(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110625
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】電線固定部材およびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/32 20060101AFI20240808BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240808BHJP
F16B 2/22 20060101ALI20240808BHJP
F16B 2/10 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H02G3/32
B60R16/02 623C
F16B2/22 B
F16B2/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015318
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】月森 直人
【テーマコード(参考)】
3J022
5G363
【Fターム(参考)】
3J022DA14
3J022EA02
3J022EB14
3J022EC02
3J022EC14
3J022EC22
3J022FA05
3J022FB12
3J022FB16
3J022GA04
3J022GB22
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】汎用性の向上を可能にした電線固定部材およびワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】電線固定部材12は、電線部材を保持する保持部20と、被固定部13が挿入される挿入孔31とを有する固定部材本体12aと、固定部材本体12aとは別体をなし、被固定部13と共に挿入孔31に挿入され、被固定部13を挿入孔31の内面31aに押し付ける挿入部材12bと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線部材を板状の被固定部に固定するための電線固定部材であって、
前記電線部材を保持する保持部と、前記被固定部が挿入される挿入孔とを有する固定部材本体と、
前記固定部材本体とは別体をなし、前記被固定部と共に前記挿入孔に挿入され、前記被固定部を前記挿入孔の内面に押し付ける挿入部材と、を備える、
電線固定部材。
【請求項2】
前記固定部材本体は、前記挿入孔の内部に弾性片を有し、
前記弾性片は、前記被固定部が前記挿入孔から抜けないように前記被固定部に引っ掛かる係止部を有し、
前記挿入部材と前記弾性片とは、前記被固定部を板厚方向に挟んだ両側にそれぞれ設けられている、
請求項1に記載の電線固定部材。
【請求項3】
前記挿入部材は、挿入部材本体と、前記挿入部材本体から突出する補強リブとを有している、
請求項1に記載の電線固定部材。
【請求項4】
前記挿入部材本体は、前記被固定部に接触する第1側面と、前記第1側面の裏側の第2側面と、を有し、
前記補強リブは、前記第1側面および前記第2側面のうち、前記第2側面のみに設けられている、
請求項3に記載の電線固定部材。
【請求項5】
前記補強リブは、複数設けられている、
請求項3に記載の電線固定部材。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電線固定部材と、
前記電線固定部材に保持された電線部材と、を備える、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電線固定部材およびワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両に設けられた板状のブラケットに固定される電線固定部材が記載されている。電線固定部材は、電線部材を保持する保持部と、板状のブラケットに固定される固定部とを備える。固定部は、ブラケットが挿入される挿入孔を有している。挿入孔の内部には、ブラケットが挿入孔から抜けないようにブラケットに引っ掛かる係止部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両におけるブラケットの板厚は、電線部材の重量等に応じて、強度確保の観点から様々な厚さに設定される。そして、上記のような電線固定部材では、ブラケットの板厚に合わせて挿入孔の大きさ等を設計する必要がある。例えば、第1のブラケットに適した電線固定部材を、第1のブラケットよりも板厚が薄い第2のブラケットに固定した場合を考える。この場合、電線固定部材の挿入孔と第2のブラケットとの間に生じる大きな隙間により、がたつきの発生や、さらには電線固定部材の脱落のおそれがある。したがって、ブラケットの板厚に応じた多種の電線固定部材を用意する必要があった。
【0005】
本開示の目的は、汎用性の向上を可能にした電線固定部材およびワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電線固定部材は、電線部材を板状の被固定部に固定するための電線固定部材であって、前記電線部材を保持する保持部と、前記被固定部が挿入される挿入孔とを有する固定部材本体と、前記固定部材本体とは別体をなし、前記被固定部と共に前記挿入孔に挿入され、前記被固定部を前記挿入孔の内面に押し付ける挿入部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電線固定部材およびワイヤハーネスによれば、汎用性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態のワイヤハーネスを示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、同形態のワイヤハーネスの平面図である。
【
図5】
図5は、変更例におけるワイヤハーネスの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の電線固定部材は、
[1]電線部材を板状の被固定部に固定するための電線固定部材であって、前記電線部材を保持する保持部と、前記被固定部が挿入される挿入孔とを有する固定部材本体と、前記固定部材本体とは別体をなし、前記被固定部と共に前記挿入孔に挿入され、前記被固定部を前記挿入孔の内面に押し付ける挿入部材と、を備える。
【0010】
この構成によれば、被固定部が挿入部材によって挿入孔の内面に押し付けられるため、挿入孔と被固定部との間におけるがたつきを抑制可能となる。そして、挿入部材のサイズを被固定部の板厚に応じて変更することで、1種類の固定部材本体で板厚が異なる多種の被固定部に対応させることが可能となる。つまり、挿入部材の設計変更のみで被固定部の板厚の変更に対応可能となる。その結果、電線固定部材の汎用性を向上させることが可能となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記固定部材本体は、前記挿入孔の内部に弾性片を有し、前記弾性片は、前記被固定部が前記挿入孔から抜けないように前記被固定部に引っ掛かる係止部を有し、前記挿入部材と前記弾性片とは、前記被固定部を板厚方向に挟んだ両側にそれぞれ設けられていてもよい。
【0012】
この構成によれば、挿入孔の内部において、挿入部材が弾性片に干渉しない構成とすることが可能となる。したがって、挿入部材が、弾性片の係止部と被固定部との引っ掛かりに対して与える影響を少なく抑えることが可能となる。
【0013】
[3]上記[1]または[2]において、前記挿入部材は、挿入部材本体と、前記挿入部材本体から突出する補強リブとを有していてもよい。
この構成によれば、補強リブによって挿入部材の剛性を向上させることが可能となる。また、補強リブによって剛性を確保することで、挿入部材本体の薄型化が可能となる。
【0014】
[4]上記[3]において、前記挿入部材本体は、前記被固定部に接触する第1側面と、前記第1側面の裏側の第2側面と、を有し、前記補強リブは、前記第1側面および前記第2側面のうち、前記第2側面のみに設けられていてもよい。
【0015】
この構成によれば、挿入部材本体の第1側面には補強リブが設けられないため、第1側面と被固定部との接触面積を大きく稼ぐことが可能となる。
[5]上記[3]または[4]において、前記補強リブは、複数設けられていてもよい。
【0016】
この構成によれば、複数の補強リブによって挿入部材の剛性をより一層向上させることが可能となる。
[6]本開示のワイヤハーネスは、上記[1]から[5]のいずれかの電線固定部材と、前記電線固定部材に保持された電線部材と、を備える。
【0017】
この構成によれば、上記の電線固定部材と同様の作用効果を奏することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の電線固定部材およびワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「垂直」は、厳密に平行や垂直の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や垂直の場合も含まれる。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のワイヤハーネス10は、例えば、自動車等の車両に設けられる。ワイヤハーネス10は、電線部材11と、電線固定部材12とを備える。電線固定部材12は、車両に設けられた板状の被固定部13に固定するための部品である。被固定部13は、例えば、金属製の板状ブラケットである。電線部材11は、2個以上の車載機器を電気的に接続する。電線部材11は、例えば、電線と、当該電線の外周を覆う外装部材とを備える。
【0019】
(電線固定部材12)
電線固定部材12は、固定部材本体12aと、固定部材本体12aとは別体をなす挿入部材12bとを備える。固定部材本体12aおよび挿入部材12bはそれぞれ、例えば合成樹脂にて形成されている。
【0020】
図1および
図2に示すように、固定部材本体12aは、電線部材11を保持する保持部20と、被固定部13に固定される固定部30とを有している。
保持部20は、電線部材11の長さ方向から見て環状をなしている。保持部20は、電線部材11の外周を囲っている。これにより、電線部材11は、保持部20によって保持される。保持部20は、例えば、保持部20の内周面から突出する突出部21を有している。突出部21は、電線部材11に対して長さ方向に引っ掛かるように構成されている。突出部21が電線部材11に対して長さ方向に引っ掛かることによって、長さ方向における電線部材11と電線固定部材12との相対的な位置ずれが抑制されている。なお、電線部材11の前記外装部材が例えばコルゲートチューブの場合、突出部21は、当該コルゲートチューブの外周面の凹部に嵌まり込む。
【0021】
(固定部30)
図3に示すように、固定部30は、被固定部13が挿入方向D1に沿って挿入される挿入孔31と、挿入孔31の内部に位置する弾性片32とを有している。挿入孔31は、例えば、固定部30の基部33を挿入方向D1に沿って貫通している。弾性片32は、例えば、固定部30の基部33から挿入方向D1に沿って延びている。弾性片32は、基部33に繋がる基端部32aを支点として撓むように構成されている。すなわち、弾性片32は、その先端部32bが挿入方向D1に直交する方向に略沿って変位するように撓むようになっている。
【0022】
弾性片32は、本体部34と、本体部34からそれぞれ突出する係止部35とを有している。本体部34は、基部33から挿入方向D1に沿って延出している。係止部35は、本体部34から挿入方向D1と交差する方向に突出している。
【0023】
板状の被固定部13は、互いに平行をなす第1主面13xと第2主面13yとを有している。被固定部13は、例えば、係止部35が引っ掛かる係止孔14を有している。係止孔14は、例えば、被固定部13を第1主面13xから第2主面13yにかけて貫通する貫通孔である。
【0024】
被固定部13が挿入孔31に取り付けられた状態において、弾性片32の本体部34は、被固定部13の第1主面13xに接している。そして、弾性片32の係止部35は、被固定部13の係止孔14に入り込んでいる。係止孔14の縁部は、係止孔14に挿入された係止部35に対して挿入方向D1の反対方向に引っ掛かる。この引っ掛かりによって、被固定部13が挿入孔31から抜けないようになっている。
【0025】
固定部材本体12aは、例えば、保持部20から固定部30にかけて、第1部位41と第2部位42とに2分割された構造をなしている。第1部位41と第2部位42とは、ヒンジ部43を介して互いに繋がっている。第1部位41、第2部位42およびヒンジ部43は一体に形成されている。第2部位42は、第1部位41に対し、ヒンジ部43を軸として回動可能である。ヒンジ部43は、例えば保持部20に設けられている。
【0026】
第2部位42は、第1部位41に設けられたロック部44に係止されるフック部45を有している。フック部45がロック部44に係止されることで、第1部位41と第2部位42とが閉じた状態が保持される。
【0027】
固定部材本体12aの固定部30は、第1部位41の一部と第2部位42の一部とによって構成される。固定部30における基部33および弾性片32は、例えば、第1部位41が有する部位である。挿入孔31は、固定部30において第1部位41から第2部位42にかけて形成されている。
【0028】
(挿入部材12b)
図1および
図2に示すように、挿入部材12bは、被固定部13と共に挿入孔31に挿入される部品である。挿入部材12bは、挿入方向D1に沿って挿入孔31に挿入される。
【0029】
図3に示すように、挿入孔31の内部において、挿入部材12bは、被固定部13の第2主面13yに接するように配置される。すなわち、挿入部材12bは、被固定部13の第1主面13xに接する弾性片32に対し、被固定部13を挟んだ反対側に配置される。換言すると、挿入部材12bと弾性片32とは、被固定部13を板厚方向に挟んだ両側にそれぞれ設けられる。
【0030】
図2および
図3に示すように、挿入部材12bは、挿入部材本体51と、挿入部材本体51から突出する補強リブ52とを有している。挿入部材本体51は、例えば略直方体状をなしている。挿入部材本体51は、挿入方向D1に直交する厚さ方向D2を有している。また、挿入部材本体51は、挿入方向D1および厚さ方向D2の各々に直交する幅方向D3を有している(
図2参照)。
【0031】
挿入部材本体51は、被固定部13の第2主面13yに接触する第1側面53と、第1側面53の裏側の第2側面54とを有している。第1側面53および第2側面54は、例えば、互いに平行な平面状をなしている。第1側面53および第2側面54の各々は、例えば、厚さ方向D2に垂直をなしている。
【0032】
(補強リブ52)
図2に示すように、補強リブ52は、例えば複数設けられている。各補強リブ52は、挿入部材本体51の第2側面54から厚さ方向D2に沿って突出している。各補強リブ52は、第1側面53および第2側面54のうち、第2側面54のみに設けられている。補強リブ52は、例えば、挿入部材本体51の幅方向D3の両端部にそれぞれ設けられている。各補強リブ52は、例えば、挿入方向D1に沿った方向に直線状に延在している。また、各補強リブ52は、例えば、挿入方向D1に沿った方向における挿入部材本体51の一端から他端にわたって形成されている。
【0033】
挿入孔31は、厚さ方向D2に窪む凹部36を有している。凹部36は、挿入部材12bの補強リブ52と同数設けられている。すなわち、本実施形態の凹部36の個数は2つである、各凹部36は、例えば、挿入方向D1に沿って直線状に延びている。また、凹部36は、例えば、挿入孔31における幅方向D3の両端部にそれぞれ設けられている。各凹部36には、挿入部材12bの各補強リブ52が入り込んでいる。
【0034】
図4に示すように、挿入部材12bにおける幅方向D3の側面には、嵌合凸部55が設けられている。そして、挿入孔31における幅方向D3の側面には、嵌合凸部55が嵌合する嵌合凹部37が設けられている。嵌合凸部55が嵌合凹部37に嵌合することにより、挿入部材12bが挿入孔31から抜けにくくなっている。また、嵌合凸部55が嵌合凹部37に嵌合することにより、挿入方向D1において、挿入部材12bが位置決めされる。嵌合凸部55は、例えば、挿入部材12bにおける幅方向D3の両側面にそれぞれ設けられている。嵌合凹部37は、例えば、挿入孔31における幅方向D3の両側面にそれぞれ設けられている。各嵌合凸部55は、各嵌合凹部37に嵌合する。
【0035】
図3は、挿入方向D1に沿った方向において、挿入部材12bが適正な組み付け位置にある状態を示している。挿入部材12bの前記適正な組み付け位置は、嵌合凸部55と嵌合凹部37との嵌合により、挿入方向D1に沿った方向において挿入部材12bが位置決めされた位置である。同図に示すように、挿入方向D1に沿った方向において、挿入孔31の入口端31bから挿入部材本体51の下端51aまでの距離は、挿入孔31の入口端31bから係止部35までの距離よりも短い。したがって、被固定部13の板厚方向において、挿入部材12bの挿入部材本体51は、係止部35に対向しないように構成される。これにより、挿入部材本体51が係止部35に干渉することが抑制される。
【0036】
挿入方向D1に沿った方向における挿入部材本体51の長さは、例えば、被固定部13における挿入孔31に挿入されている部分の長さの半分以上に設定されている。被固定部13における挿入孔31に挿入されている部分の長さは、挿入孔31の入口端31bから挿入方向D1における被固定部13の先端13aまでの長さである。これにより、挿入部材本体51によって、被固定部13を安定して保持することが可能となる。
【0037】
(本実施形態の作用)
挿入部材12bは、例えば、被固定部13が先に挿入された挿入孔31に対して圧入される。これにより、挿入部材本体51の第1側面53は、挿入孔31の内部において、被固定部13の第2主面13yに接触する。そして、被固定部13は、挿入部材12bからの応力を受けて、被固定部13の第1主面13xの少なくとも一部が挿入孔31の内面31aに押し付けられる。これにより、被固定部13と挿入孔31との間のがたつきが抑えられるようになっている。
【0038】
そして、本実施形態の電線固定部材12では、挿入部材本体51の厚さ方向D2の寸法を、被固定部13の板厚に応じて変更することで、1種類の固定部材本体12aで板厚が異なる多種の被固定部13に対応させることが可能となる。したがって、挿入部材12bの設計変更のみで被固定部13の板厚の変更に対応可能となる。
【0039】
(本実施形態の効果)
(1)固定部材本体12aとは別体をなす挿入部材12bは、被固定部13と共に挿入孔31に挿入され、被固定部13を挿入孔31の内面31aに押し付ける。この構成によれば、被固定部13が挿入部材12bによって挿入孔31の内面31aに押し付けられるため、挿入孔31と被固定部13との間におけるがたつきを抑制可能となる。そして、挿入部材12bのサイズを被固定部13の板厚に応じて変更することで、1種類の固定部材本体12aで板厚が異なる多種の被固定部13に対応させることが可能となる。つまり、挿入部材12bの設計変更のみで被固定部13の板厚の変更に対応可能となる。その結果、電線固定部材12の汎用性を向上させることが可能となる。
【0040】
(2)固定部材本体12aは、挿入孔31の内部に弾性片32を有している。弾性片32は、被固定部13が挿入孔31から抜けないように被固定部13に引っ掛かる係止部35を有している。挿入部材12bと弾性片32とは、被固定部13を板厚方向に挟んだ両側にそれぞれ設けられている。この構成によれば、挿入孔31の内部において、挿入部材12bが弾性片32に干渉しない構成とすることが可能となる。したがって、挿入部材12bが、弾性片32の係止部35と被固定部13との引っ掛かりに対して与える影響を少なく抑えることが可能となる。
【0041】
(3)挿入部材12bは、挿入部材本体51と、挿入部材本体51から突出する補強リブ52とを有している。この構成によれば、補強リブ52によって挿入部材12bの剛性を向上させることが可能となる。また、補強リブ52によって剛性を確保することで、挿入部材本体51の薄型化が可能となる。
【0042】
(4)挿入部材本体51は、被固定部13に接触する第1側面53と、第1側面53の裏側の第2側面54と、を有している。補強リブ52は、第1側面53および第2側面54のうち、第2側面54のみに設けられている。この構成によれば、挿入部材本体51の第1側面53には補強リブ52が設けられないため、第1側面53と被固定部13との接触面積を大きく稼ぐことが可能となる。
【0043】
(5)補強リブ52は、複数設けられている。この構成によれば、複数の補強リブ52によって挿入部材12bの剛性をより一層向上させることが可能となる。
(6)被固定部13の板厚方向において、挿入部材12bは係止部35に対向しないように構成される。これにより、挿入部材本体51が係止部35に干渉することが抑制される。その結果、挿入部材12bが、係止部35と被固定部13との引っ掛かりに対して与える影響をより一層抑えることが可能となる。
【0044】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0045】
・挿入部材12bにおいて、補強リブ52は1つのみ、または3つ以上設けられていてもよい。また、各補強リブ52は、挿入部材本体51の幅方向D3の両端部以外の位置に設けられていてもよい。
【0046】
・挿入部材12bの補強リブ52の構成は、例えば
図5に示すように変更可能である。
図5に示す例では、挿入部材12bは、挿入部材本体51から突出する1つの補強リブ61を有している。補強リブ61は、挿入部材本体51の第2側面54から厚さ方向D2に沿って突出している。補強リブ61は、第1側面53および第2側面54のうち、第2側面54のみに設けられている。補強リブ61は、例えば、挿入部材本体51の幅方向D3の中央部に設けられている。補強リブ61は、例えば、挿入方向D1に沿った方向に直線状に延在している。また、補強リブ61は、例えば、挿入方向D1に沿った方向における挿入部材本体51の一端から他端にわたって形成されている。また、挿入孔31において、補強リブ61が入り込む凹部36は、補強リブ61に対応する位置に1つのみ設けられている。すなわち、
図5に示す例では、凹部36は、挿入孔31の幅方向D3の中央部に設けられている。このような構成によっても、補強リブ61によって挿入部材12bの剛性を向上させることが可能となる。また、補強リブ61によって剛性を確保することで、挿入部材本体51の薄型化が可能となる。
【0047】
・挿入方向D1に沿った方向において、挿入孔31の入口端31bから挿入部材本体51の下端51aまでの距離は、挿入孔31の入口端31bから係止部35までの距離と同等に設定されていてもよい。または、挿入方向D1に沿った方向において、挿入孔31の入口端31bから挿入部材本体51の下端51aまでの距離は、挿入孔31の入口端31bから係止部35までの距離よりも長く設定されていてもよい。すなわち、被固定部13の板厚方向において、挿入部材12bの挿入部材本体51が、係止部35に対向するように構成されていてもよい。
【0048】
・挿入部材12bにおいて、補強リブ52は、挿入部材本体51の第1側面53のみに設けられていてもよい。また、補強リブ52は、挿入部材本体51の第1側面53および第2側面54の両方にそれぞれ設けられていてもよい。
【0049】
・上記実施形態の挿入部材12bにおいて、補強リブ52を省略してもよい。
・被固定部13の係止孔14は、第1主面13xに形成された凹部であってもよい。すなわち、係止孔14は、被固定部13の第1主面13xから第2主面13yまでを貫通しない構成であってもよい。
【0050】
・弾性片32の係止部35は、被固定部13に設けられた凸部に引っ掛かる凹部または孔であってもよい。
・電線固定部材12における保持部20の形状等の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、保持部20を電線部材11の長さ方向に延びる延出片とし、当該延出片に電線部材11がテープ巻き等により固定される構成であってもよい。
【0051】
・固定部材本体12aにおいて、挿入孔31を含む固定部30は、第1部位41および第2部位42のいずれか一方のみに形成されていてもよい。
・上記実施形態の被固定部13は平板状をなすが、これに限らず、例えば、幅方向D3における被固定部13の端部が例えば略直角に屈曲した形状であってもよい。
【0052】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0053】
10 ワイヤハーネス
11 電線部材
12 電線固定部材
12a 固定部材本体
12b 挿入部材
13 被固定部
13a 先端
13x 第1主面
13y 第2主面
14 係止孔
20 保持部
21 突出部
30 固定部
31 挿入孔
31a 内面
31b 入口端
32 弾性片
32a 基端部
32b 先端部
33 基部
34 本体部
35 係止部
36 凹部
37 嵌合凹部
41 第1部位
42 第2部位
43 ヒンジ部
44 ロック部
45 フック部
51 挿入部材本体
51a 下端
52 補強リブ
53 第1側面
54 第2側面
55 嵌合凸部
61 補強リブ
D1 挿入方向
D2 厚さ方向
D3 幅方向