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  • 特開-運転支援システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110495
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】運転支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015075
(22)【出願日】2023-02-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和4年2月7日 2021年度 東京工芸大学大学院 博士後期課程 電子情報工学専攻 博士学位論文公聴会にて公開 (2)令和4年2月7日 博士学位論文 「対話システムにおける言語的配慮戦略の受容性に関する研究」にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】597040902
【氏名又は名称】学校法人東京工芸大学
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】宮本 友樹
(72)【発明者】
【氏名】片上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴紘
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181DD07
5H181FF03
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL06
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】ドライバの心理的負担を抑制しつつ、ドライバに対して適切な運転操作を指示できる運転支援システムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る運転支援システム1は、緊急度評価部12と、ストレス度評価部14と、メッセージ作成部15と、を備える。緊急度評価部12は、危険状況の緊急度を評価する。ストレス度評価部14は、ドライバのストレス度を評価する。メッセージ作成部15は、緊急度又はストレス度あるいはその両方に基づいて、ドライバに通知するためのメッセージを作成する。メッセージ作成部15は、緊急度又はストレス度あるいはその両方に基づき、作成するメッセージの長さ、曖昧性の度合い、及び文末表現の少なくとも何れかを可変とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険状況の緊急度を評価する緊急度評価部と、
ドライバのストレス度を評価するストレス度評価部と、
前記緊急度又は前記ストレス度あるいはその両方に基づいて、前記ドライバに通知するためのメッセージを作成するメッセージ作成部と、を備え、
前記メッセージ作成部は、前記緊急度又は前記ストレス度あるいはその両方に基づき、作成するメッセージの長さ、曖昧性の度合い、及び文末表現の少なくとも何れかを可変とする、
運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドライバに対して運転支援を行うための運転支援装置が記載されている。特許文献1に記載の運転支援装置は、ドライバに危険回避行動の実行を促す小型ロボットを制御する。特許文献1に記載された運転支援装置は、小型ロボット本体を動作させ、小型ロボットに内蔵されたスピーカからドライバに対するメッセージを再生させて、ドライバへの運転支援を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-032204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された運転支援装置は、小型ロボットに内蔵されたスピーカからドライバに対するメッセージを再生させてドライバへの運転支援を実行するが、音声メッセージを作成するための構成を備えていない。そのため、特許文献1においては、音声メッセージを用いたドライバに対する運転支援が十分ではないという課題があった。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、ドライバの心理的負担を抑制しつつ、ドライバに対して適切な運転操作を指示できる運転支援システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る運転支援システムは、
危険状況の緊急度を評価する緊急度評価部と、
ドライバのストレス度を評価するストレス度評価部と、
前記緊急度又は前記ストレス度あるいはその両方に基づいて、前記ドライバに通知するためのメッセージを作成するメッセージ作成部と、を備え、
前記メッセージ作成部は、前記緊急度又は前記ストレス度あるいはその両方に基づき、作成するメッセージの長さ、曖昧性の度合い、及び文末表現の少なくとも何れかを可変とする、
運転支援システムである。
【0007】
このような構成によると、本開示に係る運転支援システムは、危険状況の緊急度と、当該危険状況を示す情報の確信度に基づいて、メッセージを作成するため、ドライバに対して適切に運転操作を指示できる。
また、ドライバのストレス度に基づいて文末表現を決定するため、ドライバの心理的負担を抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、ドライバの心理的負担を抑制しつつ、ドライバに対して適切な運転操作を指示できる運転支援システムを提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る運転支援システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る運転支援システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
<運転支援システムの構成>
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
まず始めに、第1の実施形態に係る運転支援システムの構成について詳しく説明する。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係る運転支援システムの構成を示すブロック図である。
運転支援システム1は、車両に備えられるシステムである。運転支援システム1は、危険情報を示す情報を検出し、当該危険状況の緊急度と、危険情報を示す情報の確信度と、ドライバのストレス度を評価する。そして、当該緊急度、当該確信度、及び当該ストレス度に基づいてドライバの運転を支援するためのメッセージを作成し、ドライバに対して通知する。
運転支援システム1は、検出部11と、緊急度評価部12と、確信度評価部13と、ストレス度評価部14と、メッセージ作成部15と、通知部16と、を備える。
【0012】
検出部11は、例えば、車両が備えるセンサであり、危険情報を示す情報を検出する。検出部11は、検出した危険状況を示す情報を緊急度評価部12及び確信度評価部13に対して出力する。
【0013】
ここで、危険状況とは、事故を引き起こす要因となる可能性があり、ドライバが運転操作によって対応する必要のあるような状況を指す。
危険状況は車両周辺の道路状況等の車両外の状況を含んでもよいし、車両の状態、即ち車両内の状況を含んでもよい。
【0014】
車両外の危険状況の具体的な例としては、車両の進行方向に人や別の車両等の障害物がある状況が挙げられる。このような危険状況を検出する場合、検出部11は、例えば、車両の進行方向の道路状況を監視する車載センサ、あるいは車載カメラである。そして、検出部11は、車両進行方向に障害物を発見した場合に、緊急度評価部12及び確信度評価部13に対して、危険情報を示す情報を出力してもよい。
この場合の危険情報を示す情報は、例えば、障害物の種別を含んでもよいし、車両と障害物との距離を含んでもよいし、衝突予測時間(TTC、Time To Collision)を含んでもよい。
【0015】
また、車両外の危険状況の他の具体的な例としては、下り坂や急カーブ等の事故の発生しやすい道路の形状に関する状況が挙げられる。このような場合、例えば、検出部11は、車両の位置情報と、車両周辺の地図情報を取得可能なナビゲーション装置として構成されてもよい。
この場合の危険情報を示す情報は、例えば、事故の発生しやすい位置までの距離を含んでもよい、道路の形状情報を含んでもよい。
【0016】
車両内の危険状況の具体的な例としては、車両の速度が高すぎるような状況が挙げられる。このような危険状況を検出する場合、検出部11は、例えばスピードメータであり、車速を測定する装置であってもよい。そして、検出部11は、法定速度を超えた場合に、緊急度評価部12及び確信度評価部13に対して、危険情報を示す情報を出力してもよい。この場合の危険情報を示す情報は、例えば、車速の具体的な数値を含んでいてもよい。
【0017】
また、車両内の危険状況の他の具体的な例としては、例えば、車両において故障が発生した状況が挙げられる。このような危険状況を検出する場合、検出部11は、例えば、自己診断機能(OBD、On-Board Diagnostics)を有するECU(Electronic Control Unit)であってもよい。そして、検出部11は、故障を検出した場合に、緊急度評価部12及び確信度評価部13に対して、危険情報を示す情報を出力してもよい。
この場合の危険状況を示す情報は、例えば、故障の具体的な内容を含んでもよい。
【0018】
このように、検出部11は危険状況の種別に応じて様々な態様で実現できる。つまり、検出部11は、ドライバが把握する必要のある危険状況を検出可能であればどのような構成であってもよい。また、検出部11は単独の装置である必要はなく、複数の装置を組み合わせて実現されてもよい。
【0019】
緊急度評価部12は、検出部11から危険状況を示す情報を取得し、当該危険状況の緊急度を評価する。緊急度評価部12は、評価した緊急度をメッセージ作成部15に対して出力する。
ただし、ここでいう緊急度とは、危険状況に対してドライバが対応するまでの時間的な猶予を評価したものであってもよい。
【0020】
例えば、取得した危険状況が、車両の進行方向に障害物が存在する状況であった場合、緊急度評価部12は、衝突予測時間に基づいて緊急度を評価してもよい。
この場合、緊急度評価部12は、例えば、衝突予測時間に対して閾値を設けてもよい。そして、衝突予測時間が閾値より長い場合には「緊急度が低い」と評価し、衝突予測時間が閾値より短い場合には「緊急度が高い」と評価してもよい。
【0021】
緊急度評価部12は、例えば、車両の動作を制御する図示しない制御部の機能として実現されてもよいし、車両に取り付けられる装置、あるいは車両に取り付けられる装置の機能として実現されてもよい。また、検出部11の機能として実現されてもよい。つまり、緊急度評価部12は、危険状況の緊急度を評価可能な構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0022】
確信度評価部13は、検出部11から危険状況を示す情報を取得し、危険状況を示す情報の確信度を評価する。確信度評価部13は、評価した確信度をメッセージ作成部15に対して出力する。
ただし、ここでいう確信度とは、危険状況を示す情報の正確性、即ち検出部11の情報取得精度を評価したものであってもよい。
【0023】
確信度は、複数に段階分けして評価されてもよく、例えば、「確信度が高い」あるいは「確信度が低い」の2段階で評価されてもよい。
また、確信度は数値として評価されてもよく、例えば、検出された危険状況が正しいものである確率を示す具体的な数値であってよい。
【0024】
確信度評価部13は、例えば、検出部11から取得した危険状況を示す情報を人工知能(AI、Artificial Intelligence)に読みこませて、確信度を評価せてもよい。また、確信度評価部13は、検出部11として用いられるセンサ、カメラ、あるいは測定器等の装置に対して、予め確信度の評価を定めておいてもよい。
【0025】
確信度評価部13は、例えば、車両の動作を制御する図示しない制御部の機能として実現されてもよいし、車両に取り付けられる装置、あるいは車両に取り付けられる装置の機能として実現されてもよい。また、検出部11の機能として実現されてもよい。つまり、確信度評価部13は、危険状況の確信度を評価可能な構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0026】
ストレス度評価部14は、ドライバのストレス度を評価する。ストレス度評価部14は、評価したストレス度をメッセージ作成部15に対して出力する。
なお、ここでいうストレス度とは、ドライバが感じる心理的負担を評価したものであってもよい。また、ドライバが感じる心理的負担は、運転操作の実行に起因するものであってもよいし、運転支援システム1に対する不信感に起因するものであってもよい。
【0027】
ストレス度評価部14は、例えば、脈拍や体温等のドライバの生体情報を検出し、検出した生体情報に基づいて、ドライバのストレス度を評価してもよい。このような場合、ストレス度評価部14は、ドライバの生体情報を検出する図示しないセンサから、ドライバの生体情報を取得してもよい。
また、この場合、ストレス度評価部14は、例えば、ドライバの脈拍が早くなり、体温が上昇している場合に、ドライバのストレス度が高いと評価してもよい。
【0028】
また、ストレス度評価部14は、例えば、ドライバの運転操作に関する情報を取得し、当該運転操作の内容に基づいて、ドライバのストレス度を評価してもよい。このような場合、ストレス度評価部14は、車両の動作を制御する図示しない制御部から、ドライバの運転操作に関する情報を取得してもよい。
また、この場合、ストレス度評価部14は、例えば、ドライバが車線変更を繰り返している場合や、ドライバが普段と比較して高い車速で運転しているような場合に、ドライバのストレス度が高いと評価してもよい。
【0029】
また、ストレス度評価部14は、ドライバが運転支援システム1に対して抱く不信感の大きさを推定し、ドライバのストレス度を評価してもよい。
例えば、ストレス度評価部14は、ドライバが運転支援システム1を利用した回数や、利用する頻度、あるいは利用し始めてから経過した期間に基づいて、ドライバが運転支援システム1に対して抱く不信感を推定してもよい。
この場合、ストレス度評価部14は、ドライバが運転支援システム1を利用した回数や、利用する頻度が少なく、また、利用し始めてから経過した期間が短いほど、不信感が大きいと推定し、ドライバのストレス度を高く評価してもよい。
【0030】
ストレス度評価部14は、例えば、車両が有する機能として実現されてもよいし、車両に取り付けられる装置、あるいは車両に取り付けられる装置の機能として実現されてもよい。また、検出部11の機能として実現されてもよい。例えば、ストレス度評価部14として、日本特許第6558283号公報に記載の運転者心理判定装置であってもよい。
つまり、緊急度評価部12は、危険状況の緊急度を評価可能な構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0031】
メッセージ作成部15は、緊急度評価部12から緊急度を取得し、確信度評価部13から確信度を取得し、ストレス度評価部14からストレス度を取得する。
メッセージ作成部15は、緊急度又はストレス度あるいはその両方に基づいて、前記ドライバに通知するためのメッセージを作成する。更に、メッセージ作成部15は、確信度に基づいて、ドライバに通知するためのメッセージを作成してもよい。
メッセージ作成部15は、作成したメッセージを通知部16に対して出力する。
【0032】
メッセージ作成部15は、例えば、車両の動作を制御する図示しない制御部の機能として実現されてもよいし、車両に取り付けられる装置、あるいは車両に取り付けられる装置の機能として実現されてもよい。つまり、メッセージ作成部15は、ドライバに対するメッセージを作成できる構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0033】
メッセージ作成部15は、緊急度又はストレス度あるいはその両方に基づき、メッセージの長さ、曖昧性の度合い、及び文末表現の少なくとも何れかを可変とする。更に、メッセージ作成部15は、緊急度、確信度、又はストレス度のうちの1つ以上に基づき、メッセージの長さ、曖昧性の度合い、及び文末表現の少なくとも何れかを可変としてもよい。
【0034】
特に、本実施形態に係るメッセージ作成部15は、取得した緊急度に基づいてメッセージの長さを決定し、取得した確信度に基づいてメッセージの曖昧性の度合いを決定し、取得したストレス度に基づいてメッセージの文末表現を決定する。
【0035】
ただし、メッセージ作成部15の構成は上記に限定されず、例えば、メッセージ作成部15は、取得したメッセージの長さを、取得した緊急度、確信度、及びストレス度のうちの2つ以上に基づいて決定するような構成であってもよい。
また、メッセージ作成部15は、例えば、取得したメッセージの曖昧性の度合いを、取得した緊急度、確信度、及びストレス度のうちの2つ以上に基づいて決定するような構成であってもよい。
また、メッセージ作成部15は、例えば、取得したメッセージの文末表現を、取得した緊急度、確信度、及びストレス度のうちの2つ以上に基づいて決定するような構成であってもよい。
【0036】
前述したように、本実施形態に係るメッセージ作成部15は、取得した緊急度に基づいてメッセージの長さを決定する。例えば、メッセージ作成部15は、緊急度が高い場合には、緊急度が低い場合と比較して短いメッセージとなるように、メッセージを作成してもよい。
【0037】
例えば、メッセージ作成部15は、緊急度が低い場合に、危険情報の内容と、当該危険情報に対処するための運転操作指示とを内容として含むメッセージを作成してもよい。
また、メッセージ作成部15は、緊急度が高い場合に、危険情報の内容と、当該危険情報に対処するための運転操作指示と、の内、いずれか一方のみを内容として含むメッセージを作成してもよい。
【0038】
このような構成によると、本実施形態に係る運転支援システム1は、ドライバに対して通知する必要のある情報を適切に含みつつ、緊急度に応じた適切な長さのメッセージをドライバに対して通知できる。
【0039】
例えば、危険状況が、車両の進行方向に障害物がある状況であり、当該危険状況に対処するための運転指示が、停止であるとする。
この場合、メッセージ作成部15は、緊急度が低い場合に、「前方に障害物があります。止まってください。」というメッセージを作成してもよい。そして、メッセージ作成部15は、緊急度が高い場合に、「前方に障害物があります。」あるいは「止まってください。」というメッセージを作成してもよい。
【0040】
前述したように、本実施形態に係るメッセージ作成部15は、取得した緊急度に基づいてメッセージの長さを決定する。つまり、メッセージ作成部15は、確信度に対応したヘッジ表現を含むように、メッセージを作成する。
ここで、本明細書中におけるヘッジ表現は、「おそらく」や、「たぶん」等の情報の曖昧性を表す単語を用いてメッセージの内容の断定を避ける表現や、その逆に情報の曖昧性を表す単語を用いずにメッセージの内容を断定する表現を含む。
【0041】
メッセージ作成部15は、確信度が低い場合に、「おそらく」や、「たぶん」等の情報の曖昧性を表す単語を用いてメッセージの内容の断定を避ける表現を含むメッセージを作成してもよい。
また、確信度が高い場合に、情報の曖昧性を表す単語を用いずにメッセージの内容を断定する表現を含むメッセージを作成してもよい。
なお、緊急度が高い場合、メッセージ作成部15は、確信度によらず、より短いメッセージを作成するようにしてもよい。
【0042】
例えば、危険状況が、車両の進行方向に障害物がある状況であり、当該危険状況に対処するための運転指示が、停止であるとする。
この場合、メッセージ作成部15は、確信度が高い場合に、「前方に障害物があります。止まってください。」というメッセージを作成してもよい。そして、メッセージ作成部15は、確信度が低い場合に、「おそらく前方に障害物があります。止まってください。」というメッセージを作成してもよい。
【0043】
前述したように、本実施形態に係るメッセージ作成部15は、取得したストレス度に基づいてメッセージの文末表現を決定する。
例えば、メッセージ作成部15は、ストレス度に応じて、文末表現を、例えば、疑問形にしてもよいし、敬語調にしてもよいし、あるいは口語調にしてもよい。
このような構成によって、本実施形態に係る運転支援システム1は、ドライバの心理的負担を抑制できる。
【0044】
例えば、メッセージ作成部15は、ストレス度が高い場合に文末表現を疑問形としてもよい。また、メッセージ作成部15は、ストレス度が高い場合に文末表現を敬語調にし、ストレス度が低い場合に口語調としてもよい。また、これらを組み合わせてもよい。
さらに、メッセージ作成部15は、ストレス度が高い場合は、運転指示を内容に含まないメッセージを作成してもよい。
【0045】
例えば、危険状況が、車両の進行方向に障害物がある状況であり、当該危険状況に対処するための運転指示が、停止であるとする。
この場合、メッセージ作成部15は、ストレス度が高い場合に、「前方に障害物があります。止まれますか。」というメッセージを作成してもよい。そして、メッセージ作成部15は、ストレス度が低い場合に、「前方に障害物があります。止まってください。」というメッセージを作成してもよい。
また、メッセージ作成部15は、ストレス度が高い場合に、「前方に障害物があります。止まれますか?」というメッセージを作成してもよい。そして、メッセージ作成部15は、ストレス度が低い場合に、「前方に障害物があるよ。止まれる?」というメッセージを作成してもよい。
また、メッセージ作成部15は、ストレス度が高い場合に、「前方に障害物があります。」というメッセージを作成してもよい。そして、メッセージ作成部15は、ストレス度が低い場合に、「前方に障害物があります。止まってください。」というメッセージを作成してもよい。
【0046】
通知部16は、メッセージ作成部15が作成したメッセージを取得する。通知部16は、当該メッセージをドライバに対して通知する。
通知部16は、例えば、音声によってドライバに対してメッセージを通知してもよい。この場合、通知部16は、例えば、ナビゲーション装置が有するスピーカであってもよいし、小型ロボットが有するスピーカであってもよい。
【0047】
<運転支援システムの動作>
以下、図面を参照しながら、第1の実施形態に係る運転支援システムの動作、即ち運転支援方法について詳しく説明する。図2は、第1の実施形態に係る運転支援システムの動作を示すフローチャートである。
なお、以降の説明においては、適宜図1を参照する。
【0048】
まず始めに、検出部11が危険状況を示す情報を検出する(ステップST1)。次に、緊急度評価部12が危険状況の緊急度を評価し(ステップST2)、確信度評価部13が危険情報を示す情報の確信度を評価し(ステップST3)、ストレス度評価部14がドライバのストレス度を評価する(ステップST4)。
ただし、ステップST2、ST3、及びST4が実行される順序は記載の順序に限定されず、記載と異なる順序で実行されてもよい。また、ステップST2、ST3、及びST4は、並行して実行されてもよい。
【0049】
次に、メッセージ作成部15が緊急度、確信度、及びストレス度に基づいてメッセージを作成する(ステップST5)。最後に、通知部16が、メッセージをドライバに通知して(ステップST6)、運転支援システム1は一連の動作を終了する。
【0050】
以上、説明したように、本開示に係る運転支援システムは、緊急度と、ストレス度と、確信度と、に基づいて、ドライバに通知するためのメッセージを作成する。
このような構成によって、本開示に係る運転支援システムは、ドライバの心理的負担を抑制しつつ、ドライバに対して適切な運転操作を指示できる。
【0051】
以上、本開示を上記実施形態に即して説明したが、本開示は上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の開示の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【0052】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
危険状況の緊急度を評価する緊急度評価部と、
ドライバのストレス度を評価するストレス度評価部と、
前記緊急度又は前記ストレス度あるいはその両方に基づいて、前記ドライバに通知するためのメッセージを作成するメッセージ作成部と、を備え、
前記メッセージ作成部は、前記緊急度又は前記ストレス度あるいはその両方に基づき、作成するメッセージの長さ、曖昧性の度合い、及び文末表現の少なくとも何れかを可変とする、
運転支援システム。
(付記2)
前記危険状況を示す情報の確信度を評価する確信度評価部を更に備え、
前記メッセージ作成部が、前記確信度に基づいて、前記ドライバに通知するためのメッセージを作成する、
付記1に記載の運転支援システム。
(付記3)
前記メッセージ作成部が、前記緊急度に基づいて、作成するメッセージの長さを決定する、
付記1又は2に記載の運転支援システム。
(付記4)
前記メッセージ作成部が、前記緊急度が高い場合には前記緊急度が高い場合と比較して短いメッセージとなるように、前記メッセージを作成する、
付記3に記載の運転支援システム。
(付記5)
前記メッセージ作成部が、前記確信度に基づいて、作成するメッセージの曖昧性の度合いを決定する、
付記1乃至4のいずれか1つに記載の運転支援システム。
(付記6)
前記メッセージ作成部が、前記確信度に対応したヘッジ表現を含むように、前記メッセージを作成する、
付記5に記載の運転支援システム。
(付記7)
前記メッセージ作成部が、前記ストレス度に基づいて、作成するメッセージの文末表現を決定する、
付記1乃至6のいずれか1つに記載の運転支援システム。
【符号の説明】
【0053】
1 運転支援システム
11 検出部
12 緊急度評価部
13 確信度評価部
14 ストレス度評価部
15 メッセージ作成部
16 通知部
図1
図2