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特開2024-110515シートパッドの裏面材及びその製造方法
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  • 特開-シートパッドの裏面材及びその製造方法 図1
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  • 特開-シートパッドの裏面材及びその製造方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110515
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】シートパッドの裏面材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240808BHJP
【FI】
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015114
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505084044
【氏名又は名称】株式会社型技術事務所モート
(71)【出願人】
【識別番号】516190127
【氏名又は名称】豊通ヴィーテクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 翔太
(72)【発明者】
【氏名】岩沢 良
(72)【発明者】
【氏名】高橋 太
(72)【発明者】
【氏名】門田 昌也
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DE03
(57)【要約】
【課題】コストの上昇を抑制して生産性の良いシートパッドの裏面材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】自動車用シート1のクッション材であるバックパッド3Pの裏面側に配設される裏面材10である。三次元形状をした金型20に被せつけた左右の副部12と主部11が、左右の副部12の各中央側端部12aに対して主部11の各左右端部11aが重ね合わされた状態で溶着により連結されてバックパッド3Pの裏面側の形状に対応した三次元形状に形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートのクッション材であるシートパッドの裏面側に配設される裏面材であって、
前記シートパッドにおける裏面側の形状に対応した三次元形状をした金型に被せつけた複数のピースが端末部分で互いに接着又は溶着により連結されて三次元形状に形成されている裏面材。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数のピースは、少なくともシート幅方向の中央部ピースと、該中央部のシート幅方向両端部側の側部ピースと、を含んでいる裏面材。
【請求項3】
請求項2において、
前記シートパッドは、発泡ウレタン樹脂の成形品であり、
前記側部ピースの一部には前記シートの内部に配設されたエアバッグが展開する時、前記側部ピースの破断を容易にするためのミシン目が設けられている裏面材。
【請求項4】
シートのクッション材であるシートパッドの裏面側に配設される裏面材の製造方法であって、
組み合わせると前記シートパッドの裏面側の形状になる複数のピースを得る第1工程と、
該複数のピースを三次元形状をした金型に被せつけ前記ピースの端末部分同士を接着又は溶着により連結して前記シートパッドの裏面側の形状に対応した三次元形状に形成する第2工程と、を有する裏面材の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記複数のピースは、少なくともシート幅方向の中央部ピースと、該中央部のシート幅方向両端部側の側部ピースと、を含んでいる裏面材の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記シートパッドは、ウレタン発泡樹脂の成形品であり、
前記側部ピースの一部には前記シートの内部に配設されたエアバッグが展開する時前記側部ピースの破断を容易にするためのミシン目が設けられている裏面材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートパッドの裏面材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に装備される車両用シートには、クッション材として主に軟質のウレタン発泡成形品であるシートパッドが使用されている。かかるシートパッドは、三次元形状のキャビティを有する発泡金型のキャビティ表面に布状の裏面材を配置した状態で、原料である発泡ウレタン樹脂原料を注入して加熱下で発泡成形させることで一体成形品として形成される。裏面材は、シートパッドの乗員が着座する着座面とは反対側の面である裏面の側に配設されている。シートパッドは、シート骨格であるシートフレームに対して裏面材が当接するようにして組み付けられる。裏面材は、シートパッドが直接シートフレームに接触して局所的に力を受け亀裂などを生じないようにするとともに、摩擦などから生ずる摩耗や異音発生の防止を図る機能を有してシートパッドの耐久性を高めている。
【0003】
裏面材は、三次元形状のキャビティを有する発泡金型のキャビティ表面に配置される際、キャビティ表面に沿った三次元形状とされているのが望ましい。そのために、特許文献1に記載されるように、シート状の原反から複数のピースを裁断して、縫製により各ピースを連結することでキャビティ表面に沿った三次元形状に近づけるやり方が採られることが多かった。また、シート状の原反から裁断した一枚のシートを熱プレス成形してキャビティ表面に沿った三次元形状に近づけるやり方が採られることもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5667859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に記載された裏面材においては、三次元形状に近づけるためにピース数を増やすと、各ピースの裁断縫製に要する工数が多く必要となり生産性がよくないという問題があった。また、一枚のシートの熱プレスによる方法では、シート状の原反から一枚のシートを裁断するため裁断型入れ効率が低く原反の歩留まりが悪くコスト高につながり易いという問題があった。
【0006】
このような問題に鑑み本発明の課題は、コストの上昇を抑制して生産性の良いシートパッドの裏面材及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1発明は、シートのクッション材であるシートパッドの裏面側に配設される裏面材であって、前記シートパッドにおける裏面側の形状に対応した三次元形状をした金型に被せつけた複数のピースが端末部分で互いに接着又は溶着により連結されて三次元形状に形成されていることを特徴とする。
【0008】
第1発明によれば、複数のピースを縫製により連結してシートパッドの裏面側の形状に対応した三次元形状にするのに比べて生産性がよい。また、シート状の原反から裁断した一枚のシートを熱プレス成形してシートパッドの裏面側の形状に対応した三次元形状に近づけるのに比べて原反の歩留まりがよくコストの上昇を抑制できる。
【0009】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記複数のピースは、少なくともシート幅方向の中央部ピースと、該中央部のシート幅方向両端部側の側部ピースと、を含んでいることを特徴とする。
【0010】
第2発明によれば、シート幅方向の断面において中央部に対して両側部が面外方向に大きく突出した凹凸の大きい部分においてピースを分けられるので、よりシートパッドの裏面側の形状に対応した三次元形状に近づけることができる。これによって、シートパッドの裏面側により正確に裏面材を配置できるようになる。
【0011】
本発明の第3発明は、上記第2発明において、前記シートパッドは、発泡ウレタン樹脂の成形品であり、前記側部ピースの一部には前記シートの内部に配設されたエアバッグが展開する時、前記側部ピースの破断を容易にするためのミシン目が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第3発明によれば、側部ピースに、エアバッグが展開する時、側部ピースの破断を促進するための孔を設ける必要がないので、孔部端末を発泡金型に固定保持する部品点数を低減させることができ、生産ラインでの発泡金型への裏面材をセットする工数も低減できる。また、シートパッドを発泡ウレタン樹脂で成形する際、発泡金型のキャビティ表面に配置した裏面材の孔からウレタン発泡樹脂原料がキャビティ表面の側に漏出すること抑制できる。これによって、発泡ウレタン樹脂原料の使用量を低減できる。
【0013】
本発明の第4発明は、シートのクッション材であるシートパッドの裏面側に配設される裏面材の製造方法であって、組み合わせると前記シートパッドの裏面側の三次元形状になる複数のピースを得る第1工程と、該複数のピースを前記シートパッドにおける裏面側の形状に対応した三次元形状をした金型に被せつけ前記ピースの端末部分同士を接着又は溶着により連結して三次元形状に形成する第2工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
第4発明によれば、複数のピースを縫製により一体化してシートパッドの裏面側の形状に対応した三次元形状にするのに比べて生産性がよい。また、シート状の原反から裁断した一枚のシートを熱プレス成形してシートパッドの裏面側の形状に対応した三次元形状に近づけるのに比べて原反の歩留まりがよくコストの上昇を抑制できる。
【0015】
本発明の第5発明は、上記第4発明において、前記複数のピースは、少なくともシート幅方向の中央部ピースと、該中央部のシート幅方向両端部側の側部ピースと、を含んでいることを特徴とする。
【0016】
第5発明によれば、シート幅方向の断面において中央部に対して両側部が面外方向に大きく突出した凹凸の大きい部分においてピースを分けられるので、よりシートパッドの裏面側の形状に対応した三次元形状に近づけることができる。これによって、シートパッドの裏面側により正確に裏面材を配置できるようになる。
【0017】
本発明の第6発明は、上記第5発明において、前記シートパッドは、発泡ウレタン樹脂の成形品であり、前記側部ピースの一部には前記シートの内部に配設されたエアバッグが展開する時、前記側部ピースの破断を容易にするためのミシン目が設けられていることを特徴とする。
【0018】
第6発明によれば、側部ピースに、エアバッグが展開する時、側部ピースの破断を促進するための孔を設ける必要がないので、第2工程においてシートパッドを発泡ウレタン樹脂で成形する際、発泡金型のキャビティ表面に配置した裏面材の孔からウレタン発泡樹脂原料がキャビティ表面の側に漏出すること抑制できる。これによって、発泡ウレタン樹脂原料の使用量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態の裏面材が配設されたバックパッドを有する自動車用シートの斜視図である。
図2図1のII-II矢視線断面図である。バックパッドのみを示している。
図3】上記実施形態の裏面材の斜視図である。
図4】上記実施形態の裏面材の分解斜視図である。
図5】上記実施形態の裏面材を製造するための金型の斜視図である。
図6図5のVI-VI矢視線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図6に基づき、本発明の一実施形態に係るシートパッドの裏面材及びその製造方法について説明する。以下の説明において、方向に関する説明は、各図に示される上下前後左右の各方向に基づいて行うものとする。ここで、上下前後左右の各方向は、自動車用シート1を自動車フロアFに取付けたときの自動車用シート1を基準に定めたものである。
【0021】
図1に示すように、自動車用シート1は、着座乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション2と、着座乗員の腰部及び背部を支持するシートバック3と、着座乗員の頭部を支持するヘッドレスト4と、を有する。シートクッション2は、骨格をなすクッションフレーム2Fと、クッションフレーム2Fの上に被せつけて配置されたクッション材としてのクッションパッド2Pと、クッションパッド2Pを被覆する表皮材としてのクッションカバー2Cと、を有する。クッションパッド2Pは、発泡ウレタン樹脂により形成された弾性体であり、その外形がシートクッション2の外形を定めている。シートバック3は、骨格をなすバックフレーム3Fと、バックフレーム3Fの上に被せつけて配置されたクッション材としてのバックパッド3Pと、バックパッド3Pを被覆する表皮材としてのバックカバー3Cと、を有する。バックパッド3Pは、発泡ウレタン樹脂により形成された弾性体であり、その外形がシートバック3の外形を定めている。ここで、バックパッド3Pが、特許請求の範囲の「シートパッド」に相当する。
【0022】
図1及び図2に示すように、バックパッド3Pは、発泡ウレタン樹脂原料の発泡成形により形成された発泡樹脂部5と、発泡樹脂部5の後面側に配設された不織布製の裏面材10と、を有する。発泡樹脂部5は、左右方向中央部のメイン部51と、メイン部51を挟んだ左右両側のサイド部52と、を有する。メイン部51と各サイド部52との間には、前方に向かって開口する溝部53が形成されている。メイン部51は、着座者の側の面である前面部51aと、着座者と反対側の面である後面部51bと、を有する。前面部51aと後面部51bはいずれも前後方向に対して略垂直な面部として形成されている。各サイド部52は、前方向に向けて突出する前面部52a1と、前面部52aの最前部である左右端部から後方向に向かって延びるとともに後端部側が湾曲しながら左右方向中央部に向かって延びる側面部52a2と、側面部52a2の後端部から左右方向中央部に向かって延びる折返し面部52a3と、を有する。また、各サイド部52は、前面部52a1と略平行に延びる第1後面部52b1と、側面部52a2と略平行に延びる第2後面部52b2と、折返し面部52a3と略平行に延びる第3後面部52b3と、を有する。メイン部51の前面部51aと各サイド部52の各前面部52a1、各側面部52a2、各折返し面部52a3は、各溝部53で連結されて発泡樹脂部5の前側の面である前面5aを構成している。各サイド部52の各前面部52a1の最前部は、メイン部51の前面部51aからメイン部51の前後方向の厚み分程度前方に向けて突出している。メイン部51の後面部51b、各第1後面部52b1、各第2後面部52b2、各第3後面部52b3は連続して発泡樹脂部5の後側の面である後面5bを構成している。
【0023】
図2に示すように、発泡樹脂部5の後面5bにはポリエステル樹脂製、ポリエチレン樹脂製、ポリプロピレン樹脂製のいずれか又はそれらの組み合わせからなる裏面材10が配設されている。裏面材10は、発泡樹脂部5を発泡金型で成形する際、発泡金型のキャビティ内に配置しておくことにより発泡樹脂部5の成形と同時に発泡樹脂部5の原料の一部が侵入固化することにより一体化される。裏面材10は、発泡樹脂部5のメイン部51の後面部51bに対応する主部11と、発泡樹脂部5の各サイド部52の各第1後面部52b1と各第2後面部52b2と各第3後面部52b3に対応する副部12と、を有する。裏面材10は、主部11の左右端部11aと副部12の左右方向中央側の中央側端部12aとが重ね合わされた状態で熱溶着されることによって一体化されて形成されている。重ね合わされる左右端部11aと中央側端部12aの左右方向の寸法は、10~30mm程度とされている。ここで、主部11と副部12が、それぞれ特許請求の範囲の「中央部ピース、ピース」と「側部ピース、ピース」に相当する。また、各左右端部11aと各中央側端部12aが、それぞれ特許請求の範囲の「端末部分」に相当する。
【0024】
図3図6に基づいて裏面材10の製造方法について説明する。図3及び図4に示すように、裏面材10は、左右一対の副部12の各中央側端部12aに対して主部11の各左右端部11aがそれぞれ重ね合わされた状態で熱溶着されて一体化されることにより形成されている。主部11は、不織布の原反から裁断されて形成される帯状の部材である。副部12は、不織布の原反から裁断されたのち部分的に縫製部12bにおいて縫製されて左右方向中央部方向に向けて開口する器状の形状に形成されている。右側の副部12には、バックフレーム3Fに取付けられたエアバッグ(図示せず)が展開する時に副部12を破断しやすくするためのミシン目12cが上下方向中央部から下方に向かって延びるように形成されている。ミシン目12cは、例えば、スリット部12c1の延びる長さが10~30mm、連結部12c2の延びる長さが3~10mmとすることができるが破断が可能であればこの寸法に限らず設定することができる。なお、エアバッグがバックフレーム3Fの左右両側に配設される場合には、左側の副部12にも同様なミシン目12cが形成される。ミシン目12cは、スリット部12c1の幅が狭いので発泡樹脂部5を発泡金型で成形する際、発泡樹脂部5の原料である発泡ウレタン樹脂原料の一部が侵入して副部12の後側(裏面側)に漏れ出したりスリット部12c1を塞いだりすることを抑制できる。これによって、副部12にエアバッグが展開するための孔を設けておく場合に比べて、発泡樹脂部5を発泡金型で成形する際、孔部端末を発泡金型に固定保持する部品点数を低減させることができ、生産ラインでの発泡金型への裏面材をセットする工数も低減できる。また、発泡ウレタン樹脂原料の一部が侵入して副部12の後側(裏面側)に漏れ出すのを容易に抑制できる。ここで、主部11及び副部12を製造する工程が、第1工程である。
【0025】
図5及び図6に示すように、次の第2工程では、表面形状がバックパッド3Pの後面側形状(裏面側形状)をした金型20に左右の副部12と主部11を被せつけ、左右の副部12の各中央側端部12aに対して主部11の各左右端部11aを重ね合わせる。金型20は、図6に示すように、左右端部に発泡樹脂部5のサイド部52における各第3後面部52b3に対応する折返し部支持面21を備えている。左右の副部12における中央側端部12aと反対側の端部である外側端部12dを折返し部支持面21に対して後側から当てがった状態で後方から押圧ブロック22で押圧して固定する。この状態で、重ね合わせられた各中央側端部12aと各左右端部11aに対し加熱部材(図示せず)を押しつけることにより加熱溶融して押し付けを解除することにより冷却固化させて溶着する。なお、この溶着時に、各中央側端部12aと各左右端部11aの間にフィルム状のホットメルト接着剤を挟んでおいてもよい。ホットメルト接着剤を使用することで、加熱温度を低めたり加熱時間を短縮したりすることができる。このとき、各外側端部12dが折返し部支持面21に対して位置ずれしないように固定されているので、溶着後に外周をトリミングする工程を省略することができる。こうして、主部11と左右の副部12が一体化された裏面材10が得られる。
【0026】
裏面材10は、発泡金型(図示せず)のキャビティ内に配置された状態で、キャビティ内に発泡ウレタン樹脂原料が注入され発泡硬化する過程で一体化されてバックパッド3Pが形成される。
【0027】
以上のように構成される本実施形態は、以下のように作用効果を奏する。裏面材10は、バックパッド3Pの後面側形状をした金型20に被せつけられた主部11と左右の副部12が各中央側端部12aと各左右端部11aで溶着により連結されてバックパッド3Pの後面側に対応した三次元形状に形成されている。これによって、主部11と左右の副部12を縫製により連結してバックパッド3Pの後面側に対応した三次元形状にするのに比べて生産性がよい。また、シート状の原反から裁断した一枚のシートを熱プレス成形してバックパッド3Pの後面側に対応した三次元形状に近づけるのに比べて原反の歩留まりがよくコストの上昇を抑制できる。
【0028】
また、主部11は左右方向(シート幅方向)の中央部のピースであり、左右の副部12は中央部を挟む左右側部のピースである。これによって、左右方向の断面において中央部に対して両側部が前方向に大きく突出した凹凸の大きい部分においてピースを分けられるので、よりバックパッド3Pの後面側に対応した三次元形状に近づけることができる。そして、バックパッド3Pの後面側により正確に裏面材10を配置できるようになる。
【0029】
さらに、右側の副部12には、バックフレーム3Fに取付けられたエアバッグが展開する時に副部12を破断しやすくするためのミシン目12cが設けられている。これによって、副部12にエアバッグが展開する時、副部12の破断を促進するための孔を設ける必要がないので、発泡樹脂部5を発泡ウレタン樹脂で成形する際、孔部端末を発泡金型に固定保持する部品点数を低減させることができ、生産ラインでの発泡金型への裏面材をセットする工数も低減できる。また、発泡金型のキャビティ表面に配置した裏面材10の孔からウレタン発泡樹脂原料が裏面材10の後側(裏面側)に漏出すること抑制できる。これによって、発泡ウレタン樹脂原料の使用量を低減できる。
【0030】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0031】
1.上記実施形態においては、第1工程において、副部12は、不織布の原反から裁断したのち部分的に縫製部12bにおいて縫製して左右方向中央部方向に向けて開口する器状の形状に形成した。しかし、これに限らず、縫製の代わりに溶着や接着によって左右方向中央部方向に向けて開口する器状の形状に形成してもよい。また、バックパッド3Pの後面側形状によっては縫製、溶着、接着等をなくすこともできる。
【0032】
2.上記実施形態においては、各中央側端部12aと各左右端部11aを重ね合わせる際、各左右端部11aを各中央側端部12aの前側に配置したが、これに限らず、各中央側端部12aを各左右端部11aの前側に配置してもよい。
【0033】
3.上記実施形態においては、自動車用シート1のバックパッド3Pに本願発明を適用したがクッションパッド2Pに適用することもできる。さらには、飛行機、船舶、鉄道車両等のシートにおけるバックパッドやクッションパッドに適用してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 自動車用シート
3 シートバック
3P バックパッド(シートパッド)
5 発泡樹脂部
5a 前面
5b 後面
10 裏面材
11 主部(中央部ピース、ピース)
11a 左右端部(端末部分)
12 副部(側部ピース、ピース)
12a 中央側端部(端末部分)
12c ミシン目
20 金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6