(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110483
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】ゴルフボール搬送装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A63B69/36 522V
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015041
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】306014493
【氏名又は名称】日本シー・エー・ディー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193046
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 正彦
(72)【発明者】
【氏名】横山 佳雄
(57)【要約】
【課題】走行中にゴルフボール搬送用チェーンが落下することを防止し、安定してゴルフボールを搬送することのできるゴルフボール搬送装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ゴルフボールの移動方向に沿って移動するエンドレス状の搬送用チェーンにはサイドガイドローラと下部ガイドローラが支持されており、サイドガイドローラはケーシング内に対向して設けられた係止壁及び内側壁の間を通過し、下部ガイドローラはケーシング底壁に設けられたチェーン落下防止用のガイドレールに沿って転動するようにゴルフボール搬送装置が構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ練習場においてゴルフボールを搬送するゴルフボール搬送装置であって、ゴルフボールの移動方向に沿って移動するエンドレス状の搬送用チェーンと、前記搬送用チェーンを駆動する駆動源とを有し、前記搬送用チェーンは長尺上のケーシング内に移動可能に配置されており、前記搬送用チェーンの各リンクピンが前記搬送用チェーンの上方に延びてゴルフボール移動用突部となっており、前記各ゴルフボール移動用突部の間に前記ゴルフボールが個別に収納、保持され、前記リンクピンには、サイドガイドローラが支持されており、前記搬送用チェーンの下方には所定の間隔をおいて下部ガイドローラが支持されており、前記ケーシングには係止壁及び内側壁が対向して設けられており、前記ケーシングの底壁にはチェーン落下防止用ガイドレールが設けられており、前記係止壁と前記内側壁との間を前記搬送用チェーンの前記サイドガイドローラが通過し、前記下部ガイドローラが前記ガイドレールに沿って転動するように構成されていることを特徴とするゴルフボール搬送装置。
【請求項2】
前記ケーシング内に設置された断面形状がほぼ山形の傾斜部を有する傾斜板を備え、前記ケーシングの前記底壁から複数条の支持壁が立設され、前記支持壁の上に前記傾斜板が載置されて、前記傾斜板の下部両側に設けられた係止爪と、前記支持壁に設けられた前記係止壁が係合することにより、前記傾斜板が前記支持壁上に固定され、前記ゴルフボールは前記傾斜板の前記傾斜部外端部上に接触すると前記傾斜板の傾斜によって前記ゴルフボールの一部が前記ケーシングの前記側壁の内面に接触し、前記配送用チェーンの移動に伴い、前記ゴルフボール移動用突部で前記ゴルフボールを個別に押しながら転動、搬送することを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール搬送装置
【請求項3】
前記ケーシングの両側壁内面に、前記側壁内面を伝わって流下する雨水を集めて前記ケーシング外へ排水する排水用樋部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のゴルフボール搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ練習場に設置されるゴルフボール搬送装置に係り、特に搬送用チェーンによってゴルフボールを搬送するゴルフボール搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ練習場には多数の打席が設けられ、送球ラインから順次送られて来たゴルフボールを各打席宛に分配する分配機が設置され、その分配機によって分配されたゴルフボールは分岐ラインを通って各打席に供給される。
【0003】
そして送球ラインなどに設置されているボール搬送装置として、ベルトコンベアが通常用いられていた。
【0004】
ところがこのベルトコンベアからなるボール搬送装置では、上下方向にエンドレス状のベルトが配置されていることからボール搬送装置の総厚が必然的に厚くなり、特に2階以上のフロアのコンクリート床に埋設する場合にコンクリート床も必然的に厚くなってしまう。
【0005】
このような従来技術の欠点を解決し、薄型化が可能で設計裕度が高く、耐用寿命の長いゴルフボール搬送装置として、本願発明者は既に搬送用チェーンによるゴルフボール搬送装置を開発したところである(特許文献1)。また、搬送用チェーンをケーシング内に納める構成も開発している(特許文献2)。
【0006】
図5は特許文献1に開示されているゴルフボール搬送装置の断面図である。
図5に示すように搬送用チェーン15の上方には所定の間隔をおいてゴルフボール移動用突出部13が設けられており、このゴルフボール移動用突出部13間にゴルフボール14が個別に収納、保持されている。搬送用チェーン15のリンクピン16が上方に延びてゴルフボール移動用突出部13となっている。このゴルフボール移動用突出部13でゴルフボール14を個別に押しながら回転・搬送する構成になっている。
【0007】
搬送用チェーン15の下部には、所定の間隔をおいて合成樹脂からなる下部ガイドローラ11が回転自在に支持されている。下部ガイドローラ11はケーシング1の底壁3に一体に設けられた平らなベース17上を転動して、搬送用チェーン15の移動をスムーズにしている。
【0008】
このように
図5に示されたゴルフボール搬送装置は、搬送用チェーン15を使用することによりベルトコンベアよりも薄型化が可能であり、1本のチェーンでボールが搬送できるからボールの搬送が確実で、信頼性の向上が図れる優れた搬送装置である。
【0009】
しかしながら、
図5のゴルフボール搬送装置を使用する過程で、エンドレス状に搬送される搬送用チェーン15が、時に下部ガイドローラ11と共に横転して走行面から落下する現象が発生することがあった。発生頻度は高くないが、発生すれば搬送装置は停止してしまい、故障の原因にもなるので、搬送用チェーン15の落下が決して起こらない構造への改良が要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第2978987号
【特許文献2】特許第2926322号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、走行中にゴルフボール搬送用チェーンが落下することを防止し、安定してゴルフボールを搬送することのできるゴルフボール搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るゴルフボール搬送装置は、ゴルフ練習場においてゴルフボールを搬送するゴルフボール搬送装置であって、ゴルフボールの移動方向に沿って移動するエンドレス状の搬送用チェーンと、前記搬送用チェーンを駆動する駆動源とを有し、前記搬送用チェーンは長尺上のケーシング内に移動可能に配置されており、前記搬送用チェーンの各リンクピンが前記搬送用チェーンの上方に延びてゴルフボール移動用突部となっており、前記各ゴルフボール移動用突部の間に前記ゴルフボールが個別に収納、保持され、前記リンクピンには、サイドガイドローラが支持されており、前記搬送用チェーンの下方には所定の間隔をおいて下部ガイドローラが支持されており、前記ケーシングには係止壁及び内側壁が対向して設けられており、前記ケーシングの底壁にはチェーン落下防止用ガイドレールが設けられており、前記係止壁と前記内側壁との間を前記搬送用チェーンの前記サイドガイドローラが通過し、前記下部ガイドローラが前記ガイドレールに沿って転動するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
搬送用チェーンの下方にある下部ガイドローラが、ケーシングの底壁に設けられたガイドレールに沿って走行することにより、走行中にチェーン及びガイドローラが落下することが確実に防止され、安定したゴルフボールの搬送が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】ゴルフボール搬送装置に用いられるボール搬送用チェーン付近の側面図である。
【
図4】本発明の実施例に係るゴルフボール搬送装置の全体の配置図である。
【
図5】従来技術のゴルフボール搬送装置に用いられるボール搬送用チェーン付近の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面とともに説明する。
図4に示すように各打席(自動ティアップ装置20)を巡るようにエンドレス状の搬送用チェーン15が配置され、この搬送用チェーン15はモータ21に連結された駆動スプロケット22の回転により一定方向に移動される。
図中の23は搬送用チェーン15の屈曲箇所などに設置された従動スプロケットであり、往動側と復動側の搬送用チェーン15の間隔dは5~15cm程度の狭いものである。搬送用チェーン15の搬送速度は、10~30cm/sec程度である。
【0016】
図3は本発明の実施の形態に係るゴルフボール搬送装置に用いられるボール搬送用チェーン15付近の側面図である。
図2はゴルフボール搬送装置の断面図であり、
図1はケーシングの断面図である。
【0017】
図1に示すように、ケーシング1は側壁2と底壁3を有し上方が開口して、断面形状がほぼコの字状をしている。ケーシング1の開口は蓋体10で閉塞され、ケーシング1と蓋体10は、
図1に向って垂直方向に長く延びている。
底壁3の中央部には複数条のレール支持壁5が立設され、支持壁5には係止壁6が形成されている。また、側壁2近くに内側壁7が設けられている。
ケーシング1の底壁2には、チェーン落下防止用のガイドレール4が一体に設けられている。
【0018】
図2に示すように、搬送用チェーン15の上部には所定の間隔をおいて多数のピン状のゴルフボール移動用突出部13が設けられ、このゴルフボール移動用突出部13で傾斜板8上にあるゴルフボール14を個別に押しながら回転・搬送する構成になっている。
図3に示すように、搬送用チェーン15のリンクピン16が上方に延びてゴルフボール移動用突出部13となっている。
【0019】
搬送用チェーン15の下方には所定の間隔をおいて合成樹脂からなる下部ガイドローラ11が回転自在に支持されている。またリンクピン16には、合成樹脂からなるサイドガイドローラ12が回転自在に支持されている。
【0020】
係止壁6と内側壁7とは対向しており、
図2に示すように係止壁6と内側壁7との間を搬送用チェーン15のサイドガイドローラ12が通過するようになっている。これにより、搬送用チェーン15の横揺れが防止される。
【0021】
下部ガイドローラ11はガイドレール4に沿って走行するようにされており、搬送用チェーン15が下部ガイドローラ11と共に横転して落下するのが防止される。
図2には二つのガイドレール4がペアとなった構成が示されており、下部ガイドローラ11は二つのガイドレール4の間を転動するようになっている。、ガイドレール4の高さと二つのガイドレール4間の距離は下部ガイドローラ11がスムーズに移動し、かつ落下を防止するように適宜定めれば良い。搬送用チェーン15と下部ガイドローラ11は
図4に示すように、エンドレス上に回転駆動されており、下部ガイドローラ11は転動中にエンドレス状の一周に対して外側方向に押し出される傾向にある。従って、外側のガイドレール4だけを設けて内側のガイドレール4は設けなくても、搬送用チェーン15と下部ガイドローラ11の横転、落下を防ぐことができる。
【0022】
図3に示すボール搬送用チェーン15付近の側面図は
図5と同様であるが、下部ガイドローラ11が走行する面がベース17ではなく、ガイドレール4に沿ってであることが
図5との違いである。
【0023】
図2では省略しているが、図面に向って右側の二つのガイドレール4上にも搬送用チェーン15が乗っており、図面に向って左側がゴルフボール14の往路、右側が復路となっている。搬送用チェーン15は
図4に示すように一周して、エンドレス状に回転している。
【0024】
複数条の支持壁5の上部には両側に傾斜した断面形状がほぼ山形の傾斜板8が載置されている。傾斜板8の下部両側には係止爪9が設けられ、支持壁5のうちの外側両サイドの支持壁5に形成された係止壁6と対向して弾性的に係合することにより、傾斜板8が支持壁5上に固定されている。
【0025】
図2に示すように、ゴルフボール14は傾斜板8の傾斜部の外端部近くに載っており、傾斜部の傾斜によってゴルフボール14の一部が側壁2の内面に接触している。
【0026】
ゴルフボール14は傾斜板8の傾斜部の外端部近くに載っていることで、ゴルフボール14はより安定して転動、搬送されるようになる。
【0027】
両側壁2と内側壁7の間には、ケーシング1の開口部と蓋体10の隙間から侵入して側壁2の内面を伝わって流下した雨水を集めるための樋部18が、ケーシング1の長手方向に沿って連続して形成されている。側壁2の樋部18と対向する位置には所々排水口19が開設されている。これによりケーシング1内に雨水が溜まることがなく、従って搬送用チェーン15の発錆を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明により、ゴルフボールを搬送用チェーンにより搬送する際に、チェーンとガイドローラが落下してしまうことがなくなるので、安定した走行のできるゴルフ練習場向けゴルフボール搬送装置を提供できることの産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0029】
1...ケーシング
2...側壁
3...底壁
4...ガイドレール
5...支持壁
6...係止壁
7...内側壁
8...傾斜板
9...係止爪
10...蓋体
11...下部ガイドローラ
12...サイドガイドローラ
13...ゴルフボール移動用突出部
14...ゴルフボール
15...搬送用チェーン
16...リンクピン
17...ベース
18...樋部
19...排水口
20...自動ティーアップ
21...モータ
22...駆動スプロケット
23...従動スプロケット
【手続補正書】
【提出日】2023-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ練習場においてゴルフボールを搬送するゴルフボール搬送装置であって、ゴルフボールの移動方向に沿って移動するエンドレス状の搬送用チェーンと、前記搬送用チェーンを駆動する駆動源とを有し、前記搬送用チェーンは長尺上のケーシング内に移動可能に配置されており、前記搬送用チェーンの各リンクピンが前記搬送用チェーンの上方に延びてゴルフボール移動用突部となっており、前記各ゴルフボール移動用突部の間に前記ゴルフボールが個別に収納、保持され、前記リンクピンには、サイドガイドローラが支持されており、前記搬送用チェーンの下方には所定の間隔をおいて下部ガイドローラが支持されており、前記ケーシングには係止壁及び内側壁が対向して設けられており、前記ケーシングの底壁には、前記下部ガイドローラの外側と内側の中で少なくとも前記外側にチェーン落下防止用ガイドレールが設けられており、前記係止壁と前記内側壁との間を前記搬送用チェーンの前記サイドガイドローラが通過し、前記下部ガイドローラが前記下部ガイドローラの前記外側の前記ガイドレールに沿って転動するように構成されていることを特徴とするゴルフボール搬送装置。
【請求項2】
前記ケーシング内に設置された断面形状がほぼ山形の傾斜部を有する傾斜板を備え、前記ケーシングの前記底壁から複数条の支持壁が立設され、前記支持壁の上に前記傾斜板が載置されて、前記傾斜板の下部両側に設けられた係止爪と、前記支持壁に設けられた前記係止壁が係合することにより、前記傾斜板が前記支持壁上に固定され、前記ゴルフボールは前記傾斜板の前記傾斜部外端部上に接触すると前記傾斜板の傾斜によって前記ゴルフボールの一部が前記ケーシングの側壁の内面に接触し、前記搬送用チェーンの移動に伴い、前記ゴルフボール移動用突部で前記ゴルフボールを個別に押しながら転動、搬送することを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール搬送装置
【請求項3】
前記ケーシングの両側壁内面に、前記側壁内面を伝わって流下する雨水を集めて前記ケーシング外へ排水する排水用樋部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のゴルフボール搬送装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るゴルフボール搬送装置は、ゴルフ練習場においてゴルフボールを搬送するゴルフボール搬送装置であって、ゴルフボールの移動方向に沿って移動するエンドレス状の搬送用チェーンと、前記搬送用チェーンを駆動する駆動源とを有し、前記搬送用チェーンは長尺上のケーシング内に移動可能に配置されており、前記搬送用チェーンの各リンクピンが前記搬送用チェーンの上方に延びてゴルフボール移動用突部となっており、前記各ゴルフボール移動用突部の間に前記ゴルフボールが個別に収納、保持され、前記リンクピンには、サイドガイドローラが支持されており、前記搬送用チェーンの下方には所定の間隔をおいて下部ガイドローラが支持されており、前記ケーシングには係止壁及び内側壁が対向して設けられており、前記ケーシングの底壁には、前記下部ガイドローラの外側と内側の中で少なくとも前記外側にチェーン落下防止用ガイドレールが設けられており、前記係止壁と前記内側壁との間を前記搬送用チェーンの前記サイドガイドローラが通過し、前記下部ガイドローラが前記下部ガイドローラの前記外側の前記ガイドレールに沿って転動するように構成されていることを特徴とする。