(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110586
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240808BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015244
(22)【出願日】2023-02-03
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕代
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】チェックリストの作成を支援することが可能な情報処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】チェックリストを用いてチェックが行われた業務サービスのチェック回数を、前記業務サービスの種別及び前記チェックリストに含まれるチェック項目毎に集計する集計手段と、チェック対象となる業務サービスを指定した新たなチェックリストの作成指示を受け付ける受付手段と、前記チェック対象の業務サービスに係る前記集計手段の集計結果から、前記チェック回数が閾値以上のチェック項目を抽出する抽出手段と、前記抽出手段が抽出したチェック項目に基づいて、前記新たなチェックリストを生成する生成手段と、を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェックリストを用いてチェックが行われた業務サービスのチェック回数を、前記業務サービスの種別及び前記チェックリストに含まれるチェック項目毎に集計する集計手段と、
チェック対象となる業務サービスを指定した新たなチェックリストの作成指示を受け付ける受付手段と、
前記チェック対象の業務サービスに係る前記集計手段の集計結果から、前記チェック回数が閾値以上のチェック項目を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出したチェック項目に基づいて、前記新たなチェックリストを生成する生成手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記集計手段は、業務サービスを実施する顧客の属性毎に前記チェック回数を集計し、
前記抽出手段は、前記チェック対象の業務サービスを実施する顧客の属性に係る前記集計手段の集計結果から、前記チェック回数が閾値以上のチェック項目を抽出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記集計手段は、前記業務サービスが実施されている稼働期間に基づいて、前記チェック回数を所定の期間毎に区分して集計し、
前記抽出手段は、前記チェック対象の業務サービスの稼働期間が属する区分の前記集計手段の集計結果から、前記チェック回数が閾値以上のチェック項目を抽出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、生成した前記新たなチェックリストを編集可能な画面を提供し、編集結果を前記新たなチェックリストに反映する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記業務サービスは、経営的な目標と当該目標を実現するための方策との関係がノードによって段階的に設定されたツリー構造状のツリーデータの末尾のノードに設定され、
前記受付手段は、前記ツリーデータの末尾のノードの選択操作により、前記新たなチェックリストの作成指示を受け付ける、
請求項1~4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置のコンピュータを、
チェックリストを用いてチェックが行われた業務サービスのチェック回数を、前記業務サービスの種別及び前記チェックリストに含まれるチェック項目毎に集計する集計手段と、
チェック対象となる業務サービスを指定した新たなチェックリストの作成指示を受け付ける受付手段と、
前記チェック対象の業務サービスに係る前記集計手段の集計結果から、前記チェック回数が閾値以上のチェック項目を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出したチェック項目に基づいて、前記新たなチェックリストを生成する生成手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等の現場では、様々な業務サービス(以下、サービスともいう)が実施されている。このような現場では、KPI(Key Performance Indicator)ツリー手法やBPMN(Business Process Model and Notation)等の手法を用いることで、サービスの実施に係る各要素の処理手順を業務フローとして設計することがある。例えば、従来、隣接する業務の間の入出力関係が連続するように自動的に業務フローを作成することが可能な技術が提案されている。
【0003】
ところで、上記の現場においては、設計したサービスの実施要件や効果等のチェック項目を定期的又は随時チェックすることが重要である。従来、チェックリストを用いてチェックすることが一般的に行われているが、チェックリストを毎回作成することは煩雑であり大変である。また、チェックリストの妥当性は、チェックリストを作成した作成者の能力に依存するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、チェックリストの作成を支援することが可能な情報処理装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の情報処理装置は、集計手段と、受付手段と、抽出手段と、生成手段とを備える。集計手段は、チェックリストを用いてチェックが行われた業務サービスのチェック回数を、前記業務サービスの種別及び前記チェックリストに含まれるチェック項目毎に集計する。受付手段は、チェック対象となる業務サービスを指定した新たなチェックリストの作成指示を受け付ける。抽出手段は、前記チェック対象の業務サービスに係る前記集計手段の集計結果から、前記チェック回数が閾値以上のチェック項目を抽出する。生成手段は、前記抽出手段が抽出したチェック項目に基づいて、前記新たなチェックリストを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる業務支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るKPIツリーDBのデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の係るKPIツリーを可視化した状態の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る業務フローDBのデータ構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る業務フローを可視化した状態の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るチェックリストDBのデータ構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る顧客マスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る端末装置及びサーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態のチェックリスト作成支援部が提供する画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態のチェック支援部が提供する画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係るチェック結果集計DBのデータ構成の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態のチェックリスト作成支援部がチェック結果の集計情報に基づき生成したチェックリストの一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態のサーバ装置が実行するチェックリストの作成に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0008】
図1は、実施形態に係る業務支援システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、業務支援システム1は、端末装置10と、サーバ装置20とを有する。端末装置10とサーバ装置20とは、LAN(Local Area network)等のネットワークNを介して通信可能に接続される。
【0009】
端末装置10は、業務支援システム1のユーザが使用する端末装置である。端末装置10は、ユーザの操作に応じて各種の処理を実行する。例えば、ユーザは、端末装置10を操作してサーバ装置20にアクセスすることで、サーバ装置20が提供する各種の機能を利用する。端末装置10は、PC(Personal Computer)等の据置型の端末装置や、ノートPCやタブレット端末、スマートフォン等の携帯型の端末装置によって実現することができる。
【0010】
サーバ装置20は、情報処理装置の一例である。サーバ装置20は、端末装置10に対し各種の機能を提供する。例えば、サーバ装置20は、後述するKPIツリー、業務フロー、及びチェックリスト等の作成や閲覧機能を提供する。
【0011】
なお、本実施形態では、サーバ装置20が単体の情報処理装置によって実現される例を説明するが、これに限らないものとする。例えば、サーバ装置20は、クラウド・コンピューティング等の技術により、複数台の情報処理装置によって実現されてもよい。
【0012】
次に、上述した端末装置10及びサーバ装置20の構成について説明する。
【0013】
図2は、端末装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、端末装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、及びRAM(Random Access Memory)13等のコンピュータ構成を備える。
【0014】
CPU11は、プロセッサの一例であり、端末装置10の各部を統括的に制御する。ROM12は、各種プログラムを記憶する。RAM13は、プログラムや各種データを展開するワークスペースである。
【0015】
また、端末装置10は、表示部14と、操作部15と、記憶部16と、通信部17とを備える。
【0016】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスで構成される。表示部14は、CPU11の制御の下、各種の情報を表示する。操作部15は、キーボード、ポインティングデバイス等を有する。操作部15は、ユーザから受け付けた操作内容をCPU11に出力する。なお、操作部15は、表示部14の表示画面に設けられるタッチパネルであってもよい。
【0017】
記憶部16は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。記憶部16は、CPU11が実行することが可能なプログラムや各種の設定情報を記憶する。例えば、記憶部16は、サーバ装置20が提供する各種機能を利用することが可能なウェブブラウザ等のアプリケーションプログラムを記憶する。
【0018】
CPU11は、ROM12や記憶部16に記憶されRAM13に展開されたプログラムに従って動作することによって、各種の処理を実行する。
【0019】
通信部17は、ネットワークNに接続可能な通信インタフェースである。通信部17は、ネットワークNを介してサーバ装置20等の外部装置と通信を行う。
【0020】
図3は、サーバ装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示すように、サーバ装置20は、CPU21、ROM22、及びRAM23等のコンピュータ構成を備える。
【0021】
CPU21は、プロセッサの一例であり、サーバ装置20の各部を統括的に制御する。ROM22は、各種プログラムを記憶する。RAM23は、プログラムや各種データを展開するワークスペースである。
【0022】
また、サーバ装置20は、表示部24と、操作部25と、記憶部26と、通信部27とを備える。
【0023】
表示部24は、LCD等の表示デバイスで構成される。表示部24は、CPU21の制御の下、各種の情報を表示する。操作部25は、キーボード、ポインティングデバイス等を有する。操作部25は、ユーザから受け付けた操作内容をCPU11に出力する。なお、操作部25は、表示部24の表示画面に設けられるタッチパネルであってもよい。
【0024】
記憶部26は、HDDやフラッシュメモリ等の記憶媒体で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。記憶部26は、CPU21が実行することが可能なプログラムや各種の設定情報を記憶する。例えば、記憶部26は、各種機能を端末装置10に提供することが可能なウェブアプリケーションプログラム等を記憶する。CPU21は、ROM22や記憶部26に記憶されRAM23に展開されたプログラムに従って動作することによって、各種の処理を実行する。
【0025】
また、記憶部26は、KPIツリーDB261、業務フローDB262、チェックリストDB263、顧客マスタ264、及びチェック結果集計DB265等を記憶する。
【0026】
KPIツリーDB261は、KPIツリーを記憶し管理するためのテーブル又はデータベースである。ここで、KPIツリーは、組織や企業の経営的な目標(後述する最終目標)と、その目標を実現するための方策(後述する中間目標、要因、解決方法、サービス等)との関係がノードによって段階的に設定されたツリー構造状のツリーデータである。
【0027】
図4は、KPIツリーDB261のデータ構成の一例を示す図である。
図4に示すように、KPIツリーDB261は、KPIツリーを識別可能なツリーIDに関連付けて、顧客名、及びKPIツリー等を記憶する。
【0028】
顧客名の項目には、KPIツリーの適用先となる顧客を識別可能な情報が登録される。また、KPIツリーの項目には、KPIツリーの実データ(以下、データファイルともいう)又は当該データファイルの格納先を示すアドレス等が登録される。
【0029】
KPIツリーは、例えばKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)等の手法を用いて作成される。KPIツリーは、例えば
図5に示すように、可視化した状態で表すことができる。
【0030】
図5は、KPIツリーを可視化した状態の一例を示す図である。なお、
図5は、
図4に示した顧客名「ABCスーパー」に適用されるKPIツリーを可視化した状態を示している。
【0031】
図5に示すように、KPIツリーは、ツリー構造状に接続された複数のノードで構成される。ここで、ルートノードである最終目標ノードAは、達成目標を設定するためのノードである。最終目標ノードAは、例えばKGI(Key Goal Indicator)に対応するものである。例えば、店舗の売上向上を最終目標とする場合、最終目標ノードAには「売上」等が設定される。
【0032】
最終目標ノードAには、1又は複数の中間目標ノードBが接続される。また、中間目標ノードBにも、1又は複数の中間目標ノードBを接続することが可能となっている。中間目標ノードBには、直上のノードに設定された目標(最終目標又は中間目標)を達成するための中間目標が設定される。中間目標ノードBは、例えばKPI(Key Performance Indicators)に対応するものである。
【0033】
図5では、最終目標ノードAの下位に、中間目標として、来店客数の向上が設定された中間目標ノードBaと、平均客単価の向上が設定された中間目標ノードBbとを配置した例を示している。また、中間目標ノードBbの下位に、中間目標として、販売店数の向上が設定された中間目標ノードBcと、一品単価の向上が設定された中間目標ノードBdとを配置した例を示している。
【0034】
また、KPIツリーでは、中間目標ノードBの下位に、この中間目標ノードBに設定された中間目標を実現するための要因を表すファクターノードCを配置することが可能となっている。ファクターノードCは、例えばKSF(Key Success Factor)に対応するものである。
【0035】
図5では、中間目標ノードBaの下位に、来店客数の向上を実現するための要因として、「品質向上」、「品揃え」、「売場」、及び「宣伝」の各々が設定されたファクターノードCa~Cdを配置した例を示している。また、中間目標ノードBcの下位に、販売点数の向上を実現するための要因として、「販売促進」、及び「ついで買い」の各々が設定されたファクターノードCe、Cfを配置した例を示している。また、中間目標ノードBbの下位に、平均客単価の向上を実現するための要因として、「顧客理解向上」が設定されたファクターノードCgを配置した例を示している。
【0036】
また、KPIツリーでは、中間目標ノードB又はファクターノードCの下位に、直上のノードで設定された中間目的又は要因を実現(解決)する解決方法を表すソリューションノードDを配置することが可能となっている。
【0037】
図5では、ファクターノードCa~Ccの下位に、「店舗情報可視化」及び「品揃え最適化」の各々が設定されたソリューションノードDa、Dbを配置した例を示している。また、ファクターノードCeの下位に、「クーポン発行」、「ポイント管理」及び「POP作成」の各々が設定されたソリューションノードDc~Deを配置した例を示している。また、ファクターノードCgの下位に、「CRM(Customer Relationship Management)」が設定されたソリューションノードDfを配置した例を示している。
【0038】
また、KPIツリーでは、ファクターノードC又はソリューションノードDの下位に、直上のノードで設定された要因又は解決方法を実現するための具体的なサービスを表したサービスノードEを配置することが可能となっている。ここで、サービスノードEは、末尾の方策に対応する。
【0039】
なお、ノードの各々には各ノードを識別するためのノードIDが付されており、当該識別子に関連付けて対応するノードに関する情報が記憶される。例えば、サービスノードEには、サービスの実施に係る業務フローを指定するための後述するフローIDやチェックリストID等が関連付けされる。
【0040】
図5では、ソリューションノードDfの下位に、「サービスA」が設定されたサービスノードEaを配置した例を示している。
【0041】
KPIツリーを構成する各ノードには、各々を識別するためのノードIDが付されている。KPIツリーは、例えばJSON(JavaScript Object Notation)形式で保存される。なお、KPIツリーの保存形式はJSONに限らず、XML(Extensible Markup Language)等の他のデータ形式で保存されてもよい。
【0042】
図3に戻り、業務フローDB262は、業務フローを記憶し管理するためのテーブル又はデータベースである。業務フローは、業務の遂行に係る各要素と、当該要素で実行される実行内容とが一連する手順として記述されたデータファイルである。具体的には、業務フローには、サービスの実施に係る各要素について、当該要素が実行する実行内容と手順とが記述される。つまり、本実施形態において、業務フローはサービスに対応する概念である。以下、業務フローをサービスともいう。
【0043】
図6は、業務フローDB262のデータ構成の一例を示す図である。
図6に示すように、業務フローDB262は、対象サービスと、フローIDと、業務フロー名称と、データファイルとを関連付けて記憶する。
【0044】
対象サービスの項目には、業務フローの記述対象となった業務に対応するサービスを指定する情報が登録される。具体的には、対象サービスに指定されたサービスノードEのノードID、当該サービスノードEが属するKPIツリーのツリーID等が登録される。なお、対象サービスの指定方法はこれに限らないものとする。
【0045】
フローIDの項目には、業務フローを識別可能なフローIDが登録される。業務フロー名称の項目には、業務フローの名称を示す情報が登録される。例えば、業務フロー名称には、業務フローによって実施されるサービスの名称(サービスノードEのノード名称)等が設定される。また、データファイルの項目には、業務フローのデータファイル又は当該データファイルの格納先を示すアドレス等が登録される。
【0046】
業務フローは、フローチャートや、BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記法)等の手法を用いて作成される。業務フローは、サービス内容に応じて作成されるものとするが、サービス内容が共通又は類似する場合には、KPIツリーが異なっていても同一の業務フローを用いることも可能である。
図6では、ツリーIDがT01及びT02のKPIツリーの各々に含まれるサービスノードEaにおいて、フローIDが「F01」の業務フローが使用される例を示している。
【0047】
業務フローは、フローチャートや、BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記法)等の手法を用いて作成される。業務フローは、例えば
図7に示すように、可視化した状態で表すことができる。
【0048】
図7は、業務フローを可視化した状態の一例を示す図である。なお、
図7は、
図5に示したKPIツリーのサービスノードEa(サービスA)に係る業務フローの一例である。
【0049】
図7に示すように、業務フローでは、開始イベントSTと、終了イベントENとの間に、サービスAの実施に係る一連の動作(又は処理)内容が、当該動作を行う要素毎に記述される。
図7の業務フローでは、店舗に来店する「お客様」、店舗に設けられた「監視カメラ」及び「決済システム」、店舗で従業する「店員」を要素して記述した例を示している。
【0050】
ここで、「監視カメラ」は、ハードウェア資源の一例であり、例えば店舗の複数位置に設けられる。また、「決済システム」は、ソフトウェア資源の一例であり、POS等の複数のPC(Personal Computer)と当該PCに導入されたアプリケーションとの協働により実現される。なお、例えば、決済に付随して付加的に行われるサービス(例えば、ポイントサービス)を業務フローに含めてもよい。以下、対象サービスの実施に係るハードウェア資源、ソフトウェア資源、及び付加的に行われるサービスを、総称して「要素」ともいう。
【0051】
図7の業務フローでは、まず「お客様」のフローとして、店舗に来店し(ステップQa)、購入対象となる商品を選択し(ステップQb)、レジに移動すること(ステップQc)が記述されている。また、店舗内に設置された「監視カメラ」のフローとして、レジに向かう「お客様」を撮影し(ステップQd)、撮影した撮影データを店舗に設けられた決済システムに送信する(ステップQe)ことが記述されている。また、「決済システム」のフローとして、「監視カメラ」から撮影データを受信し(ステップQf)、撮影データから導出した「お客様」の属性等のお客様情報を、表示装置に表示する(ステップQg)ことが記述されている。
【0052】
また、レジを操作する「店員」のフローとして、「決済システム」が表示したお客様情報を確認し(ステップQh)、「お客様」が持ち込んだ商品のレジ業務を行う(ステップQi)ことが記述されている。また、「店員」のレジ業務に伴い、「決済システム」が、「決済処理」を実行する(ステップQj)ことが記述されている。
【0053】
また、「お客様」は、「決済システム」の「決済処理」に応じて商品の代金を支払い(ステップQk)、店舗から退店する(ステップQl)ことが記述されている。そして、「決済システム」は、代金の支払いに伴い、この取引の内訳を示すデータを保存する(ステップQm)ことが記述されている。
【0054】
なお、ポイントサービスを実施する場合には、例えば、決済システムは、ステップQfで受信した撮影データと、予め登録された各会員の顔画像と照合することで、撮影データに表された「お客様」の会員番号を特定する。そして、決済システムは、購入金額に応じて発行したポイントを、特定した会員番号に関連付けて累積記憶する。
【0055】
上述した業務フローは、例えばJSON形式で保存される。なお、業務フローの保存形式はJSONに限らず、XML等の他のデータ形式で保存されてもよい。
【0056】
図3に戻り、チェックリストDB263は、サービスの実施に係る要件やサービスの実施による効果等をチェックするためのチェックリストを記憶し管理するためのテーブル又はデータベースである。
【0057】
図8は、チェックリストDB263のデータ構成の一例を示す図である。
図8に示すように、チェックリストDB263は、対象サービスと、フローIDと、チェックリストIDと、チェック対象と、データファイルとを関連付けて記憶する。
【0058】
対象サービスの項目には、チェック対象のサービスを識別可能な情報が登録される。具体的には、チェック対象のサービスに対応するサービスノードEのノードID、当該サービスノードEが属するKPIツリーのツリーID等が登録される。フローIDの項目には、チェック対象のサービスに対応する業務フローのフローIDが登録される。なお、
図8では、対象サービス及びフローIDの両方を登録した例を示しているが、対象サービスを検索キーとして業務フローDB262からフローIDを特定する構成の場合には、チェックリストDB263からフローIDを取り除いてもよい。
【0059】
チェックリストIDの項目には、チェックリストを識別可能なチェックリストIDが登録される。チェック対象の項目には、チェックの対象を示す情報が登録される。例えば、チェック対象には、対象サービスの実施に係るハードウェア資源、ソフトウェア資源等の要素の名称が登録される。例えば、
図5及び
図7で説明したサービスノードEaのサービスを対象サービスとする場合、
図8に示すように、「監視カメラ」や「決済システム」等の要素をチェック対象としてもよい。なお、チェック対象は、ハード及びソフトの資源に限らず、サービス全体をチェックの対象としてもよい(
図8の「全体」に対応)。
【0060】
データファイルの項目には、チェックリストのデータファイル又は当該データファイルの格納先を示すアドレス等が登録される。チェックリストは、チェック対象毎に作成され、一又は複数のチェック項目を含んでいる。例えば、チェックリストは、機能要件の他、非機能要件のチェック項目を含んでもよい。ここで、「非機能要件」は、機能要件以外の要件を示すものであり、例えば、対象の性能や、可用性、セキュリティ等の要件が挙げられる。
【0061】
なお、本実施形態では、KPIツリー及び業務フローは予め作成されたものであってもよいし、サーバ装置20が作成支援を行うことで端末装置10等を介して作成されたものであってもよい。後者の場合、例えば、サーバ装置20は、KPIツリー及び業務フローの閲覧や作成、編集を支援するための画面(GUI(Graphical User Interface))を端末装置10に提供する。
【0062】
具体的には、サーバ装置20は、各種ノードやノード間の関係を可視化した状態で作成及び編集可能な画面を端末装置10に提供する。そして、サーバ装置20は、KPIツリーの作成又は編集が完了すると、当該KPIツリーをKPIツリーDB261に記憶する。
【0063】
また、サーバ装置20は、KPIツリーに含まれた何れかのサービスノードEが選択されると、当該サービスノードEに対応するサービスについて、業務フロー及びチェックリストの作成及び編集を行うことが可能な画面を提供する。そして、サーバ装置20は、業務フロー及びチェックリストの何れかが作成されると、サービスノードEのノードID及びツリーIDに関連付けて、対応するDBに記憶する。
【0064】
図3に戻り、顧客マスタ264は、KPIツリーの適用先となる顧客に関する情報を記憶し管理するためのテーブル又はデータベースである。
【0065】
図9は、顧客マスタ264のデータ構成の一例を示す図である。
図9に示すように、顧客マスタ264は、顧客名に関連付けて、業種、売上高、従業員数、地域、顧客属性及びデータ更新日等を記憶する。ここで、顧客名は、
図4のKPIツリー261に登録された顧客名に対応するものである。
【0066】
業種の項目には、顧客の業種を示す情報が登録される。例えば、スーパーマーケットやドラッグストア等、小売業の種別や店舗形態が業種として登録される。売上高の項目には、顧客が実施する事業の売上高に関する情報が登録される。売上高の計上期間は特に問わないものとするが、全ての顧客で同様の計上期間とすることが好ましい。従業員数の項目には、顧客の企業や店舗で従事する従業員の人数が登録される。地域の項目には、顧客が事業を展開する地域に関する情報が登録される。
【0067】
顧客属性の項目には、所定の基準で区分された顧客の属性を示す情報が登録される。属性の区分に係る基準は任意に設定することが可能であり、例えば、業種、売上高、従業員数、地域等に基づき区分することができる。
図9では、業種が「スーパーマーケット」の顧客を「S」の記号で表し、売上高又は従業員数の規模に応じて複数段階にレベル分けした顧客属性(S-1、S-2)の例を示している。また、業種が「ドラッグストア」の顧客を「D」の記号で表し、売上高又は従業員数の規模に応じて複数段階にレベル分けした顧客属性(D-1)の例を示している。
【0068】
データ更新日の項目には、顧客のデータを顧客マスタ264に登録した年月日又は顧客のデータを更新した年月日が登録される。
【0069】
図3に戻り、チェック結果集計DB265は、チェックリストを用いて行われたチェックの集計結果を記憶し管理するためのテーブル又はデータベースである。なお、チェック結果集計DB265のデータ構成については後述する。
【0070】
通信部27は、ネットワークNに接続可能な通信インタフェースである。通信部27は、ネットワークNを介して端末装置10等の外部装置と通信を行う。
【0071】
次に、
図10を参照して、端末装置10及びサーバ装置20の機能構成について説明する。
図10は、端末装置10及びサーバ装置20の機能構成の一例を示す図である。
【0072】
図10に示すように、端末装置10は、表示制御部111と、操作受付部112とを機能部として備える。
【0073】
端末装置10が備える機能部の一部又は全ては、端末装置10のプロセッサ(例えばCPU11)とメモリ(例えばROM12、記憶部16)に記憶されたプログラムとの協働により実現されるソフトウェア構成であってもよい。また、端末装置10が備える機能部の一部又は全ては、端末装置10に搭載された専用回路等で実現されるハードウェア構成であってもよい。
【0074】
端末装置10の表示制御部111は、表示部14を制御して、当該表示部14に各種の画面を表示させる。例えば、表示制御部111は、サーバ装置20から提供される情報に基づき各種の操作画面を表示部14に表示させる。
【0075】
端末装置10の操作受付部112は、操作部15を介してユーザ操作を受け付ける。例えば、操作受付部112は、表示部14に表示された画面に対する操作を受け付けると、その操作内容をサーバ装置20に通知する。
【0076】
一方、サーバ装置20は、GUI提供部211と、設計支援部212と、チェックリスト作成支援部213と、チェック支援部214と、チェック結果集計部215と、表示制御部216と、操作受付部217とを機能部として備える。
【0077】
サーバ装置20が備える機能部の一部又は全ては、サーバ装置20のプロセッサ(例えばCPU21)とメモリ(例えばROM22、記憶部26)に記憶されたプログラムとの協働により実現されるソフトウェア構成であってもよい。また、サーバ装置20が備える機能部の一部又は全ては、サーバ装置20に搭載された専用回路等で実現されるハードウェア構成であってもよい。
【0078】
GUI提供部211は、他の機能部と協働することで、各種の操作画面(以下、単に画面ともいう)を表示することが可能な情報を端末装置10に提供する。ここで、GUI提供部211は、画面を表すデータを提供してもよいし、画面の表示に係る各種コンテンツデータを提供してもよい。以下、GUI提供部211が、画面の表示に係る情報を端末装置10に提供することを、画面の「提供」や、画面の「表示」とも表現する。
【0079】
設計支援部212は、GUI提供部211と協働することで、KPIツリー及び業務フローの作成を支援するための画面を提供する。
【0080】
例えば、設計支援部212は、各種のノードやエッジ等を作図パーツとして配置した、KPIツリーを作成することが可能な画面を提供する。ここで、設計支援部212は、ユーザの操作に応じて、可視化したKPIツリーを表示させる。また、設計支援部212は、ユーザの操作に応じて、KPIツリーのサービスノードEに、業務フロー(フローID)を関連付けたりすることができる。そして、設計支援部212は、KPIツリーの作成又は編集の完了操作を受け付けると、KPIツリーを表すデータファイルを生成し、KPIツリーDB261に記憶する。
【0081】
また、設計支援部212は、KPIツリーDB261に基づき、閲覧又は編集の対象となるKPIツリーを選択することが可能な画面を提供する。また、設計支援部212は、KPIツリーが選択されると、当該KPIツリーをKPIツリーDB261から読み出し、KPIツリーを可視化した画面を提供する。
【0082】
また、設計支援部212は、BPMNの表記規則に対応する作図パーツ等を配置した、業務フローを作成することが可能な画面を提供する。ここで、設計支援部212は、ユーザの操作に応じて、可視化した業務フローを表示させる。そして、設計支援部212は、業務フローの作成又は編集の完了操作を受け付けると、業務フローを表すデータファイルを生成し、対象サービスに関連付けて業務フローDB262に記憶する。
【0083】
チェックリスト作成支援部213は、受付手段、抽出手段及び生成手段の一例である。チェックリスト作成支援部213はGUI提供部211と協働することで、チェックリストの作成を支援するための画面を提供する。具体的には、チェックリスト作成支援部213は、KPIツリー等を介して、チェック対象となるサービスを指定したチェックリストの作成指示を受け付けると、チェックリストの作成を支援するための画面を提供する。
【0084】
ここで、
図11は、チェックリスト作成支援部213が提供する画面(以下、作成支援画面ともいう)の一例を示す図である。なお、
図11は、
図5のKPIツリーに含まれるサービスノードEaが選択された場合の作成支援画面を示している。
【0085】
図11に示すように、作成支援画面30は、「全体」に対応するタブTAと、「監視カメラ」に対応するタブTBと、「決済サービス」に対応するタブTCとを有する。タブTA~TCは、チェック対象毎に設けられる。なお、タブは、指定されたサービスの業務フローに含まれる要素等に基づいて自動で生成されてもよいし、ユーザの操作により追加又は削除が行われてもよい。
【0086】
ここで、タブTA~TCの何れか一つが選択されると、チェックリスト作成支援部213は、選択されたタブに対応するチェックリストを編集可能な画面を入力領域31に表示させる。
図11では、「全体」に対応するタブTAが選択された例を示している。
【0087】
入力領域31には、チェック項目を入力可能な入力欄311が設けられている。入力欄311には、任意の文字列を入力することができる。ユーザは、入力欄311に対し、確認事項を表した文字列を入力することでチェック項目を設定する。また、ユーザは、入力欄311に表示された文字列を編集することも可能である。なお、入力欄311は、追加ボタン312を操作することで、追加することも可能となっている。
【0088】
また、チェック項目は、例えば共通するグループ毎に区分して設けられる。
図11では、運用関連と、メンテナンス関連とのグループ毎に、チェック項目を区分した例を示している。なお、入力領域31において、ユーザは、グループの設定や編集を任意に行うことが可能である。
【0089】
チェックリスト作成支援部213は、編集完了を指示する操作を受け付けると、入力領域31に設定されたチェック項目に基づきチェックリスト(データファイル)をチェック対象毎に生成する。そして、チェックリスト作成支援部213は、生成したチェックリストを、対象サービス及びフローIDに関連付けて、チェックリストDB263に記憶する。
【0090】
また、チェックリスト作成支援部213は、チェック結果集計DB265に記憶された情報に基づきチェックリストを自動生成する機能を有する。チェックリストの自動生成に係る機能については後述する。
【0091】
図10に戻り、チェック支援部214は、GUI提供部211と協働することで、チェックリストを用いたチェック作業を支援するための画面を提供する。
【0092】
チェックリスト作成支援部213は、KPIツリー等を介して、チェックの対象となる対象サービスを指定したチェック作業の実施指示を受け付けると、チェック作業を支援するための画面を提供する。具体的には、チェック支援部214は、対象サービスに関連付けられたチェックリストをチェックリストDB263から読み出す。そして、チェック支援部214は、読み出したチェックリストに基づいて、チェック作業を支援するための画面を表示させる。
【0093】
図12は、チェック支援部214が提供する画面(以下、チェック画面ともいう)の一例を示す図である。ここで、
図12は、
図11の作成支援画面で生成されたチェックリストのチェック画面を示している。
図12に示すように、チェック画面40は、
図11に示したタブTA~TCの各々に対応するタブTD~TFを有し、当該タブの選択操作よりチェック対象を切り替えることが可能となっている。
【0094】
具体的には、チェック支援部214は、チェック対象毎にタブを生成し、当該タブによってチェック対象を切り替え可能なチェック画面を生成する。タブの切り替え操作によって表示される画面には、当該タブに対応するチェック対象のチェックリストが表示される。つまり、タブを切り替えることで、チェックリストを切り替えることができるようになっている。
【0095】
図12では、「全体」に対応するタブTDが選択された状態を示しており、「全体」のチェックリストに設定された、運用関連及びメンテナンス関連の各グループのチェック項目が入力領域41に表示されている。また、チェック項目の各々には、「未実施」、「保留」、「OK」及び「NG」の4つの選択肢が関連付けて配置され、当該選択肢の中から何れか一つを選択できるように構成されている。
【0096】
これにより、ユーザは、タブTD~TFで選択したチェック対象について、チェック項目の内容を確認しながら該当する選択肢を選択することができる。したがって、ユーザはサービスの実施に係るチェック項目の確認を容易に行うことができる。ここで、チェック項目の各々に対する選択肢の選択は、チェックを行うユーザが任意に行うことができる。また、選択肢の選択は必須ではなく、例えばチェック不要と判断したチェック項目については何れの選択肢も選択しないまま、次のチェック項目のチェック作業を行うことができる。
【0097】
なお、
図12では、チェック項目の選択肢を4つとしたが、選択肢の個数や種類はこれに限定されないものとする。例えば、チェック項目に対する回答として、文字列を入力可能な構成としてもよい。また、チェックリストの作成段階で、チェック項目に対する回答方法を設定可能な構成としてもよい。
【0098】
また、チェック支援部214は、チェックの完了を指示する操作を受け付けると、各チェック項目に対して行われたチェック結果を、対応するチェック対象のチェックリストに関連付けて記憶する。
【0099】
ここで、チェック結果の記憶先は特に問わないものとする。例えば、チェック支援部214は、チェックリストDB263の対応するチェックリスト(データファイル)に直接関連付けることで、チェック結果をチェックリストDB263に記憶してもよい。また、チェック支援部214は、チェックリストDB263とは異なる記憶部(データベース等)にチェック結果を記憶してもよい。なお、チェック支援部214は、チェックが行われた年月日をチェック結果に関連付けて世代管理等することで、各回のチェック結果を参照可能に記憶する。
【0100】
図10に戻り、チェック結果集計部215は、集計手段の一例である。チェック結果集計部215は、チェックリストを用いて行われたサービスのチェック回数をチェック項目毎に集計し、その集計結果をチェック結果集計DB265に記憶する。具体的には、チェック結果集計部215は、チェックの対象となったサービス(業務フロー)、及び当該サービスが属するKPIツリーに係る顧客の顧客属性毎に、チェックリストの各チェック項目に対して行われたチェック回数を集計する。そして、チェック結果集計部215は、チェック項目毎のチェック回数を集計結果としてチェック結果集計DB265に記憶する。
【0101】
図13は、チェック結果集計DB265のデータ構成の一例を示す図である。
図13に示すように、チェック結果集計DB265は、チェック対象、グループ、チェック項目、フローID、顧客属性、チェック回数、データ更新日等を関連付けて記憶する。
【0102】
チェック対象の項目には、集計対象となったチェックリストのチェック対象が登録される。グループの項目には、集計対象のチェックリストに含まれるグループのグループ名等が登録される。チェック項目の項目には、集計対象のグループに含まれるチェック項目が登録される。また、フローIDの項目には、集計対象のチェックリストのチェックリストIDに関連付けられたフローID、つまりチェック対象となったサービスのフローIDが登録される。顧客属性の項目には、チェック対象のサービスが含まれるKPIツリーに係る顧客の顧客属性が登録される。
【0103】
チェック回数の項目には、チェック項目に対して行われたチェック回数が登録される。具体的には、チェック結果集計部215は、フローIDが同一のチェックリストに含まれるチェック項目の各々に対して行われたチェックの回数を、そのチェックリストに係る顧客属性毎に集計し、該当するデータエントリのチェック回数として登録する。
【0104】
ここで、チェック結果集計部215は、チェック項目の何れかの選択肢が選択されたことを1回として計上し、何れの選択肢も選択されなかった場合を0として計上する。なお、チェック回数の集計方法はこれに限らず、任意に設定することも可能である。例えば、チェック項目の選択肢のうち、特定の選択肢が選択された回数を計上してもよい。
【0105】
また、データ更新日の項目には、チェック回数が更新された年月日が登録される。チェック結果集計部215は、チェック回数を登録(更新)したタイミングで、データ更新日を現在の年月日に更新する。
【0106】
このように、チェック結果の集計は、チェック対象のチェックリスト、グループ及びチェック項目の単位で行われる。また、チェック結果の集計は、フローID及び顧客属性の単位で行われる。そのため、例えば、互いに異なるKPIツリーにおいて、顧客属性が共通し、且つ当該KPIツリーに設定されたサービスを類似する内容のチェックリストを用いてチェックする場合には、そのチェック結果は同一の集計グループで集計される。一方、KPIツリーを適用する顧客の顧客属性が異なる場合には、チェック結果は顧客属性毎に異なる集計グループで集計される。
【0107】
なお、例えばKPIツリーの適用先となる顧客によっては、チェック項目の内容が同じ内容を意味する場合であっても、チェックリストに設定されるチェック項目の文言が相違する可能性がある。この場合、チェック結果集計部215は、公知の自然言語処理技術等を用いることで、類似する内容のチェック項目をマージして、チェック結果を集計することが好ましい。例えば、チェック項目の文字列がネットワークの確保を確認する意味内容の場合、チェック結果集計部215は、表記上相違があったとしても、代表となる一のチェック項目にマージしてチェック回数を集計する。
【0108】
また、チェック結果集計DB265のデータ構成は
図13に限らず、例えば、他の項目を含んでもよい。具体的には、チェック結果集計DB265は、フローIDの業務フローに対応するサービスの稼働期間を項目として含んでもよい。この場合、例えば、チェック結果集計部215は、チェックが行われた時点の稼働期間に基づいて、チェック回数を所定の期間毎(1月単位等)に区分して集計する。
【0109】
ところで、複数の顧客で実施されるサービスの内容が同様となる場合、つまり業務フローが同様となる場合には、チェックリストで確認すべきチェック項目も同様となる可能性が高い。そこで、チェックリスト作成支援部213は、既存のチェックリストがチェック対象とする業務フローと同様のサービスに対し、新たなチェックリストの作成が指示された場合、チェック結果集計DB265に記憶されたデータエントリ(以下、集計情報ともいう)に基づき、チェック項目を自動で設定したチェックリストを生成する。
【0110】
具体的には、チェックリスト作成支援部213は、KPIツリー等を介して、チェック対象のサービスを指定した新たなチェックリストの作成が指示されると、チェック対象のサービスに係る業務フローのフローID及び顧客の顧客属性を検索キーとし、当該検索キーに該当する集計情報をチェック結果集計DB265から検索する。ここで、検索キーに該当する集計情報が存在する場合には、チェックリスト作成支援部213は、検索した集計情報に含まれるチェック回数に基づき、チェック回数が閾値以上となる集計情報を抽出する。そして、チェックリスト作成支援部213は、抽出した集計情報に含まれるチェック対象、グループ及びチェック項目に基づき、チェック項目を設定したチェックリストをチェック対象毎に生成する。
【0111】
なお、検索キーに該当する集計情報が存在しない場合には、チェックリスト作成支援部213は、上述したように、ユーザ自身がチェック項目の設定を一から行う作成支援画面を提供する。
【0112】
ここで、顧客属性が「S-1」の顧客用に作成されたKPIツリーにおいて、フローIDが「F01」のサービスに係るチェックリストを新たに作成するような場合を想定する。この場合、チェックリスト作成支援部213は、
図13に示したチェック結果集計DB265から、顧客属性「S-1」及びフローID「F01」の条件に該当する集計情報として、チェック回数が100、50、30、及び90の4つのデータエントリを検索する。ここで、チェック回数の閾値が50以上であったとすると、チェックリスト作成支援部213は、チェック回数が100、50、及び90の3つのデータエントリを抽出する。そして、チェックリスト作成支援部213は、抽出したデータエントリに含まれるチェック対象、グループ及びチェック項目に基づき、チェック項目を設定したチェックリストを生成し、当該チェックリストを表す画面を表示する。
【0113】
図14は、チェックリスト作成支援部213がチェック結果の集計情報に基づき生成したチェックリストの一例を示す図である。
図14の画面は、
図11と同様の作成支援画面であり、チェック項目「全体」に関するチェック項目が入力領域31に表示されている。
【0114】
ここで、
図14の作成支援画面では、運用関連及びメンテナンス関連のグループについて、確認事項を表す文字列がチェック項目にセットされた状態で入力領域31に表示される。また、チェック回数が閾値未満となったチェック項目「ネットワークは確保できるか」については、入力領域31から取り除かれている。
【0115】
このように、チェックリスト作成支援部213は、チェックリストの作成が指示された場合、顧客の顧客属性及びチェック対象のサービスの内容が共通する既存のチェックリストに対するチェックの集計結果に基づき、チェック項目を設定したチェックリストを自動で生成する。これにより、チェックリスト作成支援部213は、チェックの際に有効に活用されたチェック項目を含むチェックリストを生成することができるため、ユーザが一からチェックリストを作成する手間を省くことができる。
【0116】
また、チェックリスト作成支援部213は、利用される機会の少ないチェック項目を省いたチェックリストを生成することができるため、本質的なチェック項目を含んだチェックリストを生成することができる。しかたがって、チェックリスト作成支援部213は、チェックリストの作成者の能力に依存しない、妥当性の高いチェックリストを生成することができる。
【0117】
また、チェックリスト作成支援部213は、サービス(フローID)及び顧客属性が共通する集計情報に絞り込んでチェック項目を抽出するため、サービスを実施する規模やサービスの対象等、チェックの観点が類似するチェック項目を含んだチェックリストを生成することができる。
【0118】
なお、上記例ではチェック回数に基づきチェック項目を抽出することとしたが、抽出条件はチェック回数に限らないものとする。例えば、データ更新日を抽出条件に追加し、データ更新日が所定期間に含まれる集計情報を抽出してもよい。この場合、所定期間は、例えば、現在の年月日から1ヵ月以内や半年以内等を設定することができる。これにより、チェックリスト作成支援部213は、最近の集計結果を踏まえたチェックリストを生成することができる。
【0119】
また、チェック結果集計DB265がサービスの稼働期間を項目として含む場合、当該項目を抽出条件に追加してもよい。例えば、サービスの稼働期間を抽出条件に追加する場合、チェックリスト作成支援部213は、チェックリストの作成対象となったサービスの稼働時間に基づき、当該稼働期間が属する区分の集計情報を抽出してもよい。これにより、例えば、サービスの開始時等の、特定の期間に頻繁にチェックされていたチェック項目を抽出対象に含めたり、抽出対象から除外したりすることができる。したがって、チェックリストの作成対象となったサービスの実情に適したチェック項目を効率的に抽出することができる。
【0120】
なお、
図14の画面において、ユーザはチェックリスト作成支援部213が自動設定したチェック項目に対し編集操作を行うことが可能であるとするが、これに限らず、チェックリスト作成支援部213が自動設定したチェック項目に対する編集操作を不可とする構成としてもよい。
【0121】
また、本実施形態では、チェックリスト作成支援部213は、チェック回数が閾値未満のチェック項目を取り除いたチェックリストを生成する構成としたが、これに限らないものとする。例えば、チェックリスト作成支援部213は、チェック回数が閾値未満のチェック項目を識別可能な状態で表したチェックリストを生成してもよい。この場合、チェックリスト作成支援部213は、チェック回数が閾値未満のチェック項目を赤字で表したりすることで、他のチェック項目と識別可能な状態としてもよい。
【0122】
また、本実施形態では、チェックリスト作成支援部213は、生成したチェックリストを編集可能な状態で画面表示させる構成としたが、これに限らないものとする。例えば、チェックリスト作成支援部213は、生成したチェックリストをチェックリストDB263に直ちに記憶してもよい。また、チェックリスト作成支援部213は、チェック支援部214と協働することで、生成したチェックリストに基づくチェック画面を直ちに表示させてもよい。
【0123】
図10に戻り、サーバ装置20の表示制御部216は、表示部24を制御して、当該表示部24に各種の画面を表示させる。例えば、表示制御部216は、GUI提供部211が提供する各種の画面を表示部24に表示させる。
【0124】
サーバ装置20の操作受付部217は、操作部25を介してユーザ操作を受け付ける。例えば、操作受付部217は、表示部24に表示された各種の操作支援画面に対する操作を受け付けると、その操作内容をCPU21に出力する。
【0125】
以下、上述したサーバ装置20の動作例について説明する。
図15は、サーバ装置20が実行するチェックリストの生成に係る処理の一例を示すフローチャートである。なお、本処理の前提として、既存のチェクリストがチェックリストDB263に記憶されており、当該チェックリストを用いて行われたチェック結果の集計情報がチェック結果集計DB265に記憶されているものとする。
【0126】
まず、設計支援部212は、KPIツリーDB261に登録されたKPIツリーから、表示の対象となるKPIツリーの選択を受け付ける(ステップS11)。次いで、設計支援部212は、選択されたKPIツリーを可視化して表示する(ステップS12)。
【0127】
続いて、チェックリスト作成支援部213は、表示されたKPIツリーから、チェックリストの作成対象となるサービスノードEの選択を受け付ける(ステップS13)。サービスノードEが選択されると、チェックリスト作成支援部213は、チェック結果集計DBに記憶された、サービスノードEに係るチェックリストの集計情報を参照する(ステップS14)。より具体的には、チェックリスト作成支援部213は、ステップS11で選択されたKPIツリーに係る顧客の顧客属性と、ステップS13で選択されたサービスノードEに係る業務フローのフローIDとの条件に該当する集計情報をチェック結果集計DBから検索する。
【0128】
続いて、チェックリスト作成支援部213は、検索した集計情報のチェック回数に基づき、チェック回数が閾値以上のチェック項目を集計情報から抽出する(ステップS15)。次いで、チェックリスト作成支援部213は、抽出したチェック項目に基づいてチェックリストを生成し(ステップS16)、当該チェックリストを編集可能な画面を表示させる(ステップS17)。
【0129】
ここで、画面を操作するユーザは、
図11で説明したように、チェック項目を編集したり追加したりすることができる。そして、ユーザは、編集操作を終えると編集完了を指示する。なお、編集操作は必須ではなく、ユーザは、編集操作を行わないまま編集完了を指示してもよい。
【0130】
チェックリスト作成支援部213は、編集完了が指示されるまで待機する(ステップS18;No)。そして、チェックリスト作成支援部213は、編集完了の指示を受け付けると(ステップS18;Yes)、画面表示された状態のチェックリストをチェックリストDB263に記憶し(ステップS19)、本処理を終了する。
【0131】
以上のように、本実施形態のサーバ装置20は、チェックリストを用いてチェックが行われた業務フローに係るサービスのチェック回数を、業務フローの種別及びチェックリストに含まれるチェック項目毎に集計する。また、サーバ装置20は、チェック対象となるサービスを指定した新たなチェックリストの作成指示を受け付けると、チェック対象のサービスに係る集計結果から、チェック回数が閾値以上のチェック項目を抽出し、抽出したチェック項目に基づいて新たなチェックリストを生成する。
【0132】
このように、サーバ装置20は、新たなチェックリストの作成が指示されると、チェック対象が同様のサービスに対して使用されたチェックリストに含まれるチェック項目のうち、有効に活用されたチェック項目を用いてチェックリストを生成する。これにより、サーバ装置20は、ユーザが一からチェックリストを作成する手間を省くことができるため、チェックリストの作成を支援することができる。また、サーバ装置20は、利用される機会の少ないチェック項目を省いたチェックリストを生成することができるため、本質的なチェック項目を含んだチェックリストを生成することができる。しかたがって、サーバ装置20は、チェックリストの作成者の能力に依存しない、妥当性の高いチェックリストを生成することができる。
【0133】
また、サーバ装置20は、サービスを実施する顧客の顧客属性毎にチェック回数を集計し、新たに作成するチェックリストのチェック対象となるサービスを実施する顧客の顧客属性に係る集計結果から、チェック回数が閾値以上のチェック項目を抽出する。これにより、サーバ装置20は、サービスを実施する顧客の属性に適したチェック観点のチェック項目をチェックリストに含めることができるため、妥当性の高いチェックリストを生成することができる。
【0134】
また、サーバ装置20は、サービスの稼働期間を基に、チェック項目に対するチェック回数を所定の期間毎に区分して集計することもできる。この場合、サーバ装置20は、新たに作成するチェックリストのチェック対象となるサービスの稼働期間が属する区分の集計結果から、チェック回数が閾値以上のチェック項目を抽出する。これにより、サーバ装置20は、チェック対象となるサービスの稼働期間で、頻繁にチェックされているチェック項目をチェックリストに含めることができるため、妥当性の高いチェックリストを生成することができる。
【0135】
また、サーバ装置20は、生成したチェックリストを編集可能な画面を提供し、当該画面を介して行われた編集結果を生成したチェックリストに反映する。これにより、サーバ装置20は、生成したチェックリストにユーザの意向を反映することもできるため、チェックリストの作成を支援することができる。
【0136】
また、サーバ装置20は、KPIツリーに設定されたサービスノードEの選択操作により、チェックリストの作成指示を受け付ける。これにより、サーバ装置20は、KPIツリーに基づいたチェックリストの作成指示を受け付けることができるため、業務支援に係るユーザの利便性を向上させることができる。
【0137】
なお、上述した実施形態は、上述した各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0138】
(変形例1)
上述の実施形態では、端末装置10とサーバ装置20とが協働することで、サーバ装置20から提供される各種の画面を端末装置10で表示する例を示したが、これに限らず、端末装置10が単体で表示する形態としてもよい。
【0139】
この場合、端末装置10は、例えば上述したGUI提供部211、設計支援部212、チェックリスト作成支援部213、及びチェック支援部214等の機能部を備えることで、チェックリストの作成及び編集に係る各種の画面を表示することができる。なお、端末装置10は、サーバ装置20が保持する各種のDBを読み取り及び書き込み可能な状態にあるものとする。
【0140】
また、この場合、KPIツリーDB261、業務フローDB262、チェックリストDB263、顧客マスタ264、及びチェック結果集計DB265の一部又は全部は、端末装置10が保持してもよいし、端末装置10がアクセス可能な他の装置(又はクラウド)が保持してもよい。
【0141】
(変形例2)
上述の実施形態では、サーバ装置20は、KPIツリーのサービスノードEに関連付けて業務フローを記憶し管理する形態としたが、これに限らず、サービスノードEに関連付けることなく、業務フロー単体で記憶し管理する形態としてもよい。
【0142】
(変形例3)
上述の実施形態では、顧客属性毎にチェック結果を集計する構成を説明したが、これに限らず、顧客属性を用いずにチェック結果を集計してもよい。また、顧客属性に代えて、顧客の顧客名や、業種、地域等の細目毎にチェック結果を集計してもよい。なお、この場合、チェックリスト作成支援部213は、チェックリストの作成指示で指定されたサービスに係る顧客名、業種、地域等の細目に対応する集計情報を用いて、チェック項目の抽出を行うものとする。
【0143】
なお、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムは、ROMや記憶部等に予め組み込まれた状態で提供される。上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0144】
さらに、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0145】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態やその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0146】
1 業務支援システム
10 端末装置
20 サーバ装置
111 表示制御部
112 操作受付部
211 GUI提供部
212 設計支援部
213 チェックリスト作成支援部
214 チェック支援部
215 チェック結果集計部
216 表示制御部
217 操作受付部
261 KPIツリーDB
262 業務フローDB
263 チェックリストDB
264 顧客マスタ
265 チェック結果集計DB
【先行技術文献】
【特許文献】
【0147】