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  • 特開-内燃機関の遮音構造 図1
  • 特開-内燃機関の遮音構造 図2
  • 特開-内燃機関の遮音構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110446
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】内燃機関の遮音構造
(51)【国際特許分類】
   F02F 7/00 20060101AFI20240808BHJP
   F01M 11/12 20060101ALI20240808BHJP
   F02B 77/13 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
F02F7/00 G
F01M11/12 A
F02B77/13 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014969
(22)【出願日】2023-02-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 新型ミニバン事前取材会 令和4年11月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】秋山 誉広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕太郎
【テーマコード(参考)】
3G015
3G024
【Fターム(参考)】
3G015BL02
3G015CA13
3G015DA05
3G015EA15
3G024AA71
3G024BA01
3G024FA05
3G024FA14
(57)【要約】
【課題】遮音性能を向上させる
【解決手段】遮音カバー3は、オイルレベルゲージを挿入する筒状のオイルレベルゲージガイド2が取り付けられた状態の内燃機関本体1の前面1aに取り付けられている。遮音カバー3は、オイルレベルゲージガイド2が貫通する開口部7と、遮音カバー3の外周から開口部7に達するまで連続して切り離された切り離し部8と、を有している。遮音カバー3は、内燃機関本体1に取り付けられる際に、切り離し部8の切断面を剪断方向に変形させて一時的にオイルレベルゲージガイド2を遮音カバー3の外側から開口部7まで案内可能な間隙Cを形成することが可能となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルレベルゲージを挿入するオイルレベルゲージガイドが取り付けられた内燃機関本体に対して取り付けられる遮音カバーを備え、
上記遮音カバーは、上記オイルレベルゲージガイドが貫通する開口部と、上記遮音カバーの外周から上記開口部に達するまで連続して切り離された切り離し部と、を有することを特徴とする内燃機関の遮音構造。
【請求項2】
上記遮音カバーは、内燃機関本体の前面である気筒列方向の一端側の外表面に対して取り付けられるものであって、
上記切り離し部は、内燃機関本体の幅方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の遮音構造。
【請求項3】
上記切り離し部の周辺部分は、当該切り離し部の周辺部分以外に比べて厚さが薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の遮音構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の遮音構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、内燃機関の前面のカバーに、オイルレベルゲージ及びその案内構造(オイルレベルゲージガイド)を設置することで、オイルレベルゲージの着脱の作業性向上を図る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-153111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、内燃機関の遮音性能を向上させるための遮音構造に関して考慮されていない。
【0005】
つまり、内燃機関の遮音構造は、オイルレベルゲージ等の周辺部品及びその案内構造を考慮した場合に、更なる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
内燃機関の遮音構造は、オイルレベルゲージガイドが貫通する開口部と、自身の外周から上記開口部に達するまで連続して切り離された切り離し部と、を備える遮音カバーを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、遮音カバーは、遮音性能を低下させることなく、開口部にオイルレベルゲージガイドを貫通させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る遮音構造を備えた内燃機関の正面図。
図2図1のA-A線に沿った断面図。
図3】遮音カバーの内燃機関への取り付け方を模式的に示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る遮音構造を備えた内燃機関の正面図である。図2は、図1のA-A線に沿った断面図である。図3は、遮音カバー3の内燃機関への取り付け方を模式的に示した説明図である。
【0011】
実施例の内燃機関は、直列多気筒(例えば3気筒ないし4気筒)の内燃機関であって、シリンダヘッド、シリンダブロック等によって内燃機関本体1が構成されている。
【0012】
内燃機関本体1の前面1aには、筒状のオイルレベルゲージガイド2と遮音カバー3が取り付けられている。内燃機関本体1の前面1aとは、内燃機関本体1の気筒列方向の一端側の外表面である。
【0013】
オイルレベルゲージガイド2は、内燃機関本体1に対して鉛直方向に沿って配置され、鉛直方向で下方側となる一端部2aの先端が内燃機関本体1に対して挿入されている。詳述すると、オイルレベルゲージガイド2の一端部2aの先端は、内燃機関本体1の幅方向で当該内燃機関本体1の一方の側壁1b側に偏った位置で内燃機関本体1に対して挿入されている。換言すると、オイルレベルゲージガイド2の一端部2aの先端は、内燃機関本体1の幅方向で他方の側壁1cよりも一方の側壁1bに近接した位置で内燃機関本体1に対して挿入されている。
【0014】
オイルレベルゲージガイド2の一端部2aは、シール部材4を介して内燃機関本体1に支持される。また、オイルレベルゲージガイド2の一端部2aは、内燃機関本体1に固定されている。ここで、オイルレベルゲージガイド2は、一端部2aの後端から内燃機関本体1の外側に露出しており、内燃機関本体1から露出し始める部分である一端部2aの後端が遮音カバー3の開口部7(後述)を貫通している。オイルレベルゲージガイド2は、鉛直方向で上方側となる他端部2bが、内燃機関本体1の幅方向で他方の側壁1c側に偏った位置でガイド固定用ボルト5により内燃機関本体1に固定されている。オイルレベルゲージガイド2は、一端部2aが内燃機関本体1の幅方向で一方の側壁1b側に位置し、他端部2bが内燃機関本体1の幅方向で他方の側壁1c側に位置しており、遮音カバー3の膨出部6(後述)を避けつつ、鉛直方向の下方側ほど一方の側壁1b側に近づくように配置されている。
【0015】
遮音カバー3は、内燃機関本体1の前面1aと略同一幅を有し、全体の外形が略矩形となっている。遮音カバー3は、前方へ膨らんだ膨出部6と、オイルレベルゲージガイド2が貫通する開口部7と、遮音カバー3の外周から開口部7に達するまで直線上に連続して切り離された切り離し部8と、を有している。
【0016】
遮音カバー3の開口部7は、オイルレベルゲージガイド2の一端部2aの後端部分に貫通されている。遮音カバー3の開口部7は、例えば貫通するオイルレベルゲージガイド2と干渉しないような大きさの開口面積に設定される。遮音カバー3は、開口部7の大きさ(開口面積)が小さいほど遮音性能が優れたものとなる。そのため、遮音カバー3は、遮音性能の観点では開口部7の大きさ(開口面積)を小さく設定することが望ましい。
【0017】
遮音カバー3の開口部7は、遮音カバー3の外周のうち、内燃機関本体1の幅方向で遮音カバー3の一方の辺3aに対して最も近接している。つまり、遮音カバー3の開口部7は、遮音カバー3の一方の辺3aと膨出部6との間に位置している。遮音カバー3の他方の辺3bは、膨出部6を挟んで開口部7の反対側に位置する辺となる。
遮音カバー3の切り離し部8は、内燃機関本体1の幅方向に沿って形成されている。換言すると、遮音カバー3の切り離し部8は、図1に示すようなクランクシャフト軸方向視で、内燃機関のシリンダ中心軸線L及び内燃機関のクランクシャフト(図示せず)に対して直交する直線と平行に形成されている。
【0018】
遮音カバー3の切り離し部8は、遮音カバー3の一方の辺3aから開口部7まで連続している。つまり、切り離し部8は、開口部7から遮音カバー3の外周までの距離が最短となるように形成されている。切り離し部8は、例えば後述する加熱プレス後に切断加工された切れ目である。
【0019】
遮音カバー3は、吸音性ない遮音性を有する材料からなっている。詳述すると、遮音カバー3は、例えば不織布等の可撓性を有するシート材料を所定のカバー形状に成形することで形成される。具体的には、遮音カバー3は、不織布からなるシート材料に熱硬化性樹脂を含侵させ、加熱プレスすることで、所定形状に成形する。遮音カバー3は、切り離し部8の周辺部分が加熱プレスの際に圧縮されて相対的に薄肉となった薄肉部となっている。遮音カバー3は、切り離し部8の周辺部分以外の部分が基本的には加熱プレスの際に切り離し部8の周辺部分に比べて圧縮されない一般部となり、上記薄肉部に比べて厚肉に成形される。
【0020】
遮音カバー3は、オイルレベルゲージガイド2が内燃機関本体1の前面1aに取り付けられた後に、内燃機関本体1の前面1aに4隅が固定用のクリップ9でそれぞれ固定される。クリップ9aは、遮音カバー3の一方の辺3a側の上方の角(隅)を内燃機関本体1に固定する。クリップ9bは、遮音カバー3の一方の辺3a側の下方の角(隅)を内燃機関本体1に固定する。クリップ9cは、遮音カバー3の他方の辺3b側の上方の角(隅)を内燃機関本体1に固定する。クリップ9dは、遮音カバー3の他方の辺3b側の下方の角(隅)を内燃機関本体1に固定する。なお、遮音カバー3の開口部7に最も近いクリップ9bの位置は、オイルレベルゲージガイド2を遮音カバー3の開口部7に案内した後に遮音カバー3の変形を戻すことができるように設定される。つまり、クリップ9bの位置は、オイルレベルゲージガイド2を遮音カバー3の開口部7まで案内する間隙Cを生じさせた変形を元に戻して、間隙Cが消失するように設定される。
【0021】
遮音カバー3は、内燃機関本体1に取り付けられる際に、図3中に矢印で示すように、切り離し部8を挟んで両側に位置する部位を遮音カバー3の厚み方向に沿って互い反対方向に引っ張って一時的に変形(弾性変形)させることで、オイルレベルゲージガイド2を遮音カバー3の外側から開口部7まで案内可能な間隙Cを形成する。
【0022】
つまり、遮音カバー3は、内燃機関本体1に取り付けられる際に、切り離し部8の切断面を剪断方向に変形させてオイルレベルゲージガイド2を遮音カバー3の外側から開口部7まで案内可能な間隙Cを形成することが可能となる。
【0023】
間隙Cは、一時的な変形により一時的に生じるものであるため、オイルレベルゲージガイド2を遮音カバー3の開口部7まで案内した後には消失する。
【0024】
上述した実施例の遮音構造においては、オイルレベルゲージガイド2を遮音カバー3の開口部7まで案内し終えると間隙Cを消失させることが可能なため、遮音性能を低下させることなく、開口部7にオイルレベルゲージガイド2を貫通させることが可能となる。
【0025】
また、遮音カバー3は、オイルレベルゲージガイド2を開口部7へ案内する間隙Cが一時的に生じるものであるため、オイルレベルゲージガイド2を開口部7へ案内した間隙Cを塞ぐために別の遮音材を用意しなくても遮音性能の低下を回避することができる。
【0026】
例えば、遮音カバー3にオイルレベルゲージガイド2が通れるような通路状の切り欠きを形成すれば、オイルレベルゲージガイド2と干渉することなく内燃機関本体1の前面1aに取り付けることが可能となるが、この通路状の切り欠き部分で遮音性能が低下することになり、遮音性能の低下を抑制するためには、この切り欠き部分を別部材で覆う必要がある。
【0027】
遮音カバー3は、内燃機関本体1の幅方向に沿って形成された切り離し部8を利用して内燃機関本体1に対して鉛直方向に沿って取り付けられたオイルレベルゲージガイド2を開口部7へ案内する間隙Cを発生させることで、オイルレベルゲージガイド2を開口部7へ案内する作業力を低減することができる。
【0028】
遮音カバー3は、切り離し部8の周辺部分は、切り離し部8の周辺部分以外に比べて厚さが薄くなるように形成されている。
【0029】
そのため、遮音カバー3は、切り離し部8の切断面を剪断方向に変形させてオイルレベルゲージガイド2を遮音カバー3の外側から開口部7まで案内する際に、より小さい変形量で必要なオイルレベルゲージガイド2を案内となる幅の間隙Cを確保でき、オイルレベルゲージガイド2を開口部7へ案内する作業力を低減することができる。
【0030】
また、遮音カバー3は、切り離し部8の周辺部分を相対的に薄くすることにより、当該部分において自身の材料である不織布の繊維が強固に圧着されて状態になる。そのため、遮音カバー3は、切り離し部8の切断面のほつれが発生しにくくなる。
【0031】
以上、本発明の具体的な実施例を説明してきたが、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0032】
例えば、遮音カバー3の開口部7は、配線、配管、周辺部品を支持する支柱等のオイルレベルゲージガイド2以外の部品を貫通させてもよい。
【0033】
また、本発明の遮音構造は、配線、配管、周辺部品を支持する支柱等、オイルレベルゲージガイド2以外の他の部品を貫通させる開口部にも適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…内燃機関本体
1a…前面
1b…一方の側壁
1c…他方の側壁
2…オイルレベルゲージガイド
2a…一端部
2b…他端部
3…遮音カバー
3a…一方の辺
3b…他方の辺
4…シール部材
5…ガイド固定用ボルト
6…膨出部
7…開口部
8…切り離し部
9…クリップ
9a…クリップ
9b…クリップ
9c…クリップ
9d…クリップ
図1
図2
図3