(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110548
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 71/60 20230101AFI20240808BHJP
H10K 50/88 20230101ALI20240808BHJP
H10K 71/70 20230101ALI20240808BHJP
H10K 50/84 20230101ALI20240808BHJP
H10K 59/131 20230101ALI20240808BHJP
H10K 59/179 20230101ALI20240808BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240808BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H10K71/60
H10K50/88
H10K71/70
H10K50/84
H10K59/131
H10K59/179
G09F9/00 338
G09F9/30 330
G09F9/30 348A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015173
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 想
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 昌
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107DD38
3K107DD92
3K107DD95
3K107DD96
3K107GG12
3K107GG56
5C094AA42
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA15
5C094DB03
5C094EA03
5C094FB02
5C094FB15
5C094GB10
5C094HA05
5C094HA08
5G435AA17
5G435BB05
5G435CC09
5G435HH14
5G435HH20
5G435KK05
5G435KK10
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL08
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】製造歩留まりを向上する。
【解決手段】一実施形態によれば、表示装置の製造方法は、下電極と、給電端子と、実装端子と、を覆う無機絶縁層を形成し、無機絶縁層の上に形成した第1レジストをマスクとしてエッチングを行い無機絶縁層に給電端子を露出する第1開口を形成し、第1レジストを除去した後に、表示領域において無機絶縁層の上に位置するとともに周辺領域において第1開口を介して給電端子に接触する隔壁を形成し、無機絶縁層及び隔壁の上に形成した第2レジストをマスクとしてエッチングを行い無機絶縁層に下電極を露出する第2開口を形成し、第2レジストを除去した後に、隔壁をマスクとして第1材料を蒸着して第2開口を介して下電極に接触する有機層を形成し、隔壁をマスクとして第2材料を蒸着して有機層を覆い隔壁の下部に接触する上電極を形成する。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域に位置する下電極と、前記表示領域の外側の周辺領域に位置する給電端子と、信号源を実装するための実装端子と、を覆う無機絶縁層を形成し、
前記無機絶縁層の上に形成した第1レジストをマスクとしてエッチングを行い、前記無機絶縁層に前記給電端子を露出する第1開口を形成し、
前記第1レジストを除去した後に、前記表示領域において前記無機絶縁層の上に位置するとともに前記周辺領域において前記第1開口を介して前記給電端子に接触する導電性の下部と、前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁を形成し、
前記無機絶縁層及び前記隔壁の上に形成した第2レジストをマスクとしてエッチングを行い、前記無機絶縁層に前記下電極を露出する第2開口を形成し、
前記第2レジストを除去した後に、前記隔壁をマスクとして第1材料を蒸着して、前記第2開口を介して前記下電極に接触する有機層を形成し、
前記隔壁をマスクとして第2材料を蒸着して、前記有機層を覆い、前記隔壁の前記下部に接触する上電極を形成する、
表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2レジストをマスクとしてエッチングを行う工程では、さらに、前記無機絶縁層に前記実装端子を露出する第3開口を形成する、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記無機絶縁層は、検査プローブを接続するための検査端子を覆い、
前記第2レジストをマスクとしてエッチングを行う工程では、さらに、前記無機絶縁層に前記検査端子を露出する第4開口を形成する、
請求項2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2レジストを除去した後であって、前記有機層を形成する前に、さらに、
前記第2開口から露出した前記下電極を覆うとともに前記無機絶縁層及び前記隔壁の上に形成した第3レジストをマスクとしてエッチングを行い、前記無機絶縁層に前記実装端子を露出する第3開口を形成する、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記無機絶縁層は、検査プローブを接続するための検査端子を覆い、
前記第3レジストをマスクとしてエッチングを行う工程では、さらに、前記無機絶縁層に前記検査端子を露出する第4開口を形成する、
請求項4に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2レジストをマスクとしてエッチングを行う工程では、さらに、前記実装端子に重畳する前記無機絶縁層の一部を除去し、
前記第2レジストを除去した後であって、前記有機層を形成する前に、さらに、
前記第2開口から露出した前記下電極を覆うとともに前記無機絶縁層及び前記隔壁の上に形成した第3レジストをマスクとしてエッチングを行い、前記無機絶縁層に前記実装端子を露出する第3開口を形成する、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記無機絶縁層は、検査プローブを接続するための検査端子を覆い、
前記第2レジストをマスクとしてエッチングを行う工程では、さらに、前記検査端子に重畳する前記無機絶縁層の一部を除去し、
前記第3レジストをマスクとしてエッチングを行う工程では、さらに、前記無機絶縁層に前記検査端子を露出する第4開口を形成する、
請求項6に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記無機絶縁層は、シリコン酸窒化物(SiON)で形成する、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
基板と、
前記基板の上方において、表示領域及び前記表示領域の外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、
前記表示領域において前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
前記周辺領域において前記有機絶縁層の上に配置された給電端子と、
前記周辺領域において前記有機絶縁層の第1貫通孔から露出する実装端子と、
前記有機絶縁層の上において、前記表示領域及び前記周辺領域に亘って配置され、前記給電端子を露出する第1開口と、前記下電極を露出する第2開口と、前記実装端子を露出する第3開口と、を有する無機絶縁層と、
前記無機絶縁層の上に配置され前記第1開口を介して前記給電端子に接触する導電性の下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、
前記第2開口を介して前記下電極に接触する有機層と、
前記有機層を覆い、前記隔壁の前記下部に接触する上電極と、
を備える表示装置。
【請求項10】
さらに、
前記周辺領域において前記有機絶縁層の第2貫通孔から露出する検査端子を備え、
前記無機絶縁層は、前記検査端子を露出する第4開口を有している、
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記下電極及び前記給電端子は、互いに同一材料で形成され、
前記実装端子及び前記検査端子は、互いに同一材料で形成され、前記下電極とは異なる材料で形成されている、
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記無機絶縁層は、シリコン酸窒化物(SiON)で形成されている、
請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、薄膜トランジスタを含む画素回路と、画素回路に接続された下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極と、を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。
このような表示素子を製造する過程において、製造歩留まりを向上する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、製造歩留まりを向上することが可能な表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置の製造方法は、
表示領域に位置する下電極と、前記表示領域の外側の周辺領域に位置する給電端子と、信号源を実装するための実装端子と、を覆う無機絶縁層を形成し、前記無機絶縁層の上に形成した第1レジストをマスクとしてエッチングを行い、前記無機絶縁層に前記給電端子を露出する第1開口を形成し、前記第1レジストを除去した後に、前記表示領域において前記無機絶縁層の上に位置するとともに前記周辺領域において前記第1開口を介して前記給電端子に接触する導電性の下部と、前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁を形成し、前記無機絶縁層及び前記隔壁の上に形成した第2レジストをマスクとしてエッチングを行い、前記無機絶縁層に前記下電極を露出する第2開口を形成し、前記第2レジストを除去した後に、前記隔壁をマスクとして第1材料を蒸着して、前記第2開口を介して前記下電極に接触する有機層を形成し、前記隔壁をマスクとして第2材料を蒸着して、前記有機層を覆い、前記隔壁の前記下部に接触する上電極を形成する。
【0006】
一実施形態によれば、表示装置は、
基板と、前記基板の上方において、表示領域及び前記表示領域の外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、前記表示領域において前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、前記周辺領域において前記有機絶縁層の上に配置された給電端子と、前記周辺領域において前記有機絶縁層の第1貫通孔から露出する実装端子と、前記有機絶縁層の上において、前記表示領域及び前記周辺領域に亘って配置され、前記給電端子を露出する第1開口と、前記下電極を露出する第2開口と、前記実装端子を露出する第3開口と、を有する無機絶縁層と、前記無機絶縁層の上に配置され前記第1開口を介して前記給電端子に接触する導電性の下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、前記第2開口を介して前記下電極に接触する有機層と、前記有機層を覆い、前記隔壁の前記下部に接触する上電極と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
【
図7】
図7は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図8】
図8は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図12】
図12は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図13】
図13は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図14】
図14は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図15】
図15は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図16】
図16は、第1製造方法のステップST11を説明するための図である。
【
図17】
図17は、第1製造方法のステップST12を説明するための図である。
【
図18】
図18は、第1製造方法のステップST13を説明するための図である。
【
図19】
図19は、第1製造方法のステップST14を説明するための図である。
【
図20】
図20は、
図18に示したステップST13において、実装部MP及び検査部TPに隔壁6を形成するための材料CDの一部が残留した状態を示している。
【
図21】
図21は、第2製造方法のステップST21を説明するための図である。
【
図22】
図22は、第2製造方法のステップST22を説明するための図である。
【
図23】
図23は、第3製造方法のステップST31を説明するための図である。
【
図24】
図24は、第3製造方法のステップST32を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面で構成要素を見ることを平面視という。
【0010】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0011】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAよりも外側の周辺領域SAと、を有する表示パネルPNLを備えている。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、第1色の副画素SP1、第2色の副画素SP2、及び、第3色の副画素SP3を含む。第1色、第2色、及び、第3色は、互いに異なる色である。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0014】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0015】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20のアノードに接続されている。
【0016】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えてもよい。
【0017】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)であり、有機EL素子と称する場合がある。
【0018】
周辺領域SAは、給電部PPと、実装部MPと、検査部TPと、を備えている。
給電部PPは、表示素子20のカソードと電気的に接続される給電端子を備えている。
実装部MPは、ICチップやフレキシブルプリント回路基板などの信号源を接続するための実装端子を備えている。
検査部TPは、検査プローブを接続するための検査端子を備えている。
なお、給電端子、実装端子、及び、検査端子の詳細については後述する。
また、検査部TPは、省略してもよい。
【0019】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図2の例においては、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに並んでいる。副画素SP1及び副画素SP2が第1方向Xに並び、副画素SP1及び副画素SP3が第1方向Xに並んでいる。
【0020】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0021】
なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは
図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0022】
表示領域DAには、無機絶縁層5及び隔壁6が配置されている。無機絶縁層5は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ開口AP1,AP2,AP3を有している。
隔壁6は、平面視において無機絶縁層5と重なっている。隔壁6は、開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状に形成されている。隔壁6は、無機絶縁層5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において開口を有するということもできる。
【0023】
副画素SP1,SP2,SP3は、表示素子20として、それぞれ表示素子201,202,203を備えている。
【0024】
副画素SP1の表示素子201は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1、及び、有機層OR1を備えている。下電極LE1の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。有機層OR1及び上電極UE1は、隔壁6で囲まれている。有機層OR1及び上電極UE1のそれぞれの周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR1は、例えば青波長域の光を放つ発光層を含む。
副画素SP2の表示素子202は、開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2、及び、有機層OR2を備えている。下電極LE2の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。有機層OR2及び上電極UE2は、隔壁6で囲まれている。有機層OR2及び上電極UE2のそれぞれの周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR2は、例えば緑波長域の光を放つ発光層を含む。
副画素SP3の表示素子203は、開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3、及び、有機層OR3を備えている。下電極LE3の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。有機層OR3及び上電極UE3は、隔壁6で囲まれている。有機層OR3及び上電極UE3のそれぞれの周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR3は、例えば赤波長域の光を放つ発光層を含む。
【0025】
図2の例においては、下電極LE1、LE2、LE3の外形は点線で示し、有機層OR1、OR2、OR3、及び、上電極UE1、UE2、UE3の外形は一点鎖線で示している。なお、図示した下電極、有機層、上電極のそれぞれの外形は、正確な形状を反映したものとは限らない。
【0026】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、表示素子のアノードに相当する。上電極UE1、UE2、UE3は、表示素子のカソード、あるいは、共通電極に相当する。
【0027】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1(
図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0028】
図2の例においては、開口AP1の面積、開口AP2の面積、及び、開口AP3の面積は、互いに異なる。開口AP1の面積が開口AP2の面積よりも大きく、開口AP2の面積が開口AP3の面積よりも大きい。換言すると、開口AP1から露出した下電極LE1の面積は開口AP2から露出した下電極LE2の面積よりも大きく、開口AP2から露出した下電極LE2の面積は開口AP3から露出した下電極LE3の面積よりも大きい。
【0029】
図3は、
図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
回路層11は、基板10の上に配置されている。回路層11は、
図1に示した画素回路1などの各種回路と、走査線GL、信号線SL、電源線PLなどの各種配線と、を含む。回路層11は、有機絶縁層12により覆われている。有機絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する。
【0030】
下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12の上に配置され、互いに離間している。無機絶縁層5は、有機絶縁層12及び下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。無機絶縁層5の開口AP1は下電極LE1に重なり、開口AP2は下電極LE2に重なり、開口AP3は下電極LE3に重なっている。下電極LE1,LE2,LE3の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE1,LE2,LE3のうち、互いに隣接する下電極の間では、有機絶縁層12が無機絶縁層5により覆われている。下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12に設けられたコンタクトホールを通じて副画素SP1,SP2,SP3のそれぞれの画素回路1に接続されている。なお、有機絶縁層12のコンタクトホールは、
図3では省略するが、
図2のCH1、CH2、CH3に相当する。
【0031】
隔壁6は、無機絶縁層5の上に配置された導電性を有する下部(茎)61と、下部61の上に配置された上部(笠)62と、を含む。図の右側に示した隔壁6の下部61は、開口AP1と開口AP2との間に位置している。図の左側に示した隔壁6の下部61は、開口AP2と開口AP3との間に位置している。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。上部62の両端部は、下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0032】
有機層OR1は、開口AP1を通じて下電極LE1に接触し、開口AP1から露出した下電極LE1を覆うとともに、その周縁部が無機絶縁層5の上に位置している。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部61に接触している。
【0033】
有機層OR2は、開口AP2を通じて下電極LE2に接触し、開口AP2から露出した下電極LE2を覆うとともに、その周縁部が無機絶縁層5の上に位置している。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下部61に接触している。
【0034】
有機層OR3は、開口AP3を通じて下電極LE3に接触し、開口AP3から露出した下電極LE3を覆うとともに、その周縁部が無機絶縁層5の上に位置している。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下部61に接触している。
【0035】
図3の例においては、副画素SP1はキャップ層CP1及び封止層SE1を有し、副画素SP2はキャップ層CP2及び封止層SE2を有し、副画素SP3はキャップ層CP3及び封止層SE3を有している。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3から放たれた光の取り出し効率を向上させる光学調整層としての役割を有している。
【0036】
キャップ層CP1は、上電極UE1の上に配置されている。
キャップ層CP2は、上電極UE2の上に配置されている。
キャップ層CP3は、上電極UE3の上に配置されている。
【0037】
封止層SE1は、キャップ層CP1の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP1の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE2は、キャップ層CP2の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP2の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE3は、キャップ層CP3の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP3の各部材を連続的に覆っている。
【0038】
図3の例においては、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部は、副画素SP1の周囲の隔壁6の上に位置している。これらの部分は、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のうち開口AP1に位置する部分(表示素子201を構成する部分)から離間している。
同様に、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のそれぞれの一部は、副画素SP2の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のうち開口AP2に位置する部分(表示素子202を構成する部分)から離間している。
同様に、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のそれぞれの一部は、副画素SP3の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のうち開口AP3に位置する部分(表示素子203を構成する部分)から離間している。
【0039】
封止層SE1,SE2,SE3の端部は、隔壁6の上に位置している。
図3の例においては、副画素SP1,SP2間の隔壁6の上に位置する封止層SE1,SE2の端部同士が離間し、副画素SP2,SP3間の隔壁6の上に位置する封止層SE2,SE3の端部同士が離間している。
【0040】
封止層SE1,SE2,SE3は、樹脂層13によって覆われている。樹脂層13は、封止層14によって覆われている。封止層14は、樹脂層15によって覆われている。
【0041】
無機絶縁層5は、例えば、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al2O3)などの無機絶縁材料で形成されている。
【0042】
封止層SE1,SE2,SE3、及び、封止層14は、例えばシリコン窒化物(SiNx)で形成されている。なお、封止層SE1,SE2,SE3、及び、封止層14は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)または酸化アルミニウム(Al2O3)などの他の無機絶縁材料で形成されてもよい。
【0043】
一例では、無機絶縁層5は、封止層SE1,SE2,SE3とは異なる材料で形成されている。なお、無機絶縁層5が封止層SE1,SE2,SE3と同一材料で形成されている場合がありうる。
【0044】
隔壁6の下部61は、導電材料で形成され、上電極UE1,UE2,UE3と電気的に接続されている。隔壁6の上部62は、例えば導電材料によって形成されているが、絶縁材料で形成されもよい。下部61は、上部62とは異なる材料で形成されている。
【0045】
下電極LE1,LE2,LE3は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)などの酸化物導電材料で形成された透明電極と、銀などの金属材料で形成された金属電極とを含む多層体である。
【0046】
有機層OR1は、発光層EM1を含む。有機層OR2は、発光層EM2を含む。有機層OR3は、発光層EM3を含む。発光層EM1、発光層EM2、及び、発光層EM3は、互いに異なる材料で形成されている。一例では、発光層EM1は、青波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM2は、緑波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM3は、赤波長域の光を放つ材料によって形成されている。
また、有機層OR1,OR2,OR3の各々は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの複数の機能層を含む。
【0047】
上電極UE1,UE2,UE3は、例えば、マグネシウム及び銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。
【0048】
キャップ層CP1、CP2、CP3は、複数の薄膜の多層体である。複数の薄膜は、いずれも透明であり、しかも、互いに異なる屈折率を有している。
【0049】
なお、
図3に示した回路層11、有機絶縁層12、及び、無機絶縁層5は、表示領域DA及び周辺領域SAに亘って配置されている。また、隔壁6は、表示領域DAから周辺領域SAに延出している。
【0050】
図4は、給電部PPを示す断面図である。
給電部PPは、
図1に示したように、周辺領域SAに設けられている。
【0051】
給電部PPは、給電端子PTを備えている。給電端子PTは、有機絶縁層12の上に配置されている。給電端子PTは、表示素子のカソードにコモン電圧を供給するための端子である。給電端子PTは、例えば、
図3に示した下電極LE1、LE2、LE3と同一材料で形成されている。給電端子PTの周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。
無機絶縁層5は、給電端子PTを露出する開口AP10を有している。
【0052】
隔壁6は、無機絶縁層5の上に配置され、給電部PPに延出している。給電部PPにおいて、隔壁6の下部61は、開口AP10を介して給電端子PTの接触している。これにより、表示領域DAの上電極UE1、UE2、UE3は、隔壁6を介して給電端子PTと電気的に接続される。上電極UE1、UE2、UE3には、給電端子PTからコモン電圧が供給される。
【0053】
図5は、実装部MPを示す断面図である。
実装部MPは、
図1に示したように、周辺領域SAに設けられている。
【0054】
実装部MPは、実装端子MTを備えている。実装端子MTは、回路層11に含まれる絶縁層の上に配置されている。実装端子MTは、例えば、
図3に示した下電極LE1、LE2、LE3とは異なる金属材料で形成されている。一例では、実装端子MTは、モリブデン層及びアルミニウム層の積層体、あるいは、チタン層及びアルミニウム層の積層体として形成されている。実装端子MTの周縁部は、有機絶縁層12で覆われている。
有機絶縁層12は、実装端子MTを露出する開口AP11を有している。
無機絶縁層5は、有機絶縁層12の上に配置され、実装端子MTを露出する開口AP12を有している。
【0055】
図6は、検査部TPを示す断面図である。
検査部TPは、
図1に示したように、周辺領域SAに設けられている。
【0056】
回路層11は、導電層CL1及びCL2と、無機絶縁層111及び112と、有機絶縁層113と、を有している。
導電層CL1は、
図1に示した走査線GLを形成する導電層であり、基板10の上方に配置されている。導電層CL1は、例えば、モリブデン及びタングステンの合金で形成されている。無機絶縁層111は、導電層CL1を覆っている。
導電層CL2は、
図1に示した信号線SLを形成する導電層であり、無機絶縁層111の上に配置されている。導電層CL2は、例えば、モリブデン層及びアルミニウム層の積層体、あるいは、チタン層及びアルミニウム層の積層体として形成されている。無機絶縁層112は、無機絶縁層111の上に配置され、導電層CL2の周縁部を覆っている。無機絶縁層112は、導電層CL2を露出する開口AP21を有している。有機絶縁層113は、無機絶縁層112の上に配置され、導電層CL2を露出する開口AP22を有している。
【0057】
検査部TPは、検査端子TTを備えている。検査端子TTは、有機絶縁層113の上に配置され、開口AP22を介して導電層CL2に接触している。検査端子TTは、例えば、
図3に示した下電極LE1、LE2、LE3とは異なる金属材料で形成され、
図5に示した実装端子MTと同一材料で形成されている。一例では、検査端子TTは、モリブデン層及びアルミニウム層の積層体、あるいは、チタン層及びアルミニウム層の積層体として形成されている。検査端子TTの周縁部は、有機絶縁層12で覆われている。
有機絶縁層12は、検査端子TTを露出する開口AP23を有している。
無機絶縁層5は、有機絶縁層12の上に配置され、検査端子TTを露出する開口AP24を有している。
【0058】
本明細書において、例えば、給電部PPに形成された無機絶縁層5の開口AP10は第1開口に相当し、表示領域DAに形成された無機絶縁層5の開口AP1、AP2、AP3は第2開口に相当し、実装部MPに形成された無機絶縁層5の開口AP12は第3開口に相当し、検査部TPに形成された無機絶縁層5の開口AP24は第4開口に相当する。また、実装部MPに形成された有機絶縁層12の開口AP11は第1貫通孔に相当し、検査部TPに形成された有機絶縁層12の開口AP23は第2貫通孔に相当する。
【0059】
次に、
図7乃至
図15を参照して、表示装置DSPの製造方法について説明する。なお、
図7乃至
図15においては、有機絶縁層12よりも下方の図示を省略している。
【0060】
まず、
図7に示すように、有機絶縁層12の上に、副画素SP1の下電極LE1、副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3を形成する。
その後、無機絶縁材料を堆積して、下電極LE1、LE2、LE3を覆う無機絶縁層5を形成する。ここでは、無機絶縁材料として、例えば、シリコン酸窒化物(SiON)が適用される。無機絶縁層5は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)により形成される。無機絶縁層5は、表示領域DAのみならず周辺領域SAにも形成される。
【0061】
続いて、
図8に示すように、無機絶縁層5の上に位置し導電材料で形成された下部61と、下部61の上に位置し下部61の側面から突出した上部62と、を有する隔壁6を形成する。
【0062】
隔壁6を形成する工程は、まず、無機絶縁層5の上に、導電層を含む第1層を形成した後に、第1層の上に第2層を形成する。第1層の導電層は、アルミニウムなどの導電材料で形成する。第2層は、導電材料で形成してもよいし、絶縁材料で形成してもよい。
その後、第2層の上に位置する所定の形状のレジストをマスクとしてエッチングを行うことにより、第2層及び第1層を順にパターニングする。これにより、隔壁6が形成される。隔壁6の下部61は、第1層をパターニングすることで形成され、上部62は、第2層をパターニングすることで形成される。
【0063】
続いて、
図9に示すように、無機絶縁層5をパターニングすることにより、下電極LE1を露出する開口AP1、下電極LE2を露出する開口AP2、下電極LE3を露出する開口AP3を形成する。
【0064】
続いて、表示素子201を形成する。
【0065】
まず、
図10に示すように、隔壁6をマスクとして、下電極LE1の上に、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層(EM1)、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などの各層を形成するための材料を順次蒸着して、有機層OR1を形成する。
その後、隔壁6をマスクとして、有機層OR1の上に、マグネシウム及び銀の混合物を蒸着して、上電極UE1を形成する。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部61の側面に接触している。
その後、隔壁6をマスクとして、上電極UE1の上に、高屈折率材料及び低屈折率材料を順に蒸着して、キャップ層CP1を形成する。
その後、キャップ層CP1及び隔壁6を連続的に覆うように、封止層SE1を形成する。
【0066】
有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1は、少なくとも表示領域DAの全体に形成され、副画素SP1だけでなく副画素SP2,SP3にも配置されている。有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、オーバーハング状の隔壁6によって分断される。
【0067】
有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着によって形成される際に、蒸着源から放たれた材料は、上部62によって遮られる。このため、上部62の上には、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部が積層される。上部62の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、下電極LE1の直上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1から離間している。
【0068】
続いて、
図11に示すように、封止層SE1の上に、所定の形状のレジストR1を形成する。レジストR1は、副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部に重なっている。
【0069】
続いて、
図12に示すように、レジストR1をマスクとしてエッチングを行うことにより、レジストR1から露出した封止層SE1、キャップ層CP1、上電極UE1、及び、有機層OR1を順次除去する。これにより、副画素SP2の下電極LE2及び副画素SP3の下電極LE3が露出する。
【0070】
続いて、
図13に示すように、レジストR1を除去する。これにより、副画素SP1に表示素子201が形成される。
【0071】
続いて、
図14に示すように、表示素子202を形成する。表示素子202を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様である。すなわち、下電極LE2の上に、発光層EM2を含む有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2を順に形成する。その後、封止層SE2の上にレジストを形成し、このレジストをマスクとしてエッチングを行うことにより、封止層SE2、キャップ層CP2、上電極UE2、及び、有機層OR2が順次パターニングされる。このパターニングの後、レジストを除去する。これにより、副画素SP2に表示素子202が形成され、副画素SP3の下電極LE3が露出する。
【0072】
続いて、
図15に示すように、表示素子203を形成する。表示素子203を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様である。すなわち、下電極LE3の上に、発光層EM3を含む有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3を順に形成する。その後、封止層SE3の上にレジストを形成し、このレジストをマスクとしてエッチングを行うことにより、封止層SE3、キャップ層CP3、上電極UE3、及び、有機層OR3が順次パターニングされる。このパターニングの後、レジストを除去する。これにより、副画素SP3に表示素子203が形成される。
【0073】
その後、
図3に示した樹脂層13、封止層14、及び、樹脂層15を順に形成する。これにより、表示装置DSPが完成する。なお、以上の製造工程においては、最初に表示素子201が形成され、次に表示素子202が形成され、最後に表示素子203が形成される場合を想定したが、表示素子201,202,203の形成順はこの例に限られない。
【0074】
次に、上記の製造工程のうち、
図7に示した無機絶縁層5を形成する工程から
図9に示した開口AP1、AP2、AP3を形成する工程を通じて、給電部PP、実装部MP、及び、検査部TPを製造するための第1製造方法について説明する。以下の説明で参照する
図16乃至
図24においては、副画素SP、給電部PP、実装部MP、及び、検査部TPのそれぞれの主要部分の断面を示す。なお、副画素SPは、上記の副画素SP1、SP2、SP3のいずれかに相当する。
【0075】
まず、
図16に示すステップST11において、無機絶縁層5を形成する。
図16に示す工程は、
図7に示した無機絶縁層5を形成する工程と同一である。すなわち、この工程では、表示領域に位置する副画素SPの下電極LEのみならず、周辺領域に位置する給電部PPの給電端子PT、実装部MPの実装端子MT、及び、検査部TPの検査端子TTをそれぞれ覆う無機絶縁層5を形成する。無機絶縁層5は、例えば、シリコン酸窒化物で形成する。
【0076】
下電極LEは、上記の下電極LE1、LE2、LE3のいずれかに相当する。下電極LEは、有機絶縁層12に形成されたコンタクトホールCHを介して画素回路に含まれる接続端子CTに接触している。接続端子CTは、実装端子MTなどと同一材料で形成されている。
実装部MPにおいては、無機絶縁層5は、有機絶縁層12を覆うとともに、開口AP11を介して実装端子MTを覆っている。
検査部TPにおいては、無機絶縁層5は、有機絶縁層12を覆うとともに、開口AP23を介して検査端子TTを覆っている。
【0077】
続いて、
図17に示すステップST12において、無機絶縁層5の上に、所定の形状を有するレジストR12を形成した後に、レジストR12をマスクとしてエッチングを行い、無機絶縁層5に、給電端子PTを露出する開口AP10を形成する。この工程では、副画素SP、実装部MP、及び、検査部TPは、レジストR12で覆われている。
図17に示す工程は、
図8に示した隔壁6を形成する工程の前に行う。その後、レジストR12を除去する。
【0078】
続いて、
図18に示すステップST13において、隔壁6を形成する。
図18に示す工程は、
図8に示した隔壁6を形成する工程と同一である。すなわち、無機絶縁層5の上に、導電層を含む第1層を形成した後に、第1層の上に第2層を形成する。その後、第2層及び第1層を順にパターニングする。これにより、副画素SPに隔壁6が形成され、また、給電部PPにおいて開口AP10を介して給電端子PTに接触する隔壁6が形成される。一方で、実装部MP及び検査部TPにおいては、隔壁6を形成するための第1層及び第2層が除去され、無機絶縁層5が露出する。
【0079】
続いて、
図19に示すステップST14において、無機絶縁層5及び隔壁6の上に、所定の形状を有するレジストR14を形成した後に、レジストR14をマスクとしてエッチングを行い、無機絶縁層5に、下電極LEを露出する開口APを形成する。
この工程では、給電部PPは、レジストR14で覆われている。
また、この工程では、実装部MPにおいて、無機絶縁層5に、実装端子MTを露出する開口AP12を形成する。
さらに、この工程では、検査部TPにおいて、無機絶縁層5に、検査端子TTを露出する開口AP24を形成する。
図19に示す工程は、
図9に示した工程と同一である。その後、レジストR14を除去する。
【0080】
以上説明したように、実装端子MTを露出する開口AP12及び検査端子TTを露出する開口AP24は、下電極LEを露出する開口APを形成する工程で、同時に形成される。このため、開口AP、開口AP12、及び、開口AP24を別々に形成する場合と比較して、製造工程を簡素化することができ、製造歩留まりを向上することができる。
【0081】
また、隔壁6を形成する工程では、下電極LE、実装端子MT、及び、検査端子TTはいずれも無機絶縁層5で覆われている。このため、下電極LE、実装端子MT、及び、検査端子TTは、隔壁6の下部61及び上部62をそれぞれ形成するためのエッチングガスあるいはエッチング液に晒されず、隔壁形成工程でダメージを受けることがない。したがって、信頼性の低下を抑制することができる。
【0082】
このような第1製造方法において、レジストR12は第1レジストに相当し、レジストR14は第2レジストに相当する。
【0083】
次に、給電部PP、実装部MP、及び、検査部TPを製造するための第2製造方法について説明する。
【0084】
第2製造方法において、まず、
図16を参照して説明したステップST11を行い、続いて、
図17を参照して説明したステップST12を行い、続いて、
図18を参照して説明したステップST13を行う。ステップST11及びステップST12については、説明を省略する。
【0085】
図20は、
図18に示したステップST13において、実装部MP及び検査部TPに隔壁6を形成するための材料CDの一部が残留した状態を示している。例えば、実装部MPにおいては、有機絶縁層12の開口AP11において大きな段差が形成される。また、検査部TPにおいては、有機絶縁層113の開口AP22及び有機絶縁層12の開口AP23においてさらに大きな段差が形成される。このため、隔壁6を形成するための第1層及び第2層が完全に除去されない場合がありうる。このように大きな段差が形成された領域の第1層及び第2層を完全に除去するためにエッチング条件を変更すると、表示領域における隔壁6が所望のオーバーハング状に形成されないおそれがある。
【0086】
そこで、第2製造方法では、ステップST13に続いて、以下の工程を行う。
【0087】
まず、
図21に示すステップST21において、無機絶縁層5及び隔壁6の上に、所定の形状を有するレジストR21を形成した後に、レジストR21をマスクとしてエッチングを行い、無機絶縁層5に、下電極LEを露出する開口APを形成する。
この工程では、給電部PP、実装部MP、及び、検査部TPは、レジストR21で覆われている。
図21に示す工程は、
図9に示した工程と同一である。その後、レジストR21を除去する。
【0088】
続いて、
図22に示すステップST22において、開口APから露出した下電極LEを覆うとともに、無機絶縁層5及び隔壁6の上に所定の形状を有するレジストR22を形成する。図示した例では、レジストR22は、副画素SPの開口APを塞ぎ、隔壁6を覆い、給電部PPの隔壁6の上に形成されている。その後、レジストR22をマスクとしてエッチングを行い、無機絶縁層5に、実装端子MTを露出する開口AP12を形成する。このとき、実装部MPに残留していた隔壁6の材料(残渣)CDも除去される。
また、この工程では、検査部TPにおいて、無機絶縁層5に、検査端子TTを露出する開口AP24を形成する。このとき、検査部TPに残留していた隔壁6の材料(残渣)CDも除去される。
その後、レジストR22を除去する。
【0089】
以上説明したように、所望の形状の隔壁6を形成するためのエッチング条件を変更することなく、実装部MP及び検査部TPの残渣を確実に除去することができる。そして、実装端子MT及び検査端子TTが十分に露出する。このため、信号源との接続不良や、検査プローブとの接続不良を抑制することができる。
【0090】
また、実装端子MTを露出する開口AP12及び検査端子TTを露出する開口AP24を形成するに際して、副画素SPの開口AP及び隔壁6は、レジストR22で覆われている。このため、下電極LE及び隔壁6は、開口AP12及び開口AP24の形成工程でダメージを受けることがない。したがって、信頼性の低下を抑制することができる。
【0091】
このような第2製造方法において、レジストR12は第1レジストに相当し、レジストR21は第2レジストに相当し、レジストR22は第3レジストに相当する。
【0092】
次に、給電部PP、実装部MP、及び、検査部TPを製造するための第3製造方法について説明する。
【0093】
第3製造方法において、まず、
図16を参照して説明したステップST11を行い、続いて、
図17を参照して説明したステップST12を行い、続いて、
図18を参照して説明したステップST13を行う。ステップST11及びステップST12については、説明を省略する。ステップST13においては、
図20に示したように、実装部MP及び検査部TPに隔壁6を形成するための材料CDの一部が残留している場合を想定する。
【0094】
第3製造方法では、ステップST13に続いて、以下の工程を行う。
【0095】
まず、
図23に示すステップST31において、無機絶縁層5及び隔壁6の上に、所定の形状を有するレジストR31を形成した後に、レジストR31をマスクとしてエッチングを行い、無機絶縁層5に、下電極LEを露出する開口APを形成する。
また、この工程では、実装部MPにおいて、実装端子MTに重畳する無機絶縁層5の一部も除去する。実装部MPに材料CDが残留している場合、実装端子MTに重畳する無機絶縁層5を完全に除去することができない。
さらに、この工程では、検査部TPにおいて、検査端子TTに重畳する無機絶縁層5の一部も除去する。検査部TPに材料CDが残留している場合、検査端子TTに重畳する無機絶縁層5を完全に除去することができない。
なお、この工程では、給電部PPは、レジストR31で覆われている。
図23に示す工程は、
図9に示した工程と同一である。その後、レジストR31を除去する。
【0096】
続いて、
図24に示すステップST32において、開口APから露出した下電極LEを覆うとともに、無機絶縁層5及び隔壁6の上に所定の形状を有するレジストR32を形成する。図示した例では、レジストR32は、副画素SPの開口APを塞ぎ、隔壁6を覆い、給電部PPの隔壁6の上に形成されている。その後、レジストR32をマスクとしてエッチングを行い、無機絶縁層5に、実装端子MTを露出する開口AP12を形成する。このとき、実装部MPに残留していた材料CDも除去される。
また、この工程では、検査部TPにおいて、無機絶縁層5に、検査端子TTを露出する開口AP24を形成する。このとき、検査部TPに残留していた材料CDも除去される。
その後、レジストR32を除去する。
【0097】
以上説明した第3製造方法においても、上記の第2製造方法と同様の効果が得られる。
【0098】
このような第3製造方法において、レジストR12は第1レジストに相当し、レジストR31は第2レジストに相当し、レジストR32は第3レジストに相当する。
【0099】
以上説明したように、本実施形態によれば、製造歩留まりを向上することが可能な表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【0100】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0101】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0102】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0103】
DSP…表示装置
10…基板
5…無機絶縁層 AP、AP1、AP2、AP3…開口
6…隔壁 61…下部 62…上部
12…有機絶縁層
SP1、SP2、SP3…副画素
20、201、202、203…表示素子(有機EL素子)
LE、LE1、LE2、LE3…下電極
UE、UE1、UE2、UE3…上電極
OR、OR1、OR2、OR3…有機層
DA…表示領域 SA…周辺領域