(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110562
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】編集方法、編集装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/178 20190101AFI20240808BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240808BHJP
F16T 1/48 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G06F16/178
G05B23/02 301Z
G05B23/02 302Z
F16T1/48 C
F16T1/48 D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015207
(22)【出願日】2023-02-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BB13
3C223EA09
3C223FF09
3C223FF17
3C223GG01
3C223HH29
(57)【要約】
【課題】複数の作業者が共用する台帳に、各作業者による台帳の編集内容を適切に反映する。
【解決手段】編集方法は、複数の作業者が共用する台帳を各作業者からの要求に応じて各作業者に送信し、各作業者による編集後の前記台帳である第1台帳を各作業者から取得し、第1台帳を編集した第1作業者に前記台帳を送信してから第1台帳を取得するまでの期間内に、第1作業者とは異なる第2作業者による編集後の第2台帳を取得しなかった場合、前記台帳を第1台帳に置き換え、前記期間内に第2台帳を取得した場合、第2台帳における前記台帳の編集内容と同内容の編集を第1台帳に対して行って、前記台帳を、前記同内容の編集が行われた第1台帳に置き換える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業者が共用する台帳を編集する編集方法であって、
コンピュータが、
各作業者からの要求に応じて前記台帳を各作業者に送信し、
各作業者による編集後の前記台帳である第1台帳を各作業者から取得し、
前記第1台帳を編集した第1作業者に前記台帳を送信してから前記第1台帳を取得するまでの期間内に、前記第1作業者とは異なる第2作業者による編集後の前記台帳である第2台帳を取得しなかった場合、前記台帳を前記第1台帳に置き換え、
前記期間内に前記第2台帳を取得した場合、前記第2台帳における前記台帳の編集内容と同内容の編集を前記第1台帳に対して行って、前記台帳を、前記同内容の編集が行われた前記第1台帳に置き換える、
編集方法。
【請求項2】
前記期間内に前記第2台帳を取得した場合に、前記第1台帳と前記第2台帳との間で同一の編集箇所が存在するときは、前記第1台帳における前記同一の編集箇所に対して、前記同内容の編集を行わない、
請求項1に記載の編集方法。
【請求項3】
前記期間内に前記第2台帳を取得した場合に、前記第1台帳と前記第2台帳との間で同一の編集箇所が存在するときは、前記第1台帳における前記同一の編集箇所に対して前記同内容の編集を行うか否かを前記第1作業者に問い合わせ、前記第1作業者の前記問い合わせに対する回答に基づいて、前記同一の編集箇所に対して前記同内容の編集を行うか否かを決定する、
請求項1に記載の編集方法。
【請求項4】
前記台帳は、前記複数の作業者による診断対象の複数の蒸気トラップに関する情報を管理するものである、
請求項1から3の何れか一項に記載の編集方法。
【請求項5】
複数の作業者が共用する台帳を編集する編集装置であって、
各作業者からの要求に応じて前記台帳を各作業者に送信する送信部と、
各作業者による編集後の前記台帳である第1台帳を各作業者から取得する取得部と、
前記第1台帳を編集した第1作業者に前記台帳を送信してから前記第1台帳を取得するまでの期間内に、前記第1作業者とは異なる第2作業者による編集後の前記台帳である第2台帳を取得しなかった場合、前記台帳を前記第1台帳に置き換え、
前記期間内に前記第2台帳を取得した場合、前記第2台帳における前記台帳の編集内容と同内容の編集を前記第1台帳に対して行って、前記台帳を、前記同内容の編集が行われた前記第1台帳に置き換える置換部と、
を備える編集装置。
【請求項6】
複数の作業者が共用する台帳を編集する編集装置のプログラムであって、
前記編集装置に、
各作業者からの要求に応じて前記台帳を各作業者に送信し、
各作業者による編集後の前記台帳である第1台帳を各作業者から取得し、
前記第1台帳を編集した第1作業者に前記台帳を送信してから前記第1台帳を取得するまでの期間内に、前記第1作業者とは異なる第2作業者による編集後の前記台帳である第2台帳を取得しなかった場合、前記台帳を前記第1台帳に置き換え、
前記期間内に前記第2台帳を取得した場合、前記第2台帳における前記台帳の編集内容と同内容の編集を前記第1台帳に対して行って、前記台帳を、前記同内容の編集が行われた前記第1台帳に置き換える、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の作業者が共用する台帳を編集する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気配管系を備えたプラントにおいては、配管系の適所に設置した蒸気トラップによって、熱交換又は放熱等により生じた復水(ドレン)を配管系の外部に排出している。経年劣化や作動不良等によって蒸気トラップの性能が損なわれると、配管系内の蒸気が蒸気トラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招く。このため、一年に一回等の定期的に、複数の作業者に特許文献1等に開示のような計測診断装置(以降、診断装置)を持参させ、一日で約1000機の蒸気トラップの診断を分担して行っている。
【0003】
具体的には、各作業者は、診断作業の開始前に、パソコン等の情報処理装置及び/又はフラッシュメモリ等を用いて、サーバ装置から診断対象の複数の蒸気トラップに関する情報を管理する台帳をダウンロードし、当該台帳を各自が利用する診断装置に記憶する。各作業者は、診断装置を操作して、当該診断装置に記憶した台帳を参照し、担当の蒸気トラップの設置位置まで移動した後、当該診断装置を用いて当該蒸気トラップの診断を行う。診断装置は、蒸気トラップの振動及び温度を計測し、計測値に基づいて蒸気トラップを診断した結果を、当該診断装置に記憶されている台帳に書き込む。
【0004】
各作業者は、担当の蒸気トラップの診断作業を終了すると、情報処理装置を操作して台帳の編集作業を行う。具体的には、各作業者は、サーバ装置から最新の台帳をダウンロードし、診断装置に記憶されている台帳に書き込まれた担当の蒸気トラップの診断結果を当該最新の台帳に記載する。また、各作業者は、例えば担当の蒸気トラップが撤去されていた等、診断作業で発見した担当の蒸気トラップに関する情報を前記最新の台帳に記載する。各作業者は、台帳の編集を終えると、編集後の台帳をサーバ装置にアップロードし、台帳の編集作業を終了する。これにより、アップロードされた台帳が、サーバ装置において最新の台帳として管理されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、台帳の編集作業には多大な時間を要するため、各作業者に台帳の編集作業を順番に行わせることは困難である。一方で、各作業者に台帳の編集作業を並行して行わせるようにすると、各作業者による台帳の編集内容が、サーバ装置が管理する台帳に適切に反映されない虞がある。
【0007】
例えば、第1作業者が台帳の編集作業を行っている途中で、第1作業者とは異なる第2作業者が、台帳の編集作業を開始し、当該編集作業を終了したとする。この場合、第1作業者が編集する台帳は、第2作業者が編集後の台帳をアップロードする前に、第1作業者がサーバ装置からダウンロードした台帳であるので、第2作業者による台帳の編集内容を含んでいない。このため、第2作業者による台帳の編集作業の終了後、第1作業者が編集後の台帳をサーバ装置にアップロードすると、第2作業者による台帳の編集内容を含んでいない台帳が最新の台帳として管理される虞がある。
【0008】
上記の問題は、複数の作業者による診断対象の複数の蒸気トラップに関する情報を管理する台帳に限らず、例えば、プラントで利用されている複数の機器及び設備に関する情報を管理する台帳等の複数の作業者が共用する台帳を、各作業者に並行して編集させる場合にも生じ得る。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、複数の作業者が共用する台帳に、各作業者による台帳の編集内容を適切に反映することができる編集方法、編集装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る編集方法は、複数の作業者が共用する台帳を編集する編集方法であって、コンピュータが、各作業者からの要求に応じて前記台帳を各作業者に送信し、各作業者による編集後の前記台帳である第1台帳を各作業者から取得し、前記第1台帳を編集した第1作業者に前記台帳を送信してから前記第1台帳を取得するまでの期間内に、前記第1作業者とは異なる第2作業者による編集後の前記台帳である第2台帳を取得しなかった場合、前記台帳を前記第1台帳に置き換え、前記期間内に前記第2台帳を取得した場合、前記第2台帳における前記台帳の編集内容と同内容の編集を前記第1台帳に対して行って、前記台帳を、前記同内容の編集が行われた前記第1台帳に置き換える。
【0011】
本構成では、第1作業者に台帳を送信してから第1台帳を取得するまでの期間内に第2作業者による編集後の第2台帳が取得されなかった場合、台帳が第1台帳に置き換えられる。一方、前記期間内に第2台帳が取得された場合、第2台帳における台帳の編集内容と同内容の編集が第1台帳に対して行われ、台帳が、当該同内容の編集が行われた第1台帳に置き換えられる。
【0012】
このため、本構成によれば、前記期間内に第2台帳が取得されなかった場合、台帳を、第1作業者による台帳の編集内容が反映された台帳に更新することができる。一方、前記期間内に第2台帳が取得された場合、台帳を、第1作業者及び第2作業者のそれぞれによる台帳の編集内容が反映された台帳に更新することができる。このようにして、本構成は、複数の作業者が共用する台帳に、各作業者による台帳の編集内容を適切に反映することができる。
【0013】
上記の編集方法において、前記期間内に前記第2台帳を取得した場合に、前記第1台帳と前記第2台帳との間で同一の編集箇所が存在するときは、前記第1台帳における前記同一の編集箇所に対して、前記同内容の編集を行わなくてもよい。
【0014】
本構成では、前記期間内に第2台帳が取得された場合、第1台帳における、第1台帳と第2台帳との間で同一の編集箇所に対して、第2台帳における台帳の編集内容と同内容の編集が行われない。このため、本構成は、第2作業者よりも後に、第1作業者が当該第2作業者と同一の箇所に対して行った編集の内容が、台帳に反映されなくなる可能性を低減することができる。
【0015】
上記の編集方法において、前記期間内に前記第2台帳を取得した場合に、前記第1台帳と前記第2台帳との間で同一の編集箇所が存在するときは、前記第1台帳における前記同一の編集箇所に対して前記同内容の編集を行うか否かを前記第1作業者に問い合わせ、前記第1作業者の前記問い合わせに対する回答に基づいて、前記同一の編集箇所に対して前記同内容の編集を行うか否かを決定してもよい。
【0016】
本構成によれば、前記期間内に第2台帳を取得した場合に、第1台帳における、第1台帳と第2台帳との間で同一の編集箇所に対して、第2台帳における台帳の編集内容と同内容の編集を行うか否かを、第1作業者に決定させることができる。
【0017】
上記の編集方法において、前記台帳は、前記複数の作業者による診断対象の複数の蒸気トラップに関する情報を管理するものであってもよい。
【0018】
本構成によれば、複数の作業者による診断対象の複数の蒸気トラップに関する情報を管理する台帳に、各作業者による当該台帳の編集内容を適切に反映することができる。
【0019】
本発明の別の一態様に係る編集装置は、複数の作業者が共用する台帳を編集する編集装置であって、各作業者からの要求に応じて前記台帳を各作業者に送信する送信部と、各作業者による編集後の前記台帳である第1台帳を各作業者から取得する取得部と、前記第1台帳を編集した第1作業者に前記台帳を送信してから前記第1台帳を取得するまでの期間内に、前記第1作業者とは異なる第2作業者による編集後の前記台帳である第2台帳を取得しなかった場合、前記台帳を前記第1台帳に置き換え、前記期間内に前記第2台帳を取得した場合、前記第2台帳における前記台帳の編集内容と同内容の編集を前記第1台帳に対して行って、前記台帳を、前記同内容の編集が行われた前記第1台帳に置き換える置換部と、を備える。
【0020】
本構成によれば、上記編集方法と同様の作用効果が得られる。
【0021】
本発明の別の一態様に係るプログラムは、複数の作業者が共用する台帳を編集する編集装置のプログラムであって、前記編集装置に、各作業者からの要求に応じて前記台帳を各作業者に送信し、各作業者による編集後の前記台帳である第1台帳を各作業者から取得し、前記第1台帳を編集した第1作業者に前記台帳を送信してから前記第1台帳を取得するまでの期間内に、前記第1作業者とは異なる第2作業者による編集後の前記台帳である第2台帳を取得しなかった場合、前記台帳を前記第1台帳に置き換え、前記期間内に前記第2台帳を取得した場合、前記第2台帳における前記台帳の編集内容と同内容の編集を前記第1台帳に対して行って、前記台帳を、前記同内容の編集が行われた前記第1台帳に置き換える、処理を実行させる。
【0022】
本構成によれば、上記編集方法と同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、複数の作業者が共用する台帳に、各作業者による台帳の編集内容を適切に反映することができる編集方法、編集装置及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】蒸気トラップ管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】サーバ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】蒸気トラップ管理システムにおける診断作業時の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】蒸気トラップ管理システムにおける編集作業時の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図7】台帳更新処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】複数の作業者による管理台帳の編集作業期間の関係の一例を示す図である。
【
図9】
図8に示すある編集作業期間の後に行われる台帳更新処理に係る管理台帳を示す図である。
【
図10】
図8に示すある編集作業期間の後に行われる台帳更新処理に係る管理台帳を示す図である。
【
図11】
図8に示すある編集作業期間の後に行われる台帳更新処理に係る管理台帳を示す図である。
【
図12】
図8に示すある編集作業期間の後に行われる台帳更新処理に係る管理台帳を示す図である。
【
図13】
図8に示すある編集作業期間の後に行われる台帳更新処理に係る管理台帳を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。尚、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0026】
<システムの構成>
図1は、蒸気トラップ管理システム100の構成を示すブロック図である。蒸気トラップ管理システム100は、診断装置1と、ノートパソコン又はタブレット端末等の情報処理装置2と、クラウドサーバ等のサーバ装置4(編集装置)とを備えている。
【0027】
診断装置1と情報処理装置2とは、Bluetooth(登録商標)等の任意の通信方式によって相互に通信可能である。また、情報処理装置2とサーバ装置4とは、公衆回線網等の任意の通信ネットワーク9を介して、IP等の任意の通信方式によって相互に通信可能である。
【0028】
蒸気配管系を備えたプラントにおいては、配管系内に生じた復水(ドレン)を配管系の外部に排出するために、配管系の適所に複数の蒸気トラップが設置されている。経年劣化又は作動不良等によって蒸気トラップの性能が損なわれると、配管系内の蒸気が蒸気トラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招く。このため、一年に一回等の定期的に、当該複数の蒸気トラップを診断する作業(以降、診断作業)が行われる。尚、当該診断作業は、定期的に限らず、不定期に行われても良い。
【0029】
診断作業は、複数の作業者によって分担して行われる。各作業者は、営業車又は現場事務所等の待機場所に情報処理装置2を保管し、診断装置1のみを携帯して、プラント内を移動することにより、担当の一以上の蒸気トラップを診断装置1によって順次診断する。各蒸気トラップの診断結果は、診断装置1内に保存される。
【0030】
また、サーバ装置4へのアクセス権を有する任意の情報処理装置(図略)は、通信ネットワーク9を介してサーバ装置4にアクセス可能である。これにより、当該情報処理装置において、サーバ装置4が管理している種々の情報を閲覧等することが可能となっている。
【0031】
以下、診断装置1、情報処理装置2及びサーバ装置4の構成について詳述する。
【0032】
<診断装置1の構成>
図2は、診断装置1の構成の一例を示す図である。診断装置1は、測定部12、操作部13、表示部14、記憶部15、通信部16、インターフェイス部17(以降、IF部17)及び制御部11を有している。
【0033】
測定部12は、温度センサ121及び振動センサ122を含む。温度センサ121は、熱電対、増幅回路、及びAD変換回路等を用いて構成されている。作業者が診断装置1の探針(図略)を、測定対象の蒸気トラップ(以降、対象蒸気トラップ)に押し当てることにより、温度センサ121は、対象蒸気トラップの温度を測定し、その測定結果を示す温度データを出力する。振動センサ122は、圧電素子、増幅回路、及びAD変換回路等を用いて構成されている。作業者が上記探針を対象蒸気トラップに押し当てることにより、振動センサ122は、対象蒸気トラップの振動を測定し、その測定結果を示す振動データを出力する。
【0034】
操作部13は、作業者が各種の情報を入力するための操作スイッチ等によって構成されている。表示部14は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成されている。但し、タッチパネル式ディスプレイを使用することにより、操作部13と表示部14とを一体として構成してもよい。
【0035】
記憶部15は、フラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリ等を用いて構成されている。通信部16は、Bluetooth(登録商標)等の任意の通信方式に対応した通信回路を用いて構成され、情報処理装置2等の外部装置と通信を行う。
【0036】
IF部17は、SDカード又はUSBメモリ等のフラッシュメモリ7が着脱自在に接続される入出力端子等によって構成されている。IF部17は、自身にフラッシュメモリ7が接続された状態で、当該フラッシュメモリ7と制御部11との間で情報を入出力する。
【0037】
具体的には、IF部17は、制御部11による制御の下、フラッシュメモリ7に記憶されている情報を読み出し、当該読み出した情報を制御部11に入力する。また、IF部17は、制御部11による制御の下、制御部11から出力された情報を、フラッシュメモリ7に記憶する。
【0038】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等を備えたコンピュータによって構成されている。制御部11は、当該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、取得部111、診断部112及び出力部113を有している。
【0039】
取得部111は、IF部17を介してフラッシュメモリ7から管理台帳52(
図4)を取得し、取得した管理台帳52を記憶部15に記憶する。尚、取得部111は、診断装置1と情報処理装置2とが互いに通信可能な環境下にある場合、通信部16を介して情報処理装置2から管理台帳52を取得し、取得した管理台帳52を記憶部15に記憶する。
【0040】
管理台帳52は、複数の作業者による診断対象の複数の蒸気トラップに関する情報を管理する台帳である。具体的には、管理台帳52には、診断作業で診断する複数の蒸気トラップのそれぞれについて、診断順に、各蒸気トラップの識別情報、位置情報、属性情報、条件情報及び特性情報が記載されている。
【0041】
識別情報は、診断対象の各蒸気トラップを識別する情報である。例えば、識別情報には、各蒸気トラップがプラントで管理する対象の蒸気トラップとして登録された順番を示すトラップナンバーが採用される。例えば、ある蒸気トラップが、プラントで管理する対象の蒸気トラップとして3番目に登録されたとする。この場合、当該蒸気トラップのトラップナンバー「3」が、当該蒸気トラップの識別情報として採用される。
【0042】
位置情報は、各蒸気トラップの設置位置を示す情報である。位置情報には、例えば、プラントを複数のエリアに区画したときの、各蒸気トラップが設置された場所を含むエリアの識別情報が含まれる。また、位置情報には、各エリアを複数行かつ複数列に並ぶ複数のグリッドに分割したときの、各蒸気トラップが設置されているグリッドの行番号及び列番号を示す情報が含まれる。
【0043】
属性情報は、各蒸気トラップの属性を示す情報である。例えば、属性情報には、各蒸気トラップの製造メーカ名、機種名、弁の開閉方式を特定する情報(以降、型式)及び復水の最大排出量を特定する情報(以降、モデル)が含まれる。
【0044】
条件情報は、各蒸気トラップの動作条件を示す情報である。例えば、条件情報には、各蒸気トラップの使用圧力及び設定温度が含まれる。
【0045】
特性情報は、各蒸気トラップの特性を示す情報である。例えば、特性情報には、各蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量と振動値との関係を示す情報(以降、振動特性)及び各蒸気トラップにおける蒸気の漏れ度合を判別するために用いる振動閾値等が含まれる。また、特性情報には、各蒸気トラップの状態を判別するために用いる温度閾値等が含まれる。
【0046】
管理台帳52には、更に、診断作業を行う時期を示す情報(以降、時期情報)が含まれる。時期情報は、例えば、診断作業を行うときの年月日によって表される。ただし、時期情報は、診断作業を行うときの年月日に限らず、更に、午前、午後又は時刻を用いて表されてもよい。
【0047】
診断部112は、記憶部15に記憶されている管理台帳52と、測定部12から入力された対象蒸気トラップの温度データ及び振動データと、に基づいて、対象蒸気トラップの診断を行う。
【0048】
例えば、診断部112は、管理台帳52に含まれている対象蒸気トラップの温度閾値と対象蒸気トラップの温度データとを比較し、管理台帳52に含まれている対象蒸気トラップの振動閾値と対象蒸気トラップの振動データとを比較する。診断部112は、これらの比較の結果に基づいて、対象蒸気トラップが正常状態であるか不良状態であるかを診断する。
【0049】
また、対象蒸気トラップが不良状態の場合、診断部112は、上記比較の結果に基づいて不良の内容を判別する。例えば、不良の内容は、蒸気漏れ、閉塞、排出不良又はその他等である。対象蒸気トラップが蒸気漏れの状態の場合、診断部112は、上記比較の結果に基づいて、対象蒸気トラップの蒸気の漏れ度合を段階的に判別する。例えば、蒸気の漏れ度合は、吹放し、大、中又は小等である。
【0050】
また、診断部112は、対象蒸気トラップの特性情報に含まれる振動特性及び振動データに基づいて、対象蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量を算出する。
【0051】
診断部112は、対象蒸気トラップの診断を終了すると、対象蒸気トラップの診断を行った時期を示す情報(以降、診断時期情報)と対象蒸気トラップの診断結果を示す情報(以降、診断結果情報)とを、記憶部15に記憶されている管理台帳52に記載する。これにより、診断部112は、対象蒸気トラップの診断を終了する度に、記憶部15に記憶されている管理台帳52を更新する。
【0052】
尚、対象蒸気トラップが診断装置1の探針を押し当てることができない位置に設置されていた又は作業者が診断作業の予定時間内に対象蒸気トラップを診断できなかったこと等が原因で、対象蒸気トラップの診断を行えない場合がある。この場合、作業者は、操作部13を用いて、対象蒸気トラップが未診断状態であることを示す情報を入力する。この場合、診断部112は、対象蒸気トラップが未診断状態であることを示す情報を、対象蒸気トラップの診断結果情報として管理台帳52に記載する。
【0053】
また、対象蒸気トラップが撤去され、管理台帳52に含まれる対象蒸気トラップの位置情報が示す位置に設置されていない場合がある。この場合、作業者は、操作部13を用いて、対象蒸気トラップが撤去状態であることを示す情報を入力する。この場合、診断部112は、対象蒸気トラップが撤去状態であることを示す情報を、対象蒸気トラップの診断結果情報として管理台帳52に記載する。
【0054】
また、対象蒸気トラップが設置されている配管が利用されていない又は診断作業時に顧客から対象蒸気トラップの診断を行わないように指示される場合がある。この場合、作業者は、操作部13を用いて、対象蒸気トラップが診断除外状態であることを示す情報を入力する。この場合、診断部112は、対象蒸気トラップが診断除外状態であることを示す情報を、対象蒸気トラップの診断結果情報として管理台帳52に記載する。
【0055】
出力部113は、作業者による操作部13の操作に応じて、記憶部15に記憶されている更新後の管理台帳52を出力する。具体的には、作業者がフラッシュメモリ7をIF部17に接続した場合、出力部113は、記憶部15に記憶されている更新後の管理台帳52をIF部17を介して当該フラッシュメモリ7に記憶する。作業者が診断装置1とともに情報処理装置2を携帯している場合、出力部113は、作業者による操作部13の操作に応じて、更新後の管理台帳52を通信部16を用いて当該情報処理装置2に送信する。
【0056】
<情報処理装置2の構成>
図3は、情報処理装置2の構成の一例を示す図である。情報処理装置2は、操作部23、表示部24、記憶部25、通信部26、IF部27及び制御部21を有している。
【0057】
操作部23は、作業者が各種の情報を入力するためのキーボード又はマウス等によって構成されている。表示部24は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成されている。但し、タッチパネル式ディスプレイを使用することにより、操作部23と表示部24とを一体として構成してもよい。
【0058】
記憶部25は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等の書き換え可能な任意の記憶装置を用いて構成されている。
【0059】
通信部26は、Bluetooth(登録商標)等の任意の通信方式に対応した通信回路を用いて構成されており、診断装置1の通信部16と相互に通信可能である。また、通信部26は、IP等の任意の通信方式に対応した通信回路を用いて構成されており、通信ネットワーク9を介して、サーバ装置4の通信部46と相互に通信可能である。
【0060】
IF部27は、SDカード又はUSBメモリ等のフラッシュメモリ7が着脱自在に接続される入出力端子等によって構成されている。IF部27は、自身にフラッシュメモリ7が接続された状態で、当該フラッシュメモリ7と制御部21との間で情報を入出力する。
【0061】
制御部21は、CPU等を備えたコンピュータによって構成されている。制御部21は、当該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、作成部211、取得部212及び編集部213を有している。
【0062】
作成部211は、作業者による操作部23の操作に応じて管理台帳52を作成する。具体的には、作成部211は、作業者による操作部23の操作に応じて、通信部26を用いて、当該複数の蒸気トラップを管理しているプラントの最新の機器情報51(
図4)をサーバ装置4から取得し、当該機器情報51に基づいて管理台帳52を作成する。
【0063】
プラントの機器情報51とは、当該プラントで管理されている複数の蒸気トラップ及び配管系に関する情報である。プラントの機器情報51には、当該プラントが管理する複数の蒸気トラップのそれぞれの識別情報、位置情報、属性情報、条件情報及び特性情報と、当該機器情報51がサーバ装置4に記憶された時期を示す情報(以降、登録時期情報)と、が含まれる。プラントの最新の機器情報51とは、登録時期情報が示す時期が最も現在に近い当該プラントの機器情報51を示す。
【0064】
作成部211は、取得したプラントの最新の機器情報51から、作業者の操作により指示された、診断対象の複数の蒸気トラップの識別情報、位置情報、属性情報、条件情報及び特性情報を抽出する。以降、蒸気トラップの識別情報、位置情報、属性情報、条件情報及び特性情報を総称する場合、蒸気トラップの管理情報と記載する。
【0065】
作成部211は、抽出した各蒸気トラップの管理情報を、作業者の操作により指示された各蒸気トラップの診断順に並べて記載した管理台帳52を作成する。尚、管理台帳52における各蒸気トラップの管理情報の並び順は、診断順に限らず、例えば、各蒸気トラップの識別情報の降順又は昇順等であっても良い。また、作成部211は、作業者の操作により指示された、診断作業を行う時期を示す時期情報を当該管理台帳52に記載する。
【0066】
作成部211は、作成した管理台帳52を通信部26を用いてサーバ装置4に送信する。尚、サーバ装置4は、当該管理台帳52を、複数の作業者によって共用する台帳として管理する。
【0067】
また、IF部27にフラッシュメモリ7が接続された場合、作成部211は、管理台帳52をIF部27を介してフラッシュメモリ7に記憶する。作業者が、診断作業を開始する前に、当該フラッシュメモリ7を診断装置1のIF部17に接続すると、診断装置1では、取得部111が、当該フラッシュメモリ7に記憶されている管理台帳52をIF部17を介して取得する。これにより、診断装置1において、当該管理台帳52と、測定部12が出力した測定データと、に基づいて、複数の蒸気トラップの診断が行えるようになる。
【0068】
また、診断装置1と情報処理装置2とが互いに通信可能な環境下にある場合、作成部211は、作成した管理台帳52を、通信部26を介して当該診断装置1に送信する。この場合、当該診断装置1では、取得部111が、通信部16が情報処理装置2から受信した管理台帳52を、通信部16から取得する。これにより、診断装置1において、当該管理台帳52と、測定部12が出力した測定データと、に基づいて、複数の蒸気トラップの診断が行えるようになる。
【0069】
取得部212は、作業者による操作部23の操作に応じて、最新の管理台帳52の送信をサーバ装置4に要求し、当該要求に応じてサーバ装置4から返信された最新の管理台帳52を取得する。
【0070】
具体的には、作業者が操作部23を用いて最新の管理台帳52の送信を要求する所定の操作を行った場合、取得部212は、通信部26を用いて、最新の管理台帳52の送信を要求する情報(以降、台帳要求情報)をサーバ装置4に送信する。台帳要求情報には、当該最新の管理台帳52を用いた診断作業が行われる時期を示す情報(以降、使用時期情報)が含まれる。
【0071】
取得部212は、台帳要求情報の送信後、通信部26がサーバ装置4から管理台帳52を受信すると、当該管理台帳52を、サーバ装置4に要求した最新の管理台帳52として通信部26から取得する。
【0072】
また、取得部212は、通信部26が診断装置1から受信した情報を、通信部26から取得する。例えば、通信部26が、診断時期情報及び診断結果情報が記載された更新後の管理台帳52を診断装置1から受信した場合、取得部212は、当該更新後の管理台帳52を通信部26から取得する。
【0073】
また、取得部212は、IF部27にフラッシュメモリ7が接続された状態で、IF部27を介して当該フラッシュメモリ7に記憶されている情報を取得する。例えば、診断装置1において診断時期情報及び診断結果情報が記載された更新後の管理台帳52がフラッシュメモリ7に記憶された後、当該フラッシュメモリ7がIF部27に接続されたとする。この場合、取得部212は、当該フラッシュメモリ7から当該更新後の管理台帳52を取得する。
【0074】
編集部213は、作業者による操作部23の操作に応じて、取得部212が診断装置1から取得した更新後の管理台帳52を参照して、取得部212がサーバ装置4から取得した最新の管理台帳52の編集を行う。
【0075】
尚、最新の管理台帳52の編集には、診断装置1から取得した更新後の管理台帳52に含まれる診断時期情報及び診断結果情報と同内容の情報を、当該最新の管理台帳52に記載することが含まれる。また、最新の管理台帳52の編集には、当該最新の管理台帳52を編集した作業者の識別情報(以降、編集者ID)を、最新の管理台帳52に記載すること等が含まれる。
【0076】
<サーバ装置4の構成>
図4は、サーバ装置4の構成の一例を示す図である。サーバ装置4は、通信部46、記憶部45及び制御部41を有している。
【0077】
通信部46は、IP等の任意の通信方式に対応した通信回路を用いて構成されており、通信ネットワーク9を介して情報処理装置2等の外部装置と通信を行う。
【0078】
記憶部45は、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等の書き換え可能な任意の記憶装置を用いて構成されている。記憶部45には、一以上のプラントのそれぞれの識別情報と対応付けて、各プラントの機器情報51が記憶されている。
【0079】
記憶部45には、一以上の診断作業のそれぞれに対応する管理台帳52が記憶される。診断作業に対応する管理台帳52とは、当該診断作業における診断対象の複数の蒸気トラップに関する情報を管理する台帳であり、当該診断作業を行う複数の作業者によって共用される。
【0080】
制御部41は、CPU等を備えたコンピュータによって構成されている。制御部41は、当該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、登録部411、送信部412、取得部413及び置換部414を有している。
【0081】
登録部411は、新たに作成された管理台帳52を登録する。
【0082】
具体的には、登録部411は、通信部46が情報処理装置2から受信した管理台帳52に診断時期情報及び診断結果情報が含まれていない場合、当該管理台帳52を、新たに作成された管理台帳52として記憶部45に記憶する。
【0083】
送信部412は、情報処理装置2からの要求に応じて、記憶部45に記憶されている管理台帳52を当該情報処理装置2に送信する。
【0084】
具体的には、通信部46が管理台帳52の送信を要求する台帳要求情報を情報処理装置2から受信した場合、送信部412は、記憶部45から、当該台帳要求情報に対応する管理台帳52を取得する。台帳要求情報には、管理台帳52を使用する時期を示す使用時期情報が含まれる。台帳要求情報に対応する管理台帳52とは、当該台帳要求情報に含まれる使用時期情報と同じ時期を示す時期情報を含む管理台帳52である。
【0085】
送信部412は、当該管理台帳52に、当該管理台帳52を送信した時期を示す情報(以降、送信時期情報)として、現在日時を示す情報を記載する。送信部412は、送信時期情報が記載された管理台帳52を、通信部46を用いて当該情報処理装置2に返信する。
【0086】
取得部413は、情報処理装置2において作業者の操作に応じて編集され、サーバ装置4に送信された管理台帳52(以降、第1台帳)を取得する。
【0087】
具体的には、通信部46が診断時期情報及び診断結果情報を含む管理台帳52を情報処理装置2から受信した場合、取得部413は、当該管理台帳52を第1台帳として通信部46から取得する。取得部413は、取得した第1台帳に、当該第1台帳を取得した時期を示す情報(以降、取得時期情報)として、現在日時を示す情報を記載する。取得部413は、取得時期情報が記載された第1台帳を記憶部45に記憶する。
【0088】
置換部414は、取得部413が第1台帳を取得した場合、当該第1台帳に対応する管理台帳52を更新する処理(以降、台帳更新処理)を行う。第1台帳に対応する管理台帳52とは、記憶部45に記憶されている、一以上の診断作業のそれぞれに対応する一以上の管理台帳52のうち、第1台帳と同じ診断作業に対応する管理台帳52である。したがって、第1台帳に対応する管理台帳52は、第1台帳に含まれる時期情報と同じ時期を示す時期情報を含んでいる。台帳更新処理の詳細については後述する。
【0089】
<診断作業の流れ>
次に、診断装置1を用いて複数の蒸気トラップの診断作業を行う場合に、蒸気トラップ管理システム100において行われる処理の流れについて説明する。
図5は、蒸気トラップ管理システム100における診断作業時の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0090】
まず、診断作業の開始前に、当該診断作業の管理者は、情報処理装置2を操作することによって、当該診断作業の対象となる複数の蒸気トラップに関する管理台帳52を作成し、当該管理台帳52をサーバ装置4に登録する。
【0091】
具体的には、
図5に示すように、情報処理装置2において、作成部211は、管理者による操作部23の操作に応じて、診断作業の対象となる複数の蒸気トラップに関する管理台帳52を作成する(ステップS10)。作成部211は、ステップS10で作成した管理台帳52を通信部26を用いてサーバ装置4に送信する(ステップS11)。
【0092】
サーバ装置4において、通信部46がステップS11で送信された管理台帳52を受信すると、管理部411は、当該管理台帳52を新たに作成された管理台帳52として登録する(ステップS12)。これにより、当該管理台帳52が新たに作成された管理台帳52として記憶部45に記憶される。
【0093】
診断作業の対象となる複数の蒸気トラップに関する管理台帳52がサーバ装置4に登録された後、当該診断作業の一以上の作業者は、診断作業の開始前に情報処理装置2を操作して、サーバ装置4に登録された管理台帳52を、各作業者が診断作業に用いる診断装置1の記憶部15に記憶する。尚、この作業は、一以上の作業者が一台の情報処理装置2を順番に操作することで行ってもよいし、複数の作業者が複数の情報処理装置2を並行して操作することで行ってもよい。
【0094】
具体的には、情報処理装置2において、各作業者が操作部23を用いて最新の管理台帳52の送信を要求する所定の操作を行うと、取得部212は、通信部26を用いて、最新の管理台帳52の送信を要求する台帳要求情報をサーバ装置4に送信する(ステップS13)。
【0095】
サーバ装置4において、通信部46が情報処理装置2から台帳要求情報を受信すると、送信部412は、記憶部45から当該台帳要求情報に対応する管理台帳52を取得する。送信部412は、現在日時を示す情報を送信時期情報として当該管理台帳52に記載した後、当該管理台帳52を、通信部46を用いて当該情報処理装置2に返信する(ステップS14)。
【0096】
情報処理装置2において、通信部26が、サーバ装置4が返信した管理台帳52を受信すると、取得部212は、当該管理台帳52を、サーバ装置4に要求した最新の管理台帳52として通信部26から取得する(ステップS15)。
【0097】
次に、作成部211は、作業者による操作部23の操作に応じて、ステップS15で取得された管理台帳52を診断装置1に出力する(ステップS16)。
【0098】
具体的には、作業者によってIF部27にフラッシュメモリ7が接続された場合、ステップS16において、作成部211は、ステップS15で取得された管理台帳52を、IF部27を介してフラッシュメモリ7に記憶する。
【0099】
この場合、作業者は、当該管理台帳52が記憶されたフラッシュメモリ7を、診断装置1のIF部17に接続する。IF部17にフラッシュメモリ7が接続されると、取得部111は、IF部17を介して当該フラッシュメモリ7から管理台帳52を取得し、取得した管理台帳52を記憶部15に記憶する。又は、取得部111は、IF部17にフラッシュメモリ7が接続された状態で、作業者によって操作部13が操作されたことに応じて、IF部17を介して当該フラッシュメモリ7から管理台帳52を取得し、取得した管理台帳52を記憶部15に記憶する(ステップS17)。
【0100】
又は、作業者が診断装置1を携帯している場合、ステップS16において、通信部26は、ステップS15で取得された管理台帳52を当該診断装置1に送信する。この場合、当該診断装置1において、通信部16が通信部26から送信された管理台帳52を受信すると、ステップS17において、取得部111は、通信部16から当該管理台帳52を取得し、当該取得した管理台帳52を記憶部15に記憶する。
【0101】
作業者は、診断作業に用いる診断装置1の記憶部15に管理台帳52を記憶すると、当該診断装置1(及び許可されている場合には情報処理装置2)を携帯してプラント内を移動することにより、診断装置1によって各自が担当する一以上の蒸気トラップを順に診断する(ステップS18)。
【0102】
尚、ステップS18では、作業者による操作部13の操作により、制御部11は、記憶部15に記憶した管理台帳52を表示部14に表示する。これにより、作業者は、担当する一以上の蒸気トラップの診断順と、各蒸気トラップの管理情報(識別情報、位置情報、属性情報及び特性情報)と、を認識することができる。
【0103】
作業者は、表示された管理台帳52から認識できる診断順及び位置情報にしたがって、診断対象の蒸気トラップが設置されている場所に移動する。作業者は、操作部13の操作によって、管理台帳52に含まれている複数の蒸気トラップの中から今回の診断対象である一の蒸気トラップを選択する。これにより、選択された蒸気トラップの識別情報が、操作部13から制御部11に入力される。
【0104】
次に、作業者は、診断装置1の探針(図略)を、診断対象の蒸気トラップ(以降、対象トラップ)に押し当てる。これにより、測定部12から制御部11に対象トラップの測定データ(温度データ及び振動データ)が入力される。診断部112は、管理台帳52から、操作部13から入力された対象トラップの識別情報を含む管理情報を取得する。診断部112は、当該管理情報に含まれる特性情報及び測定部12から入力された測定データに基づいて、対象トラップを診断する。診断部112は、診断の結果を示す診断結果情報を表示部14に表示する。
【0105】
診断部112は、対象トラップの診断を行った時期を示す診断時期情報と対象トラップの診断結果を示す診断結果情報とを、記憶部15に記憶されている管理台帳52に記載することによって、当該管理台帳52を更新する(ステップS19)。
【0106】
<編集作業の流れ>
次に、作業者が診断作業の後、情報処理装置2において最新の管理台帳52の編集作業を行う場合に、蒸気トラップ管理システム100において行われる処理の流れについて説明する。
図6は、蒸気トラップ管理システム100における編集作業時の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0107】
診断作業の各作業者は、担当の一以上の蒸気トラップの診断作業を終了すると、診断装置1のIF部17にフラッシュメモリ7を接続する。IF部17にフラッシュメモリ7が接続されると、出力部113は、記憶部15に記憶されている更新後の管理台帳52を、IF部17を介してフラッシュメモリ7に記憶する。各作業者は、更新後の管理台帳52を記憶しているフラッシュメモリ7を持参して、情報処理装置2において編集作業を行う。又は、診断作業の各作業者は、担当の一以上の蒸気トラップの診断作業を終了すると、当該診断作業に使用した診断装置1を持参して、情報処理装置2において編集作業を行う。尚、この作業は、一以上の作業者が一台の情報処理装置2を順番に操作することで行ってもよいし、複数の作業者が複数の情報処理装置2を並行して操作することで行ってもよい。
【0108】
編集作業では、先ず、作業者は、情報処理装置2を操作して、サーバ装置4から診断作業の対象となる複数の蒸気トラップに関する最新の管理台帳52を取得する。
【0109】
具体的には、
図6に示すように、ステップS13(
図5)と同様に、情報処理装置2において、取得部212は、作業者による操作部23の操作に応じて、最新の管理台帳52の送信を要求する台帳要求情報をサーバ装置4に送信する(ステップS20)。これにより、サーバ装置4において、通信部46が情報処理装置2から当該台帳要求情報を受信したとする。この場合、ステップS14(
図5)と同様に、送信部412は、記憶部45から当該台帳要求情報に対応する管理台帳52を取得し、当該管理台帳52に送信時期情報を記載した後、当該管理台帳52を当該情報処理装置2に返信する(ステップS21)。
【0110】
情報処理装置2において、通信部26が、サーバ装置4が返信した管理台帳52を受信すると、ステップS15(
図5)と同様に、取得部212は、当該管理台帳52を、サーバ装置4に要求した最新の管理台帳52として通信部26から取得する(ステップS22)。
【0111】
次に、作業者は、情報処理装置2を操作して、サーバ装置4から取得した最新の管理台帳52の編集を行う。
【0112】
具体的には、取得部212は、作業者が持参するフラッシュメモリ7又は診断装置1から、ステップS19(
図5)における更新後の管理台帳52を取得する(ステップS23、ステップS24)。
【0113】
作業者が更新後の管理台帳52を記憶したフラッシュメモリ7を持参している場合、作業者は、当該フラッシュメモリ7を情報処理装置2のIF部27に接続する(ステップS23)。IF部27にフラッシュメモリ7が接続されると、取得部212は、IF部27を介して当該フラッシュメモリ7から更新後の管理台帳52を取得する(ステップS24)。
【0114】
作業者が診断装置1を持参している場合、作業者は、診断装置1の操作部13を用いて、記憶部15に記憶されている更新後の管理台帳52を情報処理装置2に送信する所定の操作を行う。当該所定の操作が行われると、出力部113は、記憶部15に記憶されている更新後の管理台帳52を、通信部16を用いて情報処理装置2に送信する(ステップS23)。情報処理装置2において、通信部26が更新後の管理台帳52を受信すると、取得部212は、通信部26から当該更新後の管理台帳52を取得する(ステップS24)。
【0115】
編集部213は、作業者による操作部23の操作に応じて、ステップS24で取得された更新後の管理台帳52を参照して、ステップS22で取得された最新の管理台帳52の編集を行う(ステップS25)。例えば、最新の管理台帳52の編集には、上記のように、更新後の管理台帳52に含まれる診断時期情報及び診断結果情報と同内容の情報を最新の管理台帳52に記載すること、及び、最新の管理台帳52を編集した作業者の識別情報である編集者IDを最新の管理台帳52に記載すること等が含まれる。
【0116】
そして、作業者が操作部23を用いて編集作業を終了する所定の操作を行うと、編集部213は、ステップS25における編集後の管理台帳52を、通信部26を用いてサーバ装置4に送信する(ステップS26)。
【0117】
サーバ装置4では、編集後の管理台帳52を通信部46が受信すると、取得部413は、当該管理台帳52を第1台帳として通信部46から取得する。取得部413は、取得した第1台帳に、当該第1台帳を取得した時期を示す取得時期情報として、現在日時を示す情報を記載する。取得部413は、取得時期情報が記載された第1台帳を記憶部45に記憶する(ステップS27)。ステップS27で取得部413が第1台帳を取得すると、置換部414は、当該第1台帳に対応する管理台帳52を更新する台帳更新処理を行う(ステップS28)。
【0118】
<台帳更新処理の詳細>
次に、ステップS28(
図7)で行われる台帳更新処理の流れについて説明する。
図7は、台帳更新処理の流れを示すフローチャートである。
【0119】
具体的には、置換部414は、台帳更新処理を開始すると、ステップS27(
図7)で取得された第1台帳の編集を行った第1作業者が当該編集を行っていた期間内に、第1作業者とは異なる第2作業者による編集後の管理台帳52(以降、第2台帳)を取得部413が取得したか否かを判定する(ステップS31)。
【0120】
具体的には、ステップS31において、置換部414は、ステップS27(
図7)で取得された第1台帳を記憶部45から取得し、当該第1台帳に記載されている編集者ID、送信時期情報及び取得時期情報を参照する。これにより、置換部414は、当該送信時期情報が示す時期から、当該取得時期情報が示す時期までの期間を、当該編集者IDが示す第1作業者が当該第1台帳の編集を行っていた編集作業期間(以降、第1作業者による編集作業期間)として把握する。
【0121】
置換部414は、把握した第1作業者による編集作業期間内の時期を示す送信時期情報及び取得時期情報と、第1作業者を示す編集者IDとは異なる編集者IDと、が記載されている第1台帳が記憶部45に記憶されている場合、当該第1台帳を第2台帳として把握する。この場合、置換部414は、取得部413が第1作業者による編集作業期間内に第2台帳を取得したと判定する(ステップS31でYES)。
【0122】
この場合(ステップS31でYES)、置換部414は、第2台帳における管理台帳52の編集内容と同内容の編集を、第1台帳に対して行う(ステップS32)。第2台帳における管理台帳52の編集内容とは、第2作業者が情報処理装置2における管理台帳52の編集作業で編集した内容であり、送信部412が第2作業者に送信した管理台帳52と相違する内容である。
【0123】
そして、置換部414は、ステップS32における編集後の第1台帳によって、記憶部45に記憶されている当該第1台帳に対応する管理台帳52を置き換える(ステップS33)。第1台帳に対応する管理台帳52とは、当該第1台帳に記載されている時期情報と同じ時期を示す時期情報が記載されている管理台帳52である。
【0124】
このように、本実施形態の構成によれば、第1作業者による編集作業期間内に第2台帳が取得された場合、第1台帳に対応する管理台帳52を、第1作業者及び第2作業者のそれぞれによる編集内容が反映された管理台帳52に更新することができる。
【0125】
一方、ステップS31において、置換部414は、第1作業者による編集作業期間内の時期を示す送信時期情報及び取得時期情報と、第1作業者を示す編集者IDとは異なる編集者IDと、が記載されている管理台帳52が記憶部45に記憶されていない場合、取得部413が第1作業者による編集作業期間内に第2台帳を取得しなかったと判定する(ステップS31でNO)。
【0126】
この場合(ステップS31でNO)、置換部414は、ステップS32を行わず、ステップS27(
図7)で取得された第1台帳によって、記憶部45に記憶されている当該第1台帳に対応する管理台帳52を置き換える(ステップS33)。
【0127】
このように、本実施形態の構成によれば、第1作業者による編集作業期間内に第2台帳が取得されなかった場合、第1台帳に対応する管理台帳52を、第1作業者による編集内容が反映された管理台帳52に更新することができる。
【0128】
<具体例>
以下では、上記の蒸気トラップ管理システム100において、複数の蒸気トラップの診断作業を行った5人の作業者が、それぞれ、サーバ装置4に登録されている当該複数の蒸気トラップの管理台帳52を更新する具体例について、
図8~
図13を用いて説明する。
【0129】
図8は、5人の作業者による管理台帳52の編集作業期間E0~E4の関係の一例を示す図である。
図8において横軸は時刻を示している。上向き矢印の起点となる時刻t1~t5は、ステップS21(
図6)において、サーバ装置4が各作業者が使用する情報処理装置2へ最新の管理台帳52を送信した時刻を示している。下向き矢印の終点となる時刻t6~t10は、ステップS27(
図6)において、サーバ装置4が各作業者が使用する情報処理装置2から各作業者による編集後の管理台帳52(第1台帳)を取得した時刻を示している。つまり、
図8において、上向き矢印に対応する時刻を開始時刻とし、下向き矢印に対応する時刻を終了時刻とする5つの期間E0~E4は、5人の作業者W0~W4による編集作業期間を示している。
【0130】
作業者W1~W4による編集作業期間E1~E4と、作業者W0による編集作業期間E0と、の関係は、以下の通りとなっている。
・作業者W1による編集作業期間E1は、作業者W0による編集作業期間E0と比べて、開始時刻t2が早く、終了時刻t7も早い。
・作業者W2による編集作業期間E2は、作業者W0による編集作業期間E0と比べて、開始時刻t1が早く、終了時刻t9が遅い。
・作業者W3による編集作業期間E3は、作業者W0による編集作業期間E0と比べて、開始時刻t5が遅く、終了時刻t6は早い。
・作業者W4による編集作業期間E4は、作業者W0による編集作業期間E0と比べて、開始時刻t4が遅く、終了時刻t7は遅い。
【0131】
この場合、各作業者W0~W4による編集作業期間E0~E4の終了時刻t6~t10にステップS27(
図6)が行われることによって第1台帳が取得された後、ステップS28(
図6)の台帳更新処理(
図7)が行われる。
図9~
図13は、
図8に示すある編集作業期間E0~E4の後に行われる台帳更新処理に係る管理台帳52を示す図である。
【0132】
<時刻t6の台帳更新処理>
図9に示すように、作業者W3による編集作業期間E3の終了時刻t6(
図8)に、ステップS27(
図6)において、作業者W3による編集後の管理台帳52である第1台帳WT13が取得されたとする。第1台帳WT13には、作業者W3によって、エリア「A3」に設置されたトラップID「A31」~「A3m」の蒸気トラップの診断結果を示す診断データ「D31」~「D3m」が追記されている。
【0133】
この場合、第1作業者である作業者W3による編集作業期間E3(
図8)内に、作業者W3とは異なる第2作業者による編集後の管理台帳52(第2台帳)は取得されていない。このため、編集作業期間E3の終了時刻t6後に行われる台帳更新処理のステップS31(
図7)では、置換部414は、取得部413が第1作業者による編集作業期間内に第2台帳を取得しなかったと判定する(ステップS31でNO)。
【0134】
したがって、置換部414は、ステップS32を実行せず、
図9に示すように、ステップS33(
図7)において、第1台帳WT13によって、記憶部45に記憶されている管理台帳52を置き換える。
【0135】
<時刻t7の台帳更新処理>
次に、
図10に示すように、作業者W1による編集作業期間E1の終了時刻t7(
図8)に、ステップS27(
図6)において、作業者W1による編集後の管理台帳52である第1台帳WT11が取得されたとする。第1台帳WT11には、作業者W1によって、エリア「A1」に設置されたトラップID「A11」~「A1j」の蒸気トラップの診断結果を示す診断データ「D11」~「D1j」が追記されている。
【0136】
この場合、第1作業者である作業者W1による編集作業期間E1(
図8)内に、作業者W1とは異なる第2作業者W3による編集後の管理台帳52である第2台帳WT13(
図9)が取得されている。このため、編集作業期間E1の終了時刻t7後に行われる台帳更新処理のステップS31(
図7)では、置換部414は、取得部413が第1作業者による編集作業期間内に第2台帳を取得したと判定する(ステップS31でYES)。
【0137】
したがって、置換部414は、ステップS32(
図7)において、
図10に示すように、第2台帳WT13(
図9)における管理台帳52の編集内容と同内容の編集を、第1台帳WT11に対して行う。つまり、置換部414は、第2台帳WT13(
図9)における管理台帳52の編集内容である、エリア「A3」に設置されたトラップID「A31」~「A3m」の蒸気トラップの診断結果を示す診断データ「D31」~「D3m」の追記を、第1台帳WT11に対して行う。そして、置換部414は、ステップS33(
図7)において、ステップS32における編集後の第1台帳WT11aによって、記憶部45に記憶されている管理台帳52を置き換える。
【0138】
<時刻t8の台帳更新処理>
次に、
図11に示すように、作業者W0による編集作業期間E0の終了時刻t8(
図8)に、ステップS27(
図6)において、作業者W0による編集後の管理台帳52である第1台帳WT10が取得されたとする。第1台帳WT10には、作業者W0によって、エリア「A0」に設置されたトラップID「A01」~「A0q」の蒸気トラップの診断結果を示す診断データ「D01」~「D0j」が追記されている。
【0139】
この場合、第1作業者である作業者W0による編集作業期間E0(
図8)内に、作業者W0とは異なる二名の第2作業者W3、W1による編集後の二つの第2台帳WT13(
図9)、WT11(
図10)が取得されている。このため、編集作業期間E0の終了時刻t8後に行われる台帳更新処理のステップS31(
図7)では、置換部414は、取得部413が第1作業者による編集作業期間内に第2台帳を取得したと判定する(ステップS31でYES)。
【0140】
したがって、置換部414は、ステップS32(
図7)において、
図11に示すように、二つの第2台帳WT13(
図9)、WT11(
図10)における管理台帳52の編集内容と同内容の編集を、第1台帳WT10に対して行う。
【0141】
つまり、置換部414は、第2台帳WT13(
図9)における管理台帳52の編集内容である、エリア「A3」に設置されたトラップID「A31」~「A3m」の蒸気トラップの診断結果を示す診断データ「D31」~「D3m」の追記を、第1台帳WT10に対して行う。更に、置換部414は、第2台帳WT11(
図10)における管理台帳52の編集内容である、エリア「A1」に設置されたトラップID「A11」~「A1j」の蒸気トラップの診断結果を示す診断データ「D11」~「D1j」の追記を、第1台帳WT10に対して行う。
【0142】
そして、置換部414は、ステップS33(
図7)において、ステップS32における編集後の第1台帳WT10aによって、記憶部45に記憶されている管理台帳52を置き換える。
【0143】
<時刻t9の台帳更新処理>
次に、
図12に示すように、作業者W2による編集作業期間E2の終了時刻t9(
図8)に、ステップS27(
図6)において、作業者W2による編集後の管理台帳52である第1台帳WT12が取得されたとする。第1台帳WT12には、作業者W2によって、エリア「A2」に設置されたトラップID「A21」~「A2k」の蒸気トラップの診断結果を示す診断データ「D21」~「D2k」が追記されている。
【0144】
この場合、第1作業者である作業者W2による編集作業期間E2(
図8)内に、作業者W2とは異なる三名の第2作業者W3、W1、W0による編集後の三つの第2台帳WT13(
図9)、WT11(
図10)、WT10(
図11)が取得されている。このため、編集作業期間E2の終了時刻t9後に行われる台帳更新処理のステップS31(
図7)では、置換部414は、取得部413が第1作業者による編集作業期間内に第2台帳を取得したと判定する(ステップS31でYES)。
【0145】
したがって、置換部414は、ステップS32(
図7)において、
図12に示すように、三つの第2台帳WT13(
図9)、WT11(
図10)、WT10(
図11)における管理台帳52の編集内容と同内容の編集を、第1台帳WT12に対して行う。そして、置換部414は、ステップS33(
図7)において、ステップS32における編集後の第1台帳WT12aによって、記憶部45に記憶されている管理台帳52を置き換える。
【0146】
<時刻t10の台帳更新処理>
その後、
図13に示すように、作業者W4による編集作業期間E4の終了時刻t10(
図8)に、ステップS27(
図6)において、作業者W4による編集後の管理台帳52である第1台帳WT14が取得されたとする。第1台帳WT14には、作業者W4によって、エリア「A4」に設置されたトラップID「A41」~「A4n」の蒸気トラップの診断結果を示す診断データ「D41」~「D4n」が追記されている。
【0147】
また、作業者W4よりも先に編集作業を終えた作業者W3が、エリア「A3」に設置されたトラップID「A31」の蒸気トラップの診断結果を示す診断データ「D31」に誤りがあることに気づき、作業者W4に、当該診断データ「D31」を他の診断データ「D31a」に修正するように依頼したとする。このため、第1台帳WT14には、作業者W4によって、エリア「A3」に設置されたトラップID「A31」の蒸気トラップの診断結果を示す診断データ「D31a」が追記されている。
【0148】
この場合、第1作業者である作業者W4による編集作業期間E4(
図8)内に、作業者W4とは異なる四名の第2作業者W3、W1、W0、W2による編集後の四つの第2台帳WT13(
図9)、WT11(
図10)、WT10(
図11)、WT12(
図12)が取得されている。このため、編集作業期間E4の終了時刻t10後に行われる台帳更新処理のステップS31(
図7)では、置換部414は、取得部413が第1作業者による編集作業期間内に第2台帳を取得したと判定する(ステップS31でYES)。
【0149】
したがって、置換部414は、ステップS32(
図7)において、
図12に示すように、四つの第2台帳WT13(
図9)、WT11(
図10)、WT10(
図11)、WT12(
図12)における管理台帳52の編集内容と同内容の編集を、第1台帳WT14に対して行う。そして、置換部414は、ステップS33(
図7)において、ステップS32における編集後の第1台帳によって、記憶部45に記憶されている管理台帳52を置き換える。
【0150】
ただし、置換部414は、ステップS32(
図7)において、第1台帳と第2台帳との間で同一の編集箇所が存在するときは、第1台帳における前記同一の編集箇所に対して、第2台帳と同内容の編集を行わないようにしてもよい。
【0151】
例えば、本例では、第1台帳WT14と第2台帳T13(
図9)との間で、エリア「A3」に設置されたトラップID「A31」の蒸気トラップの診断結果を示す診断データの記載欄が同一の編集箇所となっている。このため、
図13に示すように、置換部414は、当該記載欄に対して、第2台帳T13(
図9)と同内容の編集を行わないようにしてもよい。この場合、第2作業者W3よりも後に、第1作業者W4が当該第2作業者W3と同一の箇所に対して行った編集の内容が、管理台帳52に反映されなくなる可能性を低減することができる。
【0152】
又は、置換部414は、ステップS32(
図7)において、第1台帳と第2台帳との間で同一の編集箇所が存在するときは、第1台帳における前記同一の編集箇所に対して第2台帳と同内容の編集を行うか否かを第1作業者に問い合わせるようにしてもよい。そして、置換部414は、当該問い合わせに対する回答に基づいて、第1台帳における前記同一の編集箇所に対して第2台帳と同内容の編集を行うか否かを決定してもよい。
【0153】
例えば、本例では、置換部414が、第1台帳WT14におけるエリア「A3」に設置されたトラップID「A31」の蒸気トラップの診断結果を示す診断データの記載欄に対して、第2台帳WT13(
図9)と同内容の編集(診断データ「D31」の記載)を行うか否かを、第1作業者W4に問い合わせるようにしてもよい。
【0154】
そして、第1作業者W4に前記問い合わせをしてから所定時間が経過するまでの間に、第1作業者W4から第2台帳WT13(
図9)と同内容の編集を行うことを示す回答があった場合、置換部414が、前記記載欄に対して第2台帳WT13(
図9)と同内容の編集(診断データ「D31」の記載)を行うようにしてもよい。
【0155】
一方、第1作業者W4に前記問い合わせをしてから所定時間が経過するまでの間に、第1作業者W4から回答がなかった場合、又は、第2台帳WT13(
図9)と同内容の編集を行わないことを示す回答があった場合には、置換部414が、
図13に示すように、前記記載欄に対して第2台帳WT13(
図9)と同内容の編集(診断データ「D31」の記載)を行わないようにしてもよい。
【0156】
この場合、第1台帳WT14における、第1台帳WT14と第2台帳WT13(
図9)との間で同一の編集箇所に対して、第2台帳WT13(
図9)における台帳の編集内容と同内容の編集を行うか否かを、第1作業者W4に決定させることができる。
【0157】
尚、第1作業者への問い合わせ及びその回答の取得は、例えば以下のようにして実現することができる。各作業者宛にメッセージを送信する際の宛先を示す、各作業者のメールアドレスやSNSアカウント等の宛先情報を記憶部45に予め記憶する。置換部414は、第1作業者の宛先情報を記憶部45から取得し、当該宛先情報が示す宛先に、前記問い合わせの内容を示すメッセージを通信部46を用いて送信する。その後、通信部46が前記メッセージを送信してから所定時間が経過するまでの間に、第1作業者からサーバ装置4に対して回答を示すメッセージを受信すると、置換部414は、当該回答を示すメッセージを通信部46から取得する。
【0158】
また、上記実施形態の構成では、ステップS27(
図6)において第1台帳が取得される度に、当該第1台帳が記憶部45に記憶される。そこで、所定のタイミングで、制御部41が、記憶部45に記憶されている第1台帳を削除するようにしてもよい。これにより、記憶部45において、管理対象の管理台帳52ではなく、管理対象ではない第1台帳を記憶する領域が増大し続けることを回避するようにしてもよい。
【0159】
尚、上記の所定のタイミングは、例えば、管理台帳52に対応する診断作業に係る全ての作業者から第1台帳を取得し、最後の第1台帳を取得した後の台帳更新処理を終了した時点、又は、毎日0時等の定期的なタイミング等に定めることができる。
【0160】
また、上記実施形態では、本発明に係る編集方法によって、複数の作業者による診断対象の複数の蒸気トラップに関する情報を管理する管理台帳52を、当該複数の作業者に並行して編集させる例について説明した。しかし、本編集方法は、例えば、プラントで利用されている複数の機器及び設備に関する情報を管理する台帳等の複数の作業者が共用する台帳を、当該複数の作業者に並行して編集させる場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0161】
4 :サーバ装置(編集装置)
52 :管理台帳(台帳)
412 :送信部
413 :取得部
414 :置換部
E0~E4 :期間
W0~W4 :作業者