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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110564
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】包装袋および包装容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/02 20060101AFI20240808BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
B65D33/02
B65D30/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015213
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田窪 陽子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 忠
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA17
3E064BA27
3E064BA28
3E064BA29
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA40
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA07
3E064EA30
3E064HF03
3E064HG02
3E064HM01
3E064HN65
(57)【要約】
【課題】包装容器に用いたときに包装容器の自立安定性を向上させる。
【解決手段】本開示に基づく包装袋10は、胴部11と、底部12とを備えている。胴部11は、互いに対向する一対のシートST1,ST2が互いに接合されることで形成され、一対のシートST1,ST2が互いに接合してなるサイドシール部Sを含む一対の側縁部112と、一対の側縁部112の間に位置する筒状の本体部113とを有している。底部12は、シート状である。本体部113は、開口端部111から底部12に向かう方向である底方向DBを向く底側端縁113Aを有している。一対のシートST1,ST2がそれぞれ平面状に延びている状態のとき、底側端縁113Aは、一対の側縁部112が並ぶ方向である幅方向DWにおいて側縁部112側から中央に向かうにしたがって、底部12から開口端部111に向かう方向である開口方向DOに向かうように延びている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口端部を有する胴部および該胴部の開口端部側とは反対側に接続された底部を有する包装袋と、前記開口端部の全周にわたって接続された口部材とを備える包装容器に用いられる、前記包装袋であって、
互いに対向する一対のシートが互いに接合されることで形成され、前記一対のシートが互いに接合してなるサイドシール部を含む一対の側縁部と、前記一対の側縁部の間に位置する筒状の本体部とを有する、前記胴部と、
前記本体部の径方向内側に位置するシート状の前記底部とを備え、
前記本体部は、前記開口端部から前記底部に向かう方向である底方向を向く底側端縁を有し、
前記一対のシートがそれぞれ平面状に延びている状態のとき、前記底側端縁は、前記一対の側縁部が並ぶ方向である幅方向において側縁部側から中央に向かうにしたがって、前記底部から前記開口端部に向かう方向である開口方向に向かうように延びている、包装袋。
【請求項2】
前記本体部は、前記開口方向を向く口側端縁をさらに有し、
前記一対のシートがそれぞれ平面状に延びている状態のとき、前記口側端縁は、前記幅方向において側縁部側から中央に向かうにしたがって、前記開口方向に向かうように延びている、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
開口端部を有する胴部および該胴部の開口端部側とは反対側に位置する底部を有する包装袋と、前記開口端部の全周にわたって接続された口部材とを備える、包装容器の製造方法であって、
前記包装袋として請求項2に記載の包装袋を準備する工程と、
前記開口端部を金型内に配置する工程と、
前記開口端部が前記金型内に配置された状態で前記金型内に樹脂を射出することで前記口部材を成形する工程とを備え、
前記金型は、前記開口端部の開口から前記胴部内に挿入される内金型と、前記内金型ととともに前記開口端部を挟み込む外金型とを有し、
前記内金型は、前記開口方向において前記口側端縁を受ける受け部を有する、包装容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は包装袋および包装容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋およびこれを備えた包装容器の製造方法を開示した文献として、特開2022-106123号公報(特許文献1)がある。特許文献1に開示された包装容器は、自立可能な包装袋と、口部材と、を備える。包装袋は、一対のサイドシール部を有する。口部材は、開口部を開いた状態に保持するように開口部に接続された筒部と、サイドシール部の表面が収容部の外周面から離間するようにサイドシール部を保持する保持部と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-106123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような包装袋と口部材とを備える包装容器において、包装容器がより安定して自立できることが求められている。
【0005】
本開示は上記の課題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、包装容器に用いたときに包装容器の自立安定性が向上する包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づく包装袋は、開口端部を有する胴部および該胴部の開口端部側とは反対側に接続された底部を有する包装袋と、開口端部の全周にわたって接続された口部材とを備える包装容器に用いられる。包装袋は、胴部と、底部とを備えている。胴部は、互いに対向する一対のシートが互いに接合されることで形成され、一対のシートが互いに接合してなるサイドシール部を含む一対の側縁部と、一対の側縁部の間に位置する筒状の本体部とを有している。底部は、シート状であり、本体部の径方向内側に位置している。本体部は、開口端部から底部に向かう方向である底方向を向く底側端縁を有している。一対のシートがそれぞれ平面状に延びている状態のとき、底側端縁は、一対の側縁部が並ぶ方向である幅方向において側縁部側から中央に向かうにしたがって、底部から開口端部に向かう方向である開口方向に向かうように延びている。
【0007】
上記の本開示に基づく包装袋においては、胴部の一対のシートがサイドシール部で互いに接合されており、底部がシート状であるため、底部が容易に撓む。口部材が開口端部に接続されている状態で底部が撓むと、本体部における一対のシートの対向方向における離隔距離は、底方向に向かうにしたがって小さくなる。一方で、側縁部の幅方向における離隔距離は底方向に向かうに従って大きくなり、側縁部が底方向に対して傾斜する。これにより、本体部の幅方向の中央部分が底方向に向かって突出するように、上記一対のシートが撓む。ここで、包装袋では、予め、上記一対のシートがそれぞれ平面状に延びている状態において、底側端縁が、幅方向において側縁部側から中央に向かうにしたがって開口方向に向かうように延びている。このため、上述のように一対のシートが撓んでも、底側端縁の幅方向における中央部分が底方向に突出することを抑制できる。ひいては、この包装袋を包装容器に用いたときに、上記一対のシートが撓んでいても、底側端縁のうち幅方向における側縁部近傍部分が載置面に接しやすくなる。よって、上記一対のシートの撓みに関わらず包装容器の自立安定性が向上する。
【0008】
また、本体部は、開口方向を向く口側端縁をさらに有し、一対のシートがそれぞれ平面状に延びている状態のとき、口側端縁は、幅方向において側縁部側から中央に向かうにしたがって、開口方向に向かうように延びていることが好ましい。
【0009】
本開示に基づく包装袋においては、本体部の幅方向の中央部分が底方向にむかって突出するように、一対のシートが撓む。ここで、予め、一対のシートがそれぞれ平面状に延びている状態において、口側端縁が、幅方向において側縁部側から中央に向かうにしたがって開口方向に向かうように延びていることで、上述のように一対のシートが撓んでも、口側端縁の幅方向における中央部分が底方向に凹むことを抑制できる。ひいては、当該包装袋の開口端部を口部材に接続する際には、口側端縁を一の仮想平面上に沿わせることが容易となり、開口端部を口部材の全周にわたって接続することが容易となる。
【0010】
さらに、上述の包装袋を備える包装容器の製造方法は、包装袋として上述の包装袋を準備する工程と、開口端部を金型内に配置する工程と、開口端部が金型内に配置された状態で金型内に樹脂を射出することで口部材を成形する工程とを備え、金型は、開口端部の開口から胴部内に挿入される内金型と、内金型ととともに開口端部を挟み込む外金型とを有し、内金型は、開口方向において口側端縁を受ける受け部を有していることが好ましい。
【0011】
上記の包装容器の製造方法においては、包装袋が口側端縁を一の仮想平面上に沿わせることが容易となる構成を備えているため、口側端縁が実質的に受け部の略全周にわたって当接させることが容易となる。ひいては、口部材の成形時において包装袋と口部材との接続不良の発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に基づく包装袋を包装容器に用いたときに、包装容器の自立安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態に係る包装容器の斜視図である。
図2】本開示の一実施形態に係る包装容器の正面図および断面図である。
図3】本開示の一実施形態に係る包装袋の正面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る包装袋の平面状態の正面図である。
図5】本開示の一実施形態に係る包装袋の分解斜視図である。
図6図2の領域VIで示される範囲の拡大図である。
図7】包装容器の断面を示す部分的な斜視図である。
図8】本開示の一実施形態に係る包装容器の製造方法を示すフロー図である。
図9】開口端部が金型内に配置される直前の状態の包装袋を示す斜視図である。
図10】開口端部が金型内に配置されている途中の状態を示す斜視図である。
図11図10の領域XIで示される範囲を示す拡大図である。
図12】開口端部が金型内に配置された状態の包装袋を幅方向から示す側面図である。
図13】開口端部が金型内に配置された状態の包装袋を底方向から示す平面図である。
図14図13の包装袋および金型をXIV-XIV線矢印方向から見た断面図である。
図15図13の包装袋および金型をXV-XV線矢印方向から見た断面図である。
図16図15に示される領域XVIの範囲を示す拡大断面図である。
図17図12の包装袋および金型をXVII-XVII線矢印方向から見た断面図である。
図18図17に示される領域XVIII-XVIIIの範囲を示す拡大断面図である。
図19】金型内に樹脂が射出されたときの包装袋および金型を示す部分断面図である。
図20】配置工程において、開口端部が変形例に係る金型内に配置される直前の状態の包装袋を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る包装袋、これを備えた包装容器、および、包装容器の製造方法について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0015】
まず、本開示の一実施形態に係る包装袋、および、これを備えた包装容器について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る包装容器の斜視図である。図2は、本開示の一実施形態に係る包装容器の正面図および断面図である。
【0016】
図1および図2に示すように、本開示の一実施形態に係る包装容器1は、包装袋10と、口部材20と、蓋部材30とを備えている。この包装容器1は、食品や化粧品、洗剤、芳香剤、消臭剤、その他日用品などの液体、粘体、ゲル状体、粒体、粉体の容器として好適である。本開示の一実施形態に係る包装袋10は、このようにして包装容器1に用いられる。
【0017】
包装袋10は、胴部11と、底部12とを有している。包装袋10は、所謂スタンディングパウチの形態で自立可能である。包装袋10は、胴部11と底部12とに囲まれた収容空間に内容物を収容可能に構成されている。
【0018】
図3は、本開示の一実施形態に係る包装袋の正面図である。図4は、本開示の一実施形態に係る包装袋の平面状態の正面図である。図5は、本開示の一実施形態に係る包装袋の分解斜視図である。
【0019】
図1から図5に示すように、胴部11は、収容空間を形成した状態において、略筒状の外形を有している(以下、特に指定しない限り、胴部11は収容空間を形成した状態で説明される)。胴部11は、開口端部111を有している。包装袋10が自立したときに、開口端部111は、包装袋10を上向きに開放する。開口端部111は、略円状の開口を有している。以下、開口端部111から底部12に向かう方向を、底方向DBといい、底部12から開口端部111に向かう方向を開口方向DOという場合がある。底方向DBおよび開口方向DOは、互いに反対を向いている。
【0020】
胴部11は、対向方向DCにおいて互いに対向する一対のシートST1,ST2が互いに接合されることで形成されている。具体的には、胴部11は、一対のシート(第1のシートST1、第2のシートST2)の幅方向DWにおける側縁部同士が、互いにヒートシールされることによって形成される。幅方向DWは、対向方向DCおよび開口方向DOの両方に直交する方向である。なお、詳細は後述するが、底部12もシート状である。
【0021】
胴部11は、一対の側縁部112と、本体部113とをさらに有している。一対の側縁部112は、幅方向DWに並んでいる。一対の側縁部112は、それぞれ胴部11の幅方向DWにおける両端にそれぞれ位置している。一対の側縁部112の各々は、一対のシートST1,ST2が互いに接合してなるサイドシール部Sを含んでいる。このため、一対の側縁部112の剛性は、胴部11において比較的高くなっている。開口端部111には、サイドシール部Sが位置している。換言すると、開口端部111は、2つのシール端部111Sを含んでおり、シール端部111Sは、開口端部111のうちサイドシール部Sを構成する部分である。2つのシール端部111Sは、それぞれ開口端部111の幅方向DWにおける両端にそれぞれ位置している。
【0022】
一対のサイドシール部Sの各々は、第1のサイドシール部Saと、第2のサイドシール部Sbとを有している。第1のサイドシール部Saは、開口端部111から直線状に延びている部分である。第2のサイドシール部Sbは、第1のサイドシール部Saと離隔して位置している。側縁部112において、第1のサイドシール部Saと第2のサイドシール部Sbとの間、および、第2のサイドシール部Sbから見て底方向DB側には、ボトムシール部SBが位置している。ボトムシール部SBについては後述する。
【0023】
本実施形態に係る包装容器1が載置されたとき、この一対の側縁部112が胴部11の柱のように機能する。よって、包装容器1が安定的に自立する。幅方向DWにおける側縁部112の寸法は、3mm~12mm程度に設定されることが好ましい。
【0024】
本体部113は筒状の外形を有している。本体部113は、一対の側縁部112の間に位置している。本体部113は、底側端縁113Aと、口側端縁113Bとを有している。
【0025】
底側端縁113Aは、本体部113において、底方向DBを向く端縁である。底側端縁113Aは、本体部113を底方向DBから見た時に、環状に延びている。一対のシートST1,ST2がそれぞれ平面状に延びている状態(以下、単に「平面状態」という場合がある)のとき、底側端縁113Aは、幅方向DWにおいて側縁部112側から中央に向かうにしたがって、開口方向DOに向かうように延びている。
【0026】
本実施形態に係る包装袋10においては、胴部11の一対のシートST1,ST2がサイドシール部Sで互いに接合されており、底部12がシート状であるため、底部12が容易に撓む(図1参照)。口部材20が開口端部111に接続されている状態で底部12が撓むと、本体部113における一対のシートST1,ST2の対向方向DCにおける離隔距離は、底方向DBに向かうにしたがって小さくなる。一方で、側縁部112の幅方向DWにおける離隔距離が底方向DBに向かうに従って大きくなり、側縁部112が底方向DBに対して傾斜する。これにより、本体部113の幅方向DWの中央部分が底方向DBに向かって突出するように、シートST1,ST2が撓む(図2および図3参照)。また、一対のシートST1,ST2が撓んだ状態のまま、射出成形などにより口部材20を包装袋10に接続し、包装容器1に内容物が充填されることで底部12が広がったときにも、本体部113の幅方向DWの中央部分が底方向DBに向かって突出し得る。
【0027】
ここで、上述したとおり、一対のシートST1,ST2がそれぞれ平面状に延びている状態において、底側端縁113Aは、幅方向DWにおいて側縁部112側から中央に向かうにしたがって開口方向DOに向かうように延びている(図4参照)。このため、上述のようにシートST1,ST2が撓んだり(図2および図3参照)、底部12が広がったときに、底側端縁113Aの幅方向DWにおける中央部分が底方向DBに突出することを抑制できる。ひいては、この包装袋10を包装容器1に用いたときに、底側端縁113Aのうち幅方向DWにおける側縁部112近傍が載置面に接しやすくなり、包装容器1の自立安定性が向上する。
【0028】
本実施形態において、底側端縁113Aは、複数の直線部が連続するように延びているが、曲線部を有していてもよい。底側端縁113Aは、具体的には、第1底側端縁113Aaと、第2底側端縁113Abとを有している。第1底側端縁113Aaは、底側端縁113Aにおいて幅方向DWにおける中心に位置している。平面状態のとき、第1底側端縁113Aaは、幅方向DWに平行に延びている。第2底側端縁113Abは、側縁部112の端縁から第1底側端縁113Aaまで延びている。第2底側端縁113Abは、第1底側端縁113Aaに向かうにしたがって、開口方向DOに向かうように延びている。第1底側端縁113Aaおよび第2底側端縁113Abは、直線状に延びているが、開口方向DOに向かって凸状に湾曲するように延びていてもよい。また、第1底側端縁113Aaと、側縁部112の底方向DB側の端縁との間の、開口方向DOにおける距離の寸法DT1は、特に限定されない。各シートST1,ST2の材質や厚み、胴部11の開口方向DO寸法により、口部材20取付時のシートST1,ST2の撓みや包装容器1使用時のシートST1,ST2の撓みが異なるため、寸法DT1は適宜調整される。筒状の本体部113の開口方向DO側の直径が70mm~100mm程度の場合、寸法DT1は0.3mm~3.0mm程度である。
【0029】
なお、第1底側端縁113Aaおよび複数の第2底側端縁113Abは、胴部11を構成する第1のシートST1および第2のシートST2の各々に位置している。平面状態のとき、第1のシートST1における第1底側端縁113Aaと、第2のシートST2における第1底側端縁113Aaとが、互いに重なっており、第1のシートST1における第2底側端縁113Abと、第2のシートST2における第2底側端縁113Abとが、互いに重なっている。
【0030】
口側端縁113Bは、本体部113において、開口方向DOを向く端縁である。口側端縁113Bは、本体部113を開口方向DOから見た時に、環状に延びている。平面状態のとき、口側端縁113Bは、幅方向DWにおいて側縁部112側から中央に向かうにしたがって、開口方向DOに向かうように延びている。
【0031】
上記の包装袋10において、胴部11が一対の側縁部112を有し、底部12がシート状である(詳細は後述)。このため、口側端縁113Bを円筒状に開口した状態では、一対のシートST1,ST2の対向方向DCにおける離隔距離が、底方向DBに向かうにしたがって小さくなるように、一対のシートST1,ST2が撓みやすい。この結果、本体部113の幅方向DWの中央部分が底方向DBにむかって突出するように、一対のシートST1,ST2が撓む(図2および図3参照)。ここで上述したように、平面状態のとき、口側端縁113Bは、幅方向DWにおいて側縁部112側から中央に向かうにしたがって、開口方向DOに向かうように延びている(図4参照)。このため、上述のようにシートST1,ST2が撓んでも、口側端縁113Bの幅方向DWにおける中央部分が底方向DBに凹むことを抑制できる。ひいては、この包装袋10の開口端部111を口部材20に接続する際には、口側端縁113Bを一の仮想平面上に沿わせることが容易となり、開口端部111を口部材20の全周にわたって略均一な位置に接続することが容易となる。
【0032】
本実施形態において、口側端縁113Bは、複数の直線部が連続するように延びているが、曲線部を有していてもよい。口側端縁113Bは、具体的には、口側端縁113Bは、第1口側端縁113Baと、第2口側端縁113Bbとを有している。第1口側端縁113Baは、口側端縁113Bにおいて幅方向DWにおける中心に位置している。平面状態のとき、第1口側端縁113Baは、幅方向DWに平行に延びている。第2口側端縁113Bbは、側縁部112の端縁から第1口側端縁113Baまで延びている。第2口側端縁113Bbは、第1口側端縁113Baに向かうにしたがって、開口方向DOに向かうように延びている。第1口側端縁113Baおよび第2口側端縁113Bbは、直線状に延びているが、開口方向DOに向かって凸状に湾曲するように延びていてもよい。また、第1口側端縁113Baと、側縁部112の開口方向DO側の端縁との間の、開口方向DOにおける距離の寸法DT2は、特に限定されない。寸法DT2は、寸法DT1と同様に適宜調整される。筒状の本体部113の開口方向DO側の直径が70mm~100mm程度の場合、寸法DT2は0.3mm~3.0mm程度である。
【0033】
なお、第1口側端縁113Baおよび複数の第2口側端縁113Bbは、胴部11を構成する第1のシートST1および第2のシートST2の各々に位置している。平面状態のとき、第1のシートST1における第1口側端縁113Baと、第2のシートST2における第1口側端縁113Baとが、互いに重なっており、第1のシートST1における第2口側端縁113Bbと、第2のシートST2における第2口側端縁113Bbとが、互いに重なっている。
【0034】
底部12は、シート状の外形を有する。底部12は、胴部11の開口端部111側とは反対側において、胴部11と接続されている。底部12は、胴部11の内側に位置している。より、具体的には、底部12は、本体部113の径方向内側に位置している。
【0035】
底部12は、第3のシートST3により構成されている。すなわち、底部12は、対向方向DCにおいて第3のシートST3の一方側が第1のシートST1と接合され、第3のシートST3の他方側が第2のシートST2と接合されることで形成されている。第3のシートST3は、開口方向DOに向かって山折された状態で一対のシートST1,ST2のそれぞれと接合される。具体的には、底部12は、第3のシートST3が一対のシートST1,ST2のそれぞれとヒートシールされることによって形成される。また、第3のシートST3の幅方向DWにおける両端縁にはそれぞれ切り欠きSCが形成されている。この切り欠きSCを介して、第1のシートST1および第2のシートST2が互いに接合された第2のサイドシール部Sbが形成されている。なお、底部12は、胴部11(本体部113)を筒状に開いたときに、開口端部111を円状の開口した直径と同程度に広がる寸法に形成できる。
【0036】
本実施形態において、一対の側縁部112の各々は、上述のヒートシールにより、第3のシートST3が第1のシートST1または第2のシートST2に接合してなる部分であるボトムシール部SBを含む。このため、一対の側縁部112の各々は、胴部11の底方向DBにおける端縁まで延びている。そして、第3のシートST3のうちボトムシール部SBに囲まれた領域が、底部12となる。また、ボトムシール部SBは、本体部113の底側端縁113Aに沿うように位置している。
【0037】
ボトムシール部SBは、第1のボトムシール部SB1と、複数の第2のボトムシール部SB2と、複数の第3のボトムシール部SB3とを有している。第1のボトムシール部SB1は、本体部113の底側端縁113Aに沿うように帯状に延びている。複数の第2のボトムシール部SB2は、それぞれ、第1底側端縁113Aaと第2底側端縁113Abの各境界から、113の中心側とは反対側に向かって開口方向DOに対して斜めに帯状に延びている。複数の第2のボトムシール部SB2は、側縁部112(具体的には、第1のサイドシール部Saの底方向DBにおける端部)に至るまで延びている。よって、第3のシートST3のうち、第1のボトムシール部SB1かつ第2のボトムシール部SB2に囲まれた領域が、底部12となる。第3のボトムシール部SB3は、側縁部112を構成している。なお、本実施形態において第1のボトムシール部SB1、第2のボトムシール部SB2および第3のボトムシール部SB3に囲まれた領域にはボトムシール部が位置していないが、上記領域にもボトムシール部が位置していてもよい。
【0038】
各シートST1,ST2,ST3は、表層となる基材と内面にシーラント層を有する積層体で構成されている。基材は、例えば二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等から形成される。基材としては、特にヒートシール時の耐熱性に優れ、強度を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム又は二軸延伸ポリアミドフィルムが好ましい。シーラント層は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレンエチレン共重合体等のプロピレン系樹脂からなるフィルムや、押出しラミネートからなりヒートシール性を有する樹脂層が使用できる。シーラント層としては、厚さ40μm程度以上のものを使用できるが、後述する口部材20がポリエチレン系樹脂の場合、特に口部材20との融着性、各シール部の強度、自立性に優れることから、厚さ70μm~150μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが好ましい。また、基材とシーラント層との間に中間層としてガスバリアー層や補強層等を積層したものでも良い。ガスバリアー層としては、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、ナイロンMXD6等のフィルムや樹脂層、シリカやアルミナ、アルミニウム等の金属等を蒸着したフィルム、アルミニウム箔等を使用することができる。各層は、ドライラミネート、サンドラミネート、押出しラミネート等の公知の方法で積層される。この積層体の総厚は、例えば80μm~200μmである。なお、全ての層を透明な材料で構成することにより内容物が視認可能になり、中間層にアルミニウム箔を用いることで遮光性、バリア性、自立性、保形性に優れた容器が得られる。また、基材には適宜、商品名や説明書き等が印刷される。上記では、各シートST1,ST2,ST3を別々の3枚のシートとして説明しているが、1枚のシートを折り畳むことで胴部11(第1のシートST1と第2のシートST2)と底部12(第3のシートST3)とし各シール部を形成してもよく、1枚のシートを折り曲げて胴部11(第1のシートST1と第2のシートST2)を形成し、その間に底部12となるシートST3を山折りで挟み込んで形成してもよい。
【0039】
図6は、図2の領域VIで示される範囲の拡大図である。図7は、包装容器の断面を示す部分的な斜視図である。なお、図7においては、図2と同様の断面が図示されている。
【0040】
図1図2図6および図7に示すように、口部材20は、開口端部111の全周にわたって接続されている。口部材20は、包装袋10よりも高い剛性を有しているため容易に変形しない。本実施形態では、口部材20は、樹脂からなる。口部材20は、射出成形により包装袋10と一体化されている。
【0041】
口部材20を構成する樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が使用できるが、ポリオレフィン樹脂が好ましく、特に包装袋10の一対のシートST1,ST2に使用されるシーラント層と同系種の樹脂が良く、たとえばシーラント層がポリエチレン系の場合は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが好ましく、シーラント層がポリプロピレン系の場合は、ポリプロピレンやプロピレンエチレン共重合体が好ましい。この理由は、口部材20を射出成形で一体化する際に、溶融した口部材の樹脂がシーラント層の露出部分に融着することによって互いに強固に接合されるためである。また、射出成形により溶融した樹脂が一対のシートST1,ST2に密着するため、口部材20が一対のシートST1,ST2から剥離し難く一体感が有る包装容器1が得られる。
【0042】
口部材20は、筒部21と、段部22と、凸部23と、延出部24と、フランジ部25と、被覆部26とを有している。
【0043】
筒部21は、開口端部111に接続されている。開口端部111は、筒部21によって、開口した状態に保持される。筒部21の径方向外側に、開口端部111が位置している。筒部21の厚さ(筒部21の内周面および外周面間の寸法)は、たとえば、0.3mm~3mm程度に設定されることが好ましく、0.5mm~2.0mmに設定されることがより好ましい。本実施形態では、筒部21は、円筒状に形成されている。ただし、筒部21中心軸と直交する平面(開口方向DOに直交する平面)での筒部21の断面は、楕円形や多角形等に形成されてもよい。
【0044】
段部22は、筒部21から径方向外向きに張り出している(図2の正面図および図6など参照)。段部22は、筒部21の開口方向DOにおける端部から張り出している。段部22の上面は、開口端部111の開口方向DOの端縁(具体的には、口側端縁113Bおよびシール端部111Sの開口方向DOの端縁)よりも、僅かに開口方向DO側に位置している。このため、段部22には、口側端縁113Bおよびシール端部111Sを含む開口端部111の一部が埋没している。
【0045】
凸部23は、開口方向DOに沿って段部22および筒部21から突出している。凸部23の高さ(段部22から突出している高さ)は、例えば0.5~1.5mmであってよい。凸部23は、開口方向DOにおいてサイドシール部S(側縁部112)と並んでいる。なお、本実施形態では凸部23の上面(開口方向DO側の面)が平面(断面台形状)に形成されているが、凸部23の形状はこれに限らず、断面三角形状や半円状等であってよい。
【0046】
延出部24は、シール端部111Sの端縁に沿って略L字状に延びている。これにより、シール端部111Sの端縁に他の物体から外力が加わることが抑制される。そして、シール端部111Sを起点として口部材20または包装袋10が破損することがより抑制される。
【0047】
延出部24には、シール端部111Sの一部が埋没している。延出部24は、段部22より底方向DBに位置している。このため、延出部24の一部は、シール端部111Sの開口方向DOに面する端縁より底方向DBにおいて、幅方向DWに延びている。延出部24の他の一部は、開口方向DOに沿って延びるシール端部111Sの端縁を覆いつつ、当該端縁に沿って延びている。
【0048】
フランジ部25は、段部22からさらに外向きに張り出す形状を有している。すなわち、段部22は、筒部21の径方向において、筒部21とフランジ部25との間に位置している。フランジ部25には、シール端部111Sの一部が埋没している。本実施形態において、フランジ部25は、円環状に形成されている。フランジ部25の上面から、図1図2図6および図7に示すように蓋部材30を螺合可能な雄ネジ状突起を有する突出部が設けられており、蓋部材30をフランジ部25に着脱可能に形成されている。なお、蓋部材30は、突出部の上面や突出部を設けないフランジ部25に直接シールするシール蓋であってもよい。
【0049】
被覆部26は、筒部21の外周面上に位置している。被覆部26は、シール端部111Sの内側縁に沿って延びている。この内側縁は、被覆部26に覆われている。これにより、シール端部111Sにおける一対のシートST1,ST2が互いに剥離することがより一層抑制される。シール端部111Sの内側縁とは、シール端部111Sの側縁のうち胴部11の幅方向DW中心を向く側縁である。
【0050】
次に、本開示の一実施形態に係る包装容器1の製造方法について説明する。図8は、本開示の一実施形態に係る包装容器の製造方法を示すフロー図である。図8に示すように、本開示の一実施形態に係る包装容器1の製造方法は、準備工程S1と、配置工程S2と、成形工程S3とを備えている。
【0051】
準備工程S1では、包装袋10を準備する。本実施形態において、包装袋10は、上述の通り各シートST1,ST2,ST3が互いにヒートシールにより接合されることで形成される(図4および図5参照)。サイドシール部Sおよびボトムシール部SBのシールの順序は特に限定されない。
【0052】
配置工程S2では、包装袋10の開口端部111を金型内に配置する。図9は、開口端部が金型内に配置される直前の状態の包装袋を示す斜視図である。図10は、開口端部が金型内に配置されている途中の状態を示す斜視図である。図11は、図10の領域XIで示される範囲を示す拡大図である。図12は、開口端部が金型内に配置された状態の包装袋を幅方向から示す側面図である。図13は、開口端部が金型内に配置された状態の包装袋を底方向から示す平面図である。図14は、図13の包装袋および金型をXIV-XIV線矢印方向から見た断面図である。図15は、図13の包装袋および金型をXV-XV線矢印方向から見た断面図である。図16は、図15に示される領域XVIの範囲を示す拡大断面図である。
【0053】
図9から図16に示されるように、配置工程S2では、開口端部111を金型5内に配置する。以下、金型5を説明するための方向は、金型5内に開口端部111が配置された状態の包装袋10を基準にして説明される。
【0054】
金型5は、内金型51と、外金型52とを有している。本実施形態において、内金型51がいわゆるコアであり、外金型52がいわゆるキャビティである。図9から図11に示すように、配置工程S2では、まず、内金型51が、開口端部111の開口から胴部11の本体部113内に挿入される。
【0055】
内金型51は、受け部511と、2つの凹部512(図15参照)と、挿入部513とを有している。受け部511において底方向DBを向く面は、底方向DBに直交するように平面状に延びている。受け部511は、底方向DBから見て円環状に延びている。凹部512は、開口方向DOにおいて受け部511から窪んでいる。挿入部513は、受け部511から底方向DBに延出している。挿入部513は、底方向DBから見て、受け部511の外周縁より径方向内側に位置している。
【0056】
挿入部513は、大径部513aと、小径部513bと、縮径部513cとを有している。大径部513aは、円筒状の外形を有している。大径部513aは、受け部511から底方向DBに離隔している。小径部513bは、底方向DBに直交する断面の直径が大径部513aより小さい部分である。小径部513bは、受け部511と大径部513aとの間に位置している。縮径部513cは、大径部513aから見て小径部513bの反対側に位置している。縮径部513cは、底方向DBに直交する断面が、底方向DBに向かうに従って縮径するような外形を有している。
【0057】
配置工程S2では、開口端部111の開口から挿入部513を挿入する(図9および図10参照)。この後、受け部511は、開口方向DOにおいて開口端部111(具体的には本体部113の口側端縁113B)を受ける(図11および図14参照)。
【0058】
ここで、本実施形態に係る包装袋10においては、上述したように、平面状態のとき、口側端縁113Bが、幅方向DWにおいて側縁部112側から中央に向かうにしたがって、開口方向DOに向かうように延びている(図4参照)。これにより、包装袋10が口側端縁113Bを一の仮想平面上に沿わせることが容易となっている(図3参照)。このため、受け部511が口側端縁113Bを受ける際には、口側端縁113Bを実質的に受け部511の略全周にわたって当接させることが容易となる。ひいては、成形工程S3における口部材20の成形時において包装袋10と口部材20との接続不良の発生を抑制できる。
【0059】
また、受け部511が口側端縁113Bを受けるに伴い、包装袋10の収容空間に挿入部513が配置される。大径部513aは、胴部11のうち開口端部111より底方向DBに位置する部分の収容部側に密着する。小径部513bは、シール端部111Sを含む開口端部111から離隔するように位置する(図16参照)。そして、開口端部111のうちサイドシール部S(側縁部112)を構成する部分であるシール端部111Sが、凹部512と対向するように配置される(図11図15および図16参照)。
【0060】
図17は、図12の包装袋および金型をXVII-XVII線矢印方向から見た断面図である。図18は、図17に示される領域XVIII-XVIIIの範囲を示す拡大断面図である。図10および図12から図18に示すように、配置工程S2では、外金型52が、内金型51ととともに開口端部111を挟み込む。
【0061】
外金型52は、第1外金型52Aと第2外金型52Bとを有する。第1外金型52Aおよび第2外金型52Bは、対向方向DCにおいて互いに対向している。シール端部111Sは、第1外金型52Aと第2外金型52Bとよって、対向方向DCに挟み込まれる。
【0062】
配置工程S2では、開口方向DOから見て、開口端部111に内接する仮想円Cの直径Lに対する、仮想円Cとシール端部111Sとの離隔距離の寸法DSの比率が、0%超3%未満となるように、シール端部111Sを配置する(図17および図18参照)。なお、仮想円Cの直径Lは、挿入部513の大径部513aの底方向DBから見た時の直径と略等しくなる。また、外金型52(第1外金型52A、第2外金型52B)はシール端部111Sを配置可能な寸法DSを考慮して形成する。
【0063】
図19は、金型内に樹脂が射出されたときの包装袋および金型を示す部分断面図である。なお、図19においては、図16と同様の断面視にて図示している。図16および図19に示すように、成形工程S3では、開口端部111が金型5内に配置された状態で金型5内に樹脂を射出することで口部材20を成形する。
【0064】
成形工程S3においては、シール端部111Sと対向した状態の凹部512に樹脂が供給されるように、樹脂を射出する。これにより、内金型51の凹部512に対応する凸部23が口部材20に形成される。凸部23は、開口方向DOにおいてサイドシール部Sと並ぶように配置されるため、口部材20が撓んだときなどに、口部材20のうちサイドシール部Sと開口方向DOに並ぶ部位から口部材20が破損することが抑制される。さらに、上記の包装容器1の製造方法によれば、内金型51の受け部511により、金型5に対して包装袋10の開口方向DOにおける位置決めが容易になるとともに、口側端縁113Bを実質的に受け部511の略全周にわたって当接させることが容易となる。また、シール端部111Sが受け部511より開口方向DOに突出した場合には、シール端部111Sが内金型51の凹部512に嵌まる。そして、凹部512に対応するように形成された凸部23によって、口部材20からのシール端部111Sの突き出しが抑制される。ひいては、シール端部111Sやシール端部111S近傍の開口端部111と樹脂との間にわずかな隙間(破損や剥離)が生じたとしても、その隙間が段部22から露出することが、凸部23によって抑制される。よって、包装袋10に収容された内容物が上記隙間から漏れることも抑制される。
【0065】
特に包装袋10は、前記のように一対のシートST1,ST2が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムや二軸延伸ポリアミドフィルムからなる基材とポリエチレン系樹脂のシーラント層とからなり、ポリエチレン系樹脂からなる口部材20の樹脂を射出する場合に、耐熱性を有し口部材20と異なる樹脂からなる基材との間は、接着強度が弱くなり破損や剥離が起こりやすく、これによる生じた僅かな隙間に内容物(特に液体を含む場合)が浸透して漏洩(浸みだし漏出)することがあったが、このような場合でも、凸部23によって破損や剥離、内容物の漏出が抑制される。
【0066】
また、樹脂は、内金型51内に設けられ、小径部513b表面に射出口を有する樹脂流路(不図示)を通って射出される。流動する樹脂により開口端部111は僅かに移動するため、開口端部111と受け部511の隙間で開口端部111の開口方向DOの端縁を被覆するように流れるが、シール端部111Sは、剛性が有り樹脂の流れにより開口方向DOに移動した場合に受け部511を超えて突出しやすい。しかしながら、上述の凹部512に対応するように形成された凸部23によって、口部材20からのシール端部111Sの突き出しが抑制される。ただし、樹脂を射出するための、樹脂流路はこれに限定されるものではない。
【0067】
また、本実施形態に係る包装容器1の製造方法においては、開口方向DOから見て、開口端部111に内接する仮想円Cの直径Lに対する、仮想円Cとシール端部111Sとの離隔距離の寸法DSの比率が、0%超3%未満となるように、シール端部111Sが配置される(このように配置できるように、準備工程S1において、開口端部111の幅方向DW寸法を調整して包装袋10を作成する。)。これにより、開口端部111の開口の形状が真円に近づく。ひいては、略円環状の外形を有する口部材20への接続が容易となる(本実施形態においては、具体的には、円筒状の外形を有する筒部21と開口端部111との接続が容易となる)。一方で、開口端部111の撓みは比較的大きくなる。しかしながら、上述の製造方法によれば、配置工程S2において、口側端縁113Bを実質的に受け部511の略全周にわたって当接させることが容易となっている、また、受け部511によってシール端部111Sの開口方向DOへの突出は抑制されているものの、シール端部111Sが受け部511より開口方向DOに突出した場合においては、シール端部111Sが凹部512内に位置する。そして、凹部512に対応するように形成された凸部23によって、口部材20からのシール端部111Sの突き出しは抑制される。
【0068】
以上の製造方法により、本実施形態に係る包装容器1が製造される。なお、配置工程S2において、内金型51の挿入部513は、包装袋10の形状に合わせて様々な形状を有し得る。
【0069】
図20は、配置工程において、開口端部が変形例に係る金型内に配置される直前の状態の包装袋を示す斜視図である。図20に示すように、挿入部513は、一対の側部513dをさらに有してもよい。一対の側部513dは、縮径部513cの対向方向DCにおける両側にそれぞれ位置している。一対の側部513dの各々は、縮径部513cとは反対側を向く面が、底方向DBに平行に延びている。これにより、本実施形態において、金型5内に開口端部111が配置されたとき、一対のシートST1,ST2の撓みが抑制され、ひいては、開口端部111の撓みも抑制される。開口端部111の撓みが抑制されることで、シール端部111Sが受け部511より開口方向DOに突出することも抑制される。
【0070】
また、本実施形態に係る包装袋10を備える包装容器の製造方法は、上述の配置工程S2および成形工程S3(射出成形)によって、包装袋10に口部材20を取付けるものに限定されない。包装袋10を備える包装容器は、別途射出成形等により作製された円環状の口部材を準備し、この後、準備した口部材に包装袋10を取付けることで製造されてもよい。この場合、円環状の口部材には包装袋10の開口端部111の内面側に挿入される筒部があり、筒部の上方には開口端部111の挿入上端位置(当接する位置)となる大径部(フランジ等)がある。包装袋10の開口端部111を開いて、口部材の筒状部を挿入し、開口端部111の外面側から外面に沿って湾曲したヒートシール型を押圧することで開口端部111の内面と筒状部の外面を熱融着させて取付ける。この際に、口側端縁113Bは、幅方向DWにおいて側縁部112側から中央に向かうにしたがって、開口方向DOに向かうように延びているので、胴部11の底方向DB側が狭くなるように(一対のシートST1,ST2の離間距離が狭くなるように)撓んでも、口側端縁113Bの中央が底方向DBにずれたようにならずにシールすることができる。さらにこのように包装袋10に口部材を取付けた包装容器であっても、底側端縁113Aが、幅方向DWにおいて側縁部112側から中央に向かうにしたがって、開口方向DOに向かうように延びているので、包装容器に内容物を充填し、底部12が開いた状態で包装容器を自立させた際にも、安定して包装容器を自立させることができる。
【0071】
上述した実施形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【0072】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
1 包装容器、10 包装袋、11 胴部、111 開口端部、111S シール端部、112 側縁部、113 本体部、113A 底側端縁、113Aa 第1底側端縁、113Ab 第2底側端縁、113B 口側端縁、113Ba 第1口側端縁、113Bb 第2口側端縁、12 底部、20 口部材、21 筒部、22 段部、23 凸部、24 延出部、25 フランジ部、26 被覆部、30 蓋部材、5 金型、51 内金型、511 受け部、512 凹部、513 挿入部、513a 大径部、513b 小径部、513c 縮径部、513d 側部、52 外金型、52A 第1外金型、52B 第2外金型、S サイドシール部、SB ボトムシール部、SB1 第1のボトムシール部、SB2 第2のボトムシール部、SB3 第3のボトムシール部、ST1 第1のシート、ST2 第2のシート、ST3 第3のシート、Sa 第1のサイドシール部、Sb 第2のサイドシール部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20