(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110574
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】フロントローダ
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
E02F9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015225
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】阿瀬 弘紀
(72)【発明者】
【氏名】関 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】立石 亮太
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015HA01
2D015HB05
(57)【要約】
【課題】作業具の揺動状態を容易に確認することが可能なフロントローダを提供する。
【解決手段】バケット13が連結されるブーム12と、バケット13をブーム12に対して揺動させるためのバケットシリンダ15と、バケット13の揺動状態を表示するためのインジケータ装置17と、を具備し、インジケータ装置17は、バケットシリンダ15に対して相対移動不能な第1部材と、バケット13の揺動に伴って第1部材に対して相対移動可能であり、第1部材との相対的な位置関係に応じてバケット13の揺動状態を表示可能な第2部材30と、を具備する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業具が連結されるブームと、
前記作業具を前記ブームに対して揺動させるための作業具シリンダと、
前記作業具の揺動状態を表示するためのインジケータ装置と、
を具備し、
前記インジケータ装置は、
前記作業具シリンダに対して相対移動不能な第1部材と、
前記作業具の揺動に伴って前記第1部材に対して相対移動可能であり、前記第1部材との相対的な位置関係に応じて前記作業具の揺動状態を表示可能な第2部材と、
を具備する、フロントローダ。
【請求項2】
前記第2部材は、
前記作業具の揺動に伴って移動可能な連動部材と、
前記連動部材に位置調整可能に設けられ、前記第1部材との相対的な位置関係を示す表示部材と、
を具備する、
請求項1に記載のフロントローダ。
【請求項3】
前記連動部材は、
軸状に形成され、
前記表示部材は、
前記連動部材の長手方向に摺動可能、かつ、任意の位置で前記連動部材に対して固定可能となるように設けられる、
請求項2に記載のフロントローダ。
【請求項4】
前記表示部材は、
前記連動部材の軸線を中心とした回転を規制する回転規制部を具備する、
請求項3に記載のフロントローダ。
【請求項5】
前記連動部材は、
揺動連結部を介して前記作業具に揺動可能に支持され、
前記インジケータ装置は、
前記連動部材の揺動を規制する揺動規制部材をさらに具備し、
前記揺動規制部材は、
前記第1部材よりも前記揺動連結部に近い位置に配置される、
請求項2に記載のフロントローダ。
【請求項6】
前記揺動規制部材は、
前記作業具シリンダの軸方向における中途部に設けられる、
請求項5に記載のフロントローダ。
【請求項7】
前記作業具シリンダを、前記ブームに対して揺動可能に連結する揺動軸をさらに具備し、
前記第1部材は、
前記揺動軸に支持される、
請求項1に記載のフロントローダ。
【請求項8】
前記第1部材は、
前記作業具シリンダに当接することによって、前記揺動軸の軸線を中心とした周方向の回転が規制される、
請求項7に記載のフロントローダ。
【請求項9】
前記連動部材は、
複数の前記表示部材を取付可能に構成される、
請求項2に記載のフロントローダ。
【請求項10】
前記ブームには、
前記ブームの揺動に応じて動作することで、前記作業具の姿勢を維持する姿勢維持機構を取り付け可能であり、
前記インジケータ装置は、
前記姿勢維持機構が前記ブームに取り付けられた状態で設置可能に構成される、
請求項1に記載のフロントローダ。
【請求項11】
前記表示部材は、
前記第1部材に形成された第1板部との相対的な位置関係に応じて、前記作業具の揺動状態を表示可能な第2板部を具備する、
請求項2に記載のフロントローダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業車に装着されるフロントローダの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタ等の作業車に装着されるフロントローダに関する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載されるフロントローダは、作業者がバケットの姿勢(揺動状態)を認識するためのインジケータロッドを具備する。インジケータロッドの中途部には、屈曲部が形成される。当該インジケータロッドは、ブームに固定されたステーに挿通され、バケットの揺動に伴ってステーに対して摺動することができる。作業者は、屈曲部とステーとの位置関係に基づいて、バケットの姿勢を確認することができる。
【0004】
ここで、作業者は作業中にバケットの姿勢を確認することが多いため、バケットの姿勢を容易に確認可能なインジケータ装置の技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一態様は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、作業具の揺動状態を容易に確認することが可能なフロントローダを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本開示の一態様においては、作業具が連結されるブームと、前記作業具を前記ブームに対して揺動させるための作業具シリンダと、前記作業具の揺動状態を表示するためのインジケータ装置と、を具備し、前記インジケータ装置は、前記作業具シリンダに対して相対移動不能な第1部材と、前記作業具の揺動に伴って前記第1部材に対して相対移動可能であり、前記第1部材との相対的な位置関係に応じて前記作業具の揺動状態を表示可能な第2部材と、を具備するものである。
本開示の一態様によれば、作業具の揺動状態を容易に確認することができる。
【0009】
本開示の一態様においては、前記第2部材は、前記作業具の揺動に伴って移動可能な連動部材と、前記連動部材に位置調整可能に設けられ、前記第1部材との相対的な位置関係を示す表示部材と、を具備するものである。
本開示の一態様によれば、作業具の種類やフロントローダの各部の組立誤差等に応じて表示部材の位置の調整を行うことができる。
【0010】
本開示の一態様においては、前記連動部材は、軸状に形成され、前記表示部材は、前記連動部材の長手方向に摺動可能、かつ、任意の位置で前記連動部材に対して固定可能となるように設けられるものである。
本開示の一態様によれば、第2部材を簡素な構成とすることができる。
【0011】
本開示の一態様においては、前記表示部材は、前記連動部材の軸線を中心とした回転を規制する回転規制部を具備するものである。
本開示の一態様によれば、表示部材の回転が規制されることで、連動部材の軸線回りの表示部材の位置決めを容易に行うことができる。
【0012】
本開示の一態様においては、前記連動部材は、揺動連結部を介して前記作業具に揺動可能に支持され、前記インジケータ装置は、前記連動部材の揺動を規制する揺動規制部材をさらに具備し、前記揺動規制部材は、前記第1部材よりも前記揺動連結部に近い位置に配置されるものである。
本開示の一態様によれば、連動部材の長さを短くすることができため、美観の向上を図ることができると共に、連動部材の強度を向上させることができる。
【0013】
本開示の一態様においては、前記揺動規制部材は、前記作業具シリンダの軸方向における中途部に設けられるものである。
本開示の一態様によれば、連動部材の長さを短くすることができる。
【0014】
本開示の一態様においては、前記作業具シリンダを、前記ブームに対して揺動可能に連結する揺動軸をさらに具備し、前記第1部材は、前記揺動軸に支持されるものである。
本開示の一態様によれば、作業具シリンダを支持する揺動軸を、第1部材を支持する用途としても用いることができるため、構成の簡素化を図ることができる。
【0015】
本開示の一態様においては、前記第1部材は、前記作業具シリンダに当接することによって、前記揺動軸の軸線を中心とした周方向の回転が規制されるものである。
本開示の一態様によれば、作業具シリンダを利用して、第1部材の回転を規制することができ、構成の簡素化を図ることができる。
【0016】
本開示の一態様においては、前記連動部材は、複数の前記表示部材を取付可能に構成されるものである。
本開示の一態様によれば、利便性を向上することができる。
【0017】
本開示の一態様においては、前記ブームには、前記ブームの揺動に応じて動作することで、前記作業具の姿勢を維持する姿勢維持機構を取り付け可能であり、前記インジケータ装置は、前記姿勢維持機構が前記ブームに取り付けられた状態で設置可能に構成されるものである。
本開示の一態様によれば、姿勢維持機構をブームに取り付けた状態でインジケータ装置を使用することができるため、利便性を向上することができる。
【0018】
本開示の一態様においては、前記表示部材は、前記第1部材に形成された第1板部との相対的な位置関係に応じて、前記作業具の揺動状態を表示可能な第2板部を具備するものである。
本開示の一態様によれば、板部同士の位置関係に基づいて、作業具の揺動状態を容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、作業具の揺動状態を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るフロントローダを具備するトラクタの全体的な構成を示した側面図。
【
図3】ブーム及びインジケータ装置を示した斜視図。
【
図5】(a)インジケータロッド先端部近傍を示した拡大側面図。(b)インジケータロッド先端部近傍を矢印A1方向から見た図。
【
図6】インジケータロッド先端部近傍を示した斜視図。
【
図7】バケットを揺動させたフロントローダを示した側面図。
【
図8】(a)
図7の状態において、インジケータロッド先端部近傍を示した拡大側面図。(b)
図7の状態において、インジケータロッド先端部近傍を矢印A1方向から見た図。
【
図9】本発明の第二実施形態に係るフロントローダを示した側面図。
【
図10】(a)インジケータロッド先端部近傍を示した拡大側面図。(b)インジケータロッド先端部近傍を矢印A2方向から見た図。
【
図11】ブームを揺動させたフロントローダを示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0022】
以下では、本発明の第一実施形態に係るフロントローダ10を具備するトラクタ1の全体構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、トラクタ1は、主として機体フレーム2、エンジン3、トランスミッションケース4、前輪5、後輪6、ボンネット7、キャビン8、ステアリングホイール9及びフロントローダ10を具備する。
【0024】
機体フレーム2は、複数の板材を適宜組み合わせて形成される枠状の部材である。機体フレーム2は、平面視略矩形状に形成される。機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けて配置される。機体フレーム2の後部にはエンジン3が固定される。当該エンジン3の後部には、トランスミッションケース4が固定される。機体フレーム2の前部は、フロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪5に支持される。トランスミッションケース4の後部は、リアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪6に支持される。エンジン3はボンネット7に覆われる。
【0025】
エンジン3の動力は、トランスミッションケース4に収容された変速装置(不図示)で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪5に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪6に伝達可能とされる。エンジン3の動力によって前輪5及び後輪6が回転駆動され、トラクタ1は走行することができる。
【0026】
エンジン3の後方にはキャビン8が設けられる。キャビン8の内部には、作業者が搭乗する居住空間が形成される。当該居住空間には、前輪5の切れ角を調節するためのステアリングホイール9、種々の操作具及び作業者が着座するための座席等が配置される。
【0027】
トラクタ1の前部には、フロントローダ10が装着される。以下では
図2及び
図3を参照し、フロントローダ10の構成について説明する。
【0028】
図2に示すように、フロントローダ10は、サイドフレーム11、ブーム12、バケット13、ブームシリンダ14、バケットシリンダ15、リンク機構16及びインジケータ装置17を具備する。
【0029】
サイドフレーム11は、トラクタ1の車体(機体フレーム2及びトランスミッションケース4)に着脱可能に設けられる。サイドフレーム11は、車体の左右にそれぞれ設けられる。
【0030】
ブーム12は、左右のサイドフレーム11にそれぞれ揺動可能に支持される。ブーム12は、サイドフレーム11の上部から前下方に向けて延びるように配置される。ブーム12は、ブームフレーム12a及びサイドプレート12bを具備する。ブームフレーム12aは、ブーム12の主たる構造体を成すものである。
図2及び
図3に示すように、サイドプレート12bは、略板状に形成され、ブームフレーム12aの前後中途部に設けられる。またサイドプレート12bは、ブームフレーム12aの左右にそれぞれ設けられる。
【0031】
図2に示すバケット13は、前方に開口するように形成される。バケット13は、ブーム12の前端部に揺動可能に連結される。
【0032】
ブームシリンダ14は、ブーム12をサイドフレーム11に対して揺動させるためのものである。ブームシリンダ14は、左右のブーム12にそれぞれ設けられる。ブームシリンダ14は、サイドフレーム11及びブーム12に揺動可能に連結される。
【0033】
バケットシリンダ15は、バケット13をブーム12に対して揺動させるためのものである。バケットシリンダ15は、本体部15aと、本体部15aに対して伸縮可能なロッド15bとを具備する。バケットシリンダ15は、左右のブーム12にそれぞれ設けられる。
図2及び
図3に示すように、バケットシリンダ15の本体部15aの上端部は、軸方向を左右方向に向けた揺動軸15cを介してサイドプレート12bに揺動可能に連結される。またバケットシリンダ15のロッド15bの下端部は、リンク機構16を介してバケット13に揺動可能に連結される。バケットシリンダ15は、ブームフレーム12aの前方において、当該ブームフレーム12aに対して左右の位置を合わせて配置される(
図2及び
図4参照)。
【0034】
リンク機構16は、第1リンク部材16a及び第2リンク部材16bを具備する。第1リンク部材16aは、ブーム12の前端部に揺動可能に連結される。第2リンク部材16bは、バケット13に揺動可能に連結される。バケットシリンダ15の下端部、第1リンク部材16a及び第2リンク部材16bは、軸方向を左右方向に向けた揺動軸16cを介して互いに揺動可能に連結される。
【0035】
作業者は、ブームシリンダ14及びバケットシリンダ15を伸縮させることで、ブーム12及びバケット13を揺動させることができる。これによって作業者は、所望の作業、例えば土砂の運搬作業を行うことができる。ここで、作業者は、バケット13の姿勢(ブーム12に対する揺動状態)を確認しながら作業することとなるが、キャビン8の座席からバケット13を視認しようとするとボンネット7が邪魔になってしまう。
【0036】
そこで本実施形態のフロントローダ10には、バケット13の姿勢を表示するためのインジケータ装置17が設けられている。インジケータ装置17は、ボンネット7が邪魔にならない位置でバケット13の姿勢を表示することができる。このため作業者は、インジケータ装置17を視認することで、バケット13の姿勢を容易に把握することができ、作業を効率的に行うことができる。なお本実施形態では、地面に載置されたバケット13が地面に水平な姿勢であるか否かを把握することができる。
【0037】
以下では
図2から
図6を参照し、インジケータ装置17の構成について説明する。なおなお、
図2から
図6に示す状態では、バケット13が地面に水平な姿勢で載置されているものとして、インジケータ装置17の構成を説明する。また以下では、この状態を「水平な状態」と称する。
【0038】
図3に示すように、インジケータ装置17は、右側のブーム12に設けられる。なおインジケータ装置17が設けられる部材は、右側のブーム12に限定されるものではない。例えばインジケータ装置17は、左側のブーム12に設けられてもよい。
図3及び
図4に示すように、インジケータ装置17は、第1部材20、第2部材30及び揺動規制部材40を具備する。
【0039】
第1部材20は、作業者がバケット13の姿勢を確認する際に基準となる部材である。第1部材20は、略板状の部材によって構成される。
図5に示すように、第1部材20は、取付部21、当接部22、接続部23及び目印部24を具備する。なお
図5(b)は、
図5(a)に示す矢印A1方向から第1部材20及び第2部材30を見た図である。
【0040】
取付部21は、第1部材20を揺動軸15cに取り付けるための部分である。取付部21は、板面を左右方向(揺動軸15cの軸方向)に向けた板状に形成される。取付部21は、バケットシリンダ15を挟んで左右一対形成される。
図5(a)に実線で示すように、右側の取付部21は、側面視略C字状に形成される。また
図5(a)に破線で示すように、左側の取付部21は、側面視略円環状に形成される。
【0041】
当接部22は、バケットシリンダ15に対して当接する部分である。当接部22は、略板状に形成される。
図5(b)に示すように、当接部22は、左右の取付部21に亘るように形成される。
【0042】
接続部23は、当接部22と目印部24とを接続する部分である。
図5(a)に示すように、接続部23は、当接部22から上方へ延出するように形成される。
【0043】
目印部24は、バケット13の姿勢の目印となる部分である。目印部24は、略板状に形成される。
図5(b)に示すように、目印部24は、左右幅が接続部23よりも大きくなるように形成され、左端部が接続部23の左端部よりも左側(第2部材30側)に位置する。
【0044】
図3及び
図5に示すように、第1部材20は、揺動軸15cに支持される。より詳細には、第1部材20は、左側(円環状)の取付部21に揺動軸15cが挿通されると共に、右側(略C字状)の取付部21が揺動軸15cに引っ掛けられることにより、左右のサイドプレート12bの内側で揺動軸15cに支持される。
【0045】
また当接部22は、
図5(a)に示すように、バケットシリンダ15の上端部において、バケットシリンダ15の外周面と当接する。これによって第1部材20は、揺動軸15cの軸線を中心とした回転が規制される。また第1部材20は、
図5(b)に示すように、サイドプレート12b及びバケットシリンダ15に取付部21が挟まれることで、揺動軸15cの軸線に沿った移動が規制される。このようにして第1部材20は、バケットシリンダ15に対して相対移動不能に設けられる。目印部24は、バケットシリンダ15の軸方向において、バケットシリンダ15の上端部から突出するように配置される。当該目印部24は、
図2に示す状態において、サイドプレート12b及びバケットシリンダ15よりも高い位置に配置される(
図5(a)参照)。
【0046】
図3及び
図4に示す第2部材30は、第1部材20との相対的な位置関係に応じてバケット13の揺動状態を表示可能な部材である。第2部材30は、第1部材20のすぐ左方に配置される。第2部材30は、連結プレート31、インジケータロッド32及び表示部材33を具備する。
【0047】
連結プレート31は、インジケータロッド32とバケット13とを連結するためのものである。連結プレート31は、略板状に形成される。また連結プレート31は、上下に延びる第1板部31a、当該第1板部31aの上端部から右方へ延出する第2板部31bを有する正面視略逆J字状に形成される。連結プレート31(第1板部31a)は、リンク機構16の揺動軸16cに揺動可能に支持される。
【0048】
インジケータロッド32は、バケット13の揺動に伴って移動可能な部材である。インジケータロッド32は、軸状に形成される。本実施形態のインジケータロッド32は、略丸棒状に形成される。インジケータロッド32は、前下がりに傾斜するように配置される。
図5及び
図6に示すように、インジケータロッド32は、平面部32aを具備する。
【0049】
平面部32aは、板面を所定方向(
図6では右方向)に向けた平らな部分である。平面部32aは、インジケータロッド32の外周面における上端部に形成される。平面部32aは、例えばフライス加工等によってインジケータロッド32の外周面が切削されることで形成される。後述するように、インジケータロッド32のうち、平面部32aが形成される部分に表示部材33が取り付けられる。本実施形態の平面部32aは、複数の表示部材33を取付可能となるように、インジケータロッド32の軸方向における所定範囲に亘って形成される(
図5(b)参照)。
【0050】
図2から
図4に示すインジケータロッド32の下端部は、連結プレート31(第2板部31bの下面)に固定される。本実施形態ではインジケータロッド32の下端部は、連結プレート31に溶接される。これによってインジケータロッド32は、連結プレート31及びリンク機構16を介してバケット13に揺動可能に連結される。当該インジケータロッド32は、連結プレート31から後上方へ延出し、サイドプレート12b及び第1部材20の目印部24の左方を通過するように配置される。
【0051】
なおインジケータロッド32は、後述する揺動規制部材40によって、揺動軸16cを中心とした所定の範囲を超える揺動が規制されている。これによってインジケータロッド32は、バケット13の揺動に伴って揺動しながら、第1部材20に対してインジケータロッド32の軸方向に相対移動することができる。
【0052】
表示部材33は、第1部材20との相対的な位置を示すための部材である。表示部材33は、樹脂等の可撓性を有する部材によって構成される。
図5及び
図6に示すように、表示部材33は、目印部33a及び挿通部33bを具備する。
【0053】
目印部33aは、第1部材20との相対的な位置の目印となる部分である。目印部33aは、略板状に形成される。目印部33aは、板面を第1部材20の目印部24と同一方向に向けて配置される。目印部33aは、互いに対向するように一対設けられる。目印部33aの幅(インジケータロッド32の軸方向幅)は、第1部材20の目印部24の幅と略同一の幅となっている(
図5(b)参照)。
【0054】
挿通部33bは、一対の目印部33a同士を接続する部分である。挿通部33bは、略円筒状に形成される。より具体的には、挿通部33bは、当該挿通部33bの軸方向から見て、一対の目印部33aを接続する円弧状に形成される。挿通部33bには、インジケータロッド32を挿通することができる。挿通部33bの内側面は、インジケータロッド32の外周面(平面部32aが形成される部分)と略同一形状に形成される。当該挿通部33bには、インジケータロッド32の平面部32aに対応するように、平面部33cが形成される。
【0055】
表示部材33は、インジケータロッド32の上端部に取り付けられる。本実施形態では、表示部材33は、地面に載置されたバケット13が水平な状態(
図2に示す状態)の場合に、第1部材20の目印部24に表示部材33の目印部33aの位置が合うように取り付けられる。具体的には、
図5(b)に実線で示すように、インジケータ装置17を
図5(a)の矢印A1方向から見たときに、第1部材20の目印部24の上端部及び下端部と、表示部材33の目印部33aの上端部及び下端部との位置が一致するように取り付けられる。なお矢印A1方向は、表示部材33の目印部33aに対して垂直な方向である。
【0056】
図3及び
図4に示す揺動規制部材40は、インジケータロッド32の揺動を規制するためのものである。揺動規制部材40は、バケットシリンダ15の中途部に設けられる。
図4に示すように、揺動規制部材40は、板状部材41及び取付部材42を具備する。
【0057】
板状部材41は、板面を第1部材20の当接部22と同一方向に向けて配置される。板状部材41は、バケットシリンダ15(本体部15a)の外周面に載置される。板状部材41の左端部は、バケットシリンダ15よりも左方に配置される。板状部材41は、挿通部41aを具備する。
【0058】
挿通部41aは、板状部材41の左端部から前上方へ延出するように形成される。挿通部41aには、貫通孔41bが形成される。貫通孔41bは、インジケータロッド32の外径よりも大きな内径を有する略円状に形成される。
【0059】
取付部材42は、板状部材41をバケットシリンダ15に取り付けるための部材である。取付部材42は、正面視略U字状に形成される。
【0060】
取付部材42は、バケットシリンダ15の中途部に下方から外嵌され、板状部材41にナットで締結される。これによって、揺動規制部材40がバケットシリンダ15の中途部に固定される。また板状部材41の挿通孔41cには、インジケータロッド32が挿通される。揺動規制部材40は、バケットシリンダ15の本体部15aのうち、軸方向における中央部近傍に固定される。本実施形態では、揺動規制部材40は、本体部15aの中央よりも、やや前下方に固定される。このようにして、揺動規制部材40は、第1部材20よりも、インジケータロッド32の揺動支点(揺動軸16c、連結プレート31)に近い位置に配置される。
【0061】
これによって揺動規制部材40は、第1部材20の前下方において、バケットシリンダ15の軸方向に沿うようにインジケータロッド32を支持することができる。また揺動規制部材40は、インジケータロッド32の前記軸方向に沿った移動を許容することができる。このように、本実施形態では、インジケータロッド32を支持する揺動規制部材40と、バケット13の姿勢の基準となる第1部材20とが別部材となっている。
【0062】
上述の如く構成されるフロントローダ10のバケット13は、バケットシリンダ15の伸縮に伴って揺動する。インジケータロッド32は、揺動軸16cを介してバケット13に支持されるため、バケット13が揺動すると、当該揺動に連動して移動する。この際インジケータロッド32は、揺動規制部材40の貫通孔41bを軸方向に沿って摺動し、第1部材20に対して相対移動する。
【0063】
したがって、
図7及び
図8に示すように、地面に載置されたバケット13が地面に対して水平でない場合、第1部材20の目印部24に対して表示部材33の目印部33aの位置がずれることになる。作業者は、この目印部24・33aの位置関係を確認することで、地面に載置されたバケット13が水平な状態であるか否かを把握することができる。
【0064】
ここで、本実施形態の第1部材20は、バケットシリンダ15に相対移動不能となるように揺動軸15cに支持されて、目印部24がサイドプレート12b及びバケットシリンダ15よりも上方に配置されている(
図8(a)参照)。また第1部材20は、揺動規制部材40よりもキャビン8側(作業者側)に配置される(
図7参照)。これによって座席から見易い位置に第1部材20を配置することができるため、第1部材20の視認性を向上することができる。
【0065】
また第2部材30は、第1部材20の左方、すなわち左右のブーム12の内側に配置される。これにより座席から第2部材30を視認する際に、ブーム12が邪魔になり難いため、第2部材30の視認性を向上することができる。
【0066】
また第1部材20及び第2部材30の視認性の向上によって、第1部材20及び表示部材33の目印部24・33aの位置関係を容易に確認することができるため、バケット13の姿勢を容易に把握することができる。
【0067】
またインジケータロッド32の揺動を規制する揺動規制部材40が、第1部材20の前下方に配置されることで(
図2参照)、インジケータロッド32の揺動支点(揺動軸16c、連結プレート31)から揺動規制部材40までの距離を比較的短くすることができる。これによってインジケータロッド32の長さを短くすることができるため、インジケータロッド32がブーム12から大きくはみ出すのを抑制し、美観の向上を図ることができる。またインジケータロッド32の長さを短くすることにより、インジケータロッド32の強度を向上させることができると共に、インジケータロッド32の部品管理を容易にすることができる。
【0068】
また
図4に示すように、インジケータロッド32の下端部は、連結プレート31の内側面に固定される。これによりインジケータロッド32の下端部を連結プレート31で保護することができる。特に本実施形態では、インジケータロッド32の下端部は連結プレート31に溶接されるため、溶接ビードを連結プレート31で保護することができる。これによって溶接ビードの不具合(割れ等)の発生を抑制することができる。
【0069】
また本実施形態のインジケータ装置17の各種部材は、ブーム12やバケット13等とは別部材(溶接等によって一体形成されていない部材)であるため、インジケータ装置17を機種の異なる複数のフロントローダ10に設置することができ、汎用性を向上することができる。また、インジケータ装置17が標準装備されるフロントローダ10と、インジケータ装置17がオプションで装備可能なフロントローダ10との間でブーム12やバケット13を兼用することができるため、フロントローダ10の製造工場での部品管理を容易にすることができる。
【0070】
以下では
図5及び
図6を参照し、表示部材33をインジケータロッド32に取り付ける手順について説明する。
【0071】
まず作業者は、表示部材33の挿通部33bにインジケータロッド32を挿通する。本実施形態では、インジケータロッド32及び表示部材33に平面部32a・33cが形成されるため、挿通部33bにインジケータロッド32を挿通すると、これら平面部32a・33cが当接する。これによってインジケータロッド32の軸方向を中心とした表示部材33の回転が規制されるため、表示部材33の周方向における位置決めを容易に行うことができる。
【0072】
また作業者は、インジケータロッド32の軸方向に挿通部33bを摺動させることで、第1部材20の目印部24に対する表示部材33の目印部33aの位置を調整することができる。この位置調整により、フロントローダ10の組み付け誤差等に応じて、表示部材33の位置が適宜調整される。
【0073】
作業者は、表示部材33の位置調整が完了すると、一対の目印部33aにボルトBを締結することで、挿通部33bを閉じるように表示部材33を弾性変形させ、調整した位置に表示部材33を固定する。ここで、表示部材33は、大きさが小さく重量も比較的軽いため、比較的小さい締結力でインジケータロッド32に固定可能である。そこで本実施形態の表示部材33は、手締めのボルトBにより、インジケータロッド32に固定される。これによって工具を用いることなく表示部材33をインジケータロッド32に取り付けることができ、表示部材33の取付作業を効率的に行うことができる。
【0074】
上述の如く、インジケータロッド32は、複数の表示部材33を取付可能に構成される。そこで作業者は、バケット13の複数の姿勢のそれぞれに対応するように複数の表示部材33を取り付けることで、インジケータ装置17を用いてバケット13の複数の姿勢を把握することもできる。例えば、
図5に示すインジケータ装置17に、もう1つ表示部材33を追加することで、水平な状態と、水平な状態からバケット13が所定角度揺動された状態とを容易に把握することができる。
【0075】
以上の如く、本実施形態に係るフロントローダ10は、バケット13(作業具)が連結されるブーム12と、前記バケット13を前記ブーム12に対して揺動させるためのバケットシリンダ15と、前記バケット13の揺動状態を表示するためのインジケータ装置17と、を具備し、前記インジケータ装置17は、前記バケットシリンダ15に対して相対移動不能な第1部材20と、前記バケット13の揺動に伴って前記第1部材20に対して相対移動可能であり、前記第1部材20との相対的な位置関係に応じて前記バケット13の揺動状態を表示可能な第2部材30と、を具備するものである。
【0076】
このように構成することにより、バケットシリンダ15の揺動に関わらず、バケットシリンダ15の位置を基準に第1部材20の位置を容易に把握することができるため、バケット13の揺動状態(第1部材20と第2部材30との位置関係)を容易に確認することができる。
【0077】
また、前記第2部材30は、前記バケット13の揺動に伴って移動可能なインジケータロッド32(連動部材)と、前記インジケータロッド32に位置調整可能に設けられ、前記第1部材20との相対的な位置関係を示す表示部材33と、を具備するものである。
【0078】
このように構成することにより、フロントローダ10の各部の組立誤差等に応じて表示部材33の位置の調整を行うことができる。
【0079】
また、前記インジケータロッド32は、軸状に形成され、前記表示部材33は、前記インジケータロッド32の長手方向に摺動可能、かつ、任意の位置で前記インジケータロッド32に対して固定可能となるように設けられるものである。
【0080】
このように構成することにより、第2部材30を簡素な構成とすることができる。
【0081】
また、前記表示部材33は、前記インジケータロッド32の軸線を中心とした回転を規制する平面部33c(回転規制部)を具備するものである(
図6参照)。
【0082】
このように構成することにより、インジケータロッド32の軸線回りの表示部材33の位置決めを容易に行うことができる。
【0083】
また、前記インジケータロッド32は、連結プレート31(揺動連結部)を介して前記バケット13に揺動可能に支持され、前記インジケータ装置17は、前記インジケータロッド32の揺動を規制する揺動規制部材40をさらに具備し、前記揺動規制部材40は、前記第1部材20よりも前記連結プレート31に近い位置に配置されるものである(
図4参照)。
【0084】
このように構成することにより、インジケータロッド32の長さを短くすることができる。これによって美観の向上を図ることができると共に、インジケータロッド32の強度を向上させることができる。
【0085】
また、前記揺動規制部材40は、前記バケットシリンダ15の軸方向における中途部に設けられるものである。
【0086】
このように構成することにより、インジケータロッド32の長さを短くすることができる。
【0087】
また、前記フロントローダ10は、前記バケットシリンダ15を、前記ブーム12に対して揺動可能に連結する揺動軸15cをさらに具備し、前記第1部材20は、前記揺動軸15cに支持されるものである。
【0088】
このように構成することにより、バケットシリンダ15を支持する揺動軸15cを、第1部材20を支持する用途としても用いることができるため、構成の簡素化を図ることができる。
【0089】
また、前記第1部材20は、前記バケットシリンダ15に当接することによって、前記揺動軸15cの軸線を中心とした周方向の回転が規制されるものである。
【0090】
このように構成することにより、バケットシリンダ15を利用して、第1部材20の回転を規制することができ、構成の簡素化を図ることができる。
【0091】
また、前記インジケータロッド32は、複数の前記表示部材33を取付可能に構成されるものである(
図5(b)参照)。
【0092】
このように構成することにより、利便性を向上することができる。
【0093】
また、前記表示部材33は、前記第1部材20に形成された目印部24(第1板部)との相対的な位置関係に応じて、前記バケット13の揺動状態を表示可能な目印部33a(第2板部)を具備するものである。
【0094】
このように構成することにより、目印部24・33a同士の位置関係に基づいて、バケット13の揺動状態を容易に確認することができる。
【0095】
なお、本実施形態に係るバケット13は、本発明に係る作業具の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るバケットシリンダ15は、本発明に係る作業具シリンダの実施の一形態である。
また、本実施形態に係るインジケータロッド32は、本発明に係る連動部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る平面部33cは、本発明に係る回転規制部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る連結プレート31は、本発明に係る揺動連結部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る目印部24は、本発明に係る第1板部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る目印部33aは、本発明に係る第2板部の実施の一形態である。
【0096】
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0097】
例えば、ブーム12には、バケット13が連結されるものとしたが、ブーム12に連結される作業具はバケット13に限定されるものではなく、任意に変更可能である。例えばブーム12には、パレットフォーク、グラップル等が連結されてもよい。また作業者は、作業具を変更する場合に、インジケータロッド32に対する表示部材33の取付位置を作業具に応じた位置に変更することで、変更後の作業具の姿勢をインジケータ装置17で確認することができる。このように、表示部材33がインジケータロッド32に位置調整可能に構成されることで、1つのインジケータ装置17で複数種類の作業具の姿勢を表示することができるため、汎用性を向上することができる。
【0098】
なお表示部材33は、複数の作業具に応じて、インジケータロッド32に複数取り付けられてもよい。これによって、作業具を変更するたびに表示部材33の位置調整を行わなくて済むため、利便性を向上することができる。
【0099】
また本実施形態のインジケータ装置17は、地面に載置されたバケット13が地面に水平な姿勢であることを確認可能なものとしたが、表示部材33の位置調整により、任意の姿勢を確認可能となるようにインジケータ装置17を構成することも可能である。
【0100】
また目印部24・33aの幅は、互いに略同一であるものとしたが、目印部24・33aの幅の大小関係は特に限定されるものではなく、互いに異なる幅であってもよい。この場合作業者は、例えば目印部24・33aの中で基準となる部分(上端部、下端部等)の位置関係を確認することで、バケット13の姿勢を把握することができる。また、目印部24・33aの形状、大きさ、個数等は特に限定するものではなく、両者(目印部24・33a)の相対的な位置関係によって作業具の姿勢を把握できるものであれば、目印部24・33aの形状等は任意に変更することが可能である。
【0101】
また第1部材20は、揺動軸15cに支持されるものとしたが、バケットシリンダ15に対して相対移動不能に設けられるのであれば、その構成は特に限定されない。例えば第1部材20は、溶接等によってバケットシリンダ15に固定されてもよい。
【0102】
また第2部材30(インジケータロッド32)は、揺動軸16cに支持されるものとしたが、バケット13の揺動に伴って第1部材20に対して相対移動するのであれば、その構成(取付位置、形状等)は特に限定されない。
【0103】
またインジケータロッド32は、複数の表示部材33を取付可能に構成されるものとしたが(
図5(b)参照)、表示部材33を取付可能な個数は特に限定されるものではない。すなわちインジケータロッド32は、表示部材33を1つだけ取付可能に構成されてもよい。
【0104】
また連結プレート31は、正面視略逆J字状に形成されるものとしたが(
図4参照)、バケット13に連結されるのであれば、連結プレート31の形状は特に限定されない。
【0105】
また表示部材33は、平面部33cによりインジケータロッド32に対する回転が規制されるものとしたが、回転を規制するための構成は、特に限定されるものではない。例えば表示部材33は、キー溝やスプライン嵌合等によって回転が規制されるものでもよい。
【0106】
また揺動規制部材40は、インジケータロッド32の揺動を規制可能であればよく、その構成は本実施形態に限定されない。例えば揺動規制部材40は、第1部材20の前下方に配置されるものとしたが(
図7参照)、第1部材20との位置関係は、特に限定されるものではない。また揺動規制部材40は、バケットシリンダ15に固定されるものとしたが、揺動規制部材40が固定される部材は、特に限定されるものではなく、例えばブーム12等に揺動規制部材40が固定されてもよい。
【0107】
次に、第二実施形態に係るフロントローダ110について説明する。
【0108】
図9に示す第二実施形態に係るフロントローダ110は、ブーム12が揺動してもバケット13の姿勢を維持することが可能な姿勢維持機構50を具備する点で、
図2に示す第一実施形態に係るフロントローダ10と相違する。このため以下では、姿勢維持機構50に関する構成を中心に本実施形態のフロントローダ110を説明する。
【0109】
図9に示すサイドフレーム11は、姿勢維持機構50を取付可能に構成される。具体的には、サイドフレーム11は、フレーム側挿通孔11aを具備する。フレーム側挿通孔11aは、サイドフレーム11を左右に貫通するように形成される。フレーム側挿通孔11aは、ブーム12を揺動可能に支持する揺動部11bとは異なる位置に形成される。
【0110】
ブーム12は、姿勢維持機構50を取付可能に構成される。具体的には、ブーム12は、ブーム側挿通孔12cを具備する。ブーム側挿通孔12cは、ブームフレーム12a及びサイドプレート12bを左右に貫通するように形成される。
【0111】
姿勢維持機構50は、第1リンク部材51及び第2リンク部材52を具備する。第1リンク部材51は、ブーム12に対して揺動可能な部材である。第1リンク部材51は、1つのブーム12を挟んで左右一対設けられる。第1リンク部材51は、略前後方向に長く延びる長手状に形成される。第1リンク部材51の後端部は、フレーム側挿通孔11aの側方に配置される。
【0112】
第1リンク部材51及びフレーム側挿通孔11aには、軸線方向を左右方向に向けた第1揺動軸51aが挿通される。これによって第1リンク部材51は、左右方向を軸方向としてサイドフレーム11に対して揺動することができる。
【0113】
第2リンク部材52は、バケットシリンダ15及び第1リンク部材51と連結される部材である。第2リンク部材52は、ブーム12及びバケットシリンダ15を挟んで左右一対設けられる。第2リンク部材52は、板面を略左右方向に向けた板状に形成される。第2リンク部材52は、側面視略三角形状に形成される。第2リンク部材52の下端部は、ブーム側挿通孔12cの側方に配置される。また左右一対の第2リンク部材52の前端部52eは、ブーム12から前方に突出するように形成される。左右一対の第2リンク部材52の前端部52eは、互いに近接するように、左右内側に屈曲するように形成されている(
図10(b)参照)。
【0114】
第2リンク部材52及びブーム側挿通孔12cには、軸線方向を左右方向に向けた第2揺動軸52aが挿通される。これによって第2リンク部材52は、左右方向を軸方向としてブーム12に対して揺動することができる。また第2リンク部材52の後端部及び第1リンク部材51は、連結軸52bを介して互いに揺動可能に連結される。また第2リンク部材52の前端部52e及びバケットシリンダ15は、連結軸52cを介して、互いに揺動可能に連結される。
【0115】
図9及び
図10に示すように、インジケータ装置17は、姿勢維持機構50が取り付けられた状態で設置可能に構成される。具体的には、第1部材20の取付部21は、左右の第2リンク部材52の内側に配置され、連結軸52cに取り付けられる。なお
図10(b)は、矢印A2方向からインジケータロッド32の上端部を見た図である。また矢印A2方向は、表示部材33の目印部33aに対して垂直な方向である。
【0116】
取付部21は、第2リンク部材52(連結軸52cを挿通するためのボス部52d)及びバケットシリンダ15に挟まれる。また当接部22は、
図5に示す第一実施形態と同様に、左右の取付部21に亘るように形成され、バケットシリンダ15と当接する。これによって第1部材20は、バケットシリンダ15に対して相対移動不能となるように、連結軸52cに取り付けられる。なお接続部23及び目印部24は、
図5に示す第一実施形態と同様に構成される。また目印部24は、バケットシリンダ15の軸方向において、バケットシリンダ15の上端部から突出するように配置される.
【0117】
第2部材30のインジケータロッド32は、連結プレート31を介してリンク機構16の揺動軸16cに連結され、左側の第2リンク部材52と左右方向における位置を合わせて配置される(
図10(b)参照)。インジケータロッド32は、左側の第2リンク部材52の前端部52eのすぐ側方を通過するように配置される。
【0118】
また表示部材33は、挿通部33bがインジケータロッド32に挿通され、目印部33aが左方(第2リンク部材52から離れる方向)へ延出するように設けられる。
【0119】
このようにして本実施形態のインジケータ装置17は、姿勢維持機構50と干渉しないように、各種部材が配置されている。
【0120】
以下では、ブーム12の揺動に伴う姿勢維持機構50の動作について説明する。
【0121】
ブーム12は、ブームシリンダ14の伸縮に応じてサイドフレーム11に対して揺動される。
図9及び
図11に示すように、第1リンク部材51及び第2リンク部材52は、ブーム12の揺動に伴って揺動される。姿勢維持機構50は、当該揺動に伴ってバケットシリンダ15及びリンク機構16を揺動させることで、ブーム12の揺動時にバケットシリンダ15を伸縮させることなく、バケット13の姿勢を維持することができる。
【0122】
ここで、第1部材20は、バケットシリンダ15に対して相対移動不能に構成されるため、バケットシリンダ15の揺動に伴って一体的に揺動する。また上述の如く、ブーム12の揺動時にバケットシリンダ15が伸縮しないため、第2部材30は、ブーム12が揺動しても第1部材20に対して相対移動することはない。このため本実施形態では、ブーム12を揺動させたとしても、目印部24・33aの相対的な位置関係が維持される。
【0123】
当該構成によると、1つの表示部材33をインジケータロッド32に取り付けるだけで、ブーム12の揺動角度に関わらずバケット13が水平な状態であるか否かを把握することができるため、利便性を向上することができる。
【0124】
以上の如く、第二実施形態において、前記ブーム12には、前記ブーム12の揺動に応じて動作することで、前記バケット13の姿勢を維持する姿勢維持機構50を取り付け可能であり、前記インジケータ装置17は、前記姿勢維持機構50が前記ブーム12に取り付けられた状態で設置可能に構成されるものである。
【0125】
このように構成することにより、姿勢維持機構50をブーム12に取り付けた状態でインジケータ装置17を使用することができ、利便性を向上することができる。
【符号の説明】
【0126】
10 フロントローダ
12 ブーム
14 ブームシリンダ
17 インジケータ装置
20 第1部材
30 第2部材