(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110606
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】開閉支持装置並びにこの開閉支持装置を用いた事務機器
(51)【国際特許分類】
G03B 27/62 20060101AFI20240808BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G03B27/62
F16C11/04 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015287
(22)【出願日】2023-02-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 覚司
【テーマコード(参考)】
2H012
3J105
【Fターム(参考)】
2H012CB12
3J105AA05
3J105AB02
3J105AB06
3J105AB13
3J105AC06
3J105AC07
3J105AC10
3J105BA23
3J105DA13
3J105DA15
3J105DA23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業員によるヒンジの高さ調整を要さず、組立工数を削減することができる開閉支持装置を提供する。
【解決手段】事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材11と、第1ヒンジシャフト17を介して回転可能に軸支される支持部材12と、第2ヒンジシャフト18を介して支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支され、原稿圧着板に取り付けられるリフト部材14と、両側板を有し、支持部材とリフト部材との間に、第2ヒンジシャフトを介して支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支される調整部材13と、リフト部材と調整部材の各両側板の間に設けられた加圧手段15と、取付板の両側板の間に設けられた受圧部材と加圧手段の間に設けられた支持部材の回転制御手段と、リフト部材と調整部材との間に設けられたリフト部材の回転付勢手段とを有し、回転付勢手段は、原稿圧着板をコンタクトガラス上へ閉じる際に取付部材側から接地させるように成した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板とこの底板から立ち上げた両側板を有し、事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材と、
上板とこの上板から垂設した両側板とこの両側板から内側に向けて設けた抱持片を有し、前記両側板を前記取付部材の前記両側板へ第1ヒンジシャフトを介して回転可能に軸支される支持部材と、
上板とこの上板から垂設した両側板とこの両側板から外側に向けて設けられた前記原稿圧着板の取付板とを有し、前記支持部材の両側板の自由端側に設けた内径の大きな遊挿孔に緩く挿通された第2ヒンジシャフトを介して当該支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支されるリフト部材と、
上板とこの上板から垂設した両側板とを有し、前記支持部材と前記リフト部材との間に、前記第2ヒンジシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支される調整部材と、
前記リフト部材と前記調整部材の各両側板の間に設けられた加圧手段と、
前記取付部材の前記両側板の間に設けられた受圧部材と前記加圧手段の間に設けられた前記支持部材の回転制御手段と、
前記リフト部材と前記調整部材との間に設けられた前記リフト部材の加圧手段とを有し、
前記加圧手段は、前記原稿圧着板をコンタクトガラス上へ閉じる際に前記リフト部材を下方へ加圧させるように成したことを特徴とする、開閉支持装置。
【請求項2】
前記回転制御手段は、前記支持部材内に設けられ、前記取付部材の両側板の間に設けられた受圧部材に接して設けられた受圧カムと、前記加圧手段に接して設けられたスライドカムと、前記受圧カムと前記スライドカムの間に弾設されえた第1弾性部材を有することを特徴とする、請求項1に記載の開閉支持装置。
【請求項3】
前記加圧手段は、前記リフト部材と前記調整部材との間に前記リフト部材を前記支持部材側へ加圧させる第2弾性部材とを有することを特徴とする、請求項1に記載の開閉支持装置。
【請求項4】
前記加圧手段は、前記リフト部材と前記調整部材との間に設けたガイドシャフトを挿通させていることを特徴とする、請求項2に記載の開閉支持装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の開閉支持装置を用いたことを特徴とする、事務機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、複合機並びに印刷機やファクシミリ、スキャナーなどの事務機器の装置本体に対して原稿圧着板などの蓋体を開閉可能に取り付ける開閉支持装置並びにこの開閉支持装置を用いた事務機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉支持装置は、上記事務機器の装置本体の上面後部に取り付けられ、自動原稿送り装置(ADF:AUTO DOCUMENT FEEDER)を備える原稿圧着板を装置本体に対して開閉可能に軸支している。つまり、開閉支持装置は、一種のヒンジ機構であり、コンタクトガラス面上に原稿を載置した後、原稿圧着板を開閉させることにより、装置本体に対し原稿圧着板が離間している状態(以下、開成状態という)から、原稿圧着板がコンタクトガラスに対して閉じられた状態(圧着された状態、以下、閉成状態という)にすることができる。
【0003】
このような開閉支持装置にあっては、原稿圧着板の重量と、開閉支持装置内に設けたところの原稿圧着板を開成方向へ付勢するところの後述する回転制御手段に用いている第1弾性部材の弾力とのアンバランスから、原稿圧着板の閉成状態において原稿圧着板の後部側とコンタクトガラスとの間に隙間が生じ、原稿圧着板がコンタクトガラスに対し平行に閉じられない場合を生じた。
【0004】
そうすると、コンタクトガラス面上に原稿が均一に圧着されないことから、複写ボケが生ずるという不具合があった。そこで、従来は例えば下記特許文献1に記載されたように、開閉支持装置のリフト部材に支持部材に向けて高さ調整ネジを設けている。この高さ調整ネジを左右へ回すことにより、支持部材とリフト部材とも間の設置角度を調整して間隙を埋め、原稿圧着板がコンタクトガラス面に対し平行に閉じられるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この高さ調整作業は、事務機器の組み立て現場、或は事務機器の設置後において手作業によっているため、調整に時間と人手を要するという問題があった。本発明は、このような問題を解決することを課題とし、作業員による原稿圧着板の高さ調整を要さず、開閉支持装置が自動的に原稿圧着板の高さ調整を行うことのできるように成した開閉支持装置並びにこの開閉支持装置を用いた事務機器を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明は底板とこの底板から立ち上げた両側板を有し、事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材と、上板とこの上板から垂設した両側板とこの両側板から内側に向けて設けた抱持片を有し、前記両側板を前記取付部材の前記両側板へ第1ヒンジシャフトを介して回転可能に軸支される支持部材と、
上板とこの上板から垂設した両側板とこの両側板から外側に向けて設けられた前記原稿圧着板の取付板とを有し、前記支持部材の両側板の自由端側に設けた内径の大きな遊挿孔に緩く挿通された第2ヒンジシャフトを介して当該支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支されるリフト部材と、上板とこの上板から垂設した両側板とを有し、前記支持部材と前記リフト部材との間に、前記第2ヒンジシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支される調整部材と、前記リフト部材と前記調整部材の各両側板の間に設けられた加圧手段と、前記取付部材の前記両側板の間に設けられた受圧部材と前記加圧手段の間に設けられた前記支持部材の回転制御手段と、前記リフト部材と前記調整部材との間に設けられた前記リフト部材の加圧手段とを有し、前記加圧手段は、前記原稿圧着板をコンタクトガラス上へ閉じる際に前記リフト部材を下方へ加圧させるように成したことを特徴とする。
【0008】
次に、請求項2に記載の発明は、前記回転制御手段は、前記支持部材内に設けられ、前記取付部材の両側板の間に設けられた受圧部材に接して設けられた受圧カムと、前記加圧手段に接して設けられたスライドカムと、前記受圧カムと前記スライドカムの間に弾設された第1弾性部材を有することを特徴とする。
【0009】
次に、請求項3に記載の発明は、前記加圧手段は、前記リフト部材と前記調整部材との間に前記リフト部材を前記支持部材側へ加圧させる第2弾性部材とを有することを特徴とする。
【0010】
次に、請求項4に記載の発明は、前記加圧手段は、前記リフト部材と前記調整部材との間に設けたガイドシャフトを挿通させていることを特徴とする。
【0011】
そして、請求項5に記載の発明は、事務機器が上記いずれかに記載の開閉支持装置を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、原稿圧着板を取り付けるリフト部材が原稿圧着板の閉成時に加圧手段によってコンタクトガラス側へ降下させられるので、原稿圧着板を閉じる際に原稿圧着板がその前部側を先にコンタクトガラス上へ閉じられ降下するのを防止でき、原稿圧着板の後部側とコンタクトガラス面との間に間隙が生じるのを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例における開閉支持装置を用いた事務機器を示す斜視図。
【
図2】実施例における開閉支持装置の閉成状態を示す斜視図。
【
図3】実施例における開閉支持装置の開成状態を示す斜視図。
【
図5】実施例における開閉支持装置のヒンジ角度0度時の断面図。
【
図6】実施例における開閉支持装置のヒンジ角度60度時の断面図。
【
図7】実施例における開閉支持装置の調整部材を示す平面図(a)、右側面図(b)、正面図(c)。
【
図8】実施例における開閉支持装置のリフト部材を示す(a)平面図、(b)右側面図、(c)正面図。
【
図9】実施例における開閉支持装置の閉成状態における高さ調整を説明する図面。
【
図10】実施例における開閉支持装置の開成状態における高さ調整を説明する図面。
【
図11】変形例における開閉支持装置の閉成状態を示す斜視図面。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の好適な実施の形態に係る開閉支持装置、並びにこの開閉支持装置を備えた事務機器について、図面を参照しながら説明する。
【実施例0015】
図1は、実施例1における開閉支持装置を用いた事務機器を示す斜視図である。
図1において、事務機器1は、略立方体状の装置本体2と、装置本体2の上面2aのコンタクトガラス4と、利用者の操作を受け付ける操作部5と、装置本体2の上面2aを開閉する原稿圧着板3と、を有する。開閉体或は蓋体としての原稿圧着板3は、ADF3aを備えており、開閉支持装置(ヒンジ)10、10Aを介して装置本体2に回動可能に連結され、装置本体2に対して開閉可能である。
【0016】
本実施例1では、開閉支持装置10、10Aの構成は同じであるので、一方の開閉支持装置10について説明し、他方の開閉支持装置10Aについては説明を省略する。
【0017】
図2は実施例1における開閉支持装置10の閉成状態を示す斜視図であり、
図3は実施例1における開閉支持装置10の開成状態を示す斜視図である。
【0018】
図2乃至
図4において、開閉支持装置10は、取付部材11と、支持部材12と、調整部材13と、リフト部材14と、加圧手段15と、第2弾性部材16とを有しており、支持部材12は第1ヒンジシャフト17を介して取付部材11に回転可能に軸支され、調整部材13及びリフト部材14は第2ヒンジシャフト18を介して支持部材12へ回転可能に軸支される。
【0019】
本実施例では、支持部材12、調整部材13、リフト部材14は、この順番で取付部材11に対して配置され、調整部材13とリフト部材14とは加圧手段15によっても連結され、調整部材13とリフト部材14との間には加圧手段15の第2弾性部材16が弾設されている。
【0020】
図4は実施例1における開閉支持装置10の分解斜視図である。
図4において、取付部材11は、装置本体2に取り付けられる略矩形状の底板11aと、底板11aの両側端部からそれぞれ底板11aに対して直交する方向(略直交する方向も含む)に立ち上げた両側板11b、11bと、底板11aの一端部(後端部)から底板11aに対して直交する方向(略直交する方向も含む)に立ち上げた略矩形状の後板11dと、両側板11b、11bの一側部に形成された湾曲凹部11e、11eとを有する。
【0021】
底板11aは、ネジで装置本体2に取り付けるための取付孔11f、11gが設けられている。両側板11b、11bは、先端部(上部)に、第1ヒンジシャフト17が挿通される第1ヒンジシャフト孔11h、11hが設けられる。第1ヒンジシャフト17は、軸受22、22やカラー23、23を介して、第1ヒンジシャフト孔11h、11hに連結される。尚、本実施例では、第1ヒンジシャフト17をシャフト状のものとして説明するが、それに限定されず、取付部材11の両側板11b、11bに個々に設けられる独立した短ピン状のものや、その他の構成のものでもよい。また、第1ヒンジシャフト17の固定具として軸受22、22とカラー23、23を用いるが、これらは例示であり、適宜設計変更してもよい。
【0022】
両側板11b、11bは、第1ヒンジシャフト孔11h、11hより底板11a側(下方)で、かつ、内側(前方)に偏した位置に、受圧部材19が挿通される受圧部材孔11i、11iが設けられる。受圧部材19は、ブッシュやEリング19aを介して、受圧部材孔11i、11iに挿通さてもよい。尚、本実施例では、受圧部材19をシャフト状のものとして説明するが、それに限定されず、取付部材11の両側板11b、11bの間に設けたその他の形状のものでもよい。後板11dは、先端部(上部)側に取付孔が設けられる。略矩形状のストッパ24は、小ネジ26により取付孔に取り付けられる。
【0023】
支持部材(以下、ケース部材ともいう)12は、略矩形状の上板12aと、上板12aの両側端部からそれぞれ上板12aに対して直交する方向(略直交する方向も含む)に垂設された両側板12b、12bと、両側板12b、12bの下端部を互いに対向する側に90°折り曲げてなる抱持片12c、12cとを有する。支持部材12は、略筒状に形成されており、支持部材12内に収容空間12hを有する。
【0024】
両側板12b、12bは、一端部(後端部)に、第1ヒンジシャフト17が挿通される第1ヒンジシャフト孔12f、12fが設けられる。第1ヒンジシャフト17は、両側板12b、12bの第1ヒンジシャフト孔12f、12fと取付部材11の第1ヒンジシャフト孔11h、11hとが軸合わせた状態で、これらの孔に挿通される。このように、取付部材11は、第1ヒンジシャフト17を介して支持部材12を回転可能に支持する。支持部材12は、取付部材11により回転可能に支持される。
【0025】
また、両側板12b、12bは、他端部(前端部)の上板12a側に第2ヒンジシャフト18が挿通される第2ヒンジシャフト孔(挿通孔)12g、12gが設けられ、他端部(前端部)の抱持片12c、12c側に押圧部材20が入り込む切り欠き部12j、12jが設けられる。また、両側板12b、12bは、第2ヒンジシャフト孔(挿通孔)12g、12gの右側(第1ヒンジシャフト孔11h、11h側)に、調整部材13と当接する略半月形状のフリクション用凸部12i、12iが設けられている。両側板12b、12bにフリクション用凸部12i、12iを設けることにより、支持部材12の第2ヒンジシャフト18の軸方向(スラスト方向)におけるガタつきを抑制することができる。
【0026】
ここで、支持部材12の収容空間12h内には回転制御手段Fが設けられている。この回転制御手段Fは、とくに
図4から
図6に示されているように、支持部材12の収容空間12h内に収容されており、
図4に示すように、受圧カム27、ダンパー28、スペーサ29、大径弾性部材30、及び小径弾性部材31から成る第1弾性部材33、スライドカム32とで構成されている。
【0027】
受圧カム27は、後面部27aと、両側面部27b、27bと、天面部27cと、底面部27fと、凹部27d、27eとを有する。後面部27aには、カム部(頂部)27xが形成される。スライドカム32は、前面部32aと、両側面部32b、32bと、天面部32cと、底面部32fと、凹部32d、32eとを有する。
【0028】
また、一対の受圧カム27及びスライドカム32は、抱持片12c、12cに抱えられることで、収容空間12hに摺動可能に収容されている。
【0029】
第1弾性部材33は、対向する受圧カム27及びスライドカム32との間に配置される。つまり、受圧カム27とスライドカム32の間には、第1弾性部材33が弾設される。また、小径弾性部材31は大径弾性部材30の径内に挿入配置され、ダンパー28は小径弾性部材31の径内に挿入配置される。
【0030】
本実施例では、第1弾性部材33は小径弾性部材31と大径弾性部材30とからなると説明したが、それに限定されず、第1弾性部材33は1個でも2個以上でもよく、例えば2個並列、或は重合して設けられ、一対の受圧カム27とスライドカム32をそれぞれ互いに離間する方向に付勢するものでもよい。
【0031】
本実施例では、小径弾性部材31を左巻きとし、大径弾性部材30を右巻きとして説明するが、それに限定されず、小径弾性部材31を右巻きとし、大径弾性部材30を左巻きとしてもよい。小径弾性部材31と大径弾性部材30の巻き方向を逆にすることで弾性力を調整することができる。また、弾性力の調整がそれほど必要でない場合は、小径弾性部材31がない構成としてもよい。
【0032】
ダンパー28は、一端側に縁部28aが設けられ、他端側に突出したピストン28bが設けられる。また、ダンパー28は、スペーサ29を介して小径弾性部材31の径内に挿入配置される。つまり、ダンパー28は、大径弾性部材30及び小径弾性部材31の螺旋内に同軸方向に配置される。
【0033】
図5は実施例1における開閉支持装置10のヒンジ角度0度時の断面図であり、
図6は実施例における開閉支持装置10のヒンジ角度60度時の断面図である。
【0034】
図5及び
図6において、第2ヒンジシャフトはリフト部材14と調整部材13に取り付けられ、受圧部材19は、取付部材11に取り付けられる。尚、指示記号18aはEリングである。
【0035】
開閉支持装置10が閉成状態から開成状態になる場合、押圧部材20はスライドカム32の前面側を押圧し、受圧部材19は受圧カム27の後側のカム部27xにより受圧する。
【0036】
加圧手段15は、先端部に雄ネジ部16dを有し、下端部にネジ溝を有するガイドシャフトと、このガイドシャフト15aを挿通させた第2弾性部材16から成り、ガイドシャフト15aは、そのネジ溝を設けた側をリフト部材14の第2取付板14dに設けた取付孔14hへ挿通させると共に、雄ネジ部15dを調整部材13の取付板13c、13cに用意した雌ネジ部15bにネジ着させており、第2弾性部材16は、リフト部材14の第2取付板14dと調整部材13の取付板13cとの間に弾設されている。したがって、リフト部材14は、常に、第2ヒンジシャフト18を支点にして、支持部材12側へ加圧されている。尚、この実施例1に係る加圧手段15は、ガイドシャフト15aを回転させてもリフト部材14の第1取付板14c、14cが上下方向へ移動する構成ではないため、組立後の弾性部材16の弾力の調整はできない構成となっている。尚、加圧手段15は、図面上は一方のみが図示されているが、左右一対であり、同じ構成であるので、他方の図示を省略してある。
【0037】
図7は実施例1における開閉支持装置10の調整部材13を示す平面図(a)、右側面図(b)、正面図(c)であり、
図8は実施例における開閉支持装置10のリフト部材14を示す平面図(a)、右側面図(b)、正面図(c)である。
【0038】
以下
図7と
図8の説明において、各図の矢印X1が示す方向を右方とし、矢印X2が示す方向を左方とし、矢印Y1が示す方向を前方とし、矢印Y2が示す方向を後方とし、矢印Z1が示す方向を上方とし、矢印Z2が示す方向を下方とする。
【0039】
図7において、調整部材13は、略矩形状の上板13aと、上板13aの右及び左側端部からそれぞれ上板13aに対して直交する方向(下方向)に垂設された両側板13b、13bと、両側板13b、13bの後方の下端の一部を外側へ折り曲げて延設された取付板13c、13cとを有する。
【0040】
両側板13b、13bは、上板13aの前端部から前方に所定の長さで延出しており、延出した前端部の中央より上板13a側の箇所に第2ヒンジシャフト18が挿通される第2ヒンジシャフト孔(挿通孔)13e、13eが設けられるとともに、第2ヒンジシャフト孔(挿通孔)13e、13eの下方に設けられたシャフト状の押圧部材20が挿通される押圧部材孔13f、13fが設けられる。両側板13b、13bの押圧部材孔13f、13fに押圧部材20が挿通されて固定される。尚、この押圧部材20は、シャフト形状であることを問わない。
【0041】
第2ヒンジシャフト18は、支持部材12、調整部材13、リフト部材14がこの順番で重ねられた状態で、後述するリフト部材14の第2ヒンジシャフト遊挿孔14e、14eに遊挿され、調整部材13の第2ヒンジシャフト孔(挿通孔)13e、13e及び支持部材12の第2ヒンジシャフト孔(挿通孔)12g、12gに軸受けされる。
【0042】
このように、調整部材13は、支持部材12とリフト部材14との間に、支持部材12の回転方向とは逆方向へ回転するように軸支される。
【0043】
尚、調整部材13の第2ヒンジシャフト孔(挿通孔)13e、13eは、後述するリフト部材14の第2ヒンジシャフト遊挿孔14e、14eより小さい。
【0044】
また、両側板13b、13bは、第2ヒンジシャフト孔(挿通孔)13e、13e及び押圧部材孔13f、13fの右側に、リフト部材14と当接する略半月形状の凸部13g、13gが設けられている。両側板13b、13bに凸部13g、13gを設けることにより、調整部材13の第2ヒンジシャフト18の軸方向(スラスト方向)におけるガタつきを抑制することができる。また、両側板13b、13bは、その下端が後方に行くにしたがって上板13aに近づくように上方傾斜する傾斜部13h、13hが設けられており、傾斜部13h、13hと取付板13c、13cとの間には逆U字状の湾曲凹部13i、13iが設けられている。取付板13c、13cは、略矩形状であり、取付孔13d、13dが設けられている。
【0045】
本実施例では、リフト部材14の取付孔14h、14h、第2弾性部材16、調整部材13の取付孔13d、13dをこの順番で貫通した加圧手段15のガイドシャフト15aの雄ネジ部15dと雌ネジ部15bを螺合させることで、調整部材13とリフト部材14とを連結するとともに、調整部材13とリフト部材14の間に第2弾性部材16が弾設される。
【0046】
図8において、リフト部材(以下、ブラケット部材ともいう)14は、略矩形状の上板14aと、上板14aの左及び右側端部からそれぞれ上板14aに対して直交する方向(下方向)に垂設された両側板14b、14bと、両側板14b、14bの下端から外側へ折り曲げて延設された第1取付板14c、14cと、第1取付板14c、14cの後端部から上方向に立設されるとともに、その先端を後方に折り曲げて延設された第2取付板14d、14dとを有する。
【0047】
両側板14b、14bには、前端部の中央より上板14a(上)側の箇所に第2ヒンジシャフト18が遊挿される第2ヒンジシャフト遊挿孔14e、14eが設けられているとともに、第2ヒンジシャフト游挿孔14e、14eの下方に設けられたシャフト状の押圧部材20が挿通される押圧部材孔14f、14fが設けられている。両側板14b、14bの押圧部材孔14f、14fに押圧部材20が挿通されて固定される。
【0048】
第2ヒンジシャフト18は、リフト部材14の両側板14b、14bの第2ヒンジシャフト遊挿孔14e、14eに遊挿され、調整部材13の第2ヒンジシャフト孔(挿通孔)13e、13e及び支持部材12の両側板12b、12bの第2ヒンジシャフト孔(挿通孔)12g、12gに挿通される。
【0049】
このように、リフト部材14は支持部材12の回転方向とは逆方向へ回転するように軸支される。リフト部材14の第2ヒンジシャフト遊挿孔14e、14eは、調整部材13の第2ヒンジシャフト孔(挿通孔)13e、13eの孔径よりも大きい遊びのある孔である。
【0050】
したがって、第2ヒンジシャフト18は、リフト部材14に設けられた第2ヒンジシャフト遊挿孔14e、14e内を上下方向へ移動可能に遊挿されるため、調整部材13及びリフト部材14は第2ヒンジシャフト遊挿孔14e、14eの径方向に相互に移動可能である。
【0051】
尚、本実施例では、第2ヒンジシャフト遊挿孔14e、14eを略楕円形状のものとして説明するが、それに限定されず、調整部材13及びリフト部材14が装置本体2側へ相互に移動可能であればその他の形状でもよい。
【0052】
第1取付板14c、14cは、略矩形状であり、複数の取付孔14gが設けられている。図示しない原稿圧着板の後部の孔と取付孔14gとを小ネジ等で固定することにより、リフト部材14は原稿圧着板3に取り付けられる。また、第1取付板14c、14cは、両側板14b、14bの後端部から後方に所定の長さで延出しており、延出している延出部分の左右方向の幅はその他の部分より小さくなっている。第2取付板14d、14dは、略矩形状であり、取付孔14h、14hが設けられる。
【0053】
次に、本実施例におけるヒンジの高さ調整について、
図1から
図10を参照しながら説明する。本実施例では、取付部材11に支持部材12が回転可能に連結され、この支持部材12の自由端側に調整部材13及びリフト部材14が回転可能に取り付けられる場合、リフト部材14の第2取付板14d、14dは調整部材13の取付板13c、13cよりも下方に配置される。
【0054】
本実施例では、調整部材13とリフト部材14との間に第2弾性部材16が弾設された状態であっても、加圧手段15のガイドシャフト15aのネジ頭が外(装置本体2)側に位置することにより、作業員によるメンテナンスを容易に行うことができる。
【0055】
図9は実施例1における開閉支持装置10の閉成状態における高さ調整を説明する図である。
図9において、
図1に示す原稿圧着板3の閉成時には、リフト部材14は原稿圧着板3の重量(自重)と加圧手段15の第2弾性部材16によって下方(装置本体2側)へ押圧される付勢力とを受ける。その結果、第2ヒンジシャフト18がリフト部材14側に設けた第2ヒンジシャフト遊挿孔14e、14e内を下方へ移動し、原稿圧着板3の後部がコンタクトガラス4の後部側、即ち、開閉支持装置10側へ押し付けられることになる。その結果、原稿圧着板3は閉成時にその後部側から閉じられるので、原稿圧着板3とコンタクトガラス4の後部側に隙間ができることを防止することができるものであり、この作業を自動的できることになる。
【0056】
実施例1における原稿圧着板3の開成状態においては、原稿圧着板3の回転トルクが減殺されるため、
図3と
図10に示したように、リフト部材14の第2取付板14d、14dと調整部材13の取付板13c、13cとの間の間隙が広がることになる。
そこで、実施例2では、加圧手段25を、事務機器1としての複写機の設置時に作業員によるヒンジの高さ調整を要さず、設置時の手間を削減することができることに加えて、第2弾性部材16の弾力を調整できるようにしたものである。
尚、ガイドシャフト35は例示であり、第2弾性部材16の付勢力を調整できるように適宜設計変更してもよい。このように、本実施例2では、事務機器1の装置本体2に取り付けられる取付部材11と、取付部材11に回転可能に軸支される支持部材12と、支持部材12とは逆方向へ回転可能に当該支持部材12に軸支され、原稿圧着板3を取り付けるリフト部材14と、支持部材12とリフト部材14との間に、支持部材12とは逆方向へ当該支持部材12へ回転可能に軸支される調整部材13と、調整部材13とリフト部材14との間に設けた加圧手段25とを有し、加圧手段25は、原稿圧着板3の閉成時において、リフト部材14を介して原稿圧着板3の後部側を先にコンタクトガラス4側へ接地することで、原稿圧着板3が自動的にコンタクトガラス4上に平行に接地されることになる。