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特開2024-110648施工管理装置、動作方法、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110648
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】施工管理装置、動作方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240808BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015351
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】皆内 佳奈子
(72)【発明者】
【氏名】山本 新吾
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】工事の現場や事業所などの場所を問わず進捗の確認と進捗情報の入力を行う施工管理装置、その動作方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】事務所などに置かれたクライアント端末20aと、工事の現場などで利用するクライアント端末20bと、施工管理装置10とが、インターネットなどのネットワークを介して通信可能に接続されている施工管理システムにおいて、建物の施工状態を工事項目毎に管理する施工管理装置10は、選択された工事項目に対応する建物の設計図面に対する範囲を指定する操作に応じて、その範囲に対応する建物内の領域を、施工状態を変更する単位領域として設定する制御部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の施工状態を工事項目毎に管理する施工管理装置であって、
選択された工事項目に対応する前記建物の設計図面に対する範囲を指定する操作に応じて、前記範囲に対応する前記建物内の領域を、前記施工状態を変更する単位領域として設定する制御部を備える
ことを特徴とする施工管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の施工管理装置において、
前記制御部は、前記設計図面上に設定された各単位領域の色、濃度、模様の少なくとも一つを、前記単位領域の施工状態に応じて、変更する
ことを特徴とする施工管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の施工管理装置において、
前記制御部は、前記設計図面上に設定された前記単位領域を分割する操作に応じて、前記単位領域内に新たな単位領域を設定する
ことを特徴とする施工管理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の施工管理装置において、
前記制御部は、前記施工状態の変更指示を受け付ける操作画面が有する変更後の前記施工状態を指定する複数の入力領域の色、濃度、模様の少なくとも一つを互いに異ならせ、
前記複数の入力領域は、互いに異なる前記施工状態に対応する
ことを特徴とする施工管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の施工管理装置において、
前記施工状態は、少なくとも、作業中の状態、作業済で検証前の状態、作業済で検証済の状態、問題ありの状態の中から選択される
ことを特徴とする施工管理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の施工管理装置において、
前記制御部は、前記施工状態の変更指示を受け付ける操作画面上で入力されたテキスト情報と画像情報の少なくとも一方を前記操作画面に対応する前記単位領域と前記工事項目とに関連付けて記憶部に記憶させる
ことを特徴とする施工管理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の施工管理装置において、
前記制御部は、前記設計図面上に設定された単位領域上のうちの、前記テキスト情報と前記画像情報の少なくとも一方と関連付けられた前記単位領域上に、所定のマークを表示させる
ことを特徴とする施工管理装置。
【請求項8】
建物の施工状態を工事項目毎に管理する施工管理装置の動作方法であって、
選択された工事項目に対応する前記建物の設計図面に対する範囲を指定する操作に応じて、前記範囲に対応する前記建物内の領域を、前記施工状態を変更する単位領域として設定する
ことを特徴とする動作方法。
【請求項9】
建物の施工状態を工事項目毎に管理する施工管理装置のコンピュータに、
選択された工事項目に対応する前記建物の設計図面に対する範囲を指定する操作に応じて、前記範囲に対応する前記建物内の領域を、前記施工状態を変更する単位領域として設定する
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、施工管理装置、動作方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業区画毎に多種の工事が行われるマンションなどの建物の外装工事では、作業区画の図面に施工日等を記入することで、工事全体の施工管理が行われている。例えば、特許文献1では、進捗管理表の更新や参照をネットワーク経由で行うことができるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-184427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなシステムを用いることで、利用者は工事の現場や事業所などの場所を問わず進捗の確認と進捗情報の入力を行うことができるが、これらの作業をさらに効果的に行う仕組みが望まれている。
【0005】
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、進捗情報をより詳細に入力する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る施工管理装置は、建物の施工状態を工事項目毎に管理する施工管理装置であって、選択された工事項目に対応する前記建物の設計図面に対する範囲を指定する操作に応じて、前記範囲に対応する前記建物内の領域を、前記施工状態を変更する単位領域として設定する制御部を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記の態様によれば、進捗情報をより詳細に入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るシステムの構成を例示した図である。
図2】一実施形態に係る施工管理装置の機能的構成を例示した図である。
図3】一実施形態に係るクライアント端末の機能的構成を例示した図である。
図4】一実施形態に係る施工管理装置が行う処理のフローチャートである。
図5】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションのログイン画面の一例である。
図6】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの作業所選択画面の一例である。
図7】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの工事選択画面の一例である。
図8】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションのスタートメニュー画面の一例である。
図9】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの建物選択画面の一例である。
図10】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの方位選択画面の一例である。
図11】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの工事項目選択画面の一例である。
図12】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの図面表示画面の一例である。
図13】図面表示画面内に表示される図面の一例である。
図14】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの施工状態選択画面の一例である。
図15】図面表示画面内に表示される図面の一例である。
図16】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの施工状態選択画面の一例である。
図17】図面表示画面内に表示される図面の一例である。
図18】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの写真一覧画面の一例である。
図19】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの写真編集画面の一例である。
図20】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの建物方位選択画面の一例である。
図21】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの工事項目選択画面の一例である。
図22】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの建物選択画面の一例である。
図23】施工管理装置で動作するフロントアプリケーションの方位選択画面の一例である。
図24】施工管理装置で動作する管理アプリケーションのログイン画面の一例である。
図25】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの作業所一覧画面の一例である。
図26】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの工事一覧画面の一例である。
図27】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの工事項目一覧画面の一例である。
図28】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの工事項目テンプレート一覧画面の一例である。
図29】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの工事項目テンプレート編集画面の一例である。
図30】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの工事項目テンプレート適用画面の一例である。
図31】施工管理装置で動作する管理アプリケーションのカテゴリ一覧画面の一例である。
図32】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの工事新規登録画面の一例である。
図33】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの建物一覧画面の一例である。
図34】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの進捗確認画面の一例である。
図35】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの進捗確認画面の一例である。
図36】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの進捗確認画面の一例である。
図37】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの写真備考あり項目一覧画面の一例である。
図38】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの写真一覧画面の一例である。
図39】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの写真確認画面の一例である。
図40】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの方位一覧画面の一例である。
図41】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの工事項目一覧画面の一例である。
図42】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの図面設定画面の一例である。
図43】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの図面設定画面の一例である。
図44】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの工事ポイント設定画面の一例である。
図45】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの工事ポイント新規作成画面の一例である。
図46】施工管理装置で動作する管理アプリケーションの工事ポイント設定画面の一例である。
図47】上述した実施形態に係る施工管理装置するためのコンピュータのハードウェア構成を例示した図である。
図48】別の一実施形態に係る施工管理装置の機能的構成を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、一実施形態に係るシステムの構成を例示した図である。図1に示すシステム1は、建物の工事の進捗を管理する施工管理システムの一例である。まず、図1を参照しながら、システム1の構成について説明する。
【0010】
以下では、施工管理の対象となる建物として集合住宅を例に説明するが、対象となる建物は、集合住宅に限らず戸建ての住宅であってもよく、また、住宅に限らずビルや学校の校舎などであってもよい。
【0011】
システム1は、図1に示すように、施工管理装置10と、1つ以上のクライアント端末20(クライアント端末20a、クライアント端末20b)と、を含んでいる。システム1を構成する各装置は、インターネットなどのネットワーク30を介して通信可能に接続されている。各装置間の通信は、図示しない他の装置を介在して行われてもよい。ここで、通信は、無線通信であってもよく、有線通信であってもよい。また、無線通信と有線通信の組み合わせであってもよい。
【0012】
施工管理装置10は、施工管理用のアプリケーションプログラムが動作する装置であり、施工管理用のアプリケーションプログラムを実行することで建物の施工状態を工事項目毎に管理している。クライアント端末20は、施工管理装置10で動作する施工管理用のアプリケーションプログラムを利用するために、利用者が操作する端末である。
【0013】
クライアント端末20には、特に限定しないが、例えば、事務所などに置かれたクライアント端末20aと、工事の現場などで利用するクライアント端末20bが含まれる。クライアント端末20aは、例えば、建設会社の職員など管理業務を担当する利用者によって使用される。クライアント端末20bは、例えば、職人や職長など現場で作業に従事する利用者によって使用される。
【0014】
システム1では、クライアント端末20からの入力に従って、施工管理装置10が管理する建物の施工状態のデータ(以降、施工管理データと記す。)を更新する。また、クライアント端末20からの入力に従って、クライアント端末20で参照できるように、施工管理装置10が施工管理データを出力する。これにより、施工管理装置10で管理する施工管理データに建物の現在の施工状態を工事の現場から遅滞なく反映することが可能となり、かつ、工事の現場を含む様々な場所から建物の施工状態を確認することが可能となる。従って、建物の施工状態を施工管理装置10で一元的に管理しながら関係者の間で大きなタイムラグを生じさせることなく共有することができる。
【0015】
図2は、一実施形態に係る施工管理装置の機能的構成を例示した図である。図3は、一実施形態に係るクライアント端末の機能的構成を例示した図である。図2及び図3を参照しながら、システム1の構成についてさらに詳細に説明する。
【0016】
施工管理装置10は、図2に示すように、通信部11と、制御部12と、記憶部13を備えている。通信部11は、ネットワーク30経由でクライアント端末20とデータをやり取りする。制御部12は、記憶部13に記憶されているプログラムを実行することで、記憶部13に記憶されている各種データを、通信部11経由で受信したクライアント端末20からの入力に応じて処理する。記憶部13は、施工管理用のアプリケーションプログラム(フロントアプリケーション14、管理アプリケーション15)と、各種データ(マスタデータ16、施工管理データ17、帳票データ18)を記憶する。
【0017】
なお、以降では、フロントアプリケーション14と管理アプリケーション15がWebアプリケーションプログラムである場合を例に説明する。
【0018】
フロントアプリケーション14と管理アプリケーション15は、記憶部13に記憶されている各種のデータ(マスタデータ16、施工管理データ17、帳票データ18)を利用者に提供する。具体的には、制御部12がフロントアプリケーション14または管理アプリケーション15を実行することで、施工管理装置10は各種データに基づいて作成した情報をクライアント端末20へ出力し、その結果として、建物の施工状態の情報を利用者に提供する。
【0019】
また、フロントアプリケーション14と管理アプリケーション15は、これらのデータの作成、更新、削除等を行うことで、建物の施工状態を管理する。フロントアプリケーション14は、主に、施工管理データの更新と帳票データの作成に利用される。管理アプリケーション15は、施工管理データの更新と帳票データの作成及び出力に加えて、マスタデータ16の作成にも利用される。
【0020】
クライアント端末20は、図3に示すように、通信部21と、制御部22と、表示部23と、入力部24を備えている。通信部21は、ネットワーク30経由で施工管理装置10とデータをやり取りする。制御部22は、Webブラウザのプログラムを実行する。表示部23は、Webブラウザ上に情報(Webページ)を表示して利用者に提供する。入力部24は、利用者の操作を受け付けて制御部22へ操作信号を出力する。その結果、クライアント端末20が利用者の操作に応じたリクエストを施工管理装置10へ出力する。
【0021】
以上のように、施工管理用のアプリケーション(フロントアプリケーション14及び管理アプリケーション15)をWebアプリケーションとして構成することで、システム1では、利用者は、クライアント端末20にあらかじめインストールされているWebブラウザを用いて、施工管理を行うことができる。このため、施工管理用のアプリケーションの利用に際して、クライアント端末20へ専用のアプリケーションを配布して導入する手間を省くことが可能である。また、Webブラウザはほとんどの端末にあらかじめインストールされているため、端末によらず施工管理用のアプリケーションの利用が可能となる。
【0022】
なお、施工管理装置10の記憶部13に記憶されている施工管理用のアプリケーションは、Webアプリケーションに限らない。施工管理用のアプリケーションは、クライアント端末20にインストールされた専用のクライアントアプリケーション経由でアクセス可能な、Webアプリケーション以外のアプリケーションであってもよい。
【0023】
図4は、一実施形態に係る施工管理装置が行う処理のフローチャートである。上述したシステム1では、施工管理装置10が施工管理用のアプリケーションを実行することで、工事の現場において、利用者がアプリケーション内に表示された設計図面上に現在の施工状態を入力することができる。以下、図4を参照しながら、施工管理装置10で行われる進捗入力処理について説明することで、施工管理装置10の動作方法の一例を示す。
【0024】
建物の建設工事全体の中で行われる各種工事のうち建物の外装工事を例に説明する。外装工事では、様々な種類の工事(工事項目という。)が行われる。例えば、壁面の下地を作る左官工事が行われ、その後にタイルを敷き詰めるタイル工事が行われるなどである。このため、外装工事において、建物の施工状態を適切に管理して進捗を把握するために、施工管理装置10は、フロントアプリケーション14及び管理アプリケーション15を用いて、建物の施工状態を工事項目ごとに管理している。
【0025】
建物の施工状態が工事項目ごとに管理されている場合、工事の進捗を入力するに際して、進捗の入力対象となる工事項目を利用者が選択する。施工管理装置10の制御部12は、クライアント端末20を用いて行われた工事項目を選択する入力に応答して、工事項目を決定する(ステップS1)。
【0026】
工事項目が決定されると、施工管理装置10の制御部12は、利用者によって選択された工事項目に対応する建物の設計図面を出力する(ステップS2)。これにより、クライアント端末20において設計図面が表示される。予め区画化されている建物内部を対象とする内装工事とは異なり、外装工事は、予め区画されていない建物の外壁などを工事対象とする。このため、施工状態を適切に管理するためには、実際の作業の進捗に合わせて図面上で範囲を自由に指定して施工状態を変更することが望ましい。設計図面は、この範囲指定に用いられる。
【0027】
設計図面が表示されると、施工管理装置10の制御部12は、図面に対する範囲を指定する操作を監視する(ステップS3)。そして、制御部12は、図面に対する範囲を指定する操作が検出されると(ステップS3YES)、その範囲を、施工状態を変更する範囲と判断し、その範囲に対応する建物内の領域を、施工状態を変更する単位領域(工事ポイントともいう。)として設定する(ステップS4)。
【0028】
このように、施工管理装置10では、利用者は、クライアント端末20に表示される設計図面上で、施工状態を変更する範囲(つまり、工事ポイント)を自由に設定することができる。工事ポイントが設定されると、施工管理装置10の制御部12は、施工状態の変更指示を受け付ける操作画面の情報を出力する(ステップS5)。これにより、クライアント端末20において操作画面が表示される。
【0029】
なお、工事ポイントの施工状態が限られた選択肢の中から選択されるように、操作画面は、施工状態を指定する複数の入力領域を有することが望ましい。施工状態が予め設計された選択肢の中から選択されることで、工事の進捗度合を一定のルールで算出することが可能となり、進捗を正しく把握することができる。
【0030】
操作画面に対して利用者の操作が行われると、制御部12は、その操作に応じて、ステップS1で決定された工事項目についての、ステップS4で設定された工事ポイント(単位領域)の施工状態を変更する(ステップS6)。ここでは、制御部12は、施工状態を操作画面上で選択された入力領域に対応する施工状態へ変更する。
【0031】
図4に示すように、施工管理装置10は、利用者が選択した工事項目に対応する図面を出力することで、クライアント端末20に図面を表示させることができる。また、施工管理装置10は、図面上で行われた、範囲を指定する操作を検出して、指定された範囲に基づいて工事ポイントを設定することができる。これにより、予め決められた単位ではなく実際の作業に応じた単位で施工状態を変更することができる。このような構成は、外壁のような予め区画化されていない対象の進捗を管理する場合に特に有効である。施工管理装置10によれば、進捗情報を予め決められた単位で入力する仕組みよりもより詳細に情報を入力することが可能となる。
【0032】
以下、施工管理装置10で実行される施工管理用のアプリケーションの動作について具体的に説明する。まず、図5から図23を参照しながら、フロントアプリケーション14について説明する。
【0033】
クライアント端末20が所定のURLにリクエストを送信し、フロントアプリケーション14へアクセスすると、図5に示すログイン画面(画面F1)が表示される。利用者は、予めフロントアプリケーション14に登録したユーザ名とパスワードを入力することで、施工管理装置10でログイン処理が行われて、その結果、フロントアプリケーション14へログインすることができる。
【0034】
ログイン後、クライアント端末20には、図6に示す作業所選択画面(画面F2)が表示される。利用者は、画面F2にリストされている作業所の一覧から作業所を選択してもよく、検索窓に任意の作業所名を入力することで作業所を選択してもよい。施工管理装置10では、利用者の選択に応じた絞り込みが行われる。ユーザ名に紐づけられた作業所が表示されることが好ましく、ここでは、“AAA作業所”が選択された場合を例に説明する。ユーザ名は、ユニークなIDであることが好ましい。
【0035】
作業所が選択されると、クライアント端末20には、図7に示す工事選択画面(画面F3)が表示される。利用者は、画面F3にリストされている工事一覧から工事を選択する。画面F3にリストされている工事は、建設工事全体の中で行われる細分化された工事のことである。“既存工事”、“外壁”、“杭”が例示されているが、工事は、特にこれらに限定しない。ここでは、“外壁”が選択された場合を例に説明する。
【0036】
作業所と工事が決定されると、クライアント端末20には、さらに対象を絞り込むための図8に示すスタートメニュー画面(画面F4)が表示される。また、作業所と工事が決まることで進捗率が算出可能となるため、画面F4には作業所と工事で定まる範囲の施工全体の進捗率が表示されている。ここでは、AAA作業所の外壁工事について現在までに全体の9%ほどが完了していることが示されている。
【0037】
利用者は、作業所内の建物を選択することで対象を絞り込む場合には、画面F4上で“建物選択”を選択すればよい。利用者は、工事項目を選択することで対象を絞り込む場合には、画面F4上で“工事項目から選択”を選択すればよい。また、利用者は、対象を方位で絞り込む場合には、画面F4上の検索窓に方位名を入力して検索すればよい。方位名を入力した検索により、施工管理装置10では、方位に基づく絞り込みが行われる。なお、ここでは、検索窓で方位名による検索が可能な例を示したが、これは外壁検査における建物構造の最下層として方位が予め設定されているからである。検索窓の検索項目は方位に限らない。最下層に方位以外の項目が設定されている場合には、その項目について検索窓から検索可能である。
【0038】
画面F4で“建物選択”が選択されると、クライアント端末20には、図9に示す建物選択画面(画面F5)が表示される。利用者は、画面F5にリストされている建物一覧から建物(ここでは、A棟とB棟)を選択することができる。なお、画面F5では、図8に示す画面F4が表示されている状態から対象が特に変更されていない。このため、画面F5では、進捗率の表示は省略されている。その後、施工管理装置10では、利用者の選択に応じた絞り込みが行われる。ここでは、“A棟”が選択された場合を例に説明する。
【0039】
建物が選択されると、クライアント端末20には、図10に示す方位選択画面(画面F6)が表示される。なお、方位選択画面が表示されるのは、建物の次の階層として予め方位が設定されているためである。利用者は、画面F6にリストされている方位一覧から方位を選択することができる。なお、画面F6上部には、A棟の外壁工事の進捗率が表示されている。また、各方位を選択するための領域には、該当する方位の外壁工事の進捗率が表示されている。ここでは、“北”が選択された場合を例に説明する。
【0040】
方位が選択されると、クライアント端末20には、図11に示す工事項目選択画面(画面F7)が表示される。画面F7にリストされている工事項目一覧から工事項目を選択することができる。ここでは、“左官”が選択された場合を例に説明する。
【0041】
工事項目が選択されると、クライアント端末20には、図12に示す図面表示画面(画面F8)が表示される。画面F8に表示されている図面D1は、A棟の北側の外壁を示す立面図であり、A棟の設計図の一つである。なお、図面D1は、作業項目“左官”用に用意されたものである。
【0042】
図13に示す図面D2は、図面D1上で利用者が範囲指定を行うことで図面D1が更新された図面である。図13に示すように、利用者は、マウス等を用いてポインタを動かすことで図面内において任意の範囲を指定することができる。また、クライアント端末20がタッチパネルディスプレイを有している場合には、利用者は、図面上を指で直接なぞることで図面内において任意の範囲を指定してもよい。
【0043】
クライアント端末20で行われた範囲を指定する操作を検出すると、施工管理装置10は、その範囲に対応するA棟内の領域を、施工状態を変更する単位領域である工事ポイントとして設定し、記憶部13に記憶させる。その後、クライアント端末20には、図14に示す施工状態選択画面(画面F9)が表示される。なお、この例では、画面F9は、画面F8のモーダルウィンドウとして表示されているが、表示形式はモーダルウィンドウに限らない。
【0044】
画面F9は、施工状態の変更指示を受け付ける操作画面の一例であり、変更後の施工状態を指定する複数の入力領域を有している。複数の入力領域は、互いに異なる施工状態に対応している。この例では、“施工中”、“問題あり”、“完了申請”、“施工済み”の4つの異なる施工状態に対応する入力領域が設けられている。“施工中”は作業中の状態を、“問題あり”は作業中に問題が発見され作業が完了していない状態を、“完了申請”は作業済みで管理者の検証前の状態を、“施工済み”は管理者の検証済の状態を、それぞれ示している。施工状態は、少なくともこれら4つの状態から選択されるが、これらの4つの状態に加えて、工事開始前(施工前)の状態を示す“未施工”を含む5つの状態から選択されてもよい。また、利用者によって選択できる状態を制限してもよい。例えば、“施工済み”については権限を有する管理者のみが選択できるように制御されてもよい。また、操作画面で選択可能な状態は、予め用意された複数の状態(例えば、上記5つの状態)から設定により選択可能であってもよい。さらに、操作画面で選択可能な状態は、新たに追加可能であってもよく、また、既存の状態についての表示名を変更可能であってもよい。
【0045】
これら複数の入力領域は一目で区別できるように異なる模様を有している。ただし、複数の入力領域は、一目で区別できればよく、模様の代わりに色や濃度(濃淡)によって区別されてもよい。即ち、施工管理装置10の制御部12は、複数の入力領域の色、濃度、模様の少なくとも一つを互いに異ならせればよい。
【0046】
利用者は、画面F9上で現実の施工状態に対応する入力領域を選択するだけで、工事ポイントとして設定した範囲の施工状態の変更を指示することが可能であり、施工管理装置10では、利用者の選択に応じて施工状態が更新される。なお、工事ポイントと工事項目によって特定される対象の施工状態のデータは、記憶部13に記憶されている施工管理データ17の一例である。
【0047】
画面F9には、施工状態を選択する複数の領域に加えて、工事ポイントに関連付けてコメント(テキスト情報)を登録する選択肢も提供されている。利用者は、工事ポイントに関連付けてコメントを登録したい場合には、画面F9の入力欄に直接コメントを入力すればよい。
【0048】
これにより、制御部12は、操作画面(画面F9)上で入力されたテキスト情報(コメント)を操作画面(画面F9)に対応する工事ポイントと工事項目(この例では、左官)とに関連付けて記憶部に記憶させる。なお、工事ポイント(と工事項目)と関連付けて登録されるコメントのデータは、記憶部13に記憶されている帳票データ18の一例である。
【0049】
図15に示す図面D3は、図面D1上で複数の工事ポイントを設定し、施工状態を変更することで図面D1が更新された図面である。図15には、立面図の左上の領域と右下の領域に工事ポイントが設定されている様子が示されている。左上の領域の施工状態は“完了申請”であり、右下の領域の施工状態は“施工済み”である。図12図15の比較で示されるように、制御部12は、設定図面上に設定された各工事ポイント(単位領域)の色、濃度、模様の少なくとも一つを、工事ポイント(単位領域)の施工状態に応じて、変更する。また、右下の領域には、エクスクラメーションマークとカメラマークが付されている。工事ポイントに付されているエクスクラメーションマークは、該当する工事ポイントに関連付けてコメントが登録されていることを示している。また、工事ポイントに付されているカメラマークは、該当する工事ポイントに関連付けて写真が登録されていることを示している。
【0050】
図15に示すような設定済みの工事ポイントを図面上から利用者が選択すると、クライアント端末20には、図16に示す施工状態選択画面(画面F10)が表示される。なお、この例では、画面F10は、モーダルウィンドウであり、画面F9と同様に施工状態を選択する複数の領域を有している。
【0051】
画面F10には、施工状態を選択する複数の領域と、工事ポイントに関連付けてコメント(テキスト情報)を登録する領域に加えて、工事ポイントに関連付けて写真(画像情報)を登録する選択肢と、工事ポイントを分割する選択肢と、工事ポイントを削除する選択肢も提供されている。
【0052】
例えば、利用者である管理者が完了申請された左上の領域を確認した結果、一部に問題が生じていることを発見した場合には、管理者は、画面F10において“工事ポイントを分割する”を選択すればよい。制御部12は、設定図面上に設定された工事ポイント(単位領域)を分割する操作に応じて、工事ポイントを任意に分割して、工事ポイント(単位領域)内に新たな工事ポイント(単位領域)を設定する。これにより、図17に示す図面D4のように、例えば、左上の工事ポイントのうち問題があった領域の施工状態を“問題あり”に変更し、問題がなかった領域の施工状態を“施工済み”に変更することができる。
【0053】
利用者は、工事ポイントを削除したい場合には、画面F10において“工事ポイントを削除する”を選択すればよい。また、利用者は、工事ポイントに関連付けて写真を登録したい場合には、“写真の確認”と記載された領域を選択すればよい。“写真の確認”が選択されると、クライアント端末20には、図18に示す写真一覧画面(画面F11)が表示され、写真が登録されている場合には、登録されている写真が画面内に表示される。また、写真を撮影したい又は撮りなおしたい場合には、同画面上から“再撮影”を選択することも可能である。
【0054】
以上の操作により、制御部12は、操作画面(画面F10)上で入力されたテキスト情報(コメント)と画像情報(写真)を操作画面(画面F10)に対応する工事ポイントと工事項目(この例では、左官)とに関連付けて記憶部に記憶させる。なお、工事ポイント(と工事項目)と関連付けて登録されるコメント及び写真のデータは、記憶部13に記憶されている帳票データ18の一例である。
【0055】
さらに、登録されている写真を加工した場合には、“編集”を選択すればよい。“編集”が選択されると、クライアント端末20には、図19に示す写真編集画面(画面F12)が表示される。画面F12上では写真に色や太さを選択してペンで図形や文字を自由に書き加えることができる。
【0056】
以上では、図8に示すスタートメニュー画面(画面F4)でまず建物を選択して絞り込む例を示したが、絞り込みの順序は利用者が自由に選択可能である。例えば、画面F4において、利用者が検索窓に方位名を入力して検索すると、クライアント端末20には、図20に示す建物方位選択画面(画面F13)が表示される。画面F13には、作業所を横断した検索の結果として検索条件に合致する各建物の方位が一覧で表示される。その後、利用者が画面F13に表示されたリストから特定の建物の方位を選択することで、図11に示す工事項目選択画面が表示される。
【0057】
また、例えば、画面F4において、利用者が“工事項目から選択”を選択すると、クライアント端末20には、図21に示す工事項目選択画面(画面F14)が表示される。利用者は、画面F14にリストされている工事項目一覧から工事項目を選択することができる。なお、画面F14には、複数の建物が含む作業所全体における各工事項目の進捗率が表示されている。
【0058】
工事項目が選択されると、クライアント端末20には、図22に示す建物選択画面(画面F15)が表示され、建物が選択されると、図23に示す方位選択画面(画面F16)が表示される。さらに、方位が選択されると、図12に示す図面表示画面(画面F8)が表示される。
【0059】
以上のように、フロントアプリケーション14が動作する施工管理装置10によれば、設計図面上で行われた、範囲を指定する操作を検出して、指定された範囲に基づいて工事ポイントを設定することができる。これにより、利用者は、予め決められた単位ではなく実際の作業に応じた単位で施工状態を変更することが可能であり、より詳細に進捗情報を入力し、管理することが可能となる。
【0060】
また、施工管理装置10によれば、施工済みか否かだけではなく、少なくとも“施工中”、“問題あり”、“完了申請”、“施工済み”の計4つの状態から選択して施工状態を変更することによって、さらに“未施工”の状態を含む計5つの状態で工事ポイントの施工状態を管理することができる。これにより、利用者は、各工事ポイントの施工状態をより正確に把握することができる。また、例えば、管理者による検証が完了したものを基準にして進捗率を算出すれば、進捗率が時間方向に増加するだけではなく減少してしまうことを避けることも可能である。
【0061】
さらに、施工管理装置10によれば、施工状態を変更する操作画面上で入力されたコメントと写真の少なくとも一方を対応する工事ポイントと工事項目とに関連付けて記憶部13に記憶させることができる。これにより、各利用者は他の利用者が登録したコメントや写真を参照することができるため、施工状態をより正確に把握することが可能となるとともに、各利用者間でより多くの情報を共有することができる。
【0062】
次に、図24から図46を参照しながら、管理アプリケーション15について説明する。クライアント端末20が所定のURLにリクエストを送信し、管理アプリケーション15へアクセスすると、図24に示すログイン画面(画面M1)が表示される。利用者は、予め管理アプリケーション15に登録したユーザ名とパスワードを入力することで、施工管理装置10でログイン処理が行われて、その結果、管理アプリケーション15へログインすることができる。
【0063】
ログイン後、クライアント端末20には、図25に示す作業所一覧画面(画面M2)が表示される。画面M2には、作業所の各種情報が表示される。この例では、AAA作業所のみが表示されているが、作業所が複数登録されている場合には、複数の作業所の情報が一覧で表示される。利用者は、画面M2に表示されている作業所の一覧から1つの作業所を選択することで、クライアント端末20には、図26に示す工事一覧画面(画面M3)が表示される。画面M3には、選択された作業所に登録されている工事が一覧表示される。
【0064】
工事項目についてのマスタデータを編集する場合には、画面M2と画面M3の工事項目マスタ管理の“マスタ”を選択すればよい。利用者がこの“マスタ”を選択すると、クライアント端末20には、図27に示す工事項目一覧画面(画面M4)が表示される。画面M4では、AAA作業所で行われる工事項目が一覧表示され、さらに、後述する最終進捗確認図で利用されるカラーが工事項目毎に表示される。また、カテゴリを選択して一覧表示されている工事項目の並びを変更することで、カテゴリ毎に施工順を設定することができる。ここで設定された施工順とカラーに従って、後述する最終進捗確認図が表示される。なお、工事項目を管理するデータや、カテゴリ毎の工事項目の並び順に関するデータは、マスタデータの一例である。
【0065】
カテゴリは、工事毎に定まる建物の階層構造の最下層に対してまとめて設定する工事項目の施工順である。例えば、既存工事の最下層は部屋であり、既存工事において部屋に対してカテゴリを設定することができる。一方で、外壁工事の最下層は方位毎の外壁であり、外壁工事において方位毎の外壁にカテゴリを設定することができる。カテゴリを利用することで、最下層の複数の対象(例えば、複数の建物の様々な方位の外壁)に一括して同じ施工順を設定することができる。
【0066】
工事項目を追加登録する場合、画面M4の“工事項目一括登録”または“工事項目個別登録”を選択すればよい。利用者が“工事項目一括登録”を選択すると、クライアント端末20には、複数の工事項目を一括して登録する画面が表示される。この画面では、所定の形式のファイルをアップロードすることで複数の工事項目を一括して登録することができる。また、利用者が“工事項目個別登録”を選択すると、クライアント端末20には、工事項目を1つずつ登録する画面が表示される。この画面では、工事項目名と最終進捗確認図で利用されるカラーを指定して新たな工事項目を登録することができる。
【0067】
建物の階層構造の最下層の各々の工事項目について設定する場合には、画面M2と画面M3の“テンプレート”を選択すればよい。利用者が“テンプレート”を選択すると、クライアント端末20には、図28に示す工事項目テンプレート一覧画面(画面M5)が表示される。画面M5には、すでに登録されている工事項目テンプレートの一覧が表示されている。工事項目テンプレートは、最下層にまとめて設定する1つ以上の工事項目の集合である。
【0068】
工事項目テンプレートを編集する場合、画面M5の“編集”を選択すればよい。利用者が“編集”を選択すると、クライアント端末20には、図29に示す工事項目テンプレート編集画面(画面M6)が表示される。ここでは、工事項目テンプレート“テストテンプレート”についての“編集”が選択された場合を例に説明する。
【0069】
画面M6には、AAA作業所に登録されている工事項目が一覧されている。利用者は、工事項目の横のチェックボックスへチェックを入れることで、工事項目テンプレート“テストテンプレート”に設定される工事項目を編集することができる。
【0070】
工事項目テンプレートを新規に作成する場合、画面M5の“新規登録”を選択すればよい。利用者が“新規登録”を選択すると、クライアント端末20には、新たな工事項目テンプレートの名称を登録する画面が表示される。この画面では、所定の形式のファイルをアップロードすることで新たな工事項目テンプレートに設定する工事項目を登録することもできる。
【0071】
工事項目テンプレートを最下層に適用する場合、画面M5の“使用する”を選択すればよい。利用者が“使用する”を選択すると、クライアント端末20には、図30に示す工事項目テンプレート適用画面(画面M7)が表示される。ここでは、テンプレート“テストテンプレート”についての“使用する”が選択された場合を例に説明する。
【0072】
画面M7には、棟名(建物)と方位名を選択するリストボックスが設けられている。なお、画面M7において表示されるリストボックスは、それぞれ後述する画面M9で設定する建物の各階層に対応する。利用者は、これらのリストボックスを用いて、テンプレート“テストテンプレート”を適用する建物の最下層を設定することができる。
【0073】
カテゴリについてのマスタデータを編集する場合には、画面M2のカテゴリ管理の“マスタ”を選択すればよい。利用者がこの“マスタ”を選択すると、クライアント端末20には、図31に示すカテゴリ一覧画面(画面M8)が表示される。画面M8では、AAA作業所で登録されているカテゴリが一覧表示される。カテゴリを新たなに登録する場合には、“新規登録”を選択すればよい。利用者が“新規登録”を選択すると、クライアント端末20には、新たなカテゴリの名称を登録する画面が表示される。また、カテゴリを適用する最下層を設定する場合には、カテゴリ毎に設けられた“適用する”を選択すればよい。利用者が“適用する”を選択すると、クライアント端末20には、カテゴリを適用する最下層を設定する画面が表示される。なお、特定の工事が行われる最下層にカテゴリを設定する場合には、画面M3のカテゴリ管理の“設定”を選択すればよい。利用者がカテゴリ管理の“設定”を選択すると、クライアント端末20には、選択された工事内で最下層を選択してカテゴリを適用するための画面が表示される。
【0074】
工事を追加登録する場合、画面M3の“新規登録”を選択すればよい。利用者が“新規登録”を選択すると、クライアント端末20には、図32に示す工事新規登録画面(画面M9)が表示される。この画面では、登録する新たな工事名と工事対象を絞り込むための階層情報と工事対象を表す図面の登録の有無を設定することができる。
【0075】
利用者が画面M3に表示されている工事の一覧から1つの工事を選択することで、クライアント端末20には、図33に示す建物一覧画面(画面M10)が表示される。画面M10には、AAA作業所の建物が一覧表示される。ここでは、工事“外壁”が選択された場合が例示されている。
【0076】
なお、画面M10では、建物を選択する選択肢に加えて、進捗を表示する選択肢と、登録されているコメントを表示する選択肢と、登録されている写真を表示する選択肢と、建物を編集する選択肢も提供されている。利用者は、AAA作業所の外壁工事についての進捗を確認したい場合には、画面M10上で“進捗の確認”を選択すればよい。また、利用者は、登録されているコメントを確認したい場合には、画面M10上で“備考事項一覧”を選択すればよく、登録されている写真を確認したい場合には、画面M10上で“写真一覧”を選択すればよい。
【0077】
利用者が画面M10の“進捗の確認”を選択することで、クライアント端末20には、図34に示す進捗確認画面(画面M11)が表示される。進捗確認画面では、工事の進捗を様々な形式で確認することができる。具体的には、進捗確認画面上部のラジオボタンを切り替えることで、工事項目毎、図面毎、最終進捗確認の3つ異なる形式で工事(ここで外壁)の進捗を確認することができる。
【0078】
利用者が“工事項目ごとに表示”を選択した場合には、クライアント端末20には、図34に示す進捗確認画面(画面M11)が表示される。つまり、工事項目ごとの進捗率を表形式で表示される。ここでは、A棟とB棟を合わせた進捗率が作業項目ごとに表示されているが、棟を選択して進捗率を表示することもできる。
【0079】
利用者が“図面ごとに表示”を選択した場合には、クライアント端末20には、図35に示す進捗確認画面(画面M12)が表示される。つまり、図面D5上に工事ポイントごとの施工状態が表示される。詳細には、図面D5上に工事ポイントの施工状態を示す画像のレイヤーが重ねて出力され、それにより、図面D5上に工事ポイントの施工状態が表示される。これにより、各工事項目の進捗について詳細に確認することができる。なお、画面M12では、リストボックスで、進捗を表示する最下層(この例では、建物と方位の組み合わせ)と工事項目とを選択することが可能であり、選択された工事項目に対応する最下層の設計図面に進捗が表示される。進捗の表示方法は、図15図17に示す図面表示画面と同様である。また、画面M12上で“出力”を選択することで、表示されている図面情報を所定のファイル形式で出力することができる。これにより、所定のファイル形式に対応したアプリケーションでも、出力されたファイルを開くことで、図面データと工事ポイントを示す矩形データを重ねて表示可能であり、工事ポイントの施工状態を確認することができる。
【0080】
利用者が“最終進捗確認”を選択した場合には、クライアント端末20には、図36に示す最終進捗確認画面(画面M13)が表示される。画面M13内の図面D6は、最終進捗確認図であり、図面内の各工事ポイントを、最終進捗に対応する工事項目に割り当てられたカラーで塗りつぶした図である。より詳細には、工事ポイントごとに施工状態が完了申請(または施工済み)である工事項目を特定し、そのうちの最も施工順が後ろの工事項目に割り当てられたカラーをその工事ポイントに表示したものである。例えば、左官とタイルの両方が完了申請まで進んでいる場合には、その工事ポイントは施工順が後ろのタイルに割り当てられたカラーで表示される。なお、画面M13では、リストボックスで、最終進捗を表示する最下層(この例では、建物と方位の組み合わせ)を選択することが可能であり、選択された最下層の設計図面に進捗が表示される。これにより、工事ポイントごとにどの工事まで完了しているか一目で確認することができる。また、画面M13上で“出力”を選択することで、表示されている図面情報を所定のファイル形式で出力することができる。
【0081】
利用者が画面M10の“備考事項一覧”を選択すると、クライアント端末20には、図37に示す写真備考あり項目一覧画面(画面M14)が表示される。画面M14では、写真が登録されている最下層(棟と方位)、工事項目、施工状態、写真枚数などがコメント(備考)とともに表形式で表示される。また、リストボックスで条件を指定して表示される情報を絞り込むことができる。さらに、“出力”を選択することで、これらの情報を所定のファイル形式で出力することができる。
【0082】
利用者が画面M10の“写真一覧”を選択すると、クライアント端末20には、図38に示す写真一覧画面(画面M15)が表示される。画面M15では、登録されている写真が一覧で表示される。また、リストボックスで条件を指定して表示される写真を絞り込むことができる。さらに、“出力”を選択することで、写真の情報を所定のファイル形式でまとめて出力することができる。
【0083】
利用者が画面M15上で写真を選択することで、クライアント端末20には、図39に示す写真確認画面(画面M16)が表示される。画面M16では、写真とともにその写真に関連する各種情報を確認することができる。また、この画面上から備考欄の編集も可能である。
【0084】
利用者が画面M10に表示されている建物一覧から1つの建物を選択することで、クライアント端末20には、図40に示す方位一覧画面(画面M17)が表示される。画面M17には、AAA作業所のA棟の方位が進捗率とともに一覧表示される。ここでは、建物“A棟”が選択された場合が例示されている。
【0085】
利用者が画面M17に表示されている方位一覧から1つの方位を選択することで、クライアント端末20には、図41に示す工事項目一覧画面(画面M18)が表示される。画面M18には、AAA作業所のA棟北の工事項目が進捗率とともに一覧表示される。ここでは、方位“北”が選択された場合が例示されている。
【0086】
なお、画面M18では、リストボックスを用いて最下層に設定されているカテゴリを変更することができる。リストボックスでカテゴリを変更して“変更の保存”を選択することで、最下層(この例では、A棟北)のカテゴリをリストボックスで選択したカテゴリに変更することができる。また、工事項目を追加登録する場合、画面M18の“工事項目一括登録”または“工事項目の追加”を選択すればよい。利用者が“工事項目一括登録”を選択すると、クライアント端末20には、複数の工事項目を一括して登録する画面が表示される。この画面では、所定の形式のファイルをアップロードすることで複数の工事項目を一括して最下層(この例では、A棟北)に登録することができる。また、利用者が“工事項目の追加”を選択すると、クライアント端末20には、工事項目を1つずつ登録する画面が表示される。この画面では、工事項目名とカラーを指定して新たな工事項目を最下層(この例では、A棟北)に登録することができる。
【0087】
なお、画面M18では、最下層(この例では、A棟北)に図面を登録することができる。画面M18の“図面設定”を選択することで、クライアント端末20には、図42に示す図面設定画面(画面M19)が表示される。画面M19において設計図面のファイルを選択して登録することで、図面が施工管理装置10へアップロードされて、最下層に対して図面が登録される。
【0088】
図面が登録されると、クライアント端末20には、図43に示す図面設定画面(画面M20)が表示される。この画面では、アップロードされた設計図面に本数を指定してグリッド線を設定することができる。図43に示す図面D7は、設計図面にグリッド線を重ねた図面である。この図面D7の格子状に分割された各領域が工事ポイントを設定する際の最小単位となる。このように、グリッド線が設定されることで、図面表示画面で範囲を指定する操作を、グリッド線により形成された最小単位である領域(以降、画素という)を選択する操作として扱うことができる。
【0089】
利用者が画面M18に表示されている工事項目一覧から1つの工事項目を選択することで、クライアント端末20には、図44に示す工事ポイント設定画面(画面M21)が表示される。ここでは、工事項目“タイル”が選択された場合が例示されている。
【0090】
画面M21には、画面M18で選択された工事項目(この例ではタイル)に対応する最下層(A棟北)の図面D8が表示される。画面M21では、フロントアプリケーション14の図面表示画面と同様に、図面D8上で利用者が範囲指定を行うことで工事ポイントを設定することができる。
【0091】
工事ポイントが設定されると、クライアント端末20には、図45に示す工事ポイント新規作成画面(画面M22)が表示される。画面M22で施工状態を指定することで、作成した工事ポイントの施工状態を設定することができる。
【0092】
また、図面D8上で利用者が設定済みの工事ポイントを選択することで、工事ポイントの施工状態を変更することもできる。さらに、複数の工事ポイントを選択した状態で画面M21の“ステータス一括登録”を選択することで、選択した複数の工事ポイントの施工状態を一括して変更することができる。
【0093】
画面M21の“対象外エリアの設定”を選択することで、クライアント端末20には、図46に示す工事ポイント設定画面(画面M23)が表示される。この画面では、画面M19でアップロードされ、画面M20でグリッド線が設定された設計図面に対象外エリアを設定することができる。対象外エリアは、工事ポイントを設定する際に利用者が範囲指定をすることができないエリアであり、したがって、工事ポイントを設定できないエリアである。対象外エリアを設定することで、不必要な領域に誤って工事ポイントが設定されることを防止することができる。また、対象外エリアを設定することで図面上の工事が必要な領域が確定することになるため、対象外エリアの設定は、適切な進捗率を算出する上でも効果的である。
【0094】
なお、対象外エリアは、同じ設計図面を利用する他の工事項目で設定したものを流用することできる。画面M23のリストボックスから対象外エリアが設定済みの他の工事項目を選択することで、その他の工事項目(例えば、左官)で設定されている対象外エリアをコピーして現在の工事項目(例えば、タイル)の対象外エリアとして設定することができる。対象外エリアをコピーすることで対象外エリアの設定の手間を軽減することができる。また、作業項目間で対象外エリアが異なることで生じる種々の不都合を未然に回避することができる。
【0095】
以上のように、管理アプリケーション15が動作する施工管理装置10によれば、フロントアプリケーション14と同様に、利用者は、設計図面上で範囲を指定して工事ポイントを設定することができる。これにより、利用者は、より詳細に進捗情報を入力し、管理することが可能となる。
【0096】
さらに、管理アプリケーション15によれば、図面を含むマスタデータを登録することができる。利用者は、管理アプリケーション15を用いることで、例えば、内装工事のような建物の最下層と作業単位がおよそ一致しているものについては図面を登録せず、外装工事のような建物の最下層と作業単位が一致しないものについてのみ図面を登録してもよい。これにより、最下層よりも細かい単位で進捗管理が必要な工事にのみ図面を用いた進捗管理を適用してもよい。
【0097】
図47は、上述した実施形態に係る施工管理装置10を実現するためのコンピュータのハードウェア構成を例示した図である。図47に示すハードウェア構成を有するコンピュータ100は、例えば、プロセッサ101、メモリ102、記憶装置103、読取装置104、通信インタフェース106、及び入出力インタフェース107を備える。なお、プロセッサ101、メモリ102、記憶装置103、読取装置104、通信インタフェース106、及び入出力インタフェース107は、例えば、バス108を介して互いに接続されている。
【0098】
プロセッサ101は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアであってもよい。プロセッサ101は、メモリ102を利用して例えば上述のフロントアプリケーション14または管理アプリケーション15を実行することにより、上述した制御部12として動作する。
【0099】
メモリ102は、例えば、半導体メモリであり、RAM領域およびROM領域を含んでいてよい。記憶装置103は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、または外部記憶装置である。
【0100】
読取装置104は、例えば、プロセッサ101の指示に従って着脱可能記憶媒体105にアクセスする。着脱可能記憶媒体105は、例えば、半導体デバイス、磁気的作用により情報が入出力される媒体、光学的作用により情報が入出力される媒体などにより実現される。なお、半導体デバイスは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリである。また、磁気的作用により情報が入出力される媒体は、例えば、磁気ディスクである。光学的作用により情報が入出力される媒体は、例えば、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu-ray Disc等(Blu-rayは登録商標)である。
【0101】
上述の記憶部13は、建物の階層の最下層の施工状態を工事項目毎に記憶していて、例えば、メモリ102、記憶装置103、および着脱可能記憶媒体105によって実現されてもよい。通信インタフェース106は、例えば、プロセッサ101の指示に従って、クライアント端末20と通信する。例えば、コンピュータ100は、通信インタフェース106を介してクライアント端末20からリクエストを受信し、クライアント端末20へレスポンスを送信してもよい。通信インタフェース106は、上述の通信部11の一例である。
【0102】
入出力インタフェース107は、例えば、入力装置および出力装置との間のインタフェースである。入力装置は、例えば、利用者からの指示を受け付けるキーボード、マウス、タッチパネルなどのデバイスである。出力装置は、例えばディスプレイなどの表示装置、およびスピーカなどの音声装置である。なお、入力装置と出力装置は省略されてもよい。
【0103】
実施形態に係る各プログラムは、例えば、下記の形態でコンピュータ100に提供される。
(1)記憶装置103に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体105により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
【0104】
なお、図47を参照して述べた施工管理装置を実現するためのコンピュータ100のハードウェア構成は例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の構成の一部が、削除されてもよく、また、新たな構成が追加されてもよい。また、別の実施形態では、例えば、上述の制御部12の一部または全部の機能がFPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-Chip)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、およびPLD(Programmable Logic Device)などによるハードウェアとして実装されてもよい。
【0105】
実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。
【0106】
例えば、上述した実施形態では、施工管理装置10が施工管理用のアプリケーションのプログラムとデータを記憶する例を示したが、施工管理装置は、図48に示すように、施工管理用のアプリケーションのプログラムを記憶する施工管理装置10aと、施工管理用のデータを記憶する施工管理装置10bで構成されてもよく、これらのそれぞれが、通信部(通信部11a、通信部11b)、制御部(制御部12a、制御部12b)、記憶部(記憶部13a、記憶部13b)を有してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 :システム
10、10a、10b :施工管理装置
11、11a、11b、21:通信部
12、12a、12b、22:制御部
13、13a、13b :記憶部
14 :フロントアプリケーション
15 :管理アプリケーション
16 :マスタデータ
17 :施工管理データ
18 :帳票データ
20、20a、20b :クライアント端末
23 :表示部
24 :入力部
30 :ネットワーク
100 :コンピュータ
101 :プロセッサ
102 :メモリ
103 :記憶装置
104 :読取装置
105 :着脱可能記憶媒体
106 :通信インタフェース
107 :入出力インタフェース
108 :バス
D1~D9 :図面
F1~F16、M1~M23:画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図11
図12
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図15
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図20
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図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
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図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48