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特開2024-110563情報処理プログラム及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110563
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】情報処理プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240808BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240808BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240808BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20240808BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015210
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】518064374
【氏名又は名称】株式会社オプティマインド
(74)【代理人】
【識別番号】100188662
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】柏原 良太
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181MB01
(57)【要約】
【課題】2地点間の車両の走行時間の予測を低負荷かつ高精度に実現すること。
【解決手段】地図情報を予め所定の複数領域に分割して登録する領域登録機能と、所定のタイミング毎に車両からの位置情報を取得する位置情報取得機能と、取得した複数の位置情報のうち1以上の位置情報が所定の登録条件を満たした場合に、当該位置情報をイベントとして登録するイベント登録機能とを実現させ、イベント登録機能は、車両が何れかの領域に侵入したこと、及び、車両が何れかの領域から退出したことを、イベントに関する所定の登録条件として備えるようにした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して車両から取得した位置情報の登録処理をサーバ装置に実現させるための情報処理プログラムであって、
前記サーバ装置に、
地図情報を予め所定の複数領域に分割して登録する領域登録機能と、
所定のタイミング毎に前記車両からの位置情報を取得する位置情報取得機能と、
取得した複数の前記位置情報のうち1以上の前記位置情報が所定の登録条件を満たした場合に、当該位置情報をイベントとして登録するイベント登録機能と
を実現させ、
前記イベント登録機能は、前記車両が何れかの前記領域に侵入したこと、及び、前記車両が何れかの前記領域から退出したことを、前記イベントに関する所定の登録条件として備える
情報処理プログラム。
【請求項2】
前記イベント登録機能は、前記車両が所定時間を超えて駐停車していたことを、前記イベントに関する所定の登録条件として備える
請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記サーバ装置に、
指定された2点間の走行時間の予測要求を取得する走行時間予測要求取得機能と、
前記予測要求に係る2点間の移動において通過する1以上の前記領域を特定し、登録した前記イベントの情報に基づいて各領域の走行時間を算出し、各領域の走行時間の実績に基づいて2点間の走行時間の予測値を算出して予測結果を出力する予測実行機能と
を実現させる請求項1又は請求項2記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
通信ネットワークを介して車両から取得した位置情報の登録処理を行うための情報処理装置であって、
地図情報を予め所定の複数領域に分割して登録する領域登録部と、
所定のタイミング毎に前記車両からの位置情報を取得する位置情報取得部と、
取得した複数の前記位置情報のうち1以上の前記位置情報が所定の登録条件を満たした場合に、当該位置情報をイベントとして登録するイベント登録部と
を備え、
前記イベント登録部は、前記車両が何れかの前記領域に侵入したこと、及び、前記車両が何れかの前記領域から退出したことを、前記イベントに関する所定の登録条件として備える
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2地点間の車両の走行時間の予測を行うための情報処理プログラム及び情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、「組合せ最適化」という分野において、主に「現実社会の問題を組合せ最適化問題にモデル化する」「ある組合せ最適化問題に対する解法を考案する」ということが研究されている。そして、組合せ最適化問題の中に「配送計画問題(VRP:vehicle routing problem)」という問題がある。これは複数の車両と複数の訪問先が入力されたとき、すべての訪問先がいずれかの車両によりちょうど一度ずつ訪問されるような車両のルート(訪問先の順序)の中でルートの長さの総和が最小となるものを求める問題である。何十年も前からVRPに対して現実で現れる制約条件を取り込んだ問題がいくつも提案され、それらに対する近似解法も同時に研究されてきた。またVRPを一般化した問題として「PDP:pickup and delivery problem」という問題がある。これは荷物を積む訪問先とその荷物を降ろす訪問先の組が複数入力されたとき、各組に対して各訪問先を同じ車両が訪れ、さらに積んだあとに降ろすという順序を守った上ですべての訪問先がいずれかの車両によりちょうど一度ずつ訪問されるような車両のルートの中でルートの長さの総和が最小となるものを求める問題である。PDPもVRP同様に現実で現れる制約条件を取り込んだ問題がいくつも提案され、それらに対する近似解法も同時に研究されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、配送先を各車両に振り分けるグルーピング処理とグルーピングで決められた配送先グループを車両がどの順序で巡るかというルートの最適化処理とで決定される配送計画について、複数のグルーピング戦略を用いて複数の配送計画を生成し、その中で最適な配送計画を選択するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-188984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、配送計画を正確に設定するためには、所定の2地点間の車両の走行時間を正確に予測する必要がある。従来、車両が所定時間間隔で取得した複数のGPS情報の軌跡を記録しておき、走行時間の予測要求があった場合に、記録しておいた複数のGPS情報の軌跡に基づいて所定の2地点間の車両の走行時間を予測するようにしていた。この従来手法によっても走行時間の予測がある程度可能であるが、GPSの軌跡を解析する際に、ノイズ要因を除くことが困難であった点である。それ故に、2地点間の車両の走行時間の予実解析の精度が低くなってしまうという問題があった。
【0006】
また、2地点間の車両の走行時間を予測するためには、GPSの軌跡データを最低限のパラメータに変換する必要があるが、GPSデータをそのまま解析する場合は、そのデータの量と種類が膨大であるために、計算処理工程が多くなるだけでなく、結果として算出される解析結果も充分な精度ではないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、2地点間の車両の走行時間の予測を低負荷かつ高精度に実現するための情報処理プログラム及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理プログラムは、通信ネットワークを介して車両から取得した位置情報の登録処理をサーバ装置に実現させるための情報処理プログラムであって、前記サーバ装置に、地図情報を予め所定の複数領域に分割して登録する領域登録機能と、所定のタイミング毎に前記車両からの位置情報を取得する位置情報取得機能と、取得した複数の前記位置情報のうち1以上の前記位置情報が所定の登録条件を満たした場合に、当該位置情報をイベントとして登録するイベント登録機能とを実現させ、前記イベント登録機能は、前記車両が何れかの前記領域に侵入したこと、及び、前記車両が何れかの前記領域から退出したことを、前記イベントに関する所定の登録条件として備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る情報処理プログラムは、前記イベント登録機能は、前記車両が所定時間を超えて駐停車していたことを、前記イベントに関する所定の登録条件として備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る情報処理プログラムは、さらに、前記サーバ装置に、指定された2点間の走行時間の予測要求を取得する走行時間予測要求取得機能と、前記予測要求に係る2点間の移動において通過する1以上の前記領域を特定し、登録した前記イベントの情報に基づいて各領域の走行時間を算出し、各領域の走行時間の実績に基づいて2点間の走行時間の予測値を算出して予測結果を出力する予測結果出力機能とを実現させることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る情報処理装置は、通信ネットワークを介して車両から取得した位置情報の登録処理を行うための情報処理装置であって、地図情報を予め所定の複数領域に分割して登録する領域登録部と、所定のタイミング毎に前記車両からの位置情報を取得する位置情報取得部と、取得した複数の前記位置情報のうち1以上の前記位置情報が所定の登録条件を満たした場合に、当該位置情報をイベントとして登録するイベント登録部とを備え、前記イベント登録部は、前記車両が何れかの前記領域に侵入したこと、及び、前記車両が何れかの前記領域から退出したことを、前記イベントに関する所定の登録条件として備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定タイミング毎に取得した車両の位置情報をそのまま登録するのではなく、所定の登録条件を満たした位置情報のみをイベントとして登録するようにしたので、位置情報を利用した2地点間の車両の走行時間の予測の処理負荷を低減させるとともに、イベント方式という抽象化した情報として登録することで、2地点間の走行時間の予実解析の結果に基づいて柔軟に情報を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る情報処理装置を実現するためのシステム全体の構成を表したブロック図である。
図2】本発明に係る情報処理装置(サーバ装置)10の構成の一例を表した説明図である。
図3】本発明に係る情報処理装置10におけるイベント登録処理の流れを表したフローチャート図である。
図4】本発明に係る情報処理装置10における走行時間予測処理の流れを表したフローチャート図である。
図5】本発明に係る情報処理装置10におけるイベント登録処理の様子を説明するための説明図である。
図6】本発明に係る情報処理装置10におけるイベント登録処理の様子を説明するための説明図である。
図7】本発明に係る情報処理装置10におけるイベント登録処理の様子を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照しながら、第1の実施の形態に係る情報処理装置の例について説明する。図1は、本発明に係る情報処理装置を実現するためのシステム全体の構成を表したブロック図である。なお、情報処理装置10は、専用マシンとして設計した装置であってもよいが、一般的なコンピュータやサーバ装置によって実現可能なものであるものとする。この場合に、情報処理装置10は、一般的なコンピュータやサーバ装置が通常備えているであろうCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)、GPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)、メモリ、ハードディスクドライブ等のストレージを具備しているものとする(図示省略)。また、これらの一般的なコンピュータやサーバ装置を本例の情報処理装置10として機能させるためにプログラムよって各種処理が実行されることは言うまでもない。
【0015】
図1に示すように、情報処理装置を実現するためのシステム全体の構成は、サーバ装置10と、車両端末201~20n(以下、これら総称して車両端末20と表現する場合を含む)と、利用者端末30とが、通信ネットワーク40を介して相互に接続可能に構成されている。このうち、サーバ装置10が本例の情報処理装置10として機能し、車両端末20又は利用者端末30がユーザ端末として機能する場合を例として説明を行う。なお、車両端末20又は利用者端末30が情報処理装置として機能するものとしてもよい。
【0016】
図2は、本発明に係る情報処理装置(サーバ装置)10の構成の一例を表した説明図である。この図2に示すように、情報処理装置10は、領域登録部11と、位置情報取得部12と、イベント登録部13と、走行時間予測要求取得部14と、予測実行部15と、記憶部16とを少なくとも備えている。
【0017】
領域登録部11は、地図情報を予め所定の複数領域に分割して登録する機能を有する。ここで、地図をどのような範囲で区切って複数の領域に分割するかは適宜設定可能である。例えば、各領域がほぼ均等な大きさとなるように分割する手法が考えられるし、また、行政区画の地番等に基づいて分割する手法が考えられる。また、領域の境界は道路ネットワーク上に重なるように設定してもよいし、道路ネットワークとは切り離して領域の境界を自由に設定するようにしてもよい。このように、地図情報を複数の領域に分割して登録しておき、取得した車両の位置情報が何れの領域に属する位置情報であるかを判定できるようにしておく。
【0018】
位置情報取得部12は、所定のタイミング毎に車両からの位置情報を取得する機能を有する。ここで、位置情報とは、ある時刻における車両の位置を特定可能な情報のことをいう。位置情報の一例としては、GPS信号に基づく位置情報が考えられる。車両端末20において所定のタイミング毎、例えば、車両端末20が10秒毎にGPS信号に基づく位置特定を行い、特定した位置情報を車両端末20からサーバ装置10に対して送信するようにすることで、位置情報取得部12において車両からの位置情報を取得する。
【0019】
イベント登録部13は、取得した複数の位置情報のうち1以上の位置情報が所定の登録条件を満たした場合に、当該位置情報をイベントとして登録する機能を有する。ここで、イベントとは、過去の車両移動時の状況を登録する際の登録単位のことをいう。取得した多数の位置情報を全て登録するのではなく、所定の登録条件を満たした位置情報のみをその満たした登録条件の内容と併せてイベントとして登録する。イベントとして登録するための所定の登録条件はどのようなものであってもよいが、例えば、車両が移動した際に、車両が何れかの領域に侵入したこと、車両が何れかの領域から退出したこと、車両が所定時間以上停車したことなどを、イベントに関する所定の登録条件とすることが考えられる。また、イベントとして登録する情報はどのようなものであってもよいが、例えば、成立した登録条件の内容に関連した情報を含むようにすることが考えられる。具体的には、「領域1を8時40分に退出」という情報と併せて登録条件が満たされた際の位置情報をイベント情報として登録したり、「領域2に8時40分に侵入」という情報と併せて登録条件が満たされた際の位置情報をイベント情報として登録したりすることが考えられる。その他にも、取得した複数の位置情報が同じ場所を示している状態が所定時間以上継続したことを登録条件として、「A地点において8時50分から8時58分まで停車」といったイベント情報として登録することが考えられる。また、一度の走行において登録された複数のイベント情報は、互いに関連付けて登録することが好ましい。
【0020】
走行時間予測要求取得部14は、指定された2点間の走行時間の予測要求を取得する機能を有する。予測要求においては、車両の出発地点と車両の到着地点とが指定される。また、予測要求において、出発予定時間を指定できるようにしてもよい。所定の情報を備えた予測要求を利用者端末30から取得する。
【0021】
予測実行部15は、予測要求に係る2点間の移動において通過する1以上の領域を特定し、登録したイベントの情報に基づいて各領域の走行時間を算出し、各領域の走行時間の実績に基づいて2点間の走行時間の予測値を算出して予測結果を出力する機能を有する。予測実行部15は、取得した予測要求において指定された車両の出発地点と車両の到着地点の情報に基づいて、通過する1以上の領域を特定する。そして、過去に登録されたイベント情報に基づいて、各領域を通過するための走行時間を算出する。このとき、過去にイベント情報を登録した際の車両の移動軌跡と同一の移動軌跡について予測要求がなされている場合には、当該同一移動軌跡についてのイベント情報を読み出して各領域の走行時間を算出する。予測要求に係る2点間について同一の移動軌跡となるイベント情報の登録が存在しない場合、近似する移動軌跡に関するイベント情報における領域内に侵入してから領域を退出するまでに要した走行時間に基づいて、予測要求における当該領域内を通過する際に要する走行時間を予測するようにしてもよい。また、各領域内の走行時間を予測するにあたり、1台の車両に基づくイベント情報のみを用いて予測を実行するようにしてもよいし、多数の車両による複数のイベント情報及び/又は登録日時の異なる複数のイベント情報を用いて予測を実行するようにしてもよい。その際、予測要求において出発時間が指定してある場合には、近似する時刻のイベント情報に基づいて予測を実行することが好ましい。また、異なる移動軌跡である複数のイベント情報に基づいて各領域の走行時間の予測を行い、それらを組み合わせることで予測要求に係る2点間の走行時間の予測を行うようにしてもよい。すなわち、予測要求に係る2点間について過去に同一の移動軌跡にて登録されたイベント情報が存在しないとしても、複数の車両それぞれの移動軌跡についてのイベント情報を組み合わせることで予測要求に係る2点間の走行時間の予測を行うことが可能となる。なお、条件が類似するイベント情報が全く存在しない個所における走行時間の予測については、本例で説明したイベント情報に基づく予測とは異なる走行時間の予測手段によって予測を実行するようにしてもよい。
【0022】
記憶部16は、情報処理装置10において行われる様々な処理で必要なデータ及び処理の結果として得られたデータを記憶させる機能を有する。
【0023】
次に、本発明に係る情報処理装置10におけるイベント登録処理の流れについて説明を行う。図3は、本発明に係る情報処理装置10におけるイベント登録処理の流れを表したフローチャート図である。この図3に示すように、情報処理装置10におけるイベント登録処理は、情報処理装置10において地図情報を予め所定の複数領域に分割することによって開始される(ステップS101)。次に、情報処理装置10は、予め設定した所定のタイミング毎に車両からの位置情報を取得する(ステップS102)。そして、情報処理装置10は、取得した複数の位置情報のうち1以上の位置情報が所定の登録条件を満たした場合に、当該位置情報をイベントとして登録して(ステップS103)、イベント登録処理を終了する。
【0024】
次に、本発明に係る情報処理装置10における走行時間予測処理の流れについて説明を行う。図4は、本発明に係る情報処理装置10における走行時間予測処理の流れを表したフローチャート図である。この図4に示すように、情報処理装置10における走行時間予測処理は、情報処理装置10において指定された2点間の走行時間の予測要求を取得することによって開始される(ステップS201)。そして、情報処理装置10は、予測要求に係る2点間の移動において通過する1以上の領域を特定し、登録したイベントの情報に基づいて各領域の移動時間を算出し、各領域の移動時間の実績に基づいて2点間の走行時間の予測結果を出力して(ステップS202)、走行時間予測処理を終了する。
【0025】
図5乃至図7は、本発明に係る情報処理装置10におけるイベント登録処理の様子を説明するための説明図である。図5に示すA1の説明図は、地図情報Bに対して車両の出発地点Cと到着地点Dを表すとともに、その途中の移動軌跡において所定タイミング毎に取得された位置情報E1の取得箇所を表している。この図5に示すように、所定タイミング毎に取得された複数の位置情報を全て登録してそれを後日利用しようと思うと、複数の位置情報から車両の移動軌跡を抽出してそこから走行時間を予測する必要があり、多数の位置情報はデータの量と種類が膨大であるために計算処理工程が多くなってしまい、多大な計算負荷がかかることが問題であった。また多数の位置情報からノイズ要因を除去することが困難であるという問題があった。
【0026】
図6に示すA2の説明図は、地図情報Bを予め複数の領域に分割した様子を表した説明図である。この図6に示す例では、車両の出発地点から到着地点までの間に、領域1、領域2及び領域3を通行することが分かる。
【0027】
図7に示すA3の説明図は、複数の位置情報から所定の登録条件を満たした位置情報についてイベントとして登録した様子を表している。先ず、出発地点の位置情報と出発時間を登録し、同様に、到着地点の位置情報と到着時間を登録する(これらについてもイベントとして登録するようにしてもよい。)次に、所定の登録条件として、「異なる領域に侵入(=現在の領域を退出)」という条件や、「所定の時間以上同じ場所に滞在」という条件を採用しているものとする。この条件下で図5の例で取得した複数の位置情報について解析を行った結果、領域1から領域2に侵入という条件を満たした位置情報F1について「イベント01」を登録し、所定の時間以上同じ場所に滞在という条件を位置情報G1及びG2について「イベント02」及び「イベント03」を登録し、領域2から領域3に侵入という条件を満たした位置情報F2について「イベント04」を登録している。このように複数の位置情報のうち、所定の登録条件を満たしたもののみをイベントとして登録することで、走行時間の予測を行う際に扱うデータ量を削減しつつ、必要な情報のみを抽出することが可能となる。図7の例では、出発地点の情報とイベント01の情報とに基づいて出発地点から領域1を退出するまでの走行時間を算出することができ、イベント01の情報とイベント04の情報とに基づいて領域2に侵入してから領域2を退出するまでの走行時間を算出することができ、イベント04の情報と到着地点の情報とに基づいて領域3に侵入してから到着地点に到達するまでの走行時間を算出することができる。さらに、領域2においては2か所において所定時間以上の滞在を行っているため、「イベント02」及び「イベント03」の情報に基づいて、実際に領域2を通過するためだけに要する走行時間を算出することも可能となる。このように、登録したイベント情報を用いることで、新たな走行時間の予測要求に対応することが可能となる。
【0028】
以上のように、本例による情報処理装置によれば、地図情報を予め所定の複数領域に分割して登録しておき、所定のタイミング毎に車両からの位置情報を取得し、取得した複数の位置情報のうち1以上の位置情報が所定の登録条件を満たした場合に、当該位置情報をイベントとして登録するようにすることを特徴とし、イベント登録において、車両が何れかの領域に侵入したこと、及び、車両が何れかの領域から退出したことを、イベントに関する所定の登録条件として備えるようにしたので、車両から取得した複数の位置情報のうち、所定の登録条件を満たしたもののみをイベントとして登録することで、走行時間の予測を行う際に扱うデータ量を削減しつつ、必要な情報のみを抽出することが可能となる。また、車両が所定時間以上停車していた場合にはそれをイベントとして登録することで、車両の実際の走行時間のみを抽出する処理を簡単に実現することが可能となる。
【0029】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。
【符号の説明】
【0030】
10 サーバ装置(情報処理装置)
11 領域登録部
12 位置情報取得部
13 イベント登録部
14 走行時間予測要求取得部
15 予測実行部
16 記憶部
20、201~20n 車両端末
30 利用者端末
40 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7