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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110444
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】トレーニング装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 22/16 20060101AFI20240808BHJP
   B63B 32/22 20200101ALI20240808BHJP
【FI】
A63B22/16
B63B32/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014966
(22)【出願日】2023-02-03
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】523039204
【氏名又は名称】合同会社blue tube
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】土屋 敦史
(57)【要約】
【課題】陸上において、サーフィンのパドリングについて、効果的なトレーニングを行うことができるトレーニング装置を提供する。
【解決手段】
本発明に係るトレーニング装置は、長手方向に延びるとともに、裏面に下方に向けて突出する突出部が設けられ、突出部を支点として揺動可能に支持されるバランスボードと、平面視で長辺と短辺を備えた矩形状をなし、バランスボードを支持する天板、および天板を下方から支持する脚部を備えた支持部材と、支持部材の一方側の短辺よりも長手方向の外側に一端部が固定された伸縮部、および伸縮部の他端部に連結されたグリップ部を備えた左右一対のハンドル部材と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びるとともに、裏面に下方に向けて突出する突出部が設けられ、前記突出部を支点として揺動可能に支持されるバランスボードと、
平面視で長辺と短辺を備えた矩形状をなし、前記バランスボードを支持する天板、および前記天板を下方から支持する脚部を備えた支持部材と、
前記支持部材の一方側の短辺よりも長手方向の外側に一端部が固定された伸縮部、および前記伸縮部の他端部に連結されたグリップ部を備えた左右一対のハンドル部材と、を備えたトレーニング装置。
【請求項2】
前記天板に支持される際に、前記バランスボードは、前記突出部を含む2か所以上の支点により支持される、請求項1に記載のトレーニング装置。
【請求項3】
前記バランスボードを支持する際に、前記天板の上面には、前記突出部と接触する第1支持部の他、ユーザにおける長手方向の後方側の端部において前記バランスボードを支持する第2支持部が形成される、請求項2に記載のトレーニング装置。
【請求項4】
前記天板は、その上面のうち、前記突出部と接触する位置に着脱可能に取り付けられる台座を備えている、請求項1に記載のトレーニング装置。
【請求項5】
前記バランスボードの裏面には、前記突出部を構成する半球体状の支持体が取り付けられている、請求項1に記載のトレーニング装置。
【請求項6】
前記支持体は、前記バランスボードの裏面のうち、長手方向の一方側に配置されている、請求項5に記載のトレーニング装置。
【請求項7】
前記支持部材は、前記天板の一方側の短辺に対して、長手方向の外側に向けて延びる梁を備え、
前記梁は、長手方向の一方側の端部に支持脚が設けられるとともに、他方側の端部が、前記脚部と連結され、
前記伸縮部の一端部は、前記梁の一方側の端部に連結されている、請求項1に記載のトレーニング装置。
【請求項8】
前記伸縮部の自然長は、前記梁の長手方向の長さよりも大きい、請求項7に記載のトレーニング装置。
【請求項9】
前記支持部材は、前記天板の左右の端縁それぞれに配置されて上方に向けて延びるとともに、前記天板が前記バランスボードを支持する際に、前記バランスボードの幅方向への変位を規制する規制部を備えている、請求項1に記載のトレーニング装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トレーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バランス感覚を鍛えるための器具として、バランスボードが知られている。
例えば下記の特許文献1には、海上に浮遊してサーフボードとしても利用することができるバランスボードが開示されている。このようなバランスボードの上にうつ伏せになることで、サーフィンにおいて波の勢いに乗って立ち上がる動作であるテイクオフにおいて要求されるバランス感覚を養うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-192826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、テイクオフを円滑に行うためには、テイクオフの際に姿勢が安定しているだけでは足らず、サーフボードに十分な推進力を与えるために、左右交互に水を漕ぐパドリングを、姿勢を安定させながら適切に行うことが要求される。
これに対して前述した先行技術では、陸上において用いる場合において、パドリングのトレーニングまで十分に行うことはできなかった。
【0005】
本開示の目的は、陸上において、サーフィンのパドリングについて効果的なトレーニングを行うことができるトレーニング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るトレーニング装置は、長手方向に延びるとともに、裏面に下方に向けて突出する突出部が設けられ、突出部を支点として揺動可能に支持されるバランスボードと、平面視で長辺と短辺を備えた矩形状をなし、バランスボードを支持する天板、および天板を下方から支持する脚部を備えた支持部材と、支持部材の一方側の短辺よりも長手方向の外側に一端部が固定された伸縮部、および伸縮部の他端部に連結されたグリップ部を備えた左右一対のハンドル部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、陸上において、サーフィンのテイクオフに要求されるパドリングについて、効果的なトレーニングを行うことができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るトレーニング装置の全体構成を示す図である。
図2図1に示すバランスボードを示す図であり、図2Aはバランスボードの平面図、図2Bはバランスボードの下面図である。
図3図1に示すトレーニング装置から天板を取り外した状態を示す図である。
図4図1に示すトレーニング装置の側面図である。
図5図1に示すトレーニング装置の正面図である。
図6図1に示すトレーニング装置の平面図である。
図7図1に示すトレーニング装置の使用状態を示す図であり、図7Aは、パドリングを開始する際の状態を示す図、図7Bは、パドリングにおいて、グリップ部が最後部に位置した状態を示す図である。
図8】変形例に係るトレーニング装置を示す図であり、図8Aは変形例に係るトレーニング装置の平面図、図8Bは変形例に係るトレーニング装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)トレーニング装置1の全体構成
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付し、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
本発明の一実施形態に係るトレーニング装置1は、例えばユーザの居室内、自宅の庭先などの屋外である陸上において、サーフィンのトレーニングに用いられる装置である。
図1は、トレーニング装置1の全体構成を示す図である。トレーニング装置1は、サーフィンの基本動作であり、かつ極めて重要な動作でもあるテイクオフの前段階で行われるパドリングに特化したトレーニングに用いられる。
【0011】
パドリングでは、サーフボード上に伏臥した状態で左右交互に水を漕いで前方に向けて進むことで、姿勢を安定させながら十分な推進力を得ることが要求される。トレーニング装置1は、このようなパドリングの練習に特化した各種の構造を備えている。
【0012】
図1に示すように、トレーニング装置1は、バランスボード10と、バランスボード10を支持する支持部材20と、支持部材20に固定された左右一対のハンドル部材30と、を備えている。
以下の説明において、図1に示すトレーニング装置1が延びる方向(ユーザの前後方向)を長手方向Xとし、平面視において、長手方向Xと直交する方向を幅方向Yとする。また、長手方向Xおよび幅方向Y双方と直交する方向を上下方向Zとする。以下、各部材の構成について詳述する。
【0013】
(1-1)バランスボード10の構成
まず、バランスボード10の構成について説明する。
バランスボード10は、表裏面が概ね上下方向Zを向くように支持部材20に載置されて支持される平板状の部材である。
図2は、図1に示すバランスボード10を示す図であり、図2Aはバランスボード10の平面図、図2Bはバランスボード10の下面図である。
【0014】
バランスボード10は、トレーニング装置1を用いたトレーニングをする際にユーザが伏臥する板であり、サーフボードを模した部材である。
図2Aおよび図2Bに示すように、バランスボード10は、ボード本体10Aと、突出部11と、固定部12と、サポータ13と、を備えている。バランスボード10は、突出部11を除き、全て木材により形成されている。
【0015】
図2Aに示すように、ボード本体10Aは、平面視で長辺と短辺を有する矩形状を呈している。バランスボード10は長辺が長手方向Xに沿う向きに配置される。
ボード本体10Aには、バランスディスク14が取り付けられている。バランスディスク14は、円盤状の基盤部材と、基盤部に設けられ、下方に向けて張り出した半球体状の支持体と、を備えている。半球体状の支持体が、バランスボード10から下方に向けて突出する突出部11を構成している。
【0016】
突出部11は、ボード本体10Aの裏面から、下方に受けて突出している。バランスボード10は、突出部11を支点として長手方向Xおよび幅方向Yに対して揺動可能に支持部材20に支持される。
バランスディスク14は、基部がボード本体10Aの裏面において、平板状をなす複数の固定部12により、長手方向Xおよび幅方向Yに挟まれることで、ボード本体10Aに固定されている。固定部12の上下方向Zの厚みは、バランスディスク14の厚みよりも小さくなっている。
【0017】
バランスディスク14は、ボード本体10Aの裏面のうち、長手方向Xの一方側であり、かつ幅方向Yの中央部分に配置されている。
バランスディスク14は、長手方向Xのうち、ユーザがトレーニング装置1を使用する状態において頭部が位置する前方側に配置されている。より具体的には、バランスディスク14の支持体により構成される突出部11の中心部Oの位置は、ボード本体10Aの前側の端部から、長手方向Xにおいて1/3から中央までの間の領域に配置されている。この領域に突出部11が位置することにより、支持部材20により揺動可能に支持されるバランスボード10に対して、前後方向においても適度な不安定性を与えることができる。
バランスディスク14における基盤部材および支持体は、例えば硬質の合成樹脂材料などにより、一体に形成されていてもよい。
【0018】
サポータ13は、ボード本体10Aの裏面のうち、長手方向Xの両端縁にそれぞれ個別に固定されている。サポータ13は、後述する支持部材20の天板21と接触することで、ボード本体10Aの裏面のうち、天板21と上下方向に向き合う部分の損耗を防ぐ部材である。サポータ13は、ボード本体10Aの長手方向Xの端縁を、幅方向Yの全域にわたって覆っている。サポータ13の上下方向Zの厚みは、バランスディスク14の厚みよりも小さくなっている。
【0019】
(1-2)支持部材20の構成
次に、図1に示す支持部材20の構成について説明する。
図1に示すように、支持部材20は、ベンチとしての構造を有し、座面を構成する天板21により、バランスボード10を支持する機能を有している。図3は、図1に示すトレーニング装置1から天板21を取り外した状態を示す図である。
【0020】
図3に示すように、支持部材20は、バランスボード10を支持する天板21と、天板21を下方から支持する脚部22と、脚部22に連結された梁23と、を備えている。支持部材20は木材により構成されている。支持部材20において、バランスボード10および後述する台座24を取り外すことで天板21が露出する。この状態において、支持部材20は、天板21の上面を、ユーザが着座可能な座面とするベンチとしても用いることができる。
【0021】
天板21は、平面視で長辺と短辺を有する矩形状を呈している。天板21の形状および大きさは、バランスボード10と同等となっている。天板21は、長辺が900mm、短辺が400mmとなっている。
天板21は長辺が長手方向Xに沿うように延びている。天板21は、天板21の上面の一部を覆う台座24を備えている。
【0022】
台座24は、天板21の上面のうち、バランスボード10の突出部11と接触する位置に、着脱可能に取り付けられている。台座24は、前方から見た正面視において、天板21を上方および幅方向Yの両側から覆い、下方に向けて開口するコの字形状を呈している(図5参照)。
【0023】
図3に示すように、脚部22は、天板21の下方における4隅にそれぞれ配置されている。脚部22は、天板21の裏面に固定され、天板21を下方から支持している。互いに周方向に隣り合う脚部22同士は、連結部27により連結されている。
【0024】
梁23は、天板21の一方側(前側)の短辺に対して、長手方向Xの外側に向けて延びている。
梁23における長手方向Xの一方側(前側)の端部には、支持脚25が設けられている。支持脚25は、梁23を下方から支持している。
梁23における他方側(後側)の端部は、脚部22と連結部27を介して連結されている。梁23は、脚部22に対して、着脱可能に連結されていてもよい。
【0025】
図4は、図1に示すトレーニング装置1を側面から見た側面図である。
図4に示すように、支持部材20は、バランスボード10を支持する際に、天板21の上面に2つの支持部F1、F2を形成する。
このうち、第1支持部F1は、天板21に取り付けられた台座24の上面のうち、バランスボード10の突出部11と接触する部分に形成される。すなわち、台座24は、突出部11からの負荷を受けることで第1支持部として機能する。台座24が第1支持部F1となることで、天板21の局所的な損耗が低減される。
【0026】
次に、第2支持部F2は、天板21の上面のうち、バランスボード10における後側のサポータ13と接触する後端縁に形成される。すなわち、天板21のうち、長手方向Xの後方側の端部において、バランスボード10を支持する部分は、第2支持部F2として機能する。天板21の上面の後端縁は、幅方向の全域にわたって、バランスボード10を支持する。
【0027】
また、後述するトレーニングを行うために、バランスボード10の上面に伏臥したユーザの重心位置が、仮に前側に偏った場合には、第2支持部F2’は、天板21の上面のうち、バランスボード10の前側のサポータ13と接触する前端縁に形成されることになる。すなわちこの場合には、天板21のうち、長手方向Xの前方側の端部において、バランスボード10を支持する部分が、第2支持部F2’として機能する。
このように、トレーニング装置1では、支持部材20は、バランスボード10を2か所以上の支持部により支持することができる。
【0028】
つまり、トレーニング装置1では、バランスボード10が、裏面の一か所で支持される構成と比較すると、不安定過ぎないながらも左右のバランスについてはある程度不安定な状態を実現している。
【0029】
(1-3)ハンドル部材30の構成
次に、ハンドル部材30の構成について説明する。図5は、図1に示すトレーニング装置1を前方から見た正面図である。
図5に示すように、ハンドル部材30は、伸縮部31と、グリップ部32と、を備え、左右に一対設けられている。
【0030】
伸縮部31は、例えばゴムチューブなどの弾性を備えた線状の部材であり、一端部が、支持部材20における梁23の一方側(前側)の端部に連結環を介して連結されている。すなわち、伸縮部31の一端部は、支持部材20の一方側の短辺よりも長手方向Xの外側(前方)に固定されている。伸縮部31は、連結環に対して着脱可能となっている。これにより、伸縮部31を強度の設定のために交換することができる。
【0031】
図6は、図1に示すトレーニング装置1を上方から見た平面図である。
図6に示すように、伸縮部31の自然長は、梁23の長手方向Xの長さよりも大きくなっている。具体的には、伸縮部31の自然長は、バランスボード10上に伏臥したユーザの肩と、長手方向Xに一致する位置にグリップ部32が配置されるように設定されることが望ましい(図7参照)。より具体的には、伸縮部31の自然長は900mmであり、梁の長手方向Xの長さは750mmである。
【0032】
グリップ部32は、伸縮部31の他端部に連結されている。バランスボード10の上面に伏臥したユーザがグリップ部32を把持した状態で、伸縮部31の復元力に抗してグリップ部32を後方に向けて変位させることで、ハンドル部材30は、伸縮部31が伸長することにより、グリップ部32の位置を変化させる。その後、ハンドル部材30は、伸縮部31の復元力に応じて、グリップ部32を前方に向けて付勢する。
【0033】
(2)トレーニング装置1の使用方法
次に、このようなトレーニング装置1を用いてユーザがパドリングのトレーニングを行う際の使用方法について説明する。
図7は、トレーニング装置1の使用状態を示す図であり、図7Aは、パドリングを開始する際の状態を示す図、図7Bは、パドリングにおいて、グリップ部32が最後部に位置した状態を示す図である。
【0034】
図7Aに示すように、パドリングの練習を行うユーザは、バランスボード10の上面に伏臥した姿勢をとり、左右のグリップ部32をそれぞれ把持する。この状態がトレーニングの開始姿勢となる。この際、ユーザは、バランスボード10上における幅方向Yの中央に位置することが好ましい。
【0035】
ここで、天板21の高さは、トレーニングを行うユーザがパドリングの動作を円滑に行えるように、ユーザがバランスボード10上に伏臥した姿勢において、ユーザの手が床につかない高さとなっている。すなわち、脚部22は、一般的なベンチの脚よりも長く設定され、天板21は、一般的なベンチの座面よりも高く設定されている。具体的には、ベンチの座面の高さは500mm以上あることが好ましい。
【0036】
また、伸縮部31の自然長が、梁23よりも長いため、開始姿勢において、グリップ部32を把持した際のユーザの手の前後方向(長手方向X)の位置は、ユーザの肩と同等の位置となっている。
【0037】
また、バランスディスク14がバランスボード10におけるボード本体10Aの前側に位置しているため、開始姿勢において、バランスボード10は後方から前方に向かうに従って、次第に位置が高くなるように傾いている。このため、ユーザは、体全体において前方が浮き上がった後傾姿勢(上向きの姿勢)となっている。
【0038】
そして、開始姿勢において、バランスボード10は、突出部11と後端縁のサポータ13の2か所で支持されている状態になるため、バランスボード10上に伏臥したユーザは、バランスを取りながら、姿勢を維持することが要求される。すなわち、ユーザは、主に幅方向に体がぶれないように常にバランスを意識しておく必要がある。
【0039】
次に、図7Bに示すように、ユーザは、トレーニングとして、バランスボード10上で自身の姿勢を維持するようにバランスを取りながら、左右のハンドル部材30を用いてパドル動作を行う。具体的には、ユーザは、例えばクロール泳法における腕部の動きのように、左右のグリップ部32を後方に向けて変位させて前方に戻す動作を交互に繰り返すことで、海上で水を漕ぐパドリングを模した動きを繰り返す。この際、腕部の動きに伴って、特に上半身の左右一方が交互に上下に変動する。
【0040】
そして、パドル動作を繰り返す過程においては、上半身が動くことで、ユーザの重心位置が変化し、バランスボード10が幅方向Y、又は前後方向(長手方向X)に傾きやすくなる。このため、ユーザは、体幹の力を用いてバランスボード10上でバランスを取り続けながら、パドル動作を繰り返すことを要求される。
【0041】
ユーザは、予め設定した練習時間について、パドリングの動作を反復して実行することで、体幹と上半身の筋力のトレーニングを行う。また、ハンドル部材30の伸縮部31を、ばね定数に基づく強度に応じて変更することで、自身の体格やレベルにあった強度を設定し、適切なパドル動作を行うこともできる。
【0042】
ここで、好適なテイクオフをするためには、サーフボード上でのバランス感覚だけではなく、サーフボードの姿勢を安定させながら、パドリングにより十分な推進力を得ることが必要とされる。そして、トレーニング装置1では、ユーザは、自身のバランスボード10上での姿勢を維持しながら、ハンドル部材30の伸縮部31の復元力に抗して、グリップを後方に変位させる動作を反復して繰り返す。これにより、サーフボードに模したバランスボード10上でのバランス感覚を養うとともに、不安定な姿勢において十分に推進力を得るための肩回り等の上半身の筋力を養うことができる。
【0043】
(3)小括
以上説明したように、本実施形態に係るトレーニング装置1では、海上におけるサーフボード上でのパドリングの動作に模した動きを反復して行うことができる。
これにより、パドリング動作における推進力の向上と、パドリング動作時の姿勢の安定性の向上という、テイクオフに要求される2つのスキルを効率的に習得することができる。これにより、ユーザは、パドリングについて効果的なトレーニングを行うことができる。
【0044】
また、トレーニング装置1の支持部材20が、天板21を備えているので、ユーザがバランスボード10を取り外した際に、天板21の上面に着座することができ、例えばトレーニング中の休憩時間に、休憩用のベンチとして支持部材20を使用することができる。
【0045】
また、トレーニング装置1では、バランスボード10が、突出部11を含む2か所以上の支点により天板21によって支持される。このため、例えばバランスボード10が、裏面の一か所で支持される構成と比較して、不安定過ぎないながらも左右のバランスについてはある程度不安定な状態を実現でき、海上での実際に要求されるバランス感覚を効率的に養うことができる。
【0046】
また、トレーニング装置1では、バランスボード10が、突出部11を支持する第1支持部F1だけではなく、端部に位置する第2支持部F2により支持される。このため、バランスボード10の上面に伏臥したユーザが、長手方向については姿勢を安定しやすくなる。
【0047】
また、トレーニング装置1では、天板21が台座24を備えているので、バランスボード10を支持部材20が支持した際に、天板21の上面のうち、突出部11と接触する部分に台座24を取り付けることができる。
これにより、継続してトレーニングに使用した際に、ユーザの体重を支持する突出部11との接触により、天板21の上面が損耗するのを抑制することができる。
【0048】
また、トレーニング装置1では、突出部11が半球体により構成されているので、突出部11を支点として支持されるバランスボード10を全方向に滑らかに揺動させることができる。
【0049】
また、トレーニング装置1では、突出部11となる支持体が、バランスボード10の裏面のうち、長手方向Xの一方側に配置されている。このため、バランスボード10を支持部材20に支持させた際に、バランスボード10の上面に伏臥したユーザが、バランスボード10の前側の先端を上向きにしやすくなる。これにより、サーフィンのパドリング時に推奨される姿勢である、前方が上向きの姿勢を、ユーザがトレーニング中にとりやすくなる。
【0050】
また、トレーニング装置1では、ハンドル部材30が、伸縮部31を介して支持部材20に連結されている。このため、グリップ部32を支持部材20に連結することができ、繰り返しパドル動作を行った際に、ハンドル部材30が脱落するのを防ぐことができる。
【0051】
また、トレーニング装置1では、伸縮部31の自然長が、梁23の長手方向Xの長さよりも大きいので、開始姿勢においては伸縮部31の復元力がかからない状態にすることができる。これにより、海上での動作に近い負荷環境を実現することができる。
【0052】
(4)変形例
次に、トレーニング装置1の変形例について説明する。
図8は、変形例に係るトレーニング装置1を示す図であり、図8Aは変形例に係るトレーニング装置2の平面図、図8Bはトレーニング装置2の正面図である。
図8に示すように、トレーニング装置2の支持部材20は、天板21がバランスボード10を支持する際に、バランスボード10の幅方向Yへの変位を規制する規制部26を備えている。
【0053】
規制部26は、天板21の幅方向Yの端縁それぞれに配置され、上方に向けて延びる木製の板状部材である。規制部26は、天板21のうち、台座24と後端縁との間、すなわち、第1支持部F1と第2支持部F2との間に配置されている。
規制部26は、天板21の幅方向Yの端縁に着脱自在に固定されてもよい。
【0054】
規制部26は、前述したパドル動作を行う際に、ユーザのバランスボード10上での姿勢が傾き、バランスボード10とユーザの重心位置が幅方向Yずれた場合に、天板21に対してバランスボード10が幅方向Yの外側にはみ出すのを規制する。
このため、比較的経験の浅い初心者がトレーニング装置1を用いて練習をする場合に、天板21に対してバランスボード10が幅方向Yの外側にはみ出すことで、ユーザが、バランスボード10とともに、天板21の上面から落下するのを防ぐことができる。
【0055】
このように、トレーニング装置2では、規制部26を備えているので、バランスボード10の幅方向Yへの変位を規制することができ、初心者が練習する際の難易度を下げることで、ユーザの習熟度に合わせたトレーニングに用いることができる。
また、パドル動作に必要な上半身の筋力向上に特化したトレーニングとして、規制部26を取り付けた状態でパドル動作を行ってもよい。この場合には、復元力が強い伸縮部31を用いてパドル動作を行う場合であっても、バランスボード10の幅方向Yのずれを規制部26により抑制することができ、上半身の筋力を効率的に向上させることができる。
【0056】
(5)その他の変形例
本発明は、上記実施形態の構成に限定されない。
例えば、上記実施形態では、バランスボード10のうち、バランスディスク14を除く各部材、および支持部材20を構成する各部材が全て木材で形成されている構成を示したが、この限りではない。各部材の材質は任意に変更することができる。例えば、バランスボード10のボード本体10A、および支持部材20を構成する各部材を合成樹脂材料により形成してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、サーフボードを模したバランスボード10が、平面視で矩形状を呈している構成を示したが、この限りではない。バランスボード10は、サーフボードと同等の長楕円形状であってもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、バランスボード10が2か所で支持される構成を示したが、この限りではない。例えば、サポータ13を、バランスボード10のボード本体10Aにおける裏面のうち、4隅のみを覆う形状としてもよい。すなわち、ボード本体10Aの裏面に、4つのサポータ13が取り付けられる。この場合には、バランスボード10は、突出部11と、ボード本体10Aの後端縁に配置された2つのサポータ13と、による3か所において、支持部材20に支持される構成とすることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態および変形例は、組合せ可能である。
【0060】
(6)付記
以上の実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0061】
(付記1)
長手方向Xに延びるとともに、裏面に下方に向けて突出する突出部11が設けられ、突出部11を支点として揺動可能に支持されるバランスボード10と、
平面視で長辺と短辺を備えた矩形状をなし、バランスボード10を支持する天板21、および天板21を下方から支持する脚部22を備えた支持部材20と、
支持部材20の一方側の短辺よりも長手方向Xの外側に一端部が固定された伸縮部31、および伸縮部31の他端部に連結されたグリップ部32を備えた左右一対のハンドル部材30と、を備えたトレーニング装置1。
【0062】
(付記2)
天板21に支持される際に、バランスボード10は、突出部11を含む2か所以上の支点により支持される、請求項1に記載のトレーニング装置1。
【0063】
(付記3)
バランスボード10を支持する際に、天板21の上面には、突出部11と接触する第1支持部の他、ユーザにおける長手方向Xの後方側の端部においてバランスボード10を支持する第2支持部が形成される、請求項2に記載のトレーニング装置1。
【0064】
(付記4)
天板21は、その上面のうち、突出部11と接触する位置に着脱可能に取り付けられる台座24を備えている、請求項1に記載のトレーニング装置1。
【0065】
(付記5)
バランスボード10の裏面には、突出部11を構成する半球体状の支持体が取り付けられている、請求項1に記載のトレーニング装置1。
【0066】
(付記6)
支持体は、バランスボード10の裏面のうち、長手方向Xの一方側に配置されている、請求項1に記載のトレーニング装置1。
【0067】
(付記7)
支持部材20は、天板21の一方側の短辺に対して、長手方向Xの外側に向けて延びる梁23を備え、
梁23は、長手方向Xの一方側の端部に支持脚25が設けられるとともに、他方側の端部が、脚部22と連結され、
伸縮部31の一端部は、梁23の一方側の端部に連結されている、請求項1に記載のトレーニング装置1。
【0068】
(付記8)
伸縮部31の自然長は、梁23の長手方向Xの長さよりも大きい、請求項7に記載のトレーニング装置1。
【0069】
(付記9)
支持部材20は、天板21の左右の端縁それぞれに配置されて上方に向けて延びるとともに、天板21がバランスボード10を支持する際に、バランスボード10の幅方向Yへの変位を規制する規制部26を備えている、請求項1に記載のトレーニング装置1。
【符号の説明】
【0070】
1、2 トレーニング装置
10 バランスボード
11 突出部
12 固定部
13 サポータ
14 バランスディスク
20 支持部材
21 天板
22 脚部
23 梁
24 台座
25 支持脚
26 規制部
27 連結部
30 ハンドル部材
31 伸縮部
32 グリップ部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8