(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110561
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】移動用車
(51)【国際特許分類】
A61H 3/04 20060101AFI20240808BHJP
B62B 3/02 20060101ALI20240808BHJP
B62B 5/06 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A61H3/04
B62B3/02 B
B62B5/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015204
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴大
【テーマコード(参考)】
3D050
4C046
【Fターム(参考)】
3D050AA03
3D050CC05
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG02
3D050JJ07
4C046AA24
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD08
4C046DD27
4C046DD33
4C046DD43
4C046DD46
(57)【要約】
【課題】上下方向に延びる左右一対のフレーム部と、各フレーム部の上端側に架け渡されるように設けられたブレーキレバー又はハンドルフレームである所定部材とを備える移動用車について、各フレーム部を左右に接近させ折り畳み可能にすること。
【解決手段】歩行車10は、左右の各フレーム部11が左右に離間する離間状態と左右に接近する接近状態とに移行可能となっている。歩行車10には、各フレーム部11の上端側に架け渡されるように前方レバー32が設けられている。前方レバー32は、左側のフレーム部11Aに連結された左側レバー部41と、右側のフレーム部11Bに連結された右側レバー部42と、各レバー部41,42を接続する中間レバー部43とを有する。中間レバー部43は、左右方向に展開された展開状態と、左右方向に折り曲げられた折り曲げ状態とに変形可能とされ、その変形により前方レバー32の左右方向の寸法を調整可能となっている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる左右一対のフレーム部を備え、
前記各フレーム部が、左右に離間する離間状態と左右に接近する接近状態とに移行可能となっている移動用車であって、
前記各フレーム部の上端側に架け渡されるように設けられたブレーキレバー又はハンドルフレームである所定部材を備え、
前記所定部材は、左右方向の寸法を調整可能となるように変形又はスライドする中間部分を有している、移動用車。
【請求項2】
前記所定部材は、
前記各フレーム部のうち左側のフレーム部に連結され、前記移行の際、前記左側のフレーム部とともに左右に移動する左側部分と、
前記各フレーム部のうち右側のフレーム部に連結され、前記移行の際、前記右側のフレーム部とともに左右に移動する右側部分と、を有し、
前記中間部分は、前記左側部分と前記右側部分とを接続するとともに、左右方向に展開された展開状態と左右方向に折り曲げられた折り曲げ状態とに変形可能に形成され、
前記中間部分の変形により、前記左側部分と前記右側部分とが互いに離間及び接近することで前記所定部材の前記左右方向の寸法が調整される、請求項1に記載の移動用車。
【請求項3】
前記所定部材は、前記各フレーム部に対して前方又は後方に凸となるように延びており、
前記中間部分は、前記所定部材が凸となる方向とは反対の方向に凸となるよう前記折り曲げ状態とされる、請求項2に記載の移動用車。
【請求項4】
前記所定部材は前記ブレーキレバーであり、
前記ブレーキレバーは、第1方向に向けてブレーキ操作を行うものであり、
前記中間部分は、前記第1方向とは異なる方向に凸となるように前記折り曲げ状態とされる、請求項2又は3に記載の移動用車。
【請求項5】
前記ブレーキレバーは、前記第1方向とは異なる方向である第2方向に向けて車輪の回転をロックするロック操作を行うことが可能であり、
前記中間部分は、前記第2方向とは異なる方向に凸となるように前記折り曲げ状態とされる、請求項4に記載の移動用車。
【請求項6】
前記所定部材は、
前記各フレーム部のうち左側のフレーム部に連結され、前記移行の際、前記左側のフレーム部とともに左右に移動する左側部分と、
前記各フレーム部のうち右側のフレーム部に連結され、前記移行の際、前記右側のフレーム部とともに左右に移動する右側部分と、を有し、
前記中間部分は、前記左側部分と前記右側部分とを接続するとともに前記左側部分及び前記右側部分に対してそれぞれスライド可能に設けられた部分、又は、前記左側部分と前記右側部分とが互いにスライドする部分であり、
前記中間部分のスライドにより、前記左側部分と前記右側部分とが左右方向に相対変位することで、前記所定部材の前記左右方向の寸法が調整される、請求項1に記載の移動用車。
【請求項7】
前記中間部分は、前記左側部分と前記右側部分とを接続するとともに、前記左側部分及び前記右側部分に対してそれぞれスライド可能に設けられており、
前記中間部分のスライドにより、前記左側部分及び前記右側部分が互いに離間及び接近することで、前記所定部材の前記左右方向の寸法が調整される、請求項6に記載の移動用車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動用車に関する。
【背景技術】
【0002】
人や荷物の移動を補助する移動用車としては、例えば高齢者等の歩行を補助する歩行車や、荷物を運ぶ際に用いられるキャリーカート、車椅子、ベビーカー等が知られている。特許文献1には、上下方向に延びる左右一対のフレーム部と、各フレーム部の上端側に架け渡されるように設けられたハンドルフレーム及びブレーキレバーとを備える歩行車が開示されている。この歩行車では、ハンドルフレーム及びブレーキレバーがいずれも一の棒材を用いて形成されている。
【0003】
また、歩行車には、左右に折り畳み可能とされているものがある(例えば、特許文献2参照)。かかる歩行車では、各フレーム部が左右に離間する離間状態と左右に接近する接近状態とに移行可能となっており、各フレーム部が離間状態とされると歩行車が展開状態となり、各フレーム部が接近状態とされると歩行車が折り畳み状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-217154号公報
【特許文献2】特開2002-126023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1の歩行車に、上記特許文献2に開示された折り畳み構造を適用することが考えられる。しかしながら、特許文献1の歩行車では、一の棒材からなるハンドルフレーム及びブレーキレバーが左右の各フレーム部に架け渡されているため、各フレーム部を左右に接近させることが不可能であり、ひいては歩行車を左右に折り畳むことが不可能である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上下方向に延びる左右一対のフレーム部と、各フレーム部の上端側に架け渡されるように設けられたブレーキレバー又はハンドルフレームである所定部材とを備える移動用車について、各フレーム部を左右に接近させ折り畳み可能にすることを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の移動用車は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部を備え、前記各フレーム部が、左右に離間する離間状態と左右に接近する接近状態とに移行可能となっている移動用車であって、前記各フレーム部の上端側に架け渡されるように設けられたブレーキレバー又はハンドルフレームである所定部材を備え、前記所定部材は、左右方向の寸法を調整可能となるように変形又はスライドする中間部分を有している。
【0008】
第1の発明によれば、各フレーム部の上端側に架け渡されるように設けられたブレーキレバー又はハンドルフレームである所定部材を備える。所定部材は、左右方向の寸法を調整可能となるように変形又はスライドする中間部分を有している。かかる構成では、各フレーム部が左右に離間する離間状態にある場合には、所定部材の左右方向の寸法を大きくし、各フレーム部が左右に接近する接近状態にある場合には、所定部材の左右方向の寸法を小さくすることができる。これにより、各フレーム部に所定部材が架け渡された構成において、各フレーム部を左右に接近させ移動用車を折り畳むことが可能となる。
【0009】
第2の発明の移動用車は、第1の発明において、前記所定部材は、前記各フレーム部のうち左側のフレーム部に連結され、前記移行の際、前記左側のフレーム部とともに左右に移動する左側部分と、前記各フレーム部のうち右側のフレーム部に連結され、前記移行の際、前記右側のフレーム部とともに左右に移動する右側部分と、を有し、前記中間部分は、前記左側部分と前記右側部分とを接続するとともに、左右方向に展開された展開状態と左右方向に折り曲げられた折り曲げ状態とに変形可能に形成され、前記中間部分の変形により、前記左側部分と前記右側部分とが互いに離間及び接近することで前記所定部材の前記左右方向の寸法が調整される。
【0010】
第2の発明によれば、所定部材が、左側のフレーム部に連結された左側部分と、右側のフレーム部に連結された右側部分と、左側部分と右側部分とを接続する中間部分とを有している。中間部分は、左右方向に展開された展開状態と、左右方向に折り曲げられた折り曲げ状態とに変形可能とされている。そして、中間部分の上記変形により、左側部分と右側部分とが互いに離間及び接近することで、所定部材の左右方向の寸法が調整されるようになっている。かかる構成では、各フレーム部が接近状態とされた場合に、各フレーム部に連結された左側部分及び右側部分が接近して所定部材の左右方向の寸法が小さくなる。そのため、移動用車を左右に折り畳むことが可能となる。
【0011】
第3の発明の移動用車は、第2の発明において、前記所定部材は、前記各フレーム部に対して前方又は後方に凸となるように延びており、前記中間部分は、前記所定部材が凸となる方向とは反対の方向に凸となるよう前記折り曲げ状態とされる。
【0012】
第3の発明によれば、所定部材が各フレーム部に対して前方又は後方に凸となるように延びている。また、所定部材の中間部分は、所定部材が凸となる方向(以下、凸方向という)とは反対の方向(後方又は前方)に凸となるように折り曲げ状態とされる。この場合、中間部分が折り曲げ状態とされた際に、所定部材がさらに凸方向に突出するのを抑制することができる。これにより、移動用車の折り畳み時に所定部材を前後にコンパクトにすることができる。
【0013】
第4の発明の移動用車は、第2又は第3の発明において、前記所定部材は前記ブレーキレバーであり、前記ブレーキレバーは、第1方向に向けてブレーキ操作を行うものであり、前記中間部分は、前記第1方向とは異なる方向に凸となるように前記折り曲げ状態とされる。
【0014】
第4の発明によれば、ブレーキレバーが第1方向に向けてブレーキ操作される構成にあって、ブレーキレバーの中間部分が第1方向とは異なる方向に凸となるように折り曲げ状態とされる。この場合、ブレーキレバーがブレーキ操作された際に、中間部分が意図せず折り曲げ状態とされるのを抑制でき、ひいては各フレーム部が意図せず接近状態とされ移動用車が折り畳まれてしまうのを抑制できる。
【0015】
第5の発明の移動用車は、第4の発明において、前記ブレーキレバーは、前記第1の側とは異なる側である第2の側に向けて車輪の回転をロックするロック操作を行うことが可能であり、前記中間部分は、前記第2の側とは異なる側に凸となるように前記折り曲げ状態とされる。
【0016】
移動用車には、ブレーキレバーによりブレーキ操作に加え、ロック操作を行えるものがある。第5の発明では、ブレーキレバーが第2方向に向けてロック操作される構成にあって、ブレーキレバーの中間部分が第2方向とは異なる方向に凸となるよう折り曲げ状態とされる。この場合、ブレーキレバーがブレーキ操作された場合だけでなく、ロック操作された際にも、中間部分が意図せず折り曲げ状態とされるのを抑制でき、ひいては移動用車が折り畳まれてしまうのを抑制できる。
【0017】
第6の発明の移動用車は、第1の発明において、前記所定部材は、前記各フレーム部のうち左側のフレーム部に連結され、前記移行の際、前記左側のフレーム部とともに左右に移動する左側部分と、前記各フレーム部のうち右側のフレーム部に連結され、前記移行の際、前記右側のフレーム部とともに左右に移動する右側部分と、を有し、前記中間部分は、前記左側部分と前記右側部分とを接続するとともに前記左側部分及び前記右側部分に対してそれぞれスライド可能に設けられた部分、又は、前記左側部分と前記右側部分とが互いにスライドする部分であり、前記中間部分のスライドにより、前記左側部分と前記右側部分とが左右方向に相対変位することで、前記所定部材の前記左右方向の寸法が調整される。
【0018】
第6の発明によれば、所定部材が、中間部分に加え、左側のフレーム部に連結された左側部分と、右側のフレーム部に連結された右側部分とを有している。また、中間部分は、左側部分及び右側部分に対してそれぞれスライド可能に設けられた部分、又は、左側部分と右側部分とが互いにスライドする部分となっている。そして、中間部分のスライドにより、左側部分と右側部分とが左右方向に相対変位することで、所定部材の左右方向の寸法が調整されるようになっている。かかる構成では、各フレーム部が接近状態とされた場合に、各フレーム部に連結された左側部分及び右側部分が相対変位して所定部材の左右方向の寸法が小さくなる。そのため、移動用車を左右に折り畳むことが可能となる。
【0019】
第7の発明の移動用車は、第6の発明において、前記中間部分は、前記左側部分と前記右側部分とを接続するとともに、前記左側部分及び前記右側部分に対してそれぞれスライド可能に設けられており、前記中間部分のスライドにより、前記左側部分及び前記右側部分が互いに離間及び接近することで、前記所定部材の前記左右方向の寸法が調整される。
【0020】
第7の発明によれば、所定部材が、左側部分、右側部分及び中間部分を有して構成されているため、所定部材を左右対称の形状で形成することが可能となる。これにより、所定部材を両手で扱う際に、左右の違和感なく扱うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1の実施形態において、展開状態における歩行車を斜め前方から見た斜視図。
【
図2】折り畳み状態における歩行車を斜め前方から見た斜視図。
【
図5】フレーム部の上端側に設けられた各部の構成を示す側面図。
【
図6】第2の実施形態において、展開状態における歩行車を斜め前方から見た斜視図。
【
図7】折り畳み状態における歩行車を斜め前方から見た斜視図。
【
図10】他の実施形態における前方レバー周辺を示す平面図であり、(a)が歩行車の展開状態を示し、(b)が歩行車の折り畳み状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
以下に、本発明の移動用車を、高齢者等の歩行を補助する歩行車として具体化した一実施の形態について説明する。本実施形態では、歩行車10が左右方向に展開及び折り畳み可能となっている。
図1及び
図2は、歩行車10を斜め前方から見た斜視図である。
図3及び
図4は、歩行車10を示す平面図である。
図1及び
図3では歩行車10の展開状態を示し、
図2及び
図4では歩行車10の折り畳み状態を示している。なお、以下の説明では、歩行車10を移動させる際の移動方向を前後方向とし、その前後方向に対して直交する方向を左右方向として説明を行う。
【0023】
図1及び
図3に示すように、歩行車10は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部11と、各フレーム部11の下端側に設けられた前輪12及び後輪13とを備える。各フレーム部11は、アルミニウム等の軽金属により形成されている。各フレーム部11は、その下部に設けられ前後方向に延びる下部フレーム15と、下部フレーム15の中間部から上方に延びる縦フレーム16とを有する。各下部フレーム15の前端部に前輪12が取り付けられ、後端部に後輪13が取り付けられている。なお、歩行車10が移動用車に相当する。
【0024】
各フレーム部11は、左右に離間する離間状態(
図1や
図3の状態)と、左右に接近する接近状態(
図2や
図4の状態)とに移行可能となっている。各フレーム部11は、連結部材17を介して互いに連結されている。連結部材17は、X字状をなして交差する一対のリンク部17aを有している。各リンク部17aは、互いの交差部に設けられた軸部17bを介して回動可能に連結されている。軸部17bは前後方向に延びている。各リンク部17aの回動により、連結部材17が左右に展開及び折り畳み変形可能となっている。また、各リンク部17aの両端部はそれぞれ各フレーム部11に連結されている。
【0025】
各フレーム部11が離間状態とされると、連結部材17が左右に展開される。このとき、歩行車10は展開状態(
図1や
図3の状態)とされる。また、各フレーム部11が接近状態とされると、連結部材17が左右に折り畳まれる。このとき、歩行車10は折り畳み状態(
図2や
図4の状態)とされる。
【0026】
各フレーム部11の間には、腰掛け可能な座部18が設けられている。また、座部18の下面側には、物を収容可能な収容かご19が設けられている。座部18と収容かご19とはいずれも可撓性を有するシート材により形成され、各フレーム部11が接近状態とされるとそれに追従して折り畳み変形するようになっている。また、座部18の前方には、物を載せ置くことが可能なトレイ23が設けられている。トレイ23は、各フレーム部11が接近状態にある場合には取り外される。
【0027】
続いて、各フレーム部11の上端側の構成について、
図1及び
図3に加え、
図5を用いながら説明する。
図5は、フレーム部11の上端側に設けられた各部の構成を示す側面図である。
【0028】
図1、
図3及び
図5に示すように、各フレーム部11の縦フレーム16の上端側には、ハンドル21とアームレスト22とが設けられている。ハンドル21は、ユーザが歩行車10を走行させる際に把持する部分である。ハンドル21は、ハンドルフレーム24により構成されている。ハンドルフレーム24はパイプ材からなる。
【0029】
各縦フレーム16の上端部には、ハンドルフレーム24の基端側が挿入された挿入部25が固定されている。挿入部25は、前後方向に延びる円筒状に形成されている。ハンドルフレーム24は、前後方向に延び挿入部25に挿入された基端側部分と、基端側部分よりも前方に延びる先端側部分とを有している。ハンドルフレーム24の先端側部分にはハンドルカバー26が被せられている。この場合、ハンドルフレーム24の先端側部分とハンドルカバー26とによりハンドル21が構成されている。
【0030】
各ハンドル21は、左右方向の内側に向けて延びており、換言すると左右方向において互いに近づく側に延びている。詳しくは、各ハンドル21は、左右方向の内側に向かうほど前方にかつ上方に位置するよう斜めに延びる傾斜部分21aと、傾斜部分21aの先端から左右方向の内側に水平に延びる水平部分21bとを有している(
図5も参照)。
【0031】
アームレスト22は、ユーザが歩行車10を走行させる際に肘を置く部分であり、ハンドル21よりも後方に設けられている。各アームレスト22は、左右方向の内側に延びるように設けられ、換言すると互いに近づく側に延びるように設けられている。また、各アームレスト22は、左右に近接して配置されている。各アームレスト22は、ハンドルフレーム24に取付部28を介して取り付けられている。そのため、アームレスト22は、ハンドルフレーム24と一体に設けられ、ひいてはハンドル21と一体に設けられている。
【0032】
各ハンドルフレーム24は、挿入部25に挿入された基端側部分を回動軸として回動可能となっている。これにより、ハンドルフレーム24と一体に設けられたアームレスト22も回動可能となっている。この場合、各アームレスト22は、フレーム部11の上端側にハンドルフレーム24を介して回動可能に支持された状態となっている。
【0033】
各アームレスト22は、各フレーム部11が左右に離間する離間状態と、左右に接近する接近状態とに移行するのに連動して回動するようになっている。具体的には、各アームレスト22は、各フレーム部11が離間状態にある場合には左右に展開された展開状態(
図1や
図3の状態)とされ、各フレーム部11が接近状態にある場合には上方に凸となるように折り曲げられた形状をなす凸状態(
図2や
図4の状態)とされる。
【0034】
各ハンドル21は、上述のようにアームレスト22と一体に設けられている。そのため、各アームレスト22が展開状態及び凸状態に移行(回動)するのに伴い、各ハンドル21も回動するようになっている。各アームレスト22が展開状態から凸状態に移行すると、各ハンドル21はアームレスト22とともに上方に回動して上向きに突出した状態(
図2や
図4の状態)とされる。
【0035】
各フレーム部11の縦フレーム16の上端部には、樹脂製のケースからなるレバー支持部31が固定されている。各レバー支持部31には、ブレーキ操作を行うための前方レバー32及び後方レバー33が支持されている。前方レバー32はレバー支持部31に対して前方に延びており、後方レバー33はレバー支持部31に対して後方に延びている。
【0036】
前方レバー32は、各レバー支持部31に跨がって左右に延びており、その両端部がそれぞれ各レバー支持部31に取り付けられている。この場合、前方レバー32は、各レバー支持部31に架け渡されて設けられ、ひいては各レバー支持部31を介して各縦フレーム16の上端側に架け渡されて設けられている。また、前方レバー32は、各ハンドル21の下方に跨がって延びている。この場合、前方レバー32は、各レバー支持部31に対して前方(前方向)に凸となるようにアーチ状に延びている。なお、前方レバー32が「ブレーキレバー」及び「所定部材」に相当する。
【0037】
後方レバー33は、各レバー支持部31に対してそれぞれ設けられている。後方レバー33は、前後方向に延びており、その前端部がレバー支持部31に取り付けられている。
【0038】
前方レバー32及び後方レバー33は、レバー支持部31の内部でブレーキワイヤ35と接続されている。ブレーキワイヤ35は、下部フレーム15の後端側に設けられたブレーキ作動部36と接続されている。前方レバー32又は後方レバー33が操作されると、ブレーキ作動部36が作動して後輪13に制動力(ブレーキ力)が付与される。なお、ブレーキワイヤ35は、軟質製のチューブ37内に挿通されている。
【0039】
前方レバー32は、その両端側がそれぞれ各レバー支持部31に回動可能に支持されている。詳しくは、前方レバー32は、左右方向に延びる回動軸34を介して各レバー支持部31に回動可能に支持されている。前方レバー32は、回動軸34を中心として回動することにより、待機位置(
図5の実線参照)と、待機位置よりも上方にあるブレーキ位置(
図5の一点鎖線参照)と、待機位置よりも下方にあるロック位置(
図5の二点鎖線参照)との間で変位可能となっている。
【0040】
前方レバー32が待機位置からブレーキ位置に操作(つまりブレーキ操作)されると、後輪13に制動力が付与される。これにより、後輪13にブレーキがかけられる。また、前方レバー32が待機位置からロック位置に操作(つまりロック操作)されると、ブレーキ操作された場合と同様、後輪13に制動力が付与される。具体的には、前方レバー32がロック操作されると、前方レバー32がロック位置において保持され、後輪13に制動力が継続して付与される。これにより、後輪13にブレーキが継続してかけられ、後輪13がロック状態(回転禁止状態)とされる。なお、後輪13が車輪に相当する。
【0041】
ここで、本実施形態の歩行車10では、前方レバー32が各フレーム部11の上端側に跨がって設けられた構成にあっても、各フレーム部11を左右に接近させ歩行車10を左右に折り畳むことが可能となっている。そこで、以下では、かかる歩行車10の折り畳みを可能とすべく、前方レバー32に設けられた特徴的な構成について説明する。
【0042】
図1,
図3及び
図5に示すように、前方レバー32は、その左側部分を構成する左側レバー部41と、右側部分を構成する右側レバー部42と、中間部分を構成する中間レバー部43とを有している。これら各レバー部41~43はいずれも金属材料又は樹脂材料により棒状に形成されている。また、前方レバー32は、左右対称の形状を有している。
【0043】
左側レバー部41は、各フレーム部11のうち左側のフレーム部11Aに設けられたレバー支持部31に取り付けられている。この場合、左側レバー部41は、左側のフレーム部11Aにレバー支持部31を介して連結されている。左側レバー部41は、レバー支持部31に回動軸34を介して取り付けられたレバー基部41aと、レバー基部41aの先端側に接続されたレバー棒部41bとを有する。レバー棒部41bは、左側のハンドル21の傾斜部分21aに沿って斜めに延びており、つまりは、右側に向かうほど前方にかつ上方に位置するよう斜めに延びている。なお、左側レバー部41が左側部分に相当する。
【0044】
右側レバー部42は、各フレーム部11のうち右側のフレーム部11Bに設けられたレバー支持部31に取り付けられている。この場合、右側レバー部42は、右側のフレーム部11Bにレバー支持部31を介して連結されている。右側レバー部42は、レバー支持部31に回動軸34を介して取り付けられたレバー基部42aと、レバー基部42aの先端側に接続されたレバー棒部42bとを有する。レバー棒部42bは、右側のハンドル21の傾斜部分21aに沿って斜めに延びており、つまりは、左側に向かうほど前方にかつ上方に位置するよう斜めに延びている。なお、右側レバー部42が右側部分に相当する。
【0045】
中間レバー部43は、左側レバー部41と右側レバー部42とを接続している。中間レバー部43は、左右方向に直線状に延びており、その両端部がそれぞれ左側レバー部41の先端部と右側レバー部42の先端部とに接続されている。また、中間レバー部43は、各ハンドル21の水平部分21bに沿って配置されている。なお、中間レバー部43が中間部分に相当する。
【0046】
中間レバー部43は、直線状に延びる一対のリンク44a,44bと、各リンク44a,44bの端部同士を連結する軸部45とを有している。軸部45は、左右方向に対して直交する方向に延びている。本実施形態では、軸部45が上下方向に延びており、詳しくは上方に向けて後方に傾斜する方向に延びている。各リンク44a,44bは、軸部45を中心として回動可能となっている。
【0047】
各リンク44a,44bのうち左側のリンク44aは、軸部45側とは反対側の端部が左側レバー部41に軸部47を介して接続されている。これにより、リンク44aは、左側レバー部41に対して軸部47を中心として回動可能となっている。また、右側のリンク44bは、軸部45側とは反対側の端部が右側レバー部42に軸部48を介して接続されている。これにより、リンク44bは、右側レバー部42に対して軸部48を中心として回動可能となっている。なお、各軸部47,48はいずれも上記の軸部45と同じ方向に延びている。
【0048】
中間レバー部43は、軸部45を中心とした各リンク44a,44bの回動により、各リンク44a,44bが左右直列に配置されることで左右方向に展開される展開状態(
図1や
図3の状態)と、各リンク44a,44bが前後に延びる向きで配置されることで左右方向に折り曲げられる折り曲げ状態(
図2や
図4の状態)とに変形可能となっている。中間レバー部43は、折り曲げ状態において、後方(後方向)に凸となるように折り曲げられる。この場合、中間レバー部43が凸となる方向は、前方レバー32が待機位置からブレーキ位置へとブレーキ操作される際の方向(
図5参照)、つまり上方向とは異なる方向となっている。また、前方レバー32が待機位置からロック位置へとロック操作される際の方向(
図5参照)、つまり下方向とも異なる方向となっている。なお、中間レバー部43には、中間レバー部43が展開状態から反折り曲げ状態側へ変形するのを規制する規制部(図示略)が設けられている。
【0049】
中間レバー部43が展開状態とされている場合には、左側レバー部41と右側レバー部42とが左右に離間し、前方レバー32の左右方向の寸法が大きくなる。
図3では、このときの左右方向の寸法をL1として示している。一方、中間レバー部43が折り曲げ状態とされている場合には、左側レバー部41と右側レバー部42とが左右に接近し、前方レバー32の左右方向の寸法が小さくなる、
図4では、このときの左右方向の寸法をL2として示している。このように、中間レバー部43が展開状態と折り曲げ状態とに変形可能となっていることで、前方レバー32の左右方向の寸法を調整可能となっている。
【0050】
続いて、前方レバー32の作用について説明する。
図1及び
図3に示すように、各フレーム部11が離間状態にある場合には、各フレーム部11に連結された左側レバー部41及び右側レバー部42が互いに離間し、中間レバー部43が展開状態とされる。この場合、前方レバー32の左右方向の寸法が大きくなる。一方、
図2及び
図4に示すように、各フレーム部11が接近状態にある場合には、各フレーム部11に連結された左側レバー部41及び右側レバー部42が互いに接近し、中間レバー部43が折り曲げ状態とされる。この場合、前方レバー32の左右方向の寸法が小さくなる。これにより、前方レバー32が各フレーム部11に架け渡された構成において、歩行車10を左右に折り畳むことが可能となる。
【0051】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0052】
前方レバー32が各フレーム部11に対して前方に凸となるように延びている。それに対して、前方レバー32の中間レバー部43は、後方(前方レバー32が凸となる方向とは反対の方向)に凸となるように折り曲げ状態とされる。この場合、中間レバー部43が折り曲げ状態とされた際に、前方レバー32がさらに前方に突出するのを抑制することができる。これにより、歩行車10の折り畳み時に前方レバー32を前後にコンパクトにすることができる。
【0053】
前方レバー32が上方向(第1方向に相当)に向けてブレーキ操作される構成にあって、前方レバー32の中間レバー部43が上方向とは異なる方向(具体的には後方)に凸となるように折り曲げ状態とされる。この場合、前方レバー32がブレーキ操作された際に、中間レバー部43が意図せず折り曲げ状態とされるのを抑制でき、ひいては各フレーム部11が意図せず接近状態とされ歩行車10が折り畳まれてしまうのを抑制できる。
【0054】
前方レバー32が下方向(第2方向に相当)に向けてロック操作される構成にあって、前方レバー32の中間レバー部43が下方向とは異なる方向(具体的には後方)に凸となるよう折り曲げ状態とされる。この場合、前方レバー32がブレーキ操作された場合だけでなく、ロック操作された際にも、中間レバー部43が意図せず折り曲げ状態とされるのを抑制でき、ひいては歩行車10が折り畳まれてしまうのを抑制できる。
【0055】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、前方レバーの構成が上記第1の実施形態と相違している。そこで、以下では、本実施形態における前方レバーの構成について説明する。
図6及び
図7は、本実施形態の歩行車50を斜め前方から見た斜視図である。
図8及び
図9は、歩行車50を示す平面図である。
図6及び
図8では歩行車50の展開状態を示し、
図7及び
図9では歩行車50の折り畳み状態を示している。なお、以下の説明では、第1の実施形態と共通する構成については、第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を割愛する。
【0056】
図6及び
図8に示すように、本実施形態の歩行車50には、各フレーム部11のレバー支持部31に架け渡されて前方レバー51が設けられている。前方レバー51は、各レバー支持部31に跨がって左右に延びており、その両端部がそれぞれ各レバー支持部31に取り付けられている。この場合、前方レバー51は、各フレーム部11の上端側にレバー支持部31を介して架け渡された状態となっている。また、前方レバー51は、各ハンドル21の下方に跨がって延びている。この場合、前方レバー51は、各レバー支持部31に対して前方に凸となるようアーチ状に延びている。なお、前方レバー51が「ブレーキレバー」及び「所定部材」に相当する。
【0057】
前方レバー51は、その左側部分を構成する左側レバー部52と、右側部分を構成する右側レバー部53と、中間部分を構成する中間レバー部54とを有している。左側レバー部52と右側レバー部53とは左右に離間して配置され、中間レバー部54を介して互いに接続されている。各レバー部52~54はいずれも金属材料又は樹脂材料により棒状に形成されている。また、前方レバー51は、左右対称の形状を有している。なお、左側レバー部52が左側部分に相当し、右側レバー部53が右側部分に相当し、中間レバー部54が中間部分に相当する。
【0058】
左側レバー部52は、左側のフレーム部11Aに設けられたレバー支持部31に取り付けられている。この場合、左側レバー部52は、レバー支持部31を介してフレーム部11Aに連結されている。左側レバー部52は、レバー支持部31に回動軸34を介して取り付けられた基部56と、基部56の先端側に接続された棒状部57と、棒状部57の先端部(基部56側とは反対側の端部)に接続され中間レバー部54が接続される接続部58とを有する。棒状部57は、左側のハンドル21の傾斜部分21aに沿って斜めに延びている。また、接続部58は、中間レバー部54が挿入される挿入部59を有している。挿入部59は、左右方向に延びる筒状に形成されている。
【0059】
右側レバー部53は、右側のフレーム部11Bに設けられたレバー支持部31に取り付けられている。この場合、右側レバー部53は、レバー支持部31を介してフレーム部11Bに連結されている。右側レバー部53は、レバー支持部31に回動軸34を介して取り付けられた基部61と、基部61の先端側に接続された棒状部62と、棒状部62の先端部(基部61側とは反対側の端部)に接続され中間レバー部54が接続される接続部63とを有する。棒状部62は、右側のハンドル21の傾斜部分21aに沿って斜めに延びている。また、接続部63は、中間レバー部54が挿入される挿入部64を有している。挿入部64は、左右方向に延びる筒状に形成されている。
【0060】
中間レバー部54は、左右方向に直線状に延びており、各ハンドル21の水平部分21bに沿って配置されている。中間レバー部54は、その両端側がそれぞれ左側レバー部52の挿入部59と右側レバー部53の挿入部64とに挿入されている。これにより、中間レバー部54は、左側レバー部52(接続部58)と右側レバー部53(接続部63)とにそれぞれ接続されている。また、中間レバー部54は、かかる接続状態(挿入状態)で左側レバー部52及び右側レバー部53に対して左右方向にスライド可能とされている。この場合、中間レバー部54が左側レバー部52及び右側レバー部53に対してスライドすることにより、換言すると左側レバー部52及び右側レバー部53が中間レバー部54に対してスライドすることにより、それら各レバー部52,53が互いに離間及び接近することで(換言すると、各レバー部52,53が左右方向に相対変位することで)、前方レバー51の左右方向の寸法を調整可能となっている。
【0061】
中間レバー部54には、その長手方向の両端部及び中央部にそれぞれ中間レバー部54の径方向に突出する円環状の突出部67a~67cが設けられている。各突出部67a~67cのうち、突出部67aが中間レバー部54の左側端部に配置され、突出部67bが中間レバー部54の右側端部に配置され、突出部67cが中間レバー部54の中央部に配置されている。左側レバー部52の挿入部59は、中間レバー部54が挿入された状態において各突出部67a,67cの間に配置されている。また、右側レバー部53の挿入部64は、中間レバー部54が挿入された状態において各突出部67b,67cの間に配置されている。
【0062】
続いて、前方レバー51の作用について説明する。
図6及び
図8に示すように、各フレーム部11が離間状態にある場合には、各フレーム部11に連結された左側レバー部52及び右側レバー部53が互いに離間し、前方レバー51の左右方向の寸法が大きくなる。このとき、左側レバー部52の挿入部59は中間レバー部54の突出部67aに当接し、右側レバー部53の挿入部64は中間レバー部54の突出部67bに当接する。そのため、左側レバー部52及び右側レバー部53は、互いに離間する側へ変位することが規制される。
【0063】
一方、
図7及び
図9に示すように、各フレーム部11が接近状態にある場合には、各フレーム部11に連結された左側レバー部52及び右側レバー部53が互いに接近し、前方レバー51の左右方向の寸法が小さくなる。これにより、前方レバー51が各フレーム部11に架け渡された構成において、歩行車10を左右に折り畳むことが可能となる。また、このとき、左側レバー部52及び右側レバー部53の各挿入部59,64は中間レバー部54の突出部67cに当接する。そのため、左側レバー部52及び右側レバー部53は、互いに接近する側へ変位することが規制される。
【0064】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0065】
前方レバー51が、左側レバー部52、右側レバー部53及び中間レバー部54を有して構成されているため、前方レバー51を左右対称の形状で形成することが可能となる。これにより、前方レバー51を両手で扱う際に、左右の違和感なく扱うことが可能となる。
【0066】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0067】
(1)上記第2の実施形態では、前方レバー51を、左側レバー部52及び右側レバー部53に加え、これら各レバー部52,53にスライド可能に設けられた中間レバー部54を有して構成したが、これを変更して、前方レバーを、中間レバー部を設けず、左側レバー部と右側レバー部とが互いにスライドする構成としてもよい。その具体例について
図10に示す。
図10は、前方レバー71周辺を示す平面図であり、(a)が歩行車70の展開状態を示し、(b)が歩行車70の折り畳み状態を示している。なお、
図10(a)及び(b)では、ハンドル21等、一部の部材について図示を省略している。
【0068】
図10(a)及び(b)に示すように、本例の歩行車70では、各フレーム部11の上端側に架け渡された前方レバー71が、その左側部分を構成する左側レバー部72と、右側部分を構成する右側レバー部73とを有している。左側レバー部72は、左側のフレーム部11Aに連結され、右側レバー部73は、右側のフレーム部11Bに連結されている。左側レバー部72は、右側に向かうほど前方に位置するよう斜めに延びる傾斜部分75と、傾斜部分75の先端部(前端部)から右側に向けて直線状に延びる直線部分76とを有する。直線部分76は、左右方向に延びる筒状に形成されている。右側レバー部73は、左側に向かうほど前方に位置するように斜めに延びる傾斜部分77と、傾斜部分77の先端部(前端部)から左側に向けて直線状に延びる直線部分78とを有する。直線部分78は、左右方向に延びる棒状に形成されている。
【0069】
左側レバー部72の直線部分76の内側には、右側レバー部73の直線部分78が挿入されている。かかる挿入状態において、各直線部分76,78は互いに接続されており、ひいては左側レバー部72及び右側レバー部73が互いに接続されている。そして、この接続状態で、左側レバー部72と右側レバー部73とは互いに左右にスライド可能となっている。そして、各レバー部72,73のスライドにより、各レバー部72,73が左右方向に相対変位することで、前方レバー71の左右方向の寸法が調整可能とされている。なお、この場合、左側レバー部72及び右側レバー部73において互いにスライドする各直線部分76,78が中間部分に相当する。
【0070】
かかる構成によれば、各フレーム部11が離間状態にある場合には、前方レバー71の左右方向の寸法が大きくなり(
図10(a)参照)、各フレーム部11が接近状態にある場合には、前方レバー71の左右方向の寸法が小さくなる(
図10(b)参照)。これにより、前方レバー71が各フレーム部11に架け渡された構成にあっても、歩行車70を左右に折り畳むことが可能となる。
【0071】
(2)上記第1の実施形態では、中間レバー部43を展開状態と折り畳み状態とに変形可能に形成し、その変形(折り畳み変形)により前方レバー32の左右方向寸法を調整可能としたが、これを変更して、中間レバー部を、左右方向の長さが長くなる伸長状態と左右方向の長さが短くなる収縮状態とに伸縮変形可能に形成し、その伸縮変形により前方レバー32の左右方向寸法を調整可能としてもよい。この場合、例えば、中間レバー部を、蛇腹状のチューブにより左右方向に伸縮可能に形成することが考えられる。
【0072】
(3)上記第1の実施形態では、中間レバー部43が、折り曲げ状態において後方に凸となるように折り曲げられる構成としたが、例えば、中間レバー部43が、折り曲げ状態において上方又は下方に凸となるよう折り曲げられる構成としてもよい。ただし、前方レバー32が上方に向けてブレーキ操作された場合、又は下方に向けてロック操作された場合に、中間レバー部43が意図せず折り曲げ状態とされるのを抑制する上では、上記実施形態のように、中間レバー部43が折り曲げ状態において後方に凸となるよう折り曲げられる構成とするのがよい。
【0073】
(4)上記実施形態では、各フレーム部11の上端側にそれぞれハンドル21が設けられていたが、歩行車によってはハンドル(ハンドルフレーム)が各フレーム部11の上端側に架け渡されて設けられているものがある。かかる歩行車においても、ハンドルフレームが一の棒材により形成されている場合には、各フレーム部11を左右に接近させ歩行車10を折り畳むことが不可能となる。そこで、このような場合に、ハンドルフレームに対して本発明を適用してもよい。
【0074】
例えば、ハンドルフレームを、上記第1の実施形態における前方レバー32と同様、左側のフレーム部11Aに連結された左側部分と、右側のフレーム部11Bに連結された右側部分と、左側部分及び右側部分を接続する中間部分とを有して構成する。そして、中間部分を、左右方向に展開された展開状態と、左右方向に折り曲げられた折り曲げ状態とに変形可能に形成し、その変形によりハンドルフレームの左右方向の寸法を調整可能とすることが考えられる。この場合、各フレーム部11を接近状態とした際に、各フレーム部11に連結された左側部分及び右側部分が左右に接近し、中間部分が折り曲げ状態とされる。そのため、ハンドルフレームが各フレーム部11に架け渡された構成にあっても、各フレーム部11を左右に接近させ折り畳むことが可能となる。なお、この場合、ハンドルフレームが所定部材に相当する。また、ハンドルフレームに、上記第1の実施形態の構成を適用することに代え、上記第2の実施形態の構成(前方レバー51に関する構成)を適用してもよい。
【0075】
(5)各フレーム部11の上端側にハンドルフレームが架け渡された歩行車では、ハンドルフレームが各フレーム部11に対して後方に凸となるようアーチ状に延びている場合がある。そこで、かかるハンドルフレームに上記第1の実施形態の構成(前方レバー32に関する構成)を適用するようにしてもよい。つまり、上記(4)で説明したように、ハンドルフレームを、左側部分と右側部分と中間部分とを有して構成し、中間部分を展開状態と折り曲げ状態とに変形可能に形成するようにしてもよい。この場合、中間部分が、折り曲げ状態において前方に凸となるよう折り曲げられる構成とするのがよい。そうすれば、中間部分が折り曲げ状態とされた際に、ハンドルフレームがさらに後方に突出するのを抑制することができる。そのため、歩行車の折り畳み時にハンドルフレームを前後にコンパクトにすることができる。
【0076】
(6)上記各実施形態では、本発明の移動用車を歩行車10として具体化したが、歩行車10に限らず、例えばシルバーカーやベビーカー、キャリーカート、車椅子等、種々の移動用車に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
10…移動用車としての歩行車、11…フレーム部、32…所定部材及びブレーキレバーとしての前方レバー、41…左側部分としての左側レバー部、42…右側部分としての右側レバー部、43…中間部分としての中間レバー部、50…移動用車としての歩行車、51…所定部材及びブレーキレバーとしての前方レバー、52…左側部分としての左側レバー部、53…右側部分としての右側レバー部、54…中間部分としての中間レバー部。