(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110598
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9794 20170101AFI20240808BHJP
A61K 36/8994 20060101ALI20240808BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240808BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240808BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20240808BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240808BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240808BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240808BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240808BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61K36/8994
A61P17/00
A61P29/00
A61K8/99
A61Q19/00
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q19/10
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015270
(22)【出願日】2023-02-03
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】000162021
【氏名又は名称】共栄化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩野 英生
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB112
4C083AB212
4C083AB352
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4C083AC072
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4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC491
4C083AC621
4C083AC622
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC682
4C083AC692
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4C083AC841
4C083AC851
4C083AD042
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4C083AD152
4C083AD172
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4C083AD272
4C083AD302
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4C083AD352
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4C083AD432
4C083AD492
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4C083AD532
4C083AD572
4C083AD592
4C083AD632
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4C083AD662
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4C088AB77
4C088CA25
4C088MA02
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4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZA92
4C088ZB11
4C088ZC75
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗炎症効果、皮膚のバリア機能改善効果、皮膚の透明感を向上させる効果及び毛穴目立ち予防・改善を併せ持つ天然物由来の機能性素材を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ハトムギ種子の酵母発酵物を有効成分とする機能性素材である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハトムギ種子の酵母発酵物を有効成分とする抗炎症剤。
【請求項2】
ハトムギ種子の酵母発酵物を有効成分とする皮膚バリア機能改善剤。
【請求項3】
ハトムギ種子の酵母発酵物を有効成分とする透明感向上剤。
【請求項4】
ハトムギ種子の酵母発酵物を有効成分とする毛穴目立ち予防・改善。
【請求項5】
ハトムギ種子の酵母発酵物を有効成分とする頭皮外用剤。
【請求項6】
ハトムギ種子の酵母発酵物と、アスコルビン酸誘導体、グリチルリチン酸又はその誘導体、コウジ酸又はその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、トラネキサム酸又はその誘導体及びニコチン酸又はその誘導体のいずれか1以上とを含む皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤の配合可能であって、皮膚バリア機能の改善及び肌の色調を改善する機能性素材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚の老化は、加齢に伴う細胞増殖・分化の不活化、ホルモン分泌の低下、細胞外マトリックス成分の量的低下などの内的要因と、太陽光(紫外線)に誘発される活性酸素による細胞・組織の損傷、又は炎症などの外的要因とが複雑に絡み合って生ずる現象である。皮膚の老化としては、例えば、シワ、タルミ、ハリの低下、皮膚のバリア機能の低下、色素沈着又はくすみ等が挙げられ、それぞれの老化現象に応じて、シワ改善剤、保湿剤、美白剤等が提案されている。
【0003】
従来、皮膚の老化を予防する成分として、例えば、ビタミンA,E等の抗酸化剤や保湿剤(例えば、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン、ヘパリン類似物質等)が提案されているが、安定性及び有効性の点で課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-138139号公報
【特許文献2】特開2019-034899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、従来技術の問題点に鑑みて、皮膚外用剤に配合可能な新たな機能性素材を見出すべく鋭意研究を行った。その結果、ハトムギ種子の酵母発酵物が、抗炎症効果、皮膚バリア機能改善効果を有すること、また、アスコルビン酸誘導体、コウジ酸又はその誘導体、グリチルリチン酸、ハイドロキノン又はその配糖体、トラネキサム酸及びニコチン酸又はその誘導体のいずれか1以上を組み合わせることで、すぐれた皮膚の抗老化効果を発揮することを新たに見出した。従来、ハトムギ種子の発酵物の加水分解処理物が、細胞賦活効果及びチロシナーゼ活性抑制効果を有することは特許文献1により知られており、また、シワ及びタルミを改善することについては特許文献2に開示されているが、抗炎症効果及び皮膚バリア機能改善効果を有することについては、知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ハトムギ種子の酵母発酵物を有効成分とする抗炎症剤である。
本発明は、ハトムギ種子の酵母発酵物を有効成分とする皮膚バリア機能改善剤である。
本発明は、ハトムギ種子の酵母発酵物を有効成分とする透明感向上剤である。
本発明は、ハトムギ種子の酵母発酵物を有効成分とする毛穴目立ち予防・改善である。
本発明は、ハトムギ種子の酵母発酵物を有効成分とする頭皮外用剤である。
本発明は、ハトムギ種子の酵母発酵物と、アスコルビン酸誘導体、グリチルリチン酸、ハイドロキノン又はその配糖体、トラネキサム酸及びニコチン酸又はその誘導体のいずれか1以上とを含む皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、抗炎症効果、皮膚のバリア機能改善効果及び透明感向上効果を発揮する機能性素材を提供することができる。また、他の有効成分と組み合わせることで、透明感向上等の相乗効果も奏する皮膚外用剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る発酵物の角層水分量改善効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明で使用する「ハトムギ」について、以下に説明する。まず、「ハトムギ」は、イネ科ジュズダマ属の植物であって、薬用や食用に幅広く用いられているものである。本発明において、ハトムギ種子を使用する場合は、殻付きのもの及び殻を除いたもののいずれもが使用可能であり、さらに粒のままでも、粉砕又は破砕して得た粉末、或いはハトムギ種子の粒、粉末の高温・高圧処理物等のいずれであってもよい。
【0010】
ハトムギの発酵に用いる微生物としては、酵母は好ましい。酵母としては、例えばサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス アワモリ(Saccharomyces awamori)、サッカロミセス チェバリエリ(Saccharomyces chevalieri)、サッカロミセス カールスバージェンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス バヨナス(Saccharomyces bayon us)等のサッカロミセス属の酵母、トルラスポラ デルブルエキ(Torulaspora delbruekii)、トルラスポラ ファーメンタチ(Torulaspora fermentati)、トルラスポラ ロゼイ(Torulaspora rosei)等のトルラスポラ属の酵母、ジゴサッカロミセス ローキシ(Zygosaccharomyces rouxii)、ジゴサッカロミセス ソーヤ(Zygosaccharomyces soya)、ジゴサッカロミセス サケ(Zygosaccharomyces sake)、ジゴサッカロミセス ミソ(Zygosaccharomyces miso)、ジゴサッカロミセス ラクティス(Zygosaccharomyces lactis)等のジゴサッカロミセス属の酵母、カンディダ ベルサチリス(Candida versatilis)、カンディダ エチェリシイ(Candida etchellsii)、カンディダ ケフィール(Candida kefyr)、カンディダ サケ(Candida sake)、カンディダ スコッティ(Candida scottii)等のカンディダ属の酵母、オーレオバシディウム プルランス(Aureobasidium Pullulans)、オーレオバシディウム マンソニー(Aureobasidium mansonii)、オーレオバシディウム マイクロスティクタム(Aureobasideium microstictum)等のオーレオバシディウム属の酵母などが挙げられる。また、本発明に係る酵母としては、清酒酵母、ワイン酵母、ビール酵母、植物の花(バラ、ユリ、サクラ等)由来の酵母、海由来の酵母の何れであっても良い。
【0011】
酵母を用いてハトムギを発酵させる方法の好ましい具体例を挙げれば以下の通りである。まず、発酵素材であるハトムギを溶媒に浸漬又は懸濁させて、発酵のための懸濁液を調製する。懸濁溶媒としては、水、水と低級アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノールなど)との混合溶媒、又は水と多価アルコール(プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセリンなど)との混合溶媒を使用することができる。
【0012】
発酵素材又は懸濁液は、これを発酵工程に供する前に、殺菌を行って発酵の障害となる雑菌を除去することが必要であるが、この雑菌の殺菌除去方法としては、発酵素材を予め殺菌用エタノール等で洗浄した後無菌水等の無菌溶媒に懸濁する方法を用いてもよく、又発酵素材を溶媒に懸濁した後、懸濁液を加熱殺菌等により殺菌するようにしてもよい。加熱殺菌処理としては、懸濁液を120~130℃で10~20分間加熱するオートクレーブ殺菌法や、80~90℃に60~120分間保持することを1日1回2~3日間繰り返す間断殺菌法といった加熱殺菌法が一般に用いられる。
【0013】
次に、この無菌化した懸濁液を発酵タンクに入れ、これに微生物を植菌して発酵させる。微生物の接種量は107~108個/mLが適量である。接種量が上記の範囲より多くなっても発酵の進行時間は殆ど変わらず、一方上記の範囲より少なくなると発酵完了までに長時間を要することとなって好ましくない。
【0014】
発酵温度は一般に5~50℃の範囲、好ましくは各微生物の生育至適温度である30~40℃の範囲である。発酵日数は、至適温度に於いて一般に1~10日、好ましくは2~5日の範囲である。発酵日数が上記の一般的範囲より短くなると発酵が十分に行われず発酵物の有効性が低下する傾向にあり、一方10日を越えて長くしても有効性のそれ以上の上昇は認められないだけでなく、着色や発酵臭の増加が生ずることとなっていずれも好ましくない。
【0015】
上述のようにして得られる発酵物は、皮膚外用剤(化粧料、医薬部外品、外用医薬品)に配合することができる。皮膚外用剤としては、例えば、乳液、クリーム、ローション、エッセンス、パック、マスク、口紅、ファンデーション、リクイドファンデーション、メイクアッププレスパウダー、ほほ紅、白粉、洗顔料、ボディシャンプー、頭皮,頭髪用シャンプー、育毛料、浴用剤等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
本発明に係る発酵物の皮膚外用剤への配合量は、配合する製剤に応じて適宜調整可能であり、固形分量として、例えば、基礎化粧料の場合は、0.002~1.0重量%(固形分重量%、以下同じ)の範囲、メイクアップ化粧料の場合は、0.002~1.0重量%の範囲、又清浄用化粧料の場合は、0.002~10.0重量%の範囲であり、毛髪用化粧料の場合は、0.0001~5.0重量%の範囲である。
【0017】
本発明に係る有効成分である発酵物を皮膚外用剤に配合する場合、一般的に皮膚外用剤に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、消炎剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、抗アクネ剤、細胞賦活剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白剤、抗シワ剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0018】
油性成分としては、例えば、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、ベルガモット油、ラベンダー油、バラ油、ベルガモット油、カミツレ油等の植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ビタミンA油;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis-11-エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、パントテニルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0019】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N、N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N、N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N、N、N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′、N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0020】
乳化剤及び/又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖とタンパク質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来タンパク質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0021】
保湿剤としては、保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース、ラフィノース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、ヒアルロン酸発酵液、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、コラーゲンペプチド、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、エストラジオール、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0022】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;ペクチン、プルラン、アロエ多糖体等の多糖類;トラガントガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;カルボシキビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸等が挙げられる。
【0023】
消炎剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β-グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、ε-アミノカプロン酸、d-カンフル、dl-カンフル、酸化亜鉛、パンテノール、ピリドキシン塩酸塩、及びリボフラビン又はその誘導体等がある。
【0024】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ピリチオン亜鉛、塩化ベンザルコニウム、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、臭化アルキルイソキノリニウム、レゾルシン、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、トリクロロカルバニド、トリクロロヒドロキシジフェノールエーテル、ヒノキチオール、1、2-ペンタンジオール、プロパンジオール、濃ベンザルコニウム塩化物液50、ハッカ油、ユーカリ油等の精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ、トウモロコシ等の植物由来のエタノール又は1、3-ブチレングリコール等がある。
【0025】
細胞賦活剤としては、パントテニルアルコール、メントール、dl-メントール、及びγ-オリザノール等がある。
【0026】
抗アクネ剤としては、イオウ、サリチル酸又はその塩、感光素201号、ジカプリル酸ピリドキシン等がある。
【0027】
粉体成分しては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、アズキ等)のパウダー等がある。
【0028】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2、4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0029】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、アスタキサンチン等のカロテノイド、ビタミンE及びその誘導体(例えば、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールニコチン酸エステル)、ビタミンA又はその誘導体(パルミチン酸レチノール等)等がある。
【0030】
美白剤として、コウジ酸又はその誘導体、アスコルビン酸又はその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、ビタミンE又はその誘導体、ニコチン酸又はその誘導体、マグノリグナン(5、5'-ジプロピル-ビフェニル-2、2’-ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)、胎盤抽出液(プラセンタエキス)、リノール酸から選択される1以上のものが挙げられる。
【0031】
上記コウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレートなどのコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシドなどのコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルマグネシウムなどのアスコルビン酸エステル塩類、L-アスコルビン酸-2-グルコシド(2-O-α-D-グルコピラノシル-L-アスコルビン酸)、L-アスコルビン酸-5-グルコシド(5-O-α-D-グルコピラノシル-L-アスコルビン酸)などのアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基など)、L-アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸テトララウリン酸エステルなどのL-アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3-O-エチルアスコルビン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸-6-O-パルミテートナトリウム等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン-β-D-グルコピラノシド)、α-アルブチン(ハイドロキノン-α-D-グルコピラノシド)等が、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、4-イソアミルレゾルシノール等が、2,5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5-ジアセトキシ安息香酸、2-アセトキシ-5-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-5-プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えば、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、ビタミンE誘導体としては、例えばビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等が、α-ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α-ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0032】
抗シワ剤として、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンE又はその誘導体(酢酸トコフェロール等)、ビタミンC又はその誘導体(アスコルビン酸グルコシド、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩等)、パントテニルアルコール、トラネキサム酸、ナイアシンアミドが挙げられる。
【0033】
さらに、以下の植物又は微生物等の天然物由来の成分を併用することも可能である。例えば、コラーゲン又はその加水分解物、酵母抽出物又は加水分解物、乳酸菌培養物、イネ科植物、アブラナ科植物、ツバキ科植物、バラ科植物、ボタン科植物、ミカン科植物、ヒユ科植物、アマモ科植物、マメ科植物、キク科植物、マメ科植物、アオイ科植物、リンドウ科植物、シソ科植物、ハス科植物、ウリ科植物、ウコギ科植物、ナス科植物、ノウゼンカズラ科植物、マタタビ科植物、クワ科植物、アヤメ科植物、キキョウ科植物、モクセイ科植物、マタタビ科植物、クワ科植物、クロウメモドキ科植物、ラン科植物、ウルシ科植物、フクギ科植物、バレンシ科植物、ミカン科植物、フトモモ科植物、ユリ科植物、ベンケイソウ科植物、ヒノキ科植物、ヒルガオ科の植物及びキジカクシ科のいずれかから選択される1以上の植物の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物、コンブ科、ミリン科及びアオサ科のいずれかから選択される1以上の海藻の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物、クラゲ(ミズクラゲ、エチゼンクラゲ等の自己消化物)、ヒアルロン酸の加水分解物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又はその加水分解物或いは発酵物挙げられる。
【0034】
イネ科の植物由来成分としては、特に、イネ葉加水分解物、米抽出物加水分解物、米糠抽出物加水分解物、発芽玄米加水分解物、米発酵液、清酒由来の酒粕抽出物、マダケ又はモウソウチクのタケノコ皮抽出物が好ましい。また、アブラナ科植物由来の成分としては、白芥子の抽出物又はその加水分解物、白芥子の発酵物が好ましい。また、ツバキ科植物由来成分としては、特に、緑茶(やぶきた、さみどり、あさひ、ごこう、うじみどり、きょうみどり、うじひかり、さみどり、べにふうき等)及び紅茶(ダージリン、アッサム、セーロン、アールグレイ、蜜香紅茶等)が好ましい。バラ科植物由来成分としては、ダマスクバラの花の抽出物、モモの花、葉又は未成熟果実の抽出物、イチゴの花抽出物、サクラの花又は葉の抽出物、アンズの果実又は種子の抽出物が好ましい。また、ボタン科植物由来成分としては、ボタンの根又は花、及びシャクヤクの花又は根の抽出物が好ましい。また、ヒユ科植物由来成分としては、特に、アッケシソウ抽出物が好ましい。また、アマモ科植物由来成分としては、特に、アマモ又はコアマモの抽出物が好ましい。マメ科植物由来成分としては、特に、白大豆又は黒大豆の抽出物又はその加水分解物或いは豆乳発酵液、アズキ抽出物、アカツメクサ抽出物、クズ根抽出物が好ましい。また、キク科植物由来成分としては、特に、ゴボウ根抽出物、ヒマワリ新芽抽出物、ハゴロモソウ抽出物、アルニカ抽出物又はカミツレ花抽出物が好ましい。アオイ科植物由来成分としては、ハイビスカス、ムクゲ又はフヨウの発酵物が好ましい。リンドウ科植物由来成分としては、ゲンチアナ抽出物が好ましい。また、シソ科植物としては、アオジソ抽出物、ムラサキシキブ果実抽出物が好ましい。ハス科植物由来成分としては、特に、ハスの花又はハス種子抽出物或いはハス種子発酵物が好ましい。ウリ科植物由来成分としては、特に、ヘチマ抽出物が好ましい。ウコギ科植物由来成分としては、オタネニンジンの抽出物又は発酵物が好ましい。ナス科植物由来成分としては、ナス(長ナス、水ナス、米ナス、賀茂ナス等)の抽出物が挙げられる。ノウゼンカズラ科植物由来成分としては、パウダルコ樹皮抽出物が好ましい。マタタビ科植物由来成分としては、未成熟のキウイ抽出物が好ましい。クワ科植物由来成分としては、ソウハクヒ抽出物、マルベリー果実抽出物、イチジクの果実又は樹皮の抽出物が好ましい。クロウメモドキ科植物由来成分としては、ナツメ果実抽出物が好ましい。また、アヤメ科植物由来成分としてはサフランが好ましい。キキョウ科植物由来成分としては、ヒカゲノツルニンジンの根の抽出物又は加水分解物が好ましい。ウルシ科植物由来成分としては、特に、マンゴ果実抽出物が好ましい。フクギ科植物由来成分としては、特に、マンゴスチン果実抽出物が好ましい。また、バレンシ科植物由来成分としては、チェリモヤ果実抽出物が好ましい。ミカン科植物由来成分として、温州ミカン、ベルガモット果実抽出物、グレープフルーツ又は晩白柚の果実(未成熟果実も含む)の抽出物、グレープフルーツ又はハッサク等の植物に含まれるフラボノイド及びその配糖体を含む抽出物、或いはサンショウ種子抽出物が好ましい。ユリ科植物由来成分としては、ホンカンゾウ、ヤブカンゾウ、カサブランカ、マドンナリリー、又はササユリの抽出物が好ましい。ベンケイソウ科植物由来成分としては、特に、イワベンケイ(紅景天)の抽出物又は発酵物が好ましい。モクセイ科植物由来成分としては、特に、ジャスミンの花抽出物が好ましい。ヒノキ科植物としては、特に、セイヨウネズ果実抽出物が好ましい。フトモモ科植物由来成分としては、特に、グアバ葉抽出物が好ましい。ラン科植物としては、特に、シランの根(白及)の抽出物が好ましい。ヒルガオ科植物由来成分としては、サツマイモの抽出物又はその発酵物或いは甘藷焼酎粕の抽出物又はその発酵物が好ましい。キジカクシ科植物由来成分としては、アスパラガスの抽出物が好ましい。コンブ科海藻由来成分としては、特に、コンブ抽出物が好ましく、ミリン科海藻由来成分としてはカタメンキリンサイ抽出物が好ましく、特に、アオサ科海藻由来成分としてはアナアオサ抽出物が好ましい。フノリ科海藻由来成分としては、特に、フノリ抽出物が好ましい。
【0035】
製造例1.ハトムギ発酵物の調製
殻を除いたハトムギ種子50gを粉砕し、精製水950gを加えて懸濁液を調製し、加熱殺菌をした。この懸濁液に酵母(サッカロミセス セレビシエ)を107個/mL接種し、37℃で3日間静置培養した。培養数量後、加熱殺菌し、室温まで冷却後、ろ過してハトムギ種子発酵物溶液500gを得た(固形分濃度1.15%)。
【0036】
試験例1.角層水分量の評価試験
まず、評価試験用の試料として以下のローションを調製した。
[表1]
【0037】
表1に示すローションを用いて以下の方法で試験を実施した。被験者3名(20~60歳の男女)に対してそれぞれの前腕内側部に1cm四方の試験区及びコントール区を被験部として設け、洗浄し恒温恒湿の部屋で20分間安静にした。初期値として被験部の角層水分量を角層水分量測定装置(SKICON-200、IBS社製)により測定し、測定後、5w/w%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液を被験部に1時間閉塞パッチした。閉塞パッチ終了後、被験部を水洗し、恒温恒湿の部屋で20分間安静にした後、パッチ直後の被験部の角層水分量を測定した。その後、1日2回、試験区に本発明ローションを塗布し、コントール区に比較ローションを塗布した。塗布4日目まで毎日恒温恒湿の部屋で20分間安静にした後、角層水分量を上記測定装置により測定し、被験者3名の平均値を算出した。また、コントロールとして比較ローションを用いて上記と同様の操作を行った。さらに、SDS処理を行わない対照区を設け、この対照区についても、並行して、角層水分量を測定し、対照区の値を差し引いて日毎の変動を除去した。それぞれの初期値を「100」、SDS処理後の値を「0」としたときの相対値で、被験部の角層水分量を算出した。
【0038】
試験例1の結果を
図1に示す。
図1に示す通り、本発明に係る発酵物を含むローションは、肌荒れにより低下した角層水分量を回復させる効果を有することが確認された。この角層水分量を回復させる効果により、角層に多くの水分が保持されることで皮膚の光の透過率を高めることができ、また光の反射を整えることで皮膚の透明感を向上させることもできる。
【0039】
試験例2.過酸化脂質生成抑制効果
0.5Mリノール酸エタノール1.0mL、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0)10mL及びエタノール9.0mLを混合し、充分撹拌した。この混合液に製造例1の発酵物5.0mLを加えて充分撹拌し、試料溶液を調製した。ここで、試料溶液としては、その全量に対する製造例1の発酵物の終濃度(溶液としての濃度)がそれぞれ1.0%,2.0%となるように調製した2種の濃度のものを使用した。この試料溶液の調製直後、さらに1日間、4日間、7日間40℃に放置したものに対して、それぞれ0.1mL、75%エタノール4.7mL、30%チオシアン酸アンモニウム溶液0.1mL、及び0.02M塩化第一鉄の3.5%塩酸溶液0.1mLを加えて充分に混合撹拌したのち、3分後の波長500nmにおける吸光度を測定した。また。コントロールとして1,3-ブチレングリコールの30%水溶液を使用し、陽性対照としてビタミンEを使用して同様の試験を実施した。本試験系での過酸化脂質生成量を、調製直後の値を差し引いた波長500nmにおける吸光度の増加量で表した。
【0040】
【0041】
表2に示す通り、本発明に係る発酵物は、コントールと比較して、顕著な過酸化脂質抑制効果を有することが確認された。また、陽性対照のビタミンEと比較してもすぐれた過酸化脂質抑制効果を有することも確認された。「過酸化脂質」は、皮膚の皮脂が紫外線、ストレス又は酸素にさらされることで酸化して生じるものであり、皮膚(頭皮も含む)の炎症、ニキビ、毛穴のつまり等の原因となることから、本発明に係る発酵物は、過酸化脂質を抑制することで、皮膚(頭皮)の炎症を抑える効果、炎症に伴う肌の色調の変化を抑える効果、毛穴つまりを抑える効果及びニキビを予防する効果が示唆される。
【0042】
試験例3.ナトリウム依存性ビタミンCトランスポーター(SVTC)合成促進効果
正常ヒト表皮メラニン細胞を増殖添加剤含有DermaLife(登録商標)「クラボウ社製」にて1×105個/mLに調製し、96穴マイクロプレートに100μLずつ播種して、5%炭酸ガス、飽和水蒸気下、37℃で培養した。24時間後、本発明の製造例1に係る発酵物を試料溶液として含んだ培養液を追添加しさらに培養した。ここで、試料溶液は、培養液に対する溶液としての終濃度が2.0%となるように調製した。また、コントロールとして、試料溶液に代えてPBS(-)を含んだ培養液を追添加した対照区を設定した。なお、PBS(-)は、試料溶液と同様に溶液としての培養液に対して終濃度2.0%となるように調製した。48時間後、培養上清を除去して、PBS(-)を200μLずつ添加して除去し、次に10%トリクロロ酢酸(和光純薬社)を50μLずつ添加して冷温下で30分間インキュベートした後、上清を除去した。PBS(-)を100μL用いて洗浄し、0.2%Triton-X含有PBS(-)を50μLずつ添加して室温下で1時間インキュベートをした。上清を除去して8%牛血清アルブミン(SIGMA社)含有PBS(-)を50μLずつ添加して室温下で2時間インキュベートした。上清を除去し0.2%Triton-X含有PBS(-)を100μL用いて洗浄し、抗SVCTマウスモノクローナル抗体(Santa Cruz社)を50μLずつ添加して冷温下で24時間インキュベートした。上清を除去し0.2%Triton-X含有PBS(-)100μLを用いて洗浄を3回繰り返した。Alexa Fluor 488抗マウス二次抗体(Life Technologies社)を50μL添加して室温下、暗所にて2時間インキュベートした。上清を除去し0.2%Triton-X含有PBS(-)100μLを用いて洗浄を3回繰り返し、PBS(-)を100μLずつ添加して蛍光プレートリーダー(大日本製薬社)を用いてEx485/Em520における蛍光強度を測定した。対照区の測定値に対する蛍光強度の相対値をSVCT合成率(%)とした。
【0043】
【0044】
表3に示す通り、本発明に係る発酵物は、細胞内へのビタミンCの取り込みに関与するタンパク質であるナトリウム依存性ビタミンCトランスポーターの合成促進効果を有することから、細胞内へのビタミンCの取り込みを促進することができ、よって、細胞内でのビタミンCによる美白効果、抗酸化効果及びコラーゲン合成促進効果を促進することが示唆される。
【0045】
試験例4.線維芽細胞エラスターゼ活性抑制効果
正常ヒト皮膚由来線維芽細胞NB1RGBを、10%NCS含有イーグル最少必須培地を入れた96穴マイクロプレートに1×104個/穴播種し、37℃, 5.0%CO2の条件下に1日間プレ培養した。その後、PBS(-)を用いて1回洗浄した後、1%Triton X-100/1mM PMSF含有100mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)を50μL/穴ずつ添加して室温で10分間静置し、細胞を溶解した。その溶液を線維芽細胞由来のエラスターゼ酵素液とした。製造例1の発酵物を含む評価試料溶液50μLと合成基質溶液(5mM Suc Ala-Ala-Ala pNA/100mM Tris-HCl緩衝液[pH8.0])50μLを混和し、37℃で2時間反応させた後の吸光度(波長405nm:マイクロプレートリーダー(Model 680、バイオラッド社製))を測定し、線維芽細胞エラスターゼ活性の指標とした。製造例1の発酵物の代わりに精製水を用いて同様に試験を行い、ここに得られた線維芽細胞エラスターゼ活性を100とした時の、製造例1の発酵物を用いた時の線維芽細胞エラスターゼ活性の比率を求め、相対的な線維芽細胞エラスターゼ活性率(%)とした。
【0046】
【0047】
表4に示す通り、本発明に係る発酵物は顕著なエラスターゼ活性抑制効果を有することを確認した。これにより、肌のハリを向上させることができる。
【0048】
試験例5.線維芽細胞エラスチン合成促進効果
正常ヒト皮膚由来線維芽細胞NB1RGBを、10%NCS含有イーグル最少必須培地を入れた96穴マイクロプレートに1×104個/穴播種し、37℃, 5.0%CO2の条件下に1日間プレ培養した後、試料としてグルコシルナリンギンと各試料を各濃度になるように調整した10%NCS含有イーグル最少必須培地を添加し、同条件でさらに14日間培養した。その後、10%トリクロロ酢酸溶液を用いて細胞を30分処理して固定、5倍希釈ブロッキングワンP液で2時間処理によるブロッキングを行った後、抗エラスチン抗体を添加し、4℃で一昼夜静置した。その後PBS(-)洗浄し、蛍光ラベルした二次抗体を添加してさらに暗所で一定時間静置した。そのPBS(-)後洗浄し、蛍光顕微鏡による観察を行った。定量については、先ず二次抗体の蛍光ラベル(Alexa Fluor546)をEx=544nm、Em=590nmで測定し(蛍光マイクロプレートリーダー(フルオロスキャンアセント、Thermo Fisher Scientific社製))、その後、Hoechst33342によるDNA染色を行い、Ex=355nm、Em=460nmの測定を行った。それぞれの試験区のAlexa Fluor546の蛍光強度をHoechst33342の蛍光強度で割ることで、エラスチンの合成度合いを求めた。試料溶液に代えてPBS(-)を添加した試料無添加の場合(対照)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られたエラスチン合成度合いに対する各試料添加時のエラスチン合成度合いの相対値を求め、エラスチン合成量(%)とした。
【0049】
【0050】
表5に示す通り、本発明に係る発酵物は顕著なエラスチン合成促進効果を有することを確認した。これにより、肌のハリを向上させることができる。
【0051】
本発明に係る発酵物が、他の有効成分と併用することで皮膚外用剤の成分として、より有用な相乗効果を発揮する。例えば、アスコルビン酸誘導体、コウジ酸、アルブチン、グリチルリチン酸ジカリウム、トラネキサム酸、ナイアシンアミドのいずれか1以上と組み合わせることで、以下の通り、顕著な相乗効果を発揮することも確認した。
【0052】
まず、本発明に係る発酵物とアスコルビン酸誘導体を併用した組成物(表6)について、シミ、くすみ、使用感についてモニターテストを実施した結果を示す。
まず、本発明に係る発酵物と、アスコルビン酸誘導体、アルブチン又はコウジ酸の組み合わせた組成物を調製し、表6~8に示す。表6~8において、成分1は本発明に係る発酵物であり、成分2はアスコルビン酸グルコシドであり、成分3はリン酸L-アスコルビルマグネシウムであり、成分4は3-0-エチルアスコルビン酸であり、成分5はアルブチンであり、成分6はグリチルリチン酸ジカリウム、成分7はトラネキサム酸である。
[表6]
【0053】
【0054】
【0055】
試験例5(1).モニターテスト
まず、表6に示す組成物1~4及び比較組成物1~2について以下の試験を行った。無作為に抽出した年齢25~60歳の男女5名を被験者として各被験者の前腕部に組成物1~4及び比較組成物1~2のローションを塗布する6つの試験区を設け、それぞれ1日2回(朝、晩)4週間塗布した際の(イ)透明感、(ロ)潤い感、(ハ)使用感(肌なじみ、伸び感)について、A:非常に良い、B:良い、C:普通、D:やや悪い、という4段階で自己評価した。試験結果を表9に示す。
【0056】
【0057】
表9に示す通り、本発明に係る発酵物は、アスコルビン酸誘導体又はアルブチンと併用することで、透明感、潤い感及び使用感をさらに向上させることができる。
【0058】
試験例5(2).モニターテスト
まず、表7に示す組成物5~9及び比較組成物3について以下の試験を行った。無作為に抽出した年齢25~60歳の男女5名を被験者として各被験者の前腕部に組成物5~9及び比較組成物3のローションを塗布する6つの試験区を設け、それぞれ1日2回(朝、晩)4週間塗布した際の(イ)透明感、(ロ)潤い感、(ハ)使用感(肌なじみ、伸び感)について、A:非常に良い、B:良い、C:普通、D:やや悪い、という4段階で自己評価した。試験結果を表10に示す。
【0059】
【0060】
表10に示す通り、本発明に係る発酵物は、グリチルリチン酸ジカリウム及びアスコルビン酸誘導体と併用することで、透明感、潤い感及び使用感をさらに向上させることができる。
【0061】
試験例5(3).モニターテスト
まず、表8に示す組成物10~14及び比較組成物4について以下の試験を行った。無作為に抽出した年齢25~60歳の男女5名を被験者として各被験者の前腕部に組成物10~14及び比較組成物4のローションを塗布する6つの試験区を設け、それぞれ1日2回(朝、晩)4週間塗布した際の(イ)透明感、(ロ)潤い感、(ハ)使用感(肌なじみ、伸び感)について、A:非常に良い、B:良い、C:普通、D:やや悪い、という4段階で自己評価した。試験結果を表11に示す。
【0062】
【0063】
表11に示す通り、本発明に係る発酵物は、トラネキサム酸及びアスコルビン酸誘導体と併用することで、透明感、潤い感及び使用感をさらに向上させることができる。
【0064】
処方例1.化粧水
[成分] 部
製造例1の発酵物 1.0
スクワラン 0.2
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
トコフェロール酢酸エステル 0.02
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
グリチルリチン酸モノアンモニウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
1,3-ブチレングリコール 5.0
クエン酸ナトリウム 0.2
メチルパラベン 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0065】
処方例2.化粧水
[成分] 部
製造例1の発酵物 2.0
カプリル酸グリセリル 3.0
ラウリン酸ポリグリセリル-10 3.0
セタノール 2.0
ベヘニルアルコール 2.0
メチルパラベン 0.1
アスコルビン酸 3.0
グリチルリチン酸 0.5
β-グリチルレチン酸 0.05
トコフェロールニコチン酸エステル 0.1
レゾルシン 0.1
酸化亜鉛 2.0
dl-カンフル 0.5
グリセリン 2.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
水酸化カリウム 0.5
精製水 全量が100部となる量
【0066】
処方例3.化粧水
[成分] 部
製造例1の発酵物 0.5
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
メチルパラベン 0.1
アスコルビン酸グルコシド 2.0
トラネキサム酸 1.0
イオウ 0.2
エストラジオール 0.1
ピリドキシン塩酸塩 0.5
グリセリン 5.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
クエン酸ナトリウム 0.2
メタ重亜硫酸ナトリウム 0.2
d-カンフル 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0067】
処方例4.乳液
[成分] 部
製造例1の発酵物 1.0
スクワラン 5.0
シクロペンタンシロキサン 1.0
ヘキサラン 3.0
イソステアリン酸ヘキシルデシル 1.0
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 1.0
ラウリン酸ポリグリセリル-10 5.0
イソステアリン酸ポリグリセリル-10 5.0
ジパルミチン酸アスコルビル 15.0
水添大豆レシチン 1.5
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩 3.0
アルブチン 3.0
水酸化カリウム 0.5
グリセリン 3.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
キサンタンガム 0.2
シロキクラゲ多糖体 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
トコフェロール酢酸エステル 0.3
トコフェロールニコチン酸エステル 0.1
グリチルリチン酸 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
水溶性コラーゲン 1.0
加水分解コラーゲン 1.0
アセチルヒアルロン酸 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0068】
処方例5.乳液
処方例4の成分中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩2.0部に代えてL-アスコルビン酸-2-グルコシド2.0部を用いるほかは処方例4と同様にして乳液を得た。
【0069】
処方例6.乳液
処方例4の成分中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩2.0部に代えて及び水酸化カリウム0.5部に代えてトラネキサム酸1.0部を用いるほかは処方例4と同様にして乳液を得た。
【0070】
処方例7.乳液
処方例4の成分中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩2.0部に代えて3-O-エチルアスコルビン酸3.0部を用いるほかは処方例4と同様にして乳液を得た。
【0071】
処方例8.乳液
処方例4の成分中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩2.0部に代えてナイアシンアミド3.0部を用いるほかは処方例4と同様にして乳液を得た。
【0072】
処方例9.クリーム
[成分] 部
オリーブ油 5.0
スクワラン 5.0
ホホバ油 5.0
ホホバワックス 1.0
ベヘニルアルコール 1.0
ステアリルアルコール 1.0
キャンデリラワックス 1.0
乳酸菌発酵米 2.0
大豆由来水添レシチン 0.5
製造例1の発酵物 1.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
アルギン酸ナトリウム 1.0
グリセリン 4.0
PH調整剤 適量
防腐剤 適量
精製水 全量が100部となる量
【0073】
処方例10.クリーム
[成分] 部
製造例1の発酵物 1.0
オリーブ油 5.0
ホホバ油 5.0
スクワラン 5.0
イソステアリン酸ヘキシルデシル 5.0
ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル
/ベヘニル) 5.0
カプリル酸グリセリル 1.0
ステアリン酸グリセリル 1.0
イソステアリルグリセリル 3.0
γ-オリザノール 0.1
ベヘニルアルコール 2.0
パルミチン酸 2.5
D-パントテニルアルコール 3.0
アラントイン 0.1
リボフラビン 0.01
レゾルシン 0.1
塩化ベンザルコニウム 0.05
尿素 3.0
β-グリチルレチン酸 0.1
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
グリチルリチン酸アンモニウム 0.1
アスコルビン 2-グルコシド 2.0
トラネキサム酸 2.0
ナイアシンアミド 1.0
乳酸菌発酵米 2.0
水添レシチン 0.5
水添リゾレシチン 0.5
加水分解コラーゲン 1.0
キサンタンガム 1.0
酸化亜鉛 0.5
dl-カンフル 0.3
l-メントール 0.5
精製水 全量が100部となる量
【0074】
実施例11.パック
製造例1の発酵物 2.0
ジプロピレングリコール 5.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 5.0
セタノール 3.0
ベヘニルアルコール 3.0
アラントイン 0.1
トラネキサム酸 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
グリチルリチン酸アンモニウム 0.1
β-グリチルレチン酸 0.1
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
サリチル酸 0.1
トコフェロール酢酸エステル 0.5
トコフェロールニコチン酸エステル 0.1
D-パントテニルアルコール 0.3
レゾルシン 0.1
イオウ 2.0
エストラジオール 0.002
水溶性コラーゲン 1.0
キサンタンガム 2.0
ミリスチン酸ポリグリセリル-6 1.0
ココイルグルタミン酸カリウム 1.0
水添レシチン 3.0
水酸化レシチン 3.0
精製水 全量が100部となる量
【0075】
処方例12.ヘアシャンプー
[成分] 部
製造例1の発酵物 2.0
ラウレス硫酸ナトリウム 10.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 2.0
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.5
塩化ベンザルコニウム 1.0
ステアリルアルコール 2.0
ベヘニルアルコール 2.0
ジメチコン 3.0
アラントイン 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
サリチル酸 0.1
サリチル酸ナトリウム 0.1
トコフェロール酢酸エステル 0.1
ピリチオン亜鉛 0.3
安息香酸 0.2
トリクロサン 0.2
クエン酸 0.1
プロピレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
【0076】
実施例13.ヘアコンディショナー
[成分] 部
製造例1の発酵物 2.0
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 1.0
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 1.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
塩化ベンザルコニウム 1.0
セタノール 3.0
ステアリルアルコール 1.0
アラントイン 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
サリチル酸 0.1
イオウ 0.5
臭化アルキルイソキノリニウム液(75%) 0.06
ピリチオン亜鉛 0.3
メチルパラベン 0.1
トリクロサン 0.2
レゾルシン 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0077】
処方例14.洗浄用化粧料
[成分] 部
製造例1の発酵物 2.0
ココイルグリシンカリウム 5.0
グリセリン 10.0
カプリル酸グリセリル 1.0
ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム 10.0
水溶性コラーゲン 5.0
セタノール 3.0
ミリスチルアルコール 3.0
イソプロピルメチルアルコール 0.1
アラントイン 0.1
イオウ 0.5
グリチルリチン酸 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
グリチルリチン酸モノアンモニウム 0.1
β-グリチルレチン酸 0.05
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
サリチル酸 0.2
トコフェロール酢酸エステル 0.2
トリクロサン 0.1
トリクロロカルバニド 0.5
トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル 0.2
濃ベンザルコニウム塩化物液50 0.2
ベンザルコニウム塩化物 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0078】
処方例15.シートマスク
不織布に下記の成分を含浸させてシートマスクを得る。
[成分] 部
製造例1の発酵物 2.0
グリセリン 3.0
1、3-ブチレングリコール 2.0
L-アスコルビン酸 2-グルコシド 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
キサンタンガム 1.0
水溶性コラーゲン 1.0
ヒアルロン酸ナトリウム 1.0
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
【0079】
処方例16.美容液
[成分] 部
製造例1の発酵物 2.0
ヒアルロン酸ナトリウム 1.0
水溶性コラーゲン 1.0
トラネキサム酸 1.0
ナイアシンアミド 5.0
エタノール 2.0
グリセリン 5.0
1、3-ブチレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
クエン酸 0.3
クエン酸ナトリウム 0.6
カタメンキリンサイ抽出物 5.0
精製水 全量が100部となる量