(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110611
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】アンテナ装置、及びアンテナ基板
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/38 20060101AFI20240808BHJP
H01Q 9/04 20060101ALI20240808BHJP
H01Q 1/48 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H01Q1/38
H01Q9/04
H01Q1/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015294
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004244
【氏名又は名称】弁理士法人仲野・川井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100096655
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100091225
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 均
(72)【発明者】
【氏名】蘇武 昌弘
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA05
5J046AA06
5J046AA09
5J046AB06
5J046AB07
5J046PA07
(57)【要約】
【課題】メイン基板に対して垂直な偏波のアンテナを容易に得る。
【解決手段】アンテナ基板20は、表面に逆Fアンテナ21が形成され、メイン基板10を差込む切込部25が形成されている。メイン基板10をアンテナ基板20と直交状態にして切込部25に挿入することで、メイン基板10に対する垂直な偏波のアンテナ装置1を形成することができる。このように、メイン基板10がアンテナ基板20に組込まれることで、組立が簡単で、かつ外れにくいアンテナ装置1を得ることができる。メイン基板10にはその表面上に給電線12が形成されていて、切込部25に差込んだ状態で逆Fアンテナ21の給電部21cと電気的に接続される。メイン基板10を切込部25に挿入した状態で、両者をハンダ30で固定することで、電気的な接続を確実にすると共に、両基板同士の堅牢性を高めることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン基板面にアンテナ用の給電ラインが形成されたメイン基板と、
アンテナ基板面にアンテナが形成されたアンテナ基板と、
を有し、
前記メイン基板と前記アンテナ基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入される切込部が形成され、
前記切込部が形成された基板の前記切込部に他方の基板が挿入されることで、前記アンテナと前記給電ラインが接続し、前記メイン基板に対して垂直に前記アンテナ基板が固定されている、
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ基板には、少なくとも前記アンテナが形成されている面にグランドが形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記メイン基板と前記アンテナ基板とは、少なくとも前記アンテナと前記給電ラインがハンダ付けにより、又は導電性接着剤により固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記アンテナ基板には、少なくとも前記アンテナが形成されている面にグランドが形成され、
前記メイン基板には、前記アンテナ基板に形成された前記グランドと接続する金属部が形成され、
前記メイン基板と前記アンテナ基板とは、前記アンテナと前記給電ライン、及び、前記グランドと前記金属部が、ハンダ付けにより、又は導電性接着剤により、固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記切込部は、当該切込みによる開放端側よりも、内側の方が狭くなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記メイン基板と前記アンテナ基板のうちの、前記切込部が挿入される側の基板には、当該切込部が挿入される溝が形成され、
前記切込部の幅は、前記溝における底部の厚さに形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記切込部は、前記アンテナ基板だけに形成され、
前記メイン基板の給電ラインの先端部分は、前記アンテナ基板の前記切込部の挿入点を中心とする円弧形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記アンテナ基板には、アンテナとして、線状又は板状の、逆Fアンテナ、逆Lアンテナ、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、並列共振逆Fアンテナ、又は、並列共振逆Lアンテナ、が形成されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1の請求項に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
メイン基板面にアンテナ用の給電ラインが形成されたメイン基板に対して直交する状態に配設されるアンテナ基板であって、
基板主部と、
前記基板主部のアンテナ基板面に形成されたアンテナと、
前記基板主部における外周の所定位置を起点として、アンテナが給電ラインと接続する点に向けて形成された、前記メイン基板が挿入される切込部と、
を有することを特徴とするアンテナ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置、及びアンテナ基板に係り、メイン基板に対して垂直な偏波を実現するアンテナ装置、及びアンテナ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンをはじめとして家電の制御や監視などの各分野において、無線通信用のアンテナを備えた無線機器が幅広く使用されている。
このアンテナは、メイン基板にアンテナパターンを描くことで形成することができるが、この場合メイン基板に対して水平な偏波のアンテナしか実現できないため、無線機器の配置や向きによっては、使用することができない。
メイン基板に対して垂直な偏波を実現しようとする場合、板金アンテナ等になるためコストがかかるという問題がある。
一方、特許文献1では、メイン基板に対して、アンテナパターンを形成したアンテナ基板を回路基板に垂直に配設することで、回路基板に対して垂直な偏波を実現する技術が提案されている。
【0003】
しかし、特許文献1記載技術のアンテナでは、回路基板に対して垂直に立ち上げたアンテナ基板を、L型金具で固定しているため、強度が弱いという問題がある。
また、アンテナ基板の固定をL型金具で固定しているため、L型金具の大きさによってはアンテナ特性に影響を与えてしまい、影響を小さくするために小さいL型金具を使用すると強度が低下してしまうという問題がある。
また、アンテナ基板を回路基板に固定するための工数が多くなるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、メイン基板に対して垂直な偏波のアンテナを容易に得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、メイン基板面にアンテナ用の給電ラインが形成されたメイン基板と、アンテナ基板面に線状アンテナが形成されたアンテナ基板と、を有し、前記メイン基板と前記アンテナ基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入される切込部が形成され、前記切込部が形成された基板の前記切込部に他方の基板が挿入されることで、前記線状アンテナと前記給電ラインが接続し、前記メイン基板に対して垂直に前記アンテナ基板が固定されている、ことを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、メイン基板とアンテナ基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入される切込部が形成され、切込部が形成された基板の切込部に他方の基板が挿入されるので、メイン基板に対して垂直な偏波のアンテナを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】アンテナ装置を構成するメイン基板とアンテナ基板の斜視図である。
【
図2】メイン基板とアンテナ基板の組立状態と、アンテナ装置の斜視図である。
【
図3】第2実施形態におけるメイン基板とアンテナ基板の斜視図である。
【
図4】第3実施形態におけるメイン基板とアンテナ基板の斜視図である。
【
図5】第4実施形態におけるメイン基板とアンテナ装置の斜視図である。
【
図6】第5実施形態におけるメイン基板とアンテナ基板の斜視図である。
【
図7】第6実施形態におけるメイン基板とアンテナ基板の組立状態と、アンテナ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のアンテナ装置における好適な実施の形態について、
図1から
図7を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態のアンテナ装置1は、
図1に示すように、メイン基板10と、逆Fアンテナ21が形成されたアンテナ基板20を備えている。
アンテナ基板20は、基板(基板主部)の表面(アンテナ基板面)に逆Fアンテナ21が形成されると共に、メイン基板10を差込むための切込部25が形成されている。
メイン基板10とアンテナ基板20を直交状態にして、メイン基板10をアンテナ基板20の切込部25に挿入することで、メイン基板10に対する垂直な偏波のアンテナ装置1(
図2(b)参照)を形成することができる。このように、メイン基板10がアンテナ基板20に垂直に組込まれることで、組立が簡単で、かつ外れにくいアンテナ装置1を得ることができる。
メイン基板10にはその表面(メイン基板面)上に給電線12が形成されていて、切込部25に差込んだ状態で逆Fアンテナ21の給電部21cと電気的に接続されるようになっている。
メイン基板10をアンテナ基板20の切込部25に挿入した状態で、両者をハンダ30で固定することで、電気的な接続を確実にすると共に、両基板同士の堅牢性を高めることができる。
この切込部25にメイン基板10を挿入することで、メイン基板10に対して垂直な偏波のアンテナを容易に形成することができる。
【0010】
(2)実施形態の詳細
図1は、第1実施形態におけるアンテナ装置1を構成するメイン基板10とアンテナ基板20の斜視図である。
図1(b)に示すように、アンテナ基板20は、方形に形成された基板の一方の面に逆Fアンテナ21、グランド(GND)23、24が金属箔により形成されている。アンテナ基板20はその表面に逆Fアンテナ21やグランド23、24が形成されている。
アンテナ基板20は、例えば、2.4GHzのWi-Fi用のアンテナであれば、約3cm×5cmの方形に形成される。
なお、本図では、メイン基板10やアンテナ基板20の表面に形成された金属箔部分を塗りつぶすことで、他の部分と区別している(他の図面も同じ)。
【0011】
アンテナ基板20には、切込部25が長手方向に、長さ全体の途中まで形成されている。この切込部25は、後述するように、メイン基板10が挿入されるための切込みであるため、メイン基板の厚さと同じ幅に形成されている。
但し、切込部25の幅には、メイン基板10を挿入する際の遊びを設けるようにしてもよく、逆に圧入するように形成してもよい。また、切込みによる開放端側より奥側が僅かに狭くなる、「く」字状に形成することで、しっかりと固定することができる。
【0012】
アンテナ基板20には、切込部25の形成位置を基準として、逆Fアンテナ21、グランド23、24が形成されている。
逆Fアンテナ21は、アンテナ主部21a、短絡部21b、給電部21cを有している。アンテナ主部21aは、切込部25の切込方向と平行に形成され、短絡部21bは、アンテナ主部21aの一方の端部から直交方向にグランド24に接続するまで延設して形成され、給電部21cは、アンテナ主部21aの途中から短絡部21bと平行に切込部25まで延設して形成されている。
【0013】
グランド23は、切込部25の逆Fアンテナ21側から、アンテナ主部21aと給電部21cよりも手前側まで形成されている。
グランド24は、切込部25のグランド23の反対側から、切込部25の切込先端部(奥側)を回り込み給電部21cの手前まで形成されている。
逆Fアンテナ21は、給電部21cがグランド23とグランド24の間を通って切込部25まで形成され、短絡部21bがグランド24と接続する位置まで(一体に)形成されている。
【0014】
なお、本実施形態では、アンテナ基板20における逆Fアンテナ21が形成されている側の面にグランド23、グランド24が形成されているが、アンテナ基板20の両面に形成することも可能である。
また、アンテナ基板20の両面に逆Fアンテナ21、グランド23、グランド24を形成することも可能である。
更にアンテナ基板20の両面を使用して1つのアンテナを形成することも可能である。
以上の変形については、本実施形態だけでなく他の実施形態や変形例に対しても適応することが可能である(他の変形についても同じ)。
【0015】
メイン基板10には、
図1(a)に示すように、無線IC11、給電線12、挿入目印13、金属部14、15、その他の配線や回路等が配設されている。
無線IC11は、無線通信用のRF(Radio Frequency)回路を有する集積回路である。
メイン基板10には、無線IC11のRF回路と接続する給電線12が形成され、その先端が逆Fアンテナ21用の給電点となっている。即ち、給電線12の先端は、メイン基板10をアンテナ基板20の切込部25に挿入することで、逆Fアンテナ21の給電部21cと接続する位置に形成されている。
【0016】
挿入目印13は、メイン基板10をアンテナ基板20に挿入する際の目印である。本実施形態の挿入目印13は、メイン基板10の側面に形成されているが、給電線12が形成されている面上に形成するようにしてもよい。
【0017】
金属部14、15は、挿入目印13の位置(端部)から、アンテナ基板20への挿入方向に延びて形成された金属部分である。
メイン基板10は、銅板の表面にレジストが形成されていて、レジストの一部を剥がした部分が金属部14、15として形成されている。なお、給電線12と併せて金属パターンで金属部14、15を形成することもできる。
金属部14は、グランド23と同じ長さに形成されている。この金属部14に対して、グランド23とグランド24との間隔と同じ間隔をおいて金属部15が形成されている。
【0018】
金属部14、15は、その幅がアンテナ基板20の厚さ以上の幅であり、長手方向で給電線12と反対側の側面が、挿入目印13の位置となるように形成されている。
これにより、メイン基板10をアンテナ基板20の切込部25に挿入した際に、金属部14、15の一部の上にアンテナ基板20の切込部25が乗り、残りの部分がグランド23、グランド24の端部と接触した状態でアンテナ基板20の横方向(直交する方向)に配設されることになる。これにより、後述するようにハンダ30による固定が可能になる。
【0019】
なお、メイン基板10上に形成された金属部14、15を目印として、金属部14、15に沿って切込部25に挿入することができるので、挿入目印13の形成を省略することも可能である。
但し後述するように、金属部14、15を形成せず、ハンダ30による補強をしない場合には挿入目印13を形成することが好ましいが、給電線12の先端部の給電点を目印に挿入することが可能であるため、この場合にも挿入目印13の形成を省略してもよい。
【0020】
このように形成されたメイン基板10とアンテナ基板20を用いたアンテナ装置1について説明する。
図2は、メイン基板10の挿入方向(同図(a))と、完成後のアンテナ装置1の斜視図(同図(b))を表したものでさる。
図2(a)に示すように、メイン基板10の回路が形成されている面と、アンテナ基板20に逆Fアンテナ21が形成されている面とが直交する向きにし、メイン基板10を矢印Aで示すように、アンテナ基板20の切込部25に挿入する。メイン基板10の挿入は、挿入目印13の位置で、切込部25に挿入されるようにする。
メイン基板10を切込部25に挿入することで、
図2(b)に示すように、メイン基板10に形成された給電線12の先端部(給電点)と、アンテナ基板20に形成された逆Fアンテナ21の給電部21cとが接続される。また、メイン基板10の金属部14がアンテナ基板20のグランド23と接続され、金属部15がグランド24と接続される。
【0021】
その後、給電線12の先端部(給電点)と給電部21cとの接続部分、金属部14とグランド23の接続部分、及び、金属部15とグランド24との接続部分を、ハンダ30で接続する。
ハンダ30の接続により、各接続部分を電気的に確実に接続すると共に、メイン基板10とアンテナ基板20とを確実に固定すると共に、堅牢性を確保することができる。
【0022】
以上説明したように、本実施形態のアンテナ装置1では、アンテナ基板20の端部から内側方向、逆Fアンテナ21の給電部21cの先端部に向けて、当該先端部を通る所定幅(メイン基板10の厚さの幅)の切込部25を形成している。そして、メイン基板10を、挿入目印13の位置で切込部25に挿入することで、
図2(b)に示すように、メイン基板10に対してアンテナ基板20を垂直方向に容易に固定することができる。
そして、メイン基板10とアンテナ基板20とをハンダ30で接続することで、電気的、機械的な接続強度を高めることができる。
また、メイン基板10を挿入目印13の位置で挿入することで、逆Fアンテナ21の給電部21cがメイン基板10の給電点(給電線12の先端)と接続され、
図2(b)の両矢印で示すように、メイン基板10に対して垂直な偏波の逆Fアンテナ21を容易に提供することができる。
また、逆Fアンテナ21としてパターンアンテナを使用するので、板金アンテナに対して安価なアンテナ装置1を提供することができる。
【0023】
次に第2実施形態のアンテナ装置1について説明する。
説明した第1実施形態では、メイン基板10とアンテナ基板20のうち、アンテナ基板20にだけ切込部25を形成する場合について説明した。
これに対して第2実施形態のアンテナ装置では、メイン基板10とアンテナ基板20の双方に切込部を設けて、両者の切込部同士を挿入するようにしたものである。
図3は、第2実施形態におけるメイン基板10(同図(a))と、アンテナ基板20(同図(b))を表したものである。
なお、第2実施形態についての以下の説明では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明することとし、同様に形成される部分については適宜その説明を省略する(他の実施形態も同じ)。
【0024】
図3(b)に示すように、第2実施形態のアンテナ基板20には、第1実施形態と同様に、一方の面に逆Fアンテナ21、グランド23、24が形成されると共に、切込部26が形成されている。
本実施形態の切込部26は、開放端の位置は第1実施形態と同じ位置で、同じ幅で形成されているが、切込みの長さが第1実施形態よりも短く、逆Fアンテナ21の給電部21cよりも手前までで、グランド23の長さよりも短く形成されている。
切込部26は、逆Fアンテナ21の給電部21cよりも手前まで形成されているので、本実施形態の給電部21cは、メイン基板10の給電点と確実に接触させるため、切込部26の両側面を延長した仮想線の間まで、形成されている。
【0025】
メイン基板10は、
図3(a)に示すように、第1実施形態で説明した挿入目印13の位置に、切込部16が形成されている。本実施形態では、切込部16が挿入位置となるため、挿入目印13は存在しない。
第2実施形態の金属部14と金属部15は、第1実施形態における金属部14、15のうち、切込部16が重複しない部分に形成されている。
【0026】
ここでアンテナ基板20の切込部26とメイン基板10の切込部16の長さについて説明する。
いま第1実施形態における、アンテナ基板20の長さ(切込部25の長手方向の長さ)をL0、切込部25の長さをL1、第2実施形態における切込部16の長さをL2、切込部26の長さをL3として説明する。
第2実施形態における切込部16の長さL2と切込部26の長さL3は、両者を加算した長さ(=L2+L3)が、第1実施形態の切込部25(L1)と同じ長さに形成される。
すなわち、切込部16の長さL2は、0<L2<L1の範囲で形成され、切込部26の長さL3は、L3=L1-L2に形成される。
【0027】
図3に示したメイン基板10とアンテナ基板20を、
図2(a)での説明と同様に、互いに直交する向きにし、切込部16と切込部26とを嵌め合わせた後、逆Fアンテナ21の給電部21cと給電線12の先端、グランド23と金属部14、グランド24と金属部15のそれぞれをハンダ30で固定する。
これにより、
図2(b)で説明した第1実施形態と同様に、アンテナ装置1を形成することができる。
本実施形態によれば、アンテナ基板20だけでなく、メイン基板10とアンテナ基板20の両方に切込部16、26を形成しているので、より安定的に固定されたアンテナ装置1を得ることができる。
【0028】
第1実施形態及び第2実施形態では、切込部25の長さL1、切込部16と切込部26の長さ合計(L2+L3)が、メイン基板10の全長L0よりも短く形成している。
このため、メイン基板10とアンテナ基板20とを組込んだ状態でアンテナ装置1は、
図2(b)に示すように、アンテナ基板20の一部(アンテナ主部21aの長手方向の短絡部側の端部)が、メイン基板10からはみ出した形状となる。
そこで、第2実施形態の変形例として、切込部16の長さL2(>0)と切込部26の長さL3(>0)を併せた長さ(L2+L3)を、メイン基板10の全長L0と同じ長さ(L2+L3=L0)に形成することで、アンテナ基板20がメイン基板10からはみ出ない形状のアンテナ装置1とすることができる。
【0029】
なお、メイン基板10の切込部16の長さL2を、第1実施形態における切込部25の長さL1と同じ長さにすることで、アンテナ基板20には切込みを設けないようにすることも可能である。
さらに、長さL2(>0)と長さL3(>0)の合計(L2+L3)を、メイン基板10の全長L0よりも長く(L2+L3>L0)形成することも可能である。
これにより、メイン基板10上に立設するアンテナ基板20を、よりメイン基板10の中央よりに配置することができる。
【0030】
次に第3実施形態のアンテナ装置1について説明する。
説明した第1実施形態では、メイン基板10の厚さとほぼ等しい幅の切込部25がアンテナ基板20に形成されている。そしてメイン基板10における、切込部25に挿入される部分の厚さは、給電線12や金属部14、15の形成による僅かな厚さの差が存在するだけで、何も形成や配設がされていない箇所とほぼ同じ厚さになっている。
これに対して、第3実施形態では、メイン基板10における、アンテナ基板20の切込部に挿入する部分に、溝17を設けている。
【0031】
図4は、第3実施形態におけるメイン基板10(同図(a))と、アンテナ基板20(同図(b))を表したものである。
本実施形態のメイン基板10は、
図4(a)に示されるように、アンテナ基板20に挿入される部分に、アンテナ基板20の厚さと同じ幅の溝17が形成され、この溝17に沿って金属部14、15が形成されている。
また、給電線12の先端部は、溝17まで形成されている。なお、給電線12の先端部は、溝17の内側側面まで延設するようにしてもよい。
溝17の深さMは、メイン基板10の厚さをM10とした場合、0<M<M10の範囲であるが、深さMが大きすぎると(溝17の底部分の厚さが薄すぎると)、アンテナ基板20に挿入して組合わせた後の強度が低下することになる。このため、溝17の深さMは、アンテナ基板20の厚さをM20とした場合、M<(2/3)M20であることが好ましく、M<(1/2)M20であればより好ましい。
本実施形態では、溝17の深さM=(1/2)M20に形成されている。
【0032】
アンテナ基板20は、
図4(b)に示すように、切込部27が形成されている。この切込部27が挿入する際の目印になるので、挿入目印13は形成されていない。それ以外の部分については第1実施形態と同様な構成になっている。
本実施形態の切込部27は、第1実施形態における切込部25と比べて、切込みの幅が狭く形成されている。切込部27の切込み幅は、メイン基板10に形成した溝17の底部分の厚さ(=M10-M)である。
【0033】
図4に示したメイン基板10とアンテナ基板20を、
図2(a)での説明と同様に、互いに直交する向きにして、溝17に沿ってメイン基板10をアンテナ基板20の切込部27に挿入した後、逆Fアンテナ21の給電部21cと給電線12の先端、グランド23と金属部14、グランド24と金属部15のそれぞれをハンダ30で固定する。
以上により、
図2(b)で説明した第1実施形態と同様に、アンテナ装置1を形成することができる。
本実施形態によれば、溝17に沿ってメイン基板10を、アンテナ基板20の切込部27に挿入するので、アンテナ基板20の位置決めや挿入が容易になると共に、挿入後のアンテナ基板20をより強固に固定することができる。
【0034】
次に第4実施形態のアンテナ装置1について説明する。
説明した第1実施形態~第3実施形態では、アンテナ基板20にだけグランド23、24を形成する場合について説明した。
これに対して第4実施形態では、メイン基板10側にもグランド23、グランド24と接続されるグランドを設けている。
【0035】
図5は、第4実施形態におけるメイン基板10(同図(a))と、アンテナ装置1(同図(b))の斜視図である。
第4実施形態では、
図5に示すように、メイン基板10にグランド18と、グランド19が形成されている。グランド18とグランド19とは連接して形成されている。
本実施形態では、このグランド18とアンテナ基板20のグランド23、グランド19とグランド24、給電部21cと給電線12の先端が、ハンダ30により固定される。このため、第1実施形態における金属部14、15は存在しない。
他の部分については第1実施形態で説明したメイン基板10、アンテナ基板20と同じである。
【0036】
本実施形態では、
図5(b)に示すように、アンテナ基板20に形成した逆Fアンテナ21の下側のメイン基板10にグランド18、19を形成することで、メイン基板10の下側(逆Fアンテナ21が存在する側の反対側)に配設される物体の影響を受けにくくなり、アンテナ特性を確保することができる。
なお、第2、第3実施形態におけるメイン基板10にも、本実施形態と同様にグランド18、19を形成することが可能である。
【0037】
次に第5実施形態のアンテナ装置1について説明する。
説明した各実施形態では、メイン基板10に対するアンテナ基板20を挿入する位置や向きが決められている。すなわち、各実施形態では、メイン基板10における挿入目印13が形成された側面に対して、直交する方向にアンテナ基板20が挿入される場合について説明した。
これに対して第5実施形態では、挿入位置は他の実施形態と同様に決められているが、挿入する向き(角度)を自由に選択することができるようにしたものである。
【0038】
図6は、第5実施形態におけるメイン基板10(同図(a))と、アンテナ基板20(同図(b))の斜視図である。
図6(b)に示すようにアンテナ基板20は、
図1(b)で説明した第1実施形態のアンテナ基板20と同じである。
これに対して本実施形態のメイン基板10は、
図6(a)に示すように、給電線12の先端部分12b、金属部14b、金属部15bが、挿入点(挿入目印13の上側の点)を中心とする同心円上の円弧形状に形成されている。
円弧形状に形成された金属部14bの幅はアンテナ基板20のグランド23の長さと同じであり、給電線12の先端部分12bの幅は給電部21cの幅と同じである。また、金属部15bの幅は、グランド24の逆Fアンテナ21側で切込部25と対向している部分の長さと同じである。
給電線12の先端部分12bに接続するまでの部分については、メイン基板10の側面に沿って(又は側面近傍に沿って)形成されることで、金属部14bとの接続を回避している。
【0039】
このように第5実施形態のアンテナ装置1では、メイン基板10における金属部14b等を円弧形状に形成したので、アンテナ基板20を挿入目印13の位置から、金属部14bにおける円弧の一端側P1に向けて挿入した位置から、金属部14bの他端側P2に向けて挿入した位置までの、任意の位置および、挿入目印13が形成された側面に対する任意の角度に、アンテナ基板20を配置することができる。即ち、挿入目印13が形成されている側面に対する任意の角度(一端側P1から他端側P2までの任意の角度)に、アンテナ基板20を配置することができる。
このため、アンテナ装置1をスマートフォン、タブレット等の各種携帯端末に配置する際の自由度を高めることができる。
また、第5実施形態のアンテナ装置1によれば、金属部14bが広範囲に配設されているので、第4実施形態におけるグランド18と同様に機能することで、メイン基板10の下側(逆Fアンテナ21が存在する側の反対側)に配設される物体の影響を受けにくくなり、アンテナ特性を確保することができる。
なお、第5実施形態では、金属部15bの先端部分(同心円の中心)がアンテナ基板20の切込部25に挿入する際の目印となるので、挿入目印13の形成を省略することも可能である。
【0040】
次に第6実施形態のアンテナ装置1について説明する。
説明した各実施形態では、アンテナ基板20に線状逆Fアンテナ21を形成した場合について説明した。
これに対して、第6実施形態のアンテナ装置1では、アンテナ基板20に板状逆Fアンテナ210を形成したものである。
図7は、第6実施形態におけるメイン基板10とアンテナ基板20の組立状態(
図7(a))と、アンテナ装置1の斜視図(同(b))である。
【0041】
図7に示すように、本実施形態では、アンテナ基板20の一方の面側に板状逆Fアンテナ210を形成したものである。
なお、アンテナ基板20における、板状逆Fアンテナ210以外の構成(切込部25~27、グランド23、24等)については、他の実施形態や変形例と同様の構成になっている。また、メイン基板10についても、第6実施形態におけるアンテナ基板20の切込部25~27の形状に対応する他の実施形態、変形例と同様に構成されている。
【0042】
アンテナ基板20に形成された板状逆Fアンテナ210は、アンテナ主部211a、短絡部211b、給電部211cを有している。
アンテナ主部211aは、線状の逆Fアンテナ21のアンテナ主部21aに比べて、幅広く板状に形成されている。
他の実施形態等と同様に、短絡部211bはアンテナ主部211aの端部からグランド24に接続するまで延設して形成され、給電部21cはアンテナ主部211aの途中から切込部25まで延設して形成されている。
【0043】
第6実施形態のアンテナ装置1は、他の実施形態等と同様にして、アンテナ基板20の切込部25にメイン基板10を矢印A方向に挿入することで、メイン基板10に対して垂直にアンテナ基板20が固定される。
これにより、メイン基板10に対して垂直な偏波の板状逆Fアンテナ210を容易に提供することができる。
【0044】
以上説明した各実施形態及び変形例では、ハンダ30でメイン基板10とアンテナ基板20を電気的、機械的に接続する場合について説明したが、給電線12と給電部21cを接続するハンダ以外のハンダ30による固定を省略することでより簡単にアンテナ装置1を形成することができる。
この場合、メイン基板10とアンテナ基板20の組込みによる堅牢性を確保するために、メイン基板10とアンテナ基板20に形成する切込部の幅を、挿入される基板の厚さよりも僅かに狭い圧入可能な厚さにすることも可能である。
また、切込部の幅を同じにするのではなく、開放端側よりも切込みの終端部(基板内部側)の幅が僅かに狭い、「く」字型にすることで、両基板10、20を組込む際の挿入が容易で、かつ確実に固定することができる。
【0045】
説明した各実施形態では、メイン基板10とアンテナ基板20における、給電線12の先端部と給電部21c、金属部14とグランド23、金属部15とグランド24をハンダ30で固定する場合について説明したが、ハンダ30に代えて導電性接着剤により固定するようにしてもよい。
【0046】
また、説明した実施形態では、アンテナ基板20に形成するアンテナとして逆Fアンテナ21を例に説明したが、このアンテナに限定されるものではなく、逆Lアンテナ、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ等の各種線状アンテナを形成することも可能である。
また、並列共振逆Fアンテナ、並列共振逆Lアンテナを形成することも可能である。
さらに、第6実施形態では、アンテナ基板20に板状逆Fアンテナを形成する場合について説明したが、板状逆Lアンテナ等の他形状の板状アンテナを形成することも可能である。
【0047】
また説明した実施形態では、逆Fアンテナ21(線状アンテナ)を、アンテナ基板20の一方の面に形成する場合について説明したが両面に形成するようにしてもよい。
この場合、同一形式の線状アンテナを両面に形成しても、両面で異なる線状アンテナを形成することもできる。両面で異なる線状アンテナを形成する場合、無線IC11と給電線12を2系統とし、各々のアンテナを別に動作させてもよい。
【0048】
更に、強度を向上させるためにメイン基板10の金属部14、15の幅をアンテナ基板20よりも大きくして反対側にも出すとともに、アンテナ基板20のグランド23、24を基板の反対側にも設け、アンテナ基板20の両面でハンダ付けをしてもよい。
【0049】
説明した第3実施形態のアンテナ装置1では、アンテナ基板20にだけ切込部27を形成し、メイン基板10に溝17を形成する場合について説明したが、第2実施形態のメイン基板10とアンテナ基板20に対して、第3実施形態の溝を形成する例を適用することも可能である。
この場合、第2実施形態で説明したメイン基板10の切込部16とアンテナ基板20の切込部26は、第3実施形態で説明した切込部27と同様に、切込みの幅を溝の深さ分だけ狭く形成する。
また、メイン基板10の切込部16の延長線上、及び、アンテナ基板20の切込部26の延長線上に、第3実施形態の溝17と同様の溝を形成する。
【0050】
以上、第1から第5実施形態および各種変形例について説明したが、各実施形態や変形例に対応して、アンテナ装置1やメイン基板10、アンテナ基板20を次のように構成することも可能である。
(1)構成1
メイン基板面にアンテナ用の給電ラインが形成されたメイン基板と、アンテナ基板面にアンテナが形成されたアンテナ基板と、を有し、前記メイン基板と前記アンテナ基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入される切込部が形成され、前記切込部が形成された基板の前記切込部に他方の基板が挿入されることで、前記アンテナと前記給電ラインが接続し、前記メイン基板に対して垂直に前記アンテナ基板が固定されている、ことを特徴とするアンテナ装置。
(2)構成2
前記アンテナ基板には、少なくとも前記アンテナが形成されている面にグランドが形成されている、ことを特徴とする構成1に記載のアンテナ装置。
(3)構成3
前記メイン基板と前記アンテナ基板とは、少なくとも前記アンテナと前記給電ラインがハンダ付けにより、又は導電性接着剤により固定されている、ことを特徴とする構成1又は構成2に記載のアンテナ装置。
(4)構成4
前記アンテナ基板には、少なくとも前記アンテナが形成されている面にグランドが形成され、前記メイン基板には、前記アンテナ基板に形成された前記グランドと接続する金属部が形成され、前記メイン基板と前記アンテナ基板とは、前記アンテナと前記給電ライン、及び、前記グランドと前記金属部が、ハンダ付けにより、又は導電性接着剤により、固定されている、ことを特徴とする構成1に記載のアンテナ装置。
(5)構成5
前記切込部は、当該切込みによる開放端側よりも、内側の方が狭くなるように形成されている、ことを特徴とする構成1から構成4のうちのいずれか1の構成に記載のアンテナ装置。
(6)構成6
前記メイン基板と前記アンテナ基板のうちの、前記切込部が挿入される側の基板には、当該切込部が挿入される溝が形成され、前記切込部の幅は、前記溝における底部の厚さに形成されている、ことを特徴とする構成1から構成5のうちのいずれか1の構成に記載のアンテナ装置。
(7)構成7
前記切込部は、前記アンテナ基板だけに形成され、前記メイン基板の給電ラインの先端部分は、前記アンテナ基板の前記切込部の挿入点を中心とする円弧形状に形成されている、ことを特徴とする構成1に記載のアンテナ装置。
(8)構成8
前記アンテナ基板には、アンテナとして、逆Fアンテナ、逆Lアンテナ、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、並列共振逆Fアンテナ、又は、並列共振逆Lアンテナ、が形成されている、ことを特徴とする構成1から構成7のうちのいずれか1の構成に記載のアンテナ装置。
(9)構成9
メイン基板面にアンテナ用の給電ラインが形成されたメイン基板に対して直交する状態に配設されるアンテナ基板であって、基板主部と、前記基板主部のアンテナ基板面に形成されたアンテナと、前記基板主部における外周の所定位置を起点として、アンテナが給電ラインと接続する点に向けて形成された、前記アンテナ基板が挿入される切込部と、を有することを特徴とするアンテナ基板。
【符号の説明】
【0051】
1 アンテナ装置
10 メイン基板
11 無線IC
12 給電線
12b 先端部分
13 挿入目印
14、15 金属部
14b、15b 金属部
16 切込部
17 溝
18 グランド
19 グランド
20 アンテナ基板
21 逆Fアンテナ
21a アンテナ主部
21b 短絡部
21c 給電部
23 グランド
24 グランド
25~27 切込部
30 ハンダ