(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110666
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】ロードポート装置、ロードポート装置の予兆管理システム、ロードポート装置の制御装置およびロードポート装置の予兆管理プログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015378
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤田 元春
(72)【発明者】
【氏名】三輪 初音
(72)【発明者】
【氏名】加藤 望
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA00
5F131CA32
5F131CA45
5F131DA22
5F131DA32
5F131HA29
(57)【要約】
【課題】メンテナンスを容易に行うことが可能なロードポート装置を提供すること。
【解決手段】ロードポート装置10は、構成部品の状態に関して検出される検知データと、予め設定した基準値と、を対比して構成部品の状態を判断する判断手段71を持つ制御装置70を有する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成部品の状態に関して検出される検知データと、予め設定した基準値と、を対比して前記構成部品の状態を判断する判断手段を持つ制御装置を有するロードポート装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記判断手段での判断結果に応じて、外部と通信可能な通信手段を制御する通信制御手段を有する請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項3】
前記通信制御手段は、前記判断手段での判断結果に応じて、前記構成部品の交換部品を発注するかを問い合わせる信号を生成する信号生成手段を有する請求項2に記載のロードポート装置。
【請求項4】
前記通信制御手段は、前記判断手段での判断結果に基づき、携帯型情報処理端末に送信するように前記通信手段を制御する請求項2に記載のロードポート装置。
【請求項5】
前記通信制御手段は、前記判断手段での判断結果に基づき、携帯型情報処理端末に、前記携帯型情報処理端末の位置情報に応じて送信するように前記通信手段を制御する請求項2に記載のロードポート装置。
【請求項6】
前記通信制御手段は、前記構成部品の動作回数を前記検知データとして前記判断手段で判断した判断結果と、前記構成部品のタクトタイムを前記検知データとして前記判断手段で判断した判断結果と、を組み合わせて、前記構成部品以外の構成部品に異常がないかの原因調査を問い合わせる信号を生成する他原因調査信号生成手段を有する請求項2に記載のロードポート装置。
【請求項7】
前記判断手段は、前記構成部品の動作回数を前記検知データとして、前記構成部品の状態を判断する請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項8】
前記判断手段は、前記構成部品のタクトタイムを前記検知データとして、前記構成部品の状態を判断する請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記判断手段での判断結果を表示する表示部を制御する表示制御手段を有する請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記判断手段での判断結果を複数の段階に分けて前記表示部に表示する請求項9に記載のロードポート装置。
【請求項11】
ウエハの収容状態を検出するウエハマッピングユニットと、前記ウエハマッピングユニットの振動量を検出する振動センサと、をさらに有する請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項12】
前記ウエハマッピングユニットは、光学センサユニットと、前記光学センサユニットが配置されるフレーム部と、を有し、前記振動センサは、前記フレーム部に配置されている請求項11に記載のロードポート装置。
【請求項13】
前記判断手段は、前記振動センサが検知する振動量を前記検知データとして、前記ウエハマッピングユニットを駆動する駆動機構の状態を判断する請求項11に記載のロードポート装置。
【請求項14】
前記ロードポート装置は、発光部および前記発光部から発せられた光を受光する受光部を有するセンサ装置をさらに有し、
前記制御装置は、前記判断手段での判断結果に応じて前記発光部の出力を調節する発光出力制御手段を有し、
前記判断手段は、前記発光部の出力を前記検知データとして前記発光部の状態を判断する請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のロードポート装置を複数で有し、
複数の前記ロードポート装置は、管理側制御装置と通信可能であり、
前記管理側制御装置は、それぞれの前記ロードポート装置から前記判断手段での判断結果に関する信号を受信し、いずれの前記ロードポート装置の前記判断手段での判断結果に関する信号かを区別する区別手段を有するロードポート装置の予兆管理システム。
【請求項16】
構成部品の状態に関して検出される検知データと、予め設定した基準値と、を対比して前記構成部品の状態を判断する判断手段を持つロードポート装置の制御装置。
【請求項17】
前記ロードポート装置の構成部品の状態に関して検出される検知データと、予め設定した基準値と、を対比して前記構成部品の状態を判断するステップを、コンピュータに実行させるためのロードポート装置の予兆管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードポート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体などの製造において、半導体などの搬送対象物を密閉された搬送容器内に保管しながら搬送するロードポート装置が使用されている(特許文献1)。このようなロードポート装置を用いた半導体製造システムでは、必要最小限の範囲内でクリーン度を保ちながら自動で半導体の搬送および処理を行えるようになっている。
【0003】
ロードポート装置は、多様かつ多数の構成部品を有している。これらの構成部品は耐用期間が異なるため、構成部品ごとに耐用期間を管理する必要がある。このよう背景から、ロードポート装置のメンテナンスをより簡易的かつ容易に行うことができる機能が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の実情を鑑みてなされ、その目的は、メンテナンスを簡易的かつ容易に行うことが可能なロードポート装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るロードポート装置は、
構成部品の状態に関して検出される検知データと、予め設定した基準値と、を対比して前記構成部品の状態を判断する判断手段を持つ制御装置を有する。
【0007】
このように構成することで、たとえば故障前に構成部品の状態の予兆を検知することができる。このようなロードポート装置では、事前に、部品の点検、交換部品の発注、部品の交換時期等の計画を立てることで、容易にメンテナンスを行うことができる。また、適切なタイミングで構成部品の交換などを行うことができるので、ロードポート装置の故障などのトラブルを未然に防止することが容易である。
【0008】
前記制御装置は、前記判断手段での判断結果に応じて、外部と通信可能な通信手段を制御する通信制御手段を有してもよい。
【0009】
前記通信制御手段は、前記判断手段での判断結果に応じて、前記構成部品の交換部品を発注するかを問い合わせる信号を生成する信号生成手段を有してもよい。交換部品の発注を問い合わせることで、ロードポート装置のメンテナンスが容易になる。
【0010】
前記通信制御手段は、前記判断手段での判断結果に基づき、携帯型情報処理端末に送信するように前記通信手段を制御してもよい。ロードポート装置が携帯情報処理端末と通信することで、作業員が迅速な対応が可能になり、ロードポート装置のメンテナンスが容易になる。
【0011】
前記通信制御手段は、前記判断手段での判断結果に基づき、携帯型情報処理端末に、前記携帯型情報処理端末の位置情報に応じて送信するように前記通信手段を制御してもよい。ロードポート装置の近くに位置する携帯型情報処理端末を持つ作業員などと通信することで、より迅速な対応が可能になり、ロードポート装置のメンテナンスが容易になる。
【0012】
前記判断手段は、前記構成部品の動作回数を前記検知データとして、前記構成部品の状態を判断してもよい。また、前記判断手段は、前記構成部品のタクトタイムを前記検知データとして、前記構成部品の状態を判断してもよい。
【0013】
構成部品の動作回数やタクトタイムを指標とすることで、構成部品の劣化の予兆を検知することができる。
【0014】
前記通信制御手段は、前記構成部品の動作回数を前記検知データとして前記判断手段で判断した判断結果と、前記構成部品のタクトタイムを前記検知データとして前記判断手段で判断した判断結果と、を組み合わせて、前記構成部品以外の構成部品に異常がないかの原因調査を問い合わせる信号を生成する他原因調査信号生成手段を有していてもよい。
【0015】
構成部品の動作回数とタクトタイムの検知データを組み合わせることで、当該構成部品自体に劣化があるか、それ以外の部品に異常が生じているかを判断することが可能になる。このような判断結果をもとに対応を検討することで、装置の運用コストを低減することができる。
【0016】
前記制御装置は、前記判断手段での判断結果を表示する表示部を制御する表示制御手段を有してもよい。前記表示制御手段は、前記判断手段での判断結果を複数の段階に分けて前記表示部に表示してもよい。
【0017】
判断結果が、段階を分けて表示されることで、対応の必要性を容易に判断することができる。
【0018】
ロードポート装置は、ウエハの収容状態を検出するウエハマッピングユニットと、前記ウエハマッピングユニットの振動量を検出する振動センサと、をさらに有してもよい。また、前記ウエハマッピングユニットは、光学センサユニットと、前記光学センサユニットが配置されるフレーム部と、を有し、前記振動センサは、前記フレーム部に配置されていてもよい。さらに、前記判断手段は、前記振動センサが検知する振動量を前記検知データとして、前記ウエハマッピングユニットを駆動する駆動機構の状態を判断してもよい。
【0019】
このように配置された振動センサが検出した振動量を検知データとすることで、ウエハマッピングユニットの駆動機構の状態を良好に判断することができる。
【0020】
前記ロードポート装置は、発光部および前記発光部から発せられた光を受光する受光部を有するセンサ装置をさらに有し、前記制御装置は、前記判断手段での判断結果に応じて前記発光部の出力を調節する発光出力制御手段を有してもよい。前記判断手段は、前記発光部の出力を前記検知データとして前記発光部の状態を判断してもよい。
【0021】
センサ装置の発光部の状態を発光部の出力をもとに判断し、発光部の出力を調整することで、センサ装置の交換するメンテナンスの頻度を低減できる。
【0022】
前記センサ装置は、位置情報を検出する透過型センサであってもよい。また、センサ装置は、光学センサユニットであってもよい。
【0023】
本発明に係るロードポート装置の予兆管理システムは、
ロードポート装置を複数で有し、
複数の前記ロードポート装置は、管理側制御装置と通信可能であり、
前記管理側制御装置は、それぞれの前記ロードポート装置から前記判断手段での判断結果に関する信号を受信し、いずれの前記ロードポート装置の前記判断手段での判断結果に関する信号かを区別する区別手段を有する。
【0024】
このように構成することで、複数のロードポート装置のうち、いずれのロードポート装置の構成部品がどのような状態にあるのかを管理側制御装置で把握することができる。
【0025】
本発明に係るロードポート装置の制御装置は、
構成部品の状態に関して検出される検知データと、予め設定した基準値と、を対比して前記構成部品の状態を判断する判断手段を持っている。
【0026】
本発明に係るロードポート装置の予兆管理プログラムは、
前記ロードポート装置の構成部品の状態に関して検出される検知データと、予め設定した基準値と、を対比して前記構成部品の状態を判断するステップを、コンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は一実施形態に係るロードポート装置の概略斜視図である。
【
図2】
図2は
図1に示すロードポート装置の他の角度から見た概略斜視図である。
【
図3】
図3は
図1に示すロードポート装置の設置部に搬送容器を載置した状態を示す側面図である。
【
図4】
図4は搬送容器内のウエハのマッピングを行う状態を示す側面図である。
【
図5】
図5は設置部周辺の構成を模式的に示す側面図である。
【
図6】
図6はウエハマッピングの動作を示す説明図である。
【
図7】
図7は
図4に示すシリンダ周辺の構成を示す拡大図である。
【
図8】
図8はフロントパージの動作を示す説明図である。
【
図9A】
図9Aは
図1に示すロードポート装置の動作フローの一状態を示す説明図である。
【
図10】
図10は制御装置のブロック図を含むロードポート装置の全体構成図である。
【
図11】
図11は
図1に示すロードポート装置を用いた予兆管理システムのブロック図である。
【
図12】
図12は
図1に示すロードポート装置の制御装置の処理工程の一例を示すフローチャート図である。
【
図13】
図13は
図1に示すロードポート装置の制御装置の処理工程の他の例を示すフローチャート図である。
【
図14】
図14は
図1に示すロードポート装置の制御装置の処理工程の他の例を示すフローチャート図である。
【
図15A】
図15Aは
図1に示すロードポート装置の制御装置の処理工程の他の例を示すフローチャート図(1/2)である。
【
図15B】
図15Bは
図1に示すロードポート装置の制御装置の処理工程の他の例を示すフローチャート図(2/2)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。なお、各図面では、図面を見易くして発明の理解を助けるために、各構成部品の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下、実施形態により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0029】
第1実施形態
まず、ロードポート装置の全体構成を説明する。
図1および
図2は、本実施形態に係るロードポート装置10の概略斜視図である。ロードポート装置10は、たとえば
図10に示すように、搬送容器をロードポート装置と連結するドッキングユニット20、搬送容器を開閉するドアユニット40、搬送容器の内部を清浄にするパージユニット30、半導体ウエハなどの収容状態を検出するウエハマッピングユニット50などの各種構成部品を有し、これらの各種構成部品は、制御装置70で制御されている。ロードポート装置10は、たとえば半導体工場内に設置して、半導体ウエハなどを内部に収容した搬送容器を連結して用いられる。
【0030】
ロードポート装置10は、設置部12と、設置部12に対して移動可能な可動テーブル13と、半導体ウエハなどの受渡口11aが形成してある壁部材11と、を有する。なお、図面において、Y軸が可動テーブル13の移動方向を示し、Z軸が鉛直方向の上下方向を示し、X軸がこれらのX軸およびZ軸に垂直な方向を示す。
【0031】
ロードポート装置10は、搬送容器の内部に密封状態で収容してあるウエハを、クリーン状態を維持しながら、半導体処理装置の内部に、移し替えるためのインターフェース装置である。このロードポート装置10は、壁部材11の受渡口11aを開閉するドアユニット40を有する。壁部材11は、半導体処理装置の内部をクリーン状態に密封するケーシングの一部、または半導体処理装置とロードポート装置10とを連結するイーフェム(EFEM)などの装置の内部をクリーン状態に密封するケーシングの一部として機能するようになっている。
【0032】
図3は、ロードポート装置10の設置部12に搬送容器2を載置した状態を示す側面図である。設置部12の可動テーブル13のZ軸方向の上部には、搬送容器2が着脱自在に載置可能になっている。可動テーブル13は、ドッキングシリンダ28と繋がっており、ドッキングシリンダ28の駆動により、設置部12に対してY軸方向に移動可能になっている。
【0033】
図5は、設置部12周辺の構成を模式的に示す側面図である。搬送容器2は、ポットやフープなどで構成してよく、複数の被処理物を密封して保管して搬送可能になっている。搬送容器2は、内部に被処理物たるウエハ1を内部に収めるための空間が形成され、Y軸方向の一面に開口2aが、蓋4で密封されている。
【0034】
設置部12の可動テーブル13の上面には、位置決めピン18が埋没されている。搬送容器2が可動テーブル13に載置されると、搬送容器2の下面に設けられた位置決め部2cが位置決めピン18と嵌合して、搬送容器2と可動テーブル13とのX軸-Y軸位置関係が一義的に決定される。
【0035】
設置部12には、ドッキングユニット20が配置されている。ドッキングユニット20は、搬送容器2を可動テーブル13に固定するクランプ機構21と、搬送容器2をドア42に連結するドッキングシリンダ28と、を有する。クランプ機構21は、搬送容器2の下面に形成された係合溝2bに係合するクランプフック22と、クランプフック22をZ軸方向に駆動させるクランプシリンダ24と、クランプフック22をY軸方向に駆動させるクランプシリンダ26と、を有する。クランプシリンダ24,26を駆動させることで、クランプフック22が係合溝2bに係合し、搬送容器2が可動テーブル13に固定される。クランプシリンダ24,26の駆動に関する信号は、
図10に示す制御装置70に出力される。
【0036】
設置部12は、パージユニットを構成するボトムパージ部32を有する。ボトムパージ部32は、搬送容器2の下面に形成されたパージポート5のZ軸方向下方に配置してある。ボトムパージ部32は、給気用と排気用とがあるが、パージ用ガスの流れが逆になるのみであり、その構造は同じである。
【0037】
ボトムパージ部32には、図示しないシリンダと、シリンダの内部に収容してあるピストン式のパージノズルが配置してある。ボトムパージ部32のシリンダを駆動させることでパージノズルが飛び出しパージポート5に密着する。
【0038】
たとえば、排気用のパージノズルから搬送容器2の内部の雰囲気を排気し、給気用のパージノズルから窒素ガスやその他の不活性ガスなどの清浄化ガスを供給することで、搬送容器2の内部を所望のガスで満たすことができる。ボトムパージ部32の駆動に関する信号は、
図10に示す制御装置70に出力される。
【0039】
図3に示すように、ドアユニット40は、ドア42と、搬送容器2の蓋4に吸着する吸着パッド43と、蓋4を開くためのラッチキー44とを有する。搬送容器2を載置した可動テーブル13をドッキングシリンダ28によってドア42の方向に移動させることで蓋4がドア42に接触する。
【0040】
ドッキングシリンダ28の駆動に関する信号は、
図10に示す制御装置70に出力される。吸着パッド43を駆動させることで、搬送容器2の蓋4とドア42が接続する。ラッチリンダ45を駆動させることで、ラッチキー44を動作させ、蓋4を搬送容器2から外すことができる。吸着パッド43およびラッチシリンダ45の駆動に関する信号は、
図10に示す制御装置70に出力される。
【0041】
図4に示すように、ドアユニット40は、ドア開閉シリンダ46とL字クランプ49で壁部材11に固定されたドア上下シリンダ47とを有する。ドア開閉シリンダ46は、ドア上下シリンダ47に固定されている。ドア開閉シリンダ46は、ドア42をY軸方向に平行移動させ、あるいは回動移動させてドア42を開閉することができる。ドア上下シリンダ47を動作させて、ドア42をZ軸下方に移動させれば、搬送容器2が完全に開き、壁部材11をY軸方向に挟んで搬送容器2とは反対側に配置された装置のロボットハンドなどにより、ウエハ1の受け渡しを行うことができる。吸着パッド43およびドア上下シリンダ47の駆動に関する信号は、
図10に示す制御装置70に出力される。
【0042】
図2に示すように、壁部材11には、パージユニットを構成するフロントパージ部34が配置されている。
図8に示すように、フロントパージ部34は、ボトムパージに用いるガスと同様のパージ用ガスが噴射することができるように構成してある。パージ用ガスを搬送容器2の開口2aに向けて噴射することで、ウエハ1などが清浄な状態に保たれる。フロントパージ部34の駆動に関する信号は、
図10に示す制御装置70に出力される。
【0043】
図2に示すように、ウエハマッピングユニット50は、センサ装置として、発光部55aと受光部55bとからなる光学センサユニット55と、光学センサユニット55が配置されるフレーム部52と、を有する。
図3および
図4に示すように、フレーム部52は、ドア上下シリンダ47およびマッピングアーム前進/後退シリンダ53に繋がっている。フレーム部52は、ドア上下シリンダ47の可動体48の動作に従い、ドア42と共に、Z軸方向に沿って移動し、マッピングアーム前進/後退シリンダ53の動作に従い、Y軸方向に沿って移動する。
【0044】
図4に示すように、ドア上下シリンダ47およびマッピングアーム前進/後退シリンダ53を動作させて、光学センサユニット55を搬送容器2の開口2aに挿入することができる。マッピングアーム前進/後退シリンダ53の駆動に関する信号は、
図10に示す制御装置70に出力される。
【0045】
フレーム部52には、ウエハマッピングユニット50の振動量を検出する振動センサ64が配置されている。振動センサ64が検出した振動量に関する信号は、
図10に示す制御装置70に出力される。振動センサ64は、加速度や速度、変位などの物理量を計測するセンサであってもよい。
【0046】
図10に示すように、光学センサユニット55は、発光部55aと受光部55bを有する。光学センサユニット55は、発光部55aと受光部55bとを結ぶ検出軸56を有する。光学センサユニット55は、検出軸56がウエハ1と交差することにより受光部55bが受ける発光部55aの光量が変化する。受光部55bによる受光結果に対応した収容状態信号が
図10に示す制御装置70に出力されことで、ウエハ1の収容状態を検出する。
図4に示す状態では、
図10に示すように、光学センサユニット55は、Z軸方向から見て検出軸56がウエハ1に重なる位置まで、搬送容器内に挿入されている。
【0047】
発光部55aは、たとえば可視光LED、赤外線LED、紫外線LEDなどがあげられるが、LD(レーザーダイオード)などのLED以外の発光部を用いてもよく、特に限定されない。また、受光部55bは、たとえばフォトトランジスタ、フォトダイオード、赤外線検出素子などがあげられるが、特に限定されない。光学センサユニット55の光量に関する信号は、
図10に示す制御装置70に出力される。
【0048】
ドア上下シリンダ47の可動体48には、センサ装置として、
図7に示す位置検知センサ61が取り付けられている。位置検知センサ61は、たとえばセンサドグ62を挟んで左右方向に対向するように配置された、図示しない光照射部及び受光部を有する位置情報を検出する透過型光センサとされている。位置検知センサ61は、受光部が光照射部からの検出光を受光しながらセンサドグ62に沿って昇降移動すると共に、受光部による受光結果に対応した位置検出信号を
図10に示す制御装置70に出力している。
【0049】
位置検知センサ61は、ドア上下シリンダ47の可動体48の昇降移動に伴ってセンサドグ62に沿って昇降移動可能とされている。センサドグ62と位置検知センサ61とが対応付けられているので、位置検出信号に基づいて、ウエハ1に対する光学センサユニット55の相対位置を検出することが可能とされている。位置検知センサ61の光量に関する信号も、
図10に示す制御装置70に出力される。
【0050】
次に、ロードポート装置10の動作フローについて説明する。
図9A~
図9Jは、ロードポート装置10の稼働状態を示している。
【0051】
図9Aに示すように、まず、ウエハが収容された搬送容器2が設置部12の可動テーブル13に載置する。次に、
図9Bに示すように、クランプ機構21のクランプシリンダを制御して、搬送容器2を可動テーブル13に固定する。搬送容器2が可動テーブル13に固定されたら、ボトムパージ部から清浄化ガスを搬送容器2に導入して搬送容器2内のウエハを清浄に保つ。
【0052】
次に、
図9Cに示すように、ドッキングシリンダ28を制御して、搬送容器2の蓋4をドア42に接触させる。
図9Dに示すように、ドア42に備えられている吸着パッド43とラッチキー44を制御して蓋4とドア42を接続する。
【0053】
次に
図9Eに示すように、ドアユニットのドア開閉シリンダを制御して、蓋4を搬送容器2から取り外す。蓋4を搬送容器2から取り外す際に、フロントパージ部から清浄ガスを噴射して搬送容器2内のウエハを清浄に保つ。
【0054】
次に、
図9Fに示すように、ドア上下シリンダ47を制御して、光学センサユニット55をウエハマッピングの開始位置の高さに移動させる。次に、
図9Gに示すように、マッピングアーム前進/後退シリンダを制御して、光学センサユニット55を搬送容器2の開口2aに挿入して、ウエハマッピングを開始する位置に移動させる。
【0055】
次に、
図9Hに示すように、ドア上下シリンダを制御して、光学センサユニット55の高さを変えながらウエハマッピングを行う。
図9Iに示すように、ウエハマッピングが終了したら、マッピングアーム前進/後退シリンダを制御して光学センサユニット55を搬送容器2の開口2aから引き抜く。
【0056】
次に、
図9Jに示すように、ドア上下シリンダを制御して、搬送容器2の開口2aを完全に開く。このようにすることで、ロードポート装置10では、搬送容器2の内部に収容したウエハを清浄な状態に保ちながら、EFEMなどの装置に搬送することができる。
【0057】
次に、ロードポート装置の制御装置について詳細に説明する。
図10に示すように、ロードポート装置の制御装置70は、ドッキングユニット20、ドアユニット40、パージユニット30、ウエハマッピングユニット50などの各種構成部品と直接または通信可能に接続されている。制御装置70は、判断手段71と、表示制御手段72と、通信制御手段73と、発光出力制御手段74と、を有する。
【0058】
なお、制御装置70は、図示しない一般的な制御手段を含んでもよく、その制御手段により、各種構成部品を制御してもよい。各種手段は、これらの機能を実現するためのプログラムが記憶してある記憶手段と、その記憶手段に記憶してあるプログラムを中央情報処理装置(CPU)で実行することで実現してもよいが、専用回路で構成してもよい。
【0059】
本実施形態では、制御装置70は、構成部品の状態に関して検出される検知データと、予め設定した基準値と、を対比して構成部品の状態を判断する判断手段71を持っている。この判断手段71は、ロードポート装置の構成部品の状態に関して検出される検知データと、予め設定した基準値と、を対比して構成部品の状態を判断する。
【0060】
制御装置70は、たとえば、構成部品としてドアユニット40のドア上下シリンダ47に関して、駆動回数を検知データとして、検知データと予め設定した基準値とを対比してドア上下シリンダ47の状態を判断することができる。以下では、ドア上下シリンダ47の状態を判断する工程を例に
図12に基づいて説明する。
【0061】
図12に示すように、制御装置70が処理を開始すると、まず、ドア上下シリンダ47の駆動がセンサにより検出され、カウント手段(図示省略/以下同様)が、記録手段(図示省略/以下同様)に記録してあるドア上下シリンダ47の駆動回数Nを1つ追加する信号を判断手段71に入力する(ステップS1)。次に、判断手段71が、この駆動回数の検知データNが予め設定した第1の基準値NT1を超えたかどうか判断する(ステップS2)。
【0062】
ステップS2において、検知データNが第1の基準値NT1を超えていないと判断した場合には、制御フローはステップS1に戻る。ステップS2において、検知データNが第1の基準値NT1を超えていると判断した場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、ロードポート装置10のカバー部14に配置してある表示部15のライトを点灯させるなどの方法で第1警告を表示させる(ステップS3)。
【0063】
また、判断手段71は、通信制御手段73の信号生成手段に制御信号を送信し第1警告に対応する第1信号を生成させ、さらにロードポート装置10の通信手段80を制御し、
図11に示す管理側制御装置101に第1信号を送信する(ステップS3)。第1信号は、たとえば交換部品を発注するか問い合わせる信号であってもよい。
【0064】
図12に示すステップS4において、
図10に示すドア上下シリンダ47の交換部品の発注信号を判断手段71が
図11に示す管理側制御装置101から受信した場合には、判断手段71が、ドア上下シリンダ47が交換部品に交換されたかを判断する(ステップS5)。ステップS5において、ドア上下シリンダ47が交換部品に交換されたという交換信号が判断手段71に入力された場合には、判断手段71が、表示制御手段72に制御信号を送信し、表示部15に表示した第1警告を消す。また、カウント手段が、記録手段に記録してある駆動回数の検知データNを0に戻し、制御フローはステップS1に戻る(ステップS11)。なお、本実施形態において、交換部品の発注信号は、外部から判断手段71に送信されてもよいが、制御装置70が自ら生成して判断手段に送信してもよい。
【0065】
ステップS4においてドア上下シリンダ47の交換部品の発注信号を判断手段71が受信していなかった場合、または、ステップS5においてドア上下シリンダ47が交換部品に交換されたという交換信号が判断手段71に入力されていない場合には、判断手段71は、検知データNが第2の基準値NT2を超えたかどうか判断する(ステップS6)。第2の基準値NT2は第1の基準値NT1よりも大きな値に設定されており、たとえば、NT2はNT1の(1.05)倍~(3)倍など、対象となる構成部品に応じて決定してよい。
【0066】
ステップS6において、検知データNが第2の基準値NT2を超えていないと判断した場合には、制御フローはステップS1に戻る。ステップS6において、検知データNが第2の基準値NT2を超えていると判断した場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、ロードポート装置10の表示部15に点灯したライトを点滅させるなど第1警告とは異なる方法で第2警告を表示させる(ステップS7)。
【0067】
また、判断手段71は、通信制御手段73の信号生成手段を制御して第2警告に対応する第2信号を生成させ、さらにロードポート装置10の通信手段80を制御させ、
図11に示す管理側制御装置101に第2信号を送信する(ステップS7)。第2信号は、たとえば交換部品を発注するか問い合わせる信号であってもよい。
【0068】
ステップS8においてドア上下シリンダ47の交換部品の発注信号を受信した場合には、判断手段71が、ドア上下シリンダ47が交換部品に交換されたかを判断する(ステップS9)。ステップS9において、ドア上下シリンダ47が交換部品に交換されたという交換信号が判断手段71に入力された場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、表示部15に表示した第2警告を消す。また、カウント手段が、記録手段に記録してある駆動回数の検知データNを0に戻し、制御フローはステップS1に戻る(ステップS12)。
【0069】
ステップS8においてドア上下シリンダ47の交換部品の発注信号を判断手段71が受信していなかった場合、または、ステップS5においてドア上下シリンダ47が交換部品に交換されたという交換信号が判断手段71に入力されていない場合には、ロードポート装置10を停止するかを判断する(ステップS10)。ステップS10において、判断手段71が停止信号を受信した場合にはロードポート装置10を停止させて処理を終了する。ステップS10において、判断手段71が停止信号を受信していない場合には制御フローはステップS1に戻る。
【0070】
図10に示すように、本実施形態のロードポート装置では、制御装置70の判断手段71は、各種構成部品の状態に関して検出される検知データと、予め設定した基準値と、を対比して構成部品の状態を判断する。
【0071】
そのため、たとえば故障前に構成部品の状態の予兆を検知することができる。このようなロードポート装置10では、事前に、部品の点検、交換部品の発注、部品の交換時期等の計画を立てることで、容易にメンテナンスを行うことができる。また、適切なタイミングで構成部品の交換などを行うことができるので、ロードポート装置10の故障などのトラブルを未然に防止することが容易である。
【0072】
ロードポート装置10は、判断手段71での判断結果に応じて、外部と通信可能な通信手段80を有する。制御装置70は、通信手段80を制御する通信制御手段73を有する。通信制御手段73は、判断手段71での判断結果に応じて、構成部品の交換部品を発注するかを問い合わせる信号を生成する信号生成手段を有する。このように、交換部品の発注を問い合わせることで、ロードポート装置10では、自動でメンテナンスに要する通信を行うことができるため、メンテナンスが容易になる。
【0073】
本実施形態では、判断手段71は、構成部品の動作回数を検知データとして、構成部品の状態を判断している。このように、構成部品の動作回数を指標とし、部品ごとに定められた耐用回数に応じて基準値を設定することで、構成部品の劣化を事前に判断することができ、メンテナンスを効率的に行うことができる。
【0074】
図10に示すように、ロードポート装置10は、判断手段71での判断結果を表示する表示部15を有する。制御装置70は、表示部15を制御する表示制御手段を有しており、判断手段71での判断結果を複数の段階に分けて表示部15に表示できる。判断結果が、段階を分けて表示されることで、対応の必要性を外部から容易に判断することができる。
【0075】
図10に示すように、本実施形態のロードポート装置は、外部装置と通信可能な通信手段を有する。
図11に示すように、ロードポート装置の制御装置70は、構成部品の状態に関する判断結果を、通信制御手段73が制御する通信手段を介して管理制御装置101に送信することができる。なお、管理側制御装置101と制御装置70との通信方法は、特に限定されず、有線であっても無線であってもよい。
【0076】
そのため、予兆管理システム100では、ロードポート装置10から管理側制御装置101に送信された信号に基づいて、外部からメンテナンスの要否などの計画を策定することが可能である。
【0077】
第2実施形態
本実施形態は、
図10に示す制御装置70の処理工程が第1実施形態と異なるのみであり、共通する部分の説明は省略し、以下、異なる部分について主として詳細に説明する。以下において説明しない部分は、第1実施形態の説明と同様である。
【0078】
図13に示すように、本実施形態の制御装置の処理工程では、判断手段は、タクトタイムの検知データとして構成部品の状態を判断している。以下では、ドア上下シリンダ47の状態を判断する工程を例に
図13に基づいて説明する。
【0079】
判断手段71は、たとえば、構成部品としてドア上下シリンダ47に関して、タクトタイムを検知データとして、検知データと予め設定した基準値とを対比してドア上下シリンダ47の状態を判断する。以下では、ドア上下シリンダ47の状態を判断する工程を例に
図13に基づいて説明する。なお、本実施形態の処理工程は、第1実施形態の制御装置での処理工程と組み合わせて実行されてもよい。
【0080】
図13に示すように、判断手段71が処理を開始すると、まず、ドア上下シリンダ47のタクトタイムがセンサにより検出され、タクトタイム入力手段が、タクトタイムに関する信号を判断手段71に入力する(ステップS21)。次に、判断手段71が、このタクトタイムの検知データtが第3の基準値t0±Δt1の範囲内に納まっているかどうかを判断する(ステップS22)。
【0081】
ステップS22において、検知データtが第3の基準値t0±Δt1の範囲内に納まっていると判断した場合には、制御フローはステップS21に戻る。ステップS22において、検知データtが第3の基準値t0±Δt1の範囲内に納まっていないと判断した場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、ロードポート装置10の表示部15のライトを点灯させるなどの方法で第3警告を表示させる(ステップS23)。
【0082】
また、判断手段71は、通信制御手段73の信号生成手段を制御して第3警告に対応する第3信号を生成させ、さらにロードポート装置10の通信手段80を制御させ、
図11に示す管理側制御装置101に第3信号を送信する(ステップS23)。第3信号は、たとえば交換部品を発注するか問い合わせる信号であってもよい。
【0083】
ステップS24においてドア上下シリンダ47の交換部品の発注信号を受信した場合には、判断手段71が、ドア上下シリンダ47が交換部品に交換されたかを判断する(ステップS25)。ステップS5において、ドア上下シリンダ47が交換部品に交換されたという交換信号が判断手段71に入力された場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、表示部15に表示した第3警告を消し、制御フローはステップS21に戻る(ステップS31)。
【0084】
ステップS24においてドア上下シリンダ47の交換部品の発注信号を判断手段71が受信していなかった場合、または、ステップS25においてドア上下シリンダ47が交換部品に交換されたという交換信号が判断手段71に入力されていない場合には、判断手段71は、検知データtが第4の基準値t0±Δt2の範囲内に納まっているかどうか判断する(ステップS26)。
【0085】
ステップS26において、検知データtが第4の基準値t0±Δt2の範囲内に納まっていると判断した場合には、制御フローはステップS21に戻る。ステップS26において、検知データtが第4の基準値t0±Δt2の範囲内に納まっていないと判断した場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、ロードポート装置10の表示部15に点灯したライトを点滅させるなど第3警告とは異なる方法で第4警告を表示させる(ステップS27)。
【0086】
また、判断手段71は、通信制御手段73の信号生成手段を制御して第4警告に対応する第4信号を生成させ、さらにロードポート装置10の通信手段80を制御させ、
図11に示す管理側制御装置101に第4信号を送信する(ステップS27)。第4信号は、たとえば交換部品を発注するか問い合わせる信号であってもよい。第4の基準値t0±Δt2の範囲は第3の基準値t0±Δt1の範囲よりも広い範囲に設定されており、たとえば、Δt2はΔt1の(1.05)倍~(3)倍など、対象となる構成部品に応じて決定してよい。
【0087】
ステップS28においてドア上下シリンダ47の交換部品の発注信号を受信した場合には、判断手段71が、ドア上下シリンダ47が交換部品に交換されたかを判断する(ステップS29)。ステップS29において、ドア上下シリンダ47が交換部品に交換されたという交換信号が判断手段71に入力された場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、表示部15に表示した第3警告を消し、制御フローはステップS21に戻る(ステップS32)。なお、本実施形態において、交換部品の発注信号は、外部から判断手段71に送信されてもよいが、制御装置70が自ら生成して判断手段に送信してもよい。
【0088】
ステップS28においてドア上下シリンダ47の交換部品の発注信号を受信していなかった場合、または、ステップS5においてドア上下シリンダ47が交換部品に交換されたという交換信号が入力されていない場合には、ロードポート装置10を停止するかを判断する(ステップS30)。ステップS30において、判断手段71が停止信号を受信した場合にはロードポート装置10を停止させて処理を終了する。ステップS30において、判断手段71が停止信号を受信していない場合には制御フローはステップS21に戻る。
【0089】
本実施形態では、構成部品のタクトタイムを検知データとして、構成部品の状態を判断している。このように、構成部品のタクトタイムのような構成部品の劣化に関係する指標を用いて、基準値と対比することで、構成部品の劣化の予兆を検知することができ、メンテナンスを効率的に行うことができる。
【0090】
第3実施形態
本実施形態は、
図10に示す制御装置70の処理工程が第1実施形態または第2実施形態と異なるのみであり、共通する部分の説明は省略し、以下、異なる部分について主として詳細に説明する。以下において説明しない部分は、第1実施形態または第2実施形態の説明と同様である。
【0091】
図14に示すように、本実施形態の制御装置の処理工程では、構成部品の状態を判断すると共に、これらの部品の出力を制御している。
図14では、判断手段71は、たとえば、光学センサユニット55の発光部55aが発する光量を検知データとして、検知データと予め設定した基準値とを対比して光学センサユニット55の状態を判断する。以下では、光学センサユニット55の状態を判断する工程を例に
図14に基づいて説明する。なお、本実施形態の処理工程は、第1実施形態および第2実施形態の制御装置での処理工程と組み合わせて実行されてもよい。
【0092】
図14に示すように、判断手段71が処理を開始すると、まず、発光部55aの光量がセンサにより検出され、光量入力手段が、光量に関する信号を判断手段71に入力する(ステップS41)。次に、判断手段71が、この光量の検知データIが第5の基準値I1を超えているかどうかを判断する(ステップS42)。
【0093】
ステップS42において、検知データIが第5の基準値I1を超えていると判断した場合には、制御フローはステップS41に戻る。ステップS42において、検知データIが第5の基準値I1を超えていないと判断した場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、ロードポート装置10の表示部15のライトを点灯させるなどの方法で第5警告を表示させる(ステップS43)。また、判断手段71は、通信制御手段73の信号生成手段を制御して第5警告に対応する第5信号を生成させ、さらにロードポート装置10の通信手段80を制御させ、
図11に示す管理側制御装置101に第5信号を送信する(ステップS43)。第5信号は、たとえば交換部品を発注するか問い合わせる信号であってもよい。
【0094】
ステップS44において発光部55aの出力を調節する出力調節信号を受信した場合には、判断手段71が、発光出力制御手段74に制御信号を送信し、発光出力制御手段74に発光部55aの出力を強くさせ、制御フローはステップS41に戻る(ステップS53)。ステップS44において出力調節信号を受信していない場合には、光学センサユニット55の交換部品の発注信号を受信したか判断する(ステップS45)。
【0095】
ステップS45において光学センサユニット55の交換部品の発注信号を受信した場合には、判断手段71が、光学センサユニット55が交換部品に交換されたかを判断する(ステップS46)。ステップS46において、光学センサユニット55が交換部品に交換されたという交換信号が判断手段71に入力された場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、表示部15に表示した第5警告を消し、制御フローはステップS41に戻る(ステップS54)。
【0096】
ステップS45において光学センサユニット55の交換部品の発注信号を判断手段71が受信していなかった場合、または、ステップS46において光学センサユニット55が交換部品に交換されたという交換信号が判断手段71に入力されていない場合には、判断手段71は、検知データIが第6の基準値I2を超えているかどうか判断する(ステップS46)。第6の基準値I2は第5の基準値I6よりも低い値に設定されており、たとえば、I1はI2の(1.05)倍~(3)倍など、マッピングに必要とされる光量に応じて決定してよい。
【0097】
ステップS47において、検知データIが第6の基準値I2を超えていないと判断した場合には、制御フローはステップS41に戻る。ステップS47において、検知データIが第6の基準値I2を超えていると判断した場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、ロードポート装置10の表示部15に点灯したライトを点滅させるなど第5警告とは異なる方法で第6警告を表示させる(ステップS48)。また、判断手段71は、通信制御手段73の信号生成手段を制御して第6警告に対応する第6信号を生成させ、さらにロードポート装置10の通信手段80を制御させ、
図11に示す管理側制御装置101に第6信号を送信する(ステップS48)。第6信号は、たとえば交換部品を発注するか問い合わせる信号であってもよい。
【0098】
ステップS49において発光部55aの出力を調節する出力調節信号を受信した場合には、判断手段71が、発光出力制御手段74に制御信号を送信し、発光出力制御手段74に発光部55aの出力を強くさせ、制御フローはステップS41に戻る(ステップS55)。ステップS49において出力調節信号を受信していない場合には、光学センサユニット55の交換部品の発注信号を受信したか判断する(ステップS50)。
【0099】
ステップS50において光学センサユニット55の交換部品の発注信号を受信した場合には、判断手段71が、光学センサユニット55が交換部品に交換されたかを判断する(ステップS51)。ステップS51において、光学センサユニット55が交換部品に交換されたという交換信号が判断手段71に入力された場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、表示部15に表示した第6警告を消し、制御フローはステップS41に戻る(ステップS56)。
【0100】
ステップS50において光学センサユニット55の交換部品の発注信号を受信していなかった場合、または、ステップS51において光学センサユニット55が交換部品に交換されたという交換信号が入力されていない場合には、ロードポート装置10を停止するかを判断する(ステップS52)。ステップS52において、判断手段71が停止信号を受信した場合には、ロードポート装置10を停止させて処理を終了する。ステップS52において、判断手段71が停止信号を受信していない場合には制御フローはステップS41に戻る。
【0101】
本実施形態のロードポート装置10では、フレーム部52に振動センサ64は光学センサユニット55が配置されている。
図10に示す判断手段71が、検知データとして、振動センサ64が検知する振動量を基準値と対比して、ウエハマッピングユニットを駆動する駆動機構(ドア上下シリンダ47やマッピングアーム前進/後退シリンダ)の状態を判断することも可能である。
【0102】
図3に示すように、光学センサユニット55の近傍に配置されている。このように配置された振動センサ64が検出した振動量を、検知データとすることで、ウエハマッピングユニット50の駆動機構の状態を良好に判断することができる。なお、その他の構成部品のシリンダなどの駆動機構の近傍に振動センサを配置して、その振動量を検知データとして判断手段71に入力して駆動機構の状態を判断することも可能である。
【0103】
図14に示すように、制御装置70は、判断手段71での判断結果に応じて発光部55aの出力を調節する発光出力制御手段74を有する。判断手段71は、発光部55aの出力を検知データとして発光部の状態を判断することもできる。判断手段71は、光学センサの発光部55aの状態を発光部55aの光量を基に判断し、発光出力制御手段74に発光部55aの出力を調整させることで、光学センサの交換するメンテナンスの頻度を低減できる。
【0104】
なお、判断手段71は、発光出力制御手段に、発光機能を有する他のセンサ装置などの部品(位置検知センサ61など)でも同様に、出力の調整を行うことができる。
【0105】
第4実施形態
本実施形態は、
図10に示す制御装置70の処理工程が第1実施形態~第3実施形態と異なるのみであり、共通する部分の説明は省略し、以下、異なる部分について主として詳細に説明する。以下において説明しない部分は、第1実施形態~第3実施形態の説明と同様である。
【0106】
図15Aおよび
図15Bに示すように、本実施形態の制御装置の処理工程では、判断手段71は、構成部品の動作回数とタクトタイムの検知データを組み合わせて構成部品の状態を判断している。以下では、ドア上下シリンダ47の状態を判断する工程を例に
図15Aおよび
図15Bに基づいて説明する。
【0107】
図15Aおよび
図15Bに示すように、本実施形態では、
図12に示す制御装置の処理工程と同様のステップS1、S3~S5、S7~S12を有するが、
図12に示す制御装置の処理工程のステップS2、S6とは異なるステップS200,S600を有する。
【0108】
図15Aおよび
図15Bに示すように、本実施形態では、第1実施形態のステップS2と同様に、ステップS200では、ドア上下シリンダ47の駆動回数の検知データNが予め設定した第1の基準値NT1を超えていると判断した場合には、ステップS3に移行する。一方、ステップS15において、駆動回数の検知データNが予め設定した第1の基準値NT1を超えていないと判断した場合には、タクトタイムを検出するステップS61に移行する。
【0109】
ステップS61において、ドア上下シリンダ47のタクトタイムが検出され、タクトタイムに関する信号が判断手段71に入力される。次に、判断手段71が、このタクトタイムの検知データtが第3の基準値t0±Δt1の範囲内に納まっているかどうかを判断する(ステップS62)。
【0110】
ステップS62において、検知データtが第3の基準値t0±Δt1の範囲内に納まっていると判断した場合には、制御フローはステップS1に戻る。ステップS62において、検知データtが第3の基準値t0±Δt1の範囲内に納まっていないと判断した場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、ロードポート装置10の表示部15のライトを点灯させるなどの方法で第7警告を表示させる(ステップS63)。
【0111】
また、判断手段71は、構成部品以外の構成部品に異常がないかの原因調査を問い合わせる信号を生成する他原因調査信号生成手段を制御して第7警告に対応する第7信号を生成させ、通信制御手段73にロードポート装置10の通信手段80を制御させ、
図11に示す管理側制御装置101に第7信号を送信する(ステップS63)。第7信号は、構成部品以外の構成部品に異常がないかの原因調査を問い合わせる信号と共に、交換部品を発注するか問い合わせる信号であってもよい。
【0112】
次に、ステップS64において、ロードポート装置10を停止するかを判断する。ステップS64において、判断手段71が停止信号を受信した場合にはロードポート装置10を停止させて処理を終了する。
【0113】
ステップS64において、判断手段71が停止信号を受信していなかった場合には、判断手段71は、検知データtが第8の基準値t0±Δt2の範囲内に納まっているかどうか判断する(ステップS65)。
【0114】
ステップS65において、検知データtが第4の基準値t0±Δt2の範囲内に納まっていると判断した場合には、制御フローはステップS1に戻る。ステップS64において、検知データtが第8の基準値t0±Δt2の範囲内に納まっていないと判断した場合には、判断手段71は、表示制御手段72に制御信号を送信し、ロードポート装置10の表示部15に点灯したライトを点滅させるなど第7警告とは異なる方法で第8警告を表示させる(ステップS66)。
【0115】
また、判断手段71は、通信制御手段73の他原因調査信号生成手段を制御して第8警告に対応する第8信号を生成させ、通信制御手段73にロードポート装置10の通信手段80を制御させ、
図11に示す管理側制御装置101に第8信号を送信する(ステップS66)。第8信号は、構成部品以外の構成部品に異常がないかの原因調査を問い合わせる信号と共に、交換部品を発注するか問い合わせる信号であってもよい。
【0116】
次に、ステップS67において、ロードポート装置10を停止するかを判断する。ステップS64において、判断手段71が停止信号を受信した場合にはロードポート装置10を停止させて処理を終了する。ステップS64において、判断手段71が停止信号を受信しなかった場合には、制御フローはステップS21に戻る。
【0117】
本実施形態では、ドア上下シリンダ47の駆動回数Nが、基準値(NT1またはNT2)を超えていないにもかかわらず、タクトタイムtが、基準値(t0±Δt1またはt0±Δt2)の範囲外である場合を特別に警告することができる。駆動回数が基準値内であるにもかかわらずタクトタイムが基準値の範囲外になった場合は、当該構成部品以外に何らかの問題が生じている可能性が高い。
【0118】
通信制御手段73は、構成部品の動作回数を検知データとして判断手段71で判断した判断結果と、構成部品のタクトタイムを検知データとして判断手段71で判断した判断結果と、を組み合わせて、構成部品以外の構成部品に異常がないかの原因調査を問い合わせることができる。したがって、本実施形態では、構成部品の動作回数とタクトタイムの検知データを組み合わせることで、当該構成部品自体に劣化があるか、それ以外の部品に異常が生じているかを判断することが可能になる。このような判断結果をもとに対応を検討することで、装置の運用コストを低減することができる。
【0119】
第5実施形態
図11に示す本実施形態の予兆管理システム100について説明する。
図11に示すように、本実施形態の予兆管理システム100では、管理側制御装置101が、携帯型情報処理端末110および複数のロードポート装置10と直接または通信可能に接続していることを除き、上述の実施形態と同様である。また、ロードポート装置は、上述の実施形態のいずれかのロードポート装置が用いられ得る。
【0120】
管理側制御装置101は、ロードポート装置の制御装置70から受信した信号が、いずれのロードポート装置の制御装置70から送信された信号かを区別する区別手段を有する。そのため、複数のロードポート装置のうち、いずれのロードポート装置の構成部品がどのような状態にあるのかを管理側制御装置101で把握することができる。
【0121】
予兆管理システム100では、ロードポート装置10の制御装置70は、判断手段での判断結果に基づき、携帯型情報処理端末110の位置情報に応じて携帯型情報処理端末110に、判断結果を送信するように通信制御手段73で通信手段を制御可能になっている。なお、本実施形態では、管理側制御装置101が、携帯型情報処理端末110の位置情報に応じて携帯型情報処理端末110に、判断結果を送信することも可能になっている。ロードポート装置10の近くに位置する携帯型情報処理端末110を持つ作業員などと通信することで、より迅速な対応が可能になり、ロードポート装置10のメンテナンスが容易になる。
【0122】
なお、上述した実施形態は、特許請求の範囲の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含むものである。
【0123】
たとえば、ロードポート装置10が状態を判断する構成部品は、各シリンダや光学センサの以外でも、パッド、透過型センサ、モータなど、ロードポート装置に使用される公知の構成部品であってもよい。また、検知データは、駆動回数やタクトタイムや光量以外でも、加速度、速度、変位、電流値、抵抗など、適宜用いることができる。
【0124】
また、ドッキングユニット20、ドアユニット40、パージユニット30、ウエハマッピングユニット50などの各種構成部品は、それぞれの動作を記録するデータロガーなどに接続されデータログをバックアップしてあってもよい。
【0125】
また、ロードポート装置10は、管理側制御装置101と通信しなくてもよい。たとえば、第1警告~第8警告は、管理側制御装置101に送信せずに表示部15に表示するのみでもよい。また、第1信号~第8信号の一例として記載した交換部品を発注するか問い合わせる信号は、管理側制御装置101に送信せずに、直接的にインターネットなどを介して外部に送信するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0126】
1…ウエハ
2…搬送容器
2a…開口
2b…係合溝
2c…位置決め部
4…蓋
5…パージポート
10…ロードポート装置
11…壁部材
11a…受渡口
12…設置部
13…可動テーブル
14…カバー部
15…表示部
18…位置決めピン
20…ドッキングユニット
21…クランプ機構
22…クランプフック
24…クランプシリンダ(Z軸駆動機構)
26…クランプシリンダ(X軸駆動機構)
28…ドッキングシリンダ(駆動機構)
30…パージユニット
32…ボトムパージ部
34…フロントパージ部
40…ドアユニット
42…ドア
43…吸着パッド
44…ラッチキー
45…ラッチシリンダ
46…ドア開閉シリンダ
47…ドア上下シリンダ
48…動体
49…Lクランプ
50…ウエハマッピングユニット
52…フレーム部
53…マッピングアーム前進/後退シリンダ
55…光学センサユニット(センサ装置)
55a…発光部
55b…受光部
56…検出軸
61…位置検知センサ(センサ装置)
62…センサドグ
64…振動センサ
70…制御装置
71…判断手段
72…表示制御手段
73…通信制御手段
74…発光出力制御手段
80…通信手段
100…予兆管理システム
101…管理側制御装置
102…通信制御手段
110…携帯情報処理端末