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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110607
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】ミラー付き車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
B60J3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015288
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】599041329
【氏名又は名称】共和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤関 彩加
(57)【要約】
【課題】バイザ本体の領域内に大きなミラーを備えた車両用サンバイザを提供する。
【解決手段】サンバイザ1は、バイザ本体2を有する。バイザ本体2の上縁2cに沿って、バイザ本体2を上下に回動可能に支持するように横軸12が設けられる。バイザ本体2を正面位置と外側方位置との間で回動可能に支持するように横軸12の外端から縦軸13が延出する。サンバイザ1は、ミラー4が裏面3bに装着されたミラー蓋3を有する。ミラー蓋3の外側縁をバイザ本体2に回動可能に保持する回動機構が設けられる。回動機構は、ミラー4がバイザ本体2に対向する内側位置Qと、ミラー蓋3が車室内側から車両外側に向かって開くことでミラー4が露出される外側位置Rとにミラー蓋3の内外方向の回動を許容する。ミラー蓋3は、内側位置Qでも外側位置Rでも、正面視でのバイザ本体2の外周縁内に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー付き車両用サンバイザであって、
バイザ本体を上下に回動可能に支持するように前記バイザ本体の上縁に沿って設けられる横軸と、
前記バイザ本体を正面位置と外側方位置との間で回動可能に支持するように前記横軸の外端から延出する縦軸と、
ミラーが裏面に装着されたミラー蓋と、
前記ミラー蓋の外側縁を前記バイザ本体に回動可能に保持する回動機構を有し、前記ミラーが前記バイザ本体に対向する内側位置と、前記ミラー蓋が車室内側から車両外側に向かって開くことで前記ミラーが露出される外側位置とに前記ミラー蓋の内外方向の回動を前記回動機構が許容し、かつ前記ミラー蓋が前記内側位置でも前記外側位置でも、正面視での前記バイザ本体の外周縁内に位置する、ミラー付き車両用サンバイザ。
【請求項2】
請求項1に記載のミラー付き車両用サンバイザであって、
前記バイザ本体を上方に付勢するように前記バイザ本体内に設けられるクリップと、
前記クリップが装着されかつ前記クリップを前記横軸に弾性的に当接させるクリップ保持部材を有し、
前記外側位置の前記ミラー蓋は、前記正面視において前記クリップまたは前記クリップ保持部材に重なる、ミラー付き車両用サンバイザ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のミラー付き車両用サンバイザであって、
前記内側位置の前記ミラー蓋が収容される前記バイザ本体の収容凹部と、
前記ミラー蓋と前記バイザ本体を連結する連結部材と、
前記ミラー蓋の前記外側縁に設けられて前記連結部材が収容される外側凹部を有し、
前記ミラー蓋が前記内側位置に位置する際に、前記バイザ本体の表面と前記ミラー蓋の表面と前記連結部材の表面が略同一平面上に位置する、ミラー付き車両用サンバイザ。
【請求項4】
請求項3に記載のミラー付き車両用サンバイザであって、
前記連結部材から上下方向に延出して前記ミラー蓋に回動可能に連結される第1軸と、
前記第1軸と平行に前記連結部材から上下方向に延出して前記バイザ本体に回動可能に連結される第2軸を有する、ミラー付き車両用サンバイザ。
【請求項5】
請求項4に記載のミラー付き車両用サンバイザであって、
前記連結部材は帯板状であり、
前記ミラー蓋が前記内側位置に位置する際に、前記第1軸と前記第2軸が前記バイザ本体の前記収容凹部内において前記バイザ本体の左右方向に並び、
前記ミラー蓋が前記外側位置に位置する際に、前記第1軸が前記収容凹部の外に位置し、前記ミラー蓋の前記表面が前記バイザ本体の前記表面に沿う、ミラー付き車両用サンバイザ。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のミラー付き車両用サンバイザであって、
前記バイザ本体は、中空状であり、
前記バイザ本体の表部材と裏部材に渡って厚み方向に延出する補強リブまたはボスが前記バイザ本体内に設けられている、ミラー付き車両用サンバイザ。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載のミラー付き車両用サンバイザであって、
前記内側位置の前記ミラー蓋の下辺を露出する下側指掛け構造と、
前記内側位置の前記ミラー蓋の回動先端を露出する先端指掛け構造を有する、ミラー付き車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンバイザに関する。具体的には、バイザ本体にミラーが装着されたサンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示された車両用サンバイザは、板状のバイザ本体を有する。バイザ本体の略中央領域に支持枠が装着され、支持枠にミラーが取付けられている。支持枠の下側のバイザ本体の下側領域には補強リブが設けられ、下側領域が補強されている。したがってバイザ本体は、下端からの衝撃に対して強い強度を有する。特許文献2に開示された車両用サンバイザは、バイザ本体の略中央に照明装置を有する。照明装置を開閉する蓋がバイザ本体に設けられる。蓋は、下辺を中心に下方に回転することで照明装置を開放する。蓋の乗員対向面にミラーが装着されている。
【0003】
従来の一般的なミラーは、比較的小さく、乗員の唇から眉のあたりまでしか映らなかった。そのため、従来のミラーによって顔全体を映すことが困難であった。例えば特許文献1のバイザ本体の上縁には、バイザ本体を回動させるための横軸が備えられている。そのためミラーの縦サイズを大きくすることに限界があった。特許文献2のミラーは、蓋に設けられている。そのためミラーの縦サイズを大きくすると、蓋がバイザ本体の下側に大きく張り出す。そのため蓋によって乗員の前方の視界が遮られてしまう。バイザ本体に乗員の頭部が衝突しやすいとの問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6495105号公報
【特許文献2】特公平3-70644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがってバイザ本体の領域内に大きなミラーを備えた車両用サンバイザが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴によると、サンバイザは、バイザ本体を有する。バイザ本体の上縁に沿って、バイザ本体を上下に回動可能に支持するように横軸が設けられる。バイザ本体を正面位置と外側方位置との間で回動可能に支持するように横軸の外端から縦軸が延出する。サンバイザは、ミラーが裏面に装着されたミラー蓋を有する。ミラー蓋の外側縁をバイザ本体に回動可能に保持する回動機構が設けられる。回動機構は、ミラーがバイザ本体に対向する内側位置と、ミラー蓋が車室内側から車両外側に向かって開くことでミラーが露出される外側位置とにミラー蓋の内外方向の回動を許容する。ミラー蓋は、内側位置でも外側位置でも、正面視でのバイザ本体の外周縁内に位置する。
【0007】
したがってミラー蓋を車室内側から車両外側に開くことで、ミラー蓋の裏面に装着されたミラーが乗員に対向する。そしてミラーは、バイザ本体の正面視における中央より外側に位置する。使用状態のバイザ本体を上方から見ると、車室内側位置が外側位置より前方、すなわちフロントガラスに近くなることが多い。そのため外側位置にミラーがあることで、ミラーが乗員に向き、乗員の顔を確実に映すことができる。しかもミラーは、バイザ本体の外に位置する。そのためミラーがバイザ本体に埋め込まれる構造に比べてミラーは、バイザ本体の内部構造による制約を受けにくい。したがってミラーの縦サイズをより大きくできる。さらにミラー蓋を開いたときに、ミラー蓋が正面視でのバイザ本体の外周縁より外側にはみ出さない。そのため、ミラー蓋によって乗員の前方の視界が遮られることを防止できる。また、ミラーを使用しているときに乗員の頭部がバイザ本体に衝突することがある。その場合、ミラー蓋は外側位置から内側位置に動く。これによりミラーに衝撃が伝わり難く、その場合、バイザ本体の剛性は従来と変わらず確保されており、破損し難い。
【0008】
本開示の他の1つの特徴によると、サンバイザは、バイザ本体を上方に付勢するようにバイザ本体内に設けられるクリップを有する。クリップがクリップ保持部材に装着され、クリップが横軸に弾性的に当接する。外側位置のミラー蓋は、正面視においてクリップまたはクリップ保持部材に重なる。すなわち内側位置及び外側位置におけるミラー蓋の縦サイズは、クリップとクリップ保持部の構造によって制約を受けない。したがってミラー蓋の縦のサイズをより大きくすることができる。これによりミラーが乗員の顔全体を映すことができる。
【0009】
本開示の他の1つの特徴によると、内側位置のミラー蓋が収容される収容凹部がバイザ本体に設けられる。ミラー蓋とバイザ本体が連結部材によって連結される。ミラー蓋の外側縁に外側凹部が設けられて、外側凹部に連結部材が収容される。したがってミラー蓋が内側位置に位置する際に、バイザ本体の収容凹部に収容される。連結部材は、ミラー蓋の外側凹部に収容される。これによりミラー蓋と連結部材がバイザ本体から突出することが抑制される。例えば、バイザ本体の表面とミラー蓋の表面と連結部材の表面を略同一平面上に位置させ得る。
【0010】
本開示の他の1つの特徴によると、連結部材から上下方向に延出する第1軸がミラー蓋に回動可能に連結される。第1軸と平行に連結部材から上下方向に延出する第2軸がバイザ本体に回動可能に連結される。したがって連結部材は、ミラー蓋のバイザ本体に対する厚み方向の位置を変えることができる。そのためミラー蓋は、内側位置においてバイザ本体の収容凹部内に位置できる。そしてミラー蓋は、外側位置に回動させることでバイザ本体から遠ざかりバイザ本体の表面に載置される。すなわち収容凹部とバイザ本体の表面との間で段差があっても、ミラー蓋を内側位置と外側位置との間で回動させ得る。
【0011】
本開示の他の1つの特徴によると、連結部材は帯板状である。ミラー蓋が内側位置に位置する際に、第1軸と第2軸がバイザ本体の収容凹部内においてバイザ本体の左右方向に並ぶ。ミラー蓋が外側位置に位置する際に、第1軸が収容凹部の外に位置し、ミラー蓋の表面がバイザ本体の表面に沿う。したがって連結部材は、帯板状であるため簡易な構造である。そして連結部材は、ミラー蓋とともに収容凹部に収容される。これによりサンバイザの美観が向上する。連結部材を立てることでミラー蓋は、全体的に収容凹部から出すことができる。これによりミラー蓋は、外側位置の際にバイザ本体の表面に当接され得る。そのためミラー蓋を内側位置と外側位置との間で約180°回動させ得る。
【0012】
本開示の他の1つの特徴によると、バイザ本体は、中空状である。バイザ本体内には、補強リブまたはボスが設けられる。補強リブまたはボスは、バイザ本体の表部材と裏部材に渡って厚み方向に延出する。すなわち中空状のバイザ本体には、ミラーが埋め込まれていない。そのためミラーが埋め込まれる構造に比べてバイザ本体は、内部構造の制約を受けにくい。したがって、ミラーのサイズを大きくしても、バイザ本体に補強構造を適用できる。これにより、乗員の頭部が車両用サンバイザに衝突したときの安全性を確保できる。
【0013】
本開示の他の1つの特徴によると、内側位置のミラー蓋の下辺を露出する下側指掛け構造が設けられる。内側位置のミラー蓋の回動先端を露出する先端指掛け構造が設けられる。したがって、ミラー蓋の表面がバイザ本体の表面より突出していなくても、ミラー蓋の下辺または回動先端に指を掛けることができる。よって容易にミラー蓋を開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車両天井に取付けられた車両用サンバイザと車両内部の一部の斜視図であり、ミラー蓋が内側位置にある状態を示す図である。
図2】ミラー蓋が外側位置にある状態の車両用サンバイザの斜視図である。
図3図1のIII-III線断面図である。
図4図1のIV-IV線断面図である。
図5図1のV-V線断面図である。
図6図2のVI-VI線断面図である。
図7】他の実施例を示す図である。
図8】他の実施例を示す図である。
図9】他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一つの実施形態について図面を用いて説明する。サンバイザ1は、図1に示すように車室内においてフロントガラス20の上辺に隣接する天井面21に装着される。サンバイザ1は図2,6を参照するように、板状のバイザ本体2と、ミラー4が裏面3bに装着されたミラー蓋3を備える。ミラー蓋3は、連結部材6によってバイザ本体2に連結されている。
【0016】
図3を参照するようにバイザ本体2は、中空板状であって、厚さ方向に重ねられた第1半割体2a(表部材)と第2半割体2b(裏部材)を備える。第1半割体2aは、図1の使用状態において乗員側に位置する。第2半割体2bは、フロントガラス20側に位置する。以下、バイザ本体2を使用位置Pに位置させて、使用者から見た状態を基準に上下、左右、表裏と方向を規定して説明する。バイザ本体2には、上縁2c右側の角に右凹部2gが設けられる。右凹部2gは外周から内周に窪んでいる。バイザ本体2の上縁2c左側には、左凹部2hが設けられる。左凹部2hは外周(上縁)から内周(下側)に窪んでいる。
【0017】
図1に示すようにバイザ本体2には、支軸11とサポート軸15が装着される。支軸11は、略L字状の棒であって、横軸12と縦軸13を有する。横軸12は長軸状でかつ直線状であり、バイザ本体2の上縁2cに回動可能に挿入される。縦軸13は、右凹部2gにおいて露出する横軸12の先端から上方に、横軸12に対して略直交して延出する。縦軸13の先端がブラケット14に回動可能に装着される。ブラケット14は、車室の天井面21に取付けられる。
【0018】
図1に示すように左凹部2hにサポート軸15が配設される。サポート軸15は、天井面21に固定されたフック23に取り外し可能に保持される。サポート軸15がフック23に取付けられることで、サポート軸15と横軸12を軸中心としてバイザ本体2がフロントガラス20に沿う使用位置Pと天井面21に沿う格納位置Kとの間で回動する。またサポート軸15をフック23から取り外すことで、バイザ本体2は縦軸13回りに回動可能となる。これによりバイザ本体2はフロントガラス20に沿う使用位置Pと、サイドガラス22に沿う外側方位置Sとの間で回動する。
【0019】
図1,2に示すようにバイザ本体2内には、クリップ保持部2i(クリップ保持部材)が設けられている。クリップ保持部2iは第2半割体2bの上縁2cに位置する。クリップ保持部2iの左辺と右辺には横軸12が通る孔が形成されている。クリップ保持部2iには、バイザ本体2を上方に付勢するクリップ7が装着される。クリップ7は、例えば金属板であり、略U字状に曲げ加工して形成されている。クリップ7の間に横軸12が挿通されて、クリップ7が弾性的に横軸12に当接する。
【0020】
図3,6を参照するようにバイザ本体2内には、第1半割体2aと第2半割体2bに渡って厚み方向に延出する補強リブ(不図示)またはボス2jが設けられている。例えばボス2jは、第2半割体2bの内周に沿って複数設けられる。ボス2jは、第2半割体2bの内面から略垂直に突出する円筒状に形成されており、挿入穴を備えている。第1半割体2aの内面には、ボス2jの位置に対応する結合ピン2mが複数設けられる。結合ピン2mは、第1半割体2aの内面から略垂直に突出する円柱状に形成されている。第1半割体2aに第2半割体2を重ね合わせるとき、ボス2jに結合ピン2mが挿入される。ボス2jと結合ピン2mの形状は、例えば凸状など、適宜変更できる。また、ボス2jと補強リブが連結した構成としても良い。
【0021】
図2,3に示すように、第1半割体2aの表面2kにはバイザ本体2の厚さ方向に凹んだ収容凹部5が設けられている。収容凹部5は略矩形状であり、バイザ本体2の中央より車室内側(図2では左側)の内側位置Qに位置する。収容凹部5は、ミラー蓋3を収容可能な大きさに形成されており、上下方向において左凹部2hの下側からバイザ本体2の下縁2dにかかるように、縦の長さL5が設定されている。図1を参照するように収容凹部5の上辺5aと下辺5bの長さは、ミラー蓋3の幅W3(横の長さ)より長く設定されており、ミラー蓋3が内側位置Qにあるときに収容凹部5の左辺5cとミラー蓋3の回動先端3cとの間に隙間5sが設けられている。収容凹部5の右側上下の角には、ミラー蓋3を保持する保持部5eが形成されている。
【0022】
図2に示すようにミラー蓋3の裏面3bには、板状のミラー4が装着されている。ミラー4の大きさは、ミラー蓋3が内側位置Q及びミラー蓋3を開いた外側位置Rにあるときに、バイザ本体2からはみ出さないように設定されている。ミラー4の縦の長さL4は、横軸12の下側付近またはバイザ本体2の左凹部2hの下側付近からバイザ本体2の下縁2dに渡る。ミラー4の幅W4(横の長さ)は、正面視におけるバイザ本体2の中央付近から左凹部2hの下側付近または右凹部2g付近に渡る。具体的には、例えばミラー4の縦の長さL4が約99mm~119mmに設定される。乗員の頭の先から顎までを映す場合、一般的な顔の平均サイズを考慮すると、ミラー4の縦の長さL4は109mm以上が好適である。また、ミラー4の幅W4は、乗員の顔の幅全体がミラー4に映るように、99.7mm以上に設定される。
【0023】
図1,2に示すようにミラー蓋3は、例えば合成樹脂製であり、矩形状に形成されている。ミラー蓋3の大きさは装着されるミラー4の大きさに対応しており、ミラー蓋3の裏面3bにミラー4の外周縁を囲むミラー枠3fが形成されている。ミラー蓋3は内側位置Qにおいて収容凹部5に収容され、ミラー4がバイザ本体2に対向する。ミラー蓋3の外側縁には、連結部材6が収容される外側凹部3dが設けられている。
【0024】
図1,2に示すようにサンバイザ1は、ミラー蓋3の外側縁をバイザ本体2に回動可能に保持する回動機構を有する。具体的には、サンバイザ1は、ミラー蓋3の外側縁とバイザ本体2を連結する連結部材6を有する。連結部材6は、例えば合成樹脂製であり、上下方向に延びる帯板状に形成されている。図4を参照するように、回動機構は第1軸6aと第2軸6bを備える。第1軸6aと第2軸6bは、回転軸として機能するピンである。
【0025】
第1軸6aは、連結部材6から上方向と下方向にそれぞれ延出する。第2軸6bは、第1軸6aに並行して連結部材6から上方向と下方向にそれぞれ延出する。すなわち第1軸6aと第2軸6bは、上下2本ずつ、合計4本のピンで構成される。第1軸6aの上側と下側のピンは、外側凹部3dの上端部3gと下端部3hにそれぞれ差し込まれる。連結部材6は、外側凹部3dのミラー蓋3に回動可能に連結される。第2軸6bの上側と下側のピンは、収容凹部5の上側と下側の保持部5eにそれぞれ差し込まれる。連結部材6は、バイザ本体2に回動可能に連結される。この構成により、回動機構は、内側位置Qとバイザ本体2の中央より車両外側(図2では右側)の外側位置Rとにミラー蓋3の内外方向の回動を許容する。ミラー蓋3は車室内側から車両外側に向かって開き、外側位置Rに移動する。外側位置Rでは、ミラー4が露出される。
【0026】
図1,2に示すようにミラー蓋3は、内側位置Qとミラー4を露出する外側位置Rとの間で左右方向に移動する。ミラー蓋3が内側位置Qに位置する際には、図3,4を参照するように、バイザ本体2の表面2kとミラー蓋3の表面3aと連結部材6の表面6cが略同一平面上に位置する。また第1軸6aと第2軸6bは、バイザ本体2の収容凹部5内においてバイザ本体2の左右方向に並ぶ。ミラー蓋3が外側位置Rに位置する際には、図6を参照するように、連結部材6の表面6cの向きがバイザ本体2の表面2kの向きと略直交する。そして第1軸6aが収容凹部5の外に位置し、ミラー蓋3の表面3aがバイザ本体2の表面2kに沿う。また外側位置Rのミラー蓋3は、正面視においてクリップ7またはクリップ保持部材2iに重なる。ミラー蓋3は、内側位置Qでも外側位置Rでも、正面視でのバイザ本体2の外周縁内に位置する。
【0027】
図3,5を参照するようにサンバイザ1は、下側指掛け構造を有する。バイザ本体2は、下縁2dまで収容凹部5が形成されている。すなわち、バイザ本体2の下縁2dは内側位置Qにおいてバイザ本体2の厚さ方向に窪んでいる。これにより、内側位置Qのミラー蓋3の下辺3eを露出する。よって、乗員はミラー蓋3の下辺3eに指を掛けてミラー蓋3を回動できる。サンバイザ1は、先端指掛け構造を有する。サンバイザ1は、ミラー蓋3が内側位置Qにあるとき、ミラー蓋3の回動先端3cと収容凹部5の左辺5cとの間に隙間5sが形成される。これにより、内側位置Qのミラー蓋3の回動先端3cを露出する。よって、乗員はミラー蓋3の回動先端3cに指を掛けてミラー蓋3を回動できる。
【0028】
上述するように、図1,2を参照するようにサンバイザ1は、バイザ本体2を有する。バイザ本体2の上縁2cに沿って、バイザ本体2を上下に回動可能に支持するように横軸12が設けられる。バイザ本体2を使用位置P(正面位置)と外側方位置Sとの間で回動可能に支持するように横軸12の外端から縦軸13が延出する。サンバイザ1は、ミラー4が裏面3bに装着されたミラー蓋3を有する。ミラー蓋3の外側縁をバイザ本体2に回動可能に保持する回動機構(例えば連結部材6,第1軸6a,第2軸6b)が設けられる。回動機構は、ミラー4がバイザ本体2に対向する内側位置Qと、ミラー蓋3が車室内側から車両外側に向かって開くことでミラー4が露出される外側位置Rとにミラー蓋3の内外方向の回動を許容する。ミラー蓋3は、内側位置Qでも外側位置Rでも、正面視でのバイザ本体2の外周縁内に位置する。
【0029】
したがってミラー蓋3を車室内側から車両外側に開くことで、ミラー蓋3の裏面3bに装着されたミラー4が乗員に対向する。そしてミラー4は、バイザ本体2の正面視における中央より外側に位置する。使用状態のバイザ本体2を上方から見ると、車室内側位置Qが外側位置Rより前方、すなわちフロントガラス20に近くなることが多い。そのため外側位置Rにミラー4があることで、ミラー4が乗員に向き、乗員の顔を確実に映すことができる。しかもミラー4は、バイザ本体2の外に位置する。そのためミラー4がバイザ本体2に埋め込まれる構造に比べてミラー4は、バイザ本体2の内部構造による制約を受けにくい。したがってミラー4の縦の長さL4をより大きくできる。さらにミラー蓋3を開いたときに、ミラー蓋3が正面視でのバイザ本体2の外周縁より外側にはみ出さない。そのため、ミラー蓋3によって乗員の前方の視界が遮られることを防止できる。また、ミラー4を使用しているときに乗員の頭部がバイザ本体2に衝突することがある。その場合、ミラー蓋3は外側位置Rから内側位置Qに動く。これによりミラー4に衝撃が伝わり難く、その場合、バイザ本体2の剛性は従来と変わらず確保されており、破損し難い。
【0030】
図1を参照するように、サンバイザ1は、バイザ本体2を上方に付勢するようにバイザ本体2内に設けられるクリップ7を有する。クリップ7がクリップ保持部2i(クリップ保持部材)に装着され、クリップ7が横軸12に弾性的に当接する。外側位置Rのミラー蓋3は、正面視においてクリップ7またはクリップ保持部2iに重なる。すなわち内側位置Q及び外側位置Rにおけるミラー蓋3の縦の長さL3は、クリップ7とクリップ保持部2iの構造によって制約を受けない。したがってミラー蓋3の縦の長さL3をより大きくすることができる。これによりミラー4が乗員の顔全体を映すことができる。
【0031】
図1,2を参照するように、内側位置Qのミラー蓋3が収容される収容凹部5がバイザ本体2に設けられる。ミラー蓋3とバイザ本体2が連結部材6によって連結される。ミラー蓋3の外側縁に外側凹部3dが設けられて、外側凹部3dに連結部材6が収容される。したがってミラー蓋3が内側位置Qに位置する際に、バイザ本体2の収容凹部5に収容される。連結部材6は、ミラー蓋3の外側凹部3dに収容される。これによりミラー蓋3と連結部材6がバイザ本体2から突出することが抑制される。例えば、バイザ本体2の表面2kとミラー蓋3の表面3aと連結部材6の表面6cを略同一平面上に位置させ得る。
【0032】
図4を参照するように、連結部材6から上下方向に延出する第1軸6aがミラー蓋3に回動可能に連結される。第1軸6aと平行に連結部材6から上下方向に延出する第2軸6bが保持部5eに回動可能に連結される。したがって、連結部材6は、ミラー蓋3のバイザ本体2に対する厚み方向の位置を変えることができる。そのためミラー蓋3は、内側位置Qにおいてバイザ本体2の収容凹部5内に位置できる。そしてミラー蓋3は、外側位置Rに回動させることでバイザ本体2から遠ざかりバイザ本体2の表面2kに載置される。すなわち収容凹部5とバイザ本体2の表面2kとの間で段差があっても、ミラー蓋3を内側位置Qと外側位置Rとの間で回動させ得る。
【0033】
図1,2を参照するように、連結部材6は帯板状である。ミラー蓋3が内側位置Qに位置する際に、第1軸6aと第2軸6bがバイザ本体2の収容凹部5内においてバイザ本体2の左右方向に並ぶ。ミラー蓋3が外側位置Rに位置する際に、第1軸6aが収容凹部5の外に位置し、ミラー蓋3の表面3aがバイザ本体2の表面2kに沿う。したがって、連結部材6は、帯板状であるため簡易な構造である。そして連結部材6は、ミラー蓋3とともに収容凹部5に収容される。これによりサンバイザ1の美観が向上する。連結部材6を立てることでミラー蓋3は、全体的に収容凹部5から出すことができる。これによりミラー蓋3は、外側位置Rの際にバイザ本体2の表面2kに当接され得る。そのためミラー蓋3を内側位置Qと外側位置Rとの間で約180°回動させ得る。
【0034】
図3を参照するように、バイザ本体2は、中空状である。バイザ本体2内には、補強リブまたはボス2jが設けられる。補強リブまたはボス2jは、バイザ本体2の第1半割体2a(表部材)と第2半割体2b(裏部材)に渡って厚み方向に延出する。すなわち中空状のバイザ本体2には、ミラー4が埋め込まれていない。そのためミラー4が埋め込まれる構造に比べてバイザ本体2は、内部構造の制約を受けにくい。したがって、ミラー4のサイズ(例えば縦の長さL4)を大きくしても、バイザ本体2に補強構造を適用できる。これにより、乗員の頭部がサンバイザ1に衝突したときの安全性を確保できる。
【0035】
図3,6を参照するように、内側位置Qのミラー蓋3の下辺3eを露出する下側指掛け構造が設けられる。内側位置Qのミラー蓋3の回動先端3cを露出する先端指掛け構造が設けられる。したがって、ミラー蓋3の表面3aがバイザ本体2の表面2kより突出していなくても、ミラー蓋3の下辺3eまたは回動先端3cに指を掛けることができる。よって容易にミラー蓋3を開くことができる。
【0036】
本開示は、上述した実施形態で説明した外観、構成に限定されず、要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0037】
図1に示すバイザ本体2は、ミラー蓋3の下辺3eとバイザ本体2の下縁2dの位置が揃っている。これに限られず、バイザ本体2の大きさによっては、例えばミラー蓋3の下辺3eがバイザ本体2の下縁2dより上側に位置する構成としても良い。
【0038】
例えば、ミラー蓋3にミラー4を挿入し、ミラー4がミラー蓋3の中でスライドする構成としても良い。この場合、ミラー4をスライドさせた後に、ミラー蓋3によってミラー4がロックされる構成としても良い。また、図7に示すように、ミラー4の両面にミラー4の周縁を覆うトリム部材8a,8bを配設して、ミラー4をトリム部材8a,8bで挟み込む構成としても良い。
【0039】
例えばバイザ本体2は、下側指掛け構造と先端指掛け構造のいずれか一方のみを有する構成としても良い。また、図1に示す先端指掛け構造は、ミラー蓋3の回動先端3cと収容凹部5の左辺5cとの間に隙間5sが形成される。これに代えて、図8に示すように、例えば収容凹部5の左辺5cの中央付近から上辺5aにかけて隙間5tが形成された構成としても良い。また図9に示すように、例えば収容凹部5の左辺5cの中央付近に隙間5uが形成された構成としても良い。
【0040】
ミラー蓋3が外側位置Rに位置する際に、ミラー蓋3の表面3aがバイザ本体2の表面2kに当接する構成であっても、当接しない構成であっても良い。またミラー蓋3の回動可能な範囲は適宜設定できる。
【0041】
図2に示すバイザ本体2は、帯板状の連結部材6を備えている。これに限られず、連結部材6はミラー蓋3の内外方向の回動を許容し得る他の形状に適宜変更しても良い。
【0042】
例えばバイザ本体2の大きさによっては、外側位置Rにあるミラー蓋3が、正面視においてクリップ7とクリップ保持部材(クリップ保持部2i)に重ならない構成としても良い。
【0043】
図2に示すバイザ本体2内には、クリップ7が装着されるクリップ保持部2iが形成されている。これに代えて、バイザ本体内に別部材からなるクリップ保持部材を備えた構成としても良い。
【0044】
図2に示すバイザ本体2は、2枚の芯材(例えば第1半割体2aと第2半割体2b)を有して中空板状に構成されている。これら2枚の芯材が、例えばヒンジを介して繋がっていてもよい。また、中空板状の構成に代えて、バイザ本体は、例えば格子状の構造体からなる構成としてもよい。またバイザ本体は、例えば発泡ビーズ等から一枚状に形成されてもよい。このほか、バイザ本体の形状や材質を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 サンバイザ
2 バイザ本体
2a 第1半割体(表部材)
2b 第2半割体(裏部材)
2c 上縁
2d 下縁
2i クリップ保持部(クリップ保持部材)
2j ボス
2k 表面
3 ミラー蓋
3a 表面
3b 裏面
3c 回動先端
3d 外側凹部
3e 下辺
4 ミラー
5 収容凹部
5e 保持部
6 連結部材
6a 第1軸
6b 第2軸
6c 表面
7 クリップ
12 横軸
13 縦軸
P 使用位置(正面位置)
S 外側方位置
Q 内側位置
R 外側位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9