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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110587
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240808BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20240808BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H05K7/20 G
H05K7/20 H
G06F1/20 B
H01L23/46 C
G06F1/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015245
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 慎太郎
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB01
5E322AB04
5E322AB06
5E322AB11
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322FA04
5F136CA05
5F136CA09
(57)【要約】
【課題】外部から取り込んだ空気によって電子部品を効率よく冷却することが可能電子機器を提供することである。
【解決手段】実施形態の電子機器は、一面が開口した中空の第1空間部を有するとともに、外部と前記第1空間部とを連通する第1通気孔を有する筐体と、前記筐体の前記開口を塞ぐように設けられ、中空の第2空間部を有するとともに、外部と前記第2空間部とを連通する第2通気孔を有する蓋と、前記第1空間部に設けられ、前記筐体に収納された電子部品から発生した熱を放熱するヒートシンクと、前記第1空間部に設けられ、回転することで生じる空気の流れによって前記ヒートシンクを冷却するファンと、を備え、前記蓋は、前記ファンに対向した位置に前記第1空間部と前記第2空間部を連通する通気口を有するとともに、前記通気口を除いて前記第1空間部と前記第2空間部を隔離する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が開口した中空の第1空間部を有するとともに、外部と前記第1空間部とを連通する第1通気孔を有する筐体と、
前記筐体の前記開口を塞ぐように設けられ、中空の第2空間部を有するとともに、外部と前記第2空間部とを連通する第2通気孔を有する蓋と、
前記第1空間部に設けられ、前記筐体に収納された電子部品から発生した熱を放熱するヒートシンクと、
前記第1空間部に設けられ、回転することで生じる空気の流れによって前記ヒートシンクを冷却するファンと、
を備え、
前記蓋は、前記ファンに対向した位置に前記第1空間部と前記第2空間部を連通する通気口を有するとともに、前記通気口を除いて前記第1空間部と前記第2空間部を隔離する、
電子機器。
【請求項2】
前記蓋は、
前記第2通気孔と前記通気口を有するとともに、前記第1空間部と前記第2空間部を隔離するトップカバーと、
前記トップカバーの上部に前記トップカバーとの間に前記第2空間部を形成して設けられたキャップカバーと、
を有する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1通気孔は排気孔であり、前記第2通気孔は吸気孔であり、前記ファンが回転すると前記第2通気孔から吸気された空気が前記通気口を通って前記ヒートシンクに送られ、前記第1通気孔から外部に排出される、
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ファンは前記トップカバー側に略四角形状の角部を有し、
前記通気口の周囲に前記角部の略全体に圧接されるクッションゴムを設けた、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記クッションゴムは、傾斜面を有し、前記傾斜面が前記角部に斜め方向から圧接される、
請求項4に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PC(Personal Computer)等の電子機器は、画像を生成して出力するような複雑な処理をする場合に、プロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)等の電子部品が多くの発熱をする。そのため、CPUに放熱用のヒートシンクを取り付け、さらにヒートシンクを冷却するファンを設けることがある。さらに外気を筐体内に取り込み、発熱で暖められた空気を筐体から外部に排気するために、電子機器には多くの孔(吸気孔や排気孔としての通風孔)が設けられている。
【0003】
しかしながら従来の電子機器は、外部から取り込んだ空気によって効率よく電子部品に当てることができておらず、電子部品の熱を効率よく冷却することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、外部から取り込んだ空気によって電子部品を効率よく冷却することが可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電子機器は、一面が開口した中空の第1空間部を有するとともに、外部と前記第1空間部とを連通する第1通気孔を有する筐体と、前記筐体の前記開口を塞ぐように設けられ、中空の第2空間部を有するとともに、外部と前記第2空間部とを連通する第2通気孔を有する蓋と、前記第1空間部に設けられ、前記筐体に収納された電子部品から発生した熱を放熱するヒートシンクと、前記第1空間部に設けられ、回転することで生じる空気の流れによって前記ヒートシンクを冷却するファンと、を備え、前記蓋は、前記ファンに対向した位置に前記第1空間部と前記第2空間部を連通する通気口を有するとともに、前記通気口を除いて前記第1空間部と前記第2空間部を隔離する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態における電子機器の外観を示す斜視図である。
図2図2は、電子機器の構成を示す分解斜視図である。
図3図3は、電子機器の内部構造を概略的に示す縦断面図である。
図4図4は、図3の断面図において空気の流れを示す説明図である。
図5図5は、トップカバーおよびクッションゴムの構造を示す斜視図である。
図6図6は、クッションゴムを装着したトップカバーを示す斜視図である。
図7図7は、クッションゴムを装着したトップカバーを示す平面図である。
図8図8は、クッションゴムとファンとの接触を示す説明図である。
図9図9は、クッションゴムがファンに押圧された状態における分力を示す説明図である。
図10図10は、第2実施形態において空気の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面を用いて説明する。説明の便宜のため、図面には、三次元座標系を併せて示す。各図において、電子機器1の幅方向(左右方向)をX軸方向、奥行方向(前後方向)をY軸方向、高さ方向(上下方向)をZ軸方向とする。なお、以下の実施形態によって発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における電子機器1の外観を示す斜視図である。図2は、電子機器1の構成を示す分解斜視図である。図1および図2に示すように、電子機器1は、例えば、情報に基づいて画像を生成して、表示させるPC等の画像処理装置である。電子機器1は、筐体100と蓋200を備えている。筐体100は、上面が開口した、略直方体形状の中空の箱である。
【0009】
筐体100には、電子機器1の電源をオンとオフとのいずれかに切り替えるスイッチ3が設けられている。また、筐体100には、側面に多数の第1通気孔11と第1通気孔12が形成されている。具体的には、筐体100のある側面と当該側面と反対側の側面には第1通気孔11が形成され、第1通気孔11が形成されていない側面には第1通気孔12が形成されている。第1通気孔11および第1通気孔12は、電子機器1の内部(後述する第1空間部107(図3を参照))と外部とを連通する通気孔である。また第1通気孔11と第1通気孔12は、第1空間部107内の空気を外部に排気する排気孔である。
【0010】
蓋200は、筐体100に取り付けられる。筐体100に取り付けた蓋200は、筐体100の開口を上方から塞ぐ。蓋200の側面(一側面と当該側面の反対側の側面)には、多数の第2通気孔21が形成されている。第2通気孔21は、電子機器1の内部(後述する第2空間部226(図3を参照)と外部とを連通する通気孔である。また、第2通気孔21は、外部の空気を第2空間部226に吸気する吸気孔である。
【0011】
図2は、電子機器1の構成を示す分解斜視図である。図2に示すように、筐体100は、上面が開口した箱型の容器であって、内部にヒートシンク101(図3を参照)やファン102が収納される。ファン102は、4本のネジ1021によってヒートシンク101に固定される。また筐体100は、内部にCPU105や記憶装置等の電子部品が実装された基板106(図3を参照)が取り付けられている。これらの電子部品は、例えば画像を生成する処理を行った場合に相当量の熱を発生する。ヒートシンク101は電子部品から発生した熱を伝導して放射する部品である。ファン102は、複数枚の羽根を有するとともに、外形が略四角柱形状であり、蓋200側(ファン102の回転によって発生する風の流れ方向上流側)の四辺にはそれぞれ直線状の角部1022を有する。
【0012】
ファン102は、複数枚の羽根が回転することで空気の流れを発生させ、ヒートシンク101に発生させた空気を送り出す(吹き付ける)ことで、ヒートシンク101を冷却する。
【0013】
蓋200は、筐体100の開口と略同形状の蓋であり、筐体100に取り付けられる。蓋200は、トップカバー210とキャップカバー220とを有する。トップカバー210は、例えば樹脂で形成されたトレイ状の形状を有し、筐体100の開口を塞ぐ位置に着脱可能に取り付けられる。具体的には、トップカバー210は、ネジ213を4隅に設けられたネジ受け孔214を通して筐体100に設けられたネジ受け孔13にネジ止めして固定することで、筐体100に取り付けられる。
【0014】
また、トップカバー210は、底面211と当該底面211の周辺に4面の側壁212とを有する。側壁212は、底面211の縁に立てられて上向きに突出し、底面211を四角状に囲む。また、トップカバー210は、底面211から立設する複数個のリブ26を備えている。リブ26は、後述するキャップカバー220の天面221(後述)を支え、天面221の撓みを防止する。
【0015】
また、トップカバー210は、底面211の略中央部付近で、ファン102に対向した位置に通気口216を備える。通気口216は多数の通気孔22を有する。通気孔22は、後述する第1空間部107と第2空間部226とを連通させる孔である。すなわち通気口216は、第1空間部107と第2空間部226とを連通させる。第1実施形態では、通気口216はファン102の回転によって、第2空間部226の空気を第1空間部107に送り出す孔である。
【0016】
底面211は、通気口216以外に第1空間部107と第2空間部226とを連通させる孔や隙間を有していない。すなわち、トップカバー210は、通気口216を除いて第1空間部107と第2空間部226とを隔離する。隔離するとは、第1空間部107から第2空間部226への間の空気の流れ、および第2空間部226から第1空間部107への間の空気の流れを生じさせない(遮断する)、またはほぼ生じさせない(ほぼ遮断する)ことである。
【0017】
キャップカバー220は、トップカバー210の上に重ねて取り付けられる。キャップカバー220は、平面状の天面221と、脚部222と、を有する。
【0018】
天面221は、トップカバー210の底面211の上にリブ26の高さ分の隙間を空けて対向した面である。ここで、天面221と底面211とで挟まれ、側壁212で囲まれた空間が第2空間部226である。蓋200は、第2空間部226を有する。脚部222は、天面221の縁に設けられてトップカバー210の側壁212の内側に嵌る部分である。
【0019】
脚部222は、隔壁25と当該隔壁25に対向する側壁212との間に介在する、面状の形状を有する。脚部222は、斜面231に接するので、頂部23に触れる部分223が凹状に窪んでいる。
【0020】
また、脚部222は、トップカバー210の側壁212に設けられた第2通気孔21を塞がない位置に、設けられている。換言すると、脚部222は、第2通気孔21に対向する位置に、切欠き224を備えている。
【0021】
また、キャップカバー220は、二対の爪部225を備えている。対をなす爪部225は、切欠き224を挟んで設けられ、先端部分が外側へ反った形状で、弾性を有している。爪部225の先端は、トップカバー210にはめ込む過程で側壁212の内側四隅に設けられた係合穴215に引っ掛かる。これにより、トップカバー210とキャップカバー220とが係合され、トップカバー210にキャップカバー220が取り付けられた蓋200となる。トップカバー210からキャップカバー220を取り外すときには、爪部225を内側に向けて撓めることにより引っ掛けを解除して上方に外す。
【0022】
トップカバー210を筐体100に取り付ける場合は、キャップカバー220を外してネジ213によってネジ止めする。トップカバー210を筐体100に取り付けた状態で、キャップカバー220をトップカバー210に取り付ける。トップカバー210を筐体100から取り外す場合は、キャップカバー220を外してネジ213を外す。
【0023】
図3は、電子機器1の内部構造を概略的に示すXZの面で断面した縦断面図である。図3に示すように、電子機器1は、トップカバー210(正確にはトップカバー210の底面211)によって第1空間部107と第2空間部226に区分けされる。すなわち、トップカバー210(正確にはトップカバー210の底面211)は、通気口216を除いて第1空間部107と第2空間部226を隔離している。第1空間部107は、筐体100内の空間領域であり、筐体100とトップカバー210とで囲まれた領域である。第2空間部226は、蓋200内の空間領域であり、トップカバー210とキャップカバー220とで囲まれた領域である。
【0024】
筐体100の第1空間部107には、CPU105を含む電子部品が実装された基板106が固定されている。実施形態では、基板106は上下2段に設けられている。CPU105は下段の基板106に取り付けられている。
【0025】
また、CPU105の上部には、ヒートシンク101が取り付けられている。ヒートシンク101は、筐体100の第1空間部107に設けられる。ヒートシンク101は、サーマルシートと呼ばれる熱伝導率が高いクッションシートを介してCPU105に取り付けられている。サーマルシートはCPU105で発生した熱を効率よくヒートシンク101に伝導するシートである。
【0026】
ヒートシンク101は、例えばアルミニウム等の金属で形成されており、ベースになる基台と基台から上方に延出する多数本の細い略円柱状のピンで構成される。各ピンは間隔を空けて略並行に上方に延出しており、ヒートシンク101の表面積を多くしている。そのため、ヒートシンク101は表面から多くの熱を外気に放熱することができ、CPU105で発生した熱を放熱してCPU105を冷却することができる。
【0027】
また、ヒートシンク101の上部には、ファン102が取り付けられる。ファン102は、筐体100の第1空間部107に設けられる。ファン102は、4本のネジ1021によってヒートシンク101にネジ止めされて固定される。ファン102は、羽根が回転することで上方から下方(第2空間部226から第1空間部107)に向けて空気の流れを起こす。
【0028】
トップカバー210は、ファン102の略直上に設けられる。また、通気口216(すなわち多数の通気孔22)は、ファン102の直上であってファン102に対向した位置に位置する。
【0029】
また、トップカバー210は、下方に突起上に延びる囲い部228を有する。囲い部228は、通気口216を囲むようにファン102側(すなわち第1空間部側)に延出したロの字状の突起である。囲い部228にはクッションゴム241が張り付けられている。クッションゴム241は、ファン102の角部1022に押圧されており、トップカバー210とファン102の間隙を隙間なく埋める。トップカバー210とクッションゴム241については図5図9で後述する。ファン102の回転によって通気口216から吸気された空気は、ファン102によってヒートシンク101に送られる。通気口216から吸気された空気がファン102と囲い部228との隙間を通って(すなわち、ヒートシンク101を通らずに)第1空間部107に漏れ出すことがない。
【0030】
また、ファン102が回転することで、外部の空気が第2通気孔21から第2空間部226に吸気される。第2空間部226は、トップカバー210とキャップカバー220とで略密閉されたダクト状に形成されているため、第2空間部226に吸気された空気は、ほぼ第2空間部226から漏れ出すことなく通気口216に送られる。
【0031】
ここで、電子機器1内の空気の流れについて図4を用いて説明する。図4は、図3に示した電子機器1において空気の流れを示す説明図である。図4に示すように、ファン102が回転すると、外部の空気が矢印Yaで示すように第2通気孔21を通って第2空間部226に吸気される。吸気された空気はダクト状の第2空間部226を通って通気口216(具体的には多数の通気孔22)を通ってファン102に吸気される。ファン102に吸気された空気はファン102内を矢印Ybで示すように通過してヒートシンク101に送られる。ヒートシンク101に送られた空気は、立設する複数のピンの間を通過して、第1空間部107内を通り、第1通気孔11および第1通気孔12から外部に放出される。ヒートシンク101を通過する空気は、ヒートシンク101から熱が伝導されるため、ヒートシンク101を冷却する。ヒートシンク101は、CPU105で発生した熱を放熱する部品であるため、ヒートシンク101が冷却されると、CPU105も冷却される。なお、図4では図示していないが、ヒートシンク101を通過した空気は、第1通気孔12からも外部に排気される。
【0032】
なお、第1実施形態では、ヒートシンク101に送られた空気は、第1通気孔11および第1通気孔12から外部に排気されるが、例えば第1通気孔11だけを設けて第1通気孔12を設けないものであってもよい。この場合、空気は第1通気孔11から排気される。しなしながら、ヒートシンク101をより効率よく冷却するためには、筐体100により多くの通気孔を設けて排気することが望ましい。そのため、第1実施形態では第1通気孔11および第1通気孔12を設けた。
【0033】
ここからは、トップカバー210とクッションゴム241について説明する。図5は、トップカバー210およびクッションゴム241の構造を示す斜視図である。トップカバー210の中央付近でファン102に対向した位置には囲い部228が形成されている。囲い部228は、略ロの字状にファン102側に向けて突出した突起である。囲い部228の内部には多数の通気孔22を有する通気口216が形成されている。
【0034】
囲い部228は、ロの字状の各辺(4辺)にそれぞれ傾斜面227が形成されている。傾斜面227の角度は略45度程度が望ましい。各傾斜面227には、クッションゴム241が張り付けられる。クッションゴム241は例えば発泡性ポリウレタンで構成され、弾力性を有する素材である。また、クッションゴム241は、略角柱状に形成されている。クッションゴム241は、4か所の傾斜面227にそれぞれ接着されるか装着(以降総称して「装着」という)される。
【0035】
図6は、クッションゴム241を装着したトップカバー210を示す斜視図である。また図7は、クッションゴム241を装着したトップカバー210を示す平面図である。傾斜面227に装着されたそれぞれのクッションゴム241は、面232(傾斜面)を有する。面232は、ファン102の角部1022に対向する位置に位置し、トップカバー210が筐体100に取り付けられると、面232は角部1022に対して斜め方向に接触して最終的に角部1022に押圧される。角部1022に接触した状態および角部1022に押圧された状態の面232の傾斜角度は略45°が最適である。
【0036】
なお、図7に記載したように、クッションゴム241は、クッションゴム2411~クッションゴム2414の4つのクッションゴム241からなる。囲い部228には、最初のクッションゴム241を装着する基準点となる目印線Pが印されている。まずクッションゴム2411を目印線Pに合わせて傾斜面227に装着する。その後装着したクッションゴム2411に端部を接触させるようにクッションゴム2412を傾斜面227に装着し、同様にクッションゴム2413とクッションゴム2414を傾斜面227に装着する。このようにクッションゴム2411~クッションゴム2414の順にクッションゴム241を装着することで、各クッションゴム241どうしが隙間なく装着される。
【0037】
図8は、クッションゴム241とファン102の角部1022との接触を示す説明図である。図9は、クッションゴム241がファン102の角部1022に押圧された状態における分力を示す説明図である。
【0038】
前述のように、トップカバー210が筐体100に取り付けられる過程においてクッションゴム241は面232が略45°の角度で角部1022に接触し(図8の状態)、その後、トップカバー210が筐体100完全に取り付けられると、図9に示すように、クッションゴム241は角部1022に押圧されて変形する。このような状態になると、クッションゴム241はトップカバー210とファン102との隙間を密閉する。そのため、ファン102の回転によって通気口216から吸気された空気がトップカバー210とファン102との隙間から第1空間部107に漏れ出すことを防止できる。そのため、ファン102の回転によって通気口216から吸気された空気をほぼヒートシンク101に送り込むことが可能となり、効率よくヒートシンク101を冷却することができる。ヒートシンク101が効率よく冷却されると、CPU105も効率よく冷却される。
【0039】
また、クッションゴム241は面232が略45°の角度で角部1022に接触しているため、図9に示すように、角部1022からクッションゴム241は矢印Yd方向(約45°の角度)の応力を受けるが、当該応力の上下方向(Z方向)の分力は矢印Ye方向と弱まる。そのためYe方向の応力に対する矢印Yf方向の反力も矢印Ye方向の応力と同等の力となる。すなわち、ファン102の角部1022によってクッションゴム241が押圧されて変形しても、面232が傾斜しており角部1022から斜め方向(矢印Yd方向)に押圧されるため、下向きの反力が減衰する。すると、反力によるCPU105への負荷(CPUにかけられる荷重)も軽減される。CPU105は、耐久性の観点でもともとかけられる負荷に制限があるため、このように角度をもってクッションゴム241を角部1022に押圧することで、CPU105に対する負荷(反力)を軽減することができる。
【0040】
(第2実施形態)
ここからは、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態とファン102の回転方向を逆にし、電子機器1内における空気の流れ方向を第1実施形態と反対方向としたものである。第2実施形態は、ファン102の回転方向を反対にしたこと以外の構成は、第1実施形態と同様である。そのため、第2実施形態において、図4図10に変更するが、その他の図面は第2実施形態でも同様に使用できる。図10は、第2実施形態において空気の流れを示す説明図(第4図に対向した図)である。
【0041】
図10は、図3に示した電子機器1において空気の流れを示す説明図である。図10に示すように、ファン102が回転すると、外部の空気が矢印Ygで示すように第1通気孔11および第1通気孔12から第1空間部107に吸気される。吸気された空気は、ファン102の回転によりヒートシンク101付近を通過して、ヒートシンク101が放熱した熱を奪いながらファン102に吸引される。その後、空気はファン102を通過し(矢印Yh)、通気口216(具体的には多数の通気孔22)を通って矢印Yjのように第2空間部226に運ばれて第2通気孔21から外部に排気される。なお、第2実施形態では、第1通気孔11と第1通気孔12は吸気孔であり、第2通気孔21は排気孔である。
【0042】
このような第2実施形態においても、ヒートシンク101を通過する空気は、ヒートシンク101から熱が伝導されるため、ヒートシンク101を冷却する。また、クッションゴム241はトップカバー210とファン102との隙間を密閉するため、ファン102の回転によって第1空間部107に吸気された空気がヒートシンク101を通らずに第2空間部226に漏れ出すことを防止することができる。そのため、ファン102の回転によって第1空間部107に吸気された空気を漏らさずにヒートシンク101に送り込むことが可能となり、効率よくヒートシンク101を冷却することができる。ヒートシンク101が効率よく冷却されると、CPU105も効率よく冷却される。
【0043】
以上説明したように、第1実施形態および第2実施形態に係る電子機器1は、一面が開口した中空の第1空間部107を有するとともに、外部と第1空間部107とを連通する第1通気孔11および第1通気孔12を有する筐体100と、筐体100の開口を塞ぐように設けられ、中空の第2空間部226を有するとともに、外部と第2空間部226とを連通する第2通気孔21を有する蓋200と、第1空間部107に設けられ、筐体100に収納されたCPU105から発生した熱を放熱するヒートシンク101と、第1空間部107に設けられ、回転することで生じる空気の流れによってヒートシンク101を冷却するファン102と、を備え、蓋200は、ファン102に対向した位置に第1空間部107と第2空間部226を連通する通気口216を有するとともに、通気口216を除いて第1空間部107と第2空間部226を隔離する。
【0044】
このような構成の電子機器1は、ファン102が外部から吸気した空気によって効率よくヒートシンク101を冷却することができるため、電子部品を効率よく冷却することが可能となる。
【0045】
なお、第2実施形態では、第1通気孔11および第1通気孔12から筐体100に空気を吸気するが、例えば第1通気孔11だけを設けて第1通気孔12を設けないものであってもよい。この場合、空気は第1通気孔11から吸気される。しなしながら、ヒートシンク101をより効率よく冷却するためには、筐体100により多くの通気孔を設けて吸気することが望ましい。そのため、第2実施形態では第1通気孔11および第1通気孔12を設けた。
【0046】
以上、本発明に係る第1実施形態および第2実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
例えば第1および第2実施形態では、ヒートシンク101をCPU105に取り付けて、CPU105から発生した熱を放熱するようにした。しかしながらこれに限らず、ヒートシンク101を他の電子部品に接続して、ヒートシンク101が当該電子部品から発生した熱を放熱するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 電子機器
11 第1通気孔
12 第1通気孔
21 第2通気孔
22 通気孔
100 筐体
101 ヒートシンク
102 ファン
105 CPU
106 基板
107 第1空間部
200 蓋
210 トップカバー
211 底面
216 通気口
220 キャップカバー
221 天面
222 脚部
225 爪部
226 第2空間部
227 傾斜面
228 囲い部
231 斜面
232 面
241 クッションゴム
1021 ネジ
1022 角部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【特許文献1】特開平8-316380号公報
図1
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