわち、推定処理は、例えば、焼却設備100aにおける現在の焼却状態が正常な状態にない場合や、焼却設備100aにおける焼却状態が今後正常な状態でなくなる可能性がある場合において、焼却設備100aにおける焼却状態を改善させることを可能とする介入対象SV133を算出する処理である。
【0032】
設定推定部116は、例えば、焼却設備100aにおける介入対象の実績SV132(情報格納領域130に記憶された介入対象の実績SV132)をPV推定モデルMEに入力する。また、制御装置1は、例えば、逆問題解析モデルPGから出力された介入対象SV133の候補(以下、介入対象SVの候補133aとも呼ぶ)をPV推定モデルMEに入力する。そして、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力された第1予測PV(以下、第1予測PV131aとも呼ぶ)を取得する。
【0033】
その結果、例えば、取得した第1予測PV131aが予め定められた所定の条件(以下、単に所定の条件とも呼ぶ)を満たさない場合、設定推定部116は、逆問題解析モデルPGを用いることによって、介入対象SVの候補133aの選択(探索)を行う。所定の条件は、例えば、後述する第1条件や第2条件等の所定の条件である。
【0034】
そして、設定推定部116は、例えば、選択した介入対象SVの候補133aをPV推定モデルMEに入力する。その後、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力された第1予測PV131aを再度取得する。
【0035】
その結果、例えば、再度取得した第1予測PV131aが所定の条件を満たす場合、設定推定部116は、再度取得した第1予測PV131aに対応する介入対象SVの候補133aを介入対象SV133(新たな介入対象SV133)として出力する。具体的に、設定推定部116は、例えば、介入対象SV133を監視装置2に送信する。そして、監視装置2は、この場合、例えば、受信した介入対象SV133を用いることによって、焼却設備100aの制御を行う。
【0036】
一方、例えば、再度取得した第1予測PV131aが所定の条件を満たさない場合、設定推定部116は、再度取得した第1予測PV131aを用いることによって、介入対象SVの候補133aを再度選択(探索)する。その後、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力される第1予測PV131aが所定の条件を満たすまで、第1予測PV131aを取得する処理と介入対象SVの候補133aを選択する処理とを繰り返し行う。
【0037】
なお、以下、1台の制御装置1が介入対象算出処理を実行する場合について説明を行うがこれに限られない。具体的に、介入対象算出処理の実行に要する各機能は、例えば、ネットワークNWを介して互いにアクセス可能な複数台の制御装置1(以下、単に複数台の制御装置1とも呼ぶ)に分散配置されるものであってもよい。そして、介入対象算出処理は、この場合、例えば、複数台の制御装置1が互いに連携することによって実行されるものであってもよい。
【0038】
[第1の実施の形態における推定処理の概略]
次に、第1の実施の形態における推定処理の概略について説明する。図4は、第1の実施の形態における推定処理の概略について説明する図である。なお、図4に示す各介入対象SV133(介入対象SVの候補133a)は、例えば、互いに種類の異なるSVである。
【0039】
制御装置1は、図4に示すように、例えば、PV推定モデルMEを用いることにより、介入対象SV133(介入対象SVの候補133a)に応じた処理を焼却設備100aが実行した場合に焼却設備100aにおいて測定される第1予測PV131aを算出する。
【0040】
具体的に、制御装置1は、図4に示すように、例えば、逆問題解析モデルPGから出力された介入対象SVの候補133aをPV推定モデルMEに入力する。そして、制御装置1は、例えば、介入対象SV133(介入対象SVの候補133a)の入力に伴ってPV推定モデルMEから出力された第1予測PV131aを取得する。
【0041】
なお、焼却設備100aにおける介入対象の実績SV132をPV推定モデルMEに入力する場合、制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける介入対象と関連性の高い実績PV131や実績MVを併せて入力するものであってもよい。介入対象と関連性の高い実績PV131は、例えば、介入対象において測定される実績PV131や、介入対象と関連性の高い他の設備において測定される実績PV131である。また、介入対象と関連性の高い実績MVは、例えば、介入対象において実績SV132を設定する際に必要となる実績MVや、介入対象と関連性の高い他の設備において実績SV132を設定する際に必要となる実績MVである。
【0042】
同様に、焼却設備100aにおける介入対象SV133をPV推定モデルMEに入力する場合、制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける介入対象と関連性の高い実績PV131や介入対象MVを併せて入力するものであってもよい。介入対象と関連性の高い介入対象MVは、例えば、介入対象において介入対象SV133を設定する際に必要となる介入対象MVや、介入対象と関連性の高い他の設備において介入対象SV133を設定する際に必要となる介入対象MVである。
【0043】
続いて、制御装置1は、図4に示すように、例えば、逆問題解析モデルPGを用いることにより、第1予測PV131aを目標値に近づけることが可能な介入対象SVの新たな候補133aを算出する。すなわち、制御装置1は、例えば、PV推定モデルMEに入力することによって、目標値により近い第1予測PV131aをPV推定モデルMEから出力させることが可能な介入対象SVの新たな候補133aを算出する。
【0044】
具体的に、制御装置1は、例えば、PV推定モデルMEから出力された第1予測PV131aを逆問題解析モデルPGに入力する。そして、制御装置1は、例えば、第1予測PV131aの入力に伴って逆問題解析モデルPGから出力された介入対象SVの新たな候補133aを取得する。
【0045】
すなわち、本実施の形態における制御装置1は、例えば、介入対象SVの候補133aから第1予測PV131aを算出することが可能なPV推定モデルMEと、第1予測PV131aから介入対象SVの新たな候補133aを算出することが可能な逆問題解析モデルPGとを用いることによって、第1予測PV131aを目標値に近づけることが可能な介入対象SV133を算出する。そして、制御装置1は、例えば、算出した介入対象SV133の設定を監視装置2に指示することによって、焼却設備100aにおける被焼却物の焼却状態についての制御を行う。
【0046】
これにより、本実施の形態における制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける被焼却物の焼却状態を正常な状態に維持することが可能になる。また、制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける被焼却物の焼却状態が正常な状態でない場合であっても、これを改善することが可能になる。そのため、制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける運転制御を自動的に行うことが可能になり、焼却設備100aにおける運転制御が作業者の手動によって行われる場合と比較して、作業者の負荷を抑制することが可能になる。
【0047】
[第1の実施の形態における推定処理の詳細]
次に、第1の実施の形態における推定処理の詳細について説明する。図5は、第1の実施の形態における推定処理の詳細について説明するフローチャート図である。図6は、第1の実施の形態における推定処理の詳細について説明する図である。
【0048】
設定推定部116は、図5に示すように、例えば、焼却設備100aにおける介入対象の実績SV132をPV推定モデルMEに入力する。そして、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力された値を第1予測PV131aとして取得する(ステップS101)。
【0049】
具体的に、設定推定部116は、図6(B)における「1回目」に示すように、例えば、焼却設備100aにおける介入対象の実績SV132(例えば、直近のタイミングにおける実績SV132)をPV推定モデルMEに入力することにより、第1予測PV131aを取得する。
【0050】
続いて、設定推定部116は、例えば、逆問題解析モデルPGを用いることによって、焼却設備100aにおける介入対象SVの候補133aを選択(探索)する(ステップS102)。
【0051】
具体的に、設定推定部116は、1回目のステップS102を行う場合、図6(A)に示すように、例えば、ステップS101で取得した第1予測PV131aを逆問題解析モデルPGの入力とすることにより、介入対象SVの候補133aを探索する。また、設定推定部116は、2回目以降のステップS102を行う場合、例えば、後述するステップS103(直前に行われたステップS103)で取得した第1予測PV131aを逆問題解析モデルPGの入力とすることにより、介入対象SVの候補133aを探索する。
【0052】
さらに具体的に、例えば、後述する図17に示す複数の教師データDEを学習することによってPV推定モデルMEが生成されている場合、設定推定部116は、「乾燥機汚泥投入量」、「乾燥機入口温度」、「乾燥機回転数」及び「乾燥機出口温度」のそれぞれについての介入対象SVの候補133a(介入対象SVの候補133aの組み合わせ)の探索を行う。
【0053】
次に、設定推定部116は、例えば、ステップS102で探索した介入対象SVの候補133aをPV推定モデルMEに入力する。そして、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力された第1予測PV131aを取得する(ステップS103)。
【0054】
具体的に、設定推定部116は、図6(B)における「2回目以降」に示すように、例えば、ステップS102で探索した介入対象SVの候補133aをPV推定モデルMEに入力することにより、第1予測PV131aを取得する。
【0055】
さらに具体的に、例えば、後述する図17に示す複数の教師データDEを学習することによってPV推定モデルMEが生成されている場合、設定推定部116は、「焼却炉内温度」に対応する値を第1予測PV131aとして取得する。
【0056】
その後、設定推定部116は、例えば、ステップS102及びステップS103の実行回数が第1条件を満たしているか否かを判定する(ステップS104)。第1条件は、例えば、ステップS102及びステップS103の実行回数が予め定められた回数(以下、第1回数とも呼ぶ)に到達したことである。
【0057】
その結果、ステップS102及びステップS103の実行回数が第1条件を満たしていないと判定した場合(ステップS104のNO)、設定推定部116は、例えば、ステップS102以降の処理を再度行う。
【0058】
すなわち、例えば、ステップS102及びステップS103の実行回数が第1条件を満たさないと判定した場合、制御装置1は、介入対象SVの候補133aの探索が十分に行われていないと判定して推定処理を継続する。
【0059】
一方、ステップS102及びステップS103の実行回数が第1条件を満たしていると判定した場合(ステップS104のYES)、設定推定部116は、例えば、推定処理を終了する。
【0060】
すなわち、例えば、ステップS102及びステップS103の実行回数が第1条件を満たすと判定した場合、制御装置1は、介入対象SVの候補133aの探索が十分に行われたと判定して推定処理を終了する。
【0061】
その後、設定推定部116は、例えば、ステップS103で取得した第1予測PV131aのうちのいずれかを選択し、選択した第1予測PV131aの算出に用いられた介入対象SVの候補133aを介入対象SV133として特定する。具体的に、設定推定部116は、例えば、ステップS103で取得した第1予測PV131aのうち、第2条件を満たす第1予測PV131aを選択する。第2条件は、例えば、第1予測PV131aが予め定められた許容範囲内に含まれていること、または、第1予測PV131aと目標値との差が閾値以下であることである。そして、設定推定部116は、この場合、例えば、特定した介入対象SV133を監視装置2に送信する。
【0062】
なお、設定推定部116は、ステップS104において、例えば、ステップS102及びステップS103の実行時間が第1条件を満たしているか否かを判定するものであってもよい。そして、第1条件は、この場合、例えば、ステップS102の最初の実行開始タイミングから予め定められた時間(例えば、10分)を経過したことであってよい。
【0063】
[第1の実施の形態における推定処理の具体例(1)]
次に、第1の実施の形態における推定処理の具体例について説明を行う。
【0064】
設定推定部116は、例えば、ステップS102を最初に実行する場合、初期値が0であるカウンタ(図示せず)を起動する。そして、設定推定部116は、図6(B)に示すように、例えば、焼却設備100aにおいて現在設定されている介入対象SV133をPV推定モデルMEに入力することによって第1予測PV131aを取得し、取得した第1予測PV131aを逆問題解析モデルPGの入力として用いる(ステップS101及び1回目のステップS102)。さらに、設定推定部116は、図6(B)に示すように、例えば、1回目のステップS102で探索した介入対象SVの候補133aをPV推定モデルMEに入力することによって第1予測PV131aを取得する(1回目のステップS103)。
【0065】
その後、設定推定部116は、例えば、カウンタが示す回数が第1回数に到達するまでの間(ステップS104のNO)、ステップS102及びステップS103を繰り返し実行する。
【0066】
ここで、設定推定部116は、例えば、ステップS102で探索した介入対象SVの候補133aとステップS103で得られた第1予測PV131aとのそれぞれをメモリ102に記憶する。すなわち、設定推定部116は、例えば、ステップS102及びステップS103を繰り返し行うことにより、多数の介入対象SVの候補133aと多数の第1予測PV131aとをメモリ102に記憶する。
【0067】
そして、例えば、カウンタが示す回数が第1回数に到達したと判定した場合(ステップS104のYES)、設定推定部116は、メモリ102に記憶された多数の第1予測PV131aのうち、目標値に最も近い第1予測PV131aを選択する。目標値は、例えば、第1予測PV131aの許容範囲における中央値であってよい。
【0068】
その後、設定推定部116は、例えば、選択された第1予測PV131aの算出に用いられた介入対象SVの候補133aを、介入対象SV133として監視装置2に送信する。さらに、設定推定部116は、この場合、例えば、カウンタをリセットする。
【0069】
[第1の実施の形態における推定処理の具体例(2)]
次に、第1の実施の形態における推定処理の他の具体例について説明を行う。
【0070】
設定推定部116は、例えば、ステップS102を最初に実行する場合、初期値が0である経時タイマ(図示せず)を起動する。そして、設定推定部116は、図6(B)に示すように、例えば、焼却設備100aにおいて現在設定されている介入対象SV133をPV推定モデルMEに入力することによって第1予測PV131aを取得し、取得した第1予測PV131aを逆問題解析モデルPGの入力として用いる(ステップS101及び1回目のステップS102)。そして、設定推定部116は、図6(B)に示すように、例えば、1回目のステップS102で探索した介入対象SVの候補133aをPV推定モデルMEに入力することによって第1予測PV131aを取得する(1回目のステップS103)。
【0071】
その後、設定推定部116は、例えば、経時タイマが示す時間が予め定められた時間(例えば、10分)に到達するまでの間(ステップS104のNO)、ステップS102及びステップS103を繰り返し実行する。
【0072】
ここで、設定推定部116は、例えば、ステップS102で探索した介入対象SVの候補133aとステップS103で得られた第1予測PV131aとのそれぞれをメモリ102に記憶する。
【0073】
そして、例えば、経時タイマが示す時間が予め定められた時間に到達したと判定した場合(ステップS104のYES)、設定推定部116は、メモリ102に記憶された多数の第1予測PV131aのうち、目標値に最も近い第1予測PV131aを選択する。
【0074】
その後、設定推定部116は、例えば、選択された第1予測PV131aの算出に用いられた介入対象SVの候補133aを、介入対象SV133として監視装置2に送信する。さらに、設定推定部116は、この場合、例えば、経時タイマをリセットする。
【0075】
このように、本実施の形態における制御装置1は、例えば、PV推定モデルMEを用いることにより、介入対象SVの候補133aに応じた処理を焼却設備100aが実行した場合に焼却設備100aにおいて測定される第1予測PV131aを算出する。そして、制御装置1は、例えば、逆問題解析モデルPGを用いることにより、第1予測PV131aが目標値に近づく介入対象SVの新たな候補133aを介入対象SV133として算出する。
【0076】
具体的に、制御装置1は、例えば、第1予測PV131aを算出する処理と介入対象SVの候補133aを算出する処理との実行回数または実行時間が第1条件を満たすまで、第1予測PV131aを算出する処理と介入対象SVの候補133aを算出する処理とを繰り返し行う。そして、制御装置1は、例えば、繰り返し算出された第1予測PV131aのうち、目標値に最も近い第1予測PV131aに対応する介入対象SVの候補133aを介入対象SV133として算出する。
【0077】
さらに具体的に、制御装置1は、例えば、繰り返し算出された第1予測PV131aのうち、目標値に最も近い第1予測PV131aに対応する介入対象SVの候補133aを介入対象SV133として算出する。
【0078】
すなわち、制御装置1は、例えば、介入対象SVの候補133aから第1予測PV131aを算出することが可能なPV推定モデルMEと、第1予測PV131aから介入対象SVの新たな候補133aを算出することが可能な逆問題解析モデルPGとを用いることによって、焼却設備100aにおける実績PV131を目標値に近づけることが可能な介入対象SV133を算出する。そして、制御装置1は、例えば、算出した介入対象SV133の設定を監視装置2に指示することによって、焼却設備100aにおける被焼却物の焼却状態についての制御を行う。
【0079】
具体的に、制御装置1は、例えば、繰り返し行われたステップS102において選択された介入対象SVの候補133aのうち、目標値に近いと判定可能な第1予測PV131aの算出に用いられた介入対象SVの候補133aを、焼却設備100aにおける焼却状態を正常な状態に維持することが可能な介入対象SVの候補133a(焼却設備100aにおける焼却状態を改善することが可能な介入対象SVの候補133a)として採用する。
【0080】
これにより、制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける被焼却物の焼却状態の維持や改善をより精度良く行うことが可能になる。
【0081】
なお、設定推定部116は、例えば、メモリ102に順次記憶した一連の第1予測PV131aの傾向を判定するものであってもよい。そして、設定推定部116は、例えば、メモリ102に順次記憶した一連の第1予測PV131aが目標値に近づいていると判定した場合に、目標値に近いと判定可能な第1予測PV131aの選択や、選択された第1予測PV131aに対応する介入対象SVの候補133aの送信(監視装置2に対する送信)を行うものであってよい。一方、例えば、メモリ102に順次記憶した一連の第1予測PV131aが目標値に近づいていないと判定した場合や、許容範囲内に含まれていない第1予測PV131aが記憶されている場合、設定推定部116は、目標値に近いと判定可能な第1予測PV131aの選択や、選択された第1予測PV131aに対応する介入対象SVの候補133aの送信を行わないものであってもよい。
【0082】
[第2の実施の形態における推定処理]
次に、第2の実施の形態における推定処理について説明する。図7は、第2の実施の形態における推定処理を説明するフローチャート図である。図8は、第2の実施の形態における推定処理を説明する図である。
【0083】
第2の実施の形態における推定処理では、例えば、第1の実施の形態における推定処理と異なり、値を変化させる介入対象SVの種類の絞り込みを行う。
【0084】
設定推定部116は、図7に示すように、例えば、図5のステップS101と同様に、焼却設備100aにおける介入対象の実績SV132をPV推定モデルMEに入力する。そして、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力された値を第1予測PV131aとして取得する(ステップS111)。
【0085】
次に、設定推定部116は、例えば、図5のステップS102と同様に、逆問題解析モデルPGを用いることによって、焼却設備100aにおける介入対象SVの候補133a(介入対象SVの候補133aの組み合わせ)を選択(探索)する(ステップS112)。
【0086】
続いて、設定推定部116は、例えば、図5のステップS103と同様に、ステップS112で探索した介入対象SVの候補133aをPV推定モデルMEに入力する。そして、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力された第1予測PV131aを取得する(ステップS113)。
【0087】
その後、設定推定部116は、例えば、ステップS112及びステップS113の実行回数が第3条件を満たしているか否かを判定する(ステップS114)。第3条件は、例えば、ステップS112及びステップS113の実行回数が予め定められた回数(以下、第2回数とも呼ぶ)に到達することである。
【0088】
その結果、ステップS112及びステップS113の実行回数が第3条件を満たしていないと判定した場合(ステップS114のNO)、設定推定部116は、例えば、ステップS112以降の処理を再度行う。
【0089】
一方、ステップS112及びステップS113の実行回数が第3条件を満たしていると判定した場合(ステップS114のYES)、設定推定部116は、例えば、ステップS113で繰り返し取得された第1予測PV131aのそれぞれと、ステップS112で繰り返し選択された介入対象SVの候補133aのそれぞれとに基づいて、介入対象SV133についての1以上の種類を特定する(ステップS115)。
【0090】
具体的に、設定推定部116は、例えば、ステップS113においてPV推定モデルMEに入力される介入対象SV133の種類のうち、PV推定モデルMEから出力される第1予測PV131aに与える影響が大きいと判定可能な1以上の種類を特定する。言い換えれば、設定推定部116は、例えば、ステップS113においてPV推定モデルMEに入力される介入対象SV133の種類のうち、PV推定モデルMEから出力される第1予測PV131aを目標値に近づけるための寄与率が大きいと判定可能な1以上の種類を特定する。
【0091】
すなわち、例えば、介入対象SV133の種類がN種類(Nは1以上の整数)である場合、設定推定部116は、N種類の中から、第1予測PV131aに与える影響が大きいと判定可能である介入対象SV133についての1以上の種類を特定する。言い換えれば、設定推定部116は、この場合、例えば、第1予測PV131aに与える影響が大きいと判定可能である介入対象SV133の種類の絞り込みを行う。
【0092】
さらに具体的に、設定推定部116は、例えば、ステップS113で繰り返し取得された第1予測PV131aのそれぞれと、ステップS112で繰り返し選択された介入対象SVの候補133aのそれぞれとを参照することにより、介入対象SV133の種類(例えば、N種類)ごとに、各種類に対応する介入対象SVの候補133aを変更することによって第2条件を満たす第1予測PV131aがPV推定モデルMEから出力される確度(例えば、確率)を算出する。すなわち、設定推定部116は、例えば、各種類に対応する介入対象SVの候補133aのみが変更された介入対象SVの候補133aの組み合わせがPV推定モデルMEに入力された場合に、第2条件を満たす第1予測PV131aがPV推定モデルMEから出力される確度を各種類に対応する確度として算出する。そして、設定推定部116は、例えば、介入対象SV133の種類のうち、算出した確度が第5条件を満たす種類を特定する。第5条件は、例えば、確度が予め定められた閾値以上であることである。
【0093】
なお、例えば、後述する図17に示す複数の教師データDEを学習することによってPV推定モデルMEが生成されている場合において、「乾燥機汚泥投入量」に対応する確度が「乾燥機入口温度」、「乾燥機回転数」及び「乾燥機出口温度」のそれぞれに対応する確度よりも大きい場合、設定推定部116は、ステップS115において、「乾燥機汚泥投入量」を特定する。
【0094】
図7に戻り、設定推定部116は、例えば、逆問題解析モデルPGを用いることによって、焼却設備100aにおける介入対象SVの候補133a(介入対象SVの候補133aの組み合わせ)を選択(探索)する(ステップS116)。
【0095】
具体的に、設定推定部116は、例えば、直前に行われたステップS112または直前に行われたステップS116において選択された介入対象SVの候補133aのうち、ステップS115で特定した1以上の種類のそれぞれに対応する介入対象SVの候補133aを少なくとも変化させることによって、介入対象SVの新たな候補133aを選択する。
【0096】
さらに具体的に、設定推定部116は、例えば、直前に行われたステップS112または直前に行われたステップS116において選択された介入対象SVの候補133aのうち、ステップS115で特定した1以上の種類のうちのいずれかに対応する介入対象SVの候補133aのみを変化させることによって、介入対象SVの新たな候補133aを選択する。
【0097】
次に、設定推定部116は、例えば、ステップS113と同様に、ステップS116で探索した介入対象SVの候補133aをPV推定モデルMEに入力する。そして、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力された第1予測PV131aを取得する(ステップS117)。
【0098】
その後、設定推定部116は、例えば、ステップS114と同様に、ステップS116及びステップS117の実行回数が第4条件を満たしているか否かを判定する(ステップS118)。第4条件は、例えば、ステップS116及びステップS117の実行回数が予め定められた回数(以下、第3回数とも呼ぶ)に到達することである。
【0099】
その結果、ステップS116及びステップS117の実行回数が第4条件を満たしていないと判定した場合(ステップS118のNO)、設定推定部116は、例えば、ステップS116以降の処理を再度行う。
【0100】
一方、ステップS116及びステップS117の実行回数が第4条件を満たしていると判定した場合(ステップS118のYES)、設定推定部116は、例えば、推定処理を終了する。
【0101】
その後、設定推定部116は、例えば、ステップS117で取得した第1予測PV131aのうちのいずれかを選択し、選択した第1予測PV131aの算出に用いられた介入対象SVの候補133aを介入対象SV133として特定する。そして、設定推定部116は、この場合、例えば、特定した介入対象SV133を監視装置2に送信する。
【0102】
なお、設定推定部116は、ステップS114において、例えば、ステップS112及びステップS113の実行時間が第3条件を満たしているか否かを判定するものであってもよい。そして、第3条件は、この場合、例えば、ステップS112の最初の実行開始タイミングから予め定められた時間(例えば、5分)を経過したことであるものであってもよい。
【0103】
また、設定推定部116は、ステップS118において、例えば、ステップS116及びステップS117の実行時間が第4条件を満たしているか否かを判定するものであってもよい。そして、第4条件は、この場合、例えば、ステップS116の最初の実行開始タイミングから予め定められた時間(例えば、5分)を経過したことであるものであってもよい。
【0104】
このように、本実施の形態における介入対象SV133は、例えば、焼却設備100aにおいて設定が行われる複数種類の介入対象SV133の組み合わせである。そして、制御装置1は、例えば、PV推定モデルMEを用いることにより、焼却設備100aが介入対象SVの新たな候補133aに応じた処理を実行した場合における第1予測PV131aを算出する。さらに、制御装置1は、例えば、逆問題解析モデルPGを用いることにより、第1予測PV131aが目標値に近づく介入対象SVの新たな候補133aを算出する。その後、制御装置1は、例えば、第1予測PV131aを算出する処理と介入対象SVの新たな候補133aを算出する処理との実行回数または実行時間が第3条件を満たすまで、第1予測PV131aを算出する処理と介入対象SVの新たな候補133aを算出する処理とを繰り返し行う。
【0105】
次に、制御装置1は、例えば、繰り返し算出された第1予測PV131aのそれぞれと、繰り返し算出された介入対象SVの新たな候補133aのそれぞれとに基づいて、介入対象SV133の種類から1以上の種類を特定する。続いて、制御装置1は、例えば、第1予測PV131aを算出する処理と介入対象SVの新たな候補133aを算出する処理との実行回数が第4条件を満たすまで、1以上の種類に対応する介入対象SV133が変更された介入対象SVの新たな候補133aを算出しながら、第1予測PV131aを算出する処理と介入対象SVの新たな候補133aを算出する処理とを再度繰り返し行う。そして、制御装置1は、例えば、再度繰り返し算出された第1予測PV131aのうち、第2条件を満たす第1予測PV131aに対応する介入対象SVの新たな候補133aを介入対象SV133として算出する。
【0106】
具体的に、制御装置1は、例えば、再度繰り返し算出された第1予測PV131aのうち、目標値に最も近い第1予測PV131aに対応する介入対象SVの新たな候補133aを、介入対象SV133として算出する。
【0107】
また、制御装置1は、例えば、繰り返し算出された第1予測PV131aのそれぞれと、繰り返し算出された介入対象SVの新たな候補133aのそれぞれとから、介入対象SV133の種類ごとに、各種類に対応する介入対象SVの新たな候補133aを変更することによって第2条件を満たす第1予測PV131aが算出される確度を算出する。そして、制御装置1は、例えば、介入対象SV133の種類のうち、算出した確度が第5条件を満たす種類を1以上の種類として特定する。
【0108】
すなわち、本実施の形態における制御装置1は、例えば、ステップS112及びステップS113を繰り返し行うことによって、PV推定モデルMEから出力される第1予測PV131aに与える影響が大きいと判断可能な1以上の種類の介入対象SV133を特定する。そして、制御装置1は、例えば、特定した1以上の種類の介入対象SV133を変化させながらステップS116及びステップS117を繰り返し行うことによって、新たな介入対象SV133を算出する。
【0109】
具体的に、制御装置1は、推定処理において、例えば、PV推定モデルMEから出力される第1予測PV131aに与える影響が大きいと判定可能な介入対象SV133の種類の絞り込みを行う処理(以下、スクリーニング処理とも呼ぶ)を最初に行う。そして、制御装置1は、例えば、スクリーニング処理の後、スクリーニング処理によって絞り込まれた種類の介入対象SV133を変化させながら介入対象SVの候補133aの探索を行う処理(以下、探索処理とも呼ぶ)を行う。
【0110】
さらに具体的に、制御装置1は、図8に示すように、例えば、ステップS112からステップS114までの各処理をK回繰り返し実行し、かつ、ステップS115を実行することによってスクリーニング処理を行う。その後、制御装置1は、例えば、ステップS116からステップS118までの各処理をM回繰り返し実行することによって探索処理を行う。
【0111】
これにより、本実施の形態における制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける焼却状態を改善させることが可能な介入対象SV133の探索を効率的に行うことが可能になる。そのため、制御装置1は、焼却設備100aにおける焼却状態をより精度良く改善させることが可能な介入対象SV133を取得することが可能になる。したがって、制御装置1は、例えば、取得した介入対象SV133を用いた制御を行うことにより、焼却設備100aにおける焼却状態をより精度良く改善させることが可能になる。
【0112】
なお、例えば、本実施の形態における推定処理が繰り返し行われる場合、制御装置1は、例えば、過去に行われたスクリーニング処理における処理結果(ステップS115の処理結果)を用いることによって、探索処理を行うものであってよい。すなわち、制御装置1は、この場合、例えば、スクリーニング処理を行うことなく、探索処理を行うものであってもよい。
【0113】
また、設定推定部116は、例えば、ステップS116において、値の増加と値の減少と値の維持とのうちのいずれかの探索方法(以下、単に探索方法とも呼ぶ)を選択するものであってよい。すなわち、例えば、介入対象SV133の種類がN種類であって、N種類のうちのいずれか1種類に対応する介入対象SVの候補133aのみを変化させる探索が行われる場合、設定推定部116は、N×3個の座標点を有するN次元空間から1つの座標点を選択する処理を行うものであってよい。
【0114】
具体的に、設定推定部116は、例えば、前回までのステップS116において選択された座標点ごとに、各座標点が選択された場合における第1予測PV131aと目標値との近さを示す評価値を算出するものであってよい。そして、設定推定部116は、ステップS116において、例えば、N次元空間におけるN×3個の座標点のうち、評価値が高い座標点の近傍の領域に位置する座標点を優先的に選択するものであってよい。
【0115】
また、設定推定部116は、例えば、ステップS113で繰り返し取得された第1予測PV131aのそれぞれと、ステップS112で繰り返し選択された介入対象SVの候補133aのそれぞれとを参照することにより、介入対象SV133の種類と探索方法との組合せ(以下、単に組み合わせとも呼ぶ)ごとに、各組合せに対応する介入対象SVの候補133aを変更させることによって第1条件を満たす第1予測PV131aがPV推定モデルMEから出力される確度を算出するものであってよい。そして、制御装置1は、例えば、介入対象SV133の種類ごとに、各種類を含む組合せに対応する確度のうち、最も高い確度に対応する組合せに含まれる探索方法を特定するものであってよい。その後、設定推定部116は、ステップS116において、例えば、ステップS115で特定した探索方法を用いて各種類に対応する介入対象SVの候補133aを変化させることによって、介入対象SVの新たな候補133aを選択するものであってよい。
【0116】
[第3の実施の形態における推定処理]
次に、第3の実施の形態における推定処理について説明する。図9は、第3の実施の形態における推定処理を説明するフローチャート図である。
【0117】
第3の実施の形態における推定処理では、例えば、第1の実施の形態における推定処理等と異なり、許容範囲内の第1予測PV131a(第2条件を満たす第1予測PV131a)が探索されるまで推定処理を継続する。
【0118】
設定推定部116は、図9に示すように、例えば、図5のステップS101と同様に、焼却設備100aにおける介入対象の実績SV132をPV推定モデルMEに入力する。そして、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力された値を第1予測PV131aとして取得する(ステップS121)。
【0119】
次に、設定推定部116は、例えば、図5のステップS102と同様に、逆問題解析モデルPGを用いることによって、焼却設備100aにおける介入対象SVの候補133aを選択(探索)する(ステップS122)。
【0120】
続いて、設定推定部116は、例えば、図5のステップS103と同様に、ステップS122で探索した介入対象SVの候補133a(介入対象SVの候補133aの組み合わせ)をPV推定モデルMEに入力する。そして、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力された第1予測PV131aを取得する(ステップS123)。
【0121】
その後、設定推定部116は、例えば、ステップS123で算出した第1予測PV131aが第2条件を満たすか否かを判定する(ステップS124)。
【0122】
その結果、ステップS123で取得した第1予測PV131aが第2条件を満たさないと判定した場合(ステップS124のNO)、設定推定部116は、例えば、ステップS122以降の処理を再度行う。
【0123】
すなわち、例えば、ステップS123で算出した第1予測PV131aが第2条件を満たさないと判定した場合、制御装置1は、焼却設備100aの稼働状態を正常な状態に戻すことが可能な介入対象SVの候補133aがまだ特定されていないと判定して推定処理を継続する。
【0124】
一方、ステップS123で取得した第1予測PV131aが第2条件を満たすと判定した場合(ステップS124のYES)、設定推定部116は、例えば、推定処理を終了する。
【0125】
すなわち、例えば、ステップS123で算出した第1予測PV131aが第2条件を満たすと判定した場合、制御装置1は、焼却設備100aの稼働状態を正常な状態に戻すことが可能な介入対象SVの候補133aが特定されたと判定して推定処理を終了する。
【0126】
その後、設定推定部116は、例えば、ステップS123で取得した第1予測PV131aのうちのいずれかを選択し、選択した第1予測PV131aの算出に用いられた介入対象SVの候補133aを介入対象SV133として特定する。そして、設定推定部116は、この場合、例えば、特定した介入対象SV133を監視装置2に送信する。
【0127】
このように、本実施の形態における制御装置1は、例えば、第1予測PV131aが第2条件を満たすまで、第1予測PV131aを算出する処理と介入対象SVの候補133aを算出する処理とを繰り返し行う。そして、制御装置1は、例えば、第2条件を満たす第1予測PV131aに対応する介入対象SVの候補133aを介入対象SV133として算出する。
【0128】
これにより、本実施の形態における制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける焼却状態を精度良く改善させることが可能な介入対象SV133を取得することが可能になる。そのため、制御装置1は、例えば、取得した介入対象SV133を用いた制御を行うことにより、焼却設備100aにおける焼却状態をより精度良く改善させることが可能になる。
【0129】
[第4の実施の形態における介入対象算出処理]
次に、第4の実施の形態における介入対象算出処理について説明を行う。
【0130】
第4の実施の形態における介入対象算出処理では、例えば、第1の実施の形態における推定処理等と異なり、PV推定モデルME及び逆問題解析モデルPGに加えて、時系列予測モデルMP(以下、第3モデルMPとも呼ぶ)についても用いる。時系列予測モデルMPは、例えば、入力された実績PV131に対応する時間の所定時間後における予測値(以下、第1予測値とも呼ぶ)を出力するモデルである。第1予測値は、例えば、焼却設備100aにおいて測定されるPV(実績PV131)の予測値(以下、第2予測PV131bとも呼ぶ)や、焼却設備100aにおける介入対象に設定することが好ましいSVの予測値や、焼却設備100aにおける介入対象において操作を行うことが好ましいMVの予測値や、合成変数の予測値である。すなわち、時系列予測モデルMPは、例えば、焼却設備100aにおける実績PV131の未来値(将来値)を予測するモデルである。なお、時系列予測モデルMPには、例えば、実績PVに加えて、実績SVや実績MVがさらに入力されるものであってよい。以下、第1予測値が第2予測PV131bであるものとして説明を行う。
【0131】
[第4の実施の形態における制御装置1の機能]
初めに、第4の実施の形態における制御装置1の機能について説明を行う。図10は、第4の実施の形態における制御装置1の機能のブロック図である。
【0132】
制御装置1は、図10に示すように、例えば、CPU101やメモリ102等のハードウエアとプログラムとが有機的に協働することにより、データ取得部111と、データ抽出部112と、モデル生成部113と、稼働監視部114と、測定予測部115と、設定推定部116とを含む各種機能を実現する。
【0133】
また、制御装置1は、図10に示すように、例えば、実績PV131と、実績SV132と、介入対象SV133とを情報格納領域130に記憶する。さらに、制御装置1は、例えば、複数の教師データDPと、複数の教師データDEと、時系列予測モデルMPと、PV推定モデルMEと、逆問題解析モデルPGとを情報格納領域130に記憶する。
【0134】
[学習処理における機能]
初めに、介入対象算出処理における機能のうち、時系列予測モデルMP及びPV推定モデルMEの生成を行う処理(以下、学習処理とも呼ぶ)における機能について説明を行う。
【0135】
データ取得部111は、例えば、10分ごと等の定期的なタイミングにおいて、焼却設備100aに設けられた測定装置(図示せず)によって測定された実績PV131(監視装置2によって測定された実績PV131)を取得する。具体的に、データ取得部111は、例えば、焼却炉16(後述)に設けられた温度計によって測定された焼却炉16内の温度を実績PV131として取得する。そして、データ取得部111は、例えば、取得した実績PV131を情報格納領域130に記憶する。
【0136】
また、データ取得部111は、例えば、10分ごと等の定期的なタイミングにおいて、作業者が焼却設備100aにおいて設定した実績SV132(監視装置2によって設定された実績SV132)を取得する。具体的に、データ取得部111は、例えば、乾燥機12(後述)内に設けられた回転ドラムの回転数を実績SV132として取得する。そして、データ取得部111は、例えば、取得した実績SV132を情報格納領域130に記憶する。
【0137】
なお、データ取得部111は、例えば、作業者が焼却設備100aにおいて操作を行った実績MVを取得するものであってもよい。そして、データ取得部111は、例えば、取得した実績MVを情報格納領域130に記憶するものであってよい。
【0138】
データ抽出部112は、例えば、データ取得部111が取得した実績PV131(情報格納領域130に記憶された実績PV131)から複数の教師データDPを抽出する。具体的に、データ抽出部112は、例えば、データ取得部111が取得した実績PV131についての前処理(以下、単に第1前処理とも呼ぶ)を行った後、第1前処理を行った実績PV131を含めることによって各教師データDPを生成する。第1前処理は、例えば、いわゆる生データである実績PV131の形式を教師データDPに含めるデータの形式として適切な形式(例えば、予め定められた形式)に変換する処理である。
【0139】
複数の教師データDPのそれぞれは、例えば、データ取得部111が複数のタイミング(所定期間に含まれる複数のタイミング)において取得した複数の実績PV131を含む教師データである。言い換えれば、複数の教師データDPのそれぞれは、例えば、データ取得部111が取得した実績PV131と、その実績PV131の所定時間後(例えば、数時間後)にデータ取得部111が取得した実績PV131(以下、他の実績PV131とも呼ぶ)とを含む。具体的に、複数の教師データDPのそれぞれは、例えば、第1タイミング(所定期間に含まれるタイミングの1つ)における焼却炉16内の温度を実績PV131として含み、第1タイミングの所定時間後の第2タイミング(所定期間に含まれるタイミングの1つ)における焼却炉16内の温度を他の実績PV131として含むものであってよい。
【0140】
そして、データ抽出部112は、例えば、抽出した複数の教師データDPを情報格納領域130に記憶する。なお、複数の教師データDPには、例えば、実績SV132や実績MVがさらに含まれるものであってよい。
【0141】
また、データ抽出部112は、例えば、データ取得部111が取得した実績PV131(情報格納領域130に記憶された実績PV131)と、データ取得部111が取得した介入対象の実績SV132(情報格納領域130に記憶された介入対象の実績SV132)とから複数の教師データDEを抽出する。具体的に、データ抽出部112は、例えば、データ取得部111が取得した実績PV131と、データ取得部111が取得した介入対象の実績SV132とのそれぞれについての前処理(以下、第2前処理とも呼ぶ)を行った後、第2前処理を行った実績PV131と、第2前処理を行った介入対象の実績SV132とのそれぞれを含めることによって各教師データDEを生成する。第2前処理は、例えば、いわゆる生データである実績PV131と介入対象の実績SV132との形式を教師データDEに含めるデータの形式として適切な形式(例えば、予め定められた形式)に変換する処理である。
【0142】
複数の教師データDEのそれぞれは、例えば、データ取得部111が取得した実績PV131と、その実績PV131が測定された際の介入対象における実績SV132とを含む教師データである。具体的に、複数の教師データDEのそれぞれは、例えば、焼却炉16内の温度を実績PV131として含み、乾燥機12における回転ドラムの回転数を実績SV132として含むものであってよい。
【0143】
そして、データ抽出部112は、例えば、抽出した複数の教師データDEを情報格納領域130に記憶する。なお、複数の教師データDEには、例えば、実績MVがさらに含まれるものであってよい。
【0144】
モデル生成部113は、例えば、データ抽出部112が抽出した複数の教師データDP(情報格納領域130に記憶された複数の教師データDP)の学習を行うことによって時系列予測モデルMPを生成する。なお、時系列予測モデルMPは、例えば、複数の教師データDPの学習を行わないモデル(例えば、数式等からなるモデル)であってもよい。
【0145】
また、モデル生成部113は、例えば、データ抽出部112が抽出した複数の教師データDE(情報格納領域130に記憶された複数の教師データDE)の学習を行うことによってPV推定モデルMEを生成する。
【0146】
[推定処理における機能]
次に、介入対象算出処理における機能のうち、推定処理における機能について説明を行う。以下、第4の実施の形態の推定処理における機能について説明を行う。
【0147】
データ取得部111は、例えば、10分ごと等の定期的なタイミングにおいて、焼却設備100aに設置された測定装置によって測定された実績PV131を取得する。また、データ取得部111は、例えば、10分ごと等の定期的なタイミングにおいて、焼却設備100aにおいて設定されている実績SV132を取得する。なお、データ取得部111は、例えば、10分ごと等の定期的なタイミングにおいて、焼却設備100aにおける実績MVについても取得するものであってよい。
【0148】
稼働監視部114は、例えば、データ取得部111が取得した実績PV131及び実績SV132のうちの少なくともいずれかに基づいて、焼却設備100aが稼働中であるか否かを判定する。具体的に、稼働監視部114は、例えば、データ取得部111が実績PV131を取得するごとに、取得した実績PV131を参照することによって焼却設備100aが稼働中であるか否かを判定する。また、稼働監視部114は、例えば、データ取得部111が実績SV132を取得するごとに、取得した実績SV132を参照することによって焼却設備100aが稼働中であるか否かを判定する。なお、稼働監視部114は、例えば、データ取得部111が取得した実績MVや、データ取得部111が取得した実績PV131等から算出した合成変数を参照することによって、焼却設備100aが稼働中であるか否かを判定するものであってもよい。
【0149】
測定予測部115は、例えば、焼却設備100aが稼働中であると稼働監視部114が判定した場合、データ取得部111が取得した実績PV131を時系列予測モデルMPに対して入力する。具体的に、測定予測部115は、例えば、データ取得部111が実績PV131を取得するごとに、取得した実績PV131を時系列予測モデルMPに対して入力する。そして、測定予測部115は、例えば、時系列予測モデルMPから出力された第2予測PV131bを取得する。
【0150】
設定推定部116は、例えば、測定予測部115が取得した第2予測PV131bが第2条件を満たすか否かを判定する。具体的に、設定推定部116は、例えば、測定予測部115が第2予測PV131bを取得するごとに、取得した第2予測PV131bが第2条件を満たすか否かを判定する。言い換えれば、設定推定部116は、例えば、データ取得部111が実績PV131を取得した所定時間後に取得される実績PV131が第2条件を満たすか否かを判定する。
【0151】
なお、設定推定部116は、例えば、実績PV131や実績SV132や実績MVや合成変数が第2条件を満たすか否かを判定するものであってもよい。そして、第2条件は、この場合、例えば、実績PV131や実績SV132や実績MVや合成変数が予め定められた許容範囲内に含まれていること、または、実績PV131や実績SV132や実績MVや合成変数と目標値との差が閾値以下であることであってよい。
【0152】
そして、第2予測PV131bが第2条件を満たさないと判定した場合、設定推定部116は、例えば、介入対象SVの候補133aを選択(探索)する。すなわち、設定推定部116は、この場合、例えば、焼却設備100aにおける焼却状態が今後正常な状態でなくなる可能性があると判定し、焼却設備100aにおける焼却状態を改善させることを可能とする介入対象SV133を推定する処理の実行を開始する。
【0153】
続いて、設定推定部116は、例えば、選択した介入対象SVの候補133aをPV推定モデルMEに入力する。そして、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力された第1予測PV131aを取得する。
【0154】
その結果、例えば、取得した第1予測PV131aが第2条件を満たさない場合、設定推定部116は、第1予測PV131aを用いることによって介入対象SVの候補133aを選択(探索)する。具体的に、設定推定部116は、この場合、例えば、逆問題解析モデルPGを用いることによって、介入対象SVの候補133aの選択(探索)を行う。そして、設定推定部116は、例えば、選択した介入対象SVの候補133aをPV推定モデルMEに入力する。その後、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力された第1予測PV131aを再度取得する。
【0155】
その結果、例えば、再度取得した第1予測PV131aが第2条件を満たす場合、設定推定部116は、再度取得した第1予測PV131aに対応する介入対象SVの候補133aを介入対象SV133(新たな介入対象SV133)として出力する。具体的に、設定推定部116は、この場合、例えば、介入対象SV133を監視装置2に送信する。そして、監視装置2は、例えば、受信した介入対象SV133を用いることによって、焼却設備100aの制御を行う。
【0156】
一方、例えば、再度取得した第1予測PV131aが第2条件を満たさない場合、設定推定部116は、再度取得した第1予測PV131aを用いることによって介入対象SVの候補133aを再度選択(探索)する。その後、設定推定部116は、例えば、PV推定モデルMEから出力される第1予測PV131aが第2条件を満たすまで、第1予測PV131aを取得する処理と介入対象SVの候補133aを選択する処理とを繰り返し行う。
【0157】
[第4の実施の形態における学習処理]
次に、第4の実施の形態における学習処理について説明する。図11は、第4の実施の形態における学習処理を説明するフローチャート図である。具体的に、図11(A)は、時系列予測モデルMPを生成する場合における学習処理を説明するフローチャート図であり、図11(B)は、PV推定モデルMEを生成する場合における学習処理を説明するフローチャート図である。
【0158】
データ抽出部112は、図11(A)に示すように、例えば、複数の教師データDPを抽出する(ステップS1)。具体的に、データ抽出部112は、例えば、作業者が複数の教師データDPの生成を行う旨の情報を入力したことに応じてステップS1を行う。そして、データ抽出部112は、例えば、抽出した複数の教師データDPを情報格納領域130に記憶する。なお、データ抽出部112は、例えば、作業者が手動によって抽出した複数の教師データDPを情報格納領域130に記憶するものであってもよい。
【0159】
その後、モデル生成部113は、例えば、ステップS1で抽出した複数の教師データDP(情報格納領域130に記憶された複数の教師データDP)の学習を行うことによって時系列予測モデルMPを生成する(ステップS2)。
【0160】
また、データ抽出部112は、図11(B)に示すように、例えば、複数の教師データDEを抽出する(ステップS3)。具体的に、データ抽出部112は、例えば、作業者が複数の教師データDEの抽出を行う旨の情報を入力したことに応じてステップS3を行う。そして、データ抽出部112は、例えば、抽出した複数の教師データDEを情報格納領域130に記憶する。なお、データ抽出部112は、例えば、作業者が手動によって抽出した複数の教師データDEを情報格納領域130に記憶するものであってもよい。
【0161】
その後、モデル生成部113は、例えば、ステップS3で抽出した複数の教師データDE(情報格納領域130に記憶された複数の教師データDE)の学習を行うことによってPV推定モデルMEを生成する(ステップS4)。
【0162】
[第4の実施の形態における推定処理]
次に、第4の実施の形態における推定処理について説明する。図12は、第4の実施の形態における推定処理を説明するフローチャート図である。また、図13から図14は、第4の実施の形態における推定処理を説明する図である。
【0163】
データ取得部111は、図12に示すように、例えば、10分ごと等の定期的なタイミングにおいて、焼却設備100aに設けられた測定装置(図示せず)によって測定された実績PV131と、焼却設備100aにおいて設定されている実績SV132とを取得する(ステップS11)。
【0164】
具体的に、例えば、後述する図16に示す複数の教師データDPを学習することによって時系列予測モデルMPが生成されている場合、データ取得部111は、「焼却炉内温度」に対応する値を実績PV131として取得し、「乾燥機汚泥投入量」、「乾燥機入口温度」、「乾燥機回転数」及び「乾燥機出口温度」のそれぞれに対応する値を実績SV132(実績SV132の組み合わせ)として取得する。
【0165】
続いて、測定予測部115は、図13に示すように、例えば、ステップS11で取得した実績PV131と実績SV132とを時系列予測モデルMPに対して入力する。そして、測定予測部115は、例えば、時系列予測モデルMPから出力された第2予測PV131bを取得する(ステップS12)。
【0166】
具体的に、例えば、後述する図16に示す複数の教師データDPを学習することによって時系列予測モデルMPが生成されている場合、測定予測部115は、例えば、「焼却炉内温度」に対応する値を第2予測PV131bとして取得する。
【0167】
続いて、設定推定部116は、例えば、ステップS12で取得した第2予測PV131bが第2条件を満たすか否かを判定する(ステップS13)。なお、例えば、第2予測PV131bが「焼却炉内温度」に対応する値である場合、第2条件は、750℃以上であって800℃以下であることであってよい。
【0168】
その結果、ステップS12で取得した第2予測PV131bが第2条件を満たすと判定した場合(ステップS13のYES)、制御装置1は、例えば、推定処理を終了する。すなわち、制御装置1は、この場合、焼却設備100aの稼働状態が正常な状態であると判定して推定処理を終了する。
【0169】
一方、ステップS12で取得した第2予測PV131bが第2条件を満たさないと判定した場合(ステップS13のNO)、設定推定部116は、例えば、焼却設備100aにおいて設定することが好ましい介入対象SV133(新たな介入対象SV133)を選択(探索)する(ステップS14)。
【0170】
具体的に、設定推定部116は、ステップS14において、例えば、第1の実施の形態における推定処理、第2の実施の形態における推定処理または第3の実施の形態における推定処理を実行する。
【0171】
その後、設定推定部116は、例えば、ステップS14において探索した介入対象SVの候補133aのうちのいずれかを介入対象SV133として監視装置2に送信する。
【0172】
このように、本実施の形態における制御装置1は、例えば、第1予測PV131aが第2条件を満たすまで、第1予測PV131aを算出する処理と介入対象SVの候補133aを算出する処理とを繰り返し行う。そして、制御装置1は、例えば、第2条件を満たす第1予測PV131aに対応する介入対象SVの候補133aを介入対象SV133として算出する。
【0173】
具体的に、制御装置1は、例えば、監視装置2によって測定された実績PV131が第2条件を満たさない場合に、PV推定モデルMEを用いることにより、第1予測PV131aを算出する。
【0174】
さらに具体的に、制御装置1は、例えば、時系列予測モデルMPを用いることにより、第1タイミングにおける実績PV131から第1タイミングよりも後の第2タイミングにおける第2予測PV131bを算出する。そして、制御装置1は、例えば、算出した第2予測PV131bが第2条件を満たさない場合に、PV推定モデルMEを用いることにより、第1予測PV131aを算出する。
【0175】
すなわち、本実施の形態における制御装置1は、例えば、時系列予測モデルMPによって算出した第2予測PV131bが第2条件を満たしていない場合、焼却設備100aにおける汚泥の焼却状態が今後正常な状態でなくなる可能性があると判定し、焼却設備100aにおける汚泥の焼却状態についての制御を開始する。
【0176】
具体的に、図14に示すように、例えば、現在の時刻である時刻t1(第1タイミング)における実績PV131が正常範囲内の上限閾値(以下、単に上限閾値とも呼ぶ)であるV2よりも小さいV1である場合であっても、時刻t1の所定時間後の時刻t3(第2タイミング)における実績PV131の第2予測PV131bがV3であり、上限閾値であるV2を上回ると予測した場合(図12のステップS13のNO)、制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける汚泥の焼却状態が時刻t3の時点において正常な状態でなくなる可能性があると判定し、焼却設備100aにおける汚泥の焼却状態についての制御を開始する(図12のステップS14)。
【0177】
さらに具体的に、例えば、焼却設備100aにおいて新たな介入対象SV133を設定してから焼却設備100aにおける汚泥の焼却状態が変化(改善)するまでの時間が時間Tである場合、制御装置1は、例えば、時刻t3よりも時間Tだけ前の時刻である時刻t2までに、焼却設備100aにおける汚泥の焼却状態についての制御を開始する。
【0178】
これにより、本実施の形態における制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける現在の焼却状態が正常な状態にない場合だけでなく、焼却設備100aにおける焼却状態が今後正常な状態でなくなる可能性がある場合においても、焼却設備100aにおける焼却状態が正常な状態が維持されるように自動制御を行うことが可能になる。そのため、制御装置1は、例えば、焼却設備100aにおける運転制御が作業者の手動によって行われる場合と比較して、作業者の負荷をより抑制することが可能になる。
【0179】
[処理システム1000の構成]
次に、第1の実施の形態から第4の実施の形態における処理システム1000の構成について説明を行う。図15は、処理システム1000の構成について説明する図である。以下、焼却設備100aにおける介入対象SV133のうち、他の介入対象SV133の影響を受けずに決定される介入対象SV133を1次介入対象SV133とも呼び、1次介入対象SV133の影響を受ける可能性がある介入対象SV133を2次介入対象SV133とも呼ぶ。なお、図15に示すライン(配管)や弁の配置位置や数はこれに限られない。
【0180】
焼却設備100aは、図15に示すように、例えば、切出装置11と、乾燥機12と、投入装置13と、炭化炉14と、集塵機15と、焼却炉16と、熱交換器17と、熱交換器18と、熱交換器19と、排ガス処理システム20とを有する。また、焼却設備100aは、例えば、汚泥移送ポンプP1と、空気循環ポンプP2と、誘引機F1と、送風機B1と、送風機B2とを有する。誘引機F1は、例えば、ファンやブロワ等の空気を誘引する機能を有する機器である。また、送風機B1及び送風機B2のそれぞれは、例えば、ファンやブロワ等の空気を送風する機能を有する機器である。
【0181】
なお、以下、焼却設備100aが炭化炉14を有する場合について説明を行うがこれに限られない。具体的に、焼却設備100aは、例えば、炭化炉14を有しないものであってもよい。また、焼却設備100aは、例えば、炭化炉14に代えてガス化炉を有するものであってもよい。
【0182】
切出装置11は、例えば、図示しない前段設備(例えば、汚泥の脱水装置)を介して供給された汚泥(脱水ケーキ)を切り出す装置である。
【0183】
汚泥移送ポンプP1は、例えば、切出装置11によって切り出された汚泥を乾燥機12に供給(移送)するポンプである。
【0184】
具体的に、汚泥移送ポンプP1は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って、乾燥機12に対する汚泥の供給を行う。さらに具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、乾燥機12に対する汚泥の投入量についての介入対象SV133を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133を汚泥移送ポンプP1に対して送信する。
【0185】
乾燥機12は、例えば、汚泥移送ポンプP1によって切出装置11から供給された汚泥を乾燥させることにより、汚泥の含水率を低下させる。そして、乾燥機12は、例えば、乾燥させた汚泥を投入装置13に供給する。
【0186】
具体的に、乾燥機12は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って、切出装置11から供給された汚泥の乾燥を行う。さらに具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、乾燥機12内に設けられた回転ドラム(図示せず)の回転数についての介入対象SV133を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133を乾燥機12に対して送信する。
【0187】
なお、乾燥機12において汚泥の乾燥に用いられた空気は、図15に示すように、例えば、空気循環ポンプP2によって熱交換器19に供給される。そして、熱交換器19によって昇温された空気は、例えば、都市ガス等の気体燃料(以下、単に気体燃料とも呼ぶ)を燃焼させるバーナ12aによってさらに昇温された後、乾燥機12内に供給されて汚泥の乾燥に再度用いられる。さらに、乾燥機12には、例えば、乾燥機12内の温度を低下させるための冷却水が必要に応じて供給される。
【0188】
また、図15に示す例において、弁V1は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って開度の調整を行うことにより、バーナ12aに対する気体燃料の供給量を調整する。具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、乾燥機12の入口側における空気の温度についての介入対象SV133(1次介入対象SV133)を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133と、乾燥機12の入口側における空気の温度(例えば、現在の温度)についての実績PVとから、弁V1における気体燃料の流量についての介入対象SV133(2次介入対象SV133)を算出する。さらに、監視装置2は、例えば、監視装置2が算出した介入対象SV133と、弁V1における気体燃料の流量(例えば、現在の流量)についての実績PVとから、弁V1の開度についての介入対象MVを算出する。その後、監視装置2は、例えば、算出した介入対象MVを弁V1に対して送信する。
【0189】
また、弁V2は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って開度の調整を行うことにより、乾燥機12に対する冷却水の供給量を調整する。具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、乾燥機12の入口側における空気の温度についての介入対象SV133(1次介入対象SV133)を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133と、乾燥機12の入口側における空気の温度(例えば、現在の温度)についての実績PVとから、弁V2における冷却水の流量についての介入対象SV133(2次介入対象SV133)を算出する。さらに、監視装置2は、例えば、監視装置2が算出した介入対象SV133と、弁V2における冷却水の流量(例えば、現在の流量)についての実績PVとから、弁V2の開度についての介入対象MVを算出する。その後、監視装置2は、例えば、算出した介入対象MVを弁V2に対して送信する。
【0190】
投入装置13は、例えば、乾燥機12から供給された汚泥を一時的に蓄積し、蓄積した汚泥を炭化炉14に順次投入する装置である。
【0191】
具体的に、投入装置13は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って、乾燥機12から供給された汚泥を炭化炉14に投入する。さらに具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、投入装置13内に設けられたフィーダ(図示せず)の回転数についての介入対象SV133を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133を投入装置13に対して送信する。
【0192】
炭化炉14は、例えば、投入装置13から供給された汚泥の熱分解を行うことによって炭化物(固形物)とガス(可燃ガス)とに分解する炉である。そして、炭化炉14は、例えば、熱分解によって発生したガスを焼却炉16に排出するとともに、熱分解によって発生した炭化物を炭化炉14の外部に排出する。
【0193】
なお、炭化炉14における熱分解に用いられる空気は、図15に示すように、例えば、送風機B1によって供給される空気(大気)であり、熱交換器17によって昇温されてから炭化炉14に供給される。また、炭化炉14には、例えば、炭化炉14内の温度を低下させるための冷却水が必要に応じて供給される。さらに、炭化炉14には、例えば、燃焼によって炭化炉14内の温度を昇温させるための気体燃料が必要に応じて供給される。
【0194】
また、図15に示す例において、弁V3は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って開度の調整を行うことにより、炭化炉14に対する空気の供給量を調整する。具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、炭化炉14内の温度についての介入対象SV133(1次介入対象SV133)を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133と、炭化炉14内の温度(例えば、現在の温度)についての実績PVとから、弁V3における空気の流量についての介入対象SV133(2次介入対象SV133)を算出する。弁における空気の流量についての介入対象SV133は、例えば、弁の開度である。さらに、監視装置2は、例えば、監視装置2が算出した介入対象SV133と、弁V3における空気の流量(例えば、現在の流量)についての介入対象SV133とから、弁V3の開度についての介入対象MVを算出する。その後、監視装置2は、例えば、算出した介入対象MVを弁V3に対して送信する。
【0195】
また、弁V4は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って開度の調整を行うことにより、炭化炉14に対する冷却水の供給量を調整する。具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、炭化炉14内の温度についての介入対象SV133(1次介入対象SV133)を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133と、炭化炉14内の温度(例えば、現在の温度)についての実績PVとから、弁V4における冷却水の流量についての介入対象SV133(2次介入対象SV133)を算出する。さらに、監視装置2は、例えば、監視装置2が算出した介入対象SV133と、弁V4における冷却水の流量(例えば、現在の流量)についての実績PVとから、弁V4の開度についての介入対象MVを算出する。その後、監視装置2は、例えば、算出した介入対象MVを弁V4に対して送信する。
【0196】
また、弁V5は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って開度の調整を行うことにより、炭化炉14に設けられたバーナ(図示せず)に対する気体燃料の供給量を調整する。具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、焼却炉16内の温度についての介入対象SV133(1次介入対象SV133)を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133と、焼却炉16内の温度(例えば、現在の温度)についての実績PVとから、弁V5における気体燃料の流量についての介入対象SV133(2次介入対象SV133)を算出する。さらに、監視装置2は、例えば、監視装置2が算出した介入対象SV133と、弁V5における気体燃料の流量(例えば、現在の流量)についての実績PVとから、弁V5の開度についての介入対象MVを算出する。その後、監視装置2は、例えば、算出した介入対象MVを弁V5に対して送信する。
【0197】
集塵機15は、例えば、炭化炉14の後段に設置され、炭化炉14から焼却炉16に供給されるガス(炭化炉14における熱分解によって発生したガス)に含まれる炭化物を除去する。
【0198】
焼却炉16は、例えば、炭化炉14から供給されたガスを燃焼(完全燃焼)させる炉である。そして、焼却炉16において例えばガスの燃焼によって発生した排ガスは、焼却炉16の出口と排ガス処理システム20の入口とを接続する配管を介して誘引機F1により排ガス処理システム20まで誘引される。この配管には、例えば、熱交換器17、熱交換器18及び熱交換器19が設けられる。
【0199】
なお、焼却炉16においてガスの燃焼に用いられる空気は、例えば、乾燥機12において汚泥の乾燥に用いられた空気(空気循環ポンプP2によって供給される空気)の一部を含む。また、焼却炉16においてガスの燃焼に用いられる空気は、例えば、送風機B2によって供給された空気(大気)の一部であって、熱交換器18によって昇温されてから焼却炉16に供給される空気を含む。また、焼却炉16には、例えば、焼却炉16内の温度を低下させるための冷却水が必要に応じて供給される。さらに、焼却炉16には、例えば、燃焼によって焼却炉16内の温度を昇温させるための気体燃料が必要に応じて供給される。そして、焼却炉16では、例えば、バーナ16aが送風機B2から供給された空気の一部を用いて気体燃料を燃焼させることにより、焼却炉16内の温度が昇温される。
【0200】
また、図15に示す例において、弁V6は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って開度の調整を行うことにより、送風機B2から焼却炉16に対する空気の供給量を調整する。具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、焼却炉16内の温度についての介入対象SV133(1次介入対象SV133)を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133と、焼却炉16内の温度(例えば、現在の温度)についての実績PVとから、弁V6における空気の流量についての介入対象SV133(2次介入対象SV133)を算出する。さらに、監視装置2は、例えば、監視装置2が算出した介入対象SV133と、弁V6における空気の流量(例えば、現在の流量)についての介入対象SV133とから、弁V6の開度についての介入対象MVを算出する。その後、監視装置2は、例えば、算出した介入対象MVを弁V6に対して送信する。
【0201】
また、弁V7は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って開度の調整を行うことにより、送風機B2からバーナ16aに対する空気の供給量を調整する。具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、焼却炉16内の温度についての介入対象SV133(1次介入対象SV133)を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133と、焼却炉16内の温度(例えば、現在の温度)についての実績PVとから、弁V7における空気の流量についての介入対象SV133(2次介入対象SV133)を算出する。さらに、監視装置2は、例えば、監視装置2が算出した介入対象SV133と、弁V7における空気の流量(例えば、現在の流量)についての介入対象SV133とから、弁V7の開度についての介入対象MVを算出する。その後、監視装置2は、例えば、算出した介入対象MVを弁V7に対して送信する。
【0202】
また、弁V8は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って開度の調整を行うことにより、焼却炉16に対する冷却水の供給量を調整する。具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、焼却炉16から排出された排ガスの温度についての介入対象SV133(1次介入対象SV133)を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133と、焼却炉16から排出された排ガスの温度(例えば、現在の温度)についての実績PVとから、弁V8における冷却水の流量についての介入対象SV133(2次介入対象SV133)を算出する。さらに、監視装置2は、例えば、監視装置2が算出した介入対象SV133と、弁V8における冷却水の流量(例えば、現在の流量)についての実績PVとから、弁V8の開度についての介入対象MVを算出する。その後、監視装置2は、例えば、算出した介入対象MVを弁V8に対して送信する。
【0203】
また、弁V9は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って開度の調整を行うことにより、バーナ16aに対する気体燃料の供給量を調整する。具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、焼却炉16内の温度についての介入対象SV133(1次介入対象SV133)を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133と、焼却炉16内の温度(例えば、現在の温度)についての実績PVとから、弁V9における気体燃料の流量についての介入対象SV133(2次介入対象SV133)を算出する。さらに、監視装置2は、例えば、監視装置2が算出した介入対象SV133と、弁V9における気体燃料の流量(例えば、現在の流量)についての実績PVとから、弁V9の開度についての介入対象MVを算出する。その後、監視装置2は、例えば、算出した介入対象MVを弁V9に対して送信する。
【0204】
また、弁V10は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って開度の調整を行うことにより、焼却炉16に対する、乾燥機12において汚泥の乾燥に用いられた空気の供給量を調整する。具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、乾燥機12の出口の圧力についての介入対象SV133(1次介入対象SV133)を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133と、乾燥機12の出口圧力(例えば、現在の圧力)についての実績PVとから、弁V10における空気の流量についての介入対象SV133(2次介入対象SV133)を算出する。さらに、監視装置2は、例えば、監視装置2が算出した介入対象SV133と、弁V10における空気の流量(例えば、現在の流量)についての介入対象SV133とから、弁V10の開度についての介入対象MVを算出する。その後、監視装置2は、例えば、算出した介入対象MVを弁V10に対して送信する。
【0205】
また、弁V11は、例えば、監視装置2によって指定された介入対象SV133に従って開度の調整を行うことにより、乾燥機12から熱交換器19に対する空気の供給量を調整する。具体的に、制御装置1は、例えば、介入対象算出処理を実行することによって、乾燥機12の出口側または入口側における空気の温度についての介入対象SV133(1次介入対象SV133)を算出する。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって算出された介入対象SV133と、乾燥機12の出口側または入口側における空気の温度(例えば、現在の温度)についての実績PVとから、弁V11における空気の流量についての介入対象SV133(2次介入対象SV133)を算出する。さらに、監視装置2は、例えば、監視装置2が算出した介入対象SV133と、弁V11における空気の流量(例えば、現在の流量)についての介入対象SV133とから、弁V11の開度についての介入対象MVを算出する。その後、監視装置2は、例えば、算出した介入対象MVを弁V11に対して送信する。
【0206】
熱交換器17は、例えば、焼却炉16から排出された排ガスと送風機B1によって供給された空気(大気)との間において熱交換を行う。具体的に、熱交換器17は、例えば、焼却炉16から供給された排ガスの廃熱を用いることによって、送風機B1から供給された空気を昇温する。そして、熱交換器17は、例えば、昇温された空気を炭化炉14に供給する。
【0207】
熱交換器18は、例えば、熱交換器17から供給された排ガスと送風機B2によって供給された空気(大気)の一部との間において熱交換を行う。具体的に、熱交換器18は、例えば、熱交換器17から供給された排ガスの廃熱を用いることによって、送風機B2から供給された空気の一部を昇温する。そして、熱交換器18は、例えば、昇温された空気を焼却炉16に供給する。
【0208】
熱交換器19は、例えば、熱交換器18から供給された排ガスと乾燥機12(空気循環ポンプP2)から供給された空気の一部との間において熱交換を行う。具体的に、熱交換器19は、例えば、熱交換器18から供給された排ガスの廃熱を用いることによって、乾燥機12から供給された空気の一部を昇温する。そして、熱交換器19は、例えば、昇温された空気を乾燥機12(バーナ12a)に供給する。
【0209】
排ガス処理システム20は、例えば、熱交換器19から供給された排ガス中の水蒸気が白煙として見えることを防止する加熱空気(白煙防止空気)を生成する白煙防止空気予熱器(図示せず)と、排ガスの不純物を集塵する集塵機(図示せず)と、薬剤と接触させることによって排ガス中のSO等の成分を除去する洗煙処理塔(図示せず)とを有する。
【0210】
誘引機F1は、例えば、排ガス処理システム20の後段に設けられ、炭化炉14において発生するガスを焼却炉16に誘引するとともに、焼却炉16において発生する排ガスを排ガス処理システム20に誘引する。すなわち、誘引機F1は、例えば、炭化炉14において発生するガスを誘引し、誘引機F1の一次側に設置された弁により、炭化炉14の炉内圧力を制御する。誘引機F1が誘引した排ガスは、煙突(図示せず)を介して外部に放出される。
【0211】
このように、第1の実施の形態から第4の実施の形態における処理システム1000において、処理設備100が焼却設備100aである場合、焼却設備100aは、例えば、汚泥を焼却する焼却炉16と、焼却炉16の廃熱から回収されたエネルギーを少なくとも一部を用いることによって、焼却炉16における被焼却物(例えば、汚泥)と、焼却炉16から排出される物質(例えば、焼却灰)と、焼却炉16から排出される流体(例えば、排ガス)とのうちの少なくともいずれかを処理する処理装置と、を備えるものであってよい。具体的に、処理装置は、例えば、乾燥機12や誘引機F1や排ガス処理システム20であってよい。また、実績PV131は、この場合、例えば、焼却炉16における実績PV131であってよい。さらに、介入対象SV133は、この場合、例えば、処理装置における介入対象SV133であってよい。
【0212】
[複数の教師データDPの具体例]
次に、処理設備100が焼却設備100aである場合における複数の教師データDPの具体例について説明を行う。図16は、複数の教師データDPの具体例について説明する図である。
【0213】
図16に示す複数の教師データDPのそれぞれは、例えば、焼却炉16に設けられた温度計(図示せず)によって測定された焼却炉16内の温度(例えば、複数のタイミングにおける温度のそれぞれ)が設定される「焼却炉内温度」を項目として有する。また、図16に示す複数の教師データDPのそれぞれは、例えば、切出装置11と乾燥機12との間の配管に設けられた流量計(図示せず)によって測定された汚泥の量(切出装置11から乾燥機12に対する汚泥の投入量)が設定される「乾燥機汚泥投入量」と、例えば、熱交換器19と乾燥機12との間の配管における乾燥機12の入口側に設けられた温度計(図示せず)によって測定された温度(熱交換器19から乾燥機12に対して供給される空気の温度)が設定される「乾燥機入口温度」とを項目として有する。また、図16に示す複数の教師データDPのそれぞれは、例えば、乾燥機12内に設けられた回転ドラムの回転数(最大回転数に対する割合(例えば、百分率等))が設定される「乾燥機回転数」と、例えば、乾燥機12と熱交換器19との間の配管における乾燥機12の出口側に設けられた温度計(図示せず)によって測定された温度(乾燥機12から熱交換器19に対して供給される空気の温度)が設定される「乾燥機出口温度」とを項目として有する。
【0214】
具体的に、図16に示す1行目の教師データDPには、例えば、「焼却炉内温度」として「950(℃)」が設定され、「乾燥機汚泥投入量」として「3.0(t/h)」が設定され、「乾燥機入口温度」として「450(℃)」が設定され、「乾燥機回転数」として「22(%)」が設定され、「乾燥機出口温度」として「180(℃)」が設定されている。
【0215】
また、図16に示す2行目の教師データDPには、例えば、「焼却炉内温度」として「950(℃)」が設定され、「乾燥機汚泥投入量」として「3.0(t/h)」が設定され、「乾燥機入口温度」として「450(℃)」が設定され、「乾燥機回転数」として「20(%)」が設定され、「乾燥機出口温度」として「180(℃)」が設定されている。図16に示す他の教師データDPの説明については省略する。
【0216】
[複数の教師データDEの具体例]
次に、処理設備100が焼却設備100aである場合における複数の教師データDEの具体例について説明を行う。図17は、複数の教師データDEの具体例について説明する図である。
【0217】
図17に示す複数の教師データDEのそれぞれは、例えば、図16で説明した場合と同様に、「焼却炉内温度」、「乾燥機汚泥投入量」、「乾燥機入口温度」、「乾燥機回転数」及び「乾燥機出口温度」を項目として有する。
【0218】
具体的に、図17に示す1行目の教師データDEには、例えば、「焼却炉内温度」として「950(℃)」が設定され、「乾燥機汚泥投入量」として「2.7(t/h)」が設定され、「乾燥機入口温度」として「450(℃)」が設定され、「乾燥機回転数」として「18(%)」が設定され、「乾燥機出口温度」として「180(℃)」が設定されている。
【0219】
また、図17に示す2行目の教師データDEには、例えば、「焼却炉内温度」として「950(℃)」が設定され、「乾燥機汚泥投入量」として「2.7(t/h)」が設定され、「乾燥機入口温度」として「460(℃)」が設定され、「乾燥機回転数」として「18(%)」が設定され、「乾燥機出口温度」として「180(℃)」が設定されている。図17に示す他の教師データDEの説明については省略する。
【0220】
なお、複数の教師データDP及び複数の教師データDEは、例えば、「乾燥機汚泥投入量」、「乾燥機入口温度」、「乾燥機回転数」及び「乾燥機出口温度」に加え、投入装置13内に設けられたフィーダ(図示しない)の回転数や、炭化炉14に設けられた温度計(図示せず)によって測定された温度(炭化炉14内の温度)や、炭化炉14に設けられた圧力計(図示せず)によって測定された圧力(炭化炉14内の圧力)や、焼却炉16と熱交換器17との間の配管における焼却炉16の出口側に設けられた温度計(図示せず)によって測定された温度(焼却炉16から熱交換器17に対して排出される排ガスの温度)等を項目として有するものであってもよい。
【0221】
すなわち、制御装置1は、例えば、PV推定モデルMEを用いることによって、焼却設備100aにおける1次介入対象SV133(例えば、図15で説明した1次介入対象SV133)の推定を行うものであってよい。そして、監視装置2は、例えば、制御装置1によって推定された1次介入対象SV133を用いることによって、焼却設備100aにおける2次介入対象SV133(例えば、図15で設定した2次介入対象SV133)の算出をするものであってもよい。
【0222】
これにより、制御装置1は、例えば、1次介入対象SV133の影響を受ける2次介入対象SV133の制御についても高精度に行うことが可能になる。また、制御装置1は、この場合、例えば、介入対象算出処理において2次介入対象SV133の推定を行わないため、介入対象算出処理の実行に伴う処理負担を抑制することが可能になる。なお、制御装置1は、例えば、時系列予測モデルMPとPV推定モデルMEとを用いることによって、焼却設備100aにおける1次介入対象SV133を推定するものであってもよい。
【0223】
また、データ抽出部112は、例えば、推定処理においても、データ取得部111によって取得された実績PV131や焼却設備100aにおいて設定されている介入対象SV133を用いることにより、新たな教師データDPや新たな教師データDEの抽出(生成)を継続して行うものであってもよい。そして、モデル生成部113は、例えば、後述する推定処理においても、新たな教師データDPを用いた時系列予測モデルMPの学習や新たな教師データDEを用いたPV推定モデルMEの学習を継続して行うものであってもよい。
【0224】
これにより、制御装置1は、例えば、時系列予測モデルMPやPV推定モデルMEの判定精度をより向上させることが可能になる。
【0225】
[処理システム1000の変形例の構成(1)]
次に、第1の実施の形態から第4の実施の形態における処理システム1000の第1の変形例(以下、単に第1の変形例とも呼ぶ)について説明を行う。図18は、処理システム1000の第1の変形例における構成について説明する図である。
【0226】
第1の変形例における処理設備100は、例えば、原水等の被処理水(以下、単に被処理水とも呼ぶ)についての浄水処理を行う浄水設備100bである。そして、第1の変形例における監視装置2は、例えば、浄水設備100bにおける処理状態の監視を行う。
【0227】
浄水設備100bは、図18に示すように、例えば、沈砂池210と、着水井220と、混和池230と、フロック形成池240(以下、単に形成池240とも呼ぶ)と、沈殿池250と、濾過池260と、浄水池270と、配水池280と、貯留槽Tと、ポンプP11とを有する。
【0228】
沈砂池210は、例えば、被処理水が最初に流入する槽であり、被処理水に含まれる土砂等を沈殿除去する槽である。
【0229】
着水井220は、例えば、沈砂池210から供給された被処理水の供給量を調整して混和池230に供給する槽である。
【0230】
混和池230は、例えば、着水井220から供給された被処理水に対して凝集剤を注入する槽である。
【0231】
フロック形成池240は、例えば、混和池230から供給された被処理水を撹拌することによって、混和池230から供給された被処理水に含まれる懸濁物質を凝集剤により凝集させてフロックを形成する槽である。
【0232】
沈殿池250は、例えば、フロック形成池240から供給された被処理水に含まれるフロックを沈殿させて被処理水から分離する槽である。
【0233】
濾過池260は、例えば、砂や砂利等からなる濾過体(図示せず)を用いることによって、沈殿池250から供給された被処理水の濾過を行う槽である。
【0234】
浄水池270は、例えば、濾過池260から供給された被処理水(例えば、濾過池260の後段において塩素消毒が行われた後の被処理水)を一時的に貯留して配水池280に供給する槽である。
【0235】
配水池280は、例えば、浄水池270から供給された被処理水(処理水)を一時的に貯留して家庭等(図示せず)に供給する。
【0236】
貯留槽Tは、例えば、被処理水に対して注入する凝集剤を貯留する槽であり、ポンプPに対して凝集剤を供給する。
【0237】
ポンプP11は、例えば、貯留槽Tと混和池230とを連通する配管(図示せず)に設けられるポンプである。具体的に、ポンプP11は、例えば、浄水設備100bの管理者によって予め決定された注入率に対応する凝集剤を混和池230に供給する。
【0238】
そして、制御装置1は、例えば、10分ごと等の定期的なタイミングにおいて、浄水設備100bに設けられた測定装置(図示せず)によって測定された実績PV131(監視装置2によって測定された実績PV131)を取得する。具体的に、制御装置1は、例えば、フロック形成池240において形成されたフロックの沈降速度(例えば、沈降速度の平均値)を実績PV131として取得する。
【0239】
また、制御装置1は、例えば、10分ごと等の定期的なタイミングにおいて、作業者が浄水設備100bにおいて設定した実績SV132(監視装置2によって設定された実績SV132)を取得する。具体的に、制御装置1は、例えば、ポンプP11による凝集剤の注入率を実績SV132として取得する。また、制御装置1は、例えば、フロック形成池240における撹拌強度や撹拌時間(以下、これらを総称して撹拌強度等とも呼ぶ)を実績SV132として取得する。
【0240】
その後、制御装置1は、図3等で説明した場合と同様に、例えば、取得した実績PV131や実績SV132から複数の教師データDPを抽出し、抽出した複数の教師データDPを用いることによって時系列予測モデルMPを生成する。また、制御装置1は、例えば、取得した実績PV131や実績SV132から複数の教師データDEを抽出し、抽出した複数の教師データDEを用いることによってPV推定モデルMEを生成する。
【0241】
具体的に、制御装置1は、例えば、ポンプP11による凝集剤の注入率やフロック形成池240における撹拌強度等を入力としてフロック形成池240におけるフロックの沈降速度を推定するPV推定モデルMEを生成する。
【0242】
[処理システム1000の変形例の構成(2)]
次に、第1の実施の形態から第4の実施の形態における処理システム1000の第2の変形例(以下、単に第2の変形例とも呼ぶ)について説明を行う。図19は、処理システム1000の第2の変形例における構成について説明する図である。
【0243】
第2の変形例における処理設備100は、例えば、下水等の被処理水(以下、単に被処理水とも呼ぶ)についての処理を行う下水処理設備100cである。そして、第2の変形例における監視装置2は、例えば、下水処理設備100cにおける処理状態の監視を行う。
【0244】
下水処理設備100cは、図19に示すように、例えば、最初沈殿池310と、汚水処理装置320と、最終沈殿池330と、濃縮槽340と、濃縮装置350と、消化槽360と、加熱器370とを有する。
【0245】
最初沈殿池310は、例えば、被処理水に含まれる有機物や浮遊物を沈殿分離する。そして、最初沈殿池310は、例えば、分離した有機物や浮遊物質を初沈汚泥として濃縮槽340に排出するとともに、有機物や浮遊物質を分離した被処理水を汚水処理装置320に排出する。
【0246】
汚水処理装置320は、例えば、標準活性汚泥法や循環式硝化脱窒法等の生物学的処理によって被処理水を処理する。具体的に、汚水処理装置320は、例えば、嫌気性の脱窒菌によって亜硝酸態窒素や硝酸態窒素から窒素を生成(脱窒)する脱窒槽(図示せず)と、脱窒槽の後段に設けられ、好気性の硝化菌によりアンモニア態窒素を硝化して亜硝酸態窒素や硝酸態窒素を生成する硝化槽(図示せず)とを有する。そして、汚水処理装置320は、例えば、被処理水を最終沈殿池330に排出する。
【0247】
最終沈殿池330は、例えば、汚水処理装置320から排出された被処理水に含まれる汚泥を沈殿分離し、分離した汚泥を活性汚泥として排出する。そして、最終沈殿池330は、例えば、活性汚泥の一部を余剰汚泥として濃縮装置350に供給するとともに、余剰汚泥以外の活性汚泥を返送汚泥として汚水処理装置320に返送する。また、最終沈殿池330は、例えば、汚泥を分離した被処理水(上澄み液)を後段の滅菌処理装置(図示せず)に排出する。その後、滅菌処理装置(図示せず)は、例えば、最終沈殿池330から排出された被処理水を滅菌し、滅菌した処理水を放流する。
【0248】
濃縮槽340は、例えば、最初沈殿池310から排出された初沈汚泥を濃縮して消化槽360に供給する。
【0249】
濃縮装置350は、例えば、最終沈殿池330から排出された余剰汚泥を濃縮して消化槽360に供給する。
【0250】
消化槽360は、例えば、嫌気性細菌及び汚泥などを貯留する槽である。消化槽360内の嫌気性細菌は、例えば、濃縮槽340から供給された初沈汚泥と濃縮装置350から供給された余剰汚泥とを含む汚泥の有機物を、生物反応によって嫌気性消化(分解)して消化汚泥を生成する。また、消化槽360内の嫌気性細菌は、例えば、消化の過程でメタンガス等の消化ガスを生成する。
【0251】
加熱器370は、消化槽360に供給される前の余剰汚泥を加熱する。具体的に、加熱器370は、例えば、消化槽360に供給される前の余剰汚泥を熱媒(水や熱媒油等の流体)の保有熱によって加熱(昇温)する熱交換器である。
【0252】
そして、制御装置1は、例えば、10分ごと等の定期的なタイミングにおいて、下水処理設備100cに設けられた測定装置(図示せず)によって測定された実績PV131(監視装置2によって測定された実績PV131)を取得する。具体的に、制御装置1は、例えば、汚水処理装置320におけるアンモニア態窒素や亜硝酸態窒素や硝酸態窒素の濃度を実績PV131として取得する。また、制御装置1は、例えば、消化槽360内の汚泥の温度を実績PV131として取得する。
【0253】
また、制御装置1は、例えば、10分ごと等の定期的なタイミングにおいて、作業者が下水処理設備100cにおいて設定した実績SV132(監視装置2によって設定された実績SV132)を取得する。具体的に、制御装置1は、例えば、汚水処理装置320における曝気量(単位時間あたりの曝気量)を実績SV132として取得する。また、制御装置1は、例えば、加熱器370に供給される熱媒(消化槽360に供給される余剰汚泥の加熱に用いられる熱媒)の温度や量を実績SV132として取得する。
【0254】
その後、制御装置1は、図3等で説明した場合と同様に、例えば、取得した実績PV131や実績SV132から複数の教師データDPを抽出し、抽出した複数の教師データDPを用いることによって時系列予測モデルMPを生成する。また、制御装置1は、例えば、取得した実績PV131や実績SV132から複数の教師データDEを抽出し、抽出した複数の教師データDEを用いることによってPV推定モデルMEを生成する。
【0255】
具体的に、制御装置1は、例えば、汚水処理装置320における曝気量(単位時間あたりの曝気量)を入力として汚水処理装置320におけるアンモニア態窒素と亜硝酸態窒素と硝酸態窒素とのうちのいずれかを推定するPV推定モデルMEを生成する。また、制御装置1は、例えば、加熱器370に供給される熱媒の温度や量を入力として消化槽360内の汚泥の温度を推定するPV推定モデルMEを生成する。
【0256】
なお、処理設備100は、例えば、焼却設備100a、浄水設備100b及び下水処理設備100c以外の他の処理設備(例えば、化学プラントにおける処理設備)であってもよい。
【符号の説明】
【0257】
1:制御装置 2:監視装置
10:焼却設備 11:切出装置
12:乾燥機 12a:バーナ
13:投入装置 14:炭化炉
15:集塵機 16:焼却炉
16a:バーナ 17:熱交換器
18:熱交換器 19:熱交換器
20:排ガス処理システム 100:処理設備
100a:焼却設備 100b:浄水設備
100c:下水処理設備 101:CPU
102:メモリ 103:通信装置
104:記憶媒体 105:バス
110:プログラム 111:データ取得部
112:データ抽出部 113:モデル生成部
114:稼働監視部 115:測定予測部
116:設定推定部 130:記憶部
131:実績PV 131a:第1予測PV
131b:第2予測PV 132:介入対象SV
132a:介入対象SVの候補 210:沈砂池
220:着水井 230:混和池
240:フロック形成池 250:沈殿池
260:濾過池 270:浄水池
280:配水池 310:最初沈殿池
320:汚水処理装置 330:最終沈殿池
340:濃縮槽 350:濃縮装置
360:消化槽 1000:処理システム
DP:教師データ DE:教師データ
PG:逆問題解析モデル MP:学習モデル
ME:学習モデル NW:ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19