(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110419
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】画像表示システム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240807BHJP
G06F 3/04845 20220101ALI20240807BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06F3/04845
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015294
(22)【出願日】2024-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2023014668
(32)【優先日】2023-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】509150019
【氏名又は名称】株式会社ラング
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】横山 真
(72)【発明者】
【氏名】千葉 史
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA09
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA17
5E555AA27
5E555BA02
5E555BB02
5E555CC03
5E555DC24
5E555DC43
5E555FA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】遺物等の立体物である測定対象物の三次元形状に関する画像を表示し、その測定対象物の姿勢の変更を効率的に行うことができる画像表示システムを提供する。
【解決手段】画像表示システム100において、画像表示装置20は、測定対象物Mの三次元形状データを取得する取得手段と、三次元形状データに基づいて生成された、測定対象物Mを特定の平面に投影した複数の二次元画像を表示する表示手段と、複数の二次元画像から一の基準画像を選択し、選択した基準画像に対して基準線を設定する設定手段と、基準画像に対して設定された基準線を回転させる回転手段と、基準線の回転に応じて測定対象物Mの姿勢を変化させ、姿勢変化後の三次元形状データを生成する生成手段と、を備え、回転手段が基準線を回転させた際に、表示手段、姿勢変化後の三次元形状データに基づいて生成された複数の二次元画像を表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体物である測定対象物の三次元形状データを取得する取得手段と、
前記三次元形状データに基づいて生成された、前記測定対象物を特定の平面に投影した複数の二次元画像を表示する表示手段と、
前記複数の二次元画像から一の基準画像を選択し、選択した前記基準画像に対して基準線を設定する設定手段と、
前記基準画像に対して設定された前記基準線を回転させる回転手段と、
前記基準線の回転に応じて前記測定対象物の姿勢を変化させ、姿勢変化後の三次元形状データを生成する生成手段と、を備え、
前記複数の二次元画像が、直交する三軸の各軸方向それぞれに垂直な平面へ前記測定対象物を投影した六面展開画像を含み、
前記回転手段が前記基準線を回転させた際に、前記表示手段が、前記姿勢変化後の三次元形状データに基づいて生成された前記複数の二次元画像を表示する、画像表示システム。
【請求項2】
前記回転手段が、前記基準線が前記基準画像における垂直方向又は水平方向に沿うように、前記基準線を回転させる、請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記回転手段によって回転させた前記基準線の回転角を算出する算出手段をさらに備え、
前記生成手段が、前記算出手段が算出した前記回転角に基づいて、前記姿勢変化後の三次元形状データを生成する、請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記生成手段が、前記回転角に基づいて算出された変換行列を用いて座標変換をすることにより、前記姿勢変化後の三次元形状データを生成する、請求項3に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記三次元形状データが、前記測定対象物の外形を規定する稜線が含まれている領域の情報のみを含む、請求項1-4のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺物等の立体物である測定対象物の三次元形状に関する画像を表示する画像表示システムに関し、特に、測定対象物の三次元形状データに基づいて生成された複数の展開画像を表示部に表示する表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遺跡の発掘調査時には、発掘された石器や土器等の遺物(考古遺物)から実測図が作成され、それらの実測図や、出土した遺物の観察結果等が発掘調査報告書としてまとめられる。従来、遺物の実測図は、遺物を専門家が目視で確認しながら手書きで描画されていたが、情報処理技術の発展に伴い、近時では、測定対象物を三次元スキャンして三次元形状データを取得し、その三次元形状データから実測図を生成して端末装置の表示部に表示させたり、発掘調査報告書に用いるための図面として出力したりすることで、実測図の作成に要する時間の短縮が図られている。例えば特許文献1には、ガラステーブル上に測定対象物である考古遺物を載置し、当該遺物を複数のレーザ計測装置を用いて複数方向から同時に計測し、得られた三次元形状データに基づいて図面を生成するシステムが開示されている。
【0003】
ところで、発掘された石器や土器等の考古遺物の実測図の作成にあたっては、考古学的な見地からその遺物の実測図を作成するための基準となる姿勢を定め、その姿勢で遺物の三次元形状を表す六面展開図を生成している。具体的には、その遺物の「ある部分」が垂直方向(表示された画面における上下方向)に沿うように姿勢を変更したり、あるいは「ある部分」が水平方向(表示された画面における左右方向)に沿うように姿勢を変更したりする。「ある部分」とは遺物の種類等によって異なるものであるが、つまるところ、考古遺物の実測図を作成する際には、システムのユーザ(観察者)によって基準線が主観的に決定され、この基準線が所望の方向に沿うように考古遺物の姿勢を変更し、実測図に最適な姿勢を定めていく。
【0004】
三次元形状データに基づいて図面を生成する従来のシステムにおいては、三次元形状データから得られた正面図やいくつかの面から見た展開図を端末の画面上に表示し、当該図中の測定対象物の動かしたい部分にポインタを位置させてマウスをドラッグすることで姿勢を変更したり、測定対象物に対して回転軸及び回転角を設定して姿勢を変更したり、あるいは測定対象物の表面に2点を取り、その2点間を結んだ基準線を設定し、この基準線を基準として姿勢を変更したりすることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、考古遺物の場合は部分的に欠損していることも多く、上述したような「ある部分」が現存している遺物にある場合もあれば、現存している遺物の欠損部分を推定して欠損のない物体を想定し、その推定して付け加えた欠損部分に「ある部分」があるものとして姿勢を変更することもある。このように、測定対象物の実測図を作成するための姿勢を決定するにあたり、マウスをドラッグして測定対象物の姿勢を動かすだけでは、ユーザの希望するように「ある部分」が垂直・水平になったかどうかを確認することができない。また、測定対象物の姿勢を動かすために測定対象物に対して回転軸及び回転角を設定する方式だと直感的な操作ができないし、測定対象物の表面に2点を取り、その2点間を結んだ基準線を設定して姿勢を動かす方式では、測定対象物の表面以外の場所に基準線を設定できない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、遺物等の立体物である測定対象物の三次元形状に関する画像を表示し、その測定対象物の姿勢の変更を効率的に行うことができる画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、立体物である測定対象物の三次元形状データを取得する取得手段と、前記三次元形状データに基づいて生成された、前記測定対象物を特定の平面に投影した複数の二次元画像を表示する表示手段と、前記複数の二次元画像から一の基準画像を選択し、選択した前記基準画像に対して基準線を設定する設定手段と、前記基準画像に対して設定された前記基準線を回転させる回転手段と、前記基準線の回転に応じて前記測定対象物の姿勢を変化させ、姿勢変化後の三次元形状データを生成する生成手段と、を備え、前記複数の二次元画像が、直交する三軸の各軸方向それぞれに垂直な平面へ前記測定対象物を投影した六面展開画像を含み、前記回転手段が前記基準線を回転させた際に、前記表示手段が、前記姿勢変化後の三次元形状データに基づいて生成された前記複数の二次元画像を表示する、画像表示システムを提供する(発明1)。
【0009】
かかる発明(発明1)によれば、測定対象物の三次元形状データに基づいて生成された複数の二次元画像を表示した状態で、表示した複数の画像から選択した一の基準画像に対して設定した基準線を回転させるだけで、三次元形状として表示する測定対象物の姿勢を変えることができる。このとき、姿勢変化後の三次元形状データに基づいて生成された複数の二次元画像が表示されることにより、ユーザの希望するように測定対象物の姿勢が変えられているかどうかを都度確認することができる。また、複数の二次元画像からユーザの希望する画像を基準画像として選択することができるため、姿勢を変更するための基準線を最適な場所に設定することができる。したがって、当該画像表示システムによれば、遺物等の立体物である測定対象物の三次元形状に関する画像を表示し、その測定対象物の姿勢の変更を効率的に行うことができる。特に、基準画像に対して設定した基準線を回転すると、複数の二次元画像から把握される測定対象物の姿勢も当然ながら変化することになるが、複数の二次元画像が、直交する三軸の各軸方向それぞれに垂直な平面へ前記測定対象物を投影した六面展開画像を含むものであることにより、六面展開画像(正面画像、裏面画像、上面画像、底面画像、左側面画像、右側面画像)を表示した状態で、基準画像以外の画像における測定対象物の姿勢を都度確認しながら、最適な姿勢を求めて基準画像の回転処理を行うことができる。
【0010】
上記発明(発明1)においては、前記回転手段が、前記基準線が前記基準画像における垂直方向又は水平方向に沿うように、前記基準線を回転させてもよい(発明2)。
【0011】
かかる発明(発明2)によれば、基準画像の垂直方向か水平方向のいずれかを選択するだけで、基準線の回転量を自動的に決定することができる。
【0012】
上記発明(発明1,2)においては、前記回転手段によって回転させた前記基準線の回転角を算出する算出手段をさらに備え、前記生成手段が、前記算出手段が算出した前記回転角に基づいて、前記姿勢変化後の三次元形状データを生成してもよい(発明3)。
【0013】
上記発明(発明3)においては、前記生成手段が、前記回転角に基づいて算出された変換行列を用いて座標変換をすることにより、前記姿勢変化後の三次元形状データを生成してもよい(発明4)。
【0014】
かかる発明(発明3,4)によれば、基準線の回転角に基づいて姿勢変化後の三次元形状データを生成することができるので、姿勢変化後の三次元形状データに基づいて生成された基準画像以外の画像を表示するための処理をスムースに行うことができる。
【0015】
上記発明(発明1-4)においては、前記三次元形状データが、前記測定対象物の外形を規定する稜線が含まれている領域の情報のみを含んでもよい(発明5)。
【0016】
遺物等の立体物である測定対象物の三次元形状データは情報量が多くなるため、処理リソースが限られる中で複数の二次元画像を表示しようとすると、処理に要する時間が過大になるという問題がある。また、測定対象物の三次元形状データを取得するロケーションと、その情報を処理して画像として表示するロケーションとが異なる場合(例えば、取得した測定対象物の三次元形状データを、別のロケーションにある端末やクラウド上のサーバに転送して処理を行う場合)、測定対象物の三次元形状データの情報量が多いと、そのデータの転送にかかる時間が長くなるという問題もある。かかる発明(発明5)によれば、測定対象物の三次元形状データを、測定対象物の外形を規定する稜線が含まれている領域の情報のみに限定することにより、測定対象物の三次元形状データの情報量を圧縮することができるので、システム全体としての処理の円滑化を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像表示システムによれば、遺物等の立体物である測定対象物の三次元形状に関する画像を表示し、その測定対象物の姿勢の変更を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像表示システムの概略構成図である。
【
図2】画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】画像表示システムで主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図である。
【
図4A】測定対象物の姿勢を変更する様子を示す説明図(その1)である。
【
図4B】測定対象物の姿勢を変更する様子を示す説明図(その2)である。
【
図4C】測定対象物の姿勢を変更する様子を示す説明図(その3)である。
【
図4D】測定対象物の姿勢を変更する様子を示す説明図(その4)である。
【
図4E】測定対象物の姿勢を変更する様子を示す説明図(その5)である。
【
図4F】測定対象物の姿勢を変更する様子を示す説明図(その6)である。
【
図4G】測定対象物の姿勢を変更する様子を示す説明図(その7)である。
【
図4H】測定対象物の姿勢を変更する様子を示す説明図(その8)である。
【
図4I】測定対象物の姿勢を変更する様子を示す説明図(その9)である。
【
図5】測定対象物の外形を規定する稜線が含まれている領域の情報のみに限定する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で説明される実施形態は例示であり、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0020】
(1)画像表示システムの基本構成
図1は、本発明の一実施形態に係る画像表示システム100の基本構成を概略的に示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像表示システム100は、計測テーブルT上に載置された立体物である測定対象物Mの三次元形状データを生成するために、測定対象物Mを異なる方向から計測する複数の計測装置10と、複数の計測装置10から測定対象物Mの三次元形状データを取得して合成し、一の三次元形状データを生成する端末装置15と、端末装置15から三次元形状データを取得し、その三次元形状データに基づいて生成された二次元画像を表示する画像表示装置20とを備える。本実施形態において、各計測装置10と端末装置15とは通信ケーブルを介して通信可能に接続されており、端末装置15と画像表示装置20とは、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信網NW(ネットワーク)を介して通信可能に接続されている。なお、本実施形態における測定対象物Mは石器や土器等の遺物(考古遺物)であるものとして説明するが、画像表示システム100における測定対象物はこれに限られるものではなく、その他の立体物である測定対象物の三次元形状に関する画像を表示するように構成されていてもよい。すなわち、測定対象物には考古遺物以外の物体も含まれ得る。
【0021】
計測装置10は、ガラス板を用いた計測テーブルT上に載置された測定対象物Mの三次元形状データを生成するものであり、例えば、測定対象物Mに対してレーザ光を照射して、当該レーザ光の反射光を受光することにより、測定対象物Mまでの距離を計測するレーザ変位計を用いることができる。本実施形態においては、測定対象物Mを異なる複数の方向から同時に計測するために、4台の計測装置10を用いているが、これに限られるものではなく、2台や3台の計測装置10を用いて計測するように構成してもよいし、5台以上の計測装置10を用いて計測するように構成してもよいし、1台の計測装置10が測定対象物Mの周囲を移動可能に構成されているものでもよい。また、計測装置10は、計測した情報(測定対象物Mの三次元形状データ)を、端末装置15に送信するように構成されている。
【0022】
端末装置15は、複数の計測装置10から測定対象物Mの三次元形状データを取得して合成し、一の三次元形状データを生成するように構成されている。端末装置15は、例えば、パーソナルコンピュータや携帯情報端末等の個々のユーザによって操作される汎用の端末装置であってもよいし、専用の端末装置であってもよい。
【0023】
画像表示装置20は、通信網NWを介して端末装置15と通信を行い、計測装置10が計測した測定対象物Mの三次元形状データを、通信網NWを介して取得するように構成されている。画像表示装置20は、例えば、パーソナルコンピュータや携帯情報端末等の個々のユーザによって操作される汎用の端末装置であってもよいし、後述する各機能を実現するように構成された専用の端末装置であってもよい。
【0024】
(2)画像表示装置の構成
図2を参照して画像表示装置20の構成について説明する。
図2は、画像表示装置20の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、画像表示装置20は、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、記憶装置24と、表示処理部25と、表示部26と、入力部27と、通信インタフェース部28と、を備えており、各部間の制御信号又はデータ信号を伝送するためのバス20aが設けられている。
【0025】
CPU21は、電源が画像表示装置20に投入されると、ROM22又は記憶装置24に記憶された各種のプログラムをRAM23にロードして実行する。本実施形態では、CPU21は、ROM22又は記憶装置24に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、後述する取得手段31、表示手段32、設定手段33、回転手段34、算出手段35、生成手段36(
図3に示す)の機能を実現する。
【0026】
記憶装置24は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、磁気記憶装置(例えばHDD(Hard Disk Drive)、フロッピーディスク(登録商標)、磁気テープ等)、光ディスク等の不揮発性の記憶装置であってもよいし、RAM等の揮発性の記憶装置であってもよく、CPU21が実行するプログラムやCPU21が参照するデータを格納する。また、記憶装置24には、後述する三次元形状データや、当該三次元形状データに基づいて生成された二次元画像の表示用データが記憶される。
【0027】
表示処理部25は、CPU21から与えられる表示用データを表示部26に表示する。表示部26は、例えば、マトリクス状に画素単位で配置された薄膜トランジスタを含むLCD(Liquid Crystal Display)モニタであり、表示用データに基づいて薄膜トランジスタを駆動することで、表示されるデータを表示画面に表示する。
【0028】
画像表示装置20が釦入力方式の装置である場合には、入力部27は、ユーザの操作入力を受け入れるための方向指示釦及び決定釦等の複数の指示入力釦を含む釦群と、テンキー等の複数の指示入力釦を含む釦群とを備え、各釦の押下(操作)入力を認識してCPU21へ出力するためのインタフェース回路を含む。画像表示装置20がタッチパネル入力方式の装置である場合には、入力部27は、主として表示画面に指先又はペンで触れることによるタッチパネル方式の入力を受け付ける。タッチパネル入力方式は、静電容量方式等の公知の方式であってもよい。また、釦入力方式とタッチパネル方式とを併用した入力部27としてもよいし、画像表示装置20が音声入力可能な装置である場合には、入力部27が音声入力用のマイクを含むように構成されてもよい。
【0029】
通信インタフェース部28は、通信網NWを介して他の装置(例えば、端末装置15等)と通信を行うためのインタフェース回路を含む。
【0030】
(3)画像表示システムにおける各機能の概要
本実施形態の画像表示システム100で実現される機能について、
図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態の画像表示システム100で主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図である。
図3の機能ブロック図では、取得手段31、表示手段32、設定手段33、回転手段34、生成手段36が本発明の画像表示システムの主要な構成に対応している。算出手段35は必ずしも必須の構成ではないが、本発明をさらに好ましくするための構成要素である。
【0031】
取得手段31は、立体物である測定対象物Mの三次元形状データを取得する機能を備える。ここで、三次元形状データとは、測定対象物Mの表面形状(輪郭や表面に存在する稜線を含む)をデジタル化したデータであり、一般には、測定対象物Mの表面上に存在する測点の位置をXYZ座標系により表現した座標データの集合体である。三次元形状データは、例えば、計測装置10によって測定対象物Mを三次元スキャンすることによって得ることができる。計測装置10によって測定対象物Mの三次元形状データを得る方法は、各種の公知の計測方法を用いることができる。本実施形態においては、
図1に示すように、1つの測定対象物(遺物)Mを4台の計測装置10で計測し、それぞれの計測装置10から通信ケーブルを介して端末装置15に送信された三次元形状データを、端末装置15において合成して測定対象物Mの1つの三次元形状データとし、端末装置15から通信網NWを介して当該三次元形状データを画像表示装置20に送信する。計測装置10のそれぞれは、公知の一次元レーザ変位計11を公知のXYステージ12と組み合わせることにより、測定対象物Mを三次元スキャンできるように構成されているが、これに限られるものではなく、市販のハンドヘルド式あるいは据え置き型のレーザー三次元スキャナによって測定対象物Mの三次元形状データを得るものであってもよいし、センサやプローブを用いた接触式の三次元スキャナで測定対象物Mの三次元形状データを取得するようにしてもよい。
【0032】
取得手段31の機能は、例えば以下のように実現される。先ず、複数の計測装置10が測定対象物Mを同時に計測し、それぞれの計測装置10が生成した測定対象物Mの三次元形状データを、端末装置15に送信する。端末装置15は、計測装置10から送信された測定対象物Mの三次元形状データを受信(取得)する毎に、取得した三次元形状データを合成して測定対象物Mの一の三次元形状データとし、通信網NWを介して画像表示装置20に送信する。画像表示装置20が通信インタフェース部28を介して測定対象物Mの三次元形状データを受信する毎に、CPU21が当該三次元形状データを記憶装置24に記憶する。三次元形状データは、測定対象物Mを特定の平面に投影した複数の二次元画像を生成するためのベースとなるデータである。なお、測定対象物Mの三次元形状データは、必ずしも画像表示システム100の計測装置10が測定対象物Mを計測して取得されるものでなくともよく、例えば、画像表示システム100の外部で生成された測定対象物Mの三次元形状データを、通信インタフェース部28を介して画像表示装置20が外部から受信するものとしてもよいし、何らかの記憶媒体を介して画像表示装置20の記憶装置24に取り込んでもよい。これらの場合においては画像表示システム100が計測装置10及び端末装置15を備えていなくてもよい。
【0033】
表示手段32は、測定対象物Mの三次元形状データに基づいて生成された、測定対象物Mを特定の平面に投影した複数の二次元画像Snを表示する機能を備える。本実施形態においては、複数の二次元画像Snとして、直交する三軸の各軸方向それぞれに垂直な平面へ測定対象物Mを投影した六面展開画像、すなわち、測定対象物Mの正面画像S1、裏面画像S2、上面画像S3、底面画像S4、左側面画像S5、右側面画像S6が表示されるものとする。
【0034】
表示手段32の機能は、例えば以下のように実現される。先ず、記憶装置24に記憶されている三次元形状データをCPU21が読み出し、当該三次元形状データに基づいて、CPU21が測定対象物Mの正面画像S1、裏面画像S2、上面画像S3、底面画像S4、左側面画像S5、右側面画像S6を生成し、CPU21は生成された各二次元画像の表示用データを記憶装置24に記憶する。
【0035】
後述するように、測定対象物Mの正面画像S1、裏面画像S2、上面画像S3、底面画像S4、左側面画像S5、右側面画像S6のいずれかの画像が基準画像SSとして選択されて回転されると、CPU21は、測定対象物Mの姿勢を変化させ、姿勢変化後の三次元形状データに基づいて、回転された基準画像SS以外の二次元画像、例えば正面画像S1が基準画像SSとして選択された場合には、正面画像S1以外の二次元画像である裏面画像S2、上面画像S3、底面画像S4、左側面画像S5、右側面画像S6の表示用データを記憶装置24に記憶する。
【0036】
各二次元画像の表示用データは、記憶装置24に記憶するのと同時にCPU21が表示処理部25に伝送し、あるいはユーザの入力部27からの入力に応じてCPU21が記憶装置24から読み出して表示処理部25に伝送し、表示処理部25が当該表示用データに基づいた二次元画像を表示部26に表示する。なお、本実施形態においては、測定対象物Mの正面画像S1、裏面画像S2、上面画像S3、底面画像S4、左側面画像S5、右側面画像S6の6つの二次元画像が、表示部26に表示されるが、これに限られるものではなく、表示部26に表示する複数の二次元画像Snは、正面画像S1、裏面画像S2、上面画像S3、底面画像S4、左側面画像S5、右側面画像S6のうちの二つ以上であってもよい。また、正面画像S1、裏面画像S2、上面画像S3、底面画像S4、左側面画像S5、右側面画像S6の六面展開画像以外の画像を併せて表示部26に表示してもよい。
【0037】
設定手段33は、複数の二次元画像Snから一の基準画像SSを選択し、選択した基準画像SSに対して基準線LSを設定する機能を備える。本実施形態においては、複数の二次元画像Snが測定対象物Mの正面画像S1、裏面画像S2、上面画像S3、底面画像S4、左側面画像S5、右側面画像S6であり、それらのうちのいずれか1つが基準画像SSとして選択される。
【0038】
設定手段33の機能は、例えば以下のように実現される。先ず、表示部26に表示された測定対象物Mの正面画像S1、裏面画像S2、上面画像S3、底面画像S4、左側面画像S5、右側面画像S6の6つの二次元画像をユーザが目視で確認し、どの画像を基準画像SSとするかを決定する。ユーザが入力部27から基準画像SSの選択結果を入力すると、CPU21は、選択された二次元画像が基準画像SSであることがわかるように当該画像を枠で囲む等して強調表示するよう表示処理部25に指示する。指示を受けて表示処理部25は選択された基準画像SSを表示部26で強調表示する。
【0039】
次に、ユーザが基準画像SSに対して基準線LSをどのように設定するか、入力部27から入力すると、CPU21は、基準画像SSに対して基準線LSを重畳表示するよう表示処理部25に指示する。指示を受けて表示処理部25は設定された基準線LSを基準画像SS上に描くように表示部26で表示する。
【0040】
回転手段34は、基準画像SSに対して設定された基準線LSを回転させる機能を備える。また、回転手段34は、基準線LSが基準画像SSにおける垂直方向又は水平方向に沿うように、基準線LSを回転させる機能を備えてもよい。
【0041】
回転手段34の機能は、例えば以下のように実現される。先ず、ユーザが基準画像SSに対して基準線LSを設定し、設定した基準線LSをどの方向にどれだけ回転させるかを入力部27から入力すると、CPU21が、基準画像SSを基準線LSの回転に応じて回転させた表示用データを生成する。このとき、CPU21は、併せて基準画像SS以外の複数の二次元画像Snを、後述する生成手段によって生成された姿勢変化後の三次元形状データに基づいて生成する。CPU21は生成された各二次元画像の表示用データを記憶装置24に記憶する。
【0042】
各二次元画像の表示用データは、記憶装置24に記憶するのと同時にCPU21が表示処理部25に伝送し、あるいはユーザの入力部27からの入力に応じてCPU21が記憶装置24から読み出して表示処理部25に伝送し、表示処理部25が当該表示用データに基づいた二次元画像を表示部26に表示する。
【0043】
なお、ユーザが、設定した基準線LSをどの方向にどれだけ回転させるかを入力部27から入力する際、当該基準線LSを基準画像SSにおける垂直方向又は水平方向に沿った方向に回転させるようにしてもよい。例えば、ユーザが、「垂直」または「水平」のどちらかを選択し、その選択結果をユーザが入力部27から入力すると、CPU21が、その方向に基準線LSを回転させ、その回転に応じて基準画像SSを回転させた表示用データを生成する。具体的には、ユーザが「垂直」を選択して入力部27から入力すると、CPU21は、基準線LSが垂直になるように回転させ、ユーザが「水平」を選択して入力部27から入力すると、CPU21は、基準線LSが水平になるように回転させ、その回転に応じて基準画像SSを回転させた表示用データを生成する。
【0044】
算出手段35は、回転手段34によって回転させた基準線LSの回転角を算出する機能を備える。
【0045】
算出手段35の機能は、例えば以下のように実現される。先ず、CPU21が、記憶装置24に記憶した回転手段34によって基準線LSを回転させる前の基準画像SSと、回転手段34によって基準線LSを回転させた後の基準画像SSとを読み出し、それら二つの基準線LSの変化量から回転角を算出する。CPU21は、算出した回転角を記憶装置24に記憶する。
【0046】
生成手段36は、基準線LSの回転に応じて測定対象物Mの姿勢を変化させ、姿勢変化後の三次元形状データを生成する機能を備える。例えば、生成手段36は、算出手段35が算出した回転角に基づいて、姿勢変化後の三次元形状データを生成してもよく、特に、回転角に基づいて算出された変換行列を用いて座標変換をすることにより、姿勢変化後の三次元形状データを生成してもよい。基準線LSの回転角に基づいて姿勢変化後の三次元形状データを生成することにより、当該姿勢変化後の三次元形状データに基づいて姿勢変化後の複数の二次元画像Snを生成、表示するための処理をスムースに行うことができる。
【0047】
生成手段36の機能は、例えば以下のように実現される。ユーザが基準画像SSに対して基準線LSを設定し、設定した基準線LSをどの方向にどれだけ回転させるかを入力部27から入力すると、CPU21が、姿勢変化後の三次元形状データを生成する。具体的には、姿勢変化前の三次元形状データの座標をA、姿勢変化後の三次元形状データの座標をB、回転角αで回転させる回転行列をGS、基準画像SSの投影変換行列をFS、基準画像SSの投影変換行列の逆変換行列をFS
-1とすると、座標Bは、数式「B=FS
-1・GS・FS・A」で表すことができる。
【0048】
正面画像S1を表示するための投影変換行列はZ軸周りに0度回転することだと考えられるので、投影変換行列F1は次のようになる。
【0049】
【0050】
裏面画像S2を表示する場合は、Y軸周りに180度回転することになるので、投影変換行列F2は次のようになる。
【0051】
【0052】
上面画像S3を表示する場合は、X軸周りに90度回転することになるので、投影変換行列F3は次のようになる。
【0053】
【0054】
底面画像S4を表示する場合は、X軸周りに-90度回転することになるので、投影変換行列F4は次のようになる。
【0055】
【0056】
左側面画像S5を表示する場合は、Y軸周りに90度回転することになるので、投影変換行列F5は次のようになる。
【0057】
【0058】
右側面画像S6を表示する場合は、Y軸周りに-90度回転することになるので、投影変換行列F6は次のようになる。
【0059】
【0060】
ここで、例として、基準画像SSを右側面画像S6とし、反時計回りに30度回転させた場合を考えると、上記数式「B=FS
-1・GS・FS・A」は「B=F6
-1・G6・F6・A」となり、回転行列G6は次のようになる。
【0061】
【0062】
次に、右側面画像S6で表示する変換の逆変換行列F6
-1は、上述の投影変換行列F6の逆行列であるから、次のようになる。
【0063】
【0064】
上記行列F6
-1、G6、F6を上記数式「B=F6
-1・G6・F6・A」に代入すると次のようになる。
【0065】
【0066】
上記の変換行列を用いることにより、基準画像SSを右側面画像S6とし、反時計回りに30度回転させた場合の姿勢変化後の三次元形状データを生成することができる。
【0067】
(4)本実施形態の画像表示システムの主要な処理のフロー
次に、本実施形態の画像表示システム100により行われる主要な処理のフローの一例について説明する。
図4A-
図4Iは、画像表示システム100において測定対象物の姿勢を変更していく様子を示す説明図である。
【0068】
先ず、画像処理装置20のCPU21は、取得手段31の機能に基づいて、測定対象物Mの三次元形状データを取得する。取得する三次元形状データは、計測装置10によって測定対象物Mを三次元スキャンして得られた、測定対象物Mの表面形状(輪郭や表面に存在する稜線を含む)をデジタル化したデータを、端末装置15において合成して生成された一の三次元形状データである。取得した測定対象物Mの一の三次元形状データは記憶装置24に記憶される。
【0069】
続いて、画像処理装置20のCPU21は、表示手段32の機能に基づいて、記憶装置24に記憶された三次元形状データから、測定対象物Mの正面画像S
1、裏面画像S
2、上面画像S
3、底面画像S
4、左側面画像S
5、右側面画像S
6を生成し、生成された各二次元画像の表示用データを記憶装置24に記憶する。CPU21は、各二次元画像の表示用データを表示処理部25に伝送し、表示処理部25が当該表示用データに基づいた二次元画像を、
図4Aに示すように、表示部26に表示する。
【0070】
次いで、画像処理装置20のCPU21は、設定手段33の機能に基づいて、測定対象物Mの正面画像S
1、裏面画像S
2、上面画像S
3、底面画像S
4、左側面画像S
5、右側面画像S
6から一の基準画像S
Sを選択し、選択した基準画像S
Sに対して基準線L
Sを設定する。例えば、
図4Bにおいては、正面画像S
1が基準画像S
Sとして選択されており、正面画像S
1中の測定対象物Mに対して、1時-7時方向に傾いた基準線L
Sが設定されている。
【0071】
さらに、画像処理装置20のCPU21は、回転手段34の機能に基づいて、基準線L
Sを回転させる。ここでは、ユーザが基準線L
Sを垂直になるように回転させる指示を入力部27から入力し、CPU21が、生成手段36の機能に基づいて、基準線L
Sの回転に応じて測定対象物Mの姿勢を変化させ、姿勢変化後の三次元形状データを生成する。姿勢変化後の三次元形状データに基づいて、CPU21は、基準画像S
Sを基準線L
Sの回転に応じて姿勢変化させた表示用データを生成するとともに、併せて基準画像S
S以外の複数の二次元画像S
n(裏面画像S
2、上面画像S
3、底面画像S
4、左側面画像S
5、右側面画像S
6)を基準線L
Sの回転に応じて姿勢変化させた表示用データも生成し、表示手段32の機能に基づいて、
図4Cに示すように、表示部26に表示させる。
【0072】
この状態では、まだ測定対象物Mの姿勢が所望の姿勢になっていないため、同様の処理を複数回繰り返していく。具体的には、
図4Dに示すように、底面画像S
4を基準画像S
Sとして選択し、底面画像S
4中の測定対象物Mに対して、2時-8時方向に傾いた基準線L
Sを設定する。ユーザが基準線L
Sを水平になるように回転させる指示を入力部27から入力し、CPU21が、生成手段36の機能に基づいて、基準画像S
Sを基準線L
Sの回転に応じて回転させた表示用データを生成する。CPU21は、併せて基準画像S
S以外の複数の二次元画像S
n(正面画像S
1、裏面画像S
2、上面画像S
3、左側面画像S
5、右側面画像S
6)を基準線L
Sの回転に応じて姿勢変化させた表示用データも生成し、表示手段32の機能に基づいて、
図4Eに示すように、表示部26に表示させる。
【0073】
さらに、
図4Fに示すように、右側面画像S
6を基準画像S
Sとして選択して基準線L
Sを設定、ユーザが基準線L
Sを垂直になるように回転させる指示を入力部27から入力する。CPU21が、生成手段36の機能に基づいて、基準画像S
Sを基準線L
Sの回転に応じて回転させた表示用データ、基準画像S
S以外の複数の二次元画像S
n(正面画像S
1、裏面画像S
2、上面画像S
3、底面画像S
4、左側面画像S
5)を基準線L
Sの回転に応じて姿勢変化させた表示用データをそれぞれ生成し、表示手段32の機能に基づいて、
図4Gに示すように、表示部26に表示させる。
【0074】
最後に、
図4Hに示すように、再び正面画像S
1を基準画像S
Sとして選択して基準線L
Sを設定、ユーザが基準線L
Sを垂直になるように回転させる指示を入力部27から入力する。これは、異なった基準画像S
Sに基準線L
Sを設定して何度か回転させることによって、様々な方向に姿勢が変化するため、一度回転させた正面画像S
1が狙った方向からずれてしまったためである。CPU21が、生成手段36の機能に基づいて、基準画像S
Sを基準線L
Sの回転に応じて回転させた表示用データ、基準画像S
S以外の複数の二次元画像S
n(裏面画像S
2、上面画像S
3、底面画像S
4、左側面画像S
5、右側面画像S
6)を基準線L
Sの回転に応じて姿勢変化させた表示用データをそれぞれ生成し、表示手段32の機能に基づいて、
図4Iに示すように、表示部26に表示させる。
【0075】
このように、ある画像(展開面)を基準画像にして基準線を設定し、その基準線を回転させると、測定対象物Mの姿勢が変化し、他の画像(展開面)における姿勢も変化するので、随時、基準画像の選択と基準線の設定を行い、測定対象物Mを回転させ、回転させた後の六面展開画像を表示して確認することを、測定対象物Mの姿勢が所望の姿勢になるまで繰り返す。
【0076】
(5)計測装置から画像表示装置へ転送されるデータの圧縮
遺物等の立体物である測定対象物Mの三次元形状データは情報量が多くなるため、処理リソースが限られる中で複数の二次元画像Snを表示しようとすると、処理に要する時間が過大になるという問題がある。また、本実施形態のように、測定対象物Mの三次元形状データを計測装置10から端末装置15を介して画像処理装置20へと転送して処理を行う場合、測定対象物Mの三次元形状データの情報量が多いと、その情報の転送にかかる時間が長くなるという問題もある。そのような問題を解決するために、計測装置10において生成される三次元形状データを、測定対象物Mの外形を規定する稜線が含まれている領域の情報のみとしてもよい。これにより、測定対象物Mの三次元形状データの情報量を大幅に圧縮することができるので、システム全体としての処理の円滑化を図ることができる。
【0077】
具体的には、
図5(a)に示すように、測定対象物Mの表面形状全てを処理対象とするのではなく、
図5(b)に示すように、測定対象物Mの外形を規定する稜線が含まれている領域の情報のみを端末装置15から画像表示装置20へと転送するようにする。転送された三次元形状データに基づいて測定対象物Mを特定の平面に投影した複数の二次元画像を生成すると、測定対象物Mの稜線が存在しない領域については二次元画像に表示されないこととなるが、その分、端末装置15から画像表示装置20へのデータ転送速度は改善され、また、画像表示装置20でのデータ処理速度も改善される。
【0078】
以上説明してきた画像表示システム100によれば、測定対象物Mの三次元形状データに基づいて生成された複数の二次元画像Snを表示した状態で、表示した複数の画像Snから選択した一の基準画像SSに対して設定した基準線LSを回転させるだけで、三次元形状として表示する測定対象物Mの姿勢を変えることができる。このとき、姿勢変化後の三次元形状データに基づいて生成された複数の二次元画像Snが表示されることにより、ユーザの希望するように測定対象物Mの姿勢が変えられているかどうかを都度確認することができる。また、複数の二次元画像Snからユーザの希望する画像を基準画像SSとして選択することができるため、姿勢を変更するための基準線LSを最適な場所に設定することができる。したがって、画像表示システム100によれば、遺物等の立体物である測定対象物Mの三次元形状に関する画像を表示し、その測定対象物の姿勢の変更を効率的に行うことができる。
【0079】
また、基準線LSを設定し、ユーザが当該基準線LSを回転させる回転量を都度決めることも可能であるが、基準画像SSの垂直方向か水平方向のいずれかを選択するだけで、基準線LSの回転量を自動的に決定することができるようにすることで、基準線LSの回転角に基づいて基準画像SS以外の画像の回転量を決定することができる。そのため、基準画像SS以外の画像を基準線LSの回転に応じて姿勢変化させて表示するための処理をスムースに行うことができる。
【0080】
基準画像SSに対して設定した基準線LSを回転すると、複数の二次元画像から把握される測定対象物の姿勢も当然ながら変化することになる。上述のように、六面展開画像(正面画像S1、裏面画像S2、上面画像S3、底面画像S4、左側面画像S5、右側面画像S6)を全て表示部26に表示した状態にすることで、基準画像SS以外の画像における測定対象物Mの姿勢を都度確認しながら、最適な姿勢を求めて基準画像SSの回転処理を行うことができる。
【0081】
なお、画像表示システム100の各処理を実現するためのプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。このプログラムを記録した記憶媒体は、
図2に示す画像表示装置20のROM22、RAM23又は記憶装置24であってもよいし、例えばCD-ROMドライブ等のプログラム読取装置に挿入されることで読み取り可能なCD-ROM等であってもよい。さらに、記憶媒体は、磁気テープ、カセットテープ、フレキシブルディスク、MO/MD/DVD等であってもよいし、半導体メモリであってもよい。
【0082】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態及び変形例に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0083】
例えば、上記実施形態においては、端末装置15のロケーションと、画像表示装置20のロケーションとが異なっており、端末装置15から画像表示装置20への測定対象物Mの三次元形状データを転送する必要があるという前提の下、端末装置15と画像表示装置20とを通信網NWを介して接続し、端末装置15から三次元形状データを通信網NW経由で画像表示装置20へと転送しているが、これに限られるものではなく、例えば、端末装置15で生成した三次元形状データを、磁気テープ、カセットテープ、フレキシブルディスク、MO/MD/DVD、半導体メモリ等の記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を物理的に画像表示装置20のロケーションに送ることで、画像表示装置20に三次元形状データを取得させるようにしてもよい。また、端末装置15と画像表示装置20とは同じロケーションにあってもよいし、その場合においては、端末装置15と画像表示装置20とが有線接続されていてもよいし、あるいは端末装置15と画像表示装置20とが一の装置であってもよい。計測装置10と端末装置15とが一の装置であってもよいし、計測装置10と端末装置15と画像表示装置20とが一の装置であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態においては、複数の計測装置10が1台の端末装置15に接続されており、当該端末装置15にて複数の三次元形状データを合成した一の三次元形状データを生成しているが、これに限られるものではなく、複数の計測装置10が画像表示装置20に接続されており、複数の三次元形状データを画像表示装置20において合成して一の三次元形状データを生成してもよい。
【0085】
さらに、複数の測定対象物を計測テーブルT上に載置し、複数の計測装置10で一斉に三次元スキャンして複数の測定対象物の表面形状をデジタル化したデータを生成してもよいし、その場合に、複数の測定対象物から展開画像を表示したい測定対象物を選択し、その選択した測定対象物の展開画像を表示するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0086】
100 画像表示システム
10 計測装置
15 端末装置
20 画像表示装置
31 取得手段
32 表示手段
33 設定手段
34 回転手段
35 算出手段
36 生成手段
【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体物である測定対象物の三次元形状データを取得する取得手段と、
前記三次元形状データに基づいて生成された、前記測定対象物を特定の平面に投影した複数の二次元画像を表示する表示手段と、
前記複数の二次元画像から一の基準画像を選択し、選択した前記基準画像に対して基準線を設定する設定手段と、
前記基準画像に対して設定された前記基準線を回転させる回転手段と、
前記基準線の回転に応じて前記測定対象物の三次元形状データの姿勢を変化させ、姿勢変化後の三次元形状データを生成する生成手段と、を備え、
前記複数の二次元画像が、直交する三軸の各軸方向それぞれに垂直な平面へ前記測定対象物を投影した六面展開画像を含み、
前記回転手段が前記基準線を回転させた際に、前記表示手段が、前記姿勢変化後の三次元形状データに基づいて生成された前記複数の二次元画像を表示する、画像表示システム。
【請求項2】
前記回転手段が、前記基準線が前記基準画像における垂直方向又は水平方向に沿うように、前記基準線を回転させる、請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記回転手段によって回転させた前記基準線の回転角を算出する算出手段をさらに備え、
前記生成手段が、前記算出手段が算出した前記回転角に基づいて、前記姿勢変化後の三次元形状データを生成する、請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記生成手段が、前記回転角に基づいて算出された変換行列を用いて座標変換をすることにより、前記姿勢変化後の三次元形状データを生成する、請求項3に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記三次元形状データが、前記測定対象物の外形を規定する稜線が含まれている領域の情報のみを含む、請求項1-4のいずれか1項に記載の画像表示システム。