(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110474
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】治療計画装置、放射線治療装置及び治療計画方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A61N5/10 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015021
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅野 仁一
(72)【発明者】
【氏名】小山 和里
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC01
4C082AE01
4C082AJ08
4C082AJ14
4C082AJ16
4C082AN02
4C082AN10
(57)【要約】
【課題】バイスタンダー効果を利用した放射線治療を行うことを可能にすること。
【解決手段】実施形態に係る治療計画装置は、第1の抽出部と、第2の抽出部と、治療計画部とを備える。第1の抽出部は、医用画像に含まれる腫瘍領域を抽出する。第2の抽出部は、腫瘍領域における低酸素領域を抽出する。治療計画部は、低酸素領域を指標として、腫瘍領域に対する治療計画を策定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像に含まれる腫瘍領域を抽出する第1の抽出部と、
前記腫瘍領域における低酸素領域を抽出する第2の抽出部と、
前記低酸素領域を指標として、前記腫瘍領域に対する治療計画を策定する治療計画部と、
を備える、治療計画装置。
【請求項2】
前記治療計画部は、前記低酸素領域に対する放射線の線量と、放射線感受性が相対的に高い正常臓器であるリスク臓器に対する放射線の線量とに基づいて、前記腫瘍領域に対する治療計画を策定する、請求項1に記載の治療計画装置。
【請求項3】
放射線の照射パラメータごとの前記低酸素領域における線量体積分布と前記リスク臓器における線量体積分布とを表示部に表示させる制御部をさらに備え、
前記治療計画部は、前記低酸素領域における線量体積分布と前記リスク臓器における線量体積分布とに基づいて決定された前記放射線の照射パラメータに応じた治療計画を策定する、請求項2に記載の治療計画装置。
【請求項4】
前記治療計画部は、前記低酸素領域に基づく放射線の照射に加えて、前記腫瘍領域に基づく放射線の照射を含む治療計画を策定する、請求項1~3のいずれか1つに記載の治療計画装置。
【請求項5】
前記治療計画部は、前記腫瘍領域の体積に対する前記低酸素領域の体積の割合が閾値未満である場合、前記腫瘍領域に対する放射線の線量と、放射線感受性が相対的に高い正常臓器であるリスク臓器に対する放射線の線量とに基づいて、前記腫瘍領域に対する治療計画を策定する、請求項1に記載の治療計画装置。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1つに記載の治療計画装置によって策定された治療計画に基づいて、放射線治療を実行する処理部を備える、放射線治療装置。
【請求項7】
医用画像に含まれる腫瘍領域を抽出し、
前記腫瘍領域における低酸素領域を抽出し、
前記低酸素領域を指標として、前記腫瘍領域に対する治療計画を策定する、
ことを含む、治療計画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、治療計画装置、放射線治療装置及び治療計画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、低酸素状態にある組織は、放射線抵抗性を有することが知られている。このような放射線抵抗性の違いについては、放射線治療において組織ごとに考慮されているが、組織内の領域ごとには考慮されていない。すなわち、組織内の領域ごとに低酸素の状態が異なる状況に対して、それらに合わせた治療計画は立てられていない。
【0003】
例えば、低酸素状態にあり、放射線抵抗性を有する組織に対する放射線治療としては、追加的に放射線を照射する手法(ブースト照射)や、増感剤を用いて放射線に対する感度をあげてから放射線を照射する手法が知られている。また、近年では、腫瘍内の一部の領域に対してのみ放射線を照射することで、周辺の腫瘍細胞まで治療の効果が及ぶ現象(バイスタンダー効果)が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、バイスタンダー効果を利用した放射線治療を行うことを可能にすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る治療計画装置は、第1の抽出部と、第2の抽出部と、治療計画部とを備える。第1の抽出部は、医用画像に含まれる腫瘍領域を抽出する。第2の抽出部は、前記腫瘍領域における低酸素領域を抽出する。治療計画部は、前記低酸素領域を指標として、前記腫瘍領域に対する治療計画を策定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る放射線治療システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る治療計画装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る治療計画装置によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図4A】
図4Aは、第1の実施形態に係るHTV領域を特定するための医用画像の一例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、第1の実施形態に係るHTV領域を特定するための医用画像の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る照射領域の設定を説明するための図である。
【
図6A】
図6Aは、第1の実施形態に係るバイスタンダー効果を説明するための図である。
【
図6B】
図6Bは、第1の実施形態に係るバイスタンダー効果を説明するための図である。
【
図6C】
図6Cは、第1の実施形態に係るバイスタンダー効果を説明するための図である。
【
図6D】
図6Dは、第1の実施形態に係るバイスタンダー効果を説明するための図である。
【
図6E】
図6Eは、第1の実施形態に係るバイスタンダー効果を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るDVHの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本願に係る治療計画装置、放射線治療装置及び治療計画方法の実施形態を詳細に説明する。なお、本願に係る治療計画装置、放射線治療装置及び治療計画方法は、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、実施形態は、処理内容に矛盾が生じない範囲で他の実施形態や従来技術との組み合わせが可能である。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る放射線治療装置を含む放射線治療システムについて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る放射線治療システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る放射線治療システム1は、治療計画装置100と、医用画像診断装置200と、放射線治療情報システム300と、放射線治療装置400とを含む。治療計画装置100、医用画像診断装置200、放射線治療情報システム300、及び、放射線治療装置400は、ネットワーク2を介して、相互に通信可能に接続されている。なお、
図1に示す構成はあくまでも一例であり、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、その他種々の装置やシステムが放射線治療システム1に含まれる場合でもよい。
【0010】
治療計画装置100は、医用画像診断装置200によって収集された被治療体の3次元の医用画像を用いて、放射線治療装置400による放射線治療の治療計画を策定する。具体的には、治療計画装置100は、3次元の医用画像を用いて位置を特定した治療対象部位に対して放射線治療装置400が照射する放射線の照射角度や、照射角度ごとの線量及び照射野の形状、照射する回数などの照射パラメータを含む治療計画を策定する。そして、治療計画装置100は、放射線治療情報システム300及び放射線治療装置400に対して治療計画を送信する。ここで、治療計画装置100は、バイスタンダー効果を利用した放射線治療計画を策定するが、この点については後に詳述する。
【0011】
医用画像診断装置200は、放射線治療に用いる3次元の医用画像を収集する。医用画像診断装置200は、例えば、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、3次元画像を出力可能なX線診断装置、超音波診断装置などを含む。上記した各医用画像診断装置200は、天板に横臥した被治療体の治療対象部位(腫瘍など)を含む3次元の医用画像を収集して、収集した3次元の医用画像を治療計画装置100に送信する。
【0012】
放射線治療情報システム300は、放射線治療に関する種々の情報を記録して管理する。具体的には、放射線治療情報システム300は、治療計画や、実績情報(照射履歴)、種々の報告、被治療体の状況の記録など、治療の進捗に関わる種々の情報を、被治療体ごとに記録して管理する。放射線治療情報システム300は、ネットワーク2に接続された各装置からアクセスされ、管理する情報を提供することができる。
【0013】
放射線治療装置400は、治療計画装置100による治療計画に従い、被治療体に対して放射線を照射し、放射線治療を実行する。具体的には、放射線治療装置400は、放射線治療情報システム300を介して治療計画装置100から治療計画を取得し、取得した治療計画に含まれる照射パラメータに沿って放射線を照射することで、被治療体に対する放射線治療を実行する。なお、本実施形態に係る放射線治療装置400は、電子線、X線、ガンマ線、陽子線、重粒子線のいずれの放射線を照射する場合でもよい。
【0014】
以下、本実施形態に係る治療計画装置100の詳細について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る治療計画装置100の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、治療計画装置100は、通信インターフェース110と、入力インターフェース120と、ディスプレイ130と、記憶回路140と、処理回路150とを備え、腫瘍内の一部の領域に対してのみ放射線を照射することで周辺の腫瘍細胞まで治療の効果が及ぶバイスタンダー効果を利用して、低酸素領域に対する放射線治療を行うことを可能にする。
【0015】
通信インターフェース110は、治療計画装置100と、ネットワークを介して接続された他の装置との間で送受信される各種データの伝送及び通信を制御する。具体的には、通信インターフェース110は、処理回路150に接続されており、他の装置から受信したデータを処理回路150に送信、又は、処理回路150から送信されたデータを他の装置に送信する。例えば、通信インターフェース110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0016】
入力インターフェース120は、利用者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インターフェース120は、処理回路150に接続されており、利用者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路150に送信する。例えば、入力インターフェース120は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インターフェース、及び音声入力インターフェース等によって実現される。なお、本明細書において、入力インターフェース120は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ送信する電気信号の処理回路も入力インターフェース120の例に含まれる。
【0017】
ディスプレイ130は、各種情報及び各種データを表示する。具体的には、ディスプレイ130は、処理回路150に接続されており、処理回路150から受信した各種情報及び各種データを表示する。例えば、ディスプレイ130は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。本実施形態では、ディスプレイ130は、例えば、腫瘍領域における低酸素領域の線量体積分布(Dose Volume Histgram:DVH)、及び、リスク臓器のDVH、放射線の照射角度や、照射角度ごとの線量及び照射野の形状、照射する回数などの照射パラメータを含む治療計画を表示する。
【0018】
記憶回路140は、各種データ及び各種プログラムを記憶する。具体的には、記憶回路140は、処理回路150に接続されており、処理回路150から受信したデータを記憶、又は、記憶しているデータを読み出して処理回路150に送信する。例えば、記憶回路140は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0019】
処理回路150は、治療計画装置100の全体を制御する。例えば、処理回路150は、入力インターフェース120を介して利用者から受け付けた入力操作に応じて、各種処理を行う。例えば、処理回路150は、他の装置から送信されたデータを、通信インターフェース110を介して受信し、受信したデータを記憶回路140に記憶する。また、例えば、処理回路150は、記憶回路140から受信したデータを通信インターフェース110に送信することで、当該データを他の装置に送信する。また、例えば、処理回路150は、記憶回路140から受信したデータをディスプレイ130に表示する。
【0020】
本実施形態では、例えば、
図2に示すように、処理回路150は、制御機能151と、輪郭抽出機能152と、低酸素領域抽出機能153と、治療計画機能154とを実行する。ここで、制御機能151は、制御部の一例である。また、輪郭抽出機能152は、第1の抽出部の一例である。また、低酸素領域抽出機能153は、第2の抽出部の一例である。治療計画機能154は、治療計画部の一例である。
【0021】
制御機能151は、通信インターフェースを介したデータの送受信を制御する。例えば、制御機能151は、医用画像診断装置200から3次元の医用画像を取得する。また、制御機能151は、治療計画機能154によって策定された治療計画を放射線治療情報システム300及び放射線治療装置400に送信する。また、制御機能151は、各種データ(例えば、治療計画に関する各種情報)のディスプレイ130への表示を制御する。
【0022】
輪郭抽出機能152は、3次元の医用画像に含まれる腫瘍領域を抽出する。また、輪郭抽出機能152は、放射線感受性が相対的に高い正常臓器であり、放射線の照射を避けるべき臓器であるリスク臓器を、3次元の医用画像から抽出する。
【0023】
低酸素領域抽出機能153は、腫瘍領域における低酸素領域を抽出する。
【0024】
治療計画機能154は、低酸素領域を指標として、腫瘍領域に対する治療計画を策定する。
【0025】
次に、治療計画装置100による処理の手順について、
図3を用いて説明した後、各処理の詳細について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る治療計画装置100によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図3では、治療計画を策定するための3次元の医用画像として、CT画像を用いる場合を示す。また、
図3では、腫瘍領域内の低酸素領域を抽出するための手段として、低酸素領域画像(BOLD(Blood Oxygen Level Dependent)-MRI画像又はFMISO(fluoromisonidazole)-PET画像)を用いる場合を示す。
【0026】
例えば、
図3に示すように、本実施形態では、制御機能151が、治療計画用CT装置(医用画像診断装置200)から被治療体の3次元のCT画像を取得する(ステップS101)。さらに、制御機能151は、MRI装置(医用画像診断装置200)から被治療体のBOLD-MRI画像を取得する、又は、PET装置(医用画像診断装置200)から被治療体のFMISO-PET画像を取得する(ステップS102)。これら処理は、例えば、処理回路150が、制御機能151に対応するプログラムを記憶回路140から呼び出して実行することにより実現される。
【0027】
続いて、輪郭抽出機能152が、3次元のCT画像に含まれる腫瘍及びリスク臓器(organs at risk:OAR領域)の輪郭を特定する(ステップS103)。この処理は、例えば、処理回路150が、輪郭抽出機能152に対応するプログラムを記憶回路140から呼び出して実行することにより実現される。
【0028】
続いて、低酸素領域抽出機能153が、腫瘍領域における低酸素領域(以下、Hypoxic tumor volume:HTV領域と記す)を特定する(ステップS104)。具体的には、低酸素領域抽出機能153は、輪郭抽出機能152によって特定された腫瘍領域におけるHTV領域を特定する。この処理は、例えば、処理回路150が、低酸素領域抽出機能153に対応するプログラムを記憶回路140から呼び出して実行することにより実現される。
【0029】
続いて、治療計画機能154が、HTV領域を指標として、腫瘍領域に対する治療計画を策定する(ステップS105)。具体的には、治療計画機能154は、HTV領域に対する放射線の線量と、OAR領域に対する放射線の線量とに基づいて、腫瘍領域に対する治療計画を策定する。この処理は、例えば、処理回路150が、治療計画機能154に対応するプログラムを記憶回路140から呼び出して実行することにより実現される。
【0030】
続いて、制御機能151が、HTV領域とOAR領域のDVHをディスプレイ130に表示させる(ステップS106)。この処理は、例えば、処理回路150が、制御機能151に対応するプログラムを記憶回路140から呼び出して実行することにより実現される。
【0031】
続いて、治療計画機能154が、DVHが条件を満たしたか否かを判定する(ステップS107)。具体的には、治療計画機能154は、ディスプレイ130に表示されたHTV領域とOAR領域のDVHに対する操作者の承認が得られたか否かを判定する。
【0032】
ここで、DVHが条件を満たしていない場合(ステップS107、No)、操作者が手動で、または、治療計画機能154が自動で、治療計画に含まれる照射パラメータを変更して(ステップS108)、DVHが条件を満たしたか否かを再度判定する(ステップS107)。S107及びS108の処理は、例えば、処理回路150が、治療計画機能154に対応するプログラムを記憶回路140から呼び出して実行することにより実現される。
【0033】
一方、DVHが条件を満たした場合(ステップS107、Yes)、治療計画機能154は、治療計画の策定を終了する。なお、治療計画の策定が終了すると、制御機能151は、治療計画を放射線治療情報システム300及び放射線治療装置400に送信する。
【0034】
以下、治療計画装置100によって実行される各処理の詳細について説明する。
【0035】
(医用画像の取得処理)
図3のステップS101及びS102で説明したように、制御機能151は、入力インターフェース120を介した医用画像の取得操作に応じて、被治療体から取得された3次元の医用画像を取得する。例えば、制御機能151は、被治療体に対する治療計画を策定するために必要な3次元のCT画像を取得する。なお、治療計画用のCT画像が撮影される場合、被治療体の体勢の再現性及び保持性を高めるために固定具が作成される場合もある。また、被治療体は、放射線治療の各回において正確に放射線を照射させるための位置合わせに必要なマークが体表に付けられることもある。
【0036】
また、制御機能151は、腫瘍におけるHTV領域を特定するための医用画像を取得する。
図4A及び
図4Bは、第1の実施形態に係るHTV領域を特定するための医用画像の一例を示す図である。ここで、
図4AはBOLD-MRI画像を示し、
図4BはFMISO-PET画像を示す。なお、
図4A及び
図4Bでは2次元で示しているが、実際には、制御機能151は、3次元のBOLD-MRI画像或いは3次元のFMISO-PET画像を取得する。
【0037】
BOLD-MRI画像は、血中のデオキシヘモグロビン量の違いにより生じるMR信号の変化を画像化したものであり、
図4Aに示すように、HTV領域(低酸素領域)とそれ以外の領域とが識別可能である。また、FMISO-PET画像は、FMISOの集積状態を画像化したものであり、
図4Bに示すように、腫瘍における低酸素状態の領域(HTV領域)が識別可能である。
【0038】
(腫瘍及びリスク臓器の輪郭抽出処理)
図3のステップS103で説明したように、輪郭抽出機能152は、制御機能151によって取得されたCT画像に含まれる腫瘍及びリスク臓器の輪郭を抽出する。具体的には、輪郭抽出機能152は、操作者(医師)による手動の処理又は画像処理技術による自動の処理によるコンツーリング(輪郭の抽出)に基づいて、腫瘍及びリスク臓器の輪郭を抽出する。
【0039】
例えば、手動の処理によるコンツーリングの場合、医師が、CT画像を観察しながら、リスク臓器、腫瘍の進展や存在が肉眼的に確認できる3次元領域である肉眼的腫瘍体積(Gross Tumor Volume:GTV)、及び、肉眼的には確認できないが潜在的な腫瘍領域を含む臨床的標的体積(Clinical Target Volume:CTV)を設定する。輪郭抽出機能152は、医師によって設定された輪郭を、CT画像におけるリスク臓器、GTV、及び、CTVとして特定する。
【0040】
また、例えば、自動の処理によるコンツーリングの場合、輪郭抽出機能152は、既存の画像処理技術や、機械学習よって得られた学習済みモデルによってCT画像に含まれるリスク臓器、GTV、及び、CTVを抽出する。
【0041】
(HTV領域の抽出処理)
図3のステップS104で説明したように、低酸素領域抽出機能153は、低酸素領域画像(BOLD-MRI画像又はFMISO-PET画像)と、CT画像とに基づいて、CT画像における腫瘍領域内のHTV領域を特定する。具体的には、低酸素領域抽出機能153は、まず、低酸素領域画像とCT画像とを位置合わせする。そして、低酸素領域抽出機能153は、低酸素領域画像におけるHTVの座標と、CT画像における腫瘍領域の座標とに基づいて、CT画像におけるHTV領域を特定する。
【0042】
例えば、低酸素領域抽出機能153は、既存の線形位置合わせアルゴリズムや、非線形位置合わせアルゴリズム、或いは、それらを組み合わせた手法を用いて、低酸素領域画像におけるボクセルとCT画像におけるボクセルとの対応関係を算出する。そして、低酸素領域抽出機能153は、算出した対応関係に基づいて、CT画像において抽出された腫瘍の低酸素領域(HTV領域)を特定する。
【0043】
(治療計画の策定処理)
図3のステップS105で説明したように、治療計画機能154は、低酸素領域抽出機能153によって特定されたHTV領域を指標として、CT画像において特定された腫瘍領域に対する治療計画を策定する。具体的には、治療計画機能154は、放射線の照射領域や、放射線の照射角度、照射角度ごとの線量及び照射野の形状、照射する回数などの照射パラメータを含む治療計画を策定する。
【0044】
ここで、まず、一般的な放射線の照射領域の設定について、
図5を用いて説明する。
図5は、第1の実施形態に係る照射領域の設定を説明するための図である。放射線治療における放射線の照射領域の設定は、通常、上述したGTVに基づいて設定されたCTVを用いて行われる。上述したように、CTVは、GTVと肉眼的には確認できないが潜在的な腫瘍領域とを含む領域である。通常の照射領域の設定では、
図5に示すように、CTVに対して、呼吸、嚥下、心拍動、蠕動などの体内臓器の動きによる影響を吸収するためのインターナルマージン(Internal Margin:IM)を含めたITV(Internal Target Volume)が設定される。
【0045】
さらに、毎回の照射における設定誤差(Set-up Margin:SM)を含めた計画標的体積(Planning Target Volume:PTV)が設定されることで、放射線の照射領域が決定される。ここで、
図5に示すTV(Treatment Volume)は、治療の目的を達成するのに最も適当であると決定された等線量曲線に囲まれた体積を示し、IV(Irradiated Volume)は、正常組織の耐容にとって有意であると考えられる線量が照射される体積を示す。
【0046】
一方、本実施形態に係る治療計画機能154は、HTV領域を指標として、放射線の照射領域を設定する。具体的には、治療計画機能154は、HTV領域に対して、IMを含めたITVを設定し、さらにSMを含めたPTVを設定することで、放射線の照射領域を決定する。なお、HTV領域を指標として設定されるPTVは、
図5に示すPTVよりも小さいものとなる。
【0047】
このように、放射線の照射領域を決定すると、治療計画機能154は、決定した照射領域に対する放射線の照射条件を設定する。例えば、治療計画機能154は、放射線の照射角度、照射角度ごとの線量及び照射野の形状、照射回数などの照射条件を設定する。なお、照射野の形状は、例えば、放射線絞り器であるマルチリーフコリメータ(Multi-Leaf Collimator:MLC)によって形成される。MLCは、放射線の照射範囲を設定する複数の放射線遮蔽板を有し、治療計画に基づいて各遮蔽板が独立して駆動することで、放射線の照射領域の形状に一致した照射野を形成することができる。
【0048】
ここで、治療計画機能154は、バイスタンダー効果を考慮した照射条件を設定することができる。
図6A~
図6Eは、第1の実施形態に係るバイスタンダー効果を説明するための図である。
図6Aに示すように、腫瘍領域にHTV領域が含まれる場合、治療計画機能154は、
図6Bに示すように、HTV領域に対して高線量の放射線(HTV領域の腫瘍細胞を死滅させるために十分な線量の放射線)が照射されるように、照射条件を設定する。
【0049】
HTV領域に対して上述した高線量の放射線が照射されると、サイトカインが放出されることにより、HTV領域の周囲の腫瘍細胞(照射されていない細胞)に対して免疫による腫瘍制御作用が生じる(
図6C)。さらに、B細胞及びT細胞による周囲の腫瘍細胞への腫瘍制御作用も働き(
図6D)、これらバイスタンダー効果により、放射線が照射されたHTV領域とその周囲の領域を含む腫瘍全体を死滅させることができる(
図6E)。
【0050】
このように、照射条件の設定において、治療計画機能154が、HTV領域に対してのみ高線量の放射線を照射するように設定することで、放射線抵抗性を有するHTV領域の腫瘍細胞を放射線で死滅させるとともに、それ以外の領域の腫瘍細胞をバイスタンダー効果によって死滅させることができ、治療効果を高めつつ、副作用を減らす治療計画が可能となる。
【0051】
ここで、HTV領域に対して照射される放射線の線量は、HTV領域の腫瘍細胞が致死となる高線量で設定されてもよく、ブースト照射や増感剤を用いる場合を想定した線量で設定される場合でもよい。すなわち、治療計画機能154は、HTV領域の腫瘍細胞をターゲットとした線量で照射条件を設定する。
【0052】
上述したように、治療計画機能154は、放射線の照射領域や、放射線の照射角度、照射角度ごとの線量及び照射野の形状、照射する回数などの照射パラメータを設定し、操作者(医師)によって承認されたことを条件に、治療計画として決定する。
【0053】
(DVHの表示処理)
図3のステップS107で説明したように、制御機能151は、治療計画機能154によって設定された照射パラメータごとのHTV領域におけるDVHとOAR領域におけるDVHとをディスプレイ130に表示させる。
図7は、第1の実施形態に係るDVHの一例を示す図である。ここで、
図7に示すDVHは、縦軸に体積(Volume(%))を示し、横軸に線量(Dose)を示し、輪郭が特定されたHTV領域とOAR領域における線量と体積の関係をグラフ化したものを示す。すなわち、
図7に示すDVHでは、CT画像上で特定されたそれぞれの3次元領域について線量計算されたものを示す。
【0054】
例えば、制御機能151は、照射パラメータごとに、
図7に示すようなDVHを表示させる。操作者(医師)は、
図7に示すようなDVHを参照して、HTV領域のDVHを示す曲線については、できるだけ大きな体積(100%により近い)に対して高線量の放射線が照射され、かつ、OAR領域のDVHを示す曲線については、高線量の放射線が照射される体積ができるだけ小さくなる(0%により近くなる)ように、照射パラメータを選択する。すなわち、治療計画機能154は、操作者による操作に応じて、放射線の照射方向や照射線量などの照射パラメータを変更しながら、種々の照射条件でのシミュレーションを実行する。換言すると、治療計画機能154は、HTV領域におけるDVHとOAR領域におけるDVHとに基づいて決定された放射線の照射パラメータに応じた治療計画を策定する。制御機能151は、変更された照射パラメータに対応するDVHをディスプレイ130に表示させる。
【0055】
上述したように、操作者は、HTV領域のDVHが高く、OAR領域のDVHが低くなる最適なビームパスを選定することで治療計画を最適化する。治療計画機能154は、操作者によって承認された(最適化された)治療計画を、CT画像にて特定された腫瘍に対する治療計画として決定する。
【0056】
このように策定された治療計画は、放射線治療情報システム300に送信され、患者情報、治療履歴などと一緒に管理される。
【0057】
(放射線治療時)
放射線治療時には、治療計画は放射線治療情報システム300から放射線治療装置400に送信される。放射線治療装置400は、受信した治療計画に沿って、天板に横臥した被治療体に対して放射線を照射する。
【0058】
例えば、放射線治療装置400は、コンソールと、放射線発生器と、放射線絞り器(MLC)と、撮像装置(X線発生器及びX線検出器)とを有する架台と、天板を有する寝台装置とを含み、コンソールからの制御に基づいて、放射線治療を行う。具体的には、コンソールに含まれる処理回路における処理機能は、治療計画装置100によって策定された治療計画に基づいて、架台及び寝台装置を制御することで、放射線治療を実行する。例えば、処理機能は、放射線治療情報システム300を介して治療計画装置100から治療計画を取得する。そして、処理機能は、架台を回転させることで治療計画に沿った照射角度に設定して、天板に横臥した被治療体に対して放射線照射を行う。なお、処理機能は、処理部の一例である。
【0059】
上述したように、第1の実施形態によれば、輪郭抽出機能152は、医用画像に含まれる腫瘍領域を抽出する。低酸素領域抽出機能153は、腫瘍領域における低酸素領域を抽出する。治療計画機能154は、低酸素領域を指標として、腫瘍領域に対する治療計画を策定する。従って、第1の実施形態に係る治療計画装置100は、低酸素領域に対する放射線の照射パラメータを設定して、放射線による低酸素領域の治療を行うとともに、その周囲の領域をバイスタンダー効果で治療することができ、バイスタンダー効果を利用した放射線治療を行うことを可能にする。
【0060】
また、第1の実施形態によれば、治療計画機能154は、低酸素領域(HTV領域)に対する放射線の線量と、放射線感受性が相対的に高い正常臓器であるリスク臓器(OAR領域)に対する放射線の線量とに基づいて、腫瘍領域に対する治療計画を策定する。従って、第1の実施形態に係る治療計画装置100は、HTV領域に対する放射線の照射を適切に行うことを可能にする。
【0061】
また、第1の実施形態によれば、制御機能151は、放射線の照射パラメータごとの低酸素領域(HTV領域)における線量体積分布(DVH)とリスク臓器(OAR領域)における線量体積分布(DVH)とをディスプレイ130に表示させる。治療計画機能154は、低酸素領域における線量体積分布とリスク臓器における線量体積分布とに基づいて決定された放射線の照射パラメータに応じた治療計画を策定する。従って、第1の実施形態に係る治療計画装置100は、HTV領域に対して適切な治療計画を策定することを可能にする。
【0062】
(変形例1)
上述した実施形態では、HTV領域に対する放射線のみを行う場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、GTVを考慮した治療計画を策定する場合でもよい。かかる場合には、治療計画機能154は、低酸素領域(HTV領域)に基づく放射線の照射に加えて、腫瘍領域(GTV)に基づく放射線の照射を含む治療計画を策定する。
【0063】
すなわち、治療計画機能154は、第1の実施形態で説明したHTV領域に基づく放射線の照射に加えて、GTVに対してさらに放射線を照射する治療計画を策定する。例えば、治療計画機能154は、GTVの輪郭よりも小さい輪郭の領域(例えば、GTVの輪郭に対して数ミリのマージン分を縮小させた領域)に対して、通常よりも低線量の放射線を照射する治療計画を策定する。これにより、低酸素領域以外の腫瘍細胞において、バイスタンダー効果による治療効果と放射線による治療効果を得ることができ、より高い効果を得ることができる。また、GTVの輪郭よりも小さい輪郭の領域に対して低線量の放射線を照射するようにすることで、腫瘍の辺縁の正常細胞への影響を低減させることもできる。
【0064】
上述したように、変形例1によれば、治療計画機能154は、低酸素領域に基づく放射線の照射に加えて、腫瘍領域に基づく放射線の照射を含む治療計画を策定する。したがって、変形例1に係る治療計画装置100は、バイスタンダー効果を用いた放射線治療において、腫瘍の辺縁の正常細胞への影響を抑えつつ、より効果が高い治療を行うことを可能にする。
【0065】
(変形例2)
上述した実施形態では、放射線治療に対して1度の治療計画を行う場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、治療の経過に応じて治療計画を修正するART(Adaptive Radiation Therapy)を実施する場合でもよい。かかる場合には、例えば、定期的に低酸素領域画像を収集し、収集した低酸素領域画像を用いてARTを実施する場合でもよい。
【0066】
また、例えば、放射線治療装置400が、MR-Linacシステムである場合、放射線治療装置400が、治療前にBOLD-MRI画像を収集して、治療計画装置100に収集したBOLD-MRI画像を送信する。治療計画装置100は、受信したBOLD-MRI画像に基づいて治療計画を修正することで、治療の経過に即した適切な放射線治療を容易に行うことを可能にする。
【0067】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、HTV領域のサイズに応じて、治療計画を切り替える場合について説明する。例えば、腫瘍によってはHTV領域が小さく、その領域に対する放射線照射では、バイスタンダー効果が発生しない場合も考えられる。そこで、第2の実施形態に係る治療計画装置100は、HTV領域のサイズに応じて、HTV領域に基づく治療計画と、GTVに基づく治療計画とを切り替える。なお、第2の実施形態に係る治療計画装置100は、第1の実施形態と比較して、治療計画機能154による処理が異なる。以下、これを中心に説明する。
【0068】
第2の実施形態に係る治療計画機能154は、GTVの体積に対するHTV領域の体積の割合が閾値未満である場合、GTVに対する放射線の線量と、放射線感受性が相対的に高い正常臓器であるリスク臓器(OAR領域)に対する放射線の線量とに基づいて、GTVに対する治療計画を策定する。すなわち、治療計画機能154は、HTV領域の体積が小さい場合、通常のGTVに基づく治療計画を策定する。一方、GTVの体積に対するHTV領域の体積の割合が閾値以上である場合、治療計画機能154は、第1の実施形態で説明した治療計画の策定を行う。なお、GTVの体積に対するHTV領域の体積の割合を判定するための閾値は、任意に設定される。
【0069】
なお、通常のGTVに基づく治療計画を策定する場合、第2の実施形態に係る制御機能151は、GTVにおけるDVHとOAR領域におけるDVHとをディスプレイ130に表示させることができる。
【0070】
上述したように、第2の実施形態によれば、治療計画機能154は、GTVの体積に対するHTV領域の体積の割合が閾値未満である場合、GTVに対する放射線の線量と、OAR領域に対する放射線の線量とに基づいて、GTVに対する治療計画を策定する。従って、第2の実施形態に係る治療計画装置100は、HTV領域のサイズに応じて、適切な治療計画を策定することを可能にする。
【0071】
(その他の実施形態)
これまで第1及び第2の実施形態について説明したが、上述した第1及び第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0072】
上述した実施形態では、腫瘍における低酸素領域を特定する手段として、BOLD-MRI画像又はFMISO-PET画像を用いる場合ついて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、腫瘍における低酸素領域を特定することができる手段であればどのような手段が用いられる場合でもよい。
【0073】
上述した実施形態では、処理回路150が有する各処理機能について説明した。ここで、例えば、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路140に記憶される。処理回路150は、各プログラムを記憶回路140から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、
図2に示した各処理機能を有することとなる。
【0074】
なお、
図2では、単一の処理回路150によって各処理機能が実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路150は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路150が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0075】
また、上述した各実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0076】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶部等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0077】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、バイスタンダー効果を利用した放射線治療を行うことを可能にする。
【0078】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
100 治療計画装置
151 制御機能
152 輪郭抽出機能
153 低酸素領域抽出機能
154 治療計画機能
400 放射線治療装置