(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110508
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】クローザおよびクローザを備えた開口部装置
(51)【国際特許分類】
E05F 3/10 20060101AFI20240808BHJP
E05C 19/06 20060101ALI20240808BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
E05F3/10 Z
E05C19/06 C
A47B55/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015102
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000137959
【氏名又は名称】株式会社ムラコシ精工
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】東 陽太
【テーマコード(参考)】
2E050
3B067
【Fターム(参考)】
2E050FA00
2E050GA03
3B067AA05
(57)【要約】
【課題】簡易な構成かつ小型でありながら2つの扉を有する開口部装置に対して対応可能なクローザを提供する。
【解決手段】筐体1の前面開口部1hに設けられた左扉2および右扉3により前面開口部1hを開閉する開口部装置100に取り付けられるクローザ4であって、左扉2および右扉3にそれぞれ設けられる2つの受金具5と、筐体1に固定されたケース体11と、ケース体11に設けられ左扉2および右扉3が閉じられる際、受金具5とそれぞれ係合する2つのラッチ30と、ケース体11に設けられ、ラッチ30を回動可能に保持すると共にラッチ30を引き込むようにそれぞれ作用する2つの引込部20と、ケース体11に設けられ2つのラッチ30と連結された連結プレート40と、ケース体11の内部に設けられ、連結プレート40の中央において結合され、引込部20により左扉2および右扉3が引き込まれる際の勢いを弱める緩衝部50とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の前面開口部に設けられた左扉および右扉によって前記前面開口部を開閉する開口部装置に取り付けられるクローザであって、
前記左扉および前記右扉にそれぞれ設けられる2つの受金具と、
前記筐体に固定されたケース体と、
前記ケース体に設けられ、前記左扉および前記右扉が閉じられる際、前記受金具とそれぞれ係合する2つのラッチと、
前記ケース体に設けられ、前記ラッチを回動可能に保持すると共に当該ラッチを引き込むようにそれぞれ作用する2つの引込部と、
前記ケース体に設けられ、前記2つのラッチと連結された連結プレートと、
前記ケース体に設けられ、前記連結プレートの中央において結合され、前記引込部により前記左扉および前記右扉が引き込まれる際の勢いを弱める緩衝部と、
を備えることを特徴とするクローザ。
【請求項2】
前記緩衝部は、シリンダ部およびピストンロッド部を有し、当該ピストンロッド部の先端部と前記連結プレートの中央部分とが所定の結合部によって結合されている
ことを特徴とする請求項1に記載のクローザ。
【請求項3】
前記ラッチは、前記左扉または前記右扉が開かれると、前記引込部による引き込みに抗して前記ケース体から露出した所定の待機位置に配置される
請求項1または2に記載のクローザ。
【請求項4】
前記連結プレートは、2つの長孔を有し、当該2つの長孔と前記2つのラッチにそれぞれ設けられたガイドピンとがそれぞれ係合した状態で取り付けられている
請求項2に記載のクローザ。
【請求項5】
前記緩衝部は、前記左扉または前記右扉が閉じられるとき、前記ピストンロッド部の移動量が半分以下となる
請求項2に記載のクローザ。
【請求項6】
筐体の前面開口部に設けられた左扉および右扉によって前記前面開口部を開閉する際の勢いを弱めるためのクローザが取り付けられた開口部装置であって、
前記クローザは、
前記左扉および前記右扉にそれぞれ設けられる2つの受金具と、
前記筐体に固定されたケース体と、
前記ケース体に設けられ、前記左扉および前記右扉が閉じられる際、前記受金具とそれぞれ係合する2つのラッチと、
前記ケース体に設けられ、前記ラッチを回動可能に保持すると共に当該ラッチを引き込むようにそれぞれ作用する2つの引込部と、
前記ケース体に設けられ、前記2つのラッチと連結された連結プレートと、
前記ケース体に設けられ、前記連結プレートの中央において結合され、前記引込部により前記左扉および前記右扉が引き込まれる際の勢いを弱める緩衝部と、
を備えることを特徴とする開口部装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローザおよびクローザを備えた開口部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、開き戸に用いられるクローザは、扉を閉じる際の扉引込機構として設けられるバネと、開き戸が閉じられる際の勢いを抑えると共に、開き戸が遅い速度でゆっくりと閉じるための緩衝装置として設けられるピストン式のダンパーを有している。このようなクローザにおいては、一般的に一つの扉に対して一つのバネ、および、一つのダンパーが備えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、扉を開閉する自閉機能部310として、接続部320、案内レール311、ダンパー330および弾性体313を有する冷蔵庫について開示されている(例えば、特許文献2、
図22参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2017-516056号公報
【特許文献2】特開2006-118858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のクローザにおいては、2つの開き戸を有する両開きタイプのキャビネット等に用いる場合、開き戸ごとにそれぞれクローザが必要になるという問題があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成かつ小型でありながら2つの扉を有する開口部装置に対して対応可能なクローザおよびクローザを備えた開口部装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明のクローザにおいては、筐体の前面開口部に設けられた左扉および右扉によって前記前面開口部を開閉する開口部装置に取り付けられるクローザであって、前記左扉および前記右扉にそれぞれ設けられる2つの受金具と、前記筐体に固定されたケース体と、前記ケース体に設けられ、前記左扉および前記右扉が閉じられる際、前記受金具とそれぞれ係合する2つのラッチと、前記ケース体に設けられ、前記ラッチを回動可能に保持すると共に当該ラッチを引き込むようにそれぞれ作用する2つの引込部と、前記ケース体に設けられ、前記2つのラッチと連結された連結プレートと、前記ケース体に設けられ、前記連結プレートの中央において結合され、前記引込部により前記左扉および前記右扉が引き込まれる際の勢いを弱める緩衝部と、を備える。
【0008】
本発明において、前記緩衝部は、シリンダ部およびピストンロッド部を有し、当該ピストンロッド部の先端部と前記連結プレートの中央部分とが結合部によって連結されていることが好ましい。
【0009】
本発明において、前記ラッチは、前記左扉または前記右扉が開かれると、前記引込部による引き込みに抗して前記ケース体から露出した所定の待機位置に配置されることが好ましい。
【0010】
本発明において、前記連結プレートは、2つの長孔を有し、当該2つの長孔と前記2つのラッチにそれぞれ設けられたガイドピンとがそれぞれ係合した状態で取り付けられていることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記緩衝部は、前記左扉または前記右扉が閉じられるとき、前記ピストンロッド部の移動量が半分以下となることが好ましい。
【0012】
本発明の開口部装置においては、筐体の前面開口部に設けられた左扉および右扉によって前記前面開口部を開閉する際の勢いを弱めるためのクローザが取り付けられた開口部装置であって、前記クローザは、前記左扉および前記右扉にそれぞれ設けられる2つの受金具と、前記筐体に固定されたケース体と、前記ケース体に設けられ、前記左扉および前記右扉が閉じられる際、前記受金具とそれぞれ係合する2つのラッチと、前記ケース体に設けられ、前記ラッチを回動可能に保持すると共に当該ラッチを引き込むようにそれぞれ作用する2つの引込部と、前記ケース体に設けられ、前記2つのラッチと連結された連結プレートと、前記ケース体に設けられ、前記連結プレートの中央において結合され、前記引込部により前記左扉および前記右扉が引き込まれる際の勢いを弱める緩衝部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
以上の構成によれば、簡易な構成かつ小型でありながら2つの扉を有する開口部装置に対して対応可能なクローザおよびクローザを備えた開口部装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態におけるクローザを備えたキャビネットの左扉および右扉が閉められた状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態におけるクローザを備えたキャビネットの左扉および右扉が開かれた状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態におけるクローザの受金具の構成を示す全体斜視図(A)および分解斜視図(B)である。
【
図4】本発明の実施の形態におけるクローザの本体部の全体構成を示す斜視図(A)、透視図(B)、および、分解斜視図(C)である。
【
図5】本発明の実施の形態におけるクローザの本体部を下側から見たときの全体構成を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態におけるダンパーケースを上側から見たときの構成を示す斜視図(A)、ダンパーケースの上面図(B)、ダンパーケースを下側から見たときの構成を示す斜視図(C)、および、ダンパーケースの下面図(D)である。
【
図7】本発明の実施の形態における本体部の全体構成を示す上面図(A)、下面図(B)、および、透視図(C)である。
【
図8】本発明の実施の形態におけるダンパーケースを下側から見たときの全体構成を示す斜視図である。
【
図9】本発明の実施の形態におけるラッチの全体構成を示す斜視図(A)、分解斜視図(B)、上面図(C)、側面図(D)、(E)、(F)である。
【
図10】本実施の形態における連結プレートの構成を示す斜視図である。
【
図11】本実施の形態における結合ブロックの構成を示す斜視図(A)、側面図(B)、上面図(C)、および、正面図(D)である。
【
図12】本実施の形態における本体部のラッチが引込位置にある場合の構成を示す上面図(A)、下面図(B)、および、透視図(C)である。
【
図13】本実施の形態において左扉および右扉が開いた状態から左扉が閉まり始める直前の状態を示す平面図である。
【
図14】本実施の形態において左扉の受金具のピンがラッチに接触したときの状態を示す平面図である。
【
図15】本実施の形態において左扉の受金具と連結されたラッチが引き込まれるときの状態を示す平面図である。
【
図16】本実施の形態において右扉のラッチが既に引込位置にある場合に左扉が閉まり始める直前の状態を示す平面図である。
【
図17】本実施の形態において右扉のラッチが既に引込位置にある場合に左扉の受金具のピンがラッチに接触したときの状態を示す平面図である。
【
図18】本実施の形態において右扉のラッチが既に引込位置にある場合に左扉の受金具と連結されたラッチが引き込まれるときの状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.実施の形態の概要
まず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号が括弧を付して記載されている。
【0016】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態においては、筐体(1)の前面開口部(1h)に設けられた左扉(2)および右扉(3)によって前面開口部(1h)を開閉する開口部装置(100)に取り付けられるクローザ(4)であって、左扉(2)および右扉(3)にそれぞれ設けられる2つの受金具(5)と、筐体(1)に固定されたケース体(11)と、ケース体(11)に設けられ、左扉(2)および右扉(3)が閉じられる際、受金具(5)とそれぞれ係合する2つのラッチ(30)と、ケース体(11)の内部に設けられ、ラッチ(30)を回動可能に保持すると共に当該ラッチ(30)を引き込むようにそれぞれ作用する2つの引込部(20)と、ケース体(11)の内部に設けられ、2つのラッチ(30)と連結された連結プレート(40)と、ケース体(11)の内部に設けられ、連結プレート(40)の中央において結合され、引込部(20)により左扉(2)および右扉(3)が引き込まれる際の勢いを弱める緩衝部(50)と、を備える。
【0017】
〔2〕本発明において、緩衝部(50)は、シリンダ部(51)およびピストンロッド部(52)を有し、当該ピストンロッド部(52)の先端部(52a)と連結プレート(40)の中央部分とが結合部(60)によって連結されている。
【0018】
〔3〕本発明において、ラッチ(30)は、左扉(2)または右扉(3)が開かれると、引込部(20)による引き込みに抗してケース体(11)から露出した所定の待機位置に配置される。
【0019】
〔4〕本発明において、連結プレート(40)は、2つの長孔(40L)を有し、当該2つの長孔(40L)と2つのラッチ(30)にそれぞれ設けられたガイドピン(30pb)とがそれぞれ係合した状態で取り付けられている。
【0020】
〔5〕本発明において、緩衝部(50)は、左扉(2)または右扉(3)が閉じられるとき、ピストンロッド部(52)の移動量が半分以下となる。
【0021】
〔6〕本発明の代表的な実施の形態においては、筐体(1)の前面開口部(1h)に設けられた左扉(2)および右扉(3)によって前面開口部(1h)を開閉する際の勢いを弱めるためのクローザ(4)が取り付けられた開口部装置(100)であって、クローザ(4)は、左扉(2)および右扉(3)にそれぞれ設けられる2つの受金具(5)と、筐体(1)に固定されたケース体(11)と、ケース体(11)に設けられ、左扉(2)および右扉(3)が閉じられる際、受金具(5)とそれぞれ係合する2つのラッチ(30)と、ケース体(11)の内部に設けられ、ラッチ(30)を回動可能に保持すると共に当該ラッチ(30)を引き込むようにそれぞれ作用する2つの引込部(20)と、ケース体(11)の内部に設けられ、2つのラッチ(30)と連結された連結プレート(40)と、ケース体(11)の内部に設けられ、連結プレート(40)の中央において結合され、引込部(20)により左扉(2)および右扉(3)が引き込まれる際の勢いを弱める緩衝部(50)と、を備える。
【0022】
2.第1の実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態にかかるクローザ4を備えた開口部装置100の構成について
図1乃至
図18を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
なお、以下の説明で使用する方向において、キャビネットにおける左扉および右扉が閉まる側である扉閉側とは、
図1および
図2の紙面上において奥側すなわち矢印a方向をいうものとし、左扉および右扉が開く側である扉開側とは
図1および
図2の紙面上において手前側すなわち矢印b方向をいうものとする。したがって、開閉方向を矢印ab方向とする。
【0024】
また、上側または上方向とは、
図1および
図2の紙面上において矢印c方向をいうものとし、下側または下方向とは
図1および
図2の紙面において矢印d方向をいうものとする。したがって、上下方向または重力方向を矢印cd方向とする。
【0025】
さらに、左方向または左側とは、
図1および
図2の紙面上においてキャビネット100を正面から見たときの矢印e方向をいうものとし、
図1および
図2の紙面上において右方向または右側をとはキャビネット100を正面から見たときの矢印f方向をいうものとする。したがって、左右方向または水平方向を矢印ef方向とする。但し、この奥側、手前側、上側、下側、左側、右側とは、説明の便宜上用いられるのであって、キャビネット100の使用状況によっては異なる方向として定義する場合がある。
【0026】
<キャビネット>
図1および
図2に示すように、本実施の形態において開口部装置としてのキャビネット100は、全体的に直方体形状の筐体1およびクローザ4によって構成されている。
【0027】
キャビネット100の筐体1においては、その筐体1の前面開口部1h(
図2)に対して左扉2および右扉3が開閉可能に取り付けられている。この場合、左扉2よりも右扉3の方が大きいが、左扉2が右扉3よりも大きくてもよく、また、双方ともに同じ大きさであってもよい。
【0028】
左扉2は、筐体1における左壁部1Lの扉開側(矢印b方向)の端部に取り付けられたヒンジ部1Lhgを介して回動自在に設けられている。左扉2は、ヒンジ部1Lhgを介して時計回り方向に回転することにより開き、反時計回り方向に回転することにより閉じる構造である。
【0029】
右扉3は、筐体1における右壁部1Rの扉開側(矢印b方向)の端部に取り付けられたヒンジ部1Rhgを介して回動自在に設けられている。右扉3は、ヒンジ部1Rhgを介して反時計回り方向に回転することにより開き、時計回り方向に回転することにより閉じる構造である。つまり、筐体1においては、左扉2および右扉3によって観音開き構造となっている。
【0030】
<クローザ>
図1および
図2に示すように、クローザ4は、受金具5、および、本体部10によって構成されている。受金物5は、左扉2および右扉3の所定位置に取り付けられて固定され、本体部10は筐体1における天壁部1Uの上端面1Uaの所定位置に取り付けられて固定されている。
【0031】
<受金具>
図1および
図2に示すように、クローザ4を構成する受金具5は、左扉2における右側端部の上端面、および、右扉3における左側端部の上端面に対し、左扉2および右扉3から扉閉側(矢印a方向)に向かって一方の端部が突出するように取り付けられている。
【0032】
図3(A)および(B)に示すように、受金具5は左扉2および右扉3の双方に対して取り付けられる共通の部品である。ここで、
図3においては、受金具5が左扉2および右扉3に取り付けられた状態における扉閉側(矢印a方向)および扉開側(矢印b方向)を方向の基準として以下説明する。
【0033】
受金具5は、全体的に細長い金属等からなる板状部材であり、扉閉側(矢印a方向)となる一方の先端に向かうに連れて次第に細くなるように形成されている。受金具5は、下プレート5aおよび上プレート5bの積層体からなり、下プレート5aの爪部5apおよび爪部5aqに対して上プレート5bが圧入により嵌め込まれることによって一体化された構造を有している。
【0034】
図3(B)に示すように、下プレート5aは、扉開側(矢印b方向)となる他方の端部に対して、左扉2および右扉3の上端面に取り付けるための3個の貫通孔5ahを有している。また、下プレート5aは、扉閉側(矢印a方向)となる一方の端部に対して、1つのピン用貫通孔5ajを有している。
【0035】
図3(B)に示すように、上プレート5bは、扉開側(矢印b方向)となる他方の端部に対して、左扉2および右扉3の上端面に固定するための3個の貫通孔5bhを有している。また、上プレート5bは、扉閉側(矢印a方向)となる一方の端部に対して、1つのピン用貫通孔5bjを有している。
【0036】
したがって、
図3(A)に示すように、下プレート5aおよび上プレート5bが一体化された状態においては、3個の貫通孔5ahと3個の貫通孔5bhとが対向配置されて連通し、ピン用貫通孔5ajおよびピン用貫通孔5bjが対向配置されて連通する。因みに、ピン用貫通孔5ajおよびピン用貫通孔5bjが連通した状態では、これをピン用連通孔5jと称する。
【0037】
受金具5のピン用連通孔5jには、所定の長さを有する円柱状のピン6が圧入または加締めによって一体に固定されている。ピン6は、左扉2および右扉3が開いた状態(以下、これを「扉開状態」という。)から閉まる状態(以下、これを「扉閉状態」という。)になる際に後述する本体部10のラッチ30と接触し、そのラッチ30の連結凹部30r(
図9)と係合される受金具5の部位である。
【0038】
<本体部>
次に、本体部10の構成について
図4および
図5を用いて説明する。
図4は、本発明の実施の形態におけるクローザ4の本体部の全体構成を示す斜視図(A)、透視図(B)、および、分解斜視図(C)である。
図5は、本発明の実施の形態におけるクローザ4の本体部10を下側から見たときの全体構成を示す斜視図である。
【0039】
なお、
図4および
図5においては、本体部10が筐体1における天壁部1Uの上端面1uaに取り付けられた状態における開閉方向(矢印ab方向)、上下方向(cd方向)、および、左右方向(ef方向)を方向の基準として以下説明する。
【0040】
したがって、クローザ4の本体部10が筐体1における天壁部1Uの上端面1uaに取り付けられた状態では、
図5に示したような本体部10を下面については目視不能な状態となる。
【0041】
クローザ4を構成する本体部10は、ケース体としてのダンパーケース11、そのダンパーケース11に収容された状態で取り付けられる2つの引込部20、その引込部20の端部にそれぞれ保持される2つのラッチ30、2つのラッチ30と連結される連結プレート40、その連結プレート40に結合された緩衝部50と、連結プレート40と緩衝部50とを結合する結合ブロック60を有している。
【0042】
<ダンパーケース>
図6は、ダンパーケース11を上側から見たときの構成を示す斜視図(A)、ダンパーケース11の上面図(B)、ダンパーケース11を下側から見たときの構成を示す斜視図(C)、および、ダンパーケース11の下面図(D)である。
図7は、本体部10の全体構成を示す上面図(A)、下面図(B)、および、透視図(C)である。
図8は、ダンパーケース11の下側から見たときの全体構成を示す斜視図である。
【0043】
図4乃至
図8に示すように、ケース体としてのダンパーケース11は、全体的に薄板状部材からなり、平面視において台形状または略台形状を有している。ダンパーケース11は、ケース上側部12およびケース下側部13が一体化された構造を有している。
【0044】
ダンパーケース11は、ケース上側部12およびケース下側部13が一体化された状態において、ケース上側部12とケース下側部13との間にラッチ30を引き込んで収容可能な2つの凹部11s(
図4、および、
図6(A))を有している。
【0045】
凹部11sは、ダンパーケース11の扉開側(矢印b方向)の左右方向(矢印ef方向)における両側端部に設けられ、ラッチ30の引き込み時にはダンパーケース11の扉開側(矢印b方向)の端面11tから露出することがない(
図12(A)乃至(C)参照)。
【0046】
実際上、
図4(A)、(B)、および、
図6(A)、(B)に示すように、ケース上側部12は、ケース下側部13と比べて、扉閉側(矢印a方向)から扉開側(矢印b方向)に向かって2つの斜辺により先細る割合が強く、ケース下側部13よりも細い台形状を有している。
【0047】
ケース上側部12の扉開側(矢印b方向)においては、
図6(A)および
図8に示すように、凹部11sを形成するため、そのケース上側部12の左右方向(矢印ef方向)の両側端部に略矩形状からなる所定の大きさ、および、所定の深さからなる切欠部12kが設けられている。
【0048】
切欠部12kは、ケース上側部12の両側端部に対して所定の深さに形成された凹部である。この切欠部12kがケース上側部12に形成された結果、ケース上側部12の扉開側(矢印b方向)における端面11tの両側端部には、後述するラッチ30の凹部30u(
図9(D)参照。)に入り込む爪部分12t(
図6(A)参照。)が形成されることになる。なお、爪部分12tは、切欠部12kを形成している壁部分の強度を保つために残されたものである。したがって、強度的に問題がなければ爪部分12tは必ずしも設けられる必要はない。
【0049】
したがってケース上側部12とケース下側部13とが一体化された状態においては、ダンパーケース11としては2つの切欠部12kにより2つの凹部11sが形成されることになる。この2つの凹部11sには、ラッチ30と連結するため、後述する引込部20の扉開側(矢印b方向)の端部が配置される。
【0050】
また、ケース上側部12において、左右方向(矢印ef方向)の両側端部に設けられた切欠部12kと対応する部分には、2つの略L字状の貫通孔12h(
図4(A)、(C)および
図6(A)、(B))が設けられている。
【0051】
図6(B)に示すように、2つの貫通孔12hは、開閉方向(矢印ab方向)において扉閉側(矢印a方向)に向かうに連れて次第に左右方向(矢印ef方向)へ末広がりに延びる長直線部12hLと、その長直線部12hLの扉開側(矢印b方向)の端部から互いに近づくように延びる短直線部12hSとによって構成されている。
【0052】
この貫通孔12hは、後述するラッチ30のガイドピン30pa、30pb(
図9)が挿通された状態で、ガイドピン30pa、30pbを介して引込部20の作用によりラッチ30をダンパーケース11の凹部11sに引き込む際のガイド孔である。
【0053】
ケース下側部13は、
図5、
図6(C)、(D)、
図7(B)、(C)、および、
図8に示すように、ケース上側部12と比べて、扉閉側(矢印a方向)から扉開側(矢印b方向)に向かって2つの斜辺により先細る割合が弱く、ケース上側部12よりも太い台形状を有している。
【0054】
ケース下側部13は、ケース上側部12の貫通孔12hと対向する位置に、当該貫通孔12hと同一形状および同一サイズからなる略L字状の貫通孔13hを有している。つまり、ダンパーケース11においては、
図4(A)に示すように、上下方向(矢印cd方向)においてケース上側部12の貫通孔12hとケース下側部13の貫通孔13hとが空間的に重なった状態となる。
【0055】
図6(D)に示すように、2つの貫通孔13hは、開閉方向(矢印ab方向)において扉閉側(矢印a方向)に向かうに連れて次第に左右方向(矢印ef方向)へ末広がりに延びる長直線部13hLと、その長直線部13hLの扉開側(矢印b方向)の端部から互いに近づくように延びる短直線部13hSによって構成されている。
【0056】
この貫通孔13hにおいても、ケース上側部12の貫通孔12hと同様、ラッチ30のガイドピン30pa、30pbが挿通された状態で、ガイドピン30pa、30pbを介して引込部20の作用によりラッチ30をダンパーケース11の凹部11sに引き込む際のガイドとして機能する。
【0057】
すなわち、ケース上側部12の貫通孔12hおよびケース下側部13の貫通孔13hの双方に対してラッチ30のガイドピン30pa、30pbが挿通され、貫通孔12hおよび貫通孔13hに沿ってラッチ30が開閉方向(矢印ab方向)にガイドされる。
【0058】
図5、
図6(C)および(D)、
図8に示すように、ケース下側部13の裏面13bには、扉開側(矢印b方向)の約半分程度が当該裏面13bから僅かに凹んだ平面視略矩形状の凹部14が設けられている。この凹部14は、後述する連結プレート40を裏面13bから突出することのない状態で収容する空間である。
【0059】
また、ケース下側部13の裏面13bには、扉閉側(矢印a方向)における左右方向(矢印ef方向)の両側部分に対し、2つの引込部20を収容して取り付けるための所定の深さおよび所定の長さからなる断面矩形状の引込部用収容凹部15が形成されている。
【0060】
この引込部用収容凹部15は、上述した凹部14を形成する底板14aよりも深く形成されている。なお、引込部用収容凹部15は、ケース下側部13において開閉方向(矢印ab方向)において扉閉側(矢印a方向)から扉開側(矢印b方向)に向かうに連れて互いに近づくように僅かに傾斜し、開閉方向(矢印ab方向)に対して線対称に形成されている。ここで、引込部用収容凹部15の長さは、引込部20の長さよりも短い。
【0061】
また、
図5、
図6、および、
図8に示すように、引込部用収容凹部15においては、扉閉側(矢印a方向)の端部に対して、当該引込部用収容凹部15の空間を隔てる壁部15aが形成されている。
【0062】
したがって引込部用収容凹部15においては、当該壁部15aの切欠部分15akを介して引込部20の扉閉側(矢印a方向)の端部20a(
図7(B)等参照。)が係止される。この場合、引込部用収容凹部15に収容された引込部20の扉開側(矢印b方向)の端部20b(
図4(C))は、当該引込部用収容凹部15からダンパーケース11の凹部11sに配置される。
【0063】
さらに、ケース下側部13の裏面13bには、左右2つの引込部用収容凹部15の間に緩衝部50を収容して取り付けるための所定の深さおよび所定の長さからなる断面矩形状の緩衝部用収容凹部16が設けられている。
【0064】
緩衝部用収容凹部16は、ケース下側部13の扉閉側(矢印a方向)の端部から凹部14を超えた扉開側(矢印b方向)の端部までの長さを有し、その深さは、凹部14の底板14aよりも深く形成されている。緩衝部用収容凹部16は、その長手方向における中央寄りの位置に切欠16akが設けられた壁部16a(
図5、
図6(D)、および、
図8)を有している。
【0065】
すなわち緩衝部用収容凹部16においては、壁部16aによって当該緩衝部用収容凹部16の空間を第1収容空間16pとの第2収容空間16qとに隔てる。したがって緩衝部用収容凹部16では、後述する緩衝部50を構成するシリンダ部51(
図4(B)、(C))が壁部16aよりも扉閉側(矢印a方向)の第1収容空間16pに収容されると共に、緩衝部50を構成するピストンロッド部52が壁部16aよりも扉開側(矢印b方向)の第2収容空間16qに収容される。
【0066】
緩衝部50におけるシリンダ部51が第1収容空間16pに収容され、ピストンロッド部52が第2収容空間16qに収容されると、当該ピストンロッド部52がシリンダ部51に押し込まれる際、その先端部52aは壁部16aに接触し、ピストンロッド部52の全移動範囲内においてその移動が規制される。
【0067】
<引込部>
引込部20は、左扉2および右扉3が閉められる際に、前面開口部1hを完全に塞ぐように左扉2および右扉3と連結されたラッチ30を引き込む機能部であり、ダンパーケース11の引込部用収容凹部15に収容した状態で取り付けられる。
【0068】
この引込部20は、例えば引っ張りバネからなり、
図4(B)、(C)、および、
図7(B)、(C)に示すように、扉閉側(矢印a方向)の端部20aが上述した引込部用収容凹部15の壁部15aに係止された状態で取り付けられる。
【0069】
また、引込部20においては、扉開側(矢印b方向)となる他方の端部20bと、後述するラッチ30の扉閉側(矢印a方向)となる一方の端部30aに設けられた凹部30as(
図9(D))とが係合される。
【0070】
つまり引込部20は、デフォルトの状態においてラッチ30を介して左扉2および右扉3を引っ張りバネの作用により扉閉側(矢印a方向)へ引き込むように常に作用する。また引込部20は、他方の端部20bがラッチ30の一方の端部30aに設けられた凹部30asと係合されているだけであるため、当該引込部20の端部20bを中心としてラッチ30を左右方向(矢印ef方向)へ回動可能に保持している。
【0071】
<ラッチ>
図9(A)乃至(E)に示すように、ラッチ30は全体的に薄い板状部材からなり、左扉2に対応して設けられる引込部20、および、右扉3に対応して設けられる引込部20のどちらに対しても取り付け可能な同一形状を有している。
【0072】
なお、
図9においては、左扉2に取り付けられたラッチ30を対象とし、そのときの方向(開閉方向(矢印ab方向)、上下方向(矢印cd方向)、左右方向(矢印ef方向))を方向の基準として以下説明する。
【0073】
ラッチ30は、その本体部左側(矢印e方向)に受金具5のピン6が入り込んで係合されることにより当該受金具5と連結される所定の幅および所定の深さに形成された連結凹部30rを有している。
【0074】
連結凹部30rは、互いに平行な平坦面30ra、平坦面30rb、および、平坦面30raと平坦面30rbとを接続する底面30rcによって形成されており、平坦面30rbは平坦面30raよりも長く形成されている。この連結凹部30rの幅すなわち平坦面30raと平坦面30rbとの間隔は、ピン6の直径よりも大きく、当該ピン6と当該連結凹部30rとが容易に連結可能となっている。
【0075】
また、ラッチ30は、その本体部左側(矢印e方向)であって、連結凹部30rから扉開側(矢印b方向)の弧状の頂部30tに向かって先細るように傾斜した傾斜面30kを有している。
【0076】
さらに、ラッチ30は、その本体部左側(矢印e方向)に対し、上述したケース上側部12の爪部分12t(
図4(C)、
図6(A)、および、
図8)が入り込む所定の深さの溝からなる凹部30uを有している。
【0077】
この凹部30uは、左右方向(矢印ef方向)に対して扉閉側(矢印a方向)へ僅かに傾斜している。その理由は、ラッチ30の後述するガイドピン30paがケース上側部12、ケース下側部13の貫通孔12h、13hの短直線部12hSs、13hsに係合したときに、ラッチ30が所定角度だけ傾斜する傾斜角度を考慮しているからである(
図7(A)参照。)。
【0078】
ラッチ30は、凹部30uの近傍であって当該凹部30uよりも扉閉側(矢印a方向)寄りの位置に当該ラッチ30の本体部を上下方向(矢印cd方向)に貫通した状態で一体に形成されたガイドピン30paを有している。ガイドピン30paは、上述したケース上側部12の貫通孔12hおよびケース下側部13の貫通孔13hに挿通された状態で当該貫通孔12h、13hに沿ってラッチ30と共に移動するピンである。
【0079】
同様に、ラッチ30は、本体部の扉閉側(矢印a方向)の端部にガイドピン30pbを有している。ガイドピン30pbは、ラッチ30の本体部に設けられた貫通孔30h(
図9(B))に対して上下方向(矢印cd方向)に圧入しながら貫通させることにより一体に固定される。
【0080】
ガイドピン30pbは、連結プレート40と連結した場合にその連結状態が解消されることを防止するための頭部30phを有し、後述する連結プレート40の長孔41L(
図10)に挿通された後、ラッチ30の貫通孔30hに圧入される。
【0081】
さらに、ラッチ30の扉閉側(矢印a方向)の端部30aには、引込部20における他方の端部20bと係合するための断面略三角形状からなる凹部30asが形成されている。つまりラッチ30は、その端部30aの凹部30asと引込部20の端部20bとが係合されているだけであり、端部30aを中心として左右方向(矢印ef方向)に回動自在である。
【0082】
<連結プレート>
図10に示すように連結プレート40は、細長い薄板状の金属部材または樹脂部材からなり、2つのラッチ30と連結する連結部品である。
【0083】
連結プレート40は、細長い薄板状の本体部41の中央に後述する結合ブロック60(
図11)と係合するための結合ブロック用貫通孔41hを有している。また連結プレート40は、その結合ブロック用貫通孔41hの両側に対し、本体部41の長手方向に沿って延びる所定長さの貫通孔からなる2つの長孔41Lを有している。
【0084】
連結プレート40の結合ブロック用貫通孔41hは、結合ブロック60の係止部62(
図11)と平面視において同一形状を有し、結合ブロック60よりも一回り大きく形成されている。結合ブロック用貫通孔41hにおいては、円形孔部41hcと2つの長方形孔部41hdとが一体化された略十字形状を有している。なお、連結プレート40では、結合ブロック用貫通孔41hの大きさを確保するために、本体部41における短手方向の両側に僅かに突出した突部41pを有している。
【0085】
連結プレート40の長孔41Lは、ラッチ30の動きを妨げることのない長さに設定されている。具体的には、
図14に示したように左扉2および右扉3が開いており連結プレート40が水平方向(矢印ef方向)にある状態から、
図16に示すように右扉3だけが閉じて連結プレート40が斜めになった状態になるまで、ラッチ30のガイドピン30pbは連結プレート40の長孔41Lに沿って移動する。このときラッチ30のガイドピン30pbの移動量は最大となる。したがってラッチ30のガイドピン30pbの最大移動量よりも連結プレート40の長孔41Lは長ければよい。つまり、ラッチ30の貫通孔12h、13hを介した開閉方向(矢印ab方向)のスライド動作を連結プレート40が妨げることがないように長孔41Lの長さが設定されている。
【0086】
<緩衝部>
図4および
図5に示すように緩衝部50は、シリンダ部51およびピストンロッド部52からなり、当該シリンダ部51に対してピストンロッド部52が長手方向へ移動自在に設けられている。
【0087】
シリンダ部51の内部にはダンパオイルが封入されており、ピストンロッド部52がシリンダ部51に押し込まれる際に所定の抵抗力が付与される。因みに、シリンダ部51の内部にはダンパオイルではなく空気等の流体が封入されていてもよい。
【0088】
実際上、緩衝部50のピストンロッド部52は、
図5に示すように、ダンパーケース11のケース上側部12における壁部16aよりも扉閉側(矢印a方向)の第1収容空間16pに収容されると共に、緩衝部50のピストンロッド部52が壁部16aよりも扉開側(矢印b方向)の第2収容空間16qに収容される。
【0089】
緩衝部50のピストンロッド部52の先端には、円柱形状の先端部52aが設けられている。このピストンロッド部52の先端部52aは、緩衝部50と連結プレート40とを結合ブロック60を介して結合される部分であり、後述する結合ブロック60の凹部空間61s(
図11)に嵌合される。
【0090】
<結合ブロック>
図11(A)乃至(D)に示すように、結合部としての結合ブロック60は、全体的に略直方体形状の本体部61と、その本体部61の上端面61aと一体に固定された係止部62とを有している。
【0091】
結合ブロック60の本体部61は、緩衝部50のピストンロッド部52の先端部52aが挿入されて嵌合する有底円筒状の凹部空間61sを有している。
【0092】
結合ブロック60の係止部62は、円柱部62aと、当該円柱部62aを中心として互いに背向するように突出した略直方体形状の1対の突部62bとを有している。1対の突部62bは、本体部61の上端面61aと接触しておらず、突部62bと上端面61aとの間には所定の空隙D1(
図11(D))が設けられている。
【0093】
結合ブロック60において、本体部61の上端面61aと突部62bとの間の空隙D1は、上述した連結プレート40の上下方向(矢印cd方向)の厚さと同じか、或いは、連結プレートの厚さよりも僅かに大きい。
【0094】
<クローザの組立手順>
続いて、クローザ4の組立手順について説明する。まず、クローザ4を構成する受金具5を左扉2および右扉3の上端面に対して、ピン6が設けられている一方側の半分ほどが扉閉側(矢印a方向)に突出するように3個の貫通孔5bhを介してビス等により取り付ける。
【0095】
この際、2つの受金具5は、本体部10における2つのラッチ30間の距離と同じ間隔となるよう互いに平行に配置された状態で左扉2および右扉3の上端面に取り付けられる。なお、このとき、受金具5の他方側の端部が左扉2および右扉3の上端面において扉開側(矢印b方向)へ突出することがないように取り付けられる(
図2)。
【0096】
図12(A)乃至(C)に示すように、クローザ4の本体部10においては、ダンパーケース11のケース下側部13に設けられた引込部用収容凹部15に対して引っ張りバネからなる引込部20を収容する際、引込部用収容凹部15に設けられた壁部15aの切欠部分15akを介して引込部20の端部20aを係止する。
【0097】
また、本体部10においては、ダンパーケース11のケース下側部13に設けられた緩衝部用収容凹部16の壁部16aよりも扉閉側(矢印a方向)の第1収容空間16pに緩衝部50を構成するシリンダ部51を収容し、壁部16aよりも扉開側(矢印b方向)の第2収容空間16qに緩衝部50を構成するピストンロッド部52を収容する。
【0098】
引込部20については、扉開側(矢印b方向)の端部20bをラッチ30の扉閉側(矢印a方向)となる一方の端部30aに設けられた凹部30as(
図9(D))と係合させる。これにより、引込部20の端部20bを介してラッチ30が左右方向(矢印ef方向)に回動自在な状態で連結される。
【0099】
ここでラッチ30は、ダンパーケース11の凹部11sに配置するにあたり、ガイドピン30paだけをダンパーケース11におけるケース上側部12の貫通孔12hの長直線部12hL、および、ケース下側部13の貫通孔13hの長直線部13hLの双方に挿通する。
【0100】
このときラッチ30は、引込部20の引き込み作用により貫通孔12h、13hの長直線部12hL、13hLに挿通されたガイドピン30paを介してダンパーケース11の切欠部12k(
図4(A)、(C)、
図6(A)、および、
図8)を形成している端面に当該ラッチ30の端部30aが当接されるまで引き込まれた状態となる。
【0101】
ケース下側部13の凹部14に対して連結プレート40を配置し、その連結プレート40の長孔40Lとケース上側部12、ケース下側部13の貫通孔12h、13hの長直線部12hL、13hLと、ラッチ30の貫通孔30hとを空間的に重ねた状態で、連結プレート40側からガイドピン30pb(
図9(B))を圧入する。これを2つ目の引込部20およびラッチ30についても同様に行う。
【0102】
これにより、2つのラッチ30が連結プレート40を介して互いに連結されると共に、当該連結プレート40を介して引込部20とも連結されることになる。2つのラッチ30は、引込部20の引っ張りバネの作用により、ケース上側部12、ケース下側部13の貫通孔12h、13hを介して扉閉側(矢印a方向)に引き込まれ、ダンパーケース11の凹部11sに収容された状態が形成される。
【0103】
その後、連結プレート40の結合ブロック用貫通孔41hに結合ブロック60の係止部62を挿通させた後、当該結合ブロック60を約90度回転させることにより、連結プレート40と結合ブロック60とを回動可能な状態で連結させる。
【0104】
つまり、連結プレート40と結合ブロック60とを係止部62によって互いに係止させれば、連結プレート40が結合ブロック60から上下方向(矢印cd方向)に脱落することが防止される。また、連結プレート40の結合ブロック用貫通孔41hの形状に合わせて結合ブロック60の係止部62を揃えれば、連結プレート40から結合ブロック60を容易に取り外すことが可能となる。
【0105】
続いて、緩衝部50のピストンロッド部52における先端部52aを結合ブロック60の本体部61における凹部空間61sに挿入して嵌合させる。この場合、連結プレート40と結合ブロック60とが既に連結されているので、緩衝部50のシリンダ部51に対してピストンロッド部52が移動する際に、ピストンロッド部52の移動と共に連結プレート40が移動することになる。
【0106】
これにより、本体部10では、ダンパーケース11に対して、ラッチ30、引込部20、連結プレート40、および、緩衝部50が相互に連結されることにより組み立てが完了する。
【0107】
このようにして本体部10は、組み立てる際にビス等の締結具を一切使用することなく、係合や嵌合、圧入等だけにより形成することができるので、容易かつ短時間のうちに完成することができる。その後、本体部10は、筐体1における天壁部1Uの上端面1uaに接着またはネジ止め等によって固定される。
【0108】
<開閉動作>
次に、クローザ4により左扉2および右扉3を開閉する際の開閉動作について説明する。
図13においては図示していないが、左扉2に加えて右扉3についても開かれており、先に左扉2が閉められる場合、左扉2と一体に取り付けられた受金具5が本体部10のラッチ30に向かって近づいていく。
【0109】
この時点では、ラッチ30のガイドピン30paはダンパーケース11の貫通孔12h、13hの短直線部12hS、13hSに係止されており、ラッチ30がダンパーケース11の凹部11sから突出した位置(以下、これを「待機位置」という。)に待機している状態にある。因みにラッチ30のガイドピン30pbは、ダンパーケース11の貫通孔12h、13hの長直線部12hL、13hLに位置している。
【0110】
図14に示すように、左扉2の受金具5においては、当該受金具5のピン6が最初に連結凹部30rの平坦面30rbに接触する。この瞬間において、ラッチ30は待機位置のままである。
【0111】
図15に示すように、左扉2の扉閉側(矢印a方向)への移動と共に、受金具5のピン6がラッチ30の平坦面30rbを押すことによりガイドピン30pbを中心に当該ラッチ30を図中時計回り方向(左側(矢印e方向))へ回転させながらピン6が連結凹部30rに入り込む。
【0112】
このときラッチ30のガイドピン30paがダンパーケース11の貫通孔12h、13hの短直線部12hS、13hSから外れ、長直線部12hL、13hLに入り込む。この場合、ラッチ30のガイドピン30paおよびガイドピン30pbの双方共に貫通孔12h、13hの長直線部12hL、13hLに並ぶことになり、引込部20の引っ張りバネの作用により扉閉側(矢印a方向)に引き込まれる。
【0113】
この場合、ラッチ30は連結プレート40を介して緩衝部50のピストンロッド部52をシリンダ部51に押し込むことになり、その際にシリンダ部51のダンパオイルによる抵抗力によってラッチ30が引き込まれる際の勢いが弱められる(緩和される)。ここで、シリンダ部51に対してピストンロッド部52の移動量はピストンロッド部52の最大移動量の約半分程度(例えば45%~50%程度)である。
【0114】
すなわち、緩衝部50においては、一方のラッチ30だけが引き込まれる際、シリンダ部51に対するピストンロッド部52の移動量がその最大移動量の半分程度であるため、一方のラッチ30に対する引込動作が他方のラッチ30に影響を与えることがない。同様に他方のラッチ30に対する引込動作が一方のラッチ30に影響を与えることもない。
【0115】
ラッチ30は、緩衝部50によりラッチ30が引き込まれる際の勢いが弱められながら引き込まれていき、ダンパーケース11の切欠部12k(
図4(A)、
図6(A))を形成している端面に当該ラッチ30の端部30aが当接されると、左扉2が完全に閉まり、その位置(以下、これを「引込位置」という。)で保持される。
【0116】
これとは逆に、左扉2を引込位置から扉開側(矢印b方向)へ開く場合、左扉2が扉開側(矢印b方向)へ移動されると、ラッチ30の連結凹部30rと受金具5のピン6とが係止されているために引込部20の引っ張り力に抗して当該ラッチ30が扉開側(矢印b方向)へ引き出される。
【0117】
このとき、ラッチ30は連結プレート40を介して緩衝部50のシリンダ部51からピストンロッド部52が引き出される。ここで、シリンダ部51から引き出されるピストンロッド部52の移動量についてもピストンロッド部52の最大移動量の約半分程度(例えば45%~50%程度)である。
【0118】
ラッチ30が扉開側(矢印b方向)へ引き出され、当該ラッチ30のガイドピン30paがダンパーケース11の貫通孔12h、13hの長直線部12hL、13hLから短直線部12hS、13hSに入り込むと、ラッチ30がガイドピン30pbを中心に右側(矢印f方向)へ僅かに回動する(傾く)。
【0119】
これによりラッチ30は引込位置から待機位置へ遷移し、当該ラッチ30の連結凹部30rの角度についても引込位置よりも右側(矢印f方向)へ傾むくことになるので、受金具5のピン6が当該連結凹部30rから抜け、当該ラッチ30と受金具5との連結状態が解消される。これにより、左扉2はラッチ30からフリーな状態となって開かれる。
【0120】
続いて、クローザ4により既に右扉3が閉められた状態において左扉2を閉める際の動作について説明する。
図16に示すように、右扉3が閉められた状態において左扉2を閉める場合、右扉3の受金具5とラッチ30とは連結されており、右扉3のラッチ30は既に引込位置にある。この時点では、緩衝部50のピストンロッド部52は、その最大移動量の約半分程度がシリンダ部51に押し込まれている。
【0121】
この場合、ピストンロッド部52の移動量は最大移動量の約半分程度であるため、右扉3のラッチ30に対する引込動作が左扉2のラッチ30に影響を与えることはなく、左扉2のラッチ30は待機位置にある。
【0122】
この待機位置では、左扉2のラッチ30のガイドピン30paはダンパーケース11の貫通孔12h、13hの短直線部12hS、13hSに係止され、ガイドピン30pbはダンパーケース11の貫通孔12h、13hの長直線部12hL、13hLに位置している。
【0123】
この状態において左扉2が閉められると、左扉2と一体に取り付けられた受金具5が本体部10のラッチ30に向かって近づいていく。
図17に示すように、左扉2の受金具5においては、上述したように当該受金具5のピン6がラッチ30の連結凹部30rの平坦面30rbに接触する。
【0124】
その後のラッチ30の動きは上述した通りであり、
図17に示すように、受金具5のピン6がラッチ30を扉閉側(矢印a方向)に押下し、当該ラッチ30がガイドピン30pbを中心に左側(矢印e方向)へ僅かに回動する(傾く)。
【0125】
したがって、ラッチ30のガイドピン30paがダンパーケース11の貫通孔12h、13hの短直線部12hS、13hSから外れ、長直線部12hL、13hLに入り込む。
【0126】
このとき、
図18に示すように、ラッチ30のガイドピン30paおよびガイドピン30pbの双方共に貫通孔12h、13hの長直線部12hL、13hLに並ぶので、引っ張りバネからなる引込部20の作用により扉閉側(矢印a方向)に引き込まれ、引込位置で保持される。
【0127】
この場合、ラッチ30は連結プレート40を介して緩衝部50のピストンロッド部52をシリンダ部51に押し込むことになり、その際にシリンダ部51のダンパオイルによる抵抗力によってラッチ30が引き込まれる際の勢いが弱められる。
【0128】
最終的には、左扉2のラッチ30および右扉3のラッチ30の双方がダンパーケース11の凹部11sに収容され(
図12(C))、左扉2および右扉3の双方ともに閉められた状態となる。因みに、左扉2および右扉3の両方が閉められると、緩衝部50において、シリンダ部51に対するピストンロッド部52の移動量は最大移動量に近くなる。
【0129】
<作用および効果>
以上の構成によれば、クローザ4は、連結プレート40を介して本体部10に設けられた一つの緩衝部50により左扉2のラッチ30および右扉3のラッチ30に対する引込時の勢いを緩和することができる。
【0130】
これにより、クローザ4は、左扉2のラッチ30および右扉3のラッチ30のそれぞれに対して緩衝部50を合計2個設ける場合に比べて1つの緩衝部50だけを設ければよいので、全体的に構成要素を簡素化し、かつ、小型化を図ることができる。
【0131】
またクローザ4においては、左扉2のラッチ30および右扉3のラッチ30に対する引込動作を一つの緩衝部50によって緩衝するため、2つのラッチ30を連結プレート40を介して緩衝部50と連結させている。
【0132】
ここで、クローザ4では、一方のラッチ30が引き込まれるときの緩衝部50におけるピストンロッド部52の移動量が最大移動量の半分以下であるため、一方のラッチ30に対する引込時の影響を他方のラッチ30に及ぼすことがない。これによりクローザ4では、例えば左扉2に対する開閉動作に連動して右扉3が開閉してしまうという事態を予め回避することができる。
【0133】
このようにクローザ4は、簡易な構成かつ小型でありながら、左扉2および右扉3を有するキャビネット100に対して1つの緩衝部50だけで構成することができる。また、このようなクローザ4を備えたキャビネット100を実現することができる。
【0134】
3.他の実施の形態
なお、上述した実施の形態においては、クローザ4をキャビネット100の筐体1に取り付けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2つ扉を有する冷蔵庫や仏壇等の開口部装置に取り付けるようにしてもよい。
【0135】
また、上述した実施の形態においては、ダンパーケース11の貫通孔12h、13hが露出した状態で用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、貫通孔12h、13hを図示しないカバーによって覆うことにより貫通孔12h、13hにゴミ等の異物を侵入させないようにしてもよい。
【0136】
なお、その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のクローザおよび開口部装置を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0137】
1…筐体、2…左扉、3…右扉、4…クローザ、5…受金具、6…ピン、10…本体部、11…ダンパーケース、11s…凹部、12…ケース上側部、12k…切欠部、12t…爪部分、12h、13h…貫通孔、12hL,13hL…長直線部、12hS,13hS…短直線部、13…ケース下側部、14…凹部、15…引込部用収容凹部、16…緩衝部用収容凹部、20…引込部、30…ラッチ、30pa,30pb…ガイドピン、30k…傾斜面、30r…連結凹部、30u…凹部、40…連結プレート、41…本体部、41h…結合ブロック用貫通孔、41L…長孔、50…緩衝部、51…シリンダ部、52…ピストンロッド部、60…結合ブロック、61…本体部、61s…凹部空間、62…係止部。