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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110623
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】クランプ及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/32 20060101AFI20240808BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20240808BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20240808BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20240808BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H02G3/32
H02G3/30
H01B7/00 301
F16B2/08 S
B60R16/02 623H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015316
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山内 浩揮
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 克俊
【テーマコード(参考)】
3J022
5G309
5G363
【Fターム(参考)】
3J022DA15
3J022EA42
3J022EC14
3J022EC17
3J022EC22
3J022FA05
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA16
3J022GB43
3J022GB45
3J022GB56
5G309AA09
5G363AA07
5G363AA12
5G363BA02
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】電線部材を好適に保持することを可能にしたクランプ及びワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】クランプ11は、電線20を含む電線部材12を保持する第1筒状部材40と、第1筒状部材40の外周を覆う第2筒状部材50と、第2筒状部材50を車両に固定する固定部材と、第1筒状部材40を第2筒状部材50に支持する支持部材70とを備える。第2筒状部材50は、第1筒状部材40と離間して配置される。固定部材は、第2筒状部材50に設けられる。支持部材70は、第1筒状部材40と第2筒状部材50との間に設けられる。支持部材70は、第1筒状部材40の軸線が第2筒状部材50の軸線に対して傾斜するように第1筒状部材40を変位可能に支持する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を含む電線部材を保持する第1筒状部材と、
前記第1筒状部材と離間して配置され、前記第1筒状部材の外周を覆う第2筒状部材と、
前記第2筒状部材に設けられ、前記第2筒状部材を車両に固定する固定部材と、
前記第1筒状部材と前記第2筒状部材との間に設けられ、前記第1筒状部材を前記第2筒状部材に支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記第1筒状部材の軸線が前記第2筒状部材の軸線に対して傾斜するように前記第1筒状部材を変位可能に支持する、
クランプ。
【請求項2】
前記第2筒状部材は、第2外周壁と、前記第2外周壁の前記第1筒状部材との間に配置される第2内周壁とを有し、
前記第2外周壁に前記固定部材が接続され、
前記第2内周壁に前記支持部材が接続され、
前記第1筒状部材、前記支持部材、及び前記第2内周壁は、前記第2外周壁、及び前記固定部材よりも弾性変形し易い材料により構成される、
請求項1に記載のクランプ。
【請求項3】
前記第1筒状部材、前記支持部材、及び前記第2内周壁は、ゴム系材料により構成され、
前記第2外周壁、及び前記固定部材は、樹脂系材料により構成される、
請求項2に記載のクランプ。
【請求項4】
前記第1筒状部材、前記支持部材、及び前記第2内周壁は、ゴム系材料の一体成形品である、
請求項3に記載のクランプ。
【請求項5】
前記第2外周壁と前記第2内周壁とは、凹凸の関係で組み付けられている、
請求項2に記載のクランプ。
【請求項6】
前記第1筒状部材は、前記第1筒状部材の軸線方向における両開口端である第1開口端及び第2開口端を有し、前記支持部材は、前記第1開口端及び前記第2開口端よりも中央側に配置される、
請求項1に記載のクランプ。
【請求項7】
前記支持部材は、前記第1開口端と前記第2開口端のいずれか一方の開口端に近い位置に配置される、
請求項6に記載のクランプ。
【請求項8】
前記支持部材の形状は、前記第1筒状部材と前記第2筒状部材との周方向に沿った環状である、
請求項1に記載のクランプ。
【請求項9】
請求項1に記載のクランプと、前記クランプの前記第1筒状部材に保持される前記電線部材とを有する、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電線と、電線を車両に対して固定するクランプとを備えたワイヤハーネスが記載されている。クランプは、電線を保持する筒状部材と、筒状部材を車両に対して固定する固定部材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-53804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなクランプの筒状部材から外方に延びる電線部材が揺動した場合、例えば、筒状部材を要因として電線部材に負荷がかかる場合がある。このようにクランプの筒状部材を要因として電線部材にかかる負荷を軽減することで、電線部材を好適に保持することが望まれている。
【0005】
本開示の目的は、電線部材を好適に保持することを可能にしたクランプ及びワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のクランプは、電線を含む電線部材を保持する第1筒状部材と、前記第1筒状部材と離間して配置され、前記第1筒状部材の外周を覆う第2筒状部材と、前記第2筒状部材に設けられ、前記第2筒状部材を車両に固定する固定部材と、前記第1筒状部材と前記第2筒状部材との間に設けられ、前記第1筒状部材を前記第2筒状部材に支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記第1筒状部材の軸線が前記第2筒状部材の軸線に対して傾斜するように前記第1筒状部材を変位可能に支持する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のクランプ及びワイヤハーネスは、電線部材を好適に保持することが可能となる効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、ワイヤハーネスの使用状態の一例を示す概略平面図である。
図2図2は、一実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。
図3図3は、図2の3-3線に沿った断面図である。
図4図4は、図2の4-4線に沿った断面図である。
図5図5は、クランプの作用を説明する概略図である。
図6図6は、クランプの作用を説明する概略図である。
図7図7は、第1の変更例のワイヤハーネスを示す断面図である。
図8図8は、第2の変更例のワイヤハーネスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示のクランプは、電線を含む電線部材を保持する第1筒状部材と、前記第1筒状部材と離間して配置され、前記第1筒状部材の外周を覆う第2筒状部材と、前記第2筒状部材に設けられ、前記第2筒状部材を車両に固定する固定部材と、前記第1筒状部材と前記第2筒状部材との間に設けられ、前記第1筒状部材を前記第2筒状部材に支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記第1筒状部材の軸線が前記第2筒状部材の軸線に対して傾斜するように前記第1筒状部材を変位可能に支持する。
【0010】
この構成によれば、第1筒状部材の外方に延びる電線部材が揺動した場合、第1筒状部材は、電線部材に追従するように変位する。これにより、第1筒状部材を要因として電線部材にかかる負荷を軽減することが可能となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記第2筒状部材は、第2外周壁と、前記第2外周壁の前記第1筒状部材との間に配置される第2内周壁とを有し、前記第2外周壁に前記固定部材が接続され、前記第2内周壁に前記支持部材が接続され、前記第1筒状部材、前記支持部材、及び前記第2内周壁は、前記第2外周壁、及び前記固定部材よりも弾性変形し易い材料により構成されてもよい。この構成によれば、例えば、第1筒状部材、支持部材、及び第2内周壁の弾性変形により、電線部材の揺動に対する第1筒状部材の追従性を高めることができる。従って、第1筒状部材を要因として電線部材にかかる負荷をより軽減することが可能となる。
【0012】
[3]上記[2]において、前記第1筒状部材、前記支持部材、及び前記第2内周壁は、ゴム系材料により構成され、前記第2外周壁、及び前記固定部材は、樹脂系材料により構成されてもよい。
【0013】
上記のように、第1筒状部材、支持部材、及び第2内周壁をゴム系材料により構成することで、例えば、電線部材の振動が吸収され易くなる。また、例えば、電線部材の揺動が減衰され易くなる。上記のように、第2外周壁、及び固定部材を樹脂系材料により構成することで、例えば、第2外周壁、及び固定部材の強度を容易に確保することができる。
【0014】
[4]上記[3]において、前記第1筒状部材、前記支持部材、及び前記第2内周壁は、ゴム系材料の一体成形品であってもよい。この構成によれば、例えば、第1筒状部材と第2内周壁に対して支持部材を接着する接着層の配置を省略することができる。従って、クランプを容易に製造することができる。
【0015】
[5]上記[2]から[4]のいずれか一つにおいて、前記第2外周壁と前記第2内周壁とは、凹凸の関係で組み付けられていてもよい。この構成によれば、例えば、第2外周壁と第2内周壁との相対的な位置ずれを容易に抑えることが可能となる。
【0016】
[6]上記[1]から[5]のいずれか一つにおいて、前記第1筒状部材は、前記第1筒状部材の軸線方向における両開口端である第1開口端及び第2開口端を有し、前記支持部材は、前記第1開口端及び前記第2開口端よりも中央側に配置されてもよい。
【0017】
この構成によれば、第1筒状部材の第1開口端側及び第2開口端側のいずれも容易に変位させることができる。このため、電線部材において、第1開口端から外方に延びる部分である第1延出部と、第2開口端から外方に延びる部分である第2延出部のいずれの揺動に対しても電線部材にかかる負荷を軽減することが可能となる。
【0018】
[7]上記[6]において、前記支持部材は、前記第1開口端と前記第2開口端のいずれか一方の開口端に近い位置に配置されてもよい。この構成によれば、第1筒状部材において第1開口端側及び第2開口端側のいずれか一方を容易に変位させることが可能となる。このため、例えば、第1延出部及び第2延出部のいずれか一方の揺動が比較的大きい場合、その揺動に対する負荷を好適に軽減することが可能となる。従って、電線部材の揺動態様に対応したクランプを提供することが可能となる。
【0019】
[8]上記[1]から[7]のいずれか一つにおいて、前記支持部材の形状は、前記第1筒状部材と前記第2筒状部材との周方向に沿った環状であってもよい。この構成によれば、支持部材の強度を容易に確保することが可能となる。例えば、第1筒状部材は、電線部材のいずれの方向に沿った揺動に対しても、支持部材の強度を確保することが容易となる。
【0020】
[9]本開示のワイヤハーネスは、上記[1]から[8]のいずれか1つに記載のクランプと、前記クランプの前記第1筒状部材に保持される前記電線部材とを有する。この構成によれば、上述したクランプと同様の作用効果を得ることができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のクランプ及びワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。
【0022】
なお、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向の全体にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠き等を有するものも含む。また、「筒状」には、円形、楕円形、及び、尖った角又は丸い角を有する多角形の断面を有する形状が含まれる。また、本明細書の説明で使用される「環状」という用語は、ループを形成する任意の構造、端部のない連続形状、又はC字形のようなギャップを有する、一般的にループ形状の構造を指すことがある。なお、「環状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖った角又は丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
(ワイヤハーネス10の全体構成)
図1に示すように、ワイヤハーネス10は、クランプ11とクランプ11に保持される電線部材12とを有している。ワイヤハーネス10は、例えば、第1固定部110と、第2固定部120とを備えている。クランプ11は、第1固定部110と第2固定部120との間に配索される電線部材12を保持している。第1固定部110は、例えば、エンジン等の第1振動源に固定される。第2固定部120は、例えば、車体等の第2振動源に固定される。
【0024】
図2図4に示すように、クランプ11は、第1筒状部材40と、第2筒状部材50と、固定部材60と、支持部材70とを備えている。
図2及び図4に示すように、電線部材12は、例えば、複数の電線20と、複数の電線20をまとめて包囲する外装部材30とを有している。
【0025】
各電線20は、導電性を有する芯線21と、芯線21の外周を囲うとともに絶縁性を有する絶縁被覆22とを有する被覆電線である。絶縁被覆22の材料としては、樹脂材料が挙げられる。芯線21の材料としては、例えば、銅系、アルミニウム系等の金属材料が挙げられる。
【0026】
外装部材30の形状は、例えば、円筒状等の筒状である。外装部材30には、各電線20が挿通されている。外装部材30は、例えば、飛翔物や水滴から電線20を保護する機能を有している。外装部材30は、例えば、可撓性を有し、容易に屈曲可能である。可撓性を有する外装部材30としては、例えば、樹脂製のコルゲートチューブ、ゴム製の防水カバー等が挙げられる。
【0027】
外装部材30は、例えば、蛇腹形状を有するとともに樹脂製のコルゲートチューブである。詳述すると、図3に示すように、コルゲートチューブは、長さ方向において大径部31と大径部31よりも径の小さい小径部32とが交互に配置された蛇腹構造を有している。大径部31及び小径部32の各々の形状は、例えば、外装部材30の周方向に沿って1周する環状である。外装部材30の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
【0028】
次に、クランプ11の詳細について説明する。
(第1筒状部材40の構成)
図2図4に示すように、クランプ11の第1筒状部材40は、電線部材12を保持する。第1筒状部材40は、電線部材12の外周に沿った第1周壁41を有している。
【0029】
図3に示すように、第1筒状部材40は、例えば、外装部材30であるコルゲートチューブの外周面に嵌合する第1凸部42を有している。詳述すると、コルゲートチューブの外周面は、隣り合う2つの大径部31と、2つの大径部31の間の小径部32とにより構成される凹部を有している。第1筒状部材40の第1凸部42は、第1周壁41の内面から突出するように設けられている。第1凸部42は、コルゲートチューブの上記凹部に嵌合されることで、第1筒状部材40と電線部材12とが軸方向に沿って相対移動することを抑えることができる。第1凸部42は、例えば、第1周壁41の軸方向に沿って複数設けられている。第1凸部42の数は、複数に限定されず、単数であってもよい。
【0030】
図3に示すように、第1筒状部材40は、第1筒状部材40の軸線方向の両開口端となる第1開口端40a及び第2開口端40bを有している。電線部材12は、第1筒状部材40の第1開口端40aから外方に延びる第1延出部12aと、第2開口端40bから外方に延びる第2延出部12bとを有している。図1に示すように、第1延出部12aは、第1固定部110に接続されている。第1延出部12aは、第1固定部110が固定される第1振動源からの振動が伝達されることで揺動する。第2延出部12bは、第2固定部120まで延びている。第2延出部12bは、第2固定部120が固定される第2振動源から振動が伝達されることで揺動する。すなわち、ワイヤハーネス10において、第1延出部12aと第2延出部12bとがそれぞれ揺動区間となる。
【0031】
(第2筒状部材50の構成)
図2図4に示すように、クランプ11の第2筒状部材50は、第1筒状部材40の外周を覆っている。第2筒状部材50は、第1筒状部材40と離間して配置されている。
【0032】
第2筒状部材50は、例えば、第2外周壁51と第2内周壁52とを有している。第2外周壁51には、固定部材60が接続されている。第2内周壁52は、第2外周壁51と第1筒状部材40との間に配置されている。
【0033】
図3に示すように、第2外周壁51と第2内周壁52とは、例えば、凹凸の関係で組み付けることができる。詳述すると、第2外周壁51は、例えば、周方向に沿って延びる第2凸部51aを有している。第2内周壁52は、例えば、第2凸部51aが嵌合可能な第2凹部52aを有している。第2凸部51a及び第2凹部52aは、例えば、第2筒状部材50の全周にわたって延びる形状を有している。第2凸部51a及び第2凹部52aの数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0034】
図4に示すように、第2外周壁51は、周方向の一部を開閉可能にするロック部51bを有している。第2外周壁51は、ロック部51bの解除によって、第2外周壁51は、電線部材12に取り付け可能な開放状態となる。第2外周壁51は、ロック部51bをロックすることで、第2外周壁51を閉止状態とすることができる。
【0035】
(固定部材60の構成)
図2及び図4に示すように、クランプ11の固定部材60は、第2筒状部材50を車両に固定する。固定部材60は、第2筒状部材50に設けられている。固定部材60は、第2筒状部材50の第2外周壁51に接続されている。固定部材60は、車両の取付箇所200に固定される。取付箇所200としては、例えば、エンジン用のブラケットが挙げられる。
【0036】
(支持部材70の構成)
図3及び図4に示すように、クランプ11の支持部材70は、第1筒状部材40を第2筒状部材50に支持する。支持部材70は、第1筒状部材40と第2筒状部材50との間に設けられている。支持部材70は、第1筒状部材40の軸線が第2筒状部材50の軸線に対して傾斜するように第1筒状部材40を変位可能に支持している。
【0037】
支持部材70は、例えば、第1筒状部材40の第1開口端40a及び第2開口端40bよりも中央側に配置される。支持部材70は、第1開口端40aと第2開口端40bのいずれか一方の開口端に近い位置に配置されている。支持部材70は、例えば、第2開口端40bよりも第1開口端40aに近い位置に配置される。支持部材70の形状は、第1筒状部材40と第2筒状部材50との周方向に沿った環状である。
【0038】
(クランプ11の材料)
クランプ11の材料としては、例えば、樹脂系材料、ゴム系材料等が挙げられる。樹脂系材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。ゴム系材料としては、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等のゴム、オレフィン系等のエラストマーが挙げられる。
【0039】
第1筒状部材40、支持部材70、及び第2筒状部材50の第2内周壁52は、第2筒状部材50の第2外周壁51、及び固定部材60よりも弾性変形し易い材料により構成されることが好ましい。
【0040】
第1筒状部材40、支持部材70、及び第2筒状部材50の第2内周壁52は、ゴム系材料により構成され、第2筒状部材50の第2外周壁51及び固定部材60は、樹脂系材料により構成されることがより好ましい。第1筒状部材40、支持部材70、及び第2筒状部材50の第2内周壁52は、ゴム系材料の一体成形品であることがさらに好ましい。また、第2筒状部材50の第2外周壁51、及び固定部材60は、樹脂系材料の一体成形品であることがさらに好ましい。
【0041】
(ワイヤハーネス10の製造方法)
ワイヤハーネス10の製造法の一例について説明する。ワイヤハーネス10の製造方法は、電線部材12にクランプ11を取り付ける工程を備えている。
【0042】
第1筒状部材40、支持部材70、及び第2内周壁52は、開放状態の第2外周壁51に組み付けることができる。クランプ11の第1筒状部材40、支持部材70、及び第2内周壁52は、周方向の一部を開閉可能にする分割部を有している。分割部は、第1筒状部材40の軸線に沿った方向において、第1筒状部材40、支持部材70、及び第2内周壁52の全体にわたって設けられている。このような分割部を開放した状態とすることで、第1筒状部材40の内側に電線部材12を配置することができる。次に、分割部を閉止した状態とするとともに、第2外周壁51をロック部51bにより閉止状態とすることで、クランプ11を電線部材12に取り付けることができる。ワイヤハーネス10の製造方法は、電線部材12に第1固定部110と第2固定部120とを取り付ける工程等を備えている。
【0043】
本実施形態の作用について説明する。
図5及び図6は、図3に示す第1筒状部材40、支持部材70、及び第2筒状部材50の第2内周壁52を模式的に示している。クランプ11の支持部材70は、第1筒状部材40の軸線が第2筒状部材50の軸線に対して傾斜するように第1筒状部材40を変位可能に支持している。すなわち、第1筒状部材40の第1開口端40a側又は第2開口端40b側は、図5及び図6に二点鎖線で示すように、第2筒状部材50に接近及び離間するように変位可能である。
【0044】
図5及び図6に二点鎖線で示すように、例えば、電線部材12の第1延出部12aが揺動した場合、第1筒状部材40の第1開口端40a側は、第1延出部12aに追従するように変位する。また、例えば、電線部材12の第2延出部12bが揺動した場合、第1筒状部材40の第2開口端40b側は、第2延出部12bに追従するように変位する。
【0045】
このように第1筒状部材40の外方に延びる電線部材12が揺動した場合、第1筒状部材40は、電線部材12に追従するように変位する。このため、例えば、第1筒状部材40の軸線方向の開口端で電線部材12が押さえつけられて電線部材12が屈曲するような負荷の高い変形が発生し難くなる。
【0046】
また、第1筒状部材40の過剰な変位は、第1筒状部材40が第2筒状部材50に接触することで制限される。これにより、電線部材12の過剰な揺動を抑えることが可能となる。
【0047】
支持部材70は、例えば、第1開口端40a及び第2開口端40bよりも中央側に配置されている。この場合、上記のように第1筒状部材40の第1開口端40a側及び第2開口端40b側のいずれも容易に変位させることができる。
【0048】
支持部材70は、例えば、第1開口端40aと第2開口端40bのいずれか一方の開口端に近い位置に配置されている。支持部材70は、例えば、第2開口端40bよりも第1開口端40aに近い位置に配置されている。この場合、第1筒状部材40において、第1開口端40a側よりも第2開口端40b側を容易に変位させることが可能となる。例えば、第1筒状部材40において、第1開口端40a側よりも第2開口端40b側の可撓性を高めることが可能となる。このため、例えば、第1延出部12aよりも第2延出部12bの揺動が比較的大きい場合、第2延出部12bの揺動に対する第2筒状部材50の第2開口端40b側の追従性を高めることが可能となる。
【0049】
本実施形態の効果について説明する。
(1)クランプ11は、電線20を含む電線部材12を保持する第1筒状部材40と、第1筒状部材40の外周を覆う第2筒状部材50とを備えている。クランプ11は、第2筒状部材50を車両に固定する固定部材60と、第1筒状部材40を第2筒状部材50に支持する支持部材70とを備えている。第2筒状部材50は、第1筒状部材40と離間して配置されている。固定部材60は、第2筒状部材50に設けられている。支持部材70は、第1筒状部材40と第2筒状部材50との間に設けられている。支持部材70は、第1筒状部材40の軸線が第2筒状部材50の軸線に対して傾斜するように第1筒状部材40を変位可能に支持している。
【0050】
この構成によれば、上述したように、第1筒状部材40を要因として電線部材12にかかる負荷を軽減することが可能となる。従って、電線部材12を好適に保持することが可能となる。
【0051】
また、第1筒状部材40の過剰な変位は、第1筒状部材40が第2筒状部材50に接触することで制限される。これにより、電線部材12の過剰な揺動を抑えることが可能となる。
【0052】
(2)第2筒状部材50は、第2外周壁51と、第2外周壁51の第1筒状部材40との間に配置される第2内周壁52とを有している。第2外周壁51には、固定部材60が接続されている。第2内周壁52には、支持部材70が接続されている。第1筒状部材40、支持部材70、及び第2内周壁52は、第2外周壁51、固定部材60よりも弾性変形し易い材料により構成されることが好ましい。
【0053】
この場合、例えば、第1筒状部材40、支持部材70、及び第2内周壁52の弾性変形により、電線部材12の揺動に対する第1筒状部材40の追従性を高めることができる。これにより、第1筒状部材40を要因として電線部材12にかかる負荷をより軽減することが可能となる。従って、電線部材12をより好適に保持することが可能となる。
【0054】
(3)第1筒状部材40、支持部材70、及び第2内周壁52をゴム系材料により構成することで、例えば、電線部材12の振動が吸収され易くなる。また、例えば、電線部材12の揺動が減衰され易くなる。第2外周壁51、及び固定部材60を樹脂系材料により構成することで、例えば、第2外周壁51、及び固定部材60の強度を容易に確保することができる。
【0055】
(4)第1筒状部材40、支持部材70、及び第2内周壁52が、ゴム系材料の一体成形品である場合、例えば、第1筒状部材40と第2内周壁52に対して支持部材70を接着する接着層の配置を省略することができる。従って、クランプ11を容易に製造することができる。
【0056】
(5)第2外周壁51と第2内周壁52とは、凹凸の関係で組み付けられている。この構成によれば、例えば、第2外周壁51と第2内周壁52との相対的な位置ずれを容易に抑えることが可能となる。
【0057】
(6)第1筒状部材40は、第1筒状部材40の軸線方向における両開口端である第1開口端40a及び第2開口端40bを有している。支持部材70は、第1開口端40a及び第2開口端40bよりも中央側に配置されている。
【0058】
この構成によれば、第1筒状部材40の第1開口端40a側及び第2開口端40b側のいずれも容易に変位させることができる。このため、電線部材12において、第1開口端40aから外方に延びる部分である第1延出部12aと、第2開口端40bから外方に延びる部分である第2延出部12bのいずれの揺動に対しても電線部材12にかかる負荷を軽減することが可能となる。従って、電線部材12をより好適に保持することが可能となる。
【0059】
(7)支持部材70は、第1開口端40aと第2開口端40bのいずれか一方の開口端に近い位置に配置されることが好ましい。この構成によれば、第1筒状部材40において第1開口端40a側及び第2開口端40b側のいずれか一方を容易に変位させることが可能となる。このため、例えば、第1延出部12a及び第2延出部12bのいずれか一方の揺動が比較的大きい場合、その揺動に対する負荷を好適に軽減することが可能となる。従って、電線部材12の揺動態様に対応したクランプ11を提供することが可能となる。
【0060】
(8)支持部材70の形状は、第1筒状部材40と第2筒状部材50との周方向に沿った環状である。この構成によれば、支持部材70の強度を容易に確保することが可能となる。例えば、第1筒状部材40は、電線部材12のいずれの方向に沿った揺動に対しても、支持部材70の強度を確保することが容易となる。
【0061】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0062】
図7に示すように、クランプ11の支持部材70の位置を第1筒状部材40の第1開口端40aと第2開口端40bとの間の中央位置に変更してもよい。また、図示を省略するが、クランプ11の支持部材70の位置を第1筒状部材40の第1開口端40a、及び第2開口端40bのいずれか一方の開口端に沿った端部位置に変更してもよい。
【0063】
・クランプ11の支持部材70の数は、単数に限定されず、複数に分割されていてもよい。例えば、図8に示す支持部材70は、第1筒状部材40の周方向において複数に分割されていてよい。また、図示を省略するが、支持部材70は、第1筒状部材40の軸方向において複数に分割されていてもよい。
【0064】
・上記クランプ11の第2外周壁51と第2内周壁52とは、凹凸の関係で組み付けられているが、凹凸を省略し、第2外周壁51の内周面と第2内周壁52の外周面との圧接により組み付けてもよい。
【0065】
・上記クランプ11の第1筒状部材40の第1凸部42を省略し、第1筒状部材40の内周面と電線部材12の外周面との圧接により第1筒状部材40に電線部材12を保持させてもよい。
【0066】
・上記クランプ11は、電線部材12の外装部材30を省略した電線部材、すなわち被覆電線を保持する用途に用いることもできる。
・第2筒状部材50は、第2外周壁51と第2内周壁52とを有しているが、第2筒状部材50を一つの周壁から構成することもできる。
【0067】
・第1筒状部材40、第2筒状部材50、及び支持部材70は、同じ材料から構成することもできる。
・第1筒状部材40の軸線方向の寸法と第2筒状部材50の軸線方向の寸法とは、同じであってもよいし、異なってもよい。第1筒状部材40の軸線方向の寸法は、第2筒状部材50の軸線方向の寸法を100とした場合、例えば、80以上、120以下の範囲内であることが好ましく、90以上、110以下の範囲内であることがより好ましい。
【0068】
・クランプ11の第1筒状部材40と第2筒状部材50との間隔は、支持部材70の寸法により設定することができる。第1筒状部材40と第2筒状部材50との間隔は、例えば、電線部材12の外径に応じて設定することができる。第1筒状部材40と第2筒状部材50との間隔は、特に限定されないが、例えば、1mm以上、3mm以上、5mm以上等である。第1筒状部材40と第2筒状部材50との間隔は、例えば、100mm以下である。
【0069】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
10 ワイヤハーネス
11 クランプ
12 電線部材
12a 第1延出部
12b 第2延出部
20 電線
21 芯線
22 絶縁被覆
30 外装部材
31 大径部
32 小径部
40 第1筒状部材
40a 第1開口端
40b 第2開口端
41 第1周壁
42 第1凸部
50 第2筒状部材
51 第2外周壁
51a 第2凸部
51b ロック部
52 第2内周壁
52a 第2凹部
60 固定部材
70 支持部材
110 第1固定部
120 第2固定部
200 取付箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8