(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110567
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】モータユニット及び動力工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20240808BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015217
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】宮城 貴則
(72)【発明者】
【氏名】大塚 賢二
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AA03
3C064AA08
3C064AA20
3C064AB02
3C064AC02
3C064AC03
3C064BA32
3C064BB53
3C064BB71
3C064BB72
3C064BB74
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA09
3C064CA10
3C064CB09
3C064CB14
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB64
3C064CB73
(57)【要約】
【課題】種々の形態の動力工具において使用可能となるモータユニットを提供する
【解決手段】モータユニットは、モータと、モータを収容するモータケースを備える。モータケースには、グリップ部材が固定されるグリップ固定部と、グリップ用アダプタが固定されるアダプタ固定部とが配置されている。モータユニットは、グリップ部材とグリップ用アダプタとを選択的に取付可能となっている。モータユニットにグリップ部材を直接取り付けたときには、グリップ部材はモータの回転軸線の方向に延びるように配置される。モータユニットにグリップ用アダプタを取り付けたときには、グリップ用アダプタのグリップ固定部に取り付けられたグリップ部材は回転軸線に直交する方向に延びるように配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々の形態の動力工具において使用されるモータユニットであって、
モータと、
前記モータを収容するモータケースと、
前記モータケースに配置され、ある形態の動力工具の一部を構成する第1のアタッチメント部材が固定されるようにされた第1の固定部と、
前記モータケースに配置され、別の形態の動力工具の一部を構成する第2のアタッチメント部材が固定されるようにされた第2の固定部と、
を備え、
前記第1のアタッチメント部材と前記第2のアタッチメント部材とを前記モータケースに選択的に取付可能とされた、モータユニット。
【請求項2】
前記第1のアタッチメント部材が、前記第1の固定部に固定されたときに前記モータケースから所定の第1の方向に延びるようにされた、グリップ部を構成する第1のグリップ部材であり、
前記第2のアタッチメント部材が、グリップ部を構成する第2のグリップ部材を固定するグリップ固定部を有し、前記第2の固定部に固定されたときに前記グリップ固定部に固定された前記第2のグリップ部材が前記第1の方向に交わる第2の方向に延びるようにされたグリップ用アダプタである、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記第1のグリップ部材と前記第2のグリップ部材が同じである、請求項2に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記第1の方向が前記モータの回転軸線の方向であり、前記第2の方向が前記回転軸線に直交する方向である、請求項2に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記第1のアタッチメント部材と前記第2のアタッチメント部材とのうちの少なくとも一方が、当該モータユニットを他の装置に取り付けるための取付部を有するアダプタである、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項6】
前記第1のアタッチメント部材と前記第2のアタッチメント部材とのうちの少なくとも一方が、当該モータユニットの少なくとも一部を覆うカバーである、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記モータケースが、前記モータを収容する収容凹部を有するモータハウジングと、前記収容凹部の開口部の側で前記モータハウジングに取り付けられたブラケットと、を有し、
前記第1の固定部が前記モータハウジングに設けられ、前記第2の固定部が前記ブラケットに設けられている、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項8】
前記モータハウジングが、樹脂製のカップ状の一体部材として形成されている、請求項7に記載のモータユニット。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のモータユニットと、
前記モータユニットの前記第1の固定部に取り付けられる第1のアタッチメント部材と前記第2の固定部に取り付けられる第2のアタッチメント部材とのうちの一方のアタッチメント部材と、
を備える、動力工具。
【請求項10】
モータと、
前記モータを収容して保持するモータケースであって、第1の固定部及び第2の固定部を有するモータケースと、
前記第1の固定部において前記モータケースに固定可能とされ、前記第1の固定部に固定されたときに前記モータケースから所定の第1の方向に延びるようにされた、グリップ部を構成するグリップ部材と、
前記第2の固定部において前記モータケースに固定可能とされ、前記グリップ部材を固定可能とされたグリップ固定部を有し、前記第2の固定部に固定されたときに前記グリップ固定部に固定された前記グリップ部材が前記第1の方向に交わる第2の方向に延びるようにする、グリップ用アダプタと、
を備え、
前記グリップ部材と前記グリップ用アダプタとが前記モータケースに選択的に取付可能とされ、
前記モータケースは、前記モータを収容する収容凹部を有するモータハウジングと、前記収容凹部の開口部の側で前記モータハウジングに取り付けられたブラケットと、を有し、
前記モータハウジングは樹脂製のカップ状の一体部材として形成されており、
前記グリップ部材は、別体として形成された第1の分割部材及び第2の分割部材を有し、前記第1の分割部材と前記第2の分割部材とで前記第1の固定部を挟むようにして前記モータケースに取付可能とされ、且つ前記第1の分割部材と前記第2の分割部材とで前記グリップ固定部を挟むようにして前記グリップ用アダプタに取付可能とされた、動力工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の形態の動力工具において使用されるモータユニット、及びそのようなモータユニットを備える動力工具に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを駆動源とする動力工具には種々の形態のものがある。そのような動力工具として、例えば、無端研削ベルトを回転駆動して研削作業を行なうようにしたベルト式研削工具(特許文献1)、円板状の研削砥石を回転駆動して研削作業を行なうようにしたグラインダ(特許文献2)、ドリルを回転駆動して穿孔作業を行なうようにした穿孔機(特許文献3)などがある。また、ロボットアームに動力工具を取り付けて、ロボットによる自動制御により種々の加工作業を行なうこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-158430号公報
【特許文献2】特許第4018216号公報
【特許文献3】特開2014-237209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような種々の形態の動力工具は、通常、その作業にとって最適になるようにモータ等を収容保持するハウジングが専用設計されている。より具体的には、モータを保持するモータケースは作業者が把持するグリップ部と一体的に構成されていたり、グリップ部等とは別体として構成されていたとしても特定のグリップ部のみが接続されるような設計となっていたりするのが通常である。また、例えば手持ち式のベルト式研削工具においては、無端研削ベルトが延びる方向とグリップが延びる方向は通常は同方向となっているが、作業内容によってはグリップの方向がベルトの方向に対して直交する方向になっていた方が望ましいことがある。このような異なる形態を実現するために、グリップを構成するハウジングはそれぞれの構成に対して専用設計されることになる。また、手持ち式の動力工具におけるモータケースと設置型の穿孔機におけるモータケースの構成も通常は異なる設計となっている。このように、動力工具においてモータとそれを収容するモータケースとからなるモータユニットは、各形態の動力工具に対して専用設計されたものとなっており、通常は相互に互換性がない。
【0005】
そこで本発明は、種々の形態の動力工具において使用可能となるモータユニット、及びそのようなモータユニットを備える動力工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
種々の形態の動力工具において使用されるモータユニットであって、
モータと、
前記モータを収容するモータケースと、
前記モータケースに配置され、ある形態の動力工具の一部を構成する第1のアタッチメント部材が固定されるようにされた第1の固定部と、
前記モータケースに配置され、別の形態の動力工具の一部を構成する第2のアタッチメント部材が固定されるようにされた第2の固定部と、
を備え、
前記第1のアタッチメント部材と前記第2のアタッチメント部材とを前記モータケースに選択的に取付可能とされた、モータユニットを提供する。
【0007】
当該モータユニットは、異なる形態の動力工具の一部を構成する複数のアタッチメント部材を選択的に取付可能とされているため、種々の形態の動力工具に対して共通して使用することが可能となる。
【0008】
また、
前記第1のアタッチメント部材が、前記第1の固定部に固定されたときに前記モータケースから所定の第1の方向に延びるようにされた、グリップ部を構成する第1のグリップ部材であり、
前記第2のアタッチメント部材が、グリップ部を構成する第2のグリップ部材を固定するグリップ固定部を有し、前記第2の固定部に固定されたときに前記グリップ固定部に固定された前記第2のグリップ部材が前記第1の方向に交わる第2の方向に延びるようにされたグリップ用アダプタであるようにすることができる。
【0009】
また、前記第1のグリップ部材と前記第2のグリップ部材が同じであるようにすることができる。
【0010】
また、前記第1の方向が前記モータケースに収容されたモータの回転軸線の方向であり、前記第2の方向が前記モータの回転軸線に直交する方向であるようにすることができる。
【0011】
このような構成により、1つのグリップ部材を異なる方向で取り付けて使用することが可能となる。
【0012】
前記第1のアタッチメント部材と前記第2のアタッチメント部材とのうちの少なくとも一方が、当該モータユニットを他の装置に取り付けるための取付部を有するアダプタであるようにすることができる。
【0013】
さらに、前記第1のアタッチメント部材と前記第2のアタッチメント部材とのうちの少なくとも一方が、当該モータユニットの少なくとも一部を覆うカバーであるようにすることができる。
【0014】
また、
前記モータケースが、前記モータを収容する収容凹部を有するモータハウジングと、前記収容凹部の開口部の側で前記モータハウジングに取り付けられたブラケットと、を有し、
前記第1の固定部が前記モータハウジングに設けられ、前記第2の固定部が前記ブラケットに設けられているようにすることができる。
【0015】
さらには、前記モータハウジングが、樹脂製のカップ状の一体部材として形成されているようにすることができる。
【0016】
動力工具におけるこの種のハウジング部材は分割された2つの部材により形成されることが多いが、本発明のモータハウジングは一体部材として形成されているため分割されたものに比べて強度を高くすることができ、また収容するモータの位置をより正確に決めることが可能となる。
【0017】
また本発明は、
上述のモータユニットと、
前記モータユニットの前記第1の固定部に取り付けられる第1のアタッチメント部材と前記第2の固定部に取り付けられる第2のアタッチメント部材とのうちの一方のアタッチメント部材と、
を備える、動力工具を提供する。
【0018】
さらに本発明は、
モータと、
前記モータを収容して保持するモータケースであって、第1の固定部及び第2の固定部を有するモータケースと、
前記第1の固定部において前記モータケースに固定可能とされ、前記第1の固定部に固定されたときに前記モータケースから所定の第1の方向に延びるようにされた、グリップ部を構成するグリップ部材と、
前記第2の固定部において前記モータケースに固定可能とされ、前記グリップ部材を固定可能とされたグリップ固定部を有し、前記第2の固定部に固定されたときに前記グリップ固定部に固定された前記グリップ部材が前記第1の方向に交わる第2の方向に延びるようにする、グリップ用アダプタと、
を備え、
前記グリップ部材と前記グリップ用アダプタとが前記モータケースに選択的に取付可能とされ、
前記モータケースは、前記モータを収容する収容凹部を有するモータハウジングと、前記収容凹部の開口部の側で前記モータハウジングに取り付けられたブラケットと、を有し、
前記モータハウジングは樹脂製のカップ状の一体部材として形成されており、
前記グリップ部材は、別体として形成された第1の分割部材及び第2の分割部材を有し、前記第1の分割部材と前記第2の分割部材とで前記第1の固定部を挟むようにして前記モータケースに取付可能とされ、且つ前記第1の分割部材と前記第2の分割部材とで前記グリップ固定部を挟むようにして前記グリップ用アダプタに取付可能とされた、動力工具を提供する。
【0019】
以下、本発明に係るモータユニット及び動力工具の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る動力工具(ベルト式研削工具)の斜視図である。
【
図2】
図1のベルト式研削工具の分解斜視図である。
【
図3】
図1のベルト式研削工具の上面断面図である。
【
図4】
図1のベルト式研削工具が備えるモータユニットの前方斜視図である。
【
図7】グリップ部材がモータケースに直接取り付けられているベルト式研削工具の斜視図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る動力工具(ベルト式研削工具)であって、交流電源用のグリップ部材がモータケースに直接取り付けられたベルト式研削工具の斜視図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係る動力工具(ベルト式研削工具)であって、ロボットアームに装着するための自動機用アダプタがモータユニットに取り付けられたベルト式研削工具の斜視図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態に係る動力工具(穿孔機)の分解斜視図である。
【
図12】本発明の第5の実施形態に係る動力工具(グラインダ)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の実施形態に係る動力工具100は、
図1乃至
図3に示すように、無端研削ベルトを回転駆動させて研削作業を行なうようにされた、バッテリ式のベルト式研削工具100である。
【0022】
当該ベルト式研削工具100は、モータ110を内蔵するモータユニット102と、モータユニット102に取り付けられた駆動ユニット104と、作業者が把持するグリップ部112を構成するグリップ部材106と、モータユニット102とグリップ部材106との間に取り付けられたグリップ用アダプタ108と、を備える。
【0023】
図4乃至
図6に詳細に示すように、モータユニット102は、主として、モータ110と、モータ110を収容するモータケース114とを備える。モータ110は、ブラシレスモータであり、モータケース114に固定されたステータコア116と、ステータコア116の周りに巻回されたステータコイル118と、ステータコア116の内側に配置されてステータコア116に対して回転軸線Rの周りで回転可能とされたロータ120と、ロータ120に固定された回転軸122とを有する。モータ110はさらに、ステータコイル118とステータコア116との間に配置された絶縁性のインシュレータ124を有する。インシュレータ124は、ステータコア116と共に一体成型された樹脂製の部材である。モータケース114は、モータ110のステータコア116やロータ120を収容している収容凹部126を有するモータハウジング128と、モータハウジング128に収容凹部126の開口部130の側で取り付けられたブラケット132とからなる。ブラケット132は、4つのネジ134(
図4)によりモータハウジング128に固定されて、モータ110を収容凹部126内に保持する。回転軸122は、ブラケット132からその端部が突出するようにして2つのベアリング136によって回転自在に保持され、またロータ120に固定されてロータ120とともに回転駆動される。モータユニット102はさらに、モータケース114内において回転軸122に固定されたファン138と、ファン138により生じる径方向外側への空気の流れをブラケット132側に向けるための空気流ガイド部材140とを備える。モータハウジング128は、樹脂製のカップ状の一体部材として形成されている。通常、この種のハウジング部材は分割された2つの部材により形成されることが多いが、本発明のモータハウジング128は一体部材として形成されているため、分割されているものに比べて強度が高く、またロータ120とステータコア116の芯出しをより正確に行なうことが可能となる。
【0024】
駆動ユニット104は、
図3に示すように、モータユニット102のブラケット132に固定されたベース部材142と、ベース部材142に対して長手方向に変位可能に取り付けられたテンションバー144と、テンションバー144の先端に回転自在に取り付けられたアイドルプーリ146と、モータユニット102の回転軸122に固定されたドライブプーリ148とを備える。テンションバー144はスプリング150によって前方(
図3で見て左方)に向かって付勢されている。また、アイドルプーリ146とドライブプーリ148には無端研削ベルト152が掛け回されている。無端研削ベルト152は、スプリング150の付勢力によって張力が加えられた状態で、アイドルプーリ146とドライブプーリ148との間に取り付けられている。ベース部材142には、その側面においてドライブプーリ148を覆うように、開閉可能なカバー154が取り付けられている。
【0025】
グリップ用アダプタ108は、
図2に示すように、モータケース114を収容するハウジング部156と、ハウジング部156から後方に延びる延長部158とを有する。延長部158には、グリップ部材106を取り付けるためのグリップ固定部160が設けられている。グリップ固定部160は、延長部158から後方に突出したボス160-1と延長部158の外周面上に形成された環状係止溝160-2とからなる。グリップ用アダプタ108は、ハウジング部156の端面162において、ブラケット132のアダプタ固定部164に4つのネジ166で固定される。また、グリップ用アダプタ108には、当該ベルト式研削工具100の動作をON/OFFするためのスイッチ168が取り付けられるようになっている。
【0026】
グリップ部材106は、別体として形成された第1の分割部材170と第2の分割部材172とからなる。第1の分割部材170と第2の分割部材172の前端部分には、グリップ用アダプタ108のグリップ固定部160に取り付けられるようにした固定部174が形成されている。固定部174は、第1の分割部材170と第2の分割部材172の内側で横方向に延びるように突出した突出部174-1と、第1の分割部材170と第2の分割部材172の前端で径方向内側に突出した環状突起174-2とからなる。グリップ部材106は、第1の分割部材170と第2の分割部材172の突出部174-1でボス160-1を横から挟み、且つ環状突起174-2で環状係止溝160-2を係止した状態で、第1の分割部材170と第2の分割部材172とを5つのネジ176により相互に固定することにより、グリップ用アダプタ108に固定される。5つのネジ176のうちの2つは、第1の分割部材170と第2の分割部材172の突出部174-1及びグリップ部材106のボス160-1を通して締付けられる。グリップ部材106の後端部分には、バッテリBを装着するためのバッテリ装着部178が形成されている。またバッテリ装着部178の近傍には、当該ベルト式研削工具100を制御するための制御回路180が内蔵されている。
【0027】
モータケース114の後端部分には、
図4及び
図5から良く分かるように、グリップ用アダプタ108のグリップ固定部160と同様な形状のボス182-1と環状係止溝182-2を有するグリップ固定部182が形成されている。そのため、
図1に示される形態におけるグリップ用アダプタ108をモータケース114から外して、
図7に示すようにグリップ部材106をモータケース114に直接取り付けることもできる。すなわち当該ベルト式研削工具100においては、モータユニット102のモータケース114が、グリップ部材106(第1のアタッチメント部材)を固定するためのグリップ固定部182(第1の固定部)と、グリップ用アダプタ108(第2のアタッチメント部材)を固定するためのアダプタ固定部164(第2の固定部)とを有しており、グリップ部材106とグリップ用アダプタ108とをモータケース114に選択的に取付可能となっている。これにより、
図7に示すようにグリップ部材106がモータケース114に直接取り付けられてグリップ部材106がモータ110の回転軸線Rの方向(第1の方向)に延びるようにした形態と、
図1に示すようにグリップ部材106がグリップ用アダプタ108を介してモータケース114に取り付けられてグリップ部材106がモータ110の回転軸線Rに対して直交する軸線Lの方向(第2の方向)に延びるようにした形態を、同じモータケース114で実現することが可能となっている。なお、
図1の形態においてグリップ用アダプタ108に取り付けられていたスイッチ168は、
図7の形態ではモータケース114に取り付けられる。
【0028】
図8に示す本発明の第2の実施形態に係る動力工具(ベルト式研削工具)200においては、グリップ部材206(別のアタッチメント部材)が、交流電源用のものとなっている。このグリップ部材206は、商用電源用の電気部品が実装された基板を内蔵し、また商用電源に接続するための電源コード(図示しない)を有している。このグリップ部材206も、
図7に示す形態と同様に、モータユニット102のモータケース114に直接取り付けることができる。なお、グリップ用アダプタ108及びモータユニット102に取り付けられるグリップ部材はこれらに限られず、例えばピストル形状のものや、充電池を内蔵したものなど、他の任意の形態のものとすることもできる。
【0029】
図9及び
図10に示す本発明の第3の実施形態に係る動力工具(ベルト式研削工具)300においては、グリップ用アダプタ108に代えて、自動機用アダプタ(別のアタッチメント部材)308がモータユニット102に取り付けられている。この自動機用アダプタ308は、モータユニット102を自動機のロボットアーム等の他の装置に取り付けるための取付部385を有するものである。自動機用アダプタ308は、ブラケット132のアダプタ固定部164ではなく、モータハウジング128の後端に形成された2つのネジ穴からなる別の固定部184(
図5)に2つのネジ386によって固定されるようになっている。自動機用アダプタ308の形状は、それが取り付けられる自動機に合わせて適宜変更可能である。
【0030】
図11に示す本発明の第4の実施形態に係る動力工具(穿孔機)400においては、グリップ用アダプタ108に代えて、カバーケース408(別のアタッチメント部材)がモータユニット102に取り付けられている。このカバーケース408は、自動機用アダプタ308と同様に、モータハウジング128の後端に形成された固定部184(
図5)に2つのネジ484によって固定されている。カバーケース408が取り付けられたモータユニット102は、第1の実施形態に係る動力工具100においてグリップ用アダプタ108を固定するために使用していたアダプタ固定部164の孔を利用してネジで穿孔機本体488に取り付けられる。これにより、モータユニット102によって穿孔機400の環状カッタ486を回転駆動することができるようになる。
【0031】
図12示す本発明の第5の実施形態に係る動力工具(グラインダ)500においては、モータユニット502のモータケース114は上述の実施形態のモータケース114と同じであるが、ブラケット532はギア構造を内蔵したギアケース部590を有するものとなっている。ギアケース部590内にはベベルギアが配置されている。ギア構造の回転軸は、図で見て上下方向の回転軸線の周りで回転するようになっており、その端部には砥石586が取り付けられている。当該グラインダ500においても、グリップ部材106に代えて、他のアタッチメント部材(例えば自動機用アダプタ308)をモータケース114に選択的に取付可能である。
【0032】
このように上記実施形態に係るモータユニット102、502は、様々なアタッチメント部材(グリップ部材106、グリップ用アダプタ108、グリップ部材206、自動機用アダプタ308、カバーケース408、など)のための複数の固定部(グリップ固定部182、ブラケット132のアダプタ固定部164、モータハウジング128の固定部184)を備えており、種々の動力工具100、200、300、400、500の一部を構成する複数のアタッチメント部材を選択的に取付可能となっている。そのため、共通のモータユニット102、502を使用して種々の形態の動力工具100、200、300、400、500を構成することが可能となる。これにより、例えば、複数種類の動力工具を製造する際に、モータユニット(特にモータケース)を共通部品として使用することができるため、部品管理が簡便になり、また製造コストを低減することが可能となる。
【0033】
以上に本発明の実施形態について説明をしたが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態のモータケースは、種々のアタッチメント部材を固定するための3つの固定部(グリップ固定部、ブラケットの固定部、モータハウジングの固定部)を備えているが、そのうちの2つの固定部のみを備えるようにしてもよいし、さらに別の固定部を備えるようにしてもよい。また、グリップ用アダプタがグリップ部材を保持する方向は、モータの回転軸線に対して直交する方向ではなく、例えば回転軸線に対して45度や60度傾いた方向などの、回転軸線に交わる他の方向や位置とすることもできる。グリップ用アダプタのグリップ固定部の形状は、必ずしもモータユニットのグリップ固定部と同形状である必要はなく、モータユニットに取り付けられるグリップ部材とは別のグリップ部材が取り付けられるように構成されていてもよい。動力工具は、上記のものに限られず、例えば、面取り機や電動ドライバなどの他の形態の動力工具とすることもできる。
【符号の説明】
【0034】
100 動力工具、ベルト式研削工具
102 モータユニット
104 駆動ユニット
106 グリップ部材(アタッチメント部材)
108 グリップ用アダプタ(アタッチメント部材)
110 モータ
112 グリップ部
114 モータケース
116 ステータコア
118 ステータコイル
120 ロータ
122 回転軸
124 インシュレータ
126 収容凹部
128 モータハウジング
130 開口部
132 ブラケット
134 ネジ
136 ベアリング
138 ファン
140 空気流ガイド部材
142 ベース部材
144 テンションバー
146 アイドルプーリ
148 ドライブプーリ
150 スプリング
152 無端研削ベルト
154 カバー
156 ハウジング部
158 延長部
160 グリップ固定部
160-1 ボス
160-2 環状係止溝
162 端面
164 アダプタ固定部(第2の固定部)
166 ネジ
168 スイッチ
170 第1の分割部材
172 第2の分割部材
174 固定部
174-1 突出部
174-2 環状突起
176 ネジ
178 バッテリ装着部
180 制御回路
182 グリップ固定部(第1の固定部)
182-1 ボス
182-2 環状係止溝
184 固定部
200 動力工具、ベルト式研削工具
206 グリップ部材(アタッチメント部材)
300 動力工具、ベルト式研削工具
308 自動機用アダプタ(アタッチメント部材)
385 取付部
386 ネジ
400 穿孔機
400 動力工具、穿孔機
408 カバーケース(アタッチメント部材)
484 ネジ
486 環状カッタ
488 穿孔機本体
500 動力工具、グラインダ
502 モータユニット
532 ブラケット
586 砥石
590 ギアケース部
B バッテリ
R 回転軸線
L 直交する軸線