(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110635
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】履物
(51)【国際特許分類】
A43B 3/10 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A43B3/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015331
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】598130712
【氏名又は名称】ゼンノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 弥生
(72)【発明者】
【氏名】飯田 吉秋
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA22
4F050BA49
4F050BA57
4F050HA26
4F050HA28
4F050HA59
4F050KA07
(57)【要約】
【課題】履物の再商品化の実施を推進する。
【解決手段】履物は、着用部材と、板状の芯板部材と、を備える。着用部材は、使用者の足部に着用される。芯板部材は、着用部材に取り付けられる。着用部材は、底部と、被覆部と、を有する。底部の上面には、使用者の足裏が乗る。被覆部は、底部と一体であって使用者の足の甲を覆う。芯板部材は、底部の下面に対して装脱着可能に取り付けられ、好ましくは着用部材よりも摩擦係数が高い材料から成る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の足部に着用される着用部材と、
前記着用部材に取り付けられる板状の芯板部材と、
を備え、
前記着用部材は、
前記使用者の足裏が上面に乗る底部と、
前記底部と一体であって前記使用者の足の甲を覆う被覆部と、
を有し、
前記芯板部材は、前記底部の下面に対して装脱着可能に取り付けられる、履物。
【請求項2】
前記着用部材の材料は単一である、請求項1に記載の履物。
【請求項3】
前記底部は、前袋部と、後袋部及び中央袋部の少なくともどちらかと、を有し、
前記前袋部は、前記芯板部材における前記使用者の爪先側の前端部の少なくとも一部を収容し、
前記後袋部は、前記芯板部材における前記使用者の踵側の後端部の少なくとも一部を収容し、
前記中央袋部は、前記芯板部材における前記前端部及び前記後端部間の上下方向から見て短手方向に括れた部分を収容する、請求項1に記載の履物。
【請求項4】
前記底部は、前記中央袋部を有し、
前記芯板部材は、前記括れた部分の左右方向端部に配置されて左右方向に凹む凹部を有し、
前記凹部は、前記中央袋部の左右方向端部を収容する、請求項3に記載の履物。
【請求項5】
前記芯板部材の前記前端部は、上下方向に重なる一対の前板部を有し、
上側の前記前板部は、前記前袋部に覆われ、
下側の前記前板部は、上側の前記前板部との間に前記前袋部を挟む、請求項3に記載の履物。
【請求項6】
前記底部は、前記後袋部を有し、
前記芯板部材の前記後端部は、上下方向に重なる一対の後板部を有し、
上側の前記後板部は、前記後袋部に覆われ、
下側の前記後板部は、上側の前記後板部との間に前記後袋部の一部を挟む、請求項3に記載の履物。
【請求項7】
前記芯板部材は、
前記着用部材よりも摩擦係数が高い材料から成り、及び/又は、
滑り止め加工された接地面を有する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の履物。
【請求項8】
前記芯板部材の下面に配置されて直接に接地可能なソール部を有する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の履物。
【請求項9】
前記ソール部の材料は、前記芯板部材と同じである、請求項8に記載の履物。
【請求項10】
前記ソール部は、
前記着用部材よりも摩擦係数が高い材料から成り、及び/又は、
滑り止め加工された接地面を有する、請求項8に記載の履物。
【請求項11】
前記ソール部の前記使用者の踵側の部分の厚さは、前記ソール部の前記使用者の爪先側の部分よりも大きい、請求項8に記載の履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨てスリッパなどの履物が知られている(たとえば特許文献1参照)。使い捨ての履物は、宿泊施設などで使用され、通常では使用済みになると丸ごと捨てられる。
【0003】
一方、近年では、持続可能な開発目標(SDGs;sustainable development goals)の一つとして、持続可能な消費と生産のパターンを確保することが掲げられている。これにより、物の廃棄を減らし、リサイクルなどにより新たな資源として再利用することが推奨されている。また、環境省のプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(略して「プラスチック資源循環法」)の第33条の規定に基づく分別収集物の再商品化の実施に関する計画(以下、「再商品化計画」と呼ぶ。)、及び、経済産業省の取り組みでも、3R政策(リデュース、リユース、リサイクル)を推奨している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の使い捨ての履物では、異なる樹脂、紙などの複数種類の材料を用いて一体に製造されている。その材料を種類ごとに分別してリサイクルすることは、難しく、多大なコストを要する。そのため、使い捨ての履物は、通常では、産業廃棄物として捨てられ、リサイクルされることなく焼却される。
【0006】
本発明は、上記の状況を鑑みて、履物の再商品化の実施を推進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の一の態様による履物は、着用部材と、板状の芯板部材と、を備える。前記着用部材は、使用者の足部に着用される。前記芯板部材は、前記着用部材に取り付けられる。前記着用部材は、底部と、被覆部と、を有する。前記底部の上面には、前記使用者の足裏が乗る。前記被覆部は、前記底部と一体であって前記使用者の足の甲を覆う。前記芯板部材は、前記底部の下面に対して装脱着可能に取り付けられる。
【0008】
本発明の更なる特徴や利点は、以下に示す実施形態によって一層明らかにされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、履物の再商品化の実施を推進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】実施例に係るスリッパの他の構成例を示す外観図
【
図5】実施例に係るスリッパの他の構成例を示す分解斜視図
【
図7A】中央袋部に芯板部材の括れた部分を収容した図
【
図8】第1変形例に係るスリッパの構成例を示す外観図
【
図9A】第1変形例に係るスリッパの前端部の構成例を示す断面図
【
図9B】第1変形例に係るスリッパの後端部の構成例を示す断面図
【
図10】第2変形例に係るスリッパの構成例を示す外観図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<1.実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0012】
なお、以下の説明において、スリッパ100を足部に着用する使用者から見て、足部の爪先側(前側)を「前方」と呼んで図面では符号Fを付し、足部の踵側(背面側)を「後方」と呼んで図面では符号Bを付す。なお、「足部」は、人体の足首以下の部分を指し、踵部から足指の爪先までの部分を含む。また、後述する足の甲(足背)は、「足部」のうち、上記部分の上面を指す。また、後述する足裏(足底)は、人体が立つときに接地する上記部分の下面を指す。
【0013】
また、該使用者から見て上側(頭側)を「上方」と呼んで図面では符号Uを付し、下側(足側)を「下方」と呼んで図面では符号Dを付す。また、該使用者から見て右側を「右方」と呼んで図面では符号Rを付し、左側を「左方」と呼んで図面では符号Lを付す。
【0014】
<1-1.スリッパ100の実施例>
図1は、実施例に係るスリッパ100の構成例を示す外観図である。
図2は、実施例に係るスリッパ100の断面図である。
図3は、実施例に係るスリッパ100の分解斜視図である。なお、
図2は、
図1の一点鎖線II-IIに沿い且つ上下方向と平行な仮想の平面で切断した場合のスリッパ100の断面構造を示す。
【0015】
スリッパ100は、使用者の足部に着用される履物である。スリッパ100は、着用部材1と、板状の芯板部材2と、を備える。着用部材1は、使用者の足部に着用される。着用部材1は、被覆部11と、底部12と、を有する。被覆部11は、底部12と一体であって、直用時に使用者の足の甲を覆う。底部12の上面には、使用者の足裏が乗る。芯板部材2は、着用部材1に取り付けられ、詳細には底部12の下面に対して装脱着可能に取り付けられる。芯板部材2は、浴室,ベランダなどでスリッパ100が滑らないようにするための安全性と履き心地の向上とを考慮して、着用部材1に取り付けられる。
【0016】
着用部材1は、着用される際、使用者に接触する。一方、芯板部材2は、着用部材1の底部12の下面(つまり、使用者と接触する上面とは反対側の面)に取り付けられるので、使用者には接触しない。そのため、新たな使用者にスリッパ100を提供する際、着用部材1を取り換えるだけでよく、芯板部材2は、たとえばその劣化・破損が起こるまで、そのまま使用し続けることができる。従って、着用部材1のような使い捨ての部分を減らし、芯板部材2の使用回数を増やすことができる。よって、3R政策(リデュース、リユース、リサイクル)などに寄与することができ、スリッパ100の再商品化の実施を推進することができる。
【0017】
<1-1-1.着用部材1>
好ましくは、着用部材1の材料は、単一であり、たとえば、ポリエステル(PETなど)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの樹脂材料、レーヨンを用いた不織布、織物により形成される。たとえば、廉価版のスリッパ100では、ポリプロピレン製の不織布で形成される。また、高級品のスリッパ100では、ポリエステル製の織物で形成される。完全なリサイクルを実現するため、着用部材1では、2種以上の材料は用いない。そのため、着用部材1の構成部材はトムソン加工により作製され、構成部材間は融着により接合される。
【0018】
すなわち、本実施形態のスリッパ100では、上述の3R政策を完全に満足させるため、着用部材1は、下記の基準を満たすようにしている。
1.着用部材1の全ての構成部材の作製手段には、トムソン加工、融着による接合を用いる。
2.着用部材1の各々の構成部材間の接合には、融着を用いる。
3.着用部材1の全ての構成部材には、単一の素材を用いる。
4.完全なリサイクルを実現するために、着用部材1には、その構成部材とは異なる素材を含ませない。
【0019】
また、本実施形態では、着用部材1の全ての構成部材の素材には、原則的に、PETなどのポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨンのうちのいずれかを用いている。また、着用部材1の各々の構成部材間の接合には、原則的に、融着を用い、縫製はしない。但し、この例示は、着用部材1の各々の構成部材間の接合に縫製を用いる構成を排除しない。たとえば、高級品のスリッパ100などでは、縫製をすることがある。この際、縫製に使用する糸などの素材は、好ましくは、着用部材1の構成部材の素材と同じとされる。
【0020】
着用部材1を単一の材料を用いて形成することで、たとえば、使用後の着用部材1を容易にリペレット化(粉砕・溶融などをして原材料化)して、マテリアルリサイクルできる。従って、使用後の着用部材1を、未使用の着用部材1或いは他の製品の材料として再利用できる。よって、スリッパ100の再商品化の実施をさらに推進できる。
【0021】
また、着用部材1は、通常、使用者が変わる毎に交換される。スリッパ100の供給者は、たとえば使用済みの着用部材1が一定量以上貯まると、使用済みの着用部材1を回収する。該供給者は、着用部材1を上述のように再資源化して未使用の着用部材1の材料に利用でき、新たな着用部材1を作製してスリッパ100の利用者(宿泊施設など)に再供給できる。このように、供給者は、環境に優しい循環型のビジネスモデルを展開できる。
【0022】
なお、仮に着用部材1を複数種類の材料を用いて形成する場合、使用後の着用部材1は、リサイクル及び再商品化が難しく、通常では産業廃棄物として廃棄・焼却される。
【0023】
また、上述の例示は、着用部材1の材料が樹脂製の不織布又は織物でない構成を排除しない。たとえば、着用部材1の材料は、織物の布製であってもよいし、紙製であってもよい。また、上述の例示は、着用部材1の材料が単一でない構成を排除しない。たとえば、縫製用の糸などに、異なる素材を用いる場合がある。
【0024】
次に、着用部材1の底部12は、クッション部13と、上カバー14と、下カバー15と、を有する。クッション部13は、前後方向及び左右方向に広がるシート状であり、人体の足裏に適合する形状を有する。クッション部13は、歩行時などに使用者の足裏に掛かる力・衝撃などを緩和する。クッション部13の厚さ(上下幅)は、下カバー15の厚さよりも大きい。上カバー14は、クッション部13の上面を覆う。下カバー15は、クッション部13の下面を覆う。上カバー14の外縁部及び下カバー15の外縁部は、クッション部13の外縁部よりも外側において上下方向に重なり、溶着などで接合される。これにより、クッション部13は、上カバー14及び下カバー15に包まれる。
【0025】
また、底部12は、前袋部16と、後袋部17と、中央袋部18と、をさらに有する。本実施形態では、これらはそれぞれ、下カバー15の一部である。なお、以下では、前袋部16、後袋部17、及び中央袋部18の少なくともいずれかを「袋部」と呼称することがある。
【0026】
詳細には、下カバー15には、左右方向に延びる複数の切れ目151が形成される(
図3参照)。
【0027】
下カバー15のうちの最も前方に配置された切れ目151よりも前方の部分は、前袋部16として機能する。前袋部16は、芯板部材2における使用者の爪先側の前端部の少なくとも一部を収容する。たとえば、本実施形態では、前袋部16は、
図2に示すようにクッション部13との間に芯板部材2の前端部を収容する。これにより、着用部材1に対して芯板部材2が前方にずれることを防止できる。
【0028】
下カバー15のうちの最も後方に配置された切れ目151よりも後方の部分は、後袋部17として機能する。後袋部17は、芯板部材2における使用者の踵側の後端部の少なくとも一部を収容する。たとえば、本実施形態では、後袋部17は、クッション部13との間に芯板部材2の後端部を収容する。これにより、着用部材1に対して芯板部材2が後方にずれることを防止できる。
【0029】
また、下カバー15のうちの前後方向中央部に配置されて前後方向に隣り合う2つの切れ目151間の部分は、中央袋部18として機能する。中央袋部18は、芯板部材2における前端部及び後端部間の上下方向から見て短手方向(左右方向)に括れた部分20を収容する。たとえば、本実施形態では、中央袋部18は、クッション部13との間に芯板部材2の前後方向中央部において括れた部分20を収容する。この際、中央袋部18は、括れた部分20のうちの少なくとも、前方に向かうにつれて左右幅が広くなる部分を収容する。これにより、着用部材1に対して芯板部材2が後方にずれることを防止できる。また、好ましくは、中央袋部18は、括れた部分20のうち、後方に向かうにつれて左右幅が広くなる部分をさらに収容する。これにより、着用部材1に対して芯板部材2が前方にずれることを抑制又は防止できる。
【0030】
上述のように、本実施形態では、下カバー15に複数の切れ目151を配置することで、下カバー15の一部分(前端部、後端部、中央部)をそれぞれ、袋部16,17,18として利用している。こうすれば、前後方向における位置決めを要することなく、各々の袋部16,17,18を容易に配置できる。
【0031】
なお、下カバー15において前後方向に隣り合う2つの切れ目151間の部分のうちの袋部16,17,18として利用されない部分152は、本実施形態ではクッション部13と芯板部材2との間に配置される。上述の利用されない部分152の押圧により、弾性を有する芯板部材2の上面が凹む。つまり、上述の利用されない部分152が芯板部材2の上面に食い込むことにより、着用部材1に対する芯板部材2の前後方向におけるずれをさらに抑制できる。但し、この例示に限定されず、上述の利用されない部分は、除去されてもよい。
【0032】
また、上述の例示は、少なくともいずれかの袋部16,17,18が下カバー15の一部ではない構成を排除しない。すなわち、少なくともいずれかの袋部16,17,18は、下カバー15とは別部材であってもよい。該別部材は、芯板部材2の前端部,後端部、及び中央部のうちの少なくともいずれかを覆う。また、該別部材の少なくとも左右方向における端部は、下カバー15に接続される。
【0033】
また、底部12は、本実施形態では後袋部17及び中央袋部18の両方を有するが、この例示に限定されず、後袋部17及び中央袋部18のどちらかを有さなくてもよい。つまり、底部12は、前袋部16と、後袋部17及び中央袋部18の少なくともどちらかと、を有していればよい。好ましくは、底部12は、少なくとも前袋部16及び中央袋部18を有する。但し、この例示は、底部12が前袋部16及び後袋部17のみを有する構成を排除しない。
【0034】
こうすれば、芯板部材2を各々の袋部16,17,18に挿入することにより、着用部材1に対して芯板部材2を容易に取り付けることができる。従って、芯板部材2の取り付け作業性(言い換えると、着用部材1の交換作業性)を向上できる。
【0035】
また、前袋部16が芯板部材2の前端部の少なくとも一部を収容することにより、芯板部材2の前端部を底部12の前端部に取り付けでき、底部12に対する芯板部材2の前方へのずれを防止できる。
【0036】
また、後袋部17が芯板部材2の後端部の少なくとも一部を収容することにより、芯板部材2の後端部を底部12の後端部に取り付けでき、底部12に対する芯板部材2の後方へのずれを防止できる。従って、たとえば芯板部材2の前後方向における端部を前袋部16及び後袋部17に収容することにより、芯板部材2は、前後にずれることなく、底部12に取付できる。
【0037】
また、芯板部材2の前後方向中央の部分20は、左右方向において括れている。従って、中央袋部18が芯板部材2の括れた部分20を収容することにより、芯板部材2が底部12に対して少なくとも後方にずれることをさらに防止しつつ、芯板部材2の部分20を底部12の中央部に取り付けできる。よって、たとえば芯板部材2の前端部を前袋部16に収容し且つ芯板部材2の部分20を中央袋部18に収容することにより、芯板部材2は、前後にずれることなく、底部12に取付できる。
【0038】
また、芯板部材2の部分20を中央袋部18に収容することにより、上下方向における芯板部材2の撓みによって、芯板部材2の前後方向中央の部分20が底部12から離れることを防止できる。従って、たとえば芯板部材2の前後方向における端部を前袋部16及び後袋部17にそれぞれ収容し、且つ芯板部材2の部分20を中央袋部18に収容することにより、芯板部材2を各々の袋部16,17,18で保持できる。さらに、撓みなどによって芯板部材2が底部12から外れることを防止できる。
【0039】
<1-1-2.芯板部材2>
次に、芯板部材2は、単一の材料を用いて形成され、可撓性を有する。芯板部材2の材料を単一にすることで、使用済みの芯板部材2を再資源化して、未使用の芯板部材2又は他の製品の材料として再利用できる。よって、スリッパ100の再商品化の実施をさらに推進できる。また、スリッパ100の供給者は、廃棄される芯板部材2を回収して再資源化し、再商品化により新たな芯板部材2を作製して、スリッパ100の利用者(宿泊施設など)に再供給できる。
【0040】
芯板部材2は、クッション性の高い滑り止め素材を用いて形成され、本実施形態ではポリエチレンなどから成る高反発フォーム材料を用いて形成される。これにより、スリッパ100を履く使用者の足裏を保護し、歩行時の衝撃、地面又は床面の凹凸の感触などが足裏に伝わることを抑制又は防止できる。好ましくは、芯板部材2は、着用部材1よりも摩擦係数が高い材料から成る。
【0041】
本実施形態のスリッパ100では、上述の3R政策を完全に満足させるため、芯板部材2は、下記の基準を満たすようにしている。
1.芯板部材2の全ての構成部材の作製手段には、トムソン加工、融着による接合を用いる。
2.芯板部材2の各々の構成部材間を接合する場合には、融着を用いる。
3.芯板部材2は、着用部材1に対して容易に交換可能である。
4.芯板部材2の全ての構成部材には、単一の素材を用いる。
5.マテリアルリサイクルで再利用できるようにするため、芯板部材2には、その構成部材とは異なる素材を含ませない。
【0042】
また、好ましくは、芯板部材2は、滑り止め加工された接地面を有する。たとえば、芯板部材2の下面のうちの少なくとも袋部16,17,18で覆われていない領域(言い換えると、地面又は床面に面して露出する領域)には、滑り止め加工された面が配置される。さらに好ましくは、芯板部材2の下面の全領域が滑り止め加工された面であってもよい。なお、滑り止め加工の形態は、特に限定しない。滑り止め加工された面において、たとえば左右方向に延びる溝部が前後方向に複数並んでいてもよい。
【0043】
また、摩擦係数が高い材料から成る構成と、滑り止め加工された接地面を有する構成とに関して、両方が採用されてもよいし、片方のみが採用されてもよい。こうすれば、地面或いは床面と直接に接触する部分での芯板部材2の摩擦力を向上できる。従って、スリッパ100を滑り難くできる。これにより、使用者は、浴室、ベランダなどの地面又は床面が滑り易い環境でスリッパ100を履いていても、スリッパ100の接地面が地面又は床面に対してスリップし難くなる。従って、使用者の転倒などを防止できる。よって、スリッパ100の着用の安全性を向上できる。
【0044】
好ましくは、芯板部材2は、凹部2aを有する。凹部2aは、芯板部材2の括れた部分20の左右方向端部に配置されて左右方向に凹み、中央袋部18の左右方向端部を収容する。つまり、着用部材1に芯板部材2が取り付けられた場合、中央袋部18の左右方向端部は、凹部2aに嵌る。こうすれば、芯板部材2が着用部材1に対して前方にずれようとする際、凹部2aの後方側の内側面(言い換えると前方を向く内側面)が中央袋部18の左右方向端部に当接する。また、芯板部材2が着用部材1に対して後方にずれようとする際、凹部2aの前方側の内側面(言い換えると後方を向く内側面)が中央袋部18の左右方向端部に当接する。これらにより、着用部材1に対する芯板部材2の前後方向へのずれをより確実に防止できる。
【0045】
なお、本実施形態では、凹部2aは、左右一対である。左側の凹部2aは、芯板部材2の括れた部分20の左端部に配置されて右方に凹み、中央袋部18の左端部を収容する。右側の凹部2aは、芯板部材2の括れた部分20の右端部に配置されて左方に凹み、中央袋部18の右端部を収容する。
【0046】
但し、上述の例示に限定されず、左右一対の凹部2aのどちらかは省略されてもよい。つまり、芯板部材2は、左側の凹部2aと右側の凹部2aとのどちらかのみを有してもよい。また、上述の例示は、芯板部材2が左右一対の凹部2aの両方を有さない構成を排除しない。
【0047】
このほか、芯板部材2は、前方段差2b及び後方段差2cの少なくともどちらかを有してもよい。
図4は、実施例に係るスリッパ100の他の構成例を示す外観図である。
図5は、実施例に係るスリッパ100の他の構成例を示す分解斜視図である。
図6Aは、前方段差2bの構成例を示す斜視図である。
図6Bは、後方段差2cの構成例を示す斜視図である。なお、
図6Aは、
図4の破線で囲まれた部分VIaの拡大図である。
図6Bは、
図4の破線で囲まれた部分VIbの拡大図である。
【0048】
前方段差2bは、芯板部材2の前側部分の左右方向端部に配置される。着用部材1に対して芯板部材2が取り付けられる際、芯板部材2のうちの前方段差2bよりも前方側の部分は、前袋部16に収容される。
【0049】
図6Aに示すように、前方段差2bは、第1側面f1と、第2側面f2と、第3側面f3と、で構成される。第1側面f1から第3側面f3はそれぞれ、芯板部材2の外側面の一部である。第1側面f1は、前後方向と交差する面であり、少なくとも前方を向く。第2側面f2は、第1側面f1の左右方向内方側の端部から前方に延びる。第3側面f3は、第1側面f1の左右方向外方側の端部から後方に延びる。第3側面f3の前端部は、第2側面f2の後端部、及び、前袋部16の左右方向外方側の端部(の後端部)よりも左右方向外方に配置される。なお、左右方向外方とは、所定の部材(ここでは芯板部材2)において左右方向の中央部から離れる向きを指す。また、左右方向内方とは、左右方向において所定の部材の中央部に近付く向きを指す。
【0050】
前方段差2bの第1側面f1は、着用部材1に対して芯板部材2が取り付けられる際、前袋部16の左右方向端部(の後方端部)と前後方向に対向する。こうすれば、芯板部材2が着用部材1に対して前方にずれようとする際、前方段差2bの第1側面f1が前袋部16の左右方向端部に当接する。これにより、芯板部材2の着用部材1に対する前方へのずれをより確実に防止できる。
【0051】
なお、
図4及び
図5では、前方段差2bは、左右一対であり、芯板部材2の前側部分の左右方向両端部に配置される。但し、この例示に限定されず、左右一対の前方段差2bのどちらかは省略されてもよい。つまり、芯板部材2は、左側の前方段差2bと右側の前方段差2bとのどちらかのみを有してもよい。また、
図4及び
図5の例示は、芯板部材2が左右一対の前方段差2bの両方を有さない構成を排除しない。
【0052】
後方段差2cは、芯板部材2の後側部分の左右方向端部に配置される。着用部材1に対して芯板部材2が取り付けられる際、芯板部材2のうちの後方段差2cよりも後方側の部分は、後袋部17に収容される。
【0053】
図6Bに示すように、後方段差2cは、第4側面f4と、第5側面f5と、第6側面f6と、で構成される。第4側面f4から第6側面f6はそれぞれ、芯板部材2の外側面の一部である。第4側面f4は、前後方向と交差する面であり、少なくとも後方を向く。第5側面f5は、第4側面f4の左右方向内方側の端部から後方に延びる。第6側面f6は、第4側面f4の左右方向外方側の端部から後方に延びる。第6側面f6の後端部は、第5側面f5の前端部、及び、後袋部17の左右方向外方側の端部(の前端部)よりも左右方向外方に配置される。
【0054】
後方段差2cの第4側面f4は、着用部材1に対して芯板部材2が取り付けられる際、後袋部17の左右方向端部(の後方端部)と前後方向に対向する。こうすれば、芯板部材2が着用部材1に対して後方にずれようとする際、後方段差2cの第4側面f4が後袋部17の左右方向端部に当接する。これにより、芯板部材2の着用部材1に対する後方へのずれをより確実に防止できる。
【0055】
なお、
図4及び
図5では、後方段差2cは、左右一対であり、芯板部材2の後側部分の左右方向両端部に配置される。但し、この例示に限定されず、左右一対の後方段差2cのどちらかは省略されてもよい。つまり、芯板部材2は、左側の後方段差2cと右側の後方段差2cとのどちらかのみを有してもよい。また、
図4及び
図5の例示は、芯板部材2が左右一対の後方段差2cの両方を有さない構成を排除しない。
【0056】
また、
図4及び
図5では、芯板部材2は、前方段差2b及び後方段差2cの両方を有する。但し、この例示に限定されず、前方段差2b及び後方段差2cのどちらかは省略されてもよい。つまり、芯板部材2は、前方段差2bと後方段差2cとのどちらかのみを有してもよい。また、
図4及び
図5の例示は、芯板部材2が前方段差2b及び後方段差2cの両方を有さない構成を排除しない。
【0057】
<1-1-3.芯板部材2の取り付け例>
次に、
図7A~
図7Cを参照して、着用部材1に対する芯板部材2の取り付け例を説明する。
図7Aは、中央袋部18に芯板部材2の括れた部分20を収容した図である。
図7Bは、前袋部16に芯板部材2の前端部を挿入する図である。
図7Cは、前袋部16に芯板部材2の前端部を収容した図である。なお、
図7A~
図7Cは、前袋部16及び中央袋部18で芯板部材2を保持する構成を示している。つまり、後袋部17は、省略されている。
【0058】
まず、中央袋部18の前方側から芯板部材2の後端部を中央袋部18に挿入し、
図7Aに示すように、芯板部材2の括れた部分20を中央袋部18に収容する。この際、芯板部材2の凹部2aには、中央袋部18の左右方向端部が嵌る。これにより、着用部材1に対する芯板部材2の前後方向のずれを抑制する。
【0059】
なお、着用部材1が後袋部17を有する場合には、この際、芯板部材2の後端部を後袋部17に挿入して後袋部17に収容する。
【0060】
次に、
図7Bに示すように、芯板部材2の前端部を前袋部16に挿入する。そして、
図7Cに示すように、芯板部材2の前端部を前袋部16に収容する。これにより、芯板部材2は各々の袋部16(,17),18で保持され、着用部材1に対して芯板部材2が取り付けられる。
【0061】
<1-2.第1変形例>
上述の実施例(
図1~
図5など参照)では、前袋部16は、芯板部材2の前端部を全て収容する。また、後袋部17は、芯板部材2の後端部を全て収容する。但し、この例示に限定されず、前袋部16は、芯板部材2の前端部の一部のみを収容してもよい。また、後袋部17は、芯板部材2の後端部の一部のみを収容してもよい。
【0062】
図8は、第1変形例に係るスリッパ100の構成例を示す外観図である。
図9Aは、第1変形例に係るスリッパ100の前端部の構成例を示す断面図である。
図9Bは、第1変形例に係るスリッパ100の後端部の構成例を示す断面図である。なお、
図9Aは、
図8の一点鎖線IXa-IXaに沿い且つ上下方向と平行な仮想の平面で切断した場合のスリッパ100の断面構造を示す。
図9Bは、
図8の一点鎖線IXb-IXbに沿い且つ上下方向と平行な仮想の平面で切断した場合のスリッパ100の断面構造を示す。
【0063】
以下では、第1変形例において、上述の実施例と異なる構成を説明する。また、実施例と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0064】
第1変形例では
図8~
図9Bに示すように、芯板部材2は、本体部21と、一対の前板部22と、一対の後板部23と、を有する。本体部21は、芯板部材2のうちの前板部22と後板部23との間の部分である。なお、本体部21、前板部22、及び後板部23は一体である。但し、この例示は、前板部22及び後板部23の少なくともどちらかが本体部21とは別部材である構成を排除しない。
【0065】
一対の前板部22は、芯板部材2の前端部であり、それぞれ本体部21の前端から前方に延びて上下方向に重なる。すなわち、芯板部材2の前端部は、上下方向に重なる一対の前板部22を有する。以下では、上側の前板部22を第1前板部221と呼び、下側の前板部22を第2前板部222と呼ぶ。
【0066】
第1前板部221は、前袋部16に覆われ、詳細には前袋部16とクッション部13との間に収容される。この際、第2前板部222は、前袋部16よりも下方に配置される。第2前板部222は、第1前板部221との間に前袋部16を挟む。芯板部材2の前端部が上述の様に収容されること、及び一対の前板部22で前袋部16を挟むことにより、着用部材1の底部12の前端部に対して芯板部材2の前端部を確実に保持できる。また、第2前板部222は、着用部材1の前袋部16の外部に配置されるので、第2前板部222の下面は、地面又は床面と接地可能である。従って、芯板部材2の接地面積を増やすことができる。よって、スリッパ100をより滑り難くできる。
【0067】
好ましくは、第2前板部222の下面は、滑り止め加工される。こうすれば、スリッパ100をさらに滑り難くできる。
【0068】
一対の後板部23は、芯板部材2の後端部であり、それぞれ本体部21の後端から後方に延びて上下方向に重なる。すなわち、芯板部材2の後端部は、上下方向に重なる一対の後板部23を有する。以下では、上側の後板部23を第1後板部231と呼び、下側の後板部23を第2後板部232と呼ぶ。
【0069】
第1後板部231は、後袋部17に覆われ、詳細には後袋部17とクッション部13との間に収容される。この際、第2後板部232は、後袋部17よりも下方に配置される。第2後板部232は、第1後板部231との間に後袋部17を挟む。芯板部材2の後端部が上述の様に収容されること、及び一対の後板部23で後袋部17を挟むことにより、着用部材1の底部12の後端部に対して芯板部材2の後端部を確実に保持できる。また、第2後板部232は、着用部材1の後袋部17の外部に配置されるので、第2後板部232の下面は、地面又は床面と接地可能である。従って、芯板部材2の接地面積を増やすことができる。よって、スリッパ100をより滑り難くできる。
【0070】
好ましくは、第2後板部232の下面は、滑り止め加工される。こうすれば、スリッパ100をさらに滑り難くできる。
【0071】
なお、
図8では、芯板部材2は、一対の前板部22及び一対の後板部23の両方を有する。但し、この例示に限定されず、芯板部材2は、一対の前板部22及び一対の後板部23の片方のみを有してもよい。つまり、芯板部材2の前端部及び後端部のどちらかは、袋部16,17で丸ごと覆われて、クッション部13との間に丸ごと収容されてもよい。
【0072】
<1-3.第2変形例>
また、上述の実施例(
図1~
図3参照)及び第1変形例(
図8~
図9B参照)では、芯板部材2の下面のうち、袋部16,17,18で覆われていない領域は接地面となる。但し、この例示に限定されず、上記領域には、ソール部3が配置されてもよい。
【0073】
図10は、第2変形例に係るスリッパ100の構成例を示す外観図である。
図11は、第2変形例に係るスリッパ100の構成例を示す断面図である。なお、
図11は、
図10の一点鎖線XI-XIに沿い且つ上下方向と平行な仮想の平面で切断した場合のスリッパ100の断面構造を示す。
【0074】
以下では、第2変形例において、上述の実施例及び第1変形例と異なる構成を説明する。また、実施例及び第1変形例と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0075】
第2変形例では
図10及び
図11に示すように、スリッパ100は、ソール部3を有する。ソール部3は、芯板部材2の下面に配置されて、直接に接地可能である。ソール部3の厚さは、下カバー15の厚さよりも大きい。ここで、ソール部3の厚さは、ソール部3の下面と芯板部材2の下面との間の間隔を意味する。ソール部3は、芯板部材2と一体であってもよい。又は、ソール部3は、別部材であって、接着、溶着などの手段で芯板部材2の下面に固定されてもよい。こうすれば、ソール部3が配置されない構成と比較して、使用者の足裏と地面或いは床面との間隔をより大きくできる。従って、着用時におけるスリッパ100のクッション性を向上できる。
【0076】
本実施形態では、ソール部3は、第1ソール部31と、第2ソール部32と、を有する。芯板部材2が着用部材1に取り付けられる際、第1ソール部31は、芯板部材2の下面のうち、上下方向から見て前袋部16と中央袋部18との間の領域に配置される。第2ソール部32は、芯板部材2の下面のうち、上下方向から見て後袋部17と中央袋部18との間の領域に配置される。但し、中央袋部18が省略される構成では、芯板部材2の下面のうちの上下方向から見て前袋部16と後袋部17との間の領域に、ソール部3が配置される。
【0077】
本実施形態では、ソール部3の材料は、芯板部材2と同じである。こうすれば、ソール部3が配置された芯板部材2を捨てる際、これらを容易に再資源化して、未使用のソール部3付きの芯板部材2又は他の製品の材料として再利用できる。従って、不要となった芯板部材2及びソール部3を、未使用の芯板部材2及びソール部3、或いは他の製品の材料として再利用できる。よって、スリッパ100の再商品化の実施をさらに推進できる。また、スリッパ100の供給者は、ソール部3が配置された使用済みの芯板部材2を回収して再資源化し、再商品化により新たなソール部3付きの芯板部材2を作製して、スリッパ100の利用者(宿泊施設など)に再供給できる。但し、上述の例示は、ソール部3の材料が芯板部材2とは異なる構成を排除しない。
【0078】
また、ソール部3は、本実施形態ではポリエチレンなどの樹脂材料を用いて形成される。好ましくは、ソール部3は、着用部材1よりも摩擦係数が高い材料から成る。また、ソール部3は、芯板部材2よりも摩擦係数が高い材料から成ってもよい。
【0079】
また、好ましくは、ソール部3は、滑り止め加工された接地面を有する。たとえば、第1ソール部31及び第2ソール部32の少なくともどちらかの下面は、滑り止め加工された面である。滑り止め加工の形態は、特に限定しない。滑り止め加工された面において、たとえば左右方向に延びる溝部が前後方向に複数並んでいてもよい。但し、この例示は、ソール部3(たとえば第1ソール部31及び第2ソール部32の両方)が滑り止め加工された接地面を有さない構成を排除しない。
【0080】
なお、摩擦係数が高い材料から成る構成と、滑り止め加工された接地面を有する構成とに関して、両方が採用されてもよいし、片方のみが採用されてもよい。こうすれば、地面或いは床面に対するソール部3の摩擦力を向上できる。従って、スリッパ100を滑り難くできる。
【0081】
また、
図11では、ソール部3の厚さは一定である。たとえば、第1ソール部31の厚さは、第2ソール部32の厚さと同じである。但し、この例示に限定されず、ソール部3の使用者の踵側の部分の厚さは、ソール部3の使用者の爪先側の部分よりも厚くてもよい。たとえば、第1ソール部31の厚さは、第2ソール部32の厚さよりも大きくてもよい。また、ソール部3の厚さは、前方に向かうにつれて厚くなってもよい。使用者の体重の多くは、スリッパ100の踵側に掛かる。そのため、ソール部3の踵側の部分の厚さをより厚くすることで、スリッパ100のクッション性をさらに向上できる。
【0082】
<2.備考>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0083】
たとえば、上述の実施形態では、クッション部13及び袋部16,17,18間に芯板部材2の一部を挿入することにより、着用部材1に芯板部材2を取り付けている。但し、着用部材1に対する芯板部材2の取付手段は、この例示に限定されない。該取付手段は、たとえば、マジックテープ(登録商標),ベルクロ(登録商標)などの面ファスナーであってもよい。或いは、該取付手段は、着用部材1及び芯板部材2の一方が備える係合部と、他方が備える被係合部との係合構造であってもよい。
【0084】
また、上述の実施形態では、本発明をスリッパに適用している。但し、この例示に限定されず、本発明は、スリッパ以外の履物(サンダルなど)にも適用できる。
【0085】
<3.総括>
以下では、これまでに説明してきた実施形態について総括的に述べる。
【0086】
たとえば、本明細書中に開示されている履物は、
使用者の足部に着用される着用部材と、
前記着用部材に取り付けられる板状の芯板部材と、
を備え、
前記着用部材は、
前記使用者の足裏が上面に乗る底部と、
前記底部と一体であって前記使用者の足の甲を覆う被覆部と、
を有し、
前記芯板部材は、前記底部の下面に対して装脱着可能に取り付けられる構成(第1の構成)とされる。
【0087】
上記第1の構成の履物は、
前記着用部材の材料は単一である構成(第2の構成)であってもよい。
【0088】
また、上記第1又は第2の構成の履物は、
前記底部は、前袋部と、後袋部及び中央袋部の少なくともどちらかと、を有し、
前記前袋部は、前記芯板部材における前記使用者の爪先側の前端部の少なくとも一部を収容し、
前記後袋部は、前記芯板部材における前記使用者の踵側の後端部の少なくとも一部を収容し、
前記中央袋部は、前記芯板部材における前記前端部及び前記後端部間の上下方向から見て短手方向に括れた部分を収容する構成(第3の構成)であってもよい。
【0089】
また、上記第3の構成の履物は、
前記底部は、前記中央袋部を有し、
前記芯板部材は、前記括れた部分の左右方向端部に配置されて左右方向に凹む凹部を有し、
前記凹部は、前記中央袋部の左右方向端部を収容する構成(第4の構成)であってもよい。
【0090】
また、上記第3又は第4の構成の履物は、
前記芯板部材の前記前端部は、上下方向に重なる一対の前板部を有し、
上側の前記前板部は、前記前袋部に覆われ、
下側の前記前板部は、上側の前記前板部との間に前記前袋部を挟む構成(第5の構成)であってもよい。
【0091】
また、上記第3から第5のいずれかの構成の履物は、
前記底部は、前記後袋部を有し、
前記芯板部材の前記後端部は、上下方向に重なる一対の後板部を有し、
上側の前記後板部は、前記後袋部に覆われ、
下側の前記後板部は、上側の前記後板部との間に前記後袋部の一部を挟む構成(第6の構成)であってもよい。
【0092】
また、上記第1から第6のいずれかの構成の履物は、
前記芯板部材は、
前記着用部材よりも摩擦係数が高い材料から成り、及び/又は、
滑り止め加工された接地面を有する構成(第7の構成)であってもよい。
【0093】
また、上記第1から第6のいずれかの構成の履物は、
前記芯板部材の下面に配置されて直接に接地可能なソール部を有する構成(第8の構成)であってもよい。
【0094】
また、上記第8の構成の履物は、
前記ソール部の材料は、前記芯板部材と同じである構成(第9の構成)であってもよい。
【0095】
また、上記第8又は第9の構成の履物は、
前記ソール部は、
前記着用部材よりも摩擦係数が高い材料から成り、及び/又は、
滑り止め加工された接地面を有する構成(第10の構成)であってもよい。
【0096】
また、上記第8から第10のいずれかの構成の履物は、
前記ソール部の前記使用者の踵側の部分の厚さは、前記ソール部の前記使用者の爪先側の部分よりも大きい構成(第11の構成)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、使用者と接する部分が交換可能な履物に有用である。
【符号の説明】
【0098】
1 着用部材
2 芯板部材
2a 凹部
2b 前方段差
2c 後方段差
3 ソール部
11 被覆部
12 底部
13 クッション部
14 上カバー
15 下カバー
16 前袋部
17 後袋部
18 中央袋部
20 括れた部分
21 本体部
22 前板部
23 後板部
31 第1ソール部
32 第2ソール部
100 スリッパ
151 切れ目
152 利用されない部分
221 第1前板部
222 第2前板部
231 第1後板部
232 第2後板部
f1 第1側面
f2 第2側面
f3 第3側面
f4 第4側面
f5 第5側面
f6 第6側面