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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110643
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】超音波診断装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015345
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀和田 靖
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友広
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔平
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601EE24
4C601GB18
4C601HH05
4C601JB40
4C601JB52
4C601JB53
4C601JC37
4C601KK25
4C601KK31
(57)【要約】
【課題】要求される画質モードに応じて、超音波診断用プローブの画質モードの変更に関する画質モード変更情報を出力すること。
【解決手段】実施形態の超音波診断装置は、第1取得部、第2取得部、生成部及び表示制御部を備える。第1取得部は、超音波プローブが送信する超音波送信の深さ方向における集束点の位置に対応する、前記超音波プローブの安全基準に関する規制情報を取得する。第2取得部は、前記規制情報に対応する、前記超音波プローブの規制電圧値を含む電圧情報を取得する。生成部は、前記電圧情報に含まれる、前記超音波プローブの熱指標を基準とした熱規制電圧値と、前記超音波プローブのパワー指標を基準としたパワー規制電圧値と、に基づいて、前記超音波プローブの画質のモードが変更可能か否かを示す画質モード変更情報を生成する。表示制御部は、前記画質モード変更情報を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブが送信する超音波送信の深さ方向における集束点の位置に対応する、前記超音波プローブの安全基準に関する規制情報を取得する第1取得部と、
前記規制情報に対応する、前記超音波プローブの規制電圧値を含む電圧情報を取得する第2取得部と、
前記電圧情報に含まれる、前記超音波プローブの熱指標を基準とした熱規制電圧値と、前記超音波プローブのパワー指標を基準としたパワー規制電圧値と、に基づいて、前記超音波プローブの画質が変更可能か否かを示す画質モード変更情報を生成する生成部と、
前記画質モード変更情報を出力する表示制御部と、
を備える超音波診断装置。
【請求項2】
前記超音波送信の深さ方向毎に、前記熱規制電圧値が、複数の前記パワー規制電圧値を上回るかを判定する判定部と、をさらに備え、
前記画質モード変更情報は、前記超音波プローブから送信される送信電圧を上げて、感度を上げるモードを示す高画質モードの可否を示す高画質モード可否情報を含む、
を請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記超音波送信の深さ方向毎に、前記高画質モード可否情報を生成する、
請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記熱規制電圧値が前記パワー規制電圧値を上回る場合、前記熱規制電圧値と、複数の前記パワー規制電圧値のうち、最も大きいパワー規制電圧値と、の差分を示す規制電圧差を算出する算出部と、をさらに備え、
前記生成部は、前記高画質モードが可能であることを示す高画質モード可能情報と、前記高画質モードに対応する高画質の超音波画像を生成し、
前記表示制御部は、前記高画質モード可能情報と、前記高画質の超音波画像と、を出力する、
請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記超音波プローブの内部温度を示す温度情報を取得する第3取得部と、
前記温度情報に基づいて、前記算出部が算出した規制電圧差を補正規制電圧差として補正する補正部と、をさらに備え、
前記生成部は、前記補正規制電圧差に基づいて、前記高画質モード可能情報を再生成し、
前記表示制御部は、再生成した前記高画質モード可能情報を出力する、
請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記再生成した前記高画質モード可能情報を、前記高画質の超音波画像と合わせて、所定の間隔で、切り替えて出力する、
請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
コンピュータに、
超音波プローブが送信する超音波送信の深さ方向における集束点の位置に対応する、前記超音波プローブの安全基準に関する規制情報を取得する第1取得部と、
前記規制情報に対応する、前記超音波プローブの規制電圧値を含む電圧情報を取得する第2取得部と、
前記電圧情報に含まれる、前記超音波プローブの熱指標を基準とした熱規制電圧値と、前記超音波プローブのパワー指標を基準としたパワー規制電圧値と、に基づいて、前記超音波プローブの画質のモードが変更可能か否かを示す画質モード変更情報を生成する生成部と、
前記画質モード変更情報を出力する表示制御部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、超音波診断装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置には、超音波診断用プローブの出力に関して、安全性基準(一例として、生体表面における発熱、生体内における発熱、パワー、負圧等)が定められている。例えば、生体表面における発熱に関する安全基準として、超音波診断装置の個別規格であるIEC60601-2-37が世界的に採用されている。IEC60601-2-37では、生体の軟組織を模擬したファントムにプローブ送信面を接地させ、送信開始してから30分の連続使用で43℃を超えないことが要求される。
【0003】
ところで、例えば、超音波診断用プローブのパワーや負圧は、ある電圧で送信した時点で安全性基準の規制に到達する。超音波診断用プローブの発熱の場合は、安全性規制温度に到達するまでには、時間を要する。そのため、パワーや負圧だけでなく、発熱で超音波診断用プローブの電圧規制される場合は、送信電圧を上げ、画質モードをより高画質にすることができる(一例として、高画質モード等)。
【0004】
また、超音波診断用プローブの電圧規制される場合は、超音波診断用プローブの出力電圧を上げたことで、どの程度の時間で安全性規制温度に到達するを表示することも可能となる(一例として、タイマー表示等)。
【0005】
しかしながら、操作者により、高画質モードを選択された場合、係るプローブでは、性能的に音響出力に余力があったとしても、上述した安全性基準の制約により、送信電圧を上げることができない可能性がある。また、高出力の送信を可能とする場合には、安全性基準を満たすために規定温度に達する超音波の送信動作を停止させる等の制御が必要となるが、検査中等の意図しないタイミングで動作が停止してしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-87698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、要求される画質モードに応じて、超音波診断用プローブの画質モードの変更に関する画質モード変更情報を出力することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の超音波診断装置は、第1取得部、第2取得部、生成部及び表示制御部を備える。第1取得部は、超音波プローブが送信する超音波送信の深さ方向における集束点の位置に対応する、前記超音波プローブの安全基準に関する規制情報を取得する。第2取得部は、前記規制情報に対応する、前記超音波プローブの規制電圧値を含む電圧情報を取得する。生成部は、前記電圧情報に含まれる、前記超音波プローブの熱指標を基準とした熱規制電圧値と、前記超音波プローブのパワー指標を基準としたパワー規制電圧値と、に基づいて、前記超音波プローブの画質のモードが変更可能か否かを示す画質モード変更情報を生成する。表示制御部は、前記画質モード変更情報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、安全基準に関する規制情報及び電圧情報の関係を示すテーブルである。
図3図3は、第1実施形態に係る高画質モード可否情報の一例を説明するための図である。
図4図4は、第1実施形態に係る超音波診断装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、変形例1に係る高画質モード可否情報の一例を説明するための図である。
図6図6は、第2実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、第2実施形態に係る高画質モード可否情報の一例を説明するための図である。
図8図8は、第2実施形態に係る超音波診断装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る超音波診断装置について説明する。なお、一つの実施形態又は変形例に記載した内容は、他の実施形態又は他の変形例にも同様に適用されてもよい。
【0011】
まず、実施形態に係る超音波診断装置1の構成例について説明する。図1は、実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に例示するように、超音波診断装置1は、装置本体100、超音波プローブ101、入力装置102及びディスプレイ103を有する。
【0012】
超音波プローブ101は、例えば、圧電振動子等の複数の素子を有する。これら複数の素子は、後述する装置本体100が有する送信回路120から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。さらに、超音波プローブ101は、例えば、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
【0013】
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波として超音波プローブ101が有する複数の素子にて受信される。受信される反射波の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0014】
超音波プローブ101は、装置本体100と着脱可能に設けられる。また、超音波プローブ101は、温度センサ110を備える。被検体P内の2次元領域の走査(2次元走査)を行う場合、操作者は、例えば、複数の圧電振動子が一列で配置された1Dアレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100に接続する。1Dアレイプローブは、リニア型超音波プローブ、コンベックス型超音波プローブ、セクタ型超音波プローブ等である。
【0015】
また、被検体P内の3次元領域の走査(3次元走査)を行う場合、操作者は、例えば、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100と接続する。メカニカル4Dプローブは、1Dアレイプローブのように一列で配列された複数の圧電振動子を用いて2次元走査が可能であるとともに、複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで3次元走査が可能である。
【0016】
また、2Dアレイプローブは、マトリックス状に配置された複数の圧電振動子により3次元走査が可能であるとともに、超音波を集束して送信することで2次元走査が可能である。
【0017】
また、超音波プローブ101は、内部に温度センサ110を備える。例えば、温度センサ110は、振動素子の近傍に設けられる。温度センサ110は、超音波プローブ101の内部温度を検出する。温度センサ110により検出された超音波プローブ101の内部温度の温度情報は、ケーブルを介して装置本体100の処理回路190に送信される。
【0018】
入力装置102は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール及びジョイスティック等の入力手段により実現される。入力装置102は、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体100に転送する。
【0019】
例えば、入力装置102は、超音波診断装置1の操作者からCAD(Computer Aided Detection)処理を実行するための指示(実行指示)を受け付け、受け付けた実行指示を装置本体100の処理回路190に送信する。また、操作者は、入力装置102を介して、超音波画像中の特徴的な部位(特徴部位)を自動的に検出するCAD処理において、特徴部位の検索範囲であるROI(Region Of Interest)を超音波画像に設定することもできる。
【0020】
ディスプレイ103は、例えば、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データにより示される超音波画像等を表示したりする。ディスプレイ103は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ等によって実現される。ディスプレイ103は、表示部の一例である。
【0021】
装置本体100は、超音波プローブ101から送信される反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する。装置本体100は、超音波プローブ101が送信した被検体Pの2次元領域に対応する反射波信号に基づいて2次元の超音波画像データを生成可能である。また、装置本体100は、超音波プローブ101が送信した被検体Pの3次元領域に対応する反射波信号に基づいて3次元の超音波画像データを生成可能である。
【0022】
図1に示すように、装置本体100は、送信回路120、受信回路130、Bモード処理回路140、ドプラ処理回路150、画像生成回路160、画像メモリ170、記憶回路180及び処理回路190を有する。温度センサ110、送信回路120、受信回路130、Bモード処理回路140、ドプラ処理回路150、画像生成回路160、画像メモリ170、記憶回路180及び処理回路190は、互いに通信可能に接続されている。
【0023】
送信回路120は、処理回路190による制御を受けて、超音波プローブ101から超音波を送信させる。送信回路120は、レートパルサ発生回路、送信遅延回路及び送信パルサを有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。
【0024】
送信回路120は、被検体P内の2次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から2次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。また、送信回路120は、被検体P内の3次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から3次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。
【0025】
レートパルサ発生回路は、所定のレート周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波(送信ビーム)を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。レートパルスが送信遅延回路を経由することで、異なる送信遅延時間を有した状態で送信パルサに電圧が印加される。
【0026】
例えば、送信遅延回路は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子毎の送信遅延時間を、レートパルサ発生回路により発生される各レートパルスに対して与える。送信パルサは、かかるレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。なお、送信遅延回路は、各レートパルスに与える送信遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの超音波の送信方向を任意に調整する。
【0027】
駆動パルスは、送信パルサからケーブルを介して超音波プローブ101内の圧電振動子まで伝達した後に、圧電振動子において電気信号から機械的振動に変換される。この機械的振動によって発生した超音波は、生体内部に送信される。ここで、圧電振動子毎に異なる送信遅延時間を持った超音波は、集束されて、所定方向に伝搬していく。
【0028】
なお、送信回路120は、処理回路190による制御を受けて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有する。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0029】
超音波プローブ101により送信された超音波の反射波は、超音波プローブ101内部の圧電振動子まで到達した後、圧電振動子において、機械的振動から電気的信号(反射波信号)に変換され、受信回路130に入力される。受信回路130は、処理回路190による制御を受けて、超音波プローブ101から送信された反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成し、生成した反射波データをBモード処理回路140及びドプラ処理回路150に出力する。
【0030】
例えば、受信回路130は、反射波信号を受信する度に、受信した反射波信号から反射波データを生成する。受信回路130は、超音波プローブ101から送信された2次元の反射波信号から2次元の反射波データを生成する。また、受信回路130は、超音波プローブ101から送信された3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
【0031】
受信回路130は、プリアンプと、A/D(Analog to Digital)変換器と、直交検波回路等を有する。プリアンプは、反射波信号をチャンネル毎に増幅してゲイン調整(ゲイン補正)を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換することでゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。
【0032】
直交検波回路は、デジタル信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。そして、直交検波回路は、I信号及びQ信号(IQ信号)を反射波データとしてBモード処理回路140及びドプラ処理回路150に出力する。
【0033】
Bモード処理回路140は、処理回路190による制御を受けて、受信回路130から出力された反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理及び対数圧縮等を行って、サンプル点毎の信号強度(振幅強度)が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0034】
例えば、Bモード処理回路140は、反射波データを受信する度に、受信した反射波データからBモードデータを生成する。Bモード処理回路140は、生成したBモードデータを画像生成回路160に出力する。Bモード処理回路140は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0035】
ドプラ処理回路150は、処理回路190による制御を受けて、受信回路130から出力された反射波データを周波数解析することで、ドプラ効果に基づく移動体(血流や組織、造影剤エコー成分等)の運動情報を抽出し、抽出した運動情報を示すデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0036】
例えば、ドプラ処理回路150は、移動体の運動情報として、平均速度、分散及びパワー等を多点に渡り抽出し、抽出した移動体の運動情報を示すドプラデータを生成する。例えば、ドプラ処理回路150は、反射波データを受信する度に、受信した反射波データからドプラデータを生成する。ドプラ処理回路150は、生成したドプラデータを画像生成回路160に出力する。ドプラ処理回路150は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0037】
Bモード処理回路140及びドプラ処理回路150は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。
【0038】
画像生成回路160は、処理回路190による制御を受けて、Bモード処理回路140及びドプラ処理回路150が出力した各種のデータ(Bモードデータ及びドプラデータ)から超音波画像データを生成する。
【0039】
例えば、画像生成回路160は、Bモード処理回路140及びドプラ処理回路150から出力された各種のデータを受信する度に、受信した各種のデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成回路160は、超音波走査に対してリアルタイムで時系列に沿った複数の超音波画像データを生成する。
【0040】
このようにして、本実施形態では、受信回路130、Bモード処理回路140、ドプラ処理回路150及び画像生成回路160が、リアルタイムで、時系列に沿った複数の超音波画像データを収集する。
【0041】
そして、画像生成回路160は、リアルタイムで生成された時系列に沿った複数の超音波画像データを、画像メモリ170に記憶させる。具体例を挙げて説明すると、画像生成回路160は、超音波画像データを生成する度に、生成した超音波画像データを画像メモリ170に記憶させる。
【0042】
例えば、超音波走査により得られた時系列に沿った複数の超音波画像データのうち、1番目に生成された超音波画像データは、1フレーム目の超音波画像データと称される。同様に、N(Nは、1以上の整数)番目に生成された超音波画像データは、Nフレーム目の超音波画像データと称される。
【0043】
画像生成回路160は、プロセッサにより実現される。ここで、画像生成回路160は、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。
【0044】
例えば、画像生成回路160は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路160は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、画像生成回路160は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0045】
また、画像生成回路160は、Bモード処理回路140により生成された3次元のBモードデータに対して座標変換を行うことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路160は、ドプラ処理回路150により生成された3次元のドプラデータに対して座標変換を行うことで、3次元ドプラ画像データを生成する。
【0046】
すなわち、画像生成回路160は、「3次元のBモード画像データ及び3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。そして、画像生成回路160は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対して様々なレンダリング処理を行う。
【0047】
Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路160が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
【0048】
画像メモリ170は、画像生成回路160により生成された各種の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ170は、Bモード処理回路140及びドプラ処理回路150により生成されたデータも記憶する。
【0049】
画像メモリ170が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路160を経由して表示用の超音波画像データとなる。例えば、画像メモリ170は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
【0050】
記憶回路180は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク、IEC60601-2-37に関する安全基準に関する規制情報及び電圧情報等の各種データを記憶する。また、記憶回路180は、必要に応じて、画像メモリ170が記憶するデータの保管等にも使用される。例えば、記憶回路180は、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
【0051】
処理回路190は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。処理回路190は、例えば、プロセッサにより実現される。処理回路190は、制御機能191、受付機能192、第1取得機能193、第2取得機能194、判定機能195、算出機能196、生成機能197及び表示制御機能198の各処理機能を有する。
【0052】
ここで、例えば、処理回路190が有する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路180に記憶される。図1に示す処理回路190の構成要素である制御機能191、受付機能192、第1取得機能193、第2取得機能194、判定機能195、算出機能196、生成機能197及び表示制御機能198の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路180に記憶されている。
【0053】
処理回路190は、各プログラムを記憶回路180から読出し、読出された各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読出した状態の処理回路190は、図1の処理回路190内に示された各機能を有することとなる。
【0054】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、若しくは、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0055】
プロセッサは、記憶回路180に保存されたプログラムを読出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路180にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読出し実行することで機能を実現する。
【0056】
なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサ毎に単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。以下の説明で用いられる「プロセッサ」という文言についても同様である。
【0057】
制御機能191は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路180から読込んだ各種データに基づき、送信回路120、受信回路130、Bモード処理回路140、ドプラ処理回路150及び画像生成回路160の処理を制御する。制御機能191は、制御部の一例である。
【0058】
受付機能192は、ユーザからの入力を受け付ける。受付機能192は、受付部の一例である。例えば、受付機能192は、ユーザから高画質モードに関する高画質モード情報を受け付ける。高画質モード情報は、例えば、高画質モードを起動するオン又はオフの情報である。
【0059】
また、高画質モードとは、例えば、安全基準に対応する温度飽和までの時間を犠牲にして、超音波プローブ101から送信される送信電圧を上げて、感度を上げるモードである。本実施形態において、受付機能192は、ディスプレイ103に表示される高画質モード情報の入力画面を介して、高画質モード情報の入力を受け付ける。
【0060】
第1取得機能193は、深さ方向に対応する規制情報を取得する。第1取得機能193は、第1取得部の一例である。具体的には、第1取得機能193は、超音波プローブ101が送信する超音波送信の深さ方向における集束点(送信フォーカス)の位置に対応する、超音波プローブ101の安全基準に関する規制情報を取得する。
【0061】
規制情報は、安全基準に対応する指標であり、例えば、熱(超音波プローブ101の発熱)、MI(Mechanical Index)、TI(Thermal Index)及びIspta.3(Spacial Peak Temporal Average Intensity;時間平均強度値の空間的ピーク値)である。規制情報は、これに限定されない。
【0062】
第2取得機能194は、規制情報に対応する超音波プローブ101の電圧情報を取得する。第2取得機能194は、例えば、第2取得部である。具体的には、第2取得機能94は、第1取得機能193が取得した規制情報に対応する超音波プローブ101の規制電圧値を含む電圧情報を取得する。電圧情報は、例えば、超音波送信の深さ方向毎に、規制情報に対応する各電圧の値を示す情報である。
【0063】
図2は、安全基準に関する規制情報及び電圧情報の関係を示すテーブルである。図2に示すとおり、電圧情報は、超音波送信の深さ方向毎に、規制情報(熱、MI、TI及びIspta.3)に対応する各電圧の値を示す。
【0064】
判定機能195は、超音波送信の深さ方向毎に、熱指標を基準とする規制電圧(熱規制電圧値)が、パワー指標を基準とするパワーの規制電圧(パワー規制電圧値)を上回るかを判定する。判定機能195は、判定部の一例である。具体的には、判定機能195は、第2取得機能194が取得した電圧情報から、超音波送信の深さ方向毎に、熱規制電圧値がパワー規制電圧値を上回るかを判定する。ここで、熱指標は、図2で示す「熱」を含む。また、パワー指標は、図2で示す「MI」、「TI」及び「Ispta.3」を含む。
【0065】
例えば、判定する深さ方向が1[cm]の場合、判定機能195は、図2に示す熱指標の規制電圧値α11が、図2に示すMI(パワー指標)の規制電圧値β11を上回るかを判定する。また、判定機能195は、図2に示す熱(熱指標)の規制電圧値α11が、図2に示すTI(パワー指標)の規制電圧値γ11を上回るかを判定する。さらに、判定機能195は、判定機能195は、図2に示す熱(熱指標)の規制電圧値α11が、図2に示すIspta.3(パワー指標)の規制電圧値δ11を上回るかを判定する。
【0066】
図1に戻る。算出機能196は、熱規制電圧値がパワー規制電圧値を上回る場合、規制電圧差を算出する。算出機能196は、算出部の一例である。具体的には、算出機能196は、熱規制電圧値がパワー規制電圧値を上回る場合、熱規制電圧値と、複数のパワー規制電圧値のうち、最も大きいパワー規制電圧値と、の差分を示す電圧差(規制電圧差)を算出する。
【0067】
これは、例えば、ユーザにより、高画質モードに設定された際、超音波プローブ101が送信する送信電圧を上げる必要がある。高画質モードのために押し上げることが可能となる送信電圧は、熱の規制電圧値と、判定する際に用いた最も高いパワー規制の規制電圧との差分を示す電圧差に値する。
【0068】
そのため、算出機能196は、熱指標がパワー指標を上回る場合、判定する際に用いた熱規制電圧値と、判定する際に用いたパワー指標の情報のうち、最も値が大きいパワー指標のパワー規制電圧との差分を示す電圧差(規制電圧差)を算出する。
【0069】
生成機能197は、電圧情報に含まれる、超音波プローブ101の熱指標を基準とした熱規制電圧値と、超音波プローブ101のパワー指標を基準としたパワー規制電圧値と、に基づいて、超音波プローブ101の画質が変更可能か否かを示す画質モード変更情報を生成する。生成機能197は、生成部の一部である。
【0070】
画質モード変更情報は、超音波プローブ101から送信される送信電圧を上げて、感度を上げるモードを示す高画質モードの可否を示す高画質モード可否情報を含む。生成機能197は、高画質モードの可否を示す高画質モード可否情報を生成する。
【0071】
具体的には、生成機能197は、判定機能195が判定した判定結果に基づいて、超音波送信の深さ方向毎に、高画質モードの可否を示す高画質モード可否情報を生成する。高画質モード可否情報は、高画質モードが不可能/可能である情報及び高画質モードに対応する高画質の超音波画像を含む。
【0072】
例えば、判定機能195が、熱規制電圧値がパワー規制電圧値を上回るかと判定した場合、生成機能197は、高画質モードが可能であることを示す高画質モード可能情報を生成する。また、例えば、判定機能195が、熱の規制電圧(熱規制)がパワーの規制電圧(パワー規制)を下回るかと判定した場合、生成機能197は、高画質モードが不可能であることを示す情報を生成する。
【0073】
また、生成機能197は、算出機能196が算出した電圧差(規制電圧差)に基づいて、高画質モードに対応する高画質の超音波画像を生成する。具体的には、生成機能197は、高画質モードが対応可能な超音波送信の深さ方向毎に、高画質モードに対応する高画質の超音波画像を生成する。
【0074】
ここで、生成機能197が生成する高画質モード可否情報について、図3を用いて説明する。図3は、第1実施形態に係る高画質モード可否情報の一例を説明するための図である。図3には、高画質モード可否情報21に含まれる、高画質モードが不可能/可能である情報22及び高画質モードに対応する高画質の超音波画像23を示す。
【0075】
図3に示す高画質モードが不可能/可能である情報22は、超音波送信の深さ方向に対応する、高画質モードが不可能/可能である状態を示す。図3には、超音波送信の深さ方向のn[cm]、n+1[cm]及びn+2[cm]は、高画質モードが不可能である状態を示す(一例として、無色)。他方で、超音波送信の深さ方向のn+3[cm]、n+4[cm]及びn+5[cm]は、高画質モードが可能である状態を示す(一例として、有色)。
【0076】
図1に戻る。表示制御機能198は、ディスプレイ103にGUI(Graphical User Interface)やX線画像、高画質モード可否情報、高画質モード可能情報、高画質の超音波画像を表示させる。表示制御機能198は、表制御部の一例である。例えば、表示制御機能198は、入力装置102を介したユーザの操作に応じて、X線画像データを記憶回路180から読み出して、ディスプレイ103に出力する。表示制御機能198は、生成機能197が生成した高画質モード可否情報をディスプレイ103に出力する。
【0077】
次に、本実施形態に係る超音波診断装置1で行われる処理の流れについて説明する。図4は、第1実施形態に係る超音波診断装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0078】
ます、受付機能192は、ユーザから高画質モードに関する高画質モード情報を受け付ける(ステップS31)。続いて、第1取得機能193は、超音波プローブ101が送信する超音波送信の深さ方向における集束点(送信フォーカス)の位置に対応する、超音波プローブ101の安全基準に関する規制情報を取得する(ステップS32)。
【0079】
続いて、第2取得機能94は、第1取得機能193が取得した規制情報に対応する、超音波プローブ101の規制電圧値を含む電圧情報を取得する(ステップS33)。続いて、判定機能195は、超音波送信の深さ方向毎に、熱規制電圧値がパワー規制電圧値を上回るかを判定する(ステップS34)。
【0080】
ここで、判定機能195が、超音波送信の深さ方向毎に、熱規制電圧値がパワー規制電圧値を下回ると判定する(ステップS34:No)、ステップS36へ進む。他方で、判定機能195が、超音波送信の深さ方向毎に、熱規制電圧値がパワー規制電圧値を上回ると判定する(ステップS34:Yes)、ステップS35へ進む。
【0081】
ステップS35において、算出機能196は、熱規制電圧値がパワー規制電圧値を上回る場合、判定する際に用いた熱規制電圧値と、複数のパワー規制電圧値のうち、最も値が大きいパワー規制電圧値との差分を示す規制電圧差を算出する(ステップS35)。
【0082】
続いて、生成機能197は、判定機能195が判定した判定結果に基づいて、高画質モードの可否を示す高画質モード可否情報を生成する(ステップS36)。続いて、表示制御機能198は、生成機能197が生成した高画質モード可否情報をディスプレイ103に出力(ステップS37)し、本処理は終了する。
【0083】
以上のように、本実施形態に係る超音波診断装置1によれば、超音波プローブ101が送信する超音波送信の深さ方向における集束点の位置に対応する、超音波プローブ101の安全基準に関する規制情報と、規制情報に対応する、超音波プローブ101の規制電圧値を含む電圧情報を取得する。また、超音波診断装置1は、電圧情報に含まれる、超音波プローブ101の熱指標を基準とした熱規制電圧値と、超音波プローブ101のパワー指標を基準としたパワー規制電圧値と、に基づいて、超音波プローブ101の画質が変更可能か否かを示す画質モード変更情報を生成し、出力する。
【0084】
また、超音波診断装置1は、超音波送信の深さ方向毎に、熱規制電圧値が、複数のパワー規制電圧値を上回るかを判定する。画質モード変更情報は、超音波プローブ101から送信される送信電圧を上げて、感度を上げるモードを示す高画質モードの可否を示す高画質モード可否情報を含む。さらに、超音波診断装置1は、超音波送信の深さ方向毎に、高画質モード可否情報を生成する。
【0085】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、例えば、要求される画質モードが高画質モードの場合、超音波診断装置1は、超音波送信の深さ方向毎に、高画質モード可否情報を生成する。ユーザは、超音波診断装置1を使用する前に、高画質モードで使用した際の超音波診断装置1の安全基準に関する規制情報を事前に把握することができる。これにより、ユーザは、高画質モードを使用することが可能か否かを把握することができる。
【0086】
なお、上述した実施形態は、各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については同一の符号を付与しえ詳細な説明を省略する。また、以下で説明する他の実施形態は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0087】
(変形例1)
上述の実施形態では、超音波診断装置1は、高画質モードが不可能/可能である情報及び高画質モードに対応する高画質の超音波画像を含む、高画質モードの可否を示す高画質モード可否情報を生成する形態について説明した。しかしながら、高画質モードが不可能/可能である情報は、これに限定されない。
【0088】
図5は、変形例1に係る高画質モード可否情報の一例を説明するための図である。図5には、高画質モード可否情報211に含まれる、高画質モードが不可能/可能である情報221及び高画質モードに対応する高画質の超音波画像23を示す。
【0089】
例えば、図5に示す高画質モードが不可能/可能である情報221は、超音波送信の深さ方向に対応する、高画質モードが不可能/可能である状態を示す。図5には、超音波送信の深さ方向に対して、高画質モードがどの程度効果を期待できるか、グラデーションで示している。例えば、図5には、超音波送信の深さ方向がn+2[cm]からn+5[cm]に向けて、高画質モードの効果が高いことを示している。
【0090】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、超音波診断装置1は、熱規制がパワー規制を上回る場合、判定する際に用いた熱の規制電圧値と、判定する際に用いたパワー規制の情報のうち、最も値が大きいパワー規制の規制電圧との差分を示す電圧差(規制電圧差)を算出する形態について説明した。
【0091】
例えば、超音波診断装置1で高画質モードを使用した場合、高画質モードを使用する時間が経過することで、安全基準を満たす超音波プローブ101が送信できる電圧は変化する。以下、超音波プローブ101が送信する送信電圧の変化に伴い、高画質モード可否情報が変化する形態の一例を、第2実施形態として説明する。
【0092】
まず、第2実施形態に係る超音波診断装置1について説明する。図6は、第2実施形態に係る超音波診断装置1の構成の一例を示すブロック図である。第2実施形態に係る超音波診断装置1の処理回路190は、処理回路190は、制御機能191、受付機能192、第1取得機能193、第2取得機能194、判定機能195、算出機能196、生成機能197、表示制御機能198、第3取得機能199及び補正機能200の各処理機能を有する。
【0093】
第3取得機能199は、温度情報を取得する。第3取得機能199は、第3取得部の一例である。具体的には、第3取得機能199は、温度センサ110が検出した超音波プローブ101の内部温度を示す温度情報を取得する。
【0094】
補正機能200は、第3取得機能199が取得した温度情報に基づいて、算出機能196が算出した規制電圧差を補正規制電圧差として補正する。補正機能200は、補正部の一例である。具体的には、補正機能200は、第3取得機能199が取得した温度情報に対応する熱指標を基準として熱規制電圧値と、判定する際に用いたパワー指標の情報のうち、最も値が大きいパワー指標のパワー規制電圧値との差分を示す、補正規制電圧差を算出する。
【0095】
生成機能197は、補正機能200が補正した補正規制電圧差に基づいて、生成した高画質モードが可能であることを示す高画質モード可能情報を再生成(補正)する。また、生成機能197は、補正機能200が補正した補正規制電圧差に基づいて、高画質モードに対応する高画質の超音波画像を生成する。具体的には、生成機能197は、高画質モードが対応可能な超音波送信の深さ方向毎に、高画質モードに対応する高画質の超音波画像を生成する。
【0096】
ここで、生成機能197が生成する高画質モード可否情報について、図7を用いて説明する。図7は、第2実施形態に係る高画質モード可否情報の一例を説明するための図である。図7には、高画質モード可否情報212に含まれる、高画質モードが不可能/可能である情報222及び高画質モードに対応する高画質の超音波画像232を示す。なお、図7において、超音波診断装置1は、所定の時間、高画質モードを使用した状態である。
【0097】
例えば、図7に示す高画質モードが不可能/可能である情報222は、超音波送信の深さ方向に対応する、高画質モードが不可能/可能である状態を示す。図7には、超音波送信の深さ方向に対して、高画質モードがどの程度効果を期待できるか、グラデーションで示している。例えば、図7には、超音波送信の深さ方向がn+4[cm]からn+5[cm]に向けて、高画質モードの効果が高いことを示している。
【0098】
図5に示す情報221と、図7に示す情報222と、を比較すると、グラデーションが異なる。これは、超音波診断装置1が高画質モードを所定の時間、使用した結果、仮にユーザにより、高画質モードで操作していても、安全性基準に達しているため、グラデーションは表示されず、n+2[cm]からn+4の深さにおいては、効果が期待できないことがわかる。
【0099】
以下、第2実施形態に係る超音波診断装置1で行われる処理の流れについて説明する。図8は、第2実施形態に係る超音波診断装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。また、第2実施形態に係る超音波診断装置1が実行する処理と共通する処理の説明は省略する。
【0100】
ステップS51において、第3取得機能199は、温度センサ110が検出した超音波プローブ101の内部温度を示す温度情報を取得する(ステップS51)。ステップS52において、補正機能200は、第3取得機能199が取得した温度情報に対応する熱規制電圧値と、判定する際に用いたパワー指標の情報のうち、最も値が大きいパワー指標のパワー規制電圧値との差分を示す、補正規制電圧差を算出する(ステップS52)。
【0101】
ステップS53において、生成機能197は、補正機能200が補正した補正規制電圧差に基づいて、生成した高画質モードが可能であることを示す高画質モード可能情報を再生成(補正)する。また、生成機能197は、補正機能200が補正した補正電圧差に基づいて、高画質モードに対応する高画質の超音波画像を生成する(ステップS53)。
【0102】
例えば、超音波診断装置1は、超音波プローブ101の内部温度を取得し、高画質モード可能情報を再生成する。これにより、ユーザは、超音波診断装置1を高画質モードで使用中においても、高画質モードで使用した際の超音波診断装置1の安全基準に関する規制情報をより精度よく把握することができる。
【0103】
(変形例2)
例えば、超音波診断装置1は、第2実施形態で説明した、再生成した高画質モード可能情報を、高画質の超音波画像と合わせて、所定の間隔で、切り替えて出力しても良い。これにより、ユーザは、高画質モード可能情報に含まれる、超音波送信の深さ方向を切り換えることなく、高画質の超音波画像と合わせて把握することができる。
【0104】
(変形例3)
上述の実施形態では、高画質モード可能情報において、高画質モードが可能である状態を有色で示す形態や、高画質モードがどの程度効果を期待できるかをグラデーションで示す形態について説明したがこれに限定されない。例えば、高画質モードが期待できない状態として、グラデーションをブラックアウトしたり、グラデーションを点滅表示したりするなど、効果が期待できる状態とできない状態をそれぞれ視認(把握)できるように、出力標示すれば良い。
【0105】
(変形例4)
上述した実施形態では、要求される画質モード変更情報が、主に高画質モードを要求された場合に関して記載したが、これに限定されない。要求される画質モード変更情報が、低画質モードの場合においても、適用可能である。低画質モードとは、例えば、安全基準に対応する温度飽和までの時間を優先して、超音波プローブ101から送信される送信電圧を下げて、感度を下げるモードである。
【0106】
以上述べた少なくとも1つの実施形態又は変形例によれば、要求される画質モードに応じて、超音波診断用プローブの画質モードの変更に関する画質モード変更情報を出力することができる。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0108】
1 超音波診断装置
100 装置本体
101 超音波プローブ
102 入力装置
103 ディスプレイ
110 温度センサ
120 送信回路
130 受信回路
140 Bモード処理回路
150 ドプラ処理回路
160 画像生成回路
170 画像メモリ
180 記憶回路
190 処理回路
191 制御機能
192 受付機能
193 第1取得機能
194 第2取得機能
195 判定機能
196 算出機能
197 生成機能
198 表示制御機能
199 第3取得機能
200 補正機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8