(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110589
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】ホース補助具、ホース補助具の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20240808BHJP
F16L 3/02 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
F16L57/00 A
F16L3/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015251
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】後藤 順一
【テーマコード(参考)】
3H023
3H024
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AB07
3H023AC64
3H023AD02
3H023AD54
3H024AA02
3H024AB02
3H024AC05
(57)【要約】
【課題】ホース補助具としての本来の機能を発揮しつつ、曲がり角度を自由に変化できるホース補助具を提供する。
【解決手段】補助具本体2は、ホースHを挿入するための挿入部であって、軸方向の全域に亘って配置され、且つ補助具本体2を周方向に分離する挿入部と、挿入部から周方向の一方側及び他方側が軸方向で離れ、軟質部20と硬質部21を含む複数の離れ部11と、挿入部と径方向で対向し、軟質部20と硬質部21とを含んで軸方向に離れずに延びている径対向部12とを備え、第一方向に延びる第一辺部A10と、第一辺部A10に交差し且つ第二方向に延びる第二辺部A11とにより構成される角部A1を備える構造物Aに対して角部A1を跨ぐように曲げて配置するときには、径対向部12が角部A1側に配置され、離れ部11が径対向部12よりも角部A1から遠くなるように配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流通させるホースの曲げ形状を保持するホース補助具であって、
軟質部と、該軟質部を補強するために前記軟質部よりも硬質の素材で構成される硬質部とを備える補助具本体を備え、
前記補助具本体は、前記ホースを挿入するための挿入部であって、軸方向の全域に亘って配置され、且つ前記補助具本体を周方向に分離する挿入部と、前記挿入部から前記周方向の一方側及び他方側が前記軸方向で離れ、前記軟質部と前記硬質部を含む複数の離れ部と、前記挿入部と径方向で対向し、前記軟質部と前記硬質部とを含んで前記軸方向に離れずに延びている径対向部とを備え、
第一方向に延びる第一辺部と、該第一辺部に交差し且つ第二方向に延びる第二辺部とにより構成される角部を備える構造物に対して前記角部を跨ぐように曲げて配置するときには、前記径対向部が前記角部側に配置され、前記離れ部が前記径対向部よりも前記角部から遠くなるように配置される、ホース補助具。
【請求項2】
複数の前記離れ部は、前記軸方向で距離をあけて配置されている、請求項1に記載のホース補助具。
【請求項3】
前記補助具本体は、前記径対向部から前記挿入部に向かって前記周方向に延びる間配部を備え、
前記間配部は、前記軸方向で隣り合う複数の前記離れ部の間に配置され、且つ前記周方向で前記離れ部よりも短く、前記軸方向で隣り合う複数の前記離れ部に接触可能に構成されている、請求項2に記載のホース補助具。
【請求項4】
前記軟質部は断面形状略C字状に構成され、
前記硬質部は、前記軟質部の外面に対して露出し、前記軸方向に延びる螺旋状の経路に沿って配置されている、請求項1に記載のホース補助具。
【請求項5】
前記補助具本体は、前記軸方向で隣り合う複数の前記離れ部を連結し、前記離れ部同士が前記軸方向において所定幅以上離れることを規制する離れ規制部を備える、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のホース補助具。
【請求項6】
流体を流通させるホースの曲げ形状を保持するホース補助具の製造方法であって、
軟質部及び該軟質部を補強するために前記軟質部よりも硬質の素材により構成される硬質部を備える管状の材料体の径方向の一方側で軸方向の全域を切り欠いて、前記ホースを挿入するための挿入部を形成する軸切り欠き工程と、
前記材料体の前記径方向の他方側を残しつつ、前記径方向の一方側から前記材料体を周方向に切断して、前記軸方向で離れ、前記軟質部と前記硬質部を含む複数の離れ部を形成する周切断工程と、を備えるホース補助具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を流通させるホースの曲げ形状を保持するホース補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
前記ホースをキンクすることなくスムーズに曲げることができるホース補助具として、従来、特許文献1に記載の曲がり補助具がある。この曲がり補助具は、ホースを挿通し得る太さを有する筒体を備え、該筒体はFRPなどの剛直な材料によりなっている。また、前記筒体は、全長に亙って一方向に均一に曲がっており、当該曲がり方向に対して垂直方向に、その全長に亙って開口部が形成されている。さらに、前記筒体には、前記開口部の反対面に、曲がり補助具を支えるための脚部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の通り、特許文献1記載の曲がり補助具において、前記筒体はFRPなどの剛直な材料によりなっており、全長に亙って一方向に均一に曲がっている。そのため、この曲がり補助具の曲がり角度は一定である。よって、例えば、階段の踊り場の寸法に合わせた曲がり角度で前記ホースを設置する場合や、路上に配置された自動車やバイクといった障害物を避け又は乗り越えるように前記ホースを設置する場合など、各現場で設置される前記ホースの曲がり角度が異なる場合に、前記曲がり補助具は、各現場の状況に合わせて、曲がり角度を柔軟に変化させることができなかった。したがって、前記曲がり補助具は、設置場所によっては前記ホースの適切な曲げを補助できないことがあった。
【0005】
そこで、本発明は、ホース補助具としての本来の機能を発揮しつつ、設置場所の状況に応じて曲がり角度を自由に変化できるホース補助具及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流体を流通させるホースの曲げ形状を保持するホース補助具であって、軟質部と、該軟質部を補強するために前記軟質部よりも硬質の素材で構成される硬質部とを備える補助具本体を備え、前記補助具本体は、前記ホースを挿入するための挿入部であって、軸方向の全域に亘って配置され、且つ前記補助具本体を周方向に分離する挿入部と、前記挿入部から前記周方向の一方側及び他方側が前記軸方向で離れ、前記軟質部と前記硬質部を含む複数の離れ部と、前記挿入部と径方向で対向し、前記軟質部と前記硬質部とを含んで前記軸方向に離れずに延びている径対向部とを備え、第一方向に延びる第一辺部と、該第一辺部に交差し且つ第二方向に延びる第二辺部とにより構成される角部を備える構造物に対して前記角部を跨ぐように曲げて配置するときには、前記径対向部が前記角部側に配置され、前記離れ部が前記径対向部よりも前記角部から遠くなるように配置される、ホース補助具である。
【0007】
前記構成によれば、前記補助具本体は前記挿入部を備えることにより、前記挿入部を介して、前記径方向で前記ホースを前記ホース補助具内に挿入でき、前記ホース補助具を前記構造物に対して前記角部を跨ぐように曲げて配置するときには、前記径対向部が前記角部側に配置されることによって、前記径対向部が前記角部から前記ホース補助具内の前記ホースを保護でき、前記離れ部が前記径対向部よりも前記角部から遠くなるように配置されることによって、前記ホース補助具の曲げに伴って前記離れ部同士が前記軸方向で離れるため、前記ホース補助具を柔軟に曲げることができる。また、前記離れ部は前記軟質部と前記硬質部を含むため、前記離れ部同士が前記軸方向で離れても、前記径方向の断面形状が保持され、前記ホース補助具内の前記ホースが過度に曲がることを防ぐことができる。また、前記ホースを前記ホース補助具内に挿入することで、前記ホースを外傷から保護することができる。
【0008】
また、本発明では、複数の前記離れ部は、前記軸方向で距離をあけて配置されていてもよい。
【0009】
前記構成によれば、例えば、前記挿入部側を曲げ方向の内側にして前記ホース補助具を曲げる際には、前記離れ部同士が前記軸方向で近付くことにより、前記挿入部側を前記曲げ方向の内側にして曲げることができる。
【0010】
また、本発明では、前記補助具本体は、前記径対向部から前記挿入部に向かって前記周方向に延びる間配部を備え、前記間配部は、前記軸方向で隣り合う複数の前記離れ部の間に配置され、且つ前記周方向で前記離れ部よりも短く、前記軸方向で隣り合う複数の前記離れ部に接触可能に構成されていてもよい。
【0011】
前記構成によれば、前記径対向部から前記挿入部に向かって前記周方向に延びる前記間配部は、前記軸方向で隣り合う複数の前記離れ部の間に配置され、且つ前記周方向で前記離れ部よりも短いため、前記挿入部側を曲げ方向の内側にして前記ホース補助具を曲げる際に、前記離れ部同士が前記軸方向で近付くことを許容でき、また、前記間配部は、前記軸方向で隣り合う複数の前記離れ部に接触可能に構成されるため、例えば、前記軸方向で前記離れ部が動いた際には、前記間配部が前記離れ部に接触して突っ張るようにすることによって、前記離れ部の前記軸方向の動きが規制され、前記径対向部が過度に曲がるといったことを防止できる。
【0012】
また、本発明では、前記軟質部は断面形状略C字状に構成され、前記硬質部は、前記軟質部の外面に対して露出し、前記軸方向に延びる螺旋状の経路に沿って配置されていてもよい。
【0013】
前記構成によれば、前記硬質部が、断面形状略C字状の前記軟質部の外面に対して露出し、前記軸方向に延びる螺旋状の経路に沿って配置されているため、前記ホース補助具の外面は前記軸方向で凹凸状に形成され、該凹凸状の外面を前記ホース補助具の設置時の滑り止めにできる。
【0014】
また、本発明では、前記補助具本体は、前記軸方向で隣り合う複数の前記離れ部を連結し、前記離れ部同士が前記軸方向において所定幅以上離れることを規制する離れ規制部を備えていてもよい。
【0015】
前記構成によれば、前記ホース補助具を曲げた際には、前記離れ部同士が前記軸方向において所定幅以上離れることを前記離れ規制部が規制するため、前記離れ部同士が前記軸方向で離れることに伴う前記周方向におけるホース補助具の切断の進行を抑制できる。
【0016】
また、本発明は、流体を流通させるホースの曲げ形状を保持するホース補助具の製造方法であって、軟質部及び該軟質部を補強するために前記軟質部よりも硬質の素材により構成される硬質部を備える管状の材料体の径方向の一方側で軸方向の全域を切り欠いて、前記ホースを挿入するための挿入部を形成する軸切り欠き工程と、前記材料体の前記径方向の他方側を残しつつ、前記径方向の一方側から前記材料体を周方向に切断して、前記軸方向で離れ、前記軟質部と前記硬質部を含む複数の離れ部を形成する周切断工程と、を備えるホース補助具の製造方法である。
【0017】
前記構成によれば、前記軸切り欠き工程によって前記挿入部を形成することにより、前記挿入部を介して、前記径方向で前記ホースを前記ホース補助具内に挿入でき、前記周切断工程によって複数の前記離れ部を形成することにより、例えば、前記ホース補助具の前記径方向の他方側を曲げ方向の内側にした状態で前記ホース補助具を曲げた際には、前記離れ部同士が前記軸方向で離れることにより、前記ホース補助具を柔軟に曲げることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上、本発明によれば、前記ホース補助具を柔軟に曲げることができるため、前記ホース補助具としての本来の機能を発揮しつつ、曲がり角度を自由に変化でき、角部等において前記ホースを閉塞させずに設置することができる。また、角部等において前記ホースを外傷から保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係るホース補助具の正面図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るホース補助具の断面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るホース補助具の平面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るホース補助具の底面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係るホース補助具の使用状態を示す図である。
【
図6】
図6は、第二実施形態に係るホース補助具の正面図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係るホース補助具のうち、VII-VII断面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係るホース補助具の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第一実施形態に係るホース補助具1について説明する。
【0021】
以下の説明において、ホース補助具1の長手方向に沿う方向を「軸方向X」と称し、ホース補助具1の中心軸まわりの方向を「周方向Y」と称し、軸方向Xに直交する方向を「径方向Z」と称する。なお、周方向Yは、径方向視において、軸方向Xに対して直交する方向だけではなく、傾斜した方向も含むものとする。なお、下記における寸法の説明はあくまでも一例であって、説明した寸法に限定されるものではない。
【0022】
説明の便宜上、まず初めに、ホース補助具1の装着対象であって、ホース補助具1により補助されるホースHについて説明する。
【0023】
図5に示すように、ホースHは、流体を流通させるためのものである。そのため、ホースHは管状に構成される。ホースHには、例えば、排水や消火の際に水や消火液等の液体を通す排水用又は消防用のホースや、気体を通すためのエアーホースが含まれる。本実施形態では、ホースHが排水用のホースである場合について説明する。なお、排水は、例えば、水害発生時に浸水した地域に溜まった水に対して行われる。ホースHは、内圧が減圧されることにより径方向Zでひしゃげられ、内圧が加圧されることにより径方向Zに膨らむように構成される。そのため、ホースHは径方向Zにひしゃげられ、且つ渦巻状に巻き取られた状態で搬送される。また、現場において、繰り出されたホースHの内部に流体を通すことにより、ホースHが加圧されて膨らむ。なお、本実施形態のホースHは、加圧前の内径が200mmである。また、本実施形態のホースHは加圧されることにより、内径が約250mmまで膨らむ。
【0024】
ホースHは、可撓性を有する。そのため、例えば、障害物を避けるために、ホースHを過度に曲げたまま通水すると、ホースHには局部的な折れ曲がりが発生する、いわゆるキンク現象が生じる。この場合、ホースH内では、流体の流通が阻害されるという問題が生じる。
【0025】
続いて、ホース補助具1の構成について説明する。ホース補助具1は、流体を流通させるホースHが流体の流通を阻害するようになるまで過度に曲がること(即ち、キンク現象の発生)を防止するために、ホースHの曲げを補助するためのものである。ホース補助具1は、補助具本体2を備える。
【0026】
図2に示すように、補助具本体2は、断面形状略C字状である。本実施形態では、補助具本体2は、液体や気体といった流体を流通するために使用される、管状の材料体(採番しない)としての市販のサクション・デリバリーホースを加工して形成される。なお、材料体として、例えばダクトホースといった他のホースを用いてもよい。補助具本体2としては、使いやすさの観点から、軸方向Xの長さが1~10mのものを用いることが好ましい。本実施形態では、一例として、軸方向Xの長さが3.5mの補助具本体2を用いる。補助具本体2は、軟質部20と、この軟質部20の補強を行う硬質部21とを備える。
【0027】
軟質部20は、断面形状略C字状に構成される。本実施形態の軟質部20は、内径が254mm、外径が270mmとして構成される。また、軟質部20は、補助具本体2の加工材料として用いる材料体の内外を遮断するべく、材料体の内部を通す流体に対する遮断性を有する。本実施形態の軟質部20は、軟質本体部200と、軟質本体部200の内部に配置される補強部201とを備える。そのため、本実施形態の軟質部20は、複層である。
【0028】
軟質本体部200は、断面形状略C字状に構成されている。軟質本体部200は、樹脂製である。本実施形態の軟質本体部200は、樹脂としての軟質塩化ビニルにより構成される。
【0029】
補強部201は、補助具本体2の加工材料として用いる材料体において、本来、軟質部20の内部圧力による破壊に対する限界値を上げるためのものである。補強部201は、補強糸からなる。補強糸としては、例えば、アラミド繊維やビニロン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維が挙げられる。本実施形態の補強部201は、網目状に構成されている。なお、本実施形態の補強部201は、軟質本体部200の内部に配置されている。補強部201は、筒状の軟質本体部200の内部において軸方向X及び周方向Yの全域に配置されている。よって、軟質部20は、軟質本体部200の内部に補強部201として補強糸を配置させることにより構成されている。また、補強部201は、周方向Yに沿うように構成されている。軟質部20は、周方向Yに沿う周状の面として構成されている。
【0030】
図2に示すように、硬質部21は、断面形状略C字状に構成される。硬質部21は、軟質部20よりも硬質の素材により構成される。本実施形態の硬質部21は、軟質本体部200よりも硬質の樹脂である、硬質塩化ビニルにより構成される。本実施形態の硬質部21は、軟質部20の外面に配置されている。よって、本実施形態の補助具本体2は、硬質部21により、断面形状略C字状を維持できる保形性を有する。本実施形態の硬質部21は、軟質部20の外面に対して露出し、周方向Yに沿って螺旋状に配置されている。換言すると、硬質部21は、軸方向Xに延びる螺旋状の経路に沿って配置されている。そのため、本実施形態の硬質部21は、径方向Zにおいて、軟質部20よりも外側に配置されている。また、
図1,3,4に示すように、本実施形態の補助具本体2において、硬質部21は、軸方向Xに複数配置される。さらに、本実施形態では、複数の硬質部21は、軸方向Xで離れて配置されている。そのため、本実施形態の補助具本体2は、軸方向Xにおいて、軟質部20と複数の硬質部21とが交互に配置されることから、外面が凹凸状に構成される。また、螺旋状に配置される硬質部21は、軸方向Xの全域に亘って配置されている。そのため、本実施形態の硬質部21は、軟質部20の周方向Y及び軸方向Xの全域に配置されている。よって、本実施形態の補助具本体2は、軸方向Xの全域において、外面が凹凸状である。加えて、本実施形態では、硬質部21が軟質部20の外面に配置されることにより、補助具本体2は、外径が295mmとして構成されている。
【0031】
補助具本体2は、ホースHをホース補助具1の内部空間1Aに挿入するための挿入部10と、軸方向Xに配置される複数の離れ部11と、挿入部10と径方向Zで対向する径対向部12とを備える。
【0032】
図2に示すように、挿入部10は、管状の補助具本体2の周方向Yの一部に形成されている。そのため、挿入部10は、管状の補助具本体2を周方向Yに分離する。また、
図3に示すように、挿入部10は、補助具本体2の軸方向Xの全域に延びるスリット状である。そのため、挿入部10は、径方向Zで補助具本体2の内外を連通している。よって、挿入部10は、径方向Zでホース補助具1(具体的には、内部空間1A)内にホースHを挿入可能に構成される。また、本実施形態の挿入部10は、軸方向Xに沿って延びる。なお、本実施形態の挿入部10は、周方向Yの長さが125mmである。挿入部10は、径方向Zの一方側に配置される。
【0033】
離れ部11は、
図2に示すように補助具本体2を断面形状略C字状にすべく、周方向Yに延びる。また、この離れ部11、は
図1,3~5に示すように軸方向Xに延びる。よって、本実施形態の離れ部11は、周方向Yと軸方向Xとに延びる短冊状(具体的には、周方向Yに細長い湾曲板状)に構成されている。本実施形態の離れ部11は、軟質部20と硬質部21(具体的には、複数、より詳しくは二つの硬質部21)により構成される。よって、離れ部11は、軟質部20と硬質部21とを含む。具体的に、本実施形態の離れ部11は、軸方向Xの両端部及び真ん中に軟質部20が配置され、且つ軸方向Xに二つの硬質部21が配置されるように構成される。また、軸方向Xには、複数の離れ部11が配置されている。ここで、離れ部11は、周方向Yにおいて、挿入部10と隣り合って配置されている。そのため、
図3に示すように、本実施形態の離れ部11は、周方向Yにおいて、挿入部10の一方側及び他方側に配置される。よって、説明の便宜上、周方向Yの一方側に配置される離れ部11を「一方離れ部11a」と規定し、周方向Yの他方側に配置される離れ部11を「他方離れ部11b」と規定する。本実施形態では、周方向Yの一方側において、複数の一方離れ部11aが軸方向Xで隣り合うように配置され、周方向Yの他方側において、複数の他方離れ部11bが軸方向Xで隣り合うように配置されている。よって、複数の離れ部11は、軸方向Xで離れて配置されている。さらに、本実施形態では、一方離れ部11aと他方離れ部11bとが周方向Yで対向配置されている。
【0034】
本実施形態において、全ての離れ部11は、周方向Yの長さが略同一に構成されている。また、複数の離れ部11は、補助具本体2における軸方向Xの端部に配置される離れ部11を除いて、軸方向Xの長さが略同一に構成されている。
【0035】
離れ部11は、周方向Yにおいて挿入部10側の端部に配置される周端部110と、軸方向Xの両端部に配置される軸端部111とを備える。周端部110は、挿入部10の周方向Yの端部を規定している。
図2に示すように、この周端部110は、ホース補助具1の外面及び内面に亘るべく径方向Zに延びる。また、
図1,3に示すように、周端部110は、軸方向Xに延びる。
図1,3に示すように、軸端部111は、周方向Yに延びる。また、この軸端部111は、ホース補助具1の外面及び内面に亘るべく径方向Zに延びる。よって、周端部110と軸端部111とは、ホース補助具1の内周面と外周面とに亘って配置されている。本実施形態では、全ての離れ部11において、軸端部111の周方向Yの長さは略同一に構成される。また、ホース補助具1における軸方向Xの端部に配置される離れ部11を除く複数の離れ部11において、周端部110の軸方向Xの長さは略同一に構成される。
図1,3,4に示すように、本実施形態では、隣り合う2つの離れ部11,11(具体的には、一方離れ部11aと他方離れ部11bの両方)において、軸端部111,111同士は接している。そのため、本実施形態では、隣り合う2つの離れ部11,11が隣接している。
【0036】
径対向部12は、軸方向Xと周方向Yに広がる。径対向部12は、軸方向Xの全域を軸方向Xの長さとする。径対向部12では、軟質部20と硬質部21とを含んで軸方向Xに離れずに延びている。径対向部12は、周方向Yにおいて、一方離れ部11aと他方離れ部11bとの間に配置されている。本実施形態の径対向部12は、周方向Yにおいて、一方離れ部11aと他方離れ部11bとに連続している。また、本実施形態の径対向部12は、軟質部20と硬質部21とにより構成される。さらに、
図1,2に示すように、径対向部12は、径方向Zで挿入部10と対向するように配置されている。
【0037】
以上が、本実施形態のホース補助具1の構成の説明である。次に、本実施形態のホース補助具1の製造方法について説明する。ホース補助具1は、材料体を加工することにより形成される。ここで、材料体は、管状の軟質部20(具体的には、管状の軟質本体部200及び補強部201)と、軟質部20の外面に対して露出し、周方向Yに沿って螺旋状に配置されている一つの硬質部21とを備える。
【0038】
まず、材料体の径方向Zの一方側において、軸方向Xの全域を切り欠いて挿入部10を形成する軸切り欠き工程を行う。本実施形態の軸切り欠き工程では、材料体を周方向Yで125mm切り欠く。そのため、
図2に示すように、ホース補助具1は、軸方向X視において断面が略「C」字状に構成される。具体的には、軟質部20は、周方向Yで切り欠かれて管状から断面形状略C字状になり、硬質部21は、周方向Yに切り欠かれることにより、軸方向Xに複数配置され、且つ各硬質部21が断面形状略C字状になる。また、軸切り欠き工程によって挿入部10が形成されることにより、径方向Zの他方側には、挿入部10と径方向Zで対向する径対向部12が形成される。
【0039】
続いて、材料体の径方向Zの他方側を残しつつ、径方向Zの一方側から材料体を周方向Yに切断して、複数の離れ部11を形成する周切断工程を行う。本実施形態の周切断工程では、挿入部10から周方向Yの一方側及び他方側を切断する。これにより、径方向Zの一方側において、材料体は軸方向Xに離れ、材料体の周方向Yの一方側には複数の一方離れ部11aが形成され、周方向Yの他方側には複数の他方離れ部11bが形成される。また、材料体の径方向Zの他方側では、径対向部12が軸方向Xで切断されることなく、硬質部21と軟質部20とが離れず軸方向Xに延びる。ここで、本実施形態の周切断工程では、周方向Yに螺旋状の切り込み1Bを入れるように切断する。具体的に、本実施形態の周切断工程では、挿入部10から周方向Yに約230mmの切り込み1Bを入れる。よって、周方向Yの一方側及び他方側のそれぞれでは、複数の離れ部11が軸方向Xで離れて形成される。また、本実施形態の周切断工程では、軟質部20に対して周方向Yの切り込み1Bを入れる。具体的に、軸方向Xで略同一の位置において、周方向Yの一方側及び他方側に切り込み1Bを入れる。そのため、一方離れ部11aと他方離れ部11bとは、軸方向Xで略同一の位置に配置され、且つ周方向Yで対向配置される。さらに、本実施形態の周切断工程では、軸方向Xで複数の切り込み1Bを入れる。具体的に、本実施形態の周切断工程では、軸方向Xの全域において、複数の切り込み1Bを入れる。そのため、少なくとも3つ以上の離れ部11が軸方向Xで形成される。加えて、本実施形態では、全ての離れ部11の周方向Yの長さが略同一に構成されるように、切り込み1Bを入れる。よって、全ての切り込み1Bの周方向Yの長さは略同一である。また、本実施形態の切り込み1Bは、軸方向Xで、二つの硬質部21をはさむ位置に設けられる。そのため、離れ部11は、二つの硬質部21を備える。
【0040】
続いて、本実施形態のホース補助具1の使用方法について説明する。
図5に示すように、障害物としての構造物Aであって、第一方向に延びる第一辺部A10と、第一辺部A10に交差し且つ第二方向に延びる第二辺部A11とにより構成される角部A1を備える構造物A(例えば、自動車や土地に定着する建物)に対して角部A1を跨ぐように曲げてホースHを敷設する場合に、本実施形態のホース補助具1は利用される。本実施形態では、ホースHを敷設する前に、ホースHのうち、角部A1と一致する部分にホース補助具1が配置される。
【0041】
ホース補助具1を構造物Aに設置する場合には、
図5に示すように、径対向部12を角部A1側として曲げ方向の内側に配置し、挿入部10を曲げ方向の外側に配置する。よって、離れ部11は、径対向部12よりも角部A1から遠くなるように配置される。ここで、ホース補助具1を曲げると、ホース補助具1の曲げに伴って、
図1,3及び4に示すように、離れ部11(具体的には、軸端部111)同士が隣接した状態から、
図5に示すように離れ部11(具体的には、軸端部111)同士が軸方向Xで離れるように、切り込み1Bが軸方向Xに広がる。よって、ホース補助具1を角部A1に合わせて曲げることができる。その後、挿入部10を介して、ホース補助具1(具体的には、内部空間1A)内につぶれた状態のホースHを挿入する。そして、ホースH内に流体を流通させることにより、ホースH内を加圧して、ホースHを膨らませる。このとき、ホースHは、ホース補助具1に補助されつつ、ホース補助具1の曲げに沿うように曲がる。
【0042】
以上、本実施形態によれば、角部A1に合わせて曲げられたホース補助具1内にホースHが挿入される。そして、ホースH内が加圧されることにより、ホースHは膨らむ。よって、ホース補助具1内のホースHは、ホース補助具1の曲げに沿うように曲がるため、過度に曲がることなく、ホースHにいわゆるキンク現象が生じることが防止できる。したがって、ホース補助具1は、ホースHが流体の流通を阻害するようになるまで曲がることを防止するために用いられ、本来の機能として、ホースHの曲げ形状を保持できる。
【0043】
また、本実施形態によれば、補助具本体2の周方向Yの一部に挿入部10が形成され、この挿入部10は、補助具本体2の軸方向Xの全域に延びるスリット状である。よって、挿入部10を介して、径方向Zでホース補助具1内にホースHを挿入できるため、ホースHをホース補助具1内に挿入しやすい。加えて、本実施形態の挿入部10は、軸方向Xに沿って延びる。そのため、ホースHをホース補助具1内に挿入する際には、ホースHを軸方向Xに沿わせればよいため、ホースHをホース補助具1内に挿入しやすい。さらに、本実施形態では、ホース補助具1内に挿入されたホースHは加圧によって膨らむ。そのため、挿入部10を介して、ホースHがホース補助具1内から抜けることが防止できる。
【0044】
また、本実施形態では、硬質部21が軟質部20の外面に配置されている。そのため、ホース補助具1は径外側を硬くできるため、例えば、径外側から径内側への衝撃に対して、ホース補助具1内のホースHを保護できる。特に、本実施形態では、硬質部21が軟質部20の周方向Y及び軸方向Xの全域に配置されているため、ホース補助具1の周方向Y及び軸方向Xの全域において、径外側からの径内側への衝撃に対して、ホース補助具1内のホースHを保護できる。
【0045】
また、本実施形態では、離れ部11が軟質部20と硬質部21により構成されている。そのため、例えば、ホース補助具1内に挿入したホースHが加圧されることにより、離れ部11に径外側に向かう力が加わった場合、硬質部21が軟質部20の径外側へ変形することを防止して、ホース補助具1が破損するといったことを防止できる。特に、本実施形態では、軸方向Xに複数の離れ部11が配置され、それぞれの離れ部11が軟質部20と硬質部21により構成されている。よって、離れ部11それぞれにおいて、硬質部21が軟質部20の径外側への変形を防止して、ホース補助具1が破損することを防止できる。
【0046】
また、本実施形態では、軟質本体部200は樹脂としての軟質塩化ビニルにより構成され、硬質部21は、軟質本体部200よりも硬質の樹脂である、硬質塩化ビニルにより構成される。そのため、例えば、補助具本体2に対して径内側に向かう外力が加わった場合に、補助具本体2はある程度の変形を許容することによって外力を吸収できる。よって、ホース補助具1が破損することを防止できる。さらに、軟質本体部200は樹脂としての軟質塩化ビニルにより構成され、硬質部21は、軟質本体部200よりも硬質の樹脂である、硬質塩化ビニルにより構成されることにより、ホース補助具1は外面が樹脂製である。そのため、本実施形態のホース補助具1を使用する際において、ホース補助具1の外面が金属製である場合に比べて、構造物Aを傷付けにくい。
【0047】
また、本実施形態では、ホース補助具1を配置する場合に、離れ部11が曲げ方向の外側として径対向部12よりも角部A1から遠くなるように配置される。そのため、ホース補助具1を曲げると、離れ部11,11同士が軸方向Xで離れるように、切り込み1Bが軸方向Xに広がる。よって、ホース補助具1を角部A1に合わせて柔軟に曲げることができる。ここで、本実施形態では、軸方向Xには、複数の離れ部11が配置されている。そのため、軸方向Xの広い範囲において、ホース補助具1を角部A1に合わせて柔軟に曲げることができる。
【0048】
また、本実施形態の離れ部11は、周方向Yにおいて、挿入部10の一方側及び他方側に配置される。そのため、周方向Yの一方側及び他方側のそれぞれにおいて、離れ部11,11同士が軸方向Xで離れるように、切り込み1Bを軸方向Xに広げることができる。
【0049】
また、本実施形態では、ホース補助具1を配置する場合には、
図5に示すように、径対向部12が角部A1側として曲げ方向の内側に配置される。ここで、径対向部12では、軟質部20と硬質部21とが離れず軸方向Xに延びている。よって、径対向部12によってホース補助具1内のホースを角部A1から守ることができ、ホース補助具1内のホースHが傷つくことを防止できる。
【0050】
また、本実施形態の複数の離れ部11は、補助具本体2における軸方向Xの端部に配置される離れ部11を除いて、軸方向Xの長さが略同一に構成されている。よって、ホース補助具1を曲げる際には、平滑な曲がりを実現できる。
【0051】
また、本実施形態では、全ての離れ部11は、周方向Yの長さが略同一に構成されている。そのため、径方向Zに向かう力に対して、全ての離れ部11の強度を統一できる。
【0052】
また、本実施形態では、離れ部11,11(具体的には、周端部110,110)同士が軸方向Xで離れるように、切り込み1Bが軸方向Xに広がることにより、ホース補助具1を柔軟に曲げることができる。よって、例えば、ホース補助具1を運搬する際には、ホース補助具1を渦巻状に巻くことにより、運搬スペースを小さくできる。
【0053】
また、本実施形態の硬質部21は、軟質部20の外面に対して露出し、周方向Yに沿って螺旋状に配置されている。そのため、本実施形態の補助具本体2は、軸方向Xにおいて、外面が凹凸状に構成される。よって、凹凸状の外面をホース補助具1の設置時の滑り止めにできる。特に、本実施形態では、ホース補助具1の外面は、軸方向Xの全域において凹凸状であるため、軸方向Xの全域でホース補助具1の設置時の滑りを止めることができる。
【0054】
また、本実施形態の周切断工程では、軸方向Xで略同一の位置において、周方向Yの一方側及び他方側に切り込み1Bを入れる。そのため、一方離れ部11aと他方離れ部11bとは、軸方向Xで略同一の位置に配置され、且つ周方向Yで対向配置される。よって、ホース補助具1を曲げる際に、曲げ変形を偏らなくできる。
【0055】
また、本実施形態の周切断工程では、軟質部20に対して周方向Yの切り込み1Bを入れる。ここで、本実施形態の硬質部21は、周方向Yに沿って螺旋状に配置され、且つ軸方向Xで離れて配置されている。よって、軟質部20に対して周方向Yの切り込み1Bを入れる際には、軸方向Xで離れて配置される二つの硬質部21に沿って周方向Yに切り込み1Bを入れればよいため、硬質部21によって切り込み1Bを周方向Yに誘導できる。
【0056】
また、本実施形態の周切断工程では、周方向Yに螺旋状の切り込み1Bを入れるように切断する。そのため、軸方向Xに複数の離れ部11を簡単に形成できる。さらに、本実施形態の周切断工程では、軟質部20に対して周方向Yの切り込み1Bを入れる。そのため、材料体を切断しやすい。
【0057】
また、本実施形態では、軸切り欠き工程の後に周切断工程を行う。そのため、周切断工程では、挿入部10から周方向Yの一方側及び他方側を切断する。よって、本実施形態の周切断工程では切断を行いやすく、複数の離れ部11を簡単に形成できる。
【0058】
続いて、第二実施形態に係るホース補助具1について説明する。なお、第二実施形態を説明するにあたり、第一実施形態と同一の構成及び作用については説明を省略する。
【0059】
第二実施形態では、軟質部20が軟質本体部200のみを備える点で第一実施形態とは異なる。そのため、第二実施の軟質部20は単層である。なお、第二実施形態の軟質部20は、第一実施形態と同様に、軟質本体部200と補強部201とを備えることにより、複層であってもよい。
【0060】
また、
図7に示すように、第二実施形態では、硬質部21の全体が径方向Zにおいて、軟質部20と略同一の位置に配置されている点において第一実施形態と異なる。そのため、第二実施形態の補助具本体2は、外面が軸方向Xに沿う平坦状である。
【0061】
また、第二実施形態の離れ部11は、軸方向Xの両端部及び真ん中に軟質部20が配置され、且つ軸方向Xに二つの硬質部21が配置されるように構成されている点で第一実施形態とは異なる。
【0062】
また、第二実施形態では、複数の離れ部11が軸方向Xで距離をあけて配置されている点で第一実施形態とは異なる。具体的に、本実施形態では、離れ部11の軸方向Xの長さ分だけ、二つの離れ部11が軸方向Xで距離をあけて配置されている。そのため、本実施形態のホース補助具1において、離れ部11、11同士の間には、隙間1Cが形成されている。よって、第二実施形態では、隣り合う2つの離れ部11,11(具体的には、一方離れ部11aと他方離れ部11bの両方)において、軸端部111,111同士が、隙間1Cを介して離れて配置されている。
【0063】
さらに、
図6,7に示すように、第二実施形態の補助具本体2は、軸方向Xで距離をあけて隣り合う二つの離れ部11(
図6では採番しない)の間に間配部13を備える点で第一実施形態とは異なる。間配部13は、周方向Yと軸方向Xに延びる短冊状(具体的には、軸方向Xに細長い湾曲板状)に構成されている。間配部13は、径対向部12から挿入部10に向かって周方向Yに延びる。本実施形態の間配部13は、径対向部12よりも周方向Yの一方側及び他方側に配置されている。そのため、間配部13は、一方離れ部11aと他方離れ部11bとの間にそれぞれ配置されている。間配部13は、軸方向Xの長さが離れ部11の軸方向Xの長さと略同一に構成されている。また、間配部13は、周方向Yにおいて離れ部11よりも短く構成されている。さらに、本実施形態の間配部13は、切り込み1Dを介して、複数の離れ部11,11と軸方向Xで並んで配置されている。そのため、間配部13は、軸方向Xで隣り合う複数の離れ部11,11に接触可能である。加えて、第二実施形態の間配部13は、軸方向Xの両端部及び真ん中に軟質部20が配置され、且つ軸方向Xに二つの硬質部21が配置されるように構成されている。
【0064】
加えて、第二実施形態の補助具本体2は、軸方向Xで隣り合う複数の離れ部11を連結し、離れ部11,11同士が軸方向Xにおいて所定幅以上離れることを規制する離れ規制部14を備えている。本実施形態の離れ規制部14は、例えばワイヤーロープ、紐、ベルト、結束バンドなどにより構成されている。離れ規制部14は、軸方向Xに延びる。離れ規制部14は、隣り合う二つの離れ部11の径対向部12側に巻かれていることによって、隣り合う二つの離れ部11を連結している。本実施形態の離れ規制部14は、軸方向Xに配置される全ての離れ部11を連結している。そのため、本実施形態の離れ規制部14は、軸方向Xの全域に延びる。さらに、本実施形態では、周方向Yの一方側及び他方側に離れ規制部14が配置され、周方向Yの一方側に配置される離れ規制部14が隣り合う一方離れ部11aを連結し、周方向Yの他方側に配置される離れ規制部14が隣り合う他方離れ部11bを連結している。
【0065】
次に、第二実施形態のホース補助具1の製造方法について説明する。第二実施形態では、周切断工程が第一実施形態と異なる。本実施形態の周切断工程では、周方向Yに螺旋状の切り欠きを設けることにより切断する。具体的に、
図6に示すように、周切断工程では、軸方向Xの両端部及び真ん中に軟質部20が配置され、且つ軸方向Xに二つの硬質部21が配置される領域を周方向Yに切り欠いて、隣り合う離れ部11,11の間に隙間1Cを形成する。詳述すると、軸方向Xの両端部において、軟質部20の一部を切断する。また、本実施形態の周切断工程では、隣り合う離れ部11,11同士の隙間1Cから軟質部20に対して周方向Yの切り込み1Dを入れて、間配部13を形成する。具体的に、切り込み1Dは、径対向部12の一部を軸方向Xで切断するように軸端部111から周方向Yに延びる。さらに、切り込み1Dは、隣り合う離れ部11,11の軸端部111,111それぞれから周方向Yに延びる。そのため、切り込み1Dを入れることにより形成された間配部13は、複数の離れ部11,11と軸方向Xで並んで配置される。したがって、本実施形態の周切断工程は、隣り合う離れ部11の間に隙間1Cを形成する隙間形成工程と、隣り合う離れ部11,11同士の隙間1Cから軟質部20に切り込み1Dを入れて間配部13を形成する間配形成工程とを備える。なお、本実施形態の隙間形成工程では、軸方向Xに複数の切り欠きを設ける。
【0066】
また、第二実施形態のホース補助具1の製造方法では、周切断工程の後、隣り合う二つの離れ部11を連結する連結工程を備える。
図7に示すように、本実施形態の連結工程では、隣り合う二つの離れ部11にワイヤーロープを巻き付けて、離れ規制部14を形成する。具体的に、本実施形態の連結工程では、ワイヤーロープが、
図7にて採番しない切り込み1Dを介して径外側から径内側及び径内側から径外側に通されることにより、複数の離れ部11に対して周方向視で8の字状に巻き付けられる。さらに、本実施形態の連結工程では、一本のワイヤーロープを軸方向Xの全ての離れ部11に巻き付ける。よって、本実施形態の連結工程によれば、離れ規制部14は、全ての離れ部11が軸方向Xにおいて所定幅以上離れることを規制している。
【0067】
続いて、第二実施形態のホース補助具1の使用方法について説明する。第二実施形態のホース補助具1を設置する場合、
図8に示すように、径対向部12が構造物A側に配置され、径対向部12よりも構造物Aから遠くなるように配置される。ここで、本実施形態では、複数の離れ部11が軸方向Xで距離をあけて配置されている。そのため、径対向部12を曲げ方向の外側に配置し、挿入部10側を曲げ方向の内側に配置した状態で、ホース補助具1を曲げた場合には、離れ部11,11同士が軸方向Xで近付く。よって、第二実施形態のホース補助具1は、挿入部10側を曲げ方向の内側にして曲げることができる。また、第二実施形態のホース補助具1は、径対向部12を曲げ方向の内側に配置し、挿入部10側を曲げ方向の外側に配置した状態で、ホース補助具1を曲げることにより、離れ部11,11同士が軸方向Xで離れるように、
図8にて採番しない隙間1C及び切り込み1Dを広げることもできるため、略S字状に曲げることができる。
【0068】
第二実施形態のホース補助具1によれば、軸方向Xで隣り合う複数の前記離れ部11の間には、間配部13が配置されている。そして、間配部13は、軸方向Xで複数の離れ部11に接触可能に配置されている。そのため、
図8に示すように、径対向部12を曲げ方向の外側に配置し、挿入部10側を曲げ方向の内側に配置した状態で、ホース補助具1を曲げた場合には、間配部13は、軸方向Xで複数の離れ部11に接触することにより、離れ部11同士の間の隙間1Cがつぶれて径対向部12に大きな曲げがかかることを防止できる。
【0069】
また、第二実施形態のホース補助具1によれば、
図7に示すように、軸方向Xで隣り合う複数の前記離れ部11,11の間には、間配部13が配置されている。そのため、軸方向Xで隣り合う複数の前記離れ部11,11の間の隙間1Cを介して、ホース補助具1内のホースHが傷つくことを抑制できる。また、径対向部12を曲げ方向の内側に配置し、挿入部10側を曲げ方向の外側に配置した状態で、ホース補助具1を曲げた場合には、間配部13が軸方向Xで隣り合う複数の離れ部11,11との間に存在することにより、複数の離れ部11,11が軸方向Xで過度に曲がることを防止できる。さらに、径対向部12を曲げ方向の外側に配置し、挿入部10側を曲げ方向の内側に配置した状態で、ホース補助具1を曲げた場合にも、間配部13が軸方向Xで隣り合う複数の離れ部11,11に接触して突っ張るような状態とすることにより、複数の離れ部11,11が軸方向Xで過度に曲がることを防止できる。
【0070】
また、本実施形態の間配部13は、周方向Yにおいて離れ部11よりも短く構成されている。そのため、例えば、挿入部10を介して、ホース補助具1内にホースHを挿入する際には、間配部13の周方向Yの端部には力が加わることがないため、間配部13が破損するといったことを防止できる。
【0071】
また、第二実施形態の補助具本体2は、離れ規制部14を備える。そのため、
図8に示すように、径対向部12を曲げ方向の内側に配置し、挿入部10側を曲げ方向の外側に配置した状態で、ホース補助具1を曲げたときには、離れ部11,11同士が軸方向Xにおいて所定幅以上離れること(具体的には、切り込み1Dが軸方向Xで広がること)を離れ規制部14が規制するため、離れ部11,11同士が軸方向Xで過度に離れることに伴う周方向Yにおけるホース補助具1の切断の進行を抑制できる。よって、ホース補助具1が周方向Yで裂けてしまうことを抑制できる。また、本実施形態の連結工程では、離れ規制部14を構成するワイヤーロープが軸方向Xで、切り込み1D(具体的には、離れ部11と間配部13の間)を介して径外側から径内側及び径内側から径外側に通される。そのため、本実施形態の連結工程では、軸方向Xでワイヤーロープがズレるといったことを防止できる。さらに、本実施形態の連結工程では、一本のワイヤーロープを軸方向Xの全ての離れ部11に巻き付ける。そのため、離れ規制部14は、全ての離れ部11が軸方向Xにおいて所定幅以上離れることを規制でき、より確実に、ホース補助具1が周方向Yで裂けてしまうことを抑制できる。
【0072】
また、本実施形態の連結工程では、ワイヤーロープが、複数の離れ部11に対して周方向視で8の字状に巻き付けられる。そのため、ホース補助具1の曲げに伴う離れ部11の軸方向Xでの動きをある程度許容しつつ、ワイヤーロープを複数の離れ部11に対してしっかりと巻き付けることができるため、離れ規制部14によって、より強固に、離れ部11,11同士が軸方向Xにおいて所定幅以上離れることを規制できる。したがって、より確実に、ホース補助具1が周方向Yで裂けてしまうことを抑制できる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0074】
上記実施形態では、複数の離れ部11は、補助具本体2における軸方向Xの端部に配置される離れ部11を除いて、軸方向Xの長さが略同一に構成されていた。しかし、これに限らず、例えば、複数の離れ部11は、軸方向Xの長さが異なるように構成されていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、全ての離れ部11は、周方向Yの長さが略同一に構成されていた。しかし、これに限らず、例えば、各離れ部11は、周方向Yの長さが異なるように構成されていてもよい。この場合、周切断工程では、各切り込み1Bの周方向Yの長さは異なることが考えられる。
【0076】
また、上記第一実施形態の周切断工程では、軟質部20に対して周方向Yの切り込み1Bを入れる。しかし、これに限らず、例えば、周切断工程では、硬質部21に対して周方向Yの切り込み1Bを入れてもよい。
【0077】
また、上記実施形態の周切断工程では、軸方向Xで複数の切り込み1Bを入れ、又は切り欠きを設けることにより、少なくとも3つ以上の離れ部11が軸方向Xで形成されていた。しかし、これに限らず、例えば、周切断工程では、軸方向Xで一つの切り込み1Bを入れ、又は軸方向Xの一か所に切り欠きを設けてもよい。
【0078】
また、上記第一実施形態の周切断工程では、軸方向Xで複数の切り込み1Bを入れ、上記第二実施形態の周切断工程では切り欠きを設けていた。しかし、これに限らず、周切断工程において、軸方向Xで複数の切り込み1Bを入れ、且つ切り欠きを設けてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、一方離れ部11aと他方離れ部11bとが周方向Yで対向配置されていた。しかし、これに限らず、一方離れ部11aと他方離れ部11bとが周方向Yで対向配置されていなくてもよい。すなわち、一方離れ部11aと他方離れ部11bとが軸方向Xで異なる位置に配置されていてもよい。
【0080】
上記実施形態では、軸切り欠き工程の後は、周切断工程を行うことについて説明したが、これに限らず、例えば、周切断工程を行った後、軸切り欠き工程を行うようにしてもよい。この場合、先に周切断工程を行うことにより、例えば、周方向Yの一方側及び他方側を同時に切断することができるため、切断作業にかかる時間を短縮できる。
【0081】
上記第二実施形態では、補助具本体2は離れ規制部14を備えていたが、補助具本体2は離れ規制部14を備えていなくてもよい。この場合、第二実施形態では、連結工程が不要になるため、ホース補助具1の製造に要する時間を短縮できる。また、第一実施形態において、補助具本体2が離れ規制部14を備えていてもよい。この場合、離れ規制部14によって、切り込み1Bが広がることによって、ホース補助具1が周方向Yで裂けてしまうことを抑制できる。
【0082】
また、上記第二実施形態の周切断工程では、軸方向Xの両端部及び真ん中に軟質部20が配置され、且つ軸方向Xに二つの硬質部21が配置される領域を周方向Yに切り欠いて、隣り合う離れ部11の間に隙間1Cを形成していた。しかし、これに限らず、例えば、1つの軟質部20又は硬質部21のみを周方向Yに切り欠いてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、材料体を加工することにより、ホース補助具1を形成する場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば、削り出しにより径対向部12と離れ部11とを形成することにより、ホース補助具1を形成してもよい。
【0084】
また、上記第一実施形態では、硬質部21は、軸方向Xに複数配置されていた。しかし、これに限らず、例えば、一つの硬質部21は、軟質部20の外面又は内面の軸方向X及び周方向Yの全域に亘って配置されていてもよい。
【0085】
また、上記第一実施形態では、硬質部21は、周方向Yに沿って螺旋状に配置されていた。しかし、これに限らず、硬質部21は、軸方向Xで移動することなく、周方向Yに沿うように配置されていてもよい。また、硬質部21は、周方向Yに複数配置されていてもよい。なお、上記実施形態では、硬質部21が軟質本体部200よりも硬質の樹脂である場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば、硬質部21が軟質本体部200よりも硬質の金属であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1:ホース補助具、10:挿入部、11:離れ部、110:周端部、111:軸端部、11a:一方離れ部、11b:他方離れ部、12:径対向部、13:間配部、14:離れ規制部、1A:内部空間、1B:切り込み、1C:隙間、1D:切り込み、2:補助具本体、20:軟質部、200:軟質本体部、201:補強部、21:硬質部、A:構造物、A1:角部、A10:第一辺部、A11:第二辺部、H:ホース、X:軸方向、Y:周方向、Z:径方向