(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110537
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】カテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/088 20060101AFI20240808BHJP
A61F 2/95 20130101ALI20240808BHJP
【FI】
A61M25/088
A61F2/95
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015159
(22)【出願日】2023-02-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】502394058
【氏名又は名称】シルックス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502285457
【氏名又は名称】学校法人順天堂
(74)【代理人】
【識別番号】110003650
【氏名又は名称】弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100132621
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 孝行
(74)【代理人】
【識別番号】100123364
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 徳子
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆年
(72)【発明者】
【氏名】伊佐山 浩通
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA15
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB08
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB19
4C267BB40
4C267BB52
4C267CC22
4C267EE01
4C267HH03
4C267HH07
4C267HH08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アウターカテーテルまたはチューブステントの先端がスムーズに目的部位を通過できるカテーテルシステムを提供する。
【解決手段】カテーテルシステム1は、アウターカテーテル10と、インナーカテーテル20と、操作部30とを備える。他の実施形態では、さらに、アウターカテーテルの先端側に接続されるチューブステント40を有する。アウターカテーテルは、アウターカテーテル本体部から先端に向かって径が小さくなるアウターカテーテル先端部を有し、チューブステントは、ステント本体部45から先端に向かって径が小さくなるステント先端部46を有している。アウターカテーテル先端部、ステント先端部の内径は、インナーカテーテルの外径よりも小さく、ガイドワイヤの外径よりも大きいため、インナーカテーテルはアウターカテーテル先端部46から突出できないが、ガイドワイヤは貫通できる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤに沿って体内に挿入させて移動させるカテーテルシステムであって、
アウターカテーテルと、インナーカテーテルと、を備え、
前記アウターカテーテルは、環状形状をなすアウターカテーテル管壁部と、前記アウターカテーテル管壁部に取り囲まれ前記アウターカテーテルを貫通する空洞のアウターカテーテル挿通部と、を有し、
前記インナーカテーテルは、環状形状をなすインナーカテーテル管壁部と、前記インナーカテーテル管壁部に取り囲まれ前記インナーカテーテルを貫通する空洞のインナーカテーテル挿通部と、を有し、
前記インナーカテーテルは、インナーカテーテル本体部を備え、
前記アウターカテーテルは、
アウターカテーテル本体部と、
前記アウターカテーテル本体部の先端部に設けられたアウターカテーテル先端部と、を備え、
前記アウターカテーテル先端部の内径は、前記インナーカテーテル本体部の外径よりも小さく、かつ前記ガイドワイヤの外径よりも大きく、
前記インナーカテーテルは、前記アウターカテーテル挿通部に挿入され、前記アウターカテーテル先端部の先端から前記インナーカテーテル本体部が突出することを防止され、
前記ガイドワイヤは、前記インナーカテーテル挿通部および前記アウターカテーテル先端部の前記アウターカテーテル挿通部を貫通することを特徴とする、
カテーテルシステム。
【請求項2】
前記インナーカテーテルは、前記インナーカテーテル本体部の先端側に設けられ、アウターカテーテル先端部の内径よりも小さい外径のインナーカテーテル小径部をさらに有し、
前記インナーカテーテルが前記アウターカテーテル挿通部に挿入されると、前記インナーカテーテル小径部は、前記インナーカテーテル小径部の先端部が前記アウターカテーテルから突出した状態で、先端方向に移動することが防止されることを特徴とする、
請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記アウターカテーテル先端部の内径は、先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、
請求項1または2に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記アウターカテーテル先端部の外径は、前記アウターカテーテル本体部から先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、
請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
ガイドワイヤに沿って体内に挿入させて移動させるカテーテルシステムであって、
アウターカテーテルと、インナーカテーテルと、チューブステントと、を備え、
前記アウターカテーテルは、環状形状をなすアウターカテーテル管壁部と、前記アウターカテーテル管壁部に取り囲まれ前記アウターカテーテルを貫通する空洞のアウターカテーテル挿通部と、を有し、
前記インナーカテーテルは、環状形状をなすインナーカテーテル管壁部と、前記インナーカテーテル管壁部に取り囲まれ前記インナーカテーテルを貫通する空洞のインナーカテーテル挿通部と、を有し、
前記チューブステントは、前記アウターカテーテルの先端に接続され、
環状形状をなすステント管壁部と、前記ステント管壁部に取り囲まれ前記チューブステントを貫通する空洞のステント挿通部と、を有し、
前記チューブステントは、ステント本体部と、前記ステント本体の先端部側に設けられたステント先端部と、を備え、
前記インナーカテーテルは、インナーカテーテル本体部を備え、
前記ステント先端部の内径は、前記インナーカテーテル本体部の外径よりも小さく、前記ガイドワイヤの外径よりも大きく、
前記インナーカテーテルは、前記アウターカテーテル挿通部を貫通して前記ステント挿通部に挿入され、前記ステント先端部の先端から前記インナーカテーテル本体部が突出することを防止され、
前記ガイドワイヤは、前記インナーカテーテル挿通部および前記ステント先端部の前記ステント挿通部を貫通することを特徴とする、
カテーテルシステム。
【請求項6】
前記インナーカテーテルは、前記インナーカテーテル本体部の先端側に設けられたインナーカテーテル小径部をさらに有し、
前記インナーカテーテルは、前記アウターカテーテル挿通部を貫通して前記ステント挿通部に挿入されると、前記インナーカテーテル小径部は、前記インナーカテーテル小径部の先端部が前記ステント先端部から突出した状態で、先端方向に移動することが防止されることを特徴とする、
請求項5に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記ステント先端部の内径は、先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、
請求項5または6に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記ステント先端部の外径は、先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、
請求項5に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記インナーカテーテル小径部の外径は、先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、
請求項6に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記ステント本体部は、結合する第1ステント部と第2ステント部とを有し、
前記第1ステント部は、前記チューブステントの先端側に配置され、
前記第2ステント部は、前記チューブステントの後端側に配置され、
前記第2ステント部の肉厚が前記第1ステント部の肉厚に比較して薄いことを特徴とする、
請求項5に記載のカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胆管や膵管ドレナージ等に用いるカテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
アウターカテーテル、インナーカテーテル、ステント等を備えるステントデリバリーシステムが知られている(特許文献1参照)。
特許文献1は、こぶ状体が設けられた糸状体が、プッシャーカテーテル(アウターカテーテル)またはステント(チューブステント)の径方向に設けられた孔を通して結ばれることによって端部に取り付けられ、インナーカテーテルがこぶ状体と係止用孔との遊嵌状体を維持するステントデリバリーシステムであり、単純な構造で、チューブステントとプッシャーカテーテルとの連結状態が不用意に解除されにくく、連結状態を解除したいときに解除し易いことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、手術に採用されるカテーテルシステムは、アウターカテーテルとアウターカテーテル内を貫通するインナーカテーテルとで構成されている。そして、チューブステントを体内に留置させる必要がある場合は、アウターカテーテルの先端に、チューブステントを係合させていた(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、ガイドワイヤに沿って体内を移動させる場合、アウターカテーテルまたはチューブステントの先端からインナーカテーテルが突出して、当該先端において外径の相違から特許文献1に示すように、インナーカテーテルの先端部の径とチューブステントの先端部と径との違いによる段差ができ、目的部位(例えば狭窄部等)を、スムーズに貫通できないという問題があった。
【0006】
また、従来のカテーテルシステムでは、インナーカテーテルの先端部やチューブステントの先端部に、カテーテルシステムの後端側から加えられる力(押す力)を伝えることができず、目的部位(例えば狭窄部等)を、スムーズに貫通できないという問題があった。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑み、インナーカテーテルの先端部やチューブステントの先端部に、カテーテルシステムの後端側から加えられる力(押す力)を伝えることができ、かつアウターカテーテルまたはチューブステントの先端がスムーズに目的部位を通過できるカテーテルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者は、上述した問題点に関して鋭意研究開発を続けた結果、以下の様な画期的なカテーテルシステムを見出した。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、ガイドワイヤに沿って体内に挿入させて移動させるカテーテルシステムであって、アウターカテーテルと、インナーカテーテルと、を備え、アウターカテーテルは、環状形状をなすアウターカテーテル管壁部と、アウターカテーテル管壁部に取り囲まれアウターカテーテルを貫通する空洞のアウターカテーテル挿通部と、を有し、インナーカテーテルは、環状形状をなすインナーカテーテル管壁部と、インナーカテーテル管壁部に取り囲まれインナーカテーテルを貫通する空洞のインナーカテーテル挿通部と、を有し、インナーカテーテルは、インナーカテーテル本体部を備え、アウターカテーテルは、アウターカテーテル本体部と、アウターカテーテル本体部の先端部に設けられたアウターカテーテル先端部と、を備え、アウターカテーテル先端部の内径は、インナーカテーテル本体部の外径よりも小さく、かつガイドワイヤの外径よりも大きく、インナーカテーテルは、アウターカテーテル挿通部に挿入され、アウターカテーテル先端部の先端からインナーカテーテル本体部が突出することを防止され、ガイドワイヤは、インナーカテーテル挿通部およびアウターカテーテル先端部のアウターカテーテル挿通部を貫通することを特徴とする、カテーテルシステムにある。
【0010】
かかる第1の態様によれば、アウターカテーテル先端部の先端からインナーカテーテル本体部が突出しないため、ガイドワイヤに沿って移動する先端側がアウターカテーテル先端部のみであり、移動時の抵抗が抑制される。その結果、操作性が良好であり、患者への負担を軽減することができる。
【0011】
また、アウターカテーテル先端部の先端の外径は、ガイドワイヤの外径に近いので、体内移動および目的部位の突破における抵抗が少なくて済み、内視鏡を見ながら操作する操作者の力の負担が軽減される。さらに、アウターカテーテル先端部の先端の径が小さいため、強度を増すことができるので、特に狭窄部の突破(貫通)が容易となる。
【0012】
加えて、体内移動中は、上述したように、インナーカテーテル本体部の先端部は、アウターカテーテル先端部のアウターカテーテル挿通部内に配置されることになり、インナーカテーテルにかかる力(先端側に押し出す力)はアウターカテーテル先端部にかかることになる。その結果、アウターカテーテルは、よりスムーズに狭窄部等を通過することができる。従来のカテーテルシステムでは、インナーカテーテル先端部とガイドワイヤ外径の段差と、インナーカテーテル外径とアウターカテーテル外径の段差と、計2つの段差があったが、インナーカテーテル外径とアウターカテーテル内径の段差は構造として無くなるので、本実施形態に係るカテーテルシステムでは、狭窄通過性能が向上する。
【0013】
本発明の第2の態様は、インナーカテーテルは、インナーカテーテル本体部の先端側に設けられ、アウターカテーテル先端部の内径よりも小さい外径のインナーカテーテル小径部をさらに有し、インナーカテーテルがアウターカテーテル挿通部に挿入されると、インナーカテーテル小径部は、インナーカテーテル小径部の先端部がアウターカテーテルから突出した状態で、先端方向に移動することが防止されることを特徴とする、第1の態様に記載のカテーテルシステムにある。
【0014】
かかる第2の態様によれば、弾力性を有するインナーカテーテル小径部がアウターカテーテル先端部から突出した状態(インナーカテーテルがガイドワイヤを包み込んだ状態)で体内に挿入されるので、ガイドワイヤ、インナーカテーテル小径部、アウターカテーテル先端部と、カテーテルシステムの先端部を構成する各構成材の曲げ剛性がなだらかに変化することになり、屈曲した狭窄部等に挿入した場合でも、ガイドワイヤWの反跳力を低減させることができる。その結果、ガイドワイヤが跳ね難くなるという効果を奏する。
【0015】
本発明の第3の態様は、アウターカテーテル先端部の内径は、先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、第1または第2の態様に記載のカテーテルシステムにある。
【0016】
かかる第3の態様によれば、アウターカテーテルを容易に作製することができる。
【0017】
本発明の第4の態様は、アウターカテーテル先端部の外径は、アウターカテーテル本体部から先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、第1の態様に記載のカテーテルシステムにある。
【0018】
かかる第4の態様によれば、アウターカテーテル先端部の外径の変化が一定となり、アウターカテーテル先端部の側面の傾きも一定となるので、アウターカテーテルの体内移動時や目的部位の突破をスムーズに行うことができる。
【0019】
本発明の第5の態様は、ガイドワイヤに沿って体内に挿入させて移動させるカテーテルシステムであって、アウターカテーテルと、インナーカテーテルと、チューブステントと、を備え、アウターカテーテルは、環状形状をなすアウターカテーテル管壁部と、アウターカテーテル管壁部に取り囲まれアウターカテーテルを貫通する空洞のアウターカテーテル挿通部と、を有し、インナーカテーテルは、環状形状をなすインナーカテーテル管壁部と、インナーカテーテル管壁部に取り囲まれインナーカテーテルを貫通する空洞のインナーカテーテル挿通部と、を有し、チューブステントは、アウターカテーテルの先端に接続され、環状形状をなすステント管壁部と、ステント管壁部に取り囲まれチューブステントを貫通する空洞のステント挿通部と、を有し、チューブステントは、ステント本体部と、ステント本体の先端部側に設けられたステント先端部と、を備え、インナーカテーテルは、インナーカテーテル本体部を備え、ステント先端部の内径は、インナーカテーテル本体部の外径よりも小さく、ガイドワイヤの外径よりも大きく、インナーカテーテルは、アウターカテーテル挿通部を貫通してステント挿通部に挿入され、ステント先端部の先端からインナーカテーテル本体部が突出することを防止され、ガイドワイヤは、インナーカテーテル挿通部およびステント先端部のステント挿通部を貫通することを特徴とする、カテーテルシステムにある。
【0020】
かかる第5の態様によれば、ステント先端部の先端からインナーカテーテル本体部が突出しないため、ガイドワイヤに沿って移動する先端側がステント先端部のみであり、移動時の抵抗が抑制される。その結果、操作性が良好であり、患者への負担を軽減することができる。
【0021】
また、ステント先端部の先端の外径は、ガイドワイヤの外径に近いので、体内移動および目的部位の突破における抵抗が少なくて済み、内視鏡を見ながら操作する操作者の力の負担が軽減される。また、ステント先端部の先端の径が小さいため、強度を増すことができるので、特に狭窄部の突破(貫通)が容易となる。
【0022】
加えて、体内移動中は、インナーカテーテル本体部の先端はステント先端部のステント挿通部内に配置されることになり、インナーカテーテルにかかる力(先端側に押し出す力)はステント先端部にかかることになる。その結果、チューブステントは、よりスムーズに狭窄部等を通過することができる。
【0023】
本発明の第6の態様は、インナーカテーテルは、インナーカテーテル本体部の先端側に設けられたインナーカテーテル小径部をさらに有し、インナーカテーテルは、アウターカテーテル挿通部を貫通してステント挿通部に挿入されると、インナーカテーテル小径部は、インナーカテーテル小径部の先端部がステント先端部から突出した状態で、先端方向に移動することが防止されることを特徴とする、第5の態様に記載のカテーテルシステムにある。
【0024】
かかる第6の態様によれば、弾力性を有するインナーカテーテル小径部がステント先端部から突出した状態(インナーカテーテルがガイドワイヤを包み込んだ状態)で体内に挿入されるので、ガイドワイヤ、インナーカテーテル小径部、ステント先端部と、カテーテルシステムの先端部を構成する各構成材の曲げ剛性がなだらかに変化することになり、屈曲した狭窄部等に挿入した場合でも、ガイドワイヤの反跳力をスムーズに低減させることができる。その結果、ガイドワイヤが跳ね難くなるという効果を奏する。
【0025】
本発明の第7の態様は、ステント先端部の内径は、先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、第5または第6の態様に記載のカテーテルシステムにある。
【0026】
かかる第7の態様によれば、チューブステントを容易に作製することができる。
【0027】
本発明の第8の態様は、ステント先端部の外径は、先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、第5の態様に記載のカテーテルシステムにある。
【0028】
かかる第8の態様によれば、ステント先端部の外径の変化が一定となり、ステント先端部の側面の傾きも一定となるので、体内移動時や目的部位の突破をよりスムーズに行うことができる。
【0029】
本発明の第9の態様は、インナーカテーテル小径部の外径は、先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、第6の態様に記載のカテーテルシステムにある。
【0030】
かかる第9の態様によれば、インナーカテーテル小径部の外径の変化が一定となり、インナーカテーテル小径部の側面の傾きも一定となるので、体内移動時や目的部位の突破をよりスムーズに行うことができる。
【0031】
本発明の第10の態様は、ステント本体部は、結合する第1ステント部と第2ステント部とを有し、第1ステント部は、チューブステントの先端側に配置され、第2ステント部は、チューブステントの後端側に配置され、第2ステント部の肉厚が第1ステント部の肉厚に比較して薄いことを特徴とする、第5の態様に記載のカテーテルシステムにある。
【0032】
かかる第10の態様によれば、肉厚のある第1ステント部を先端側に、肉厚の薄い第2ステント部を後端側に配置することで、目的部位(例えば狭窄部等)の突破性能(貫通性能)が良好となり、インナーカテーテルをアウターカテーテルからチューブステントに挿入し易くし、かつ、チューブステントの体内移動中の先端側における安定性と後端側における柔軟性と屈曲性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明に係るカテーテルシステムの第1実施形態の一例を示す概略側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のアウターカテーテルを示し、(a)概略側面図、(b)(a)のA-A概略断面図、(c)(a)のB-B概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図1のインナーカテーテルを示し、(a)概略側面図、(b)(a)のA-A概略断面図である。
【
図4】
図4は、
図1のカテーテルシステムにガイドワイヤが貫通した状態を示す概略側面図である。
【
図5】
図5は、
図1のアウターカテーテル、インナーカテーテル、ガイドワイヤの外径および内径の関係の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、本発明に係るカテーテルシステムの第2実施形態の一例を示す概略側面図である。
【
図7】
図7は、
図6のアウターカテーテルを示し、(a)概略側面図、(b)(a)のA-A概略断面図である。
【
図8】
図8は、
図6のチューブステント(実施例1)を示し、(a)概略側面図、(b)(a)のA-A概略断面図、(c)(a)のB-B概略断面図である。
【
図9】
図9は、
図6のアウターカテーテルとチューブステントの嵌合部の一例を示す概略側面図である。
【
図10】
図10は、
図6のカテーテルシステムにガイドワイヤが貫通した状態を示す概略側面図である。
【
図11】
図11は、
図6のチューブステント、インナーカテーテル、ガイドワイヤの外径および内径の関係の一例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、
図8のチューブステントの実施例2を示し、(a)概略側面図、(b)(a)のA-A概略断面図、(c)(a)のB-B概略断面図、(d)(a)のC-C概略断面図である。
【
図13】
図13は、
図12のチューブステントの第1ステント部と第2ステント部との一体化結合の一例を示す説明図である。
【
図14】
図14は、
図12のチューブステントを本発明のカテーテルシステムに適用した概略側面図である。
【
図15】
図15は、
図14のカテーテルシステムとガイドワイヤの関係を示す概略側面図である。
【
図16】
図16は、本発明のカテーテルシステムを体内の目的部位に送り込んだ一例を示す説明図で、チューブステントは実施例1である。
【
図17】
図17は、本発明のカテーテルシステムを体内の目的部位に送り込んだ一例を示す説明図で、チューブステントは実施例2である。
【
図18】
図18は、本発明に係るカテーテルシステムの第3実施形態の一例を示す概略側面図である。
【
図19】
図19は、本発明に係るカテーテルシステムの第5実施形態の一例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を用いて、本発明に係るカテーテルシステムの具体的な実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0035】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係るカテーテルシステムの一例を示す概略側面図である。
図2は、
図1のアウターカテーテルを示し、(a)は概略側面図、(b)は(a)のA-A概略断面図、(c)は(a)のB-B概略断面図である。
図3は、
図1のインナーカテーテルを示し、(a)は概略側面図、(b)は(a)のA-A概略断面図である。
図4は、
図1のカテーテルシステムにガイドワイヤが貫通した状態を示す概略側面図である。
図5は、
図1のアウターカテーテル、インナーカテーテル、ガイドワイヤの外径および内径の関係の一例を示す説明図である。
図1~
図5に基づいて、本発明のカテーテルシステムの第1実施形態を詳述する。
【0036】
図1に示すように、本発明のカテーテルシステム1の第1実施形態において、カテーテルシステム1は、アウターカテーテル10と、インナーカテーテル20と、アウターカテーテル10を支持し、インナーカテーテル20の操作等を行える操作部30と、を備える。操作部30は、本実施形態に限らず種々の形状があり、コネクタや送気部とも呼ばれ、後述するガイドワイヤWや内視鏡なども操作する。
図1において、インナーカテーテル20は、破線で示している。なお、アウターカテーテル10、インナーカテーテル20は、可撓性の樹脂材料(例えばポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド等)から成形されるが、材料は特に限定されない。
【0037】
以下、構成を分かり易くするために、操作部30側を後端側、その反対側を先端側と説明する。アウターカテーテル10、インナーカテーテル20および後述するチューブステント40の各構成においても同様である。
【0038】
図2に示すように、アウターカテーテル10は、環状形状をなすアウターカテーテル管壁部11と、アウターカテーテル管壁部11に取り囲まれアウターカテーテル10を貫通する空洞のアウターカテーテル挿通部12と、アウターカテーテル10の後端側に位置する操作部30とを備え、アウターカテーテル10は操作部30に結合されている。
【0039】
アウターカテーテル10は、所定の長さを有し、外径が一定のアウターカテーテル本体部15と、外径が変化するアウターカテーテル先端部16とを有している。アウターカテーテル先端部16は、アウターカテーテル10の先端側に位置し、先端に向かってアウターカテーテル本体部15の外径よりも小さい外径に変化している。この変化は、先端に向かってアウターカテーテル本体部15の外径よりも小さい外径になるのであれば特に限定されず、先端に向かって漸次的でもカーブ曲線的でも良いが、漸次的であることが好ましい。アウターカテーテル先端部16の外径が先端に向かって漸次的に変化する場合には、アウターカテーテル先端部16の側面の傾きが一定となるので、アウターカテーテル10の体内移動時や目的部位の突破をスムーズに行うことができる。なお、アウターカテーテル本体部15は、所定の長さにおいて、径(外径)が一定であればよく、アウターカテーテル本体部15の全体が一定の径(外径)である必要はない。
【0040】
ここで、アウターカテーテル本体部15の外径D2、内径d2とし、アウターカテーテル先端部16の先端近傍において外径D1、内径d1とすると、D2>D1、d2>d1の関係が成り立つ(
図2参照)。なお、アウターカテーテル10の先端側の側面には、液体の出し入れを行うための孔が複数形成されている。
【0041】
また、アウターカテーテル先端部16の内径は、少なくとも一部がインナーカテーテル本体部25の外径よりも小さくなっていれば特に限定されないが、先端に向かって漸次的に小さくなっているものが好ましい。このような形状の内径を有するアウターカテーテルは、チューブ状の材料の先端部を加熱しながら引き延ばす等して、容易に作製することができる。
【0042】
なお、アウターカテーテル先端部16の内径が先端に向かって漸次的に小さくなっている場合において、アウターカテーテルの軸と、アウターカテーテル先端部16のアウターカテーテル管壁部11の壁面とがなす角度は特に限定されない。
【0043】
図3に示すように、インナーカテーテル20は、インナーカテーテル本体部25を有し、環状形状をなすインナーカテーテル管壁部21と、インナーカテーテル管壁部21に取り囲まれインナーカテーテル20を貫通する空洞のインナーカテーテル挿通部22と、インナーカテーテル20の後端側に位置する操作部30とを備え、インナーカテーテル20は操作部30に結合されている。例えば、操作部30を押すことでインナーカテーテル20をアウターカテーテル挿通部12に挿通させることができ、操作部30を引くことでアウターカテーテル挿通部12からインナーカテーテル20を引き抜くことができる。また、インナーカテーテル挿通部22には、ガイドワイヤWが貫通することになる(
図3および
図4参照)。
【0044】
ここで、インナーカテーテル本体部25の外径をD3、内径をd3とすると、外径D3はアウターカテーテル10のアウターカテーテル本体部15の内径d2よりも小さく、アウターカテーテル先端部16の内径d1よりも大きい関係にある(d2>D3>d1)。また、ガイドワイヤWの外径D4は、アウターカテーテル先端部16の内径d1およびインナーカテーテルの内径d3よりも小さい関係にある(d1>D4、d3>D4)(
図5参照)。なお、外径とは各管壁部の口径であり、内径とは各挿通部の口径である。
【0045】
アウターカテーテル先端部16の外径D1と内径d1の差の1/2は、アウターカテーテル先端部16の肉厚t1であり、肉厚t1は一定であることが好ましい。肉厚t1が一定であると、アウターカテーテル先端部16が高い強度を有するので、体内移動中や目的部位の突破(貫通)時にアウターカテーテル先端部16の変形が抑制され、安定した操作が可能となる。その結果、患者への負荷を軽減させることができる。
【0046】
アウターカテーテル先端部16の外径D1および内径d1は、アウターカテーテル本体部15から先端に向かって徐々に小径となるが、内径d1はガイドワイヤWの外径D4より大きいため、ガイドワイヤWは、アウターカテーテル10のアウターカテーテル挿通部12およびインナーカテーテル本体部25のインナーカテーテル挿通部22を貫通し、さらにアウターカテーテル先端部16の先端から突出させることができる。
【0047】
一方、アウターカテーテル先端部16の内径d1は、インナーカテーテル本体部25の外径D3よりも小さいため、アウターカテーテル先端部16のアウターカテーテル挿通部12内(d1=D3の位置およびその近辺)でインナーカテーテル20(インナーカテーテル本体部25)の先端を推し進めることができなくなり、アウターカテーテル先端部16の先端からインナーカテーテル20が突出することを防止できる。
【0048】
言い換えると、体内においては、ガイドワイヤWを予め目的部位(例、狭窄部)に到達させて、アウターカテーテル10およびインナーカテーテル20をガイドワイヤWに沿って移動させる操作を行うが、この操作が上述の径(内径および外径)の関係において、スムーズに行うことができる。すなわち、アウターカテーテル先端部16の外径D1がガイドワイヤWの外径D4に近いので、ガイドワイヤWに続いて、アウターカテーテル先端部16は狭窄部等をスムーズに通過することができる。その結果、体内移動時の抵抗を少なくすることができ、操作者の力の負担を軽減させることができる。
【0049】
これにより、アウターカテーテル10の先端において、第1特許文献の
図4(b)(c)に開示されているようなインナーカテーテルとチューブステントと間の「段差」を生じることがなく、体内の移動および狭窄部の貫通がスムーズに行われる。また、アウターカテーテル10の先端の径が小さくなるため、強度が増し、特に狭窄部の抵抗を緩和させることができる。
【0050】
加えて、体内移動中は、上述したように、インナーカテーテル20の先端部はアウターカテーテル先端部16のアウターカテーテル挿通部12内(d1=D3の場所またはその近辺)に配置されることになり、インナーカテーテル20にかかる力(先端側に押し出す力)はアウターカテーテル先端部16にかかることになる。すなわち、インナーカテーテル20にかかる力が、アウターカテーテル10の先端に位置するアウターカテーテル先端部16に付加(伝達)されることになる。その結果、アウターカテーテル10は、よりスムーズに狭窄部等を通過することができる。
【0051】
なお、インナーカテーテル本体部25はアウターカテーテル10のアウターカテーテル本体部15内では自由に挿通できるが、インナーカテーテル本体部25の先端をアウターカテーテル先端部16から突出させることはできない。
【0052】
(第2実施形態)
図6は、本発明に係るカテーテルシステムの第2実施形態の一例を示す概略側面図である。
図7は、
図6のアウターカテーテルを示し、(a)は概略側面図、(b)は(a)のA-A概略断面図である。
図8は、
図6のチューブステントを示し、(a)は概略側面図、(b)は(a)のA-A概略断面図、(c)は(a)のB-B概略断面図である。
図9は、
図6のアウターカテーテルとチューブステントの嵌合部の一例を示す概略側面図である。
図10は、
図6のカテーテルシステムにガイドワイヤが貫通した状態を示す概略側面図である。
図11は、
図6のチューブステント、インナーカテーテル、ガイドワイヤの外径および内径の関係の一例を示す説明図である。
図6~
図11に基づいて、カテーテルシステムの第2実施形態を詳述する。
【0053】
図6に示すように、カテーテルシステム1の第2実施形態において、カテーテシステム1は、アウターカテーテル10と、インナーカテーテル20と、アウターカテーテル10を支持し、インナーカテーテル20の操作等を行える操作部30と、を備え、さらに、アウターカテーテル10の先端側に配置されるチューブステント40を備える。インナーカテーテル20は、アウターカテーテル10およびチューブステント40内に挿入される。なお、インナーカテーテル20は、
図6において破線で示している。
【0054】
図7に示すように、第2実施形態において、アウターカテーテル10には、第1実施形態とは異なり、アウターカテーテル先端部は形成されておらず、アウターカテーテル本体部15のみの構成となっている。アウターカテーテル10の先端側には、チューブステント40と嵌合するカテーテル嵌合部17が形成されている。
チューブステント40は、体内の目的部位(例えば狭窄部等)に留置させるもので、
図8に示すように、環状形状をなすステント管壁部41と、ステント管壁部41に取り囲まれチューブステント40を貫通する空洞のステント挿通部42と、チューブステント40の側面に突出形成される、2つのフラップ部43と、を備える。ステント挿通部42には、ガイドワイヤWが貫通し、インナーカテーテル20が挿入される。なお、
図7から
図11に示すチューブステント40は実施例1である。
【0055】
チューブステント40は、ステント本体部45と、ステント本体部45の先端側に形成されるステント先端部46とを有している。ステント本体部45は、所定の長さを有し、径が一定であり、ステント先端部46は、先端に向かってステント本体部45の径よりも小さい径に変化している。ステント本体部45の外径D6、内径d6とし、ステント先端部46の先端近傍において外径D5、内径d5とすると、D6>D5、d6>d5の関係が成り立つ。この変化は、先端に向かって漸次的でもカーブ曲線的でもよい。漸次的であること、肉厚t1が一定であることが好ましい点は、第1実施形態と同様である。なお、チューブステント40の先端側の側面には、液体の出し入れを行うための孔が複数形成されている。
【0056】
次に、
図9に基づいて、チューブステント40とアウターカテーテル10の接続の一例を説明する。チューブステント40の後端側にはステント嵌合部47が形成され、アウターカテーテル10の先端側にはカテーテル嵌合部17が形成されている。ステント嵌合部47は、先端から少し離間した位置に半円形状を呈するステント切欠部48が設けられ、カテーテル嵌合部17も同様に、先端から少し離間した位置に半円形状を呈するカテーテル切欠部18が設けられている。なお、ステント本体部45は、所定の長さにおいて、径(外径)が一定であればよく、ステント本体部45の全体が一定の径(外径)である必要はない。
【0057】
アウターカテーテル10とチューブステント40との接続部分で各嵌合部17、47同士を嵌合し、アウターカテーテル10およびチューブステント40のそれぞれの挿通部12、42にインナーカテーテル20を挿入することで嵌合が維持される。そして、アウターカテーテル10およびチューブステント40からインナーカテーテル20を引き抜くことで、体内で容易に嵌合が分離して、チューブステント40を目的部位に留置させることができる。なお、この嵌合の詳細は、特許第6514814号公報に記載されている。
【0058】
チューブステント40、アウターカテーテル10およびインナーカテーテル20、は、可撓性の樹脂材料(例えばポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド等)から成形されるが、材料は特に限定されない。また、チューブステント40は、ストレートタイプ、インサイドタイプ、ダブルピッグテイルタイプなどが用いることができ、アウターカテーテル10は、αタイプ、Jタイプ、ピッグテイルタイプ等を用いることができる。
【0059】
第2実施形態のカテーテルシステム1は、アウターカテーテル10の先端部にチューブステント40の後端部を嵌合させ、アウターカテーテル10およびチューブステント40にインナーカテーテル20を挿通させた状態で、例えば胆管や膵管ドレナージを行うために、例えば人体の鼻から先端を差し込み、予め目的部位に到達しているガイドワイヤWに沿って体内を移動させる。そして、目的部位(例えば狭窄部等)で、インナーカテーテル20を引き抜くことにより、チューブステント40を留置させるシステムである(
図10参照)。
【0060】
ここで、
図11に示すように、インナーカテーテル本体部25の外径をD3、内径をd3とすると、外径D3はチューブステント40のステント本体部45の内径d6よりも小さく、ステント先端部46の内径d5よりも大きい関係にある(d6>D3>d5)。また、ガイドワイヤWの外径D4は、ステント先端部46の内径d5およびインナーカテーテル本体部25の内径d3よりも小さい関係にある(d5>D4、d3>D4)(
図11参照)。
【0061】
ステント先端部46の外径D5および内径d5は、ステント本体部45から先端に向かって徐々に小径となるが、内径d5はガイドワイヤWの外径D4より大きいため、ガイドワイヤWは、アウターカテーテル10、インナーカテーテル20およびチューブステント40を貫通し、さらにステント先端部46の先端から突出させることができる。
【0062】
一方、内径d5は、インナーカテーテル20の外径D3よりも小さいため、ステント先端部46のステント挿通部42内でインナーカテーテル20(インナーカテーテル本体部25)の先端を推し進めることができなくなり、ステント先端部46の先端からインナーカテーテル20(インナーカテーテル本体部25)が突出することを防止できる。
【0063】
言い換えると、体内においては、ガイドワイヤWを予め目的部位(例、狭窄部等)に到達させて、アウターカテーテル10、インナーカテーテル20およびチューブステント40をガイドワイヤWに沿って移動させる操作を行うが、この操作が上述の径(内径および外径)の関係において、スムーズに行うことができる。また、チューブステント40のステント本体部45内ではインナーカテーテル本体部25を自由に挿通できるが、ステント先端部46からインナーカテーテル本体部25の先端を突出させることができない。
【0064】
これにより、チューブステント40の先端において、第1特許文献の
図4(b)(c)に開示されているようなインナーカテーテルとチューブステントと間の「段差」を生じることがなく、体内の移動および狭窄部の貫通をスムーズに行うことができる。すなわち、ステント先端部46の外径D5がガイドワイヤWの外径D4に近いので、ガイドワイヤWに続いて、ステント先端部46は狭窄部等をスムーズに通過することができる。その結果、体内移動時の抵抗を少なくすることができ、操作者の力の負担を軽減させることができる。また、チューブステント40の先端の径が小さくなるため、強度が増し、特に狭窄部の抵抗を緩和させることができる。
【0065】
加えて、実施形態1と同様に、体内移動中は、チューブステント40の先端部はステント先端部46のステント挿通部42内(d5=D3の位置またはその近辺)に配置されることになり、インナーカテーテル20にかかる力(先端側に押し出す力)はステント先端部46にかかることになる。すなわち、インナーカテーテル20にかかる力が、チューブステント40の先端に位置するステント先端部46に付加(伝達)されることになる。その結果、チューブステント40は、よりスムーズに狭窄部等を通過することができる。
【0066】
図12は、
図8のチューブステントの実施例2を示し、(a)は概略側面図、(b)は(a)のA-A概略断面図、(c)(a)のB-B概略断面図、(d)(a)のC-C概略断面図である。
図13は、
図12のチューブステントの第1ステント部と第2ステント部との一体化結合の一例を示す説明図である。
図14は、
図12のチューブステントを本発明のカテーテルシステムに適用した概略側面図である。
図15は、
図14のカテーテルシステムとガイドワイヤの関係を示す側面図である。上述のチューブステント40は、チューブステント40の実施例1であるが、
図12~
図15は、チューブステント40の実施例2である。以下、チューブステント40の実施例2を
図12~
図14に基づいて詳述する。
【0067】
図12に示すように、第2実施形態における実施例2のチューブステント40は、ステント本体部45およびステント先端部46を備えていることは実施例1と変わらないが、ステント本体部45が、第1ステント部50と第2ステント部51とを備える点で相違する。第1ステント部50は、チューブステント40の先端側に配置され、第2ステント部51は、チューブステント40の後端側に配置されている。また、ステント先端部46は、第1ステント部50側に設けられている。なお、本実施形態では、第1ステント部50と第2ステント部51とが別体として説明するが、一体成形されていてもよい。
【0068】
以下、「第1」、「第2」などで説明するが位置関係を限定する用語ではなく、説明を分かり易くするためであり、例えば第1ステント部を第2ステント部、第2ステント部を第1ステント部として説明してもよい。
【0069】
図12に示すように、第1ステント部50の外径D6を第1外径、内径d6を第1内径、肉厚を第1肉厚t2とし、第2ステント部51においては、外径を第2外径D7、内径を第2内径d7、肉厚を第2肉厚t3とする。
【0070】
実施例2のチューブステント40では、第2肉厚t3が第1肉厚t2に比較して薄く形成されている(t3<t2)。第1外径D6と第2外径D7とがほぼ同じであれば、第2内径d7は、第1内径d6に比較して大きく形成されることになる(d7>d6)。なお、ステント先端部46の肉厚t1と第1肉厚t2は、同一でも相違していてもよいが、同一であることが好ましい。
【0071】
このようにチューブステント40を構成することにより、第1ステント部50の先端における狭窄部等の突破性能を良好にし、第2ステント部51のステント挿通部42を挿通するインナーカテーテル20を楽に(容易に)挿通させることができ、かつ体内部位の移動中の屈曲性も良好となる。
【0072】
一般的に、チューブステント内にインナーカテーテルを楽に挿通させるためにチューブステントは肉薄の方がよい。しかしながら、目的部位(例えば狭窄部等)を通過させるためには、ある程度の強度を必要とする。実施例2のチューブステント40は、先端側は所定の肉厚t2を有することで目的部位の突破性能を良好とし、後端側の肉厚t3を先端側よりも肉薄とすることでアウターカテーテル10から挿入してくるインナーカテーテル20を容易にチューブステント40内へ挿入可能としているハイブリッド型である。
【0073】
第1ステント部50と第2ステント部51とは、それぞれフラップ部43を有している。第1ステント部50の第1フラップ部43aは、第1ステント部50のステント管壁部41の一部を切り起こして形成され、第2ステント部51の第2フラップ部43bは、先端側を斜めに切断して形成されている。
【0074】
これにより、目的部位での静置をより安定させることができる。すなわち、第1フラップ部43aのように第2フラップ部43bを切り起こすとステント管壁部41の一部が欠如し、2箇所の欠如部分によってチューブステント40の屈曲性に支障を来すことがあるが、この欠如部分が1箇所で済むためチューブステント40の体内移動中の操作性および目的部位の静置安定性が向上する。
【0075】
第1フラップ部43aと第2フラップ部43bとを、それぞれのステント部50、51で形成することで、長さを変えることができる。本実施形態では、第2フラップ部43bは第1フラップ部43aに比較して長く形成されている。第2フラップ部43bを長くすることで、チューブステント40の体内留置が安定する。
【0076】
第1ステント部50と第2ステント部51との一体化結合は、例えば、
図13に示すように、第1ステント部50の後端側を第2ステント部51の先端側に圧入することで実現できるが、結合方法は、接着、溶着等一般的な結合方法を用いてもよい。
【0077】
また、第1ステント部50と第2ステント部51の色を変えても良い、例えば、第1ステント部50が黄色であり、第2ステント部51が青色である。異なる色で形成することで、両ステント部50、51が容易に識別でき、組立の管理向上や的確な配置関係を行うことができる。
【0078】
実施例2のチューブステント40を採用したカテーテルシステム1は、
図14に示されている。基本的に
図6と同様であるので、説明を省略する。また、
図15には、
図10と同様にガイドワイヤWがカテーテルシステム1を貫通した状態が示されている。ステント本体部45およびステント先端部46も実施例1と同じであり、インナーカテーテル20(インナーカテーテル本体部25)の先端がステント先端部46から突出することがない。なお、
図14および
図15において、インナーカテーテル20は破線で示されている。
【0079】
実施例2のチューブステント40は、第1ステント部50の第1肉厚t2よりも肉薄の第2肉厚t3を有する第2ステント部51を備えているので、チューブステント40の先端側で狭窄部の突破性が良好であり、後端側でインナーカテーテル20の動きがよりスムーズになる。また、狭窄部の先端側で第1フラップ部43aが確実に支持し、狭窄部の後端側で第2フラップ部43bがソフトに支持することで患者への負担を軽減している。カテーテルシステム1を体内で所定期間静置させ、例えば胆汁などの体液が安定して排出されると判断した状態において、チューブステント40を目的部位で留保させることができる。
【0080】
次に、
図16および
図17に基づいて、本実施形態のカテーテルシステム1の体内における使用状態を説明する。また、
図16は、チューブステントが実施例1の場合であり、
図17は、チューブステントが実施例2の場合である。なお、
図16および
図17は、第2実施形態のカテーテルシステム1であるが、第1実施形態でも同様である。
【0081】
カテーテルシステム1は、内視鏡と併用してアウターカテーテル10とインナーカテーテル20、第2の実施形態ではチューブステント40を含めて、体内の目的部位(狭窄部)に搬送させることができる。予め、ガイドワイヤWを内視鏡のチャンネルを通じて、例えば胆管内に導入し、ガイドワイヤWの先端が狭窄部を越える位置まで挿入させる。次に、ガイドワイヤWに、その手元側からアウターカテーテル先端部16(ステント先端部46)、それに続くインナーカテーテル20を被せる。その後、ガイドワイヤWをガイドとして、第1実施形態ではアウターカテーテル10およびインナーカテーテル20を、第2実施形態ではチューブステント40、インナーカテーテル20およびアウターカテーテル10を、体内で押し進め、アウターカテーテル先端部16(ステント先端部46)の先端が胆管の狭窄部を越える位置まで挿入する。
【0082】
例えば、アウターカテーテル10またはチューブステント40を十二指腸100から胆管101の乳頭部102に挿入し、胆管がんの発生している狭窄部103まで送り込む。カテーテルシステム1の先端側は、先端に向かって径が細くなるアウターカテーテル先端部16(ステント先端部46)であり、かつ、インナーカテーテル20の先端側が突出していないため、狭窄部103において抵抗が少なくなり、また、径が小さいことでアウターカテーテル10(チューブステント40)の強度を保持することができる。
【0083】
加えて、上述したように、インナーカテーテル20にかかる力が、アウターカテーテル先端部16(ステント先端部46)に付加されることになるので、狭窄部103の突破性がより良好となり、操作性が向上する。その結果、狭窄部103への挿入および通過を容易に行うことができる。
【0084】
また、第2実施形態では、チューブステント40とアウターカテーテル10とが確実に接続しているため、ほぼ直交する十二指腸100と胆管101との接続部においてもチューブステント40とアウターカテーテル10とが分離することなく、スムーズに目的部位までチューブステント40を搬送できる。
【0085】
目的部位に実施例1のチューブステント40を配置させ、胆道ドレナージを行うことができた時点で、インナーカテーテル20を引き抜くと、チューブステント40とアウターカテーテル10との分離がスムーズに行われ、チューブステント40を目的部位に留置されることができる(
図16参照)。
【0086】
また、目的部位に実施例2のチューブステント40を配置させ、胆道ドレナージを行うことができた時点で、インナーカテーテル20を引き抜くと、チューブステント40とアウターカテーテル10との分離がスムーズに行われ、チューブステント40は目的部位に留置される。そして、第1フラップ部43aは目的部位の先端側に配置され、第2フラップ部43bは十二指腸100の管壁にソフトに配置される(
図17参照)。
【0087】
(第3実施形態)
第2実施形態のステント先端部の内径d5は先端に向かって漸次的に小さくなっているが(
図8参照)、本発明はこれに限定されず、インナーカテーテル本体部の先端がステント先端部から突出できないように、ステント先端部の内径の少なくとも一部がインナーカテーテル本体部の外径より小さくなっていればよい。
【0088】
例えば、
図18に示すように、チューブステント40は、ステント先端部46に、ステント挿通部42よりも径が小さいステント小径挿通部421を有するように構成してもよい。なお、本実施形態では、ステント挿通部42とステント小径挿通部421との接合部において、空洞側に突出するステント係止部49が形成されている。
【0089】
加えて、インナーカテーテルは、インナーカテーテル本体部25の先端部に、インナーカテーテル本体部25よりも外径が小さいインナーカテーテル小径部26を有するように構成されている。このようなインナーカテーテルは、インナーカテーテル本体部25とインナーカテーテル小径部26とを接合することによって、作製することができる。なお、インナーカテーテル本体部25とインナーカテーテル小径部26との接合部には、インナーカテーテル係止部29が形成されている。ここで、インナーカテーテル小径部26の内径は、インナーカテーテル本体部25の内径と同じである。
【0090】
そして、インナーカテーテル本体部25の外径D3は、ステント本体部45の内径d6よりも小さく、かつステント小径挿通部421の径d5よりも大きく、かつインナーカテーテル小径部26の外径D3’は、ステント小径挿通部421の径d5よりも小さくなっている(d6>D3>d5>D3’)なお、他の構成要素は、第2実施形態と同様である。
【0091】
このようにカテーテルシステムを構成することにより、第2実施形態と同様の効果に加え、インナーカテーテル20がアウターカテーテル挿通部を貫通してステント挿通部42に挿入されると、インナーカテーテル係止部29とステント係止部49とが当接し、インナーカテーテル小径部26の先端部がステント先端部46から突出した状態で、インナーカテーテル小径部26が先端方向に移動することが防止されることになる。
【0092】
さらに、インナーカテーテル20にかかる力(先端側に押し出す力)は、インナーカテーテル係止部29およびステント係止部49を介して、ステント先端部46にかかることになる。すなわち、インナーカテーテル20にかかる力が、チューブステント40の先端に位置するステント先端部46に付加(伝達)されることになる。その結果、チューブステント40は、よりスムーズに狭窄部等を通過することができる。
【0093】
加えて、弾力性を有するインナーカテーテル小径部26がステント先端部46から突出した状態(インナーカテーテル20がガイドワイヤWを包み込んだ状態)で体内に挿入されるので、ガイドワイヤW、インナーカテーテル小径部26、ステント先端部46と、カテーテルシステムの先端部を構成する各構成材の曲げ剛性がなだらかに変化することになり、屈曲した狭窄部等に挿入した場合でも、ガイドワイヤWの反跳力を低減させることができる。その結果、ガイドワイヤWが跳ね難くなるという効果を奏する。
【0094】
なお、本実施形態では、ステント係止部49は、ステント挿通部42の軸回りの全周に亘って形成したが、全周ではなく、ステント挿通部42の軸回りの一部に形成してもよいのは言うまでもない。
【0095】
(第4実施形態)
第3実施形態では、チューブステント、アウターカテーテルおよびインナーカテーテルを有するカテーテルシステムを例にして説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0096】
例えば、同様の構成を、第1実施形態のカテーテルシステムに適用してもよい。具体的には、第3実施形態のチューブステントの構成(ステント係止部およびステント小径挿通部)を、第1実施形態のアウターカテーテルの先端部の構成に適用し、第3実施形態のインナーカテーテルの構成(インナーカテーテル係止部およびインナーカテーテル小径部)を第1実施形態のインナーカテーテルの構成に適用してもよい。なお、他の構成要素は、第3実施形態と同様である。
【0097】
このようにカテーテルを構成することにより、第1実施形態の効果と同様の効果に加え、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
(第5実施形態)
第3実施形態および第4実施形態では、インナーカテーテル本体部の先端にインナーカテーテル小径部を有するようにカテーテルシステムを構成したが、本発明はこれに限定されない。
【0099】
例えば、
図19に示すように、第3実施形態のカテーテルシステムと同様の構成で、インナーカテーテル小径部がないインナーカテーテル20を用いてカテーテルシステムを構成してもよい。なお、他の構成要素は、第3実施形態と同様である。
【0100】
このように構成しても、第2実施形態のカテーテルシステムと同様の効果が得られる。
【0101】
また、第4実施形態のカテーテルシステムと同様の構成で、インナーカテーテル小径部がないインナーカテーテルを用いてカテーテルシステムを構成してもよい。なお、他の構成要素は、第4実施形態と同様である。
【0102】
このように構成しても、第1形態のカテーテルシステムと同様の効果が得られる。
【0103】
(第6実施形態)
第3実施形態および第4実施形態では、インナーカテーテル本体部の先端にインナーカテーテル小径部を有するようにカテーテルシステムを構成したが、本発明はこれに限定されない。
【0104】
例えば、実施形態3および4と同様に、インナーカテーテル本体部の先端にインナーカテーテル小径部を有するようにカテーテルシステムを構成してもよい。
【0105】
このように構成しても、実施形態3および4と同様の効果が得られる。
【0106】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0107】
1 カテーテルシステム
10 アウターカテーテル
11 アウターカテーテル管壁部
12 アウターカテーテル挿通部
15 アウターカテーテル本体部
16 アウターカテーテル先端部
17 カテーテル嵌合部
18 カテーテル切欠部
20 インナーカテーテル
21 インナーカテーテル管壁部
22 インナーカテーテル挿通部
25 インナーカテーテル本体部
26 インナーカテーテル小径部
29 インナーカテーテル係止部
30 操作部
40 チューブステント
41 ステント管壁部
42 ステント挿通部
421 ステント小径挿通部
43、43a、43b フラップ部
45 ステント本体部
46 ステント先端部
47 ステント嵌合部
48 ステント切欠部
49 ステント係止部
50 第1ステント部
51 第2ステント部
100 十二指腸
101 胆管
102 乳頭部
103 狭窄部
D 外径
d 内径
t 肉厚
W ガイドワイヤ
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤに沿って体内に挿入させて移動させるカテーテルシステムであって、
アウターカテーテルと、インナーカテーテルと、を備え、
前記アウターカテーテルは、環状形状をなすアウターカテーテル管壁部と、前記アウターカテーテル管壁部に取り囲まれ前記アウターカテーテルを貫通する空洞のアウターカテーテル挿通部と、を有し、
前記インナーカテーテルは、環状形状をなすインナーカテーテル管壁部と、前記インナーカテーテル管壁部に取り囲まれ前記インナーカテーテルを貫通する空洞のインナーカテーテル挿通部と、を有し、
前記インナーカテーテルは、インナーカテーテル本体部を備え、
前記アウターカテーテルは、
アウターカテーテル本体部と、
前記アウターカテーテル本体部の先端部に設けられたアウターカテーテル先端部と、を備え、
前記アウターカテーテル先端部の内径は、前記インナーカテーテル本体部の外径よりも小さく、かつ前記ガイドワイヤの外径よりも大きく、
前記インナーカテーテルは、前記アウターカテーテル挿通部に挿入された際に、前記アウターカテーテル先端部の先端から前記インナーカテーテルが突出せず、
前記ガイドワイヤは、前記インナーカテーテル挿通部および前記アウターカテーテル先端部の前記アウターカテーテル挿通部を貫通することを特徴とする、
カテーテルシステム。
【請求項2】
ガイドワイヤに沿って体内に挿入させて移動させるカテーテルシステムであって、
アウターカテーテルと、インナーカテーテルと、を備え、
前記アウターカテーテルは、環状形状をなすアウターカテーテル管壁部と、前記アウターカテーテル管壁部に取り囲まれ前記アウターカテーテルを貫通する空洞のアウターカテーテル挿通部と、を有し、
前記インナーカテーテルは、環状形状をなすインナーカテーテル管壁部と、前記インナーカテーテル管壁部に取り囲まれ前記インナーカテーテルを貫通する空洞のインナーカテーテル挿通部と、を有し、
前記インナーカテーテルは、インナーカテーテル本体部を備え、
前記アウターカテーテルは、
アウターカテーテル本体部と、
前記アウターカテーテル本体部の先端部に設けられたアウターカテーテル先端部と、を備え、
前記アウターカテーテル先端部の内径は、前記インナーカテーテル本体部の外径よりも小さく、かつ前記ガイドワイヤの外径よりも大きく、
前記インナーカテーテルは、前記アウターカテーテル挿通部に挿入された際に、前記アウターカテーテル先端部の先端から前記インナーカテーテル本体部が突出せず、
前記ガイドワイヤは、前記インナーカテーテル挿通部および前記アウターカテーテル先端部の前記アウターカテーテル挿通部を貫通し、
前記インナーカテーテルは、前記インナーカテーテル本体部の先端側に設けられ、アウターカテーテル先端部の内径よりも小さい外径で、かつ当該外径が一定のインナーカテーテル小径部をさらに有し、
前記インナーカテーテルが前記アウターカテーテル挿通部に挿入されると、前記インナーカテーテル小径部は、前記インナーカテーテル小径部の先端部が前記アウターカテーテルから突出した状態で、先端方向に移動することが防止されることを特徴とする、
カテーテルシステム。
【請求項3】
ガイドワイヤに沿って体内に挿入させて移動させるカテーテルシステムであって、
アウターカテーテルと、インナーカテーテルと、を備え、
前記アウターカテーテルは、環状形状をなすアウターカテーテル管壁部と、前記アウターカテーテル管壁部に取り囲まれ前記アウターカテーテルを貫通する空洞のアウターカテーテル挿通部と、を有し、
前記インナーカテーテルは、環状形状をなすインナーカテーテル管壁部と、前記インナーカテーテル管壁部に取り囲まれ前記インナーカテーテルを貫通する空洞のインナーカテーテル挿通部と、を有し、
前記アウターカテーテルは、
アウターカテーテル本体部と、
前記アウターカテーテル本体部の先端部に、前記アウターカテーテル管壁部の空洞側に突出する前記アウターカテーテルの係止部と、
前記アウターカテーテル本体部の先端部に設けられたアウターカテーテル先端部と、を備え、
前記インナーカテーテルは、
インナーカテーテル本体部と、
前記インナーカテーテル本体部の先端部に、前記アウターカテーテルの係止部に当接する前記インナーカテーテルの係止部と、を備え、
前記アウターカテーテル先端部の内径は、前記インナーカテーテル本体部の外径よりも小さく、かつ前記ガイドワイヤの外径よりも大きく、
前記インナーカテーテルは、前記アウターカテーテル挿通部に挿入された際に、前記アウターカテーテルの係止部と前記インナーカテーテルの係止部とが当接することで、前記アウターカテーテル先端部の先端から前記インナーカテーテル本体部が突出せず、
前記ガイドワイヤは、前記インナーカテーテル挿通部および前記アウターカテーテル先端部の前記アウターカテーテル挿通部を貫通し、
前記インナーカテーテルは、前記インナーカテーテル本体部の先端側に設けられ、アウターカテーテル先端部の内径よりも小さい外径のインナーカテーテル小径部をさらに有し、
前記インナーカテーテルが前記アウターカテーテル挿通部に挿入されると、前記インナーカテーテル小径部は、前記インナーカテーテル小径部の先端部が前記アウターカテーテルから突出した状態で、先端方向に移動することが防止されることを特徴とする、
カテーテルシステム。
【請求項4】
前記アウターカテーテル先端部の内径は、先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、
請求項1~3の何れか1項に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記アウターカテーテル先端部の外径は、前記アウターカテーテル本体部から先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、
請求項1~3の何れか1項に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
ガイドワイヤに沿って体内に挿入させて移動させるカテーテルシステムであって、
アウターカテーテルと、インナーカテーテルと、チューブステントと、を備え、
前記アウターカテーテルは、環状形状をなすアウターカテーテル管壁部と、前記アウターカテーテル管壁部に取り囲まれ前記アウターカテーテルを貫通する空洞のアウターカテーテル挿通部と、を有し、
前記インナーカテーテルは、環状形状をなすインナーカテーテル管壁部と、前記インナーカテーテル管壁部に取り囲まれ前記インナーカテーテルを貫通する空洞のインナーカテーテル挿通部と、を有し、
前記チューブステントは、前記アウターカテーテルの先端に接続され、
環状形状をなすステント管壁部と、前記ステント管壁部に取り囲まれ前記チューブステントを貫通する空洞のステント挿通部と、を有し、
前記チューブステントは、
ステント本体部と、
前記ステント本体部の先端部に、前記ステント管壁部の空洞側に突出するステント係止部と、
前記ステント本体部の先端部側に設けられたステント先端部と、を備え、
前記インナーカテーテルは、
インナーカテーテル本体部と、
前記インナーカテーテル本体部の先端部に、前記ステント係止部に当接するインナーカテーテル係止部と、を備え、
前記ステント先端部の内径は、前記インナーカテーテル本体部の外径よりも小さく、前記ガイドワイヤの外径よりも大きく、
前記インナーカテーテルは、前記アウターカテーテル挿通部を貫通して前記ステント挿通部に挿入された際に、前記ステント係止部と前記インナーカテーテル係止部とが当接することで、前記ステント先端部の先端から前記インナーカテーテル本体部が突出せず、
前記ガイドワイヤは、前記インナーカテーテル挿通部および前記ステント先端部の前記ステント挿通部を貫通することを特徴とする、
カテーテルシステム。
【請求項7】
前記インナーカテーテルは、前記インナーカテーテル本体部の先端側に設けられたインナーカテーテル小径部をさらに有し、
前記インナーカテーテルは、前記アウターカテーテル挿通部を貫通して前記ステント挿通部に挿入されると、前記インナーカテーテル小径部は、前記インナーカテーテル小径部の先端部が前記ステント先端部から突出した状態で、先端方向に移動することが防止されることを特徴とする、
請求項6に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記ステント先端部の内径は、先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、
請求項6または7に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記ステント先端部の外径は、先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、
請求項6に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記インナーカテーテル小径部の外径は、先端に向かって漸次的に小さくなることを特徴とする、
請求項7に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記ステント本体部は、結合する第1ステント部と第2ステント部とを有し、
前記第1ステント部は、前記チューブステントの先端側に配置され、
前記第2ステント部は、前記チューブステントの後端側に配置され、
前記第2ステント部の肉厚が前記第1ステント部の肉厚に比較して薄いことを特徴とする、
請求項6に記載のカテーテルシステム。