(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110667
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015379
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】小泉 洋
(72)【発明者】
【氏名】進藤 修
(72)【発明者】
【氏名】竹島 悟
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 世生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康生
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047AA19
5F047BA23
5F047FA02
5F047FA08
5F047FA51
5F047FA82
(57)【要約】
【課題】たとえば極小な部品を平面方向に多数配置して搬送する際に、搬送漏れなどが生じることなく多数の微少な搬送対象物を効率的に搬送可能で、良好な姿勢で移し替えることが可能な搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送装置20は、搬送される対象物としての素子52を仮保持するスタンプツール10が着脱自在に取り付けられる装着面24を持つ下側部材25と、下側部材25よりも上側に位置する上側部材28と、下側部材25と上側部材28とを連結する連結ユニット30と、を有する。連結ユニット30は、少なくとも相互に異なる3つの連結位置C1~C3で下側部材25と上側部材28とを連結する3つの個別連結部材32を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される対象物、または前記対象物を仮保持する仮保持部材が着脱自在に取り付けられる装着面を持つ下側部材と、
前記下側部材よりも上側に位置する上側部材と、
前記下側部材と前記上側部材とを連結する連結ユニットと、を有する搬送装置であって、
前記連結ユニットは、
少なくとも相互に異なる3つの連結位置で前記下側部材と前記上側部材とを連結する3つの個別連結部材を有する搬送装置。
【請求項2】
前記個別連結部材の内の少なくとも2つ以上は、前記上側部材に対する前記下側部材の装着面の傾きを調整可能なように、駆動信号を受けて、それぞれの前記連結位置で、前記上側部材と前記下側部材との間の距離を調整可能に駆動制御されるアクチュエータを含む請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、長手方向に伸縮移動可能な圧電素子を有する請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記アクチュエータが配置される前記連結位置の近くに位置する付勢位置には、それぞれスプリングが配置してあり、前記スプリングは、前記付勢位置で、前記上側部材と前記下側部材とを近づける方向にバネ力を付与している請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記下側部材は、
前記装着面が下面に形成してあるヘッド部と、
少なくとも3つの前記個別連結部材の下端が直接または間接的に連結されるベース部と、
前記装着面の傾斜を粗調整する調整部とを有する請求項1~4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記装着面、または前記装着面に取り付けられる仮保持部材の少なくとも3つの異なる測定点のデータを測定可能な第1計測手段と、
前記第1計測手段により計測したデータに応じて、少なくとも3つの前記測定点を含む仮想平面の基準平面に対する傾斜を調整するように、前記アクチュエータを駆動制御する制御手段と、をさらに有する請求項2~4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
前記対象物が搬送される搬送先または搬送元のテーブルの表面、または前記テーブルに載置される基板の表面における少なくとも3つの異なる測定点を計測可能な第2計測手段をさらに有し、
前記制御手段では、前記第2計測手段により計測した計測結果に基づき、前記基準平面を決定する請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記下側部材の前記装着面には、前記仮保持部材としてのスタンプツールが着脱自在に取り付け可能になっている請求項1~4のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば平面度が要求される平板状の搬送対象物を搬送可能、または極小な部品を平面方向に多数配置して搬送可能な搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
極小な部品の搬送において、表面に多数の凸部を有するスタンプ状の搬送ツール(スタンプツール)を用いることが検討されている。下記の特許文献1には、そのスタンプ状の搬送ツールの例が開示されている。従来では、熱膨張(coefficient of thrmal expansion)による搬送対象の離脱を可能とするためのスタンプツールが開示されている。
【0003】
スタンプツールの搬送対象として想定されている極小部品の一例として、ミニLED、マイクロLEDと呼ばれるLED素子がある。ミニLED、マイクロLEDとは、従来の一般的なLED素子のものに比べ、幅が1~8μm、長さが5~10μm、高さが0.5~3μmと非常に小さい。
【0004】
従来技術にもあるように、このようなLED素子が多数配置されたウエハから素子をピックアップし、ディスプレイに相当する基板へ搬送することで、LEDディスプレイを製造することになる。このように微少なLED素子などの部品を一度に多数個で搬送して搬送元の基板に取り付ける際などには、搬送装置で搬送される微少な部品を保持するスタンプツールを装着する装着面と、搬送元または搬送先のテーブルの平面とが高精度で平行に配置されることが必要となる。
【0005】
搬送装置の装着面が、搬送元のテーブルの平面に対して傾斜していると、搬送元のテーブルに設置してある基板から、平面方向に配置してある複数の微少な部品を、漏れなくピックアップすることが困難になる。また、搬送装置の装着面が、搬送先のテーブルの平面に対して傾斜していると、搬送先のテーブルに設置してある基板に、複数の微少な部品を、漏れなく移し替えることが困難になる。また、パネル搭載時の素子の姿勢ばらつきや傾きなどの発生につながる恐れもある。
【0006】
また、搬送装置を用いて、平面度が要求される平板状の搬送対象物を搬送する際にも、搬送装置の装着面が、搬送元のテーブルの平面に対して傾斜していると、搬送元のテーブルに設置してある平板状の搬送対象物を良好にピックアップすることが困難になる。また、搬送装置の装着面が、搬送先のテーブルの平面に対して傾斜していると、搬送先のテーブルに、平板状の搬送対象物を設置する際に、搬送対象物にダメージが生じやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国2017/0173852A1公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その第1の目的は、たとえば極小な部品を平面方向に多数配置して搬送する際に、搬送漏れなどが生じることなく多数の微少な搬送対象物を効率的に搬送可能で、良好な姿勢で移し替えることが可能な搬送装置を提供することである。また、本発明の第2の目的は、たとえば平面度が要求される平板状の搬送対象物を、ダメージを生じさせることなく搬送が可能な搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る搬送装置は、
搬送される対象物、または前記対象物を仮保持する仮保持部材が着脱自在に取り付けられる装着面を持つ下側部材と、
前記下側部材よりも上側に位置する上側部材と、
前記下側部材と前記上側部材とを連結する連結ユニットと、を有する搬送装置であって、
前記連結ユニットは、
少なくとも相互に異なる3つの連結位置で前記下側部材と前記上側部材とを連結する3つの個別連結部材を有する。
【0010】
本発明の搬送装置では、少なくとも2つの連結位置で、たとえばアクチュエータなどを用いて、前記上側部材と前記下側部材との間の距離を調整することができる。そのため、下側部材の装着面(対象物を保持する仮保持部材の搬送面も含む/以下同様)の平面度(平行性)を制御することが可能である。その結果、搬送装置の装着面を、たとえば搬送元のテーブルの平面に対して高精度に合わせる(平行にする)ことが可能になる。そのため、搬送元のテーブルに設置してある基板から、平面方向に配置してある複数の微少な部品を、漏れなくピックアップすることが容易になる。
【0011】
また、本発明の搬送装置では、搬送装置の装着面を、搬送先のテーブルの平面に対して高精度に合わせることも可能になることから、搬送先のテーブルに設置してある基板に、複数の微少な部品を、漏れなく移し替えることが容易になる。また、パネル搭載時の素子(複数の微少な部品)の姿勢ばらつきや傾きなどの発生も抑制することができる。
【0012】
また、本発明の搬送装置を用いて、平面度が要求される平板状の搬送対象物を搬送する際にも、搬送装置の装着面を、搬送元のテーブルの平面に対して高精度に合わせることが容易になる。そのため、搬送元のテーブルに設置してある平板状の搬送対象物を良好にピックアップすることが容易になる。また、搬送装置の装着面を、搬送先のテーブルの平面に対して高精度に合わせることができ、搬送先のテーブルに、平板状の搬送対象物を設置する際に、搬送対象物にダメージが生じ難くなる。
【0013】
好ましくは、前記個別連結部材の内の少なくとも2つ以上は、前記上側部材に対する前記下側部材の装着面の傾きを調整可能なように、駆動信号を受けて、それぞれの前記連結位置で、前記上側部材と前記下側部材との間の距離を調整可能に駆動制御されるアクチュエータを含む。3つの個別連結部材の内の一つは、アクチュエータではなくてもよい。少なくとも2つの連結位置で、アクチュエータが、前記上側部材と前記下側部材との間の距離を調整することで、装着面の平面度を制御することが可能である。
【0014】
好ましくは、前記アクチュエータは、長手方向に伸縮移動可能な圧電素子を有する。アクチュエータとしては、種々のモータ、エアシリンダなどがあるが、圧電素子は、それらに比べて微小な変位制御が可能となる。そのため、より高精度の平面度調整が求められる微小素子(マイクロLEDなど)の搬送においては効果的である。
【0015】
好ましくは、前記アクチュエータが配置される前記連結位置の近くに位置する付勢位置には、それぞれスプリングが配置してあり、前記スプリングは、前記付勢位置で、前記上側部材と前記下側部材とを近づける方向にバネ力を付与している。
【0016】
スプリングがアクチュエータの近くに具備されることで、前記上側部材と前記下側部材とを近づける方向に圧電素子からなるアクチュエータを微小変位させる際に、圧電素子の駆動力を補助することができる。スプリングは、圧電素子からなるアクチュエータに加わる負荷(引張応力)を軽減し、アクチュエータを有効に保護することができる。なお、前記上側部材と前記下側部材とを引き離す方向に圧電素子からなるアクチュエータを微小変位させる際には、圧電素子にはスプリング力を含む圧縮応力が作用するが、圧電素子は、圧縮応力には強いので問題はない。
【0017】
好ましくは、前記下側部材は、
前記装着面が下面に形成してあるヘッド部と、
少なくとも3つの前記個別連結部材の下端が直接または間接的に連結されるベース部と、
前記装着面の傾斜を粗調整する調整部とを有する。
【0018】
調整部により装着面の傾斜を粗調整することで、連結ユニットによる高精度な平面度の調整に要する手間と時間を短縮することができる。
【0019】
搬送装置は、前記装着面、または前記装着面に取り付けられる仮保持部材の少なくとも3つの異なる測定点のデータを測定可能な第1計測手段と、
前記第1計測手段により計測したデータに応じて、少なくとも3つの前記測定点を含む仮想平面の基準平面に対する傾斜を調整するように、前記アクチュエータを駆動制御する制御手段と、をさらに有してもよい。
【0020】
制御手段が、第1計測手段により計測したデータに応じて、アクチュエータを制御することで、装着面(仮想平面)の平面度を、基準平面に合わせやすくなる。
【0021】
搬送装置は、
前記対象物が搬送される搬送先または搬送元のテーブル(ステージ含む)の表面、または前記テーブルに載置される基板の表面における少なくとも3つの異なる測定点を計測可能な第2計測手段をさらに有してもよく、
前記制御手段では、前記第2計測手段により計測した計測結果に基づき、前記基準平面を決定してもよい。
【0022】
制御手段では、第2計測手段により計測した計測結果に基づき、基準平面を決定し、アクチュエータを制御することで、装着面(仮想平面)の平面度を、対象物が搬送される搬送先または搬送元のテーブルの表面に合わせやすくなる。あるいは、装着面(仮想平面)の平面度を、テーブルに載置される基板の表面の平面度(基準平面)に合わせてアクチュエータを制御してもよい。
【0023】
なお、第1計測手段が、第2計測手段を兼ねていてもよい。
【0024】
前記下側部材の前記装着面には、前記仮保持部材としてのスタンプツールが着脱自在に取り付け可能になっていてもよい。スタンプツールの装着面を、搬送対象物が搭載される基板、または基板が設置されるテーブルの表面に高精度に平行に合わせることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る搬送装置の概略図である。
【
図2】
図2は
図1に示す連結部の詳細を示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は
図1に示すスタンプツールを取り付けた状態の搬送装置の概略図である。
【
図5】
図5は
図4のV-V線に沿う搬送装置の矢視図であり、測定測定点と連結位置との関係を示す。
【
図6A】
図6Aはスタンプツールを取り付ける前の
図1に示す搬送装置を含むシステムの全体概略図である。
【
図6B】
図6Bはスタンプツールを取り付た後の
図1に示す搬送装置を含むシステムの全体概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0027】
第1実施形態
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る搬送装置20は、スタンプツール10が着脱自在に装着される装着面24を有する下側部材25と、そのZ軸方向の上方に位置する上側部材28と、下側部材25と上側部材28とを連結する連結ユニット30と、を有する。
【0028】
(スタンプツール)
まず、主としてスタンプツール10について説明する。スタンプツール10は、スタンプ層12と支持板14とアダプタ板16とを有する。
【0029】
スタンプ層12には、X軸方向およびY軸方向に所定間隔で、Z軸下方に突出する凸部11がマトリックス状に形成してある。凸部11のX軸方向幅X1と、これらの隣接する凸部11のX軸方向間隔X2は、たとえば
図6Bに示す実装用基板(以下、基板はシートでもよい)50に表面に実装される赤色発光(または青色発光または緑色発光)のための素子(搬送される対象物の一例)のX軸方向幅およびそれらのX軸方向間隔などに応じて決定される。
【0030】
なお、
図1には図示されないが、凸部11のY軸方向幅と、これらの隣接する凸部11のY軸方向間隔に関しても同様である。凸部11は、スタンプ層12の下面で、マトリックス状に配置され、その配置数は、特に限定されないが、1~数十万個である。
【0031】
本実施形態では、図面において、X軸(第1軸)、Y軸(第2軸)およびZ軸(第3軸)は、相互に略垂直であり、X軸およびY軸が、装着面24またはスタンプ層12の平面方向に実質的に平行であり、Z軸が凸部11の突出する方向に実質的に平行である。
【0032】
図1に示すように、スタンプ層12の凸部11の突出高さZ1は、
図6Bに示す素子52のZ軸方向高さなどとの関係で決定され、たとえば素子52のZ軸方向高さの1~8倍であることが好ましい。スタンプ層12のZ軸方向の厚みZ2は、特に限定されないが、凸部11の突出高さZ1の0.25倍以上程度が好ましい。なお、素子52のX軸方向幅(Y軸方向幅も同程度)は、たとえば1~150μmであり、素子52の高さは、たとえば1~150μmである。
【0033】
スタンプ層12と凸部11とは、これらが強く接合されていれば、別々の材質で構成されてもよいが、同じ材質で構成されていてもよい。同じ材質で構成されることで、凸部11がスタンプ層12から剥離するおそれは少なくなる。少なくとも凸部11は、粘着性を有する材質で構成してあり、素子52を着脱自在に粘着可能になっている。
【0034】
凸部11の材質としては、特に限定されないが、たとえばポリジメチルシロキサン(PDMS)、有機シリコン化合物、ポリエーテルゴムなどの粘弾性エラストマーなどが例示される。スタンプ層12も、凸部11と同じ材質で構成されていてもよいが、凸部11以外のスタンプ層12の表面は、粘着性を有さないことが好ましい。凸部11以外では、素子52を粘着力でピックアップしないことが好ましい。
【0035】
図1に示すように、スタンプ層12は、支持板14に固定してある。支持基板14は、スタンプ層12よりも剛性が高く、平坦性に優れた材質で構成してあり、好ましくはガラス板、金属板、セラミック板などで構成してある。支持板14の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、0.5mm以上である。
【0036】
スタンプ層12は、支持板14の表面に直接に形成されてもよく、あるいは、接着層により固定してあってもよい。いずれにしても、スタンプ層12は、支持板14の表面に、十分に高い密着力で固定してある。素子52は、後工程で、凸部11から剥がされて、たとえば
図6Bに示す基板50に対応する実装用基板の上に配置される。このため、その際に、スタンプ層12が支持板14から剥がれないことが重要である。
【0037】
支持板14は、スタンプ層12と反対側の表面で、アダプタ板16の接着面16bに対して、たとえば接着層により着脱自在に固定してある。接着層による支持板14とアダプタ板16との接着力は、十分に高い接着力である。ただし、繰り返し使用後のスタンプ層12を交換する際には、支持板14をアダプタ板16の接着面16bから取り外せるようになっている。接着層は、両面粘着テープなどで構成されていてもよい。
【0038】
支持板14のX軸方向幅およびY軸方向の幅は、スタンプ層14のそれらよりも大きく、しかも、アダプタ板16の接着面16bのX軸方向幅およびY軸方向の幅よりも大きいことが好ましい。本実施形態では、スタンプ層12は、Z軸方向から見て矩形状であるが、支持板14は矩形でも円形でもよい。
【0039】
アダプタ板16の接着面16bと反対側の上面は、平坦な取付面16aとなっており、取付面16aの面積は、接着面16bの面積よりも大きくなるように、アダプタ板16の少なくともX軸方向の両側面は、テーパ面16cとなっている。すなわち、アダプタ板16の少なくともX軸方向の側面には、スタンプ層12に向けて外径が小さくなるテーパ面16cが形成してある。
【0040】
本実施形態では、テーパ面16cは、アダプタ板16のY軸方向の両側面にも形成してあり、アダプタ板16の側面全周に沿ってテーパ面16cが形成してある。本実施形態では、アダプタ板16は、Z軸方向から見て矩形状を有しており、アダプタ板16の少なくともX軸方向最大幅は、支持板14のX軸方向幅よりも大きいことが好ましい。なお、アダプタ板16のY軸方向最大幅は、支持板14のY軸方向幅と略同等でもよく、それよりも大きくとも小さくてもよい。
【0041】
図1に示す支持板14のスタンプ層12とは反対側の表面には、アダプタ板16の接着面16bの回りに、テーパ面16cに向き合う平坦な差込可能面14aが形成してある。X軸方向の両側に位置する差込可能面14aの上で、アダプタ板16のテーパ面16cには、それぞれチャック機構(クランプ機構ともいう)26の爪部26aが係合する。支持板14の差込可能面14aとは反対側の表面には、スタンプ層12が形成されていない平坦面14bが形成してある。
【0042】
図1に示すアダプタ板16のZ軸方向の厚みは、支持板14の厚みよりも十分に大きく、好ましくは、支持板14の厚みの1.2倍以上、好ましくは2倍~6倍程度である。なお、アダプタ板16の上面にある取付面16aの外周縁部には、面取り部あるいはR部から成る縁部が形成してあってもよい。
【0043】
(搬送装置20)
次に、主として搬送装置20について説明する。
図1に示すアダプタ板16の上面にある取付面16aは、搬送装置20の下側部材25の装着面24に着脱自在に装着される。下側部材25は、装着面24が下端面に形成してあるヘッド部21と、ヘッド部21のZ軸に沿って上方に位置するベース部23と、これらのヘッド部21とベース部23とを連結する中間部22とを有する。
【0044】
上側部材28は、図示省略してある移動機構に連結してある。移動機構は、搬送装置20を、少なくともZ軸方向に移動可能に保持してある。なお、本実施形態では、
図6Aおよび
図6Bに示すテーブル60を、搬送装置20に対して相対的にX軸およびY軸方向に移動自在に駆動する機構を有しているが、それに限らず、上側部材28に連結してある移動機構が、搬送装置20を、
図6Aおよび
図6Bに示すテーブル60に対して相対移動可能に保持してあってもよい。
【0045】
上側部材28は、高剛性を有する板材、たとえば金属板などで構成してある。また、下側部材25のヘッド部21、中間部22およびベース部23も、上側部材28と同様な高剛性の板材で構成されるが、必ずしも同じ材質である必要はない。
【0046】
本実施形態では、ヘッド部21と中間部22とは、接着剤により固定してある。また、中間部22は、ベース部23に対して、着脱自在に連結してあっても良いなお、調整部は、ヘッド部21と中間部22との間に具備させてもよく、あるいは、中間部22自体が調整部であってもよい。
【0047】
本実施形態では、ヘッド部21の装着面24には、主装着手段としての真空吸引孔が形成してあり、真空吸引孔に負圧を発生させることで、装着面24にスタンプツール10のアダプタ板16の取付面16aが真空吸着される。また、本実施形態では、搬送装置20には、チャック機構26が装着してある。チャック機構26の内側には、爪部26aが形成してある。爪部26aを含むチャック機構26は、たとえば開閉機構27によりX軸方向に移動し、爪部26aが、
図1に示すように、装着面24の下面の全体を開いたり、
図3に示すように、爪部26aが、装着面24のX軸方向の両側下方に位置するようになっている。
【0048】
各爪部26aには、テーパ状の係合面26bが形成してある。係合面26bのテーパ面は、スタンプツール10のアダプタ板16のテーパ面16cの形状に合わせてあり、そのテーパ面16cに係合可能になっている。
図1に示すように、アダプタ板16の取付面16aがヘッド部21の装着面24に吸着される前には、チャック機構26は、開閉機構27により爪部26aが開いている。
図3に示すように、アダプタ板26の取付面16aがヘッド部21の装着面24に吸着された後に、チャック機構26は、開閉機構27により爪部26aが閉じられる方向に移動し、係合面26bがテーパ面16cに係合する。
【0049】
その結果、スタンプツール10は、ヘッド部21に形成してある主装着手段としての真空吸引孔による主装着力と、副装着手段としてのチャック機構26による副装着力との合計の装着力で、下側部材25のヘッド部21に装着される。本実施形態では、副装着手段としてのチャック機構26による副装着力が、真空吸引孔による主装着力に加わることで、トータルの装着力は確実に大きくなる。また、チャック機構26によりスタンプツール10がヘッド部21に装着されることで、X軸に沿って、スタンプツール10(具体的には、スタンプ層12の凸部)が、ヘッド部21に対して位置決めされる。
【0050】
図2に示すように、連結ユニット30は、少なくとも相互に異なる3つの連結位置C1~C3で下側部材25と上側部材28とを連結する3つの個別連結部材32を有する。本実施形態では、それぞれの個別連結部材32は、アクチュエータ32aと、それぞれのアクチュエータ32aの外周を覆うカバー32bとを有する。
【0051】
本実施形態では、各アクチュエータ32aは、
図6Aおよび
図6Bに示す制御装置(制御手段)70からの駆動信号を受けてZ軸方向に伸縮可能な圧電素子で構成してある。
図4に示すように、カバー32bは、上側部材28の内面のみに固定してあり、下側部材25の内面には、固定されずに隙間が形成してあるが、その逆に、下側部材25の内面のみに固定してあってもよい。
【0052】
圧電素子から成るアクチュエータ32aは、上側部材28の内面(下面)に直接または間接的に連結してあると共に、下側部材25の内面(上面)にも直接または間接的に連結してある。アクチュエータ32aは、駆動信号を受けてZ軸方向に伸縮駆動され、各連結位置C1~C3にて、上側部材28と下側部材25との距離を制御可能になっている。なお、「間接的に連結」とは、他の部材を介して連結してあってもよいとの意味である。
【0053】
アクチュエータ32aが配置される3つの連結位置C1~C3は、上側部材28の内面または下側部材25の内面で、可能な限り外縁位置で、しかも
図5に示すように、Z軸の方向から見て、正三角形に近い三角形の頂点位置に配置されるようにしてある。また、アクチュエータ32aが配置される連結位置C1~C3の近くに位置する付勢位置S1~S3には、それぞれスプリング34が配置してあり、各スプリング34は、付勢位置S1~S3で、上側部材28と下側部材25とを近づける方向にバネ力を付与している。
【0054】
なお、
図4では、連結位置C1~C3は、X軸に沿って直線状に配置してあるように見えるが、実際には、
図5に示すように、三角形の頂点位置に配置してある。また、
図5に示すように、付勢位置S1~S3は、連結位置C1~C3の近くで、同じように、三角形の頂点位置に配置してある。付勢位置S1~S3に取り付けてあるスプリング34は、連結位置C1~C3に取り付けてある個別連結部材32と干渉しない程度に近い位置で、上側部材28と下側部材25とを近づける方向にバネ力を付与している。すなわち、各付勢位置S1~S3にて、各スプリング34の上端は、上側部材28に連結してあり、その下端は、下側部材25に連結してある。
【0055】
図6Aに示すように、本実施形態の搬送装置20は、第1計測手段としての第1レーザ変位計40aと、第2計測手段としての第2レーザ変位計40bとを有する。第1レーザ変位計40aは、
図5に示す下側部材25の装着面24の少なくとも3つの異なる測定点M1~M3のZ軸方向の相対位置を測定可能になっている。
【0056】
装着面24の少なくとも3つの異なる測定点M1~M3のZ軸方向から見た配置位置は、特に限定されないが、少なくともX軸およびY軸を含む基準平面に対する傾斜を決定できる関係にある位置であることが好ましい。また、好ましくは、3つの異なる測定点M1~M3の配置位置は、装着面24の外縁に近い位置であり、しかも、好ましくは、相互に距離が同じになるような三角形(正三角形に近い三角形)の頂点位置にある。特に好ましくは、3つの異なる測定点M1~M3の配置位置は、連結位置C1~C3にそれぞれ近い位置である。
【0057】
第1レーザ変位計40aで測定した測定信号は、制御装置70に入力され、制御装置70では、3つの異なる測定点M1~M3を含む仮想平面(装着面24と実質的に平行な面)の基準平面に対する傾斜を算出する。基準平面に対する傾斜は、たとえばX軸回りの傾斜角度(傾斜変位)とY軸回りの傾斜角度(傾斜変位)とに分けることができる。
【0058】
なお、第1レーザ変位計40aは、3つの異なる測定点M1~M3の基準平面からのZ軸方向のズレを非接触式に同時に計測してもよいし、別々に計測してもよい。また、第1レーザ変位計40aは、装着面24からZ軸方向に離れて、装着面24に対して、相対的にX軸方向および/またはY軸方向に移動可能に制御装置70により駆動制御されてもよい。なお、「相対的に移動」とは、いずれか一方のみが移動してもよく、あるいは、双方が移動してもよいとの意味である。
【0059】
第2レーザ変位計40bは、
図6Aに示すテーブル60の表面の少なくとも3つの異なる測定点M11~M13のZ軸方向の相対位置を測定可能になっている。テーブル60の上面の少なくとも3つの異なる測定点M11~M13の配置位置は、特に限定されないが、少なくともX軸およびY軸を含む基準平面に対する傾斜を決定できる関係にある位置であることが好ましい。
【0060】
また、好ましくは、3つの異なる測定点M11~M13の配置位置は、装着面24の測定点M1~M3の配置位置と同じサイズである必要はないが、相似の位置関係にあることが好ましい。たとえば3つの異なる測定点M11~M13の配置位置は、
図6Bに示す基板50が設置されるテーブル60の上面であって、基板50の外縁に近い位置であり、しかも、相互に距離が同じになるような三角形(正三角形に近い三角形)の頂点位置にあることが好ましい。
【0061】
第2レーザ変位計40bで測定した測定信号は、制御装置70に入力され、制御装置70では、少なくとも3つの異なる測定点M11~M13を含む仮想平面(テーブル60の上面と実質的に平行な面)の基準平面に対する傾斜を算出する。なお、第2レーザ変位計40bは、3つの異なる測定点M11~M13の基準平面からのZ軸方向のズレを非接触式に同時に計測してもよいし、別々に計測してもよい。また、第2レーザ変位計40bは、テーブル60の上面からZ軸方向に離れて、テーブル60に対して、相対的にX軸方向および/またはY軸方向に移動可能に制御装置70により駆動制御されてもよい。
【0062】
なお、第1レーザ変位計40aと、第2レーザ変位計40bとは、別々のレーザ変位計であってもよいが、共通する同じレーザ変位計が相対移動することで、装着面24およびテーブル60の上面を計測可能に構成されていてもよい。また、制御装置70では、X軸およびY軸を含む平面を基準平面とするのではなく、第2レーザ変位計40bにより計測した計測結果に基づき、基準平面(テーブル60の上面と平行な平面)を決定してもよい。
【0063】
(本実施形態のまとめ)
本実施形態の搬送装置20では、3つの連結位置C1~C3で、圧電素子からなるアクチュエータ32aなどを用いて、上側部材28と下側部材25との間の距離を調整することができる。そのため、
図1に示す下側部材25の900mm
2 以上の面積を持つ装着面24の平面度(平行性)を制御することが可能である。その結果、搬送装置20の装着面24を、たとえば
図6Aに示す搬送元のテーブル60の平面に対して高精度に合わせる(平行にする)ことが可能になる。そのため、搬送元のテーブル60に設置してある基板から、平面方向に配置してある複数の微少な部品を、漏れなくピックアップすることが容易になる。
【0064】
また、本実施形態の搬送装置20では、搬送装置20の装着面24を、搬送先のテーブル60の平面に対して高精度に合わせることも可能になる。その結果、搬送装置20を用いて、搬送先のテーブル60に設置してある基板に、複数の微少な部品を、漏れなく移し替えることが容易になる。また、パネル搭載時の素子(複数の微少な部品)の姿勢ばらつきや傾きなどの発生も抑制することができる。
【0065】
また本実施形態では、各個別連結部材32は、上側部材28に対する下側部材25の装着面24の傾きを調整可能なように、駆動信号を受けて、それぞれの連結位置C1~C3で、上側部材28と下側部材25との間の距離を調整可能に駆動制御されるアクチュエータ32aを含む。本実施形態では、少なくとも3つの連結位置C1~C3で、アクチュエータ32aが、上側部材28と下側部材25との間の距離を調整することで、装着面24の平面度を制御することが可能である。
【0066】
本実施形態では、各アクチュエータ32aは、長手方向に伸縮移動可能な圧電素子を有する。アクチュエータ32aとしては、種々のモータ、エアシリンダなどが例示されるが、圧電素子は、それらに比べて微小な変位制御が可能となる。そのため、より高精度の平面度調整が求められる微小素子(マイクロLEDなど)の搬送においては効果的である。
【0067】
なお、高精度とは、たとえば搬送される素子のサイズにもよるが、たとえば±1.0μm以下の精度である。また、アクチュエータ32aには、スタンプツールによる素子の基板からのピックアップ、または基板への移し替えの際に、600KPa以下程度の押圧力が印加されるが、アクチュエータ32aが圧電素子であれば何ら問題がない。
【0068】
また、各アクチュエータ32aが配置される連結位置C1~C3の近くに位置する付勢位置S1~S3には、それぞれスプリング34が配置してあり、スプリング34は、付勢位置S1~S3で、上側部材28と下側部材25とを近づける方向にバネ力を付与している。
【0069】
スプリング34がアクチュエータ32aの近くに具備されることで、上側部材28と下側部材25とを近づける方向に圧電素子からなるアクチュエータ32aを微小変位させる際に、圧電素子の駆動力を補助することができる。スプリング34は、圧電素子からなるアクチュエータ32aに加わる負荷(引張応力)を軽減し、アクチュエータ32aを有効に保護することができる。なお、上側部材28と下側部材25とを引き離す方向に圧電素子からなるアクチュエータ32aを微小変位させる際には、圧電素子にはスプリング力を含む圧縮応力が作用するが、圧電素子は、圧縮応力には強いので問題はない。
【0070】
さらに本実施形態では、下側部材25は、装着面24が下面に形成してあるヘッド部21と、個別連結部材32の下端が直接または間接的に連結されるベース部23と、これらを連結する中間部22とを有する。しかも、ベース部23と中間部22との間、あるいは中間部22とヘッド部21との間、あるいは中間部22自体が、装着面24の傾斜を粗調整するシム板などの調整部を有する。調整部により装着面24の傾斜を粗調整することで、連結ユニット30による高精度な平面度の調整に要する手間と時間を短縮することができる。
【0071】
また、本実施形態の搬送装置20は、第1レーザ変位計40aと制御装置70とを有している。このため、制御装置70が、第1レーザ変位計40aにより計測した変位データに応じて、たとえば
図4に示すアクチュエータ32aを制御することで、装着面(仮想平面)24の平面度を、基準平面に合わせやすくなる。
【0072】
さらに制御装置70では、第2レーザ変位計40bにより計測した計測結果に基づき、基準平面を決定し、たとえば
図4に示すアクチュエータ32aを制御することで、装着面(仮想平面)24の平面度を、対象物が搬送される搬送先または搬送元のテーブル60の表面に合わせやすくなる。あるいは、装着面(仮想平面)24の平面度を、テーブル60の上面に載置される
図6Bに示す基板50の表面の平面度に合わせてアクチュエータ32aを制御してもよい。
【0073】
そのため、
図6Bに示す搬送元のテーブル60に設置してある基板50から、平面方向に配置してある複数の微少な素子52を、漏れなくピックアップすることが容易になる。あるいは、搬送装置20を用いて、搬送先のテーブル60に設置してある基板50に、複数の微少な素子52を、漏れなく移し替えることが容易になる。また、パネル(基板)への搭載時に、素子(複数の微少な部品)52の姿勢ばらつきや傾きなどの発生も抑制することができる。
【0074】
第2実施形態
図6Bに示す本実施形態の搬送装置20は、以下に示す以外は、第1実施形態の搬送装置20と同様であり、重複する部分の説明は一部省略する。
【0075】
本実施形態では、下側部材25の装着面24にスタンプツール10が取り付けられた状態で、第1レーザ変位計40aは、支持板14の平坦面14bの内の3点以上の測定点を測定する。あるいは、第1レーザ変位計40aは、スタンプツール10のスタンプ層12の下面(好ましくは
図3に示す凸部11が形成されていないスタンプ層12の下面)の内の3点以上の測定点の相対位置データを測定している。
図6Bに示す制御装置70は、第1レーザ変位計40aの測定データに基づき、少なくとも3つの異なる測定点を含む仮想平面の基準平面に対する傾斜を算出する。
【0076】
また、第2レーザ変位計40bは、
図6Bに示すテーブル60の上面に位置決めされて設置された搬送元または搬送先の基板50の表面(上面)であって、素子52が配置されていない部分、たとえば基板50の4つの角部表面にある測定点M21~M24の内の3つ以上(好ましくは4つ以上)を測定可能になっている。第2レーザ変位計40bは、少なくとも3つの異なる測定点M21~M24を含む仮想平面(基板50の上面と実質的に平行な面)のZ軸方向の相対位置を測定可能になっている。少なくとも3つの異なる測定点M21~M24の配置位置は、特に限定されないが、少なくともX軸およびY軸を含む基準平面に対する傾斜を決定できる関係にある位置であることが好ましい。
【0077】
第2レーザ変位計40bで測定した測定信号は、制御装置70に入力され、制御装置70では、少なくとも3つの異なる測定点M21~M13を含む仮想平面(基板50の表面と実質的に平行な面)の基準平面に対する傾斜を算出する。なお、第2レーザ変位計40bは、少なくとも3つの異なる測定点M21~M24の基準平面からのZ軸方向のズレを非接触式に同時に計測してもよいし、別々に計測してもよい。また、第2レーザ変位計40bは、基板50の上面からZ軸方向に離れて、基板50に対して、相対的にX軸方向および/またはY軸方向に移動可能に制御装置70により駆動制御されてもよい。
【0078】
本実施形態では、
図6Bに示す下側部材25の装着面24に装着してあるスタンプツール10の平坦面14b、またはスタンプ層12の下面の平面度(平行性)を制御することが可能である。その結果、搬送装置20で搬送されるスタンプツール10の搬送面を、たとえば搬送元または搬送先のテーブル60に設置された基板60の上面の平面に対して高精度に合わせる(平行にする)ことが可能になる。
【0079】
すなわち、制御装置70が、第1レーザ計測装置40aにより計測したデータに応じて、
図4に示すアクチュエータ32aを制御することで、多数の素子42が取り付けられるスタンプツール10の搬送面(仮想平面)の平面度を、基板50の平面(基準平面)に合わせやすくなる。
【0080】
そのため、搬送元のテーブル60に設置してある基板50から、平面方向に配置してある複数の微少な素子52を、漏れなくピックアップすることが容易になる。あるいは、搬送装置20を用いて、搬送先のテーブル60に設置してある基板50に、複数の微少な素子52を、漏れなく移し替えることが容易になる。また、パネル(基板)への搭載時に、素子(複数の微少な部品)52の姿勢ばらつきや傾きなどの発生も抑制することができる。
【0081】
本実施形態の搬送装置のその他の構成および作用効果は、第1実施形態と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0082】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0083】
たとえば、スタンプツールとしては、上述した実施形態のスタンプツール10に限定されず、その他のスタンプツールを用いることが可能である。また、下側部材25の装着面に着脱自在に装着される仮保持部材としては、スタンプツール10以外で、何らかの微小部品を平面方向に多数着脱自在に保持することが可能な平板状の部材であってもよい。また、搬送装置20には、クランプ機構26以外の位置決め機構または仮止め機構として、静電吸着機構、嵌合機構、あるいは螺合機構などを用いてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態では、搬送装置20の主装着手段として、真空吸引孔による真空吸着を用いているが、必ずしも真空吸着を用いる必要はなく、クランプ機構26などの機構のみで、スタンプツール10着脱自在に装着するようにしてもよい。
【0085】
また、本実施形態に係る搬送装置20は、赤色、緑色および青色発光用の素子52以外の素子の搬送にも用いることができる。その他の表示素子としては、蛍光素子などが例示される。また、その他の素子としては、表示素子に限らず、受光素子、セラミックコンデンサ、チップインダクタ、等の電子素子、あるいは半導体素子でもよい。
【0086】
さらに、本実施形態の搬送装置20は、スタンプツール10などの仮保持機構を使用することなく、下側部材25の装着面24には、平板状の搬送対象物が装着されて搬送されてもよい。搬送装置20を用いて、平面度が要求される平板状の搬送対象物を搬送する際にも、搬送装置20の装着面24を、搬送元のテーブル60の平面に対して高精度に合わせることが容易になる。そのため、搬送元のテーブル60に設置してある平板状の搬送対象物を良好にピックアップすることが容易になる。また、搬送装置20の装着面24を、搬送先のテーブル60の平面に対して高精度に合わせることができ、搬送先のテーブ60ルに、平板状の搬送対象物を設置する際に、搬送対象物にダメージが生じ難くなる。
【0087】
また、本発明の他の実施形態では、連結位置C1~C3の内の少なくとも2つで、たとえばアクチュエータ32aなどを用いて、上側部材28と下側部材25との間の距離を調整することで、下側部材25の装着面24の平面度(平行性)を制御することが可能である。
【0088】
たとえば
図4に示す個別連結部材32の内の少なくとも2つは、アクチュエータ32aを有し、3つの個別連結部材32の内の一つは、アクチュエータ32aを有さなくてもよい。3つの連結位置C1~C3の内の少なくとも2つの連結位置で、アクチュエータ32aが、上側部材28と下側部材25との間の距離を調整することで、装着面24の平面度を制御することが可能である。すなわち、前述した実施形態でも同様であるが、基準平面に対する装着面24のX軸回りの傾斜変位およびY軸回りの傾斜変位を調整し、装着面24の平面度をテーブル60または基板50の平面度に合わせることが可能である。
【0089】
なお、第1計測手段および第2計測手段としては、測定点に対する相対位置が計測できる手段であれば特に限定されないが、高精度かつ簡易的に計測できる面からレーザー変位計を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0090】
10… スタンプツール(仮保持部材)
11… 凸部
12… スタンプ層
14… 支持板
14a… 差込可能面
14b… 平坦面
16… アダプタ板
16a… 取付面
16b… 接着面
16c… テーパ面
20… 搬送装置
21… ヘッド部
22… 中間部
23… ベース部
24… 装着面
25… 下側部材
26… チャック機構
26a… 爪部
26b… 係合面
27… 開閉機構
28… 上側部材
30… 連結ユニット
32… 個別連結部材
32a… アクチュエータ
32b… カバー
34… スプリング
40a,40b… レーザ変位計(計測手段)
50… 基板
52… 素子
60… テーブル
70… 制御装置(制御手段)