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  • 特開-測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110498
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/29 20150101AFI20240808BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H04B17/29
H04L7/00 990
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015082
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 高志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】梁 春青
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047AA18
(57)【要約】
【課題】試験構成を簡略化することができ、コストを削減することができる測定装置を提供すること。
【解決手段】DUT20から受信したRF信号を測定する測定部2と、DUT20に送信する試験用のRF信号を生成して送信する信号生成部3と、測定部2と、信号生成部3と、DUT20と、の間での送受信タイミングの同期用に1PPS信号を生成し、測定部2、信号生成部3、DUT20それぞれに出力する1PPS信号生成部4と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信機器(20)と共通の1PPS信号により無線信号の送受信の同期をとって前記無線通信機器と通信して、前記無線通信機器から受信した無線信号の測定を行なうとともに、前記無線通信機器に測定用の無線信号を生成して送信する測定装置(1)であって、
前記1PPS信号を生成し、装置内部と前記無線通信機器に出力する1PSS信号生成部(4)を備える測定装置。
【請求項2】
前記無線通信機器から受信した無線信号の測定を行なう測定部(2)と、
前記測定用の無線信号を生成する信号生成部(3)と、を備え、
前記1PSS信号生成部は、前記測定部と、前記信号生成部と、に個別に前記1PPS信号を出力する請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記1PSS信号生成部は、前記測定部、前記信号生成部、前記無線通信機器、のそれぞれに出力する前記1PPS信号の遅延時間を個別に調整することができるように構成される請求項2に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信した信号の特性や状態を測定したり、信号の受信処理の特性や状態を測定するための信号を生成して送信したりする測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
C-V2X(Cellular-Vehicle to Everything)規格に対応したチップセットや無線通信モジュールなどの無線通信機器をDUT(Device Under Test)として無線信号の特性や状態を測定する測定装置がある。
【0003】
このような測定装置において、正確な測定結果を得るためには、DUTと測定装置の間で、時間方向の同期がとれていることが必要となる。
【0004】
特許文献1には、被測定信号の同期信号により、被測定信号の送信元であるDUTと信号測定装置とのクロックを同期させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6975207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなクロック信号の同期は、DUTと信号測定装置の両方に、GPS(Global Positioning System)信号や1PPS(1Pulse Per Second)信号を入力して行なっていた。
【0007】
しかしながら、一般的にGPS信号を生成するにはGNSS(Global Navigation Satellite System)シミュレータが、1PPS信号を生成するにはファンクションジェネレータが使用されていた。
これらはDUTと測定装置以外の装置となるため、試験構成が複雑になり、試験構成を構築するのに手間がかかっていた。
【0008】
また、GNSSシミュレータやファンクションジェネレータは高価なものであるため、試験構成の構築にコストがかかっていた。
【0009】
そこで、本発明は、装置内で同期のための信号を生成することにより、試験構成を簡略化することができ、コストを削減することができる測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の測定装置は、無線通信機器と共通の1PPS信号により無線信号の送受信の同期をとって前記無線通信機器と通信して、前記無線通信機器から受信した無線信号の測定を行なうとともに、前記無線通信機器に測定用の無線信号を生成して送信する測定装置であって、前記1PPS信号を生成し、装置内部と前記無線通信機器に出力する1PSS信号生成部を備えるものである。
【0011】
この構成により、無線信号の送受信の同期をとるための1PPS信号が装置内部と無線通信機器に出力される。このため、1PSS信号を生成する装置が不要となり、試験構成を簡略化することができ、コストを削減することができる。
【0012】
また、本発明の測定装置において、前記無線通信機器から受信した無線信号の測定を行なう測定部と、前記測定用の無線信号を生成する信号生成部と、を備え、前記1PSS信号生成部は、前記測定部と、前記信号生成部と、に個別に前記1PPS信号を出力するものである。
【0013】
この構成により、測定部と信号生成部に個別に1PPS信号が出力される。このため、測定部と信号生成部に出力する1PPS信号のタイミングを変える試験などにも対応することができる。
【0014】
また、本発明の測定装置において、前記1PSS信号生成部は、前記測定部、前記信号生成部、前記無線通信機器、のそれぞれに出力する前記1PPS信号の遅延時間を個別に調整することができるように構成されるものである。
【0015】
この構成により、測定部、信号生成部、無線通信機器、のそれぞれに出力する1PPS信号の遅延時間が個別に調整される。このため、測定部、信号生成部、無線通信機器、のそれぞれに出力する1PPS信号の遅延時間の調整が必要な試験環境にも対応することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、試験構成を簡略化することができ、コストを削減することができる測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る測定装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る測定装置の1PPS信号生成部の構成例を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る測定装置の遅延処理部の構成例を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る測定装置の試験手順の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る測定装置について詳細に説明する。
【0019】
図1において、本発明の一実施形態に係る測定装置1は、同軸ケーブル等を介して有線で無線通信機器であるDUT20とRF(無線周波数)信号を送受信するようになっている。なお、測定装置1とDUT20は、無線でRF信号を送受信するようにしてもよい。
【0020】
測定装置1は、測定部2と、信号生成部3と、1PPS信号生成部4と、制御部5とを含んで構成される。
【0021】
測定部2は、DUT20から受信したRF信号の送信パワーや送信変調精度などを測定し、測定結果を制御部5に出力する。制御部5は、測定部2からの測定結果を時刻情報などと関連付けて測定装置制御用PC(Personal Computer)10に送信する。
【0022】
信号生成部3は、DUT20に送信する試験用のRF信号を生成してDUT20に送信する。
【0023】
1PPS信号生成部4は、測定部2と、信号生成部3と、DUT20と、の間での送受信タイミングの同期用に1PPS信号を生成し、測定部2、信号生成部3、DUT20、のそれぞれに出力する。
【0024】
1PPS信号生成部4は、例えば、図2に示すように、ベースカウンタ41と、出力用遅延部42と、測定部用遅延部43と、生成部用遅延部44とを含んで構成される。
【0025】
ベースカウンタ41は、基準となる1PPS信号を生成するカウンタである。出力用遅延部42は、DUT20に出力する1PPS信号の遅延時間を調節する。測定部用遅延部43は、測定部2に出力する1PPS信号の遅延時間を調節する。生成部用遅延部44は、信号生成部3に出力する1PPS信号の遅延時間を調節する。
【0026】
出力用遅延部42と、測定部用遅延部43と、生成部用遅延部44とは、例えば、図3に示すように、複数の遅延素子45(451、452、453、・・・45n-2、45n-1、45n)と、セレクタ46とを含んで構成される。
【0027】
遅延素子45は、入力された信号を所定時間遅延させて出力する。遅延素子45は、遅延させた信号を次段の遅延素子45と、セレクタ46とに出力する。
【0028】
セレクタ46は、複数の遅延素子451、452、453、・・・45n-2、45n-1、45nのいずれか1個から入力された信号を選択して出力する。このように、出力用遅延部42と、測定部用遅延部43と、生成部用遅延部44とは、セレクタ46の選択により、入力信号を所定時間遅延させた信号を出力することができる。
【0029】
このため、1PPS信号生成部4は、測定部2と、信号生成部3と、DUT20と、に出力する1PPS信号の遅延時間を個別に調整することができる。例えば、測定装置1とDUT20とが離れて設置され、測定装置1から出力された1PPS信号がDUT20に到達するのに時間がかかる場合にも遅延時間を調整することで対応することができる。
【0030】
また、試験条件として、測定部2と、信号生成部3と、DUT20と、の間の同期信号のタイミングをずらしたい場合にも対応可能となる。なお、カウンタにより遅延を付加する構成にしてもよい。
【0031】
図1において、制御部5は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置などの不揮発性の記憶媒体と、各種入出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成される。
【0032】
このコンピュータユニットのROM及びハードディスク装置には、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットを制御部5として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、制御部5として機能する。
【0033】
制御部5は、ネットワークなどを介して測定装置制御用PC10に接続されている。測定装置制御用PC10は、図示しないキーボードやマウス等により構成される入力部と、図示しない液晶ディスプレイ等により構成される表示部と、を備えたパーソナルコンピュータによって構成される。
【0034】
制御部5は、測定装置制御用PC10のOS(Operating System)上で動作するプログラムからの制御信号により制御される。
【0035】
なお、測定装置1が入力部や表示部を備え、入力部からの入力により制御部5が処理を行なってもよい。
【0036】
DUT20は、例えば、C-V2X規格に対応したチップセットや無線通信モジュールなどの無線通信機器が搭載された試験用の基板であり、DUT制御用PC21とネットワークなどを介して接続されている。
【0037】
DUT制御用PC21は、図示しないキーボードやマウス等により構成される入力部と、図示しない液晶ディスプレイ等により構成される表示部と、を備えたパーソナルコンピュータによって構成される。
【0038】
DUT20は、DUT制御用PC21のOS上で動作するプログラムからの制御信号により制御される。
【0039】
なお、測定装置制御用PC10とDUT制御用PC21は、一つのパーソナルコンピュータを使うようにしてもよい。
【0040】
以上のように構成された本実施形態に係る測定装置1による試験手順の例について、図4のシーケンス図を参照して説明する。図4では、測定装置制御用PC10とDUT制御用PC21を1つのパーソナルコンピュータで構成した場合を示しており、測定装置制御用PC10とDUT制御用PC21の両方の機能を持つパーソナルコンピュータを「PC」として示している。
【0041】
ステップS1において、測定装置1に対する操作により、1PPS信号の出力が実行されると、測定装置1の制御部5は、1PPS信号生成部4に1PPS信号を出力させ、1PPS信号がDUT20に出力される。
【0042】
ステップS2において、DUT制御用PC21としてのPCに対する操作により、GPS信号の取得が選択されると、DUT制御用PC21としてのPCは、「Polling Status」をDUT20に送信して、DUT20が同期完了状態になるまで待ち続ける。
【0043】
ステップS3において、DUT20は、DUT制御用PC21としてのPCから「Polling Status」を受信すると、測定装置1から入力された1PPS信号との同期を開始し、同期が完了したら結果をPCに送信する。
【0044】
また、ステップS4において、測定装置制御用PC10としてのPCに対する操作により、測定装置の同期が選択されると、測定装置制御用PC10としてのPCは、「Polling Status」を測定装置1に送信して、測定装置1が同期完了状態になるまで待ち続ける。
【0045】
ステップS5において、測定装置1の制御部5は、1PPS信号生成部4の生成した1PPS信号により測定部2と信号生成部3に内部的に同期を行なわせ、同期が完了したら結果をPCに送信する。ここで、同期は内部的に行われるため、即座に同期が完了する。
【0046】
その後、ステップS6において、DUT制御用PC21としてのPCは、DUT20において測定装置1から入力された1PPS信号との同期が完了したと判定すると、DUT20に「TX Test Command」を送信する。
【0047】
ステップS7において、DUT20は、DUT制御用PC21から「TX Test Command」を受信すると、所定のRF信号を測定装置1に送信する。
【0048】
ステップS8において、測定装置制御用PC10としてのPCに対する操作により、送信信号の測定が選択されると、測定装置制御用PC10としてのPCは、測定装置1に「TX Measurement」を送信する。
【0049】
ステップS9において、測定装置1の制御部5は、測定装置制御用PC10としてのPCから「TX Measurement」を受信すると、測定部2に受信信号の測定を実行させる。
【0050】
ステップS10において、測定装置1の制御部5は、受信信号の測定が終わると、受信信号の測定結果を測定装置制御用PC10としてのPCに送信する。
【0051】
ステップS11において、DUT制御用PC21としてのPCに対する操作により、受信信号の試験が選択されると、DUT制御用PC21としてのPCは、DUT20に「RX Test Command」を送信する。
【0052】
ステップS12において、測定装置1の制御部5は、DUT20にRF信号を送信する。
【0053】
ステップS13において、DUT20は、測定装置1からのRF信号を受信する。
【0054】
ステップS14において、DUT20は、DUT制御用PC21としてのPCにRF信号の受信の結果を送信する。
【0055】
このように、上述の実施形態では、測定装置1は、1PPS信号を生成し、測定部2、信号生成部3、DUT20、のそれぞれに出力する1PPS信号生成部4を備える。
【0056】
これにより、GNSSシミュレータやファンクションジェネレータなどの装置を使わなくても測定装置1での測定ができ、試験構成を簡略化することができ、コストを削減することができる。
【0057】
また、1PPS信号生成部4は、測定部2に出力する1PPS信号の遅延時間を調節する測定部用遅延部43と、信号生成部3に出力する1PPS信号の遅延時間を調節する生成部用遅延部44と、を備える。
【0058】
これにより、測定部2、信号生成部3、それぞれに出力する1PPS信号の遅延時間を個別に調整することができる。
【0059】
なお、外部の装置から1PPS信号を入力する構成の場合、測定部2、信号生成部3、それぞれに出力する1PPS信号の遅延時間を調整したいときは、測定装置1内部でそのような処理を追加するか、外部装置から2種類の1PPS信号を入力するようにしなければならない。
【0060】
また、1PPS信号生成部4は、測定部2に出力する1PPS信号の遅延時間を調節する測定部用遅延部43と、信号生成部3に出力する1PPS信号の遅延時間を調節する生成部用遅延部44と、DUT20に出力する1PPS信号の遅延時間を調節する出力用遅延部42と、を備える。
【0061】
これにより、測定部2、信号生成部3、DUT20、それぞれに出力する1PPS信号の遅延時間を個別に調整することができる。
【0062】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0063】
1 測定装置
2 測定部
3 信号生成部
4 1PPS信号生成部
5 制御部
10 測定装置制御用PC
20 DUT(無線通信機器)
21 DUT制御用PC
41 ベースカウンタ
42 出力用遅延部
43 測定部用遅延部
44 生成部用遅延部
図1
図2
図3
図4