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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110536
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】蓋の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20240808BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240808BHJP
   E05B 83/34 20140101ALI20240808BHJP
【FI】
B60K15/05 B ZHV
B60K1/04 Z
E05B83/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015158
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(71)【出願人】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 洋一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康行
(72)【発明者】
【氏名】内山 佑輝
【テーマコード(参考)】
2E250
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250JJ46
2E250KK01
2E250LL13
2E250QQ01
3D038CA01
3D038CA15
3D038CB01
3D038CC16
3D235AA01
3D235BB23
3D235BB41
3D235HH16
(57)【要約】
【課題】全開時の蓋のバタ付き、異音の発生を防止する蓋の取付構造を提供する。
【解決手段】車体2の給油口等に取付けられ、アーム収納部37にアーム22を回動可能に取付け、アーム22に取付けられたバネ40がアーム収納部37と係合する蓋11の取付構造であって、バネ40は、アーム収納部側部42と、アーム側部41と、バネ本体部43と、アーム側部41に接続し、アーム側部41とアーム収納部側部42によって形成されるバネ平面46との角度が0度を越える初期角度を有するアーム先端側部45と、アーム22の先端部25を乗り越えるアーム乗越え部47と、アーム収納部当接部48を備え、蓋11が閉じられる時に、アーム先端側部25のバネ平面46との角度は、初期角度より大きくなるように変化し、バネ40には、蓋11を開く方向の付勢力が発生する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には、前記蓋を取付ける蓋取付部と、前記蓋取付部から湾曲して延設されるアームを有する蓋取付部材が取付けられ、又は、一体化され、前記給油口又は充電口等には、前記給油口又は充電口等のための開口部が形成されたボックス本体部と前記アームを収納するアーム収納部を有するボックスが取付けられ、前記アーム収納部に形成されたアーム収納部側係合部と前記アームに形成されたアーム側係合部が係合して前記アームを回動可能にすると共に、前記アームのバネ取付部に取付けられたバネが前記アーム収納部と係合する蓋の取付構造であって、
前記バネは、前記アーム収納部と係合するアーム収納部側部と、
前記アームの前記バネ取付部に取付けられるアーム側部と、
前記アーム収納部側部と前記アーム側部を接続するバネ本体部と、
前記アーム側部に接続し、前記アーム側部と前記アーム収納部側部によって形成されるバネ平面との角度が0度を越える初期角度を有するアーム先端側部と、
前記アーム先端側部の先端部分に接続し、前記アームの先端部を乗り越えるアーム乗越え部と、
前記アーム乗越え部の先端部分に接続し、少なくとも前記蓋の全開時に、前記アーム収納部の内壁に当接するアーム収納部当接部と、を備え、
前記蓋を閉じる時に、前記アーム先端側部の前記バネ平面との角度は、前記初期角度より大きくなるように変化し、前記バネには、前記蓋を開く方向の付勢力が発生することを特徴とする蓋の取付構造。
【請求項2】
車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には、前記蓋を取付ける蓋取付部と、前記蓋取付部から湾曲して延設されるアームを有する蓋取付部材が取付けられ、又は、一体化され、前記給油口又は充電口等には、前記給油口又は充電口等のための開口部が形成されたボックス本体部と前記アームを収納するアーム収納部を有するボックスが取付けられ、前記アーム収納部に形成されたアーム収納部側係合部と前記アームに形成されたアーム側係合部が係合して前記アームを回動可能にすると共に、前記アームのバネ取付部に取付けられたバネが前記アーム収納部と係合する蓋の取付構造であって、
前記バネは、前記アーム収納部と係合するアーム収納部側部と、
前記アームの前記バネ取付部に取付けられるアーム側部と、
前記アーム収納部側部と前記アーム側部を接続するバネ本体部と、
前記アーム側部に接続し、前記アーム側部と前記アーム収納部側部によって形成されるバネ平面との角度が0度を越える初期角度のアーム先端側部と、を備え、
前記蓋を閉じた時に、前記初期角度は変化せず、前記バネ本体部は、前記アーム側部と前記アーム収納部側部との間の距離が短くなるように変形し、
前記蓋を開く時に、前記アーム先端側部の前記バネ平面との角度は、前記初期角度より小さくなるように変化し、前記バネには、前記蓋を開く方向の付勢力と前記蓋を閉じる方向の付勢力が作用することを特徴とする蓋の取付構造。
【請求項3】
車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には、前記蓋を取付ける蓋取付部と、前記蓋取付部から湾曲して延設されるアームを有する蓋取付部材が取付けられ、又は、一体化され、前記給油口又は充電口等には、前記給油口又は充電口等のための開口部が形成されたボックス本体部と前記アームを収納するアーム収納部を有するボックスが取付けられ、前記アーム収納部に形成されたアーム収納部側係合部と前記アームに形成されたアーム側係合部が係合して前記アームを回動可能にすると共に、前記アームのバネ取付部に取付けられたバネが前記アーム収納部と係合し、
前記蓋を閉じた時に、前記バネには、前記蓋を開く方向の付勢力が作用し、
前記アーム収納部に取付けられ、前記蓋の全開時に前記アームに弾接するアーム収納部側弾性部材、又は、前記アームに取付けられ、前記蓋の全開時に前記アーム収納部に弾接するアーム側弾性部材の少なくとも一方を備えることを特徴とする蓋の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等車両の車体に取付けられ、車体の給油口、充電口等を塞ぎ、開閉可能な蓋を有する蓋の取付構造、特に車体側とのロックが解除された時に、途中で停止することなく全開の位置まで移動することが可能な蓋の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用燃料タンクにガソリン等の燃料や水素を給油又は充填する場合には、車体に設けられた給油口又は充填口を塞ぐ給油口蓋、充填口蓋を開き、燃料キャップを外して給油口から燃料を給油する、又は、充填ポートに充填プラグを差し込んで水素を充填する。又、電気自動車やPHV(プラグインハイブリッド車)に電気を充電する場合には、充電蓋を開き、急速充電ポート又は普通充電ポートに充電コネクタを差し込んで充電する。
【0003】
例えば、自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合には、図1に示すように、車体201に設けられた給油口101を塞ぐ蓋(給油口蓋)110を開いて、給油口101から燃料を給油する。蓋110の裏面には蓋取付部材200が取付けられている。蓋取付部材200は、蓋110を開閉可能にする大きく湾曲したアーム220を有し、ボックス(給油口ボックス)300に取付けられている。
【0004】
図15に示すように、ボックス300は、給油口101に対応する開口部340を有し、車体に取付けられるボックス本体部310と、蓋取付部材200のアーム220を回動自在に収納するアーム収納部370から構成されている。
【0005】
アーム220は、アーム収納部370に回動可能に取付けられ、又、アーム220には、アーム収納部370のバネ係合部360と係合するバネ400が取付けられている。
【0006】
バネ400は、略己字形状であり、アーム220のバネ取付部240に取付けられるアーム側部410と、ボックス300のアーム収納部370のバネ係合部360に係合して保持されるアーム収納部側部420と、アーム側部410とアーム収納部側部420を接続するバネ本体部430を有している。又、バネ400のアーム側部410に連結し、車体側とのロックが解除された時に、蓋110を車体面から少し浮き上がらせるポップアップのための突出部440が形成されている。
【0007】
蓋110を閉じた時(全閉時)には、バネ400のアーム側部410とアーム収納部側部420の間隔が狭まるようにバネ本体部430が撓み、突出部440は、アーム収納部370の内壁に当接してバネ本体部430側に撓み、いずれも元の形状に戻る方向に付勢されている。その結果、給油時等において、蓋110と車体側(ボックス300)とのロックが解除されると、突出部440とバネ本体部430の付勢力によって、アーム220が蓋110を開く方向に回動する。
【0008】
なお、特許文献1では、このアーム220の回動により、蓋110の先端が、車体201の面から若干浮き上がり、その後、先端が浮き上がった蓋110の先端を手で持ち上げて、蓋110を全開させる旨が記載されているが、突出部440の付勢力が開放された時に、バネ400のアーム側部410の位置がバネ係合部360とアーム220の回動中心を結んだ線よりボックス本体部310側となり、又、バネ本体部430の付勢力を大きくすれば、蓋110と車体側とのロックが解除された時に、蓋110を途中で停止することなく全開の位置まで移動させることができるので、手動で蓋を全開にする必要がなくなる。
【0009】
ただし、蓋110を途中で停止することなく全開の位置まで移動させる場合は、蓋110が開く時には、バネ本体部430には元の形状に戻る方向の付勢力が作用し、蓋110が加速し続けるので、アーム220がボックス本体部310に衝突したり、衝突しないまでも、バネ400のバネ本体部430が元の形状に戻った時にアーム220の回動が急停止するので、その反動で全開時に蓋110がバタ付き、異音を生じる場合がある。
【0010】
上記の蓋のバタ付きや異音の発生を生じ難くする方法として、特許文献2には、以下の技術が記載されている。図16に示すように、リッド(蓋)110は、ハウジング内に設けられたベース600に対し第1リンク610と第2リンク620を介して回動可能に支持されている。第1バネ体630は第1リンク610とベース600との間に配置され、第2バネ体640は第2リンク620とベース600との間に配置されている。そして、リッド110は、ハウジングの外周に装着されるロック手段により閉位置に係止されている。
【0011】
例えば、ロック手段が車室内のオープナーを介して係止解除操作されることで、又は、ドアロックの解除操作と連動して係止解除されると、図示しないプッシュリフタにより第1バネ体630などの付勢力に抗して閉位置から少しだけ開く。そこで、リッド110を手等で開方向にある第2位置まで回動操作すると、第2位置で第2バネ体640など付勢方向が大きく反転し、以後は付勢力で全開方向へ回動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2019-85086号公報
【特許文献2】特開2019-209834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、特許文献2の技術は、構造が複雑であり、大きなコストアップとなる。又、第1位置から第2位置まで、手等で回動操作する必要がある。そこで、本発明は、特に車体とのロックが解除された時に、途中で停止することなく全開の位置まで移動する蓋の取付構造に関し、全開時の蓋のバタ付き、異音の発生を防止し、且つコストアップを抑えた蓋の取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には、蓋を取付ける蓋取付部と、蓋取付部から湾曲して延設されるアームを有する蓋取付部材が取付けられ、又は、一体化され、給油口又は充電口等には、給油口又は充電口等のための開口部が形成されたボックス本体部とアームを収納するアーム収納部を有するボックスが取付けられ、アーム収納部に形成されたアーム収納部側係合部とアームに形成されたアーム側係合部が係合してアームを回動可能にすると共に、アームのバネ取付部に取付けられたバネがアーム収納部と係合する蓋の取付構造であって、バネは、アーム収納部と係合するアーム収納部側部と、アームの前記バネ取付部に取付けられるアーム側部と、アーム収納部側部とアーム側部を接続するバネ本体部と、アーム側部に接続し、アーム側部とアーム収納部側部によって形成されるバネ平面との角度が0度を越える初期角度を有するアーム先端側部と、アーム先端側部の先端部分に接続し、アームの先端部を乗り越えるアーム乗越え部と、アーム乗越え部の先端部分に接続し、少なくとも蓋の全開時に、アーム収納部の内壁に当接するアーム収納部当接部と、を備え、蓋を閉じる時に、アーム先端側部のバネ平面との角度は、初期角度より大きくなるように変化し、バネには、蓋を開く方向の付勢力が発生することを特徴とする蓋の取付構造である。
【0015】
ここで、アーム先端側部とバネ平面との角度とは、バネを側面視した時に、アーム側部とアーム収納部側部によって形成されるバネ平面とアーム先端側部が形成する角度をいう。
【0016】
請求項1の本発明では、バネは、アーム収納部と係合するアーム収納部側部と、アームの前記バネ取付部に取付けられるアーム側部と、アーム収納部側部とアーム側部を接続するバネ本体部と、アーム側部に接続し、アーム側部とアーム収納部側部によって形成されるバネ平面との角度が0度を越える初期角度を有するアーム先端側部を有し、アーム先端側部のバネ平面との角度は、蓋を閉じる時に、初期角度より大きくなるように変化するので、蓋を閉じる過程で、バネのアーム側部がねじれ、アーム側部にはねじり応力が発生する。このねじり応力は、蓋を開く方向の付勢力として作用する。したがって、蓋と車体とのロックが解除された時には、アーム側部のねじり応力によって、アーム先端側部とバネ平面との角度を初期角度に戻す力が働き、蓋を開く方向にアームを回動させることができる。
【0017】
なお、バネにおいて、バネのアーム収納部側部をボックスのアーム収納部に係合させ、保持するためには、バネ本体部のアーム側部とアーム収納部側部間の距離が狭まるように撓ませ変形させる必要がある。そのため、蓋と車体とのロックが外れた時にバネ本体部には、元の形状に戻る方向の力が働くので、上記のアーム先端側部とバネ平面の角度を初期角度に戻す力とバネ本体部が元の形状に戻る方向が共に作用して、蓋を開く方向にアームを回動させることができる。ただし、本請求項1では、アームの回動は、アーム先端側部とバネ平面との角度を初期角度に戻す力が主となる。
【0018】
又、アーム先端側部の先端部分に接続し、アームの先端部を乗り越えるアーム乗越え部と、アーム乗越え部の先端部分に接続し、少なくとも蓋の全開時に、アーム収納部の内壁に当接するアーム収納部当接部とを備えているので、蓋が全開になる前にアーム収納部当接部が、アーム収納部の内壁に当接することにより、アームがボックス本体部に衝突したり、衝突しないまでも、蓋が開いた時にアームの回動が急停止してバタ付き、異音を発生することを防止することができる。
【0019】
そして、バネにアーム先端側部、アーム乗越え部、アーム収納部当接部を形成することにより、上記効果を奏するのでコストアップを抑制することができる。
【0020】
請求項2の本発明は、車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には、蓋を取付ける蓋取付部と、蓋取付部から湾曲して延設されるアームを有する蓋取付部材が取付けられ、又は、一体化され、給油口又は充電口等には、給油口又は充電口等のための開口部が形成されたボックス本体部とアームを収納するアーム収納部を有するボックスが取付けられ、アーム収納部に形成されたアーム収納部側係合部とアームに形成されたアーム側係合部が係合してアームを回動可能にすると共に、アームのバネ取付部に取付けられたバネがアーム収納部と係合する蓋の取付構造であって、バネは、アーム収納部と係合するアーム収納部側部と、アームのバネ取付部に取付けられるアーム側部と、アーム収納部側部とアーム側部を接続するバネ本体部と、アーム側部に接続し、アーム側部とアーム収納部側部によって形成されるバネ平面との角度が0度を越える初期角度のアーム先端側部と、を備え、蓋を閉じた時に、初期角度は変化せず、バネ本体部は、アーム側部とアーム収納部側部との間の距離が短くなるように変形し、蓋を開く時に、アーム先端側部のバネ平面との角度は、初期角度より小さくなるように変化し、バネには、蓋を開く方向の付勢力と蓋を閉じる方向の付勢力が作用することを特徴とする蓋の取付構造である。
【0021】
請求項2の本発明では、バネは、アーム収納部と係合するアーム収納部側部と、アームのバネ取付部に取付けられるアーム側部と、アーム収納部側部とアーム側部を接続するバネ本体部と、アーム側部に接続し、アーム側部とアーム収納部側部によって形成されるバネ平面との角度が0度を越える初期角度のアーム先端側部とを備え、蓋を閉じた時に、初期角度は変化せず、バネ本体部は、アーム側部とアーム収納部側部との間の距離が短くなるように変形するので、バネ本体部には、アーム側部とアーム収納部側部との間の距離を元の距離に戻す方向の付勢力が作用している。
【0022】
又、蓋と車体とのロックが解除された時、バネ本体部の付勢力により、蓋を開くようにアームが回動するが、この回動に伴い、アーム先端側部のバネ平面との角度は、初期角度より小さくなるように変化するので、アーム側部が捻れ、アーム側部には、アーム先端側部をバネ平面との角度を初期角度に戻す方向にねじり応力が発生する。このねじり応力は、蓋を閉じる方向の付勢力として作用し、アームの回動速度を減速させる。
【0023】
そして、蓋の開きが大きくなるにつれて、アーム先端側部とバネ平面との角度は、さらに小さくなるので、上記のねじり応力は大きくなり、アームの回動速度は徐々に減速する。したがって、アームのこの減速により、アームがボックス本体部に衝突したり、衝突しないまでも、蓋が開いた時にアームの回動が急停止してバタ付き、異音を発生することを防止することができる。
【0024】
なお、蓋を全開まで移動させるため、本請求項2では、アームの回動は、バネのアーム側部とアーム収納部側部との間の距離を元の距離に戻す方向の付勢力が主であり、アーム側部とアーム収納部側部との間の距離を元の距離に戻す方向の付勢力は、少なくとも、蓋の全開時におけるアーム先端側部のバネ平面との角度に基づく蓋を閉じる方向の付勢力以上である必要がある。
【0025】
ここで、アーム先端側部とバネ平面との角度とは、請求項1と同様に、バネを側面視した時に、アーム側部とアーム収納部側部によって形成されるバネ平面とアーム先端側部が形成する角度をいう。
【0026】
そして、バネにアーム先端側部を形成することにより、上記効果を奏するのでコストアップを抑制することができる。
【0027】
請求項3の本発明は、車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には、蓋を取付ける蓋取付部と、蓋取付部から湾曲して延設されるアームを有する蓋取付部材が取付けられ、又は、一体化され、給油口又は充電口等には、給油口又は充電口等のための開口部が形成されたボックス本体部とアームを収納するアーム収納部を有するボックスが取付けられ、アーム収納部に形成されたアーム収納部側係合部とアームに形成されたアーム側係合部が係合してアームを回動可能にすると共に、アームのバネ取付部に取付けられたバネがアーム収納部と係合し、蓋を閉じた時に、バネには蓋を開く方向の付勢力が作用し、アーム収納部に取付けられ、蓋の全開時にアーム部に弾接するアーム収納部側弾性部材、又は、アーム部に取付けられ、蓋の全開時にアーム収納部に弾接するアーム側弾性部材の少なくとも一方を備えることを特徴とする蓋の取付構造である。
【0028】
請求項3の本発明では、アーム収納部に取付けられ、蓋の全開時にアーム部に弾接するアーム収納部側弾性部材、又は、アーム部に取付けられ、蓋の全開時にアーム収納部に弾接するアーム側弾性部材の少なくとも一方を備えているので、蓋の全開時に、アーム収納部側弾性部材、アーム側弾性部材の少なくともどちらか一方がアーム収納部、又は、アームに弾接することにより、アームの回動速度を減速させることができる。したがって、アームがボックス本体部に衝突したり、衝突しないまでも、バネのバネ本体部が元の形状に戻った時にアームの回動が急停止してバタ付き、異音を発生することを防止することができる。
【0029】
なお、アーム収納部側弾性部材、アーム側弾性部材は、アーム収納部、アームに当接した時に変形し、当接が解除された時に元の形状に戻ればよく、例えば、バネ、ゴム材料、スポンジ等を使用することができる。
【0030】
そして、アーム収納部側弾性部材、アーム側弾性部材を形成することにより上記効果を奏するので、コストアップを抑制することができる。
【発明の効果】
【0031】
バネは、アーム収納部と係合するアーム収納部側部と、アームの前記バネ取付部に取付けられるアーム側部と、アーム収納部側部とアーム側部を接続するバネ本体部と、アーム側部に接続し、アーム側部とアーム収納部側部によって形成されるバネ平面との角度が0度を越える初期角度を有するアーム先端側部を有し、アーム先端側部のバネ平面との角度は、蓋を閉じる時に、初期角度より大きくなるように変化するので、蓋を閉じる過程で、アーム側部がねじれ、アーム側部にはねじり応力が発生する。このねじり応力は、蓋を開く方向の付勢力として作用する。したがって、蓋と車体とのロックが解除された時には、アーム側部のねじり応力によって、アーム先端側部とバネ平面との角度を初期角度に戻す力が働き、蓋を開く方向にアームを回動させることができる。
【0032】
又、アーム先端側部の先端部分に接続し、アームの先端部を乗り越えるアーム乗越え部と、アーム乗越え部の先端部分に接続し、少なくとも蓋の全開時に、アーム収納部の内壁に当接するアーム収納部当接部とを備えているので、蓋が全開になる前にアーム収納部当接部が、アーム収納部の内壁に当接することにより、アームがボックス本体部に衝突したり、衝突しないまでも、蓋が開いた時にアームの回動が急停止してバタ付き、異音を発生することを防止することができる。そして、バネにアーム先端側部、アーム乗越え部、アーム収納部当接部を形成することにより、上記効果を奏するのでコストアップを抑制することができる。
【0033】
バネは、アーム収納部と係合するアーム収納部側部と、アームのバネ取付部に取付けられるアーム側部と、アーム収納部側部とアーム側部を接続するバネ本体部と、アーム側部に接続し、アーム側部とアーム収納部側部によって形成されるバネ平面との角度が0度を越える初期角度のアーム先端側部とを備え、蓋を閉じた時に、初期角度は変化せず、バネ本体部は、アーム側部とアーム収納部側部との間の距離が短くなるように変形するので、バネ本体部には、アーム側部とアーム収納部側部との間の距離を元の距離に戻す方向の付勢力が作用している。
【0034】
又、蓋と車体とのロックが解除された時、バネ本体部の付勢力により、蓋を開くようにアームが回動するが、この回動に伴い、アーム先端側部のバネ平面との角度は、初期角度より小さくなるように変化するので、アーム側部が捻れ、アーム側部には、アーム先端側部をバネ平面との角度を初期角度に戻す方向にねじり応力が発生する。このねじり応力は、蓋を閉じる方向の付勢力として作用し、アームの回動速度を減速させる。
【0035】
又、蓋の開きが大きくなるにつれて、アーム先端側部とバネ平面との角度は、さらに小さくなるので、上記のねじり応力は大きくなり、アームの回動速度は徐々に減速する。したがって、アームのこの減速により、アームがボックス本体部に衝突したり、衝突しないまでも、蓋が開いた時にアームの回動が急停止してバタ付き、異音を発生することを防止することができる。そして、バネにアーム先端側部を形成することにより、上記効果を奏するのでコストアップを抑制することができる。
【0036】
アーム収納部に取付けられ、蓋の全開時にアーム部に弾接するアーム収納部側弾性部材、又は、アーム部に取付けられ、蓋の全開時にアーム収納部に弾接するアーム側弾性部材の少なくとも一方を備えているので、蓋の全開時に、アーム収納部側弾性部材、アーム側弾性部材の少なくともどちらか一方がアーム収納部、又は、アームに弾接することにより、アームの回動速度を減速させることができる。したがって、アームがボックス本体部に衝突したり、衝突しないまでも、バネのバネ本体部が元の形状に戻った時にアームの回動が急停止してバタ付き、異音を発生することを防止することができる。そして、アーム収納部側弾性部材、アーム側弾性部材を形成することにより上記効果を奏するので、コストアップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】蓋を開いた状態の給油口部分の斜視図である。
図2】本発明の実施形態を示すもので、図1におけるX-X断面の断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に使用されるバネの、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図4図3のバネをアームにバネを取付けた時のアームの先端部分の斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態を示す、蓋を閉じた時のアーム収納部の拡大断面図である。
図6】本発明の第1の実施形態を示す、蓋が開いた時のアーム収納部の拡大断面図である。
図7】本発明の第2の実施形態に使用されるバネの、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図8】本発明の第2の実施形態を示す、蓋を閉じた時のアーム収納部の拡大断面図である。
図9】本発明の第2の実施形態を示す、蓋が開いた時のアーム収納部の拡大断面図である。
図10】本発明の第3の実施形態に使用されるバネの、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図11】本発明の第3の実施形態を示す、蓋を閉じた時のアーム収納部の拡大断面図である。
図12】本発明の第3の実施形態を示す、蓋が開いた時のアーム収納部の拡大断面図である。
図13】本発明の第4の実施形態を示す、蓋を閉じた時のアーム収納部の拡大断面図である。
図14】本発明の第4の実施形態を示す、蓋が開いた時のアーム収納部の拡大断面図である。
図15】従来の蓋の取付け構造であり、アームと、ボックスのアーム収納部付近の拡大断面図である(特許文献1)。
図16】従来の蓋の付勢構造を模式的に示す要部拡大図である(特許文献2)。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の第1の実施形態を図1から図6に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、車体2の給油口1を塞ぐと共に開閉可能な蓋11(給油口蓋)を有する蓋11の取付構造に関し説明するものであるが、充填ポートに充填プラグを差し込んで水素を充填する場合や電気自動車やPHV(プラグインハイブリッド車)に電気を充電する場合にも使用することができる。
【0039】
図1に示すように、蓋11は、車体2の給油口1を塞ぐために給油口1の形状に合わせて形成されている。自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合に、車体2に設けられた給油口1を塞ぐ蓋11を開いて、給油口1から燃料を給油する。蓋11の裏面には蓋取付部材20が取付けられ、蓋取付部材20は、ボックス30に取付けられている。
【0040】
蓋取付部材20は、蓋11に取付けられる蓋取付部21と、蓋11を開閉可能にする大きく湾曲した円弧状のアーム22を有している。図2に示すように、蓋取付部21には、後述するボックス30のロックピン32と係合する蓋ロック部23が形成されている。なお、蓋11と蓋取付部材20を一体に形成してもよい。
【0041】
車体2に取付けられるボックス30は、給油口1部分に開口部34を有するボックス本体部31と、蓋取付部材20のアーム22を収納するアーム収納部37を有している。アーム22のボックス30内における開閉スペースを確保するため、アーム収納部37は、ボックス本体部31を車体2に保持するボックス保持部3よりも車体2の内側に入り込んで形成されている。したがって、アーム22の回動中心Oは、アーム収納部37内のさらに蓋11よりも横方向の奥の部分において、アーム収納部37と係合する。ボックス30とアーム22を含む蓋取付部材20は共に樹脂製である。
【0042】
ボックス本体部31の上端部の周囲には、シール部材33が取付けられ、ボックス本体部31が、車体2のボックス保持部3に取付けられた時に、車体2のボックス保持部3とボックス本体部31の上端部との間をシールする。
【0043】
ボックス30のアーム収納部37と反対側のボックス本体部31には、ロックピン32が形成され、蓋11が閉じられた時に、ロックピン32が蓋取付部材20の蓋ロック部23に係合して、蓋11をロックすることができる。又、蓋11を開く時は、ボックス30のロックピン32が後退して蓋取付部21の蓋ロック部23から外れる。
【0044】
図3は、第1の実施形態に使用されるバネ40の、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。バネ40は、1本の金属線状部材であるワイヤーを折り曲げることにより製造される。バネ40は、後述するアーム収納部37のバネ係合部36に保持されるアーム収納部側部42と、アーム22のバネ取付部24に取付けられるアーム側部41と、アーム収納部側部42とアーム側部41を接続するバネ本体部43を備えている。
【0045】
又、アーム側部41の先端部分から約90度屈曲し、アーム側部41とアーム収納部側部42によって形成されるバネ平面46(図3(c))との角度が約70度の初期角度Aを有するアーム先端側部45を備えている。なお、初期角度Aは、70度には限定されない。
【0046】
又、アーム先端側部45の先端部分に接続し、アーム22の先端部25(図4)を乗り越えるアーム乗越え部47と、アーム乗越え部47の先端部分に接続し、少なくとも蓋11の全開時に、アーム収納部37の上部側の内壁37a(図5)に当接するアーム収納部当接部48を備えている。又、アーム収納部当接部48の先端部分は、アーム収納部当接部48の先端部分から約90度屈曲し、アーム収納部37の上部側の内壁37aに線状に当接する当接部49が形成されている。なお、当接部49のアーム収納部当接部48の先端部分からの屈曲は90度には限定されない。又、当接部49は形成しなくてもよい。
【0047】
図4は、アーム22にバネ40を取付けた時のアーム22の先端部分の斜視図である。アーム22の先端部分の幅方向の両側には、アーム側係合部26が形成され、アーム側係合部26の側面には、円柱形状の凹部28が形成されている。又、アーム22の先端部25は、アーム22を側面視した時、バネ40のアーム乗越え部47のアーム側係合部26からの突出を抑えるために、アーム側係合部26間で凹んで形成されている。
【0048】
又、アーム22におけるアーム側係合部26より蓋取付部21側には、バネ40のアーム側部41を取付けるバネ取付部24が形成されている。バネ取付部24は、アーム22の先端側に形成される2個所の第1保持部24aと、第1保持部24aとは反対側から後述するバネ40のアーム側部41を保持する2箇所の第2保持部24b(図6)から構成されている。
【0049】
バネ40のアーム側部41をアーム22のバネ取付部24に取付けると、アーム乗越え部47は、アーム22の先端部25を乗り越え、アーム収納部当接部48がアーム22のバネ取付部24とは反対側に位置する。
【0050】
図5は、蓋を閉じた時のアーム収納部37の拡大断面図である。アーム収納部37の長手方向であり、アーム収納部37のボックス本体部31とは反対側の端部には、車内側に向かってアーム収納部37の空間を画定する傾斜部38と、傾斜部38に接続する段差部39が形成されている。又、傾斜部38と段差部39との間には、内面において後述するバネ40のアーム収納部側部42と係合するバネ係合部36が形成されている。
【0051】
アーム22のバネ取付部24にバネ40のアーム側部41を取付け、アーム22をボックス30のアーム収納部37内に挿入すると、バネ40のアーム収納部側部42がアーム収納部37の傾斜部38の内面側を移動し、バネ係合部36に当接して保持される。そして、アーム22のアーム側係合部26を図示しないアーム収納部37のアーム収納部側係合部の位置に合わせ、アーム収納部側係合部の外部からアーム22の凹部28にキャップを挿入してアーム収納部37のアーム収納部側係合部に係合させることにより、アーム22が回動可能に取付けられる。
【0052】
そして、蓋11を閉じる方向に回動させると、この時、バネ本体部43は、アーム側部41とアーム収納部側部42間の距離が短くなるように撓んで変形するので、バネ本体部43には、元の形状に戻ろうとするf方向の付勢力が作用している。
【0053】
又、アーム側部41と接続するアーム先端側部45のバネ平面46との角度は、初期角度Aから大きくなるように変化し、図5では、アーム先端側部45のバネ平面46との角度は、ほぼ180度、すなわち、バネ平面46とほぼ同一面になっている。なお、アーム先端側部45のバネ平面46との角度は、180度まで大きくしなくてもよい。
【0054】
アーム先端側部45のバネ平面46との角度が、初期角度Aから大きくなるように変化することにより、アーム側部41は捻れ、アーム側部41には、それに伴うねじり応力が発生する。そのねじり応力は、アーム先端側部45のバネ平面46との角度を初期角度Aに元に戻す方向の付勢力Fとして作用している。
【0055】
なお、本第1の実施形態では、アーム先端側部45のバネ平面46との角度を初期角度Aに元に戻すF方向の付勢力により蓋11を開く主たる力とするので、バネ本体部43の元の形状に戻ろうとするf方向の付勢力は、アーム収納部側部42をアーム収納部37に保持する程度の力として作用させればよい。もちろん、バネ本体部43の元の形状に戻ろうとするf方向の付勢力も、蓋11を開く方向の回動に作用させてもよい。
【0056】
蓋取付部21の蓋ロック部23とボックス30のロックピン32と係合が解除されると、アーム先端側部45のバネ平面46との角度を初期角度Aに元に戻すF方向の付勢力により、アーム22が蓋11を開く方向に回動する。
【0057】
アーム先端側部45には、アーム乗越え部47、アーム収納部当接部48と当接部49が連結しているので、蓋11が全開に近づくと、当接部49がアーム収納部37の上部側の内壁37aに当接し、蓋11の開く動きにブレーキをかけることができる。図3(c)の初期角度Aを図6におけるバネ平面46との角度Bより少し小さく設定することにより、アーム収納部当接部48を確実に上部側の内壁37aに当接させることができる。なお、当接後も蓋11を開き続ける力が作用しているが、アーム収納部37の上部側の内壁37aに当接した当接部49に連結するアーム収納部当接部48がアーム22側に撓むことにより蓋11の開く動きにブレーキをかけ続け、アーム収納部当接部48がアーム22とアーム収納部37の内壁に挟まれ、蓋11が全開となる(図6)。
【0058】
したがって、アーム22がボックス本体部31に衝突したり、衝突しないまでも、蓋11が開いた時にアームの回動が急停止してバタ付き、異音を発生させることを防止することができる。
【0059】
次に、本発明の第2の実施形態について、図7から図9に基づいて説明する。図7は、第2の実施形態に使用されるバネ40の、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。本第2の実施形態で使用するバネ40と上記の第1の実施形態で使用したバネ40との相違点は、以下の2点である。
【0060】
第1に、蓋11を閉じた時に、アーム先端側部45とバネ平面46が形成する初期角度は変化しない。第2に、アーム収納部側部42に接続し、アーム側部41方向にほぼ垂直に、アーム側部41方向に屈曲して延設し、アーム収納部37の傾斜部38に当接し、蓋11を開くようにアーム22を付勢する突出部44が形成されている。突出部44は、バネ平面46と間に角度Cを有している。
【0061】
本第2の実施形態におけるアーム先端側部45のバネ平面46との初期角度Dは、180度、すなわち、バネ平面46と同一面である。なお、初期角度Dは180度には限定されない。
【0062】
アーム22のバネ取付部24にバネ40のアーム側部41を取付け、アーム22をボックス30のアーム収納部37内に挿入する。そして、アーム22のアーム側係合部26を図示しないアーム収納部37のアーム収納部側係合部の位置に合わせ、アーム収納部側係合部の外部からアーム22の凹部28にキャップを挿入してアーム収納部37のアーム収納部側係合部に係合させることにより、アーム22が回動可能に取付けられる。蓋11を閉める方向に回動させると、バネ40のアーム収納部側部42がアーム収納部37の段差部39の内面側を傾斜部38方向に移動する。この時、バネ本体部43は、アーム側部41とアーム収納部側部42間の距離が短くなるように撓んで変形する。又、突出部44がアーム収納部37の傾斜部38に当接すると共にバネ平面46との角度が初期の角度であるCより小さくなるように変形し、アーム収納部側部42が、バネ係合部36に当接して保持される(図8)。
【0063】
図8では、アーム先端側部45とバネ平面46との角度は180度であり、初期角度Dと同じであり、変化してしない。したがって、上記の第1の実施形態の場合と異なり、アーム側部41には何ら応力が発生していない。
【0064】
又、蓋11を閉じた時には、バネ40のアーム側部41は、アームの回動中心Oよりアーム収納部37の奥、すなわち、傾斜部38側に位置する。バネ本体部43は、アーム側部41とアーム収納部側部42間の距離が短くなるように撓んで変形しているので、バネ本体部43には元の形状に戻る方向の力Fの付勢力が作用している。又、突出部44は、バネ平面46との角度が小さくなるように変形しているので、バネ平面46との角度を元の角度Cに戻す方向の力fの付勢力が作用している。
【0065】
蓋取付部21の蓋ロック部23とボックス30のロックピン32と係合が解除されると、突出部44の付勢力によって、アーム22が回動し、バネ40のアーム側部41は、アームの回動中心Oよりボックス本体部31側に移動する。そして、バネ本体部43が元の形状に戻る方向の力Fの付勢力により、蓋11が開く方向にアーム22が回動する。
【0066】
図9は、蓋が開いた時のアーム収納部の拡大断面図である。蓋11が開くにつれて、つまり、図8から図9に至る過程で、アーム先端側部45は、バネ平面46との角度が小さくなるように変形する。その結果、アーム側部41は捻れ、アーム側部41には、アーム先端側部45とバネ平面46とを同一面に戻す方向(図9におけるR方向)にねじり応力が発生する。このねじり応力は、蓋11が開く方向とは逆方向に作用する。したがって、このねじり応力により、アーム22の回動速度を減速させることができる。又、蓋11の開きが大きくなるにつれて、アーム先端側部45とバネ平面46との角度はさらに小さくなるので、ねじり応力は増大し、アーム22の回動速度は徐々に減速する。
【0067】
又、アーム先端側部45は、アーム収納部当接部48を備えているので、蓋11が全開に近づくと、アーム収納部当接部48がアーム収納部37の上部側の内壁37aに当接し、アーム22がボックス本体部31に当接することを防止することができる。その結果、アーム22がボックス本体部31に衝突したり、衝突しないまでも、蓋11が全開になった時にアーム22の回動が急停止してバタ付き、異音を発生することを防止することができる。
【0068】
なお、アーム先端側部45とバネ平面46との角度が小さくなることに基づくアーム側部41のねじり応力に基づくアーム22の回動速度を減速させることにより蓋11をボックス本体部31に当接させることなく停止させ、蓋11を開くことができる場合は、バネ40において、アーム収納部当接部48と当接部49、又は、アーム乗越え部47とアーム収納部当接部48と当接部49を形成しなくてもよい。
【0069】
又、初期角度Dを180度まで大きくせず、蓋11を閉じた時に、アーム側部41の位置が、アーム収納部側部42とアーム22の回動中心Oを結ぶ線よりボックス本体部31側に位置する場合は、突出部44は形成しなくてもよい。
【0070】
次に、本発明の第3の実施形態について、図10から図12に基づいて説明する。図10は、第3の実施形態に使用されるバネ40の、(a)は平面図、(b)は側面図であり、特許文献1で使用されたものと同じである。本第3の実施形態は、アーム22に取付けられ、蓋11の全開時にアーム収納部37の上部側の内壁37aに弾接するアーム側弾性部材71に関する。
【0071】
バネ40は、アーム側部41と、アーム収納部側部42と、アーム側部41とアーム収納部側部42を接続するバネ本体部43と、アーム側部41の先端からアーム収納部37の傾斜部38に当接する突出部44を備えている。突出部44は、バネ平面46との間に角度Eを有して延設されている(図10(b))。
【0072】
アーム側弾性部材71は、アーム22の幅方向であり、バネ取付部24が形成された面とは逆の面に取付けられている。アーム側弾性部材71は、鋼板製の板バネである。板バネは、アーム収納部37の上部側の内壁37a側に凸状弧形状を有し、一方の端部がアーム22にインサートとして成形時に埋め込まれたものである。又、他方の端部はフリーになっている。
【0073】
なお、アーム側弾性部材71は、上記形状に限定されない。他の形状の板バネを使用することも可能であり、又、板バネでなく、ゴムやスポンジをアーム22に貼り付けてもよい。
【0074】
アーム22のバネ取付部24にバネ40のアーム側部41を取付け、アーム22をボックス30のアーム収納部37内に挿入すると、バネ40のアーム収納部側部42がアーム収納部37の傾斜部38の内面側を移動し、バネ係合部36に当接して保持される。そして、アーム22のアーム側係合部26を図示しないアーム収納部37のアーム収納部側係合部に係合させることにより、アーム22が回動可能に取付けられる。
【0075】
そして、蓋11を閉める方向に回動させると、突出部44のバネ平面46との角度が小さくなるように変形して蓋11が閉じられる。この時、バネ本体部43は、アーム側部41とアーム収納部側部42間の距離が短くなるように撓んで変形するので、バネ本体部43には、元の形状に戻ろうとするF方向の付勢力が作用している。又、突出部44には、バネ平面46との角度を元の角度Eに戻そうとするf方向の付勢力が作用している。
【0076】
蓋取付部21の蓋ロック部23とボックス30のロックピン32と係合が解除されると、突出部44の付勢力fによって、アーム22が回動し、バネ40のアーム側部41は、アームの回動中心Oよりボックス本体部31側に移動する。そして、バネ本体部43が元の形状に戻る方向の力Fの付勢力により、蓋11が開く方向にアーム22が回動する。
【0077】
そして、蓋11が全開に近づくと、板バネのアーム側弾性部材71がアーム収納部37の上部側の内壁37aに当接する。アーム側弾性部材71は、アーム収納部37の上部側の内壁37aに当接すると共に、蓋11が開くにつれて凸状弧形状が潰れるように変形する。その結果、この変形により、蓋11の開く速度を抑制することができる。図12は、蓋11が開いた時のアーム収納部37の拡大断面図である。図12に示すように、アーム側弾性部材71が、アーム収納部37の上部側の内壁37aに当接し、図11に比較して凸状弧形状が潰れるように変形している。したがって、アーム22がボックス本体部31に衝突したり、衝突しないまでも、蓋11が全開になった時にアーム22の回動が急停止してバタ付き、異音を発生することを防止することができる。
【0078】
次に、本発明の第4の実施形態について、図13図14に基づいて説明する。本第4の実施形態と上記の第3の実施形態との相違点は、上記の第3の実施形態で使用した板バネをアーム収納部側弾性部材72として、アーム収納部37の上部側の内壁37aに取付けた点にある。板バネは、アーム22側に凸状弧形状であり、一方の端部がアーム収納部37の上部側の内壁37aにインサートとしてボックス30の成形時に埋め込まれたものである。又、他方の端部はフリーである(図13)。
【0079】
そして、アーム22が回動し、蓋11が全開に近づくと、板バネのアーム収納部側弾性部材72がアーム22に当接する。アーム収納部側弾性部材72は、アーム22に当接すると共に、蓋11が開くにつれて凸状弧形状が潰れるように変形する。その結果、この変形により、蓋11の開く速度を抑制することができる。図14は、蓋11が開いた時のアーム収納部37の拡大断面図である。図14に示すように、アーム収納部側弾性部材72が、アーム22に当接し、図13に比較して凸状弧形状が潰れるように変形している。したがって、アーム22がボックス本体部31に衝突したり、衝突しないまでも、蓋11が全開になった時にアーム22の回動が急停止してバタ付き、異音を発生することを防止することができる。
【0080】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
11 蓋
20 蓋取付部材
21 蓋取付部
22 アーム
30 ボックス
31 ボックス本体部
37 アーム部収納部
38 傾斜部
39 段差部
40 バネ
44 突出部
45 アーム先端側部
46 バネ平面
47 アーム乗越え部
48 アーム収納部当接部
49 当接部
71 アーム側弾性部材
72 アーム収納部側弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16