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特開2024-110541医療情報処理プログラムおよび医療情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110541
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】医療情報処理プログラムおよび医療情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240808BHJP
   G16H 50/50 20180101ALI20240808BHJP
【FI】
G16H10/00
G16H50/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015166
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(74)【代理人】
【識別番号】100166785
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100184550
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 珠美
(72)【発明者】
【氏名】吉川 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】三島 達則
(72)【発明者】
【氏名】宮城 友洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 清人
(72)【発明者】
【氏名】星川 靖裕
(72)【発明者】
【氏名】則竹 洋佑
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】複数の医療情報を適切に医療従事者に提示することが可能な医療情報処理プログラムおよび医療情報処理装置を提供する。
【解決手段】制御部は、対象患者についての複数種類の医療情報から、表示部に表示させる医療情報の種類を絞り込むルール、および、複数種類の医療情報の表示順を決定するルールの少なくともいずれかを定めた複数の表示ルールの中から、少なくとも1つの表示ルールを設定する。制御部は、設定された表示ルールに従って、対象患者についての複数種類の医療情報に対して、種類の絞り込み処理、および表示順の決定処理の少なくともいずれかを実行したうえで、縦列および横列の一方の列に複数種類の医療情報を表示順に並べると共に、他方の列に情報の取得時期の時系列に並べて表示部に表示させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に関する医療情報を処理する医療情報処理装置において実行される医療情報処理プログラムであって、
データベースには、各々の患者毎に、複数種類の医療情報を、各々の情報の取得時期に紐づけて記憶させることが可能であり、
前記医療情報処理プログラムが前記医療情報処理装置の制御部によって実行されることで、
医療情報を処理する対象患者を特定する患者特定ステップと、
前記対象患者についての複数種類の医療情報から、表示部に表示させる医療情報の種類を絞り込むルール、および、複数種類の医療情報の表示順を決定するルールの少なくともいずれかを定めた複数の表示ルールの中から、少なくとも1つの表示ルールを設定する表示ルール設定ステップと、
前記表示ルール設定ステップにおいて設定された前記表示ルールに従って、前記対象患者についての複数種類の医療情報に対して、種類の絞り込み処理、および表示順の決定処理の少なくともいずれかを実行したうえで、縦列および横列の一方の列に複数種類の医療情報を表示順に並べると共に、他方の列に情報の取得時期の時系列に並べて表示部に表示させる情報表示ステップと、
を前記医療情報処理装置に実行させることを特徴とする医療情報処理プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の医療情報処理プログラムであって、
ユーザによって入力された指示に応じて表示ルールを生成し、データベースに記憶させる表示ルール生成ステップがさらに実行されることを特徴とする医療情報処理プログラム。
【請求項3】
請求項1に記載の医療情報処理プログラムであって、
前記表示ルール設定ステップでは、前記複数の表示ルールの中から、ユーザによって入力された指示に応じて少なくとも1つの表示ルールが設定されることを特徴とする医療情報処理プログラム。
【請求項4】
請求項1に記載の医療情報処理プログラムであって、
前記複数の表示ルールの中には、複数種類の医療情報の絞り込みおよび表示順の決定の少なくともいずれかのルールが、複数の疾患の各々に応じて定められた複数の表示ルールが含まれており、
前記表示ルール設定ステップでは、前記対象患者の疾患に対応する表示ルールを設定可能であることを特徴とする医療情報処理プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載の医療情報処理プログラムであって、
前記対象患者の疾患に関する疾患情報を取得する疾患情報取得ステップがさらに実行され、
前記表示ルール設定ステップでは、前記疾患情報取得ステップにおいて取得された前記対象患者の疾患情報が示す疾患に対応する表示ルールが自動設定されることを特徴とする医療情報処理プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の医療情報処理プログラムであって、
前記疾患情報取得ステップでは、
患者の医療情報が入力されることで、前記患者の疾患の自動判定結果を出力するように機械学習アルゴリズムに従って訓練された数学モデルに、前記対象患者の医療情報が入力されることで、前記対象患者の疾患情報が取得されることを特徴とする医療情報処理プログラム。
【請求項7】
患者に関する医療情報を処理する医療情報処理装置であって、
データベースには、各々の患者毎に、複数種類の医療情報が、各々の情報の取得時期に紐づけられて記憶させることが可能であり、
前記医療情報処理装置の制御部は、
医療情報を処理する対象患者を特定する患者特定ステップと、
前記対象患者についての複数種類の医療情報から、表示部に表示させる医療情報の種類を絞り込むルール、および、複数種類の医療情報の表示順を決定するルールの少なくともいずれかを定めた複数の表示ルールの中から、少なくとも1つの表示ルールを設定する表示ルール設定ステップと、
前記表示ルール設定ステップにおいて設定された前記表示ルールに従って、前記対象患者についての複数種類の医療情報に対して、種類の絞り込み処理、および表示順の決定処理の少なくともいずれかを実行したうえで、縦列および横列の一方の列に複数種類の医療情報を表示順に並べると共に、他方の列に情報の取得時期の時系列に並べて表示部に表示させる情報表示ステップと、
を実行することを特徴とする医療情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者に関する医療情報を処理するための医療情報処理プログラムおよび医療情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者に対する診療を効率化するための種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載の医療情報処理装置は、診断対象者の医療画像と、診断対象者の医療画像に類似する医療画像を含む複数の医療画像を、撮影タイミングの時間軸を一致させた状態で表示部に表示させることで、疾患の推移予測の容易化を図っている。また、特許文献1には、疾患の進行度の推移を示すグラフを表示させる技術等も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/066039号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、医療技術の進歩が進むにつれて、各々の患者について取得される医療情報(例えば、医療画像、検査結果、所見、処方、治療内容等)の種類および数が増加している。医療情報の種類および数が増加すると、診療の精度の向上等に繋がる。一方で、医療従事者は、多くの種類および数の医療情報の中から、患者の診療に必要な医療情報を選択して把握する必要がある。この場合、例えば、診療の効率の低下、および、必要な医療情報の見落とし等が生じる可能性がある。従って、複数の医療情報を適切に医療従事者に提示できる技術が望まれる。
【0005】
本開示の典型的な目的は、複数の医療情報を適切に医療従事者に提示することが可能な医療情報処理プログラムおよび医療情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における典型的な実施形態が提供する医療情報処理プログラムは、患者に関する医療情報を処理する医療情報処理装置において実行される医療情報処理プログラムであって、データベースには、各々の患者毎に、複数種類の医療情報を、各々の情報の取得時期に紐づけて記憶させることが可能であり、前記医療情報処理プログラムが前記医療情報処理装置の制御部によって実行されることで、医療情報を処理する対象患者を特定する患者特定ステップと、前記対象患者についての複数種類の医療情報から、表示部に表示させる医療情報の種類を絞り込むルール、および、複数種類の医療情報の表示順を決定するルールの少なくともいずれかを定めた複数の表示ルールの中から、少なくとも1つの表示ルールを設定する表示ルール設定ステップと、前記表示ルール設定ステップにおいて設定された前記表示ルールに従って、前記対象患者についての複数種類の医療情報に対して、種類の絞り込み処理、および表示順の決定処理の少なくともいずれかを実行したうえで、縦列および横列の一方の列に複数種類の医療情報を表示順に並べると共に、他方の列に情報の取得時期の時系列に並べて表示部に表示させる情報表示ステップと、を前記医療情報処理装置に実行させる。
【0007】
本開示における典型的な実施形態が提供する医療情報処理装置は、患者に関する医療情報を処理する医療情報処理装置であって、データベースには、各々の患者毎に、複数種類の医療情報が、各々の情報の取得時期に紐づけられて記憶させることが可能であり、前記医療情報処理装置の制御部は、医療情報を処理する対象患者を特定する患者特定ステップと、前記対象患者についての複数種類の医療情報から、表示部に表示させる医療情報の種類を絞り込むルール、および、複数種類の医療情報の表示順を決定するルールの少なくともいずれかを定めた複数の表示ルールの中から、少なくとも1つの表示ルールを設定する表示ルール設定ステップと、前記表示ルール設定ステップにおいて設定された前記表示ルールに従って、前記対象患者についての複数種類の医療情報に対して、種類の絞り込み処理、および表示順の決定処理の少なくともいずれかを実行したうえで、縦列および横列の一方の列に複数種類の医療情報を表示順に並べると共に、他方の列に情報の取得時期の時系列に並べて表示部に表示させる情報表示ステップと、を実行する。
【0008】
本開示に係る医療情報処理プログラムおよび医療情報処理装置によると、複数の医療情報が適切に医療従事者に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】医療情報処理システム1の概略構成を示すブロック図である。
図2】データベースに記憶された医療情報の一例を模式的に示す概念図である。
図3】第1実施形態の医療情報処理装置10が実行する医療情報処理のフローチャートである。
図4】デフォルトの表示ルールに従って対象患者の医療情報がマトリクス表示された画面の一例を示す図である。
図5図4に示すデフォルトの表示状態から、緑内障に対応する表示ルールに従って医療情報のマトリクス表示が変更された画面の一例を示す図である。
図6】第2実施形態の医療情報処理装置10が実行する医療情報処理のフローチャートである。
図7】第2実施形態における医療情報のデフォルトのマトリクス表示と、疾患経緯情報の表示の一例を示す図である。
図8図7に示すデフォルトの表示状態から、併発白内障に対応する表示ルールに従って医療情報のマトリクス表示が変更された画面の一例を示す図である。
図9】第2実施形態において時期毎表示部43が表示された画面の一例を示す図である。
図10】第3実施形態の医療情報処理装置10が実行する医療情報処理のフローチャートである。
図11】第3実施形態における医療情報のマトリクス表示と、値推移情報の表示の一例を示す図である。
図12図11に示す表示状態において、グラフの表示時期の範囲がマトリクス表示部30上で指定された場合の画面の一例を示す図である。
図13図11に示す表示状態において、グラフ中の特定の値が指定された場合の画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<概要>
(第1態様)
本開示で例示する医療情報処理装置は、患者に関する医療情報を処理する。データベースには、各々の患者毎に、複数種類の医療情報を、各々の情報の取得時期に紐づけて記憶させることが可能である。医療情報処理装置の制御部は、患者特定ステップ、表示ルール設定ステップ、および情報表示ステップを実行する。患者特定ステップでは、制御部は、医療情報を処理する対象患者を特定する。表示ルール設定ステップでは、制御部は、対象患者についての複数種類の医療情報から、表示部に表示させる医療情報の種類を絞り込むルール、および、複数種類の医療情報の表示順を決定するルールの少なくともいずれかを定めた複数の表示ルールの中から、少なくとも1つの表示ルールを設定する。情報表示ステップでは、制御部は、表示ルール設定ステップにおいて設定された表示ルールに従って、対象患者についての複数種類の医療情報に対して、種類の絞り込み処理、および表示順の決定処理の少なくともいずれかを実行したうえで、縦列および横列の一方の列に複数種類の医療情報を表示順に並べると共に、他方の列に情報の取得時期の時系列に並べて表示部に表示させる。
【0011】
本開示に係る技術によると、複数種類の医療情報に対し、表示部に表示させる医療情報の種類の絞り込み処理、および、表示順の決定処理の少なくともいずれか(以下、「表示情報調整処理」という)が、設定された表示ルールに従って実行される。表示情報調整処理が行われた複数の医療情報が、表示順および時系列の各々に従ってマトリクス状に表示部に表示される。従って、多くの種類および数の医療情報のうち、表示ルールで定められた医療情報(一部または全部の医療情報)が、適切な表示順でマトリクス状に一覧表示される。よって、必要な医療情報が適切に医療従事者に提示される。
【0012】
なお、複数種類の医療情報には、種々の情報(例えば、医療画像、検査結果、所見、患者が申し立てた症状、処方、治療内容、手術内容等の少なくとも一部)が含まれていてもよい。
【0013】
制御部は、ユーザによって入力された指示に応じて表示ルールを生成し、データベースに記憶させる表示ルール生成ステップをさらに実行してもよい。この場合、医療従事者は、自らが確認したい複数種類の医療情報が、適切な表示順でマトリクス状に表示されるように、表示ルールを予め生成しておくことができる。よって、必要な医療情報が、さらに適切に医療従事者に提示され易くなる。
【0014】
なお、表示ルールの生成方法は適宜選択できる。例えば、複数の表示ルールの少なくとも一部は、予め生成されていてもよい。また、予め生成されている表示ルールが、ユーザによって入力された指示に応じて適宜修正されることで、新たな表示ルールが生成されてもよい。
【0015】
表示ルール設定ステップでは、制御部は、複数の表示ルールの中から、ユーザによって入力された指示に応じて少なくとも1つの表示ルールを設定してもよい。この場合、医療従事者は、自らが確認したい複数種類の医療情報を、適切な表示順でマトリクス状に表示させることができる。よって、必要な医療情報が、さらに適切に医療従事者に提示され易くなる。
【0016】
複数の表示ルールの中には、複数種類の医療情報の絞り込みおよび表示順の決定の少なくともいずれかのルールが、複数の疾患の各々に応じて定められた複数の表示ルールが含まれていてもよい。表示ルール設定ステップでは、制御部は、対象患者の疾患に対応する表示ルールを設定可能であってもよい。患者の診療を行う際の、複数種類の医療情報の各々の重要度は、診療する患者の疾患に応じて異なる場合も多い。従って、対象患者の疾患に対応する表示ルールに従って、複数種類の医療情報がマトリクス状に表示部に表示されることで、医療従事者は、対応する疾患の診療を、表示された医療情報に基づいて適切に実行し易くなる。
【0017】
制御部は、対象患者の疾患に関する疾患情報を取得する疾患情報取得ステップをさらに実行してもよい。表示ルール設定ステップでは、制御部は、疾患情報取得ステップにおいて取得された対象患者の疾患情報が示す疾患に対応する表示ルールを自動設定してもよい。この場合、対象患者の疾患に対応する表示ルールに従って、複数種類の医療情報が自動的に表示部に表示される。従って、医療従事者による診療の効率がさらに向上し易くなる。
【0018】
疾患情報取得ステップでは、機械学習アルゴリズムに従って訓練された数学モデルに対象患者の医療情報が入力されることで、対象患者の疾患情報が取得されてもよい。数学モデルは、患者の医療情報が入力されることで、患者の疾患の自動判定結果を出力するように訓練されていてもよい。この場合、対象患者の疾患情報を医療従事者が自ら入力しなくても、数学モデルによって出力される対象患者の自動判定結果に基づいて、対象患者の疾患情報が適切に取得される。よって、医療従事者による診療の効率がさらに向上し易くなる。
【0019】
なお、対象患者の疾患情報を取得するための具体的な方法は、適宜選択できる。例えば、制御部は、データベースに記憶されている対象患者についての情報(例えば、電子カルテの情報、患者が診療予約を行った際の予約情報等)の中から、対象患者の疾患を示す情報を自動的に取得してもよい。また、特定の疾患の診療を行うために、特定の検査等が実行される場合もある。この場合、対象患者に対して実行された検査等の種類および数に基づいて、対象患者の疾患を示す情報が自動的に取得されてもよい。
【0020】
(第2態様)
本開示で例示する医療情報処理装置は、患者に関する医療情報を処理する。データベースには、各々の患者毎に、複数種類の医療情報を、各々の情報の取得時期に紐づけて記憶させることが可能である。医療情報処理装置の制御部は、患者特定ステップ、表示ルール設定ステップ、および情報表示ステップを実行する。患者特定ステップでは、制御部は、医療情報を処理する対象患者を特定する。表示ルール設定ステップでは、制御部は、対象患者についての複数種類の医療情報から、表示部に表示させる医療情報の種類を絞り込むルール、および、複数種類の医療情報の表示順を決定するルールの少なくともいずれかを複数の疾患の各々に応じて定めた複数の表示ルールの中から、少なくとも1つの疾患の表示ルールを設定する。情報表示ステップでは、制御部は、表示ルール設定ステップにおいて設定された疾患の表示ルールに従って、対象患者についての複数種類の医療情報に対して、種類の絞り込み処理、および表示順の決定処理の少なくともいずれかを実行したうえで、縦列および横列の一方の列に複数種類の医療情報を表示順に並べると共に、他方の列に情報の取得時期の時系列に並べて表示部に表示させる。
【0021】
本開示に係る技術によると、複数種類の医療情報に対し、表示部に表示させる医療情報の種類の絞り込み処理、および、表示順の決定処理の少なくともいずれか(以下、「表示情報調整処理」という)が、設定された疾患の表示ルールに従って実行される。表示情報調整処理が行われた複数の医療情報が、表示順および時系列の各々に従ってマトリクス状に表示部に表示される(以後、複数の医療情報の表示を「マトリクス表示」という)。従って、多くの種類および数の医療情報のうち、疾患に応じた表示ルールで定められた医療情報(一部または全部の医療情報)が、適切な表示順でマトリクス状に一覧表示される。よって、対象患者の疾患の診療に必要な医療情報が、適切に医療従事者に提示される。
【0022】
なお、複数種類の医療情報には、種々の情報(例えば、医療画像、検査結果、所見、患者が申し立てた症状、処方、治療内容、手術内容等の少なくとも一部)が含まれていてもよい。
【0023】
制御部は、対象患者の特定の疾患についての経緯を時系列に沿って示す疾患経緯情報を、対象患者の特定の疾患に関する医療情報に基づいて表示部に表示させる疾患経緯情報表示ステップをさらに実行してもよい。この場合、医療従事者は、マトリクス表示によって複数の医療情報を適切に把握できることに加えて、特定の疾患についての経緯も疾患経緯情報によって容易に把握することができる。従って、患者の診療の効率および精度がさらに向上し易くなる。
【0024】
疾患経緯情報表示ステップでは、制御部は、対象患者の特定の疾患に関するイベントが発生したことを示す情報(例えば、アイコン・マーク等)を、疾患経緯情報における時系列中の、イベントの発生時期に対応付けて表示させてもよい。この場合、医療従事者は、対象患者の特定の疾患に関するイベントが発生した時期を、疾患の経緯を時系列に沿って示す疾患経緯情報によって適切に把握することができる。従って、患者の診療の効率および精度がさらに向上し易くなる。
【0025】
なお、疾患経緯情報に表示させるイベント情報の内容は、適宜選択できる。例えば、対象患者が来院したことを示す来院イベント、対象患者に対する手術が行われたことを示す手術イベント、対象患者に対する処方が行われたことを示す処方イベント、対象検者に対する検査(撮影が含まれていてもよい)が行われたことを示す検査イベント、対象患者について複数回実施された検査の結果が所定の条件(例えば、検査結果が閾値を超える条件、および、検査結果の変化量が閾値を超える条件等の少なくともいずれか)を満たすことを示す検査結果イベント等の少なくともいずれかが、アイコン等によって疾患経緯情報に表示されてもよい。例えば、検査結果イベントが疾患経過情報に表示されることで、医療従事者は、検査結果が注目すべき結果となった時期を適切に把握することが可能である。
【0026】
疾患経緯情報表示ステップは、特定の疾患に関連して発生した関連疾患に関する疾患経緯情報を、特定の疾患に関する疾患経緯情報の時系列から分岐させて表示させる関連疾患経緯情報表示ステップを含んでもよい。この場合、医療従事者は、特定の疾患に関連して発生した関連疾患についての経緯を、関連疾患が発生する基となった特定の疾患(以下、「基疾患」という場合もある)の経緯と照らし合わせたうえで適切に把握することができる。
【0027】
なお、関連疾患経緯情報を表示させるための具体的な方法は、適宜選択できる。例えば、制御部は、ユーザによって入力された指示に応じて、基疾患の疾患経緯情報から関連疾患経緯情報を分岐させて表示させてもよい。基疾患と関連疾患の対応関係等が、ユーザによって入力された指示に応じて定められてもよい。基疾患の疾患経緯情報から関連疾患経緯情報を分岐させる時期は、ユーザによって入力された指示に基づいて特定されてもよいし、関連疾患についての医療情報が取得された時期に基づいて自動的に特定されてもよい。基疾患の疾患経緯情報から関連疾患経緯情報を分岐させる時期は、関連疾患が実際に発生した時期よりも後で、ユーザによって修正されてもよい。
【0028】
疾患経緯情報表示ステップは、対象患者の特定の疾患に対する診療が終了した時期で、特定の疾患に関する疾患経緯情報の時系列の進行を停止させる時系列進行停止ステップを含んでいてもよい。この場合、対象患者の特定の疾患に対する診療が、疾患の治癒、他の病院への患者の転院等によって終了(「転記」と言われる場合もある)すると、診療が終了した時期が、疾患経緯情報の時系列の進行が停止した時期によって適切に把握される。また、疾患経緯情報の時系列の進行が停止しているか否かによって、疾患に対する診療が継続しているか否かを判断することも可能である。よって、患者の診療の効率および精度がさらに向上し易くなる。
【0029】
疾患経緯情報の時系列の進行を、診療の終了時期に停止させるための具体的な方法は、適宜選択できる。例えば、制御部は、時系列の進行を示すラインの伸長を停止させることで、時系列の進行を停止させてもよい。また、制御部は、関連疾患経緯情報の時系列の進行を停止させる場合には、関連疾患経緯情報の時系列を、基疾患の時系列に統合させてもよい。この場合、医療従事者は、基疾患に関連して発生した関連疾患の診療が終了したことを、基疾患の経緯に照らし合わせたうえで適切に把握することができる。
【0030】
疾患経緯情報表示ステップは、疾患経緯情報の時系列が示す時期毎に、対応する時期における1つまたは複数の医療情報を表示部に表示させる時期毎表示ステップを含んでいてもよい。この場合、疾患経緯情報の時系列に応じて、対応する時期における対象患者の医療情報を順次把握することができる。よって、患者の診療の効率および精度がさらに向上し易くなる。
【0031】
(第3態様)
本開示で例示する医療情報処理装置は、患者に関する医療情報を処理する。データベースには、各々の患者毎に、複数種類の医療情報を、各々の情報の取得時期に紐づけて記憶させることが可能である。医療情報処理装置の制御部は、患者特定ステップ、マトリクス表示ステップ、および値推移情報表示ステップを実行する。患者特定ステップでは、制御部は、医療情報を処理する対象患者を特定する。マトリクス表示ステップでは、制御部は、対象患者についての複数種類の医療情報の少なくとも一部を、縦列および横列の一方の列に種類毎に並べると共に、他方の列に情報の取得時期の時系列に並べてマトリクス表示として表示部に表示させる。値推移情報表示ステップでは、制御部は、マトリクス表示ステップにおいて表示される複数種類の医療情報のうち、値が増減し得る少なくとも一部の種類の医療情報について、時期の経過に伴う値の推移を示す値推移情報を、マトリクス表示と共に表示部に表示させる。
【0032】
本開示に係る技術によると、複数種類の医療情報が、縦列および横列の一方の列に種類毎に並べられると共に、他方の列に時系列に並べられて表示部にマトリクス状に表示される。さらに、マトリクス表示に含まれる少なくとも一部の医療情報の値の推移を示す値推移情報が、マトリクス表示と共に表示部に表示される。従って、医療従事者は、マトリクス表示された複数種類の医療情報の各々を適切に把握できるだけでなく、少なくとも一部の医療情報の値の推移も容易に把握することができる。よって、必要な医療情報が適切に医療従事者に提示される。
【0033】
なお、複数種類の医療情報には、種々の情報(例えば、医療画像、検査結果、所見、患者が申し立てた症状、処方、治療内容、手術内容等の少なくとも一部)が含まれていてもよい。
【0034】
制御部は、値推移情報表示ステップにおいて、少なくとも一部の医療情報の値の推移を図式化したグラフを、値推移情報として表示部に表示させてもよい。この場合、医療従事者は、複数種類の医療情報をマトリクス表示によって把握しつつ、少なくとも一部の医療情報の値の推移をグラフによって容易に把握することができる。よって、医療情報がより適切に把握され易くなる。
【0035】
制御部は、値推移情報表示ステップにおいて、マトリクス表示上で医療情報の種類がユーザによって指定された場合に、指定された医療情報の値の推移を示すグラフを表示部に表示させてもよい。この場合、医療従事者は、複数種類の医療情報をマトリクス表示上で把握したうえで、値の推移を確認したい医療情報をそのままマトリクス表示上で指定することで、指定した医療情報のグラフを確認することができる。従って、診療の効率および精度がさらに向上し易くなる。
【0036】
制御部は、値推移情報表示ステップにおいて、マトリクス表示上で医療情報の時期の範囲がユーザによって指定された場合に、指定された時期の範囲内における医療情報の値の推移を示すグラフを表示部に表示させてもよい。この場合、医療従事者は、複数種類の医療情報が示されたマトリクス表示上で、時期の範囲を指定することで、指定した時期の範囲内における医療情報のグラフを確認することができる。従って、医療従事者は、必要な範囲内における医療情報の値の推移を、より容易に把握することができる。
【0037】
制御部は、値推移情報表示ステップにおいて、グラフ上で特定の値がユーザによって指定された場合に、マトリクス表示によって示された複数の値のうち、グラフ上で指定された値を、マトリクス表示上で明示してもよい。この場合、医療従事者は、グラフ上で特定の値を指定するだけで、指定した値をマトリクス表示上で容易に確認することができる。例えば、グラフ上で指定した値と、同一の時期に取得された他の種類の医療情報を、マトリクス表示上で比較して診療を行うことも可能である。従って、診療の効率および精度がさらに向上し易くなる。
【0038】
値推移情報表示ステップでは、制御部は、少なくとも一部の医療情報の値について、前回取得された同一種類の医療情報の値に対する差分、および、基準値に対する差分の少なくとも一方を示す差分情報を、マトリクス表示に付加させて値推移情報として表示してもよい。この場合、医療従事者は、複数種類の医療情報をマトリクス表示によって把握しつつ、医療情報の値の推移を、マトリクス表示に付加された差分情報によって適切に把握することができる。よって、医療情報がより適切に把握され易くなる。
【0039】
差分情報を表示するための具体的な方法は、適宜選択できる。例えば、前回の値または基準値に対して値が高い場合には上向きの矢印を表示し、値が低い場合には下向きの矢印を表示し、値が同じである場合には横向きの矢印を表示してもよい。なお、差分が大きい程、矢印の数を多くして表示してもよい。差分が大きい程、矢印の大きさを大きくして表示してもよい。また、前回の値または基準値に対する差分に応じて、マトリクス表示に付与する色を変化させることで、差分情報を表示させてもよい。
【0040】
なお、第1態様~第3態様で例示した技術のうち、異なる態様で例示した複数の技術を組み合わせることも可能である。
【0041】
<実施形態>
以下、本開示における典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施形態における医療情報処理システム1のシステム構成の一例について概略的に説明する。本実施形態では、眼科の医療情報を処理する医療情報処理システム1を例示して説明を行う。しかし、本開示で例示する技術は、眼科以外の診療分野の医療情報を処理する場合にも適用できる。本実施形態の医療情報処理システム1は、医療情報処理装置10および医療処置装置20(20A,20B)を備える。
【0042】
医療情報処理装置10は、各種医療情報を処理する。本実施形態では、医療情報処理装置10として、医療機関に設置されたパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)が用いられている。しかし、医療情報処理装置10はPCに限定されない。例えば、スマートフォンまたはタブレット端末等が医療情報処理装置10として用いられてもよい。PCとは別に、またはPCと共に、サーバが医療情報処理装置10として用いられてもよい。この場合、サーバは、例えば、クラウドサービスを提供するメーカーのサーバ(所謂クラウドサーバ)であってもよいし、クラウドサーバ以外のサーバ(例えば、医療情報処理プログラムを提供するメーカーのサーバ等)であってもよい。複数の端末が協働して医療情報処理装置10として機能してもよい。
【0043】
医療情報処理装置10は、各種制御処理を行う制御ユニット11と、通信I/F14を備える。制御ユニット11は、制御を司るコントローラであるCPU12と、プログラムおよびデータ等を記憶することが可能な記憶装置13を備える。通信I/F14は、ネットワーク5を介して、医療情報処理装置10を外部機器(例えば医療処置装置20等)と接続する。また、医療情報処理装置10は、操作部16および表示部17に接続されている。操作部16は、ユーザ(本実施形態では、医師、看護師、技師等の医療従事者)が各種指示を医療情報処理装置10に入力するために操作される。表示部17は、各種画像を表示する。
【0044】
記憶装置13には、後述する医療情報処理(図3、6、10参照)の少なくとも一部を実行するための医療情報処理プログラムが記憶されている。また、記憶装置13には、各々の患者毎に、複数種類の医療情報が、各々の情報の取得時期に紐づけて記憶される。医療情報の詳細については、図2を参照して後述する。
【0045】
なお、本実施形態では、医療情報処理装置10に内蔵された記憶装置13に医療情報が記憶される場合を例示する。しかし、医療情報が記憶される記憶装置は、医療情報処理装置10の外部に設けられていてもよい。例えば、医療情報は、サーバ(クラウドサーバを含む)、または、外付けのハードディスク等に記憶されてもよい。この場合、医療情報処理装置10と記憶装置は、無線通信(インターネット等のネットワークを含む)、または有線通信によって接続されていてもよい。
【0046】
医療処置装置20(20A,20B)は、患者(本実施形態では患者の被検眼)の検査、撮影、治療、手術等の少なくともいずれかの医療処置を実行する。医療処置装置20には、例えば、OCT装置、走査型レーザ検眼鏡(SLO)、眼底カメラ、角膜内皮細胞撮影装置、眼軸長測定装置、眼屈折力測定装置、眼圧測定装置等の少なくともいずれかを採用できる。医療処置装置20は、各種制御処理を行う制御ユニット21(21A,21B)と、通信I/F24(24A,24B)を備える。制御ユニット21は、制御を司るコントローラであるCPU22(22A,22B)と、プログラム及びデータ等を記憶することが可能な記憶装置23(23A,23B)を備える。また、医療処置装置20は、操作部26(26A,26B)、表示部27(27A,27B)、および駆動部28(28A,28B)を備える。駆動部28は、医療処置装置20が患者の処置を実行するために必要な各種構成を備える。
【0047】
(医療情報)
図2を参照して、本実施形態においてデータベースに記憶される医療情報の一例について説明する。図2に例示するように、記憶装置13(データベースの一例)には、各々の患者毎に、複数種類の医療情報が、各々の情報の取得時期(一例として、本実施形態では「診療日」)に紐づけて記憶される。本実施形態における医療情報とは、患者に対して実行された検査、撮影、および診察等の少なくともいずれかに関する情報である。一例として、本実施形態では、医療処置装置(撮影装置)20によって撮影された被検眼の画像データ(例えば、OCT画像、SLO画像、眼底カメラ画像、角膜内皮細胞撮影画像等の少なくともいずれかの画像データ)、医療処置装置(検査装置)20によって実行された被検眼の検査結果を示す検査データ(例えば、眼軸長、眼屈折力、眼圧等の少なくともいずれかの検査データ)、医療処置装置(治療装置または手術装置)20によって実行された被検眼の治療または手術の内容等を示すデータ、および、操作部16がユーザによって操作されることで作成された患者の診察結果(所見、問診結果、患者が申し立てた症状、処方、治療内容、手術内容、検査結果、および診断結果等の少なくともいずれかを含む)の情報等が、医療情報として処理される。
【0048】
図2に示す例では、複数種類の医療情報(例えば、眼圧の測定結果、視力の測定結果、眼軸長の測定結果、細隙灯顕微鏡による検査結果、眼底画像、OCT画像、問診結果、所見、処方等)が、診療日に紐づけて患者毎に記憶されている。また、図2に示す例では、各患者の情報として、患者名と患者の生年月日に加えて、患者の疾患に関する情報(疾患情報)も記憶装置13に記憶されている。また、本実施形態では、複数種類の医療情報の中には、値が増減し得る医療情報(図2に示す例では、眼圧の測定結果、視力の測定結果、および眼軸長の測定結果)が含まれている。
【0049】
(第1実施形態)
図3図5を参照して、第1実施形態の医療情報処理装置10が実行する医療情報処理について説明する。第1実施形態の医療情報処理(図3参照)では、複数種類の医療情報に対し、表示部に表示させる医療情報の種類の絞り込み処理、および、表示順の決定処理の少なくともいずれか(以下、「表示情報調整処理」という)が、設定された表示ルールに従って実行される。表示情報調整処理が行われた複数の医療情報が、表示順および時系列の各々に従ってマトリクス状に表示部17に表示される。医療情報処理は、記憶装置13に記憶された医療情報処理プログラムに従って、医療情報処理装置10のCPU12によって実行される。
【0050】
図3に示すように、CPU33は、医療情報処理を開始すると、医療情報を処理する対象の患者(対象患者)を特定する指示が入力されたか否かを判断する(S1)。例えば、ユーザが操作部16を操作することで、対象患者を特定するための指示(例えば、患者名または患者のID等)を医療情報処理装置10に入力してもよい。また、患者を識別するための識別子(例えばバーコード等)が、各患者に付与されていてもよい。この場合、CPU12は、識別子リーダによって読み取られた識別子を入力することで、対象患者を特定するための指示を入力してもよい。対象患者を特定する指示が入力されていなければ(S1:NO)、S1の処理が繰り返されて待機状態となる。
【0051】
対象患者を特定する指示が入力されると(S1:YES)、CPU12は、入力された指示に応じて、医療情報の処理対象の患者を特定する(S2)。以下では、図2で例示する鈴木太郎が対象患者として特定された場合を例示する。
【0052】
次いで、CPU12は、デフォルトの表示ルールに従って、対象患者に関する複数の医療情報(一例として、本実施形態のS3では対象患者の全ての医療情報)の表示順を決定し、決定した表示順に従って、複数の医療情報をマトリクス状に表示部17に表示させる(S3)。
【0053】
図4は、デフォルトの表示ルールに従って対象患者の医療情報がマトリクス表示された画面の一例を示す図である。図4に示すように、マトリクス表示部30では、縦列および横列の一方の列(図4では横列)に、複数種類の医療情報が表示順に従って(図4では上から順に)並べられ、且つ、他方の列(図4では縦列)に、各々の種類の医療情報が時系列に沿って(図4では左から順に)並べられて表示される。従って、医療従事者は、マトリクス表示部30に表示されたマトリクス表示を閲覧することで、対象患者に関する複数種類の医療情報を、時系列に沿って適切に把握することができる。
【0054】
図4に示す画面の一部(画面左上部)には、対象患者の患者名、生年月日と共に、医療情報を表示させる眼(右眼または左眼)を選択する眼選択部31が表示されている。ユーザは、操作部16を操作して、眼選択部31の「右眼」または「左眼」を選択することで、マトリクス表示部30に医療情報を表示させる眼を、右眼と左眼で切り換えることができる。
【0055】
なお、図4に示す画面の一部(画面上部中央)には、表示ルール選択部32が表示されている。第1実施形態の医療情報処理装置10では、複数種類の医療情報をマトリクス状に表示させるための表示ルールが複数設けられている。各々の表示ルールは、対象患者についての複数種類の医療情報から、マトリクス状に表示させる医療情報の種類を絞り込むルール、および、複数種類の医療情報の表示順を決定するルールの少なくともいずれかを定める。つまり、各々の表示ルールは、複数種類の医療情報をマトリクス状に表示させる際の表示情報調整処理(絞り込み処理および表示順決定処理の少なくともいずれか)のルールを定める。ユーザは、操作部16を操作し、複数の表示ルールの中から少なくとも1つのルールを選択(指定)することで、所望のルールに従って医療情報を表示部17に表示させることができる。
【0056】
医療情報処理装置10のCPU12は、表示ルール生成処理を実行することができる。表示ルール生成処理では、CPU12は、操作部16を介してユーザによって入力された指示に応じて表示ルールを生成し、データベース(本実施形態では記憶装置13)に記憶させる。従って、医療従事者は、自らが確認したい複数種類の医療情報が、適切な表示順でマトリクス状に表示されるように、表示ルールを予め生成しておくことができる。よって、必要な医療情報が、さらに適切に医療従事者に提示され易くなる。なお、図4に示す例では、ユーザによる指示に応じて3つの表示ルール「A」「B」「C」が生成され、各々の表示ルールを選択するためのボタンが表示ルール選択部32に表示されている。
【0057】
また、第1実施形態では、複数の表示ルールの中に、複数の疾患の各々に応じて定められた複数の表示ルールが含まれている。患者の診療を行う際の、複数種類の医療情報の各々の重要度は、診療する患者の疾患に応じて異なる場合も多い。従って、対象患者の疾患に対応する表示ルールに従って、複数種類の医療情報がマトリクス状に表示部に表示されることで、医療従事者は、対応する疾患の診療を、表示された医療情報に基づいて適切に実行し易くなる。図4に示す例では、緑内障に対応する表示ルールと、白内障に対応する表示ルールが生成されて、各々の表示ルールに対応するボタンが表示ルール選択部32に表示されている。なお、疾患に対応する表示ルールは、予め定められていてもよいし、ユーザによって入力される指示に応じて定められてもよい。
【0058】
さらに、第1実施形態では、ユーザは、対象患者の疾患情報が示す疾患に対応する表示ルールに基づいて、複数種類の医療情報を自動的にマトリクス状に表示させることも可能である。従って、医療従事者による診療の効率がさらに向上し易くなる。図4に示す例では、ユーザは、操作部16を操作し、表示ルール選択部32内の「自動」を指定することで、対象患者の疾患に応じた自動表示を医療情報処理装置10に実行させることができる。
【0059】
図3の説明に戻る。CPU12は、複数の表示ルールの中の少なくとも1つが指定されたか否かを判断する(S5)。指定されていなければ(S5:NO)、CPU12は、対象患者の疾患に応じた自動表示が選択されているか否かを判断する(S8)。自動表示が選択されていなければ(S8:NO)、対象患者についての医療情報の表示処理を終了させるか否かを判断する(S16)。表示処理を終了させる指示がユーザによって入力されていなければ(S16:NO)、処理はS5へ戻り、S5~S13の処理が繰り返される。表示処理を終了させる指示が入力されると(S16:YES)、処理はS1へ戻る。
【0060】
表示ルール選択部32に示された複数の表示ルールの少なくとも1つが指定(選択)されると(S5:YES)、CPU12は、指定された表示ルールを、表示情報調整処理を行うための表示ルールとして設定する(S6)。次いで、CPU12は、設定した表示ルールに従って、表示情報調整処理(つまり、対象患者についての複数種類の医療情報に対する、種類の絞り込み処理、および表示順の決定処理の少なくともいずれか)を実行する(S12)。CPU12は、表示情報調整処理の結果に従って、複数種類の医療情報をマトリクス状に表示させる(S13)。つまり、CPU13は、縦列および横列の一方の列に、複数種類の医療情報を表示順に従って並べると共に、他方の列に、各々の種類の医療情報を時系列に沿って並べて表示させる。その結果、図5に示すように、多くの種類および数の医療情報のうち、表示ルールで定められた医療情報(一部または全部の医療情報)が、適切な表示順でマトリクス状に一覧表示される。よって、必要な医療情報が適切に医療従事者に提示される。
【0061】
図5は、図4に示すデフォルトの表示状態から、緑内障に対応する表示ルールに従って医療情報のマトリクス表示が変更された画面の一例を示す図である。図5に示す例では、複数種類の医療情報の中から、緑内障の診療における重要度が高い複数の医療情報が絞り込まれると共に、緑内障の診療における重要度が高い順に、複数種類の医療情報が上から順に並べられて、マトリクス表示部30に表示されている。
【0062】
また、患者の疾患に応じた自動表示が選択されている場合(S8:YES)、CPU12は、対象患者に関する疾患情報を取得する(S9)。一例として、本実施形態では、患者の医療情報の一部に疾患情報が含まれている(図2参照)。S9では、CPU12は、対象患者の医療情報に含まれる疾患情報を取得してもよい。また、本実施形態では、機械学習アルゴリズムに従って、対象患者の疾患の自動判定結果を出力する数学モデルが構築されている。数学モデルは、対象患者の医療情報が入力されることで、対象患者の疾患の自動判定結果を出力するように予め訓練されている。CPU12は、対象患者の医療情報(例えば、画像のデータ等)を数学モデルに入力することで、数学モデルによって出力される自動判定結果を、対象患者の疾患情報として取得することも可能である。
【0063】
CPU12は、S9で取得された対象患者の疾患情報が示す疾患に対応する表示ルールを自動設定する(S10)。CPU12は、設定した表示ルールに従って、表示情報調整処理を実行する(S12)。CPU12は、表示情報調整処理の結果に従って、複数種類の医療情報をマトリクス状に表示させる(S13)。その結果、対象患者の疾患に対応する表示ルールに従って、複数種類の医療情報が自動的にマトリクス状に表示される。
【0064】
(第2実施形態)
図6図9を参照して、第2実施形態の医療情報処理装置10が実行する医療情報処理について説明する。第2実施形態の医療情報処理(図6参照)では、複数の疾患の各々に応じて定められた複数の表示ルールの少なくとも1つに基づいて、複数種類の医療情報に対する表示情報調整処理が実行されて、情報がマトリクス状に表示される。また、第2実施形態では、対象患者の特定の疾患についての経緯を時系列に沿って示す疾患経緯情報(本実施形態では「タイムライン」と表現することもできる)が表示される。医療情報処理は、記憶装置13に記憶された医療情報処理プログラムに従って、医療情報処理装置10のCPU12によって実行される。なお、第2実施形態における医療情報処理の少なくとも一部のステップには、前述した第1実施形態における医療情報処理のステップと同様の処理を採用することも可能である。従って、第1実施形態におけるステップと同様の処理を採用できるステップについては、第1実施形態と同じステップ番号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0065】
図6に示すように、CPU33は、医療情報処理を開始すると、医療情報を処理する対象の患者(対象患者)を特定する指示が入力されたか否かを判断する(S1)。対象患者を特定する指示が入力されていなければ(S1:NO)、S1の処理が繰り返されて待機状態となる。対象患者を特定する指示が入力されると(S1:YES)、CPU12は、入力された指示に応じて、医療情報の処理対象の患者を特定する(S2)。次いで、CPU12は、デフォルトの表示ルールに従って、対象患者に関する複数の医療情報(一例として、本実施形態のS3では対象患者の全ての医療情報)の表示順を決定し、決定した表示順に従って、複数の医療情報をマトリクス状に表示部17に表示させる(S3)。
【0066】
第2実施形態のS3の処理によって表示されるマトリクス表示部30の表示例を、図7に示す。図7に示すように、マトリクス表示部30では、縦列および横列の一方の列(図7では横列)に、複数種類の医療情報が表示順に従って(図7では上から順に)並べられ、且つ、他方の列(図7では縦列)に、各々の種類の医療情報が時系列に沿って(図7では左から順に)並べられて表示される。また、ユーザは、操作部16を操作して、眼選択部31の「右眼」または「左眼」を選択することで、マトリクス表示部30に医療情報を表示させる眼を、右眼と左眼で切り換えることができる。
【0067】
図7に示す画面の一部(画面中央上部)には、表示ルール選択部32が表示されている。第2実施形態の医療情報処理装置10では、複数種類の医療情報をマトリクス状に表示させるための表示ルールが、複数の疾患の各々に応じて定められている。前述したように、表示ルールは、対象患者についての複数種類の医療情報から、マトリクス状に表示させる医療情報の種類を絞り込むルール、および、複数種類の医療情報の表示順を決定するルールの少なくともいずれかを定める。つまり、各々の表示ルールは、複数種類の医療情報をマトリクス状に表示させる際の表示情報調整処理(絞り込み処理および表示順決定処理の少なくともいずれか)のルールを定める。ユーザは、操作部16を操作し、複数の表示ルールの中から少なくとも1つのルールを選択(指定)することで、所望のルールに従って医療情報を表示部17に表示させることができる。対象患者の疾患に対応する表示ルールに従って、複数種類の医療情報がマトリクス状に表示部に表示されることで、医療従事者は、対応する疾患の診療を、表示された医療情報に基づいて適切に実行し易くなる。なお、図7に示す例では、「ブドウ膜炎」および「併発白内障」の2つの疾患の各々に対応する表示ルールが示されている。しかし、疾患に応じた表示ルールの数および内容を適宜変更できることは言うまでもない。
【0068】
図6の説明に戻る。CPU12は、対象患者の特定の疾患についての経緯を時系列に沿って示す疾患経緯情報40を、対象患者の特定の疾患に関する医療情報に基づいて表示部17に表示させる(S21)。従って、医療従事者は、マトリクス表示部30によって複数の医療情報を適切に把握できることに加えて、特定の疾患についての経緯も疾患経緯情報40によって容易に把握することができる。従って、患者の診療の効率および精度がさらに向上し易くなる。
【0069】
図7および図8の例では、本実施形態の疾患経緯情報40では、所定の方向(図7および図8では右方向)へ進む程時系列が進行するタイムラインによって、疾患の経緯が示される。また、図9の例では、下方向へ進む程時系列が進行するタイムラインによって、疾患の経緯が示される。
【0070】
また、本実施形態におけるS21の処理では、CPU12は、対象患者の特定の疾患に関するイベントが発生したことを示す情報(本実施形態ではイベントアイコン41)を、疾患経緯情報40における時系列中の、イベントの発生時期に対応させて表示させる。疾患経緯情報40に表示させるイベント情報の内容は、適宜選択できる。例えば、対象患者が来院したことを示す来院イベント、対象患者に対する手術が行われたことを示す手術イベント(図7および図8における「手術」のアイコン)、対象患者に対する処方が行われたことを示す処方イベント(図7および図8における「点眼」のアイコン)、対象検者に対する検査(撮影が含まれていてもよい)が行われたことを示す検査イベント、対象患者について複数回実施された検査の結果が所定の条件(例えば、検査結果が閾値を超える条件、および、検査結果の変化量が閾値を超える条件等の少なくともいずれか)を満たすことを示す検査結果イベント(図7および図8における「視力↑」のアイコン)等の少なくともいずれかが、アイコン、マーク、コメント等によって疾患経緯情報40に表示されてもよい。例えば、図7および図8に示す例では、特定患者の視力の前回からの上昇値が閾値を超えたことを示す「視力↑」の検査結果イベントのイベントアイコン41が表示されている。従って、医療従事者は、検査結果(図7および図8に示す例では視力の検査結果)が注目すべき結果となった時期を、適切に把握することが可能である。
【0071】
さらに、本実施形態におけるS21の処理では、CPU12は、特定の疾患に関連して発生した関連疾患が存在する場合に、関連疾患に関する疾患経緯情報(以下、「関連疾患経緯情報」という)を、特定の疾患に関する疾患経緯情報の時系列から分岐させて表示させる。従って、医療従事者は、特定の疾患に関連して発生した関連疾患についての経緯を、関連疾患が発生する基となった特定の疾患(以下、「基疾患」という場合もある)の経緯と照らし合わせたうえで適切に把握することができる。
【0072】
図7図9に示す例では、ブドウ膜炎を基疾患として、関連疾患である併発白内障が発生している。従って、CPU12は、併発白内障の関連疾患経緯情報を、基疾患であるブドウ膜炎の疾患経緯情報から分岐させて表示させている。
【0073】
詳細は後述するが、本実施形態では、CPU12は、ユーザによって入力された指示に応じて、基疾患の疾患経緯情報から関連疾患経緯情報を分岐させて表示させることができる。また、基疾患と関連疾患の対応関係が予め定められている場合には、CPU12は、定められている対応関係に基づいて、基疾患の疾患経緯情報から関連疾患経緯情報を分岐させてもよい。基疾患の疾患経緯情報から関連疾患経緯情報を分岐させる時期は、ユーザによって入力された指示に基づいて特定されてもよいし、関連疾患についての医療情報が取得された時期に基づいて自動的に特定されてもよい。基疾患の疾患経緯情報から関連疾患経緯情報を分岐させる時期は、関連疾患が実際に発生した時期よりも後で、ユーザによって修正されてもよい。
【0074】
本実施形態におけるS21の処理では、CPU12は、対象患者の特定の疾患に対する診療が終了した時期で、特定の疾患に関する疾患経緯情報の時系列の進行を停止させる時系列進行停止処理を実行する。その結果、対象患者の特定の疾患に対する診療が、疾患の治癒、他の病院への患者の転院等によって終了(「転記」と言われる場合もある)すると、診療が終了した時期が、疾患経緯情報の時系列の進行が停止した時期によって適切に把握される。また、医療従事者は、疾患経緯情報の時系列の進行が停止しているか否かによって、疾患に対する診療が継続しているか否かを判断することも可能である。
【0075】
図7図9に示す例では、CPU12は、関連疾患経緯情報(図7図9では併発白内障の疾患経緯情報)の時系列の進行を停止させる場合に、関連疾患経緯情報の時系列を、基疾患の疾患経緯情報(図7図9ではブドウ膜炎の疾患経緯情報)の時系列に統合させる。この場合、医療従事者は、基疾患に関連して発生した関連疾患の診療が終了したことを、基疾患の経緯に照らし合わせたうえで適切に把握することができる。また、図7図9には示されていないが、CPU12は、疾患経緯情報の時系列の進行を示すライン等の伸長を停止させることで、時系列の進行を停止させることも可能である。
【0076】
図6の説明に戻る。医療情報のデフォルトのマトリクス表示、および疾患経緯情報の表示が完了すると、CPU12は、関連疾患に関する各種設定指示(例えば、基疾患と関連疾患の対応関係の設定、関連疾患が発生した時期の設定等の少なくともいずれかの指示)がユーザによって入力されたか否かを判断する(S22)。入力されていなければ(S22:No)、処理はそのままS25へ移行する。関連疾患に関する設定指示が入力されると(S22:YES)、CPU12は、ユーザによって入力された指示に応じて、関連疾患経緯情報の表示設定を行う。例えば、基疾患と関連疾患の対応関係の設定指示が入力されると、CPU12は、基疾患の疾患経緯情報から、関連疾患の疾患経緯情報を分岐させて表示させる処理を実行する。また、関連疾患が発生した時期の設定指示が入力されると、CPU12は、基疾患の疾患経緯情報から関連疾患の疾患経緯情報を分岐させる時期を、指示された時期に設定する。
【0077】
次いで、CPU12は、特定の疾患に対する診療を終了する設定指示がユーザによって入力されたか否かを判断する(S25)。入力されていなければ(S25:No)、処理はそのままS5へ移行する。特定の疾患に対する診療を終了する設定指示が入力されると(S25:YES)、CPU12は、指示された疾患に関する疾患経緯情報の時系列の進行を停止させる時系列進行停止処理を実行する(S26)。前述したように、S26では、指示された疾患が関連疾患である場合には、CPU12は、関連疾患経緯情報の時系列を、基疾患の疾患経緯情報の時系列に統合させる処理を実行する。なお、CPU12は、疾患に関する医療情報に基づいて、疾患に対する診療が終了した時期を自動的に取得して、疾患経緯情報の時系列の進行を停止させてもよい。
【0078】
次いで、CPU12は、複数の表示ルールの中の少なくとも1つが指定されたか否かを判断する(S5)。第2実施形態では、複数の疾患の各々に対応させて表示させた複数の表示ルール選択部32のうち、ユーザが所望する表示ルール選択部32内のチェックボックスにチェックが入れられることで、表示ルールが指定される。複数の表示ルールの少なくとも1つが指定(選択)されると(S5:YES)、CPU12は、指定された表示ルールを、表示情報調整処理を行うための表示ルールとして設定する(S6)。CPU12は、設定した表示ルールに従って、表示情報調整処理(つまり、対象患者についての複数種類の医療情報に対する、種類の絞り込み処理、および表示順の決定処理の少なくともいずれか)を実行する(S12)。CPU12は、表示情報調整処理の結果に従って、複数種類の医療情報をマトリクス状に表示させる(S13)。
【0079】
図8は、図7に示すデフォルトの表示状態(ブドウ膜炎および併発白内障の両方の医療情報をマトリクス状に表示させる状態)から、関連疾患である併発白内障に対応する表示ルールに従って医療情報のマトリクス表示が変更された画面の一例を示す図である。図8に示す例では、複数種類の医療情報の中から、併発白内障の診療における重要度が高い複数の医療情報が絞り込まれると共に、併発白内障の診療における重要度が高い順に、複数種類の医療情報が上から順に並べられて、マトリクス表示部30に表示されている。
【0080】
次いで、CPU12は、複数の医療情報のマトリクス表示部30(図7および図8参照)と、時期毎表示部43(図9参照)の表示を、ユーザによって入力される指示に応じて切り換える処理を実行する(S28)。以下、図9を参照して、第2実施形態における時期毎表示部43について説明する。第2実施形態では、CPU12は、疾患経緯情報40の時系列が示す時期毎に、対応する時期における1つまたは複数の医療情報を、時期毎表示部43に表示させることができる。図9に示す時期毎表示部43では、疾患経緯情報40の時系列が示す時期毎に、医療情報に含まれる主訴、所見、評価、および計画が表示されている。従って、医療従事者は、疾患経緯情報40の時系列に応じて、対応する時期における対象患者の医療情報を順次把握することができる。
【0081】
また、本実施形態では、医療情報が取得された複数の時期のうちの少なくともいずれかを指定する指示がユーザによって入力されると、CPU12は、指定された時期に取得された医療情報を、詳細表示部45に纏めて表示させることができる。図9に示す例では、診療日「2021.4.1」がユーザによって指定されているので、CPU12は、「2021.4.1」に取得された医療情報を、詳細表示部45に表示させている。この場合、医療従事者は、複数の医療情報を時系列に応じて把握しつつ、指定した時期の医療情報の詳細を適切に確認することができる。よって、患者の診療の効率および精度がさらに向上し易くなる。
【0082】
(第2実施形態)
図10図13を参照して、第3実施形態の医療情報処理装置10が実行する医療情報処理について説明する。第3実施形態の医療情報処理(図10参照)では、複数種類の医療情報がマトリクス状に表示されると共に、値が増減し得る少なくとも一部の種類の医療情報について、時期の経過に伴う値の推移を示す値推移情報が、マトリクス表示と共に表示部17に表示される。医療情報処理は、記憶装置13に記憶された医療情報処理プログラムに従って、医療情報処理装置10のCPU12によって実行される。なお、第3実施形態における医療情報処理の少なくとも一部のステップには、前述した第1実施形態および第2実施形態における医療情報処理のステップと同様の処理を採用することも可能である。従って、第1実施形態および第2実施形態におけるステップと同様の処理を採用できるステップについては、第1実施形態および第2実施形態と同じステップ番号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0083】
図10に示すように、CPU33は、医療情報処理を開始すると、医療情報を処理する対象の患者(対象患者)を特定する指示が入力されたか否かを判断する(S1)。対象患者を特定する指示が入力されていなければ(S1:NO)、S1の処理が繰り返されて待機状態となる。対象患者を特定する指示が入力されると(S1:YES)、CPU12は、入力された指示に応じて、医療情報の処理対象の患者を特定する(S2)。次いで、CPU12は、デフォルトの表示ルールに従って、対象患者に関する複数の医療情報(一例として、本実施形態のS3では対象患者の全ての医療情報)の表示順を決定し、決定した表示順に従って、複数の医療情報をマトリクス状に表示部17に表示させる(S3)。
【0084】
第3実施形態のS3の処理によって表示されるマトリクス表示部30の表示例を、図11図13に示す。第3実施形態のマトリクス表示部30においても、第1実施形態および第2実施形態と同様に、縦列および横列の一方の列に、複数種類の医療情報が表示順に従って並べられ、且つ、他方の列に、各々の種類の医療情報が時系列に沿って並べられて表示される。また、ユーザは、操作部16を操作して、眼選択部31の「右眼」または「左眼」を選択することで、マトリクス表示部30に医療情報を表示させる眼を、右眼と左眼で切り換えることができる。なお、第3実施形態においても、第1実施形態および第2実施形態と同様に、設定された表示ルールに従った表示情報調整処理が実行されたうえで、複数種類の医療情報がマトリクス状に表示されてもよい。
【0085】
次いで、CPU12は、値が増減し得る少なくとも一部の医療情報についての差分情報を、マトリクス表示部30に付加させて表示させる(S31)。差分情報とは、少なくとも一部の医療情報の値について、前回取得された同一種類の医療情報の値に対する差分、および、基準値に対する差分の少なくともいずれかを示す情報である。差分情報は、時期の経過に伴う医療情報の値の推移を示す値推移情報の一例である。第3実施形態によると、医療従事者は、複数種類の医療情報をマトリクス表示部30によって把握しつつ、医療情報の値の推移を、マトリクス表示部30に付加された差分情報によって適切に把握することができる。
【0086】
図11図13に示す例では、マトリクス表示部30に表示されている医療情報のうち、値が増減し得る医療情報である「視力」「眼圧」「眼軸長」の各々の値に対し、前回取得された同一種類の医療情報の値に対する差分を示す差分アイコン51が、差分情報として付加表示される。差分アイコン51の具体的な表示態様は適宜選択できる。図11図13に示す例では、CPU12は、前回の値に対して値が高い場合には上向きの矢印を表示し、値が低い場合には下向きの矢印を表示し、値が同じである場合には横向き(図11図13では右向き)の矢印を表示する。なお、差分が大きい程、多くの矢印が表示されている。詳細には、差分が閾値以上であれば矢印が2つ表示され、差分が閾値未満であれば矢印が1つ表示される。なお、差分の大きさに応じて矢印の大きさを変化させることも可能である。
【0087】
また、図11図13に示す例では、マトリクス表示部30に表示されている医療情報の値のうち、基準値に対する差分がプラスである眼軸長の値(図11図13では、基準値である18mmHgよりも大きい眼圧の値)に対し、値が基準値よりも大きいことを示す差分情報が、枠内の色の変化(図11図13では斜線で表示)によって付加表示されている。この場合、医療従事者は、マトリクス表示部30における枠内の色を確認することで、各値が基準値よりも大きいか否かを容易に把握することが可能である。
【0088】
図10の説明に戻る。CPU12は、グラフ60の表示切換指示がユーザによって入力されたか否かを判断する(S32)。本実施形態のグラフ60は、少なくとも一部の医療情報の値を図式化したものである。グラフ60は、時期の経過に伴う医療情報の値の推移を示す値推移情報の一例である。表示切換指示が入力されていなければ(S32:NO)、処理はそのままS35へ移行する。ユーザが操作部16を操作することで、グラフ60の表示切換指示が入力されると(S32:YES)、CPU12は、入力された指示に応じてグラフ60の表示を切り替える処理を実行する(S33)。
【0089】
例えば、ユーザは、操作部16を操作することで、複数種類の医療情報のうち、グラフ60を確認したい医療情報の種類を、マトリクス表示部30上で指定することができる。図11図13の例では、マトリクス表示部30上で「眼圧」が指定されることで、眼圧の枠(デフォルトでは、複数の値の全てを含む枠の全体)が、指定枠53として太枠で示されている。マトリクス表示部30上で医療情報の種類が指定されると(32:YES)、CPU12は、指定された医療情報の値の推移を示すグラフ60を表示部17に表示させる。図11図13の例では、ユーザによって指定された「眼圧」のグラフ60が、マトリクス表示部30と共に表示部17に表示されている。本実施形態によると、医療従事者は、複数種類の医療情報をマトリクス表示部30上で把握したうえで、値の推移を確認したい医療情報をそのままマトリクス表示部30上で指定することで、指定した医療情報のグラフ60を確認することができる。なお、ユーザが、グラフを表示させる医療情報の指定を変更すると(つまり、指定枠53を他の医療情報の枠に変更すると)、CPU12は、グラフ60の表示を、変更された医療情報のグラフに切り換える。
【0090】
また、ユーザは、操作部16を操作することで、グラフ60の表示および非表示を切り替える指示を入力することができる。グラフ60を非表示とする指示が入力されると(S32:YES)、CPU12は、表示部17におけるグラフ60の表示を終了させる。
【0091】
次いで、CPU12は、グラフ60を表示させる時期の範囲がマトリクス表示部30上で指定されたか否かを判断する(S35)。本実施形態では、ユーザは、操作部16を操作し、指定枠53に含める時期の範囲を指定(変更)することで、グラフ60を表示させる時期の範囲をマトリクス表示部30上で指定することができる。時期の範囲が指定されていなければ(S35:NO)、処理はそのままS38へ移行する。時期の範囲が指定されると(S35:YES)、CPU12は、マトリクス表示部30上で指定された時期の範囲内における医療情報の値の推移を示すグラフ60を、表示部17に表示させる(S36)。従って、医療従事者は、複数種類の医療情報が示されたマトリクス表示部30上で、時期の範囲を指定することで、指定した時期の範囲内における医療情報のグラフ60を確認することができる。図12は、図11に示す表示状態から、グラフ60の表示時期の範囲がマトリクス表示部30上で変更(指定)された場合の画面の一例を示す。図12に示す例では、グラフ60の表示時期の範囲が、全体から一部に変更されている。その結果、指定された一部の時期についてのグラフ60が表示部17に表示されている。
【0092】
次いで、CPU12は、表示されているグラフ60上で特定の値がユーザによって指定されたか否かを判断する(S38)。本実施形態では、ユーザは、操作部16を操作し、図13に示すポインタを特定に値に移動させてクリックすることで、グラフ60上の特定の値を指定することができる。特定の値が指定されていなければ(S38:NO)、処理はそのままS16へ移行する。グラフ60上で特定の値が指定されると(S38:YES)、CPU12は、マトリクス表示部30において表示された複数の値のうち、グラフ60上で指定された値を明示する処理を実行する(S39)。従って、医療従事者は、グラフ60上で特定の値を指定するだけで、指定した値をマトリクス表示部30上で容易に確認することができる。例えば、グラフ60上で指定した値と、同一の時期に取得された他の種類の医療情報を、マトリクス表示部30上で比較して診療を行うことも可能である。図13は、図11に示す表示状態から、グラフ60上の特定の値(2012年6月15日に取得された右眼の眼圧の値)が指定された場合の画面の一例を示す。図13に示す例では、グラフ60上で指定された値が、マトリクス表示部30上で太枠63によって明示されている。その結果、グラフ60上で指定された値がマトリクス表示部30上で容易に把握される。
【0093】
上記実施形態で開示された技術は一例に過ぎない。従って、上記実施形態で例示された技術を変更することも可能である。まず、上記実施形態で例示された技術の一部のみを実行することも可能である。例えば、第3実施形態では、グラフ60および差分情報(差分アイコン51)の一方のみが、値推移情報として表示部17に表示されてもよい。また、第1実施形態~第3実施形態で例示した技術のうち、異なる実施形態で例示した複数の技術を組み合わせることも可能である。例えば、第2実施形態で例示した疾患経緯情報と、第3実施形態で例示した値推移情報(グラフ60および差分情報の少なくともいずれか)を、共に表示部17に表示させてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 医療情報処理装置
12 CPU
13 記憶装置
16 操作部
17 表示部
30 マトリクス表示部
32 表示ルール選択部
40 疾患経緯情報
41 イベントアイコン
43 時期毎表示部
51 差分アイコン
60 グラフ
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13