(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110678
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】セットアップ支援装置及び放射線治療システム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A61N5/10 Z
A61N5/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015399
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慎二
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AE03
4C082AN01
4C082AT01
(57)【要約】
【課題】セットアップをガイドするためのドキュメントの作成に対する負担を軽減させつつ、セットアップの品質の低下を抑制すること。
【解決手段】 実施形態に係るセットアップ支援装置は、取得部と、抽出部と、出力部とを備える。前記取得部は、放射線治療が施される被検体に対するセットアップの状況を表す状況情報を取得する。前記抽出部は、前記状況情報から抽出条件に基づいてチェックポイント情報を抽出する。前記出力部は、前記チェックポイント情報に基づいて、次回以降のセットアップをガイドするセットアップ情報を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療が施される被検体に対するセットアップの状況を表す状況情報を取得する取得部と、
前記状況情報から抽出条件に基づいてチェックポイント情報を抽出する抽出部と、
前記チェックポイント情報に基づいて、次回以降のセットアップをガイドするセットアップ情報を出力する出力部と、
を備えたセットアップ支援装置。
【請求項2】
前記状況情報は、音声データを含んでおり、
前記抽出部は、前記音声データをテキストデータに変換し、前記テキストデータから前記抽出条件に基づいて前記チェックポイント情報を抽出する、
請求項1に記載のセットアップ支援装置。
【請求項3】
前記抽出条件は、キーワードを含んでおり、
前記抽出部は、前記キーワードに基づいて前記テキストデータから前記チェックポイント情報を抽出する、
請求項2に記載のセットアップ支援装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記被検体とは異なる複数の被検体に関する複数の状況情報が変換された複数のテキストデータから頻出ワード又はトレンドワードを選択し、前記選択した頻出ワード又はトレンドワードを前記キーワードとして用いる、
請求項3に記載のセットアップ支援装置。
【請求項5】
前記チェックポイント情報は、前記抽出条件を満たすテキストデータを含んでおり、
前記出力部は、複数の前記チェックポイント情報の各々を含むチェックリストを作成し、前記チェックリストを含む前記セットアップ情報を出力する、請求項3に記載のセットアップ支援装置。
【請求項6】
前記状況情報は、動画データを更に含んでおり、
前記抽出部は、前記テキストデータ以外のチェックポイント情報として、前記抽出条件に基づいて、前記キーワードが発生した時点の静止画像を前記動画データから抽出する、
請求項3に記載のセットアップ支援装置。
【請求項7】
前記抽出条件は、所定のジェスチャー動作を更に含んでおり、
前記静止画像は、前記動画データが表す状況のうちのジェスチャー動作により指示された付近を拡大した画像を表す、
請求項6に記載のセットアップ支援装置。
【請求項8】
前記所定のジェスチャー動作は、前記被検体又は固定具に対する指差し動作を含む、請求項7に記載のセットアップ支援装置。
【請求項9】
前記状況情報は、前記状況を表す動画データを更に含んでおり、
前記抽出部は、前記テキストデータ以外のチェックポイント情報として、前記抽出条件に基づいて、前記キーワードが発生した時点の動画像を前記動画データから抽出する、
請求項3に記載のセットアップ支援装置。
【請求項10】
前記セットアップ情報を、放射線治療装置のガントリに設けられたディスプレイ、前記放射線治療装置の近傍に設けられたディスプレイ、又はユーザの頭部に装着されるウェアラブルデバイスのディスプレイに再生する再生部、を更に備えた、請求項1に記載のセットアップ支援装置。
【請求項11】
前記セットアップ情報は、複数の前記チェックポイント情報を含んでおり、
前記再生部は、前記複数の前記チェックポイント情報の各々を順に再生する毎に、当該再生の進行を一時停止させ、一時停止中のチェックポイント情報に対応するセットアップが実施されたことが入力されると、前記一時停止を解除する、
請求項10に記載のセットアップ支援装置。
【請求項12】
更新部を更に備え、
前記取得部は、前記チェックポイント情報の再生の一時停止中に、前記被検体に対する今回のセットアップの状況を表す今回の状況情報を取得し、
前記抽出部は、前記今回の状況情報から抽出条件に基づいて今回のチェックポイント情報を抽出し、
前記更新部は、前記チェックポイント情報の更新指示が入力されると、前記更新指示に基づいて、前記一時停止中のチェックポイント情報を前記今回のチェックポイント情報に更新する、
請求項11に記載のセットアップ支援装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のセットアップ支援装置を備えた放射線治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書等に開示の実施形態は、セットアップ支援装置及び放射線治療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療では、通常の場合、治療計画を立てた医師が患者のセットアップ(固定具や照射位置合わせ)及びその確認を行う。また、放射線治療は、数十回程度の複数回の分割照射を行う場合が多く、毎回のセットアップを効率よく行う必要がある。このため、初回のセットアップ後、医師は、セットアップに関する伝達事項を記載したドキュメントを作成しておく。作成されたドキュメントにより、次回以降のセットアップがガイドされ、効率よく行われる。
【0003】
しかしながら、当該ドキュメントは、患者毎に必要であり、作成には手間が掛かるため、医師の負担が大きい。また、作成されたドキュメントは、伝達事項の記載漏れによってセットアップの品質を低下させてしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、セットアップをガイドするためのドキュメントの作成に対する負担を軽減させつつ、セットアップの品質の低下を抑制することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るセットアップ支援装置は、取得部と、抽出部と、出力部とを備える。前記取得部は、放射線治療が施される被検体に対するセットアップの状況を表す状況情報を取得する。前記抽出部は、前記状況情報から抽出条件に基づいてチェックポイント情報を抽出する。前記出力部は、前記チェックポイント情報に基づいて、次回以降のセットアップをガイドするセットアップ情報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る放射線治療システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のセットアップ支援装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2のセットアップ支援装置による動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図2のセットアップ支援装置及び
図1の放射線治療装置におけるセットアップを説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図6】
図6は、セットアップ情報の一例を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、セットアップ情報の変形例を説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の変形例に係るウェアラブルデバイスの構成を示す図である。
【
図9】
図9は、
図8のウェアラブルデバイスを用いたセットアップ支援装置による動作を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、
図9に示す動作により得られたセットアップ情報の一例を説明するための模式図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係るセットアップ支援装置の構成を示す図である。
【
図13】
図13は、
図12のセットアップ支援装置による動作の変形例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第3の実施形態に係るセットアップ支援装置の構成を示す図である。
【
図15】
図15は、
図14のセットアップ支援装置及び
図1の放射線治療装置におけるセットアップを説明するための模式図である。
【
図17】
図17は、第3の実施形態に係るセットアップ支援装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係るセットアップ支援装置について説明する。セットアップ支援装置は、放射線治療が施される被検体に対するセットアップ(固定具や照射位置合わせ)の状況を元に、次回以降のセットアップを支援するためのコンピュータである。このセットアップ支援装置は、放射線治療装置7とは別体の装置として実現した場合を述べるが、放射線治療装置7に一体的な装置として実現してもよい。いずれにしても、セットアップ支援装置は、放射線治療システムに包含されるものとする。また、以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
<第1の実施形態>
図1に示すように、放射線治療システム1は、セットアップ支援装置3、治療計画画像撮影装置5、治療計画装置6及び放射線治療装置7を備えている。セットアップ支援装置3、治療計画画像撮影装置5、治療計画装置6及び放射線治療装置7は、ネットワーク等を介して互いに通信可能に接続されている。
【0010】
セットアップ支援装置3は、初回のセットアップの状況からチェックポイントを抽出し、チェックポイントに基づいて、次回以降のセットアップを支援するためのセットアップ情報を出力するコンピュータである。
【0011】
治療計画画像撮影装置5は、放射線治療計画に利用する医用画像(以下、治療計画画像と呼ぶ)を生成する医用画像診断装置である。治療計画画像撮影装置5は、患者の体表を描出可能であれば、如何なる医用画像診断装置でも良い。このような治療計画画像撮影装置5としては、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置やコーンビームCT装置、磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置等が用いられる。
【0012】
治療計画装置6は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、表示機器、入力インタフェース、通信インタフェースを含むコンピュータである。治療計画装置6は、治療計画画像撮影装置5から直接的に又はPACSシステム等を介して治療計画画像を受信する。治療計画装置6は、治療計画画像を利用して、患者に関する治療計画を作成する。治療計画は、治療計画画像と放射線治療条件とを含む。放射線治療条件は、腫瘍位置や放射線照射方向数、放射線照射角度、放射線強度、コリメータ開度、ウェッジフィルタ等の各種条件を含む。治療計画は、放射線治療装置7に送信される。
【0013】
放射線治療装置7は、治療用架台(ガントリ)と治療用寝台とコンソールとを有する。治療用架台は、照射ヘッドを回転軸回りに回転可能に支持する。照射ヘッドには、電子銃等により発生された電子等を加速する加速管と、加速管により加速された電子が衝突する金属ターゲットとが搭載される。金属ターゲットに電子が衝突することにより、放射線であるX線が発生する。照射ヘッドは、治療計画装置6により同定された治療計画に含まれる放射線治療条件に従い放射線を照射する。照射ヘッドからの放射線のビーム軸と回転軸とが交わる点は、空間的に不動であり、アイソ・センタと呼ばれている。治療用寝台は、患者が載置される治療用天板と、治療用天板を移動自在に支持する基台とを有する。治療用天板は、撮像用天板と同様に平面形状を有している。患者の治療部位がアイソ・センタに一致するように治療用架台、治療用寝台及び患者が位置合わせされる。
【0014】
図2に示すように、セットアップ支援装置3は、処理回路31、メモリ32、ディスプレイ33、入力インタフェース34及び通信インタフェース35を有する。処理回路31、メモリ32、ディスプレイ33、入力インタフェース34及び通信インタフェース35は、互いにバスを介して通信可能に接続されている。
【0015】
処理回路31は、ハードウェア資源として、CPUやGPU等のプロセッサを有する。処理回路31は、セットアップ支援に関するプログラム(以下、セットアップ支援プログラムと呼ぶ)を実行し、取得機能311、抽出機能312、出力機能313を実現する。
【0016】
取得機能311は、放射線治療が施される被検体に対するセットアップの状況を表す状況情報を取得する。例えば、取得機能311は、状況を表す音声データを含む状況情報を、通信インタフェース35等を介して接続されたマイクから取得する。また例えば、状況を表す動画データを更に含む状況情報を、通信インタフェース35等を介して接続された複数アングルのTVカメラから取得する。取得機能311及び処理回路31は、取得部の一例である。
【0017】
抽出機能312は、取得機能311により取得された状況情報から抽出条件に基づいてチェックポイント情報を抽出する。例えば、抽出機能312は、状況情報に含まれる音声データをテキストデータに変換し、テキストデータから抽出条件に基づいてチェックポイント情報を抽出する。チェックポイント情報は、セットアップの途中段階の要約や趣旨を表す情報であり、テキストデータや画像データが適宜、使用可能となっている。具体的には、チェックポイント情報は、照射位置合わせ段階のポイント(骨、軟部組織)、照射を避けるリスク臓器との距離、照射ターゲットの優先位置合わせ段階のポイント、固定具の位置合わせ段階の確認ポイント、等を表す情報が使用可能となっている。また、チェックポイント情報は、セットアップのノウハウを含む場合がある。抽出機能312は、抽出条件がキーワードを含んでいる場合、抽出機能312は、キーワードに基づいてテキストデータからチェックポイント情報を抽出する。キーワードとしては、単語に限らず、所定の文字列が使用可能となっている。また例えば、状況情報が動画データを更に含んでいる場合、抽出機能312は、テキストデータ以外のチェックポイント情報として、抽出条件に基づいて、キーワードが発生した時点の静止画像を動画データから抽出してもよい。抽出機能312及び処理回路31は、抽出部の一例である。
【0018】
出力機能313は、抽出機能312により抽出されたチェックポイント情報に基づいて、次回以降のセットアップをガイドするセットアップ情報を出力する。なお、出力機能313は、セットアップ情報を出力してメモリ32に保存してもよく、セットアップ情報を放射線治療装置7に出力してもよい。出力機能313及び処理回路31は、出力部の一例である。
【0019】
メモリ32は、種々の情報を記憶するRAMやROM、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。例えば、メモリ32は、治療計画画像、治療計画、位置合わせプログラム等を記憶する。ハードウェアとしてメモリ32は、CD-ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記録媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。
【0020】
ディスプレイ33は、処理回路31の処理に関する種々の情報を表示する。ディスプレイ33は、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。また、ディスプレイ33は、プロジェクタであってもよい。
【0021】
入力インタフェース34は、入力機器を介して受け付けたユーザからの各種指令やデータを入力する。入力機器としては、キーボードやマウス、TVカメラ、マイク、各種スイッチ等が利用可能である。例えば、入力インタフェース34は、マイク及びTVカメラといった入力機器から受けた音声データ及び動画データを入力する。入力インタフェース34は、入力機器からの出力信号を、バスを介して処理回路31に供給する。
【0022】
通信インタフェース35は、図示しない有線又は無線を介して、セットアップ支援装置3や治療計画画像撮影装置5、治療計画装置6、放射線治療装置7等との間でデータ通信を行う。例えば、通信インタフェース35は、セットアップ情報を放射線治療装置7に送出する。また、通信インタフェース35は、治療計画画像撮影装置5から治療計画画像を受信する。
【0023】
以下、セットアップ支援装置3における動作について
図3を用いて詳細に説明する。
【0024】
始めに、ステップST1において、
図4に示すように、放射線治療のためのセットアップが行われる患者P(被検体)等は治療室に配置される。治療室には治療用架台(ガントリ)71と治療用寝台74とが設置される。治療用架台71は保持装置72と、回転軸A1回りに回転可能に保持装置72に設けられた照射ヘッド73とを有する。治療用寝台74は、床面に設けられた基台75と、移動自在に基台75に支持される天板76とを有する。天板76上には患者Pと、患者Pの体位を固定するための固定具81とが載置されている。患者P及び固定具81を含む天板76上の状況を撮影する複数のTVカメラ341が天井に設置される。患者Pをセットアップする状況の音声は、例えば、各々のTVカメラ341に外付けしたマイク(図示せず)により集音される。また、治療用架台71の回転軸A1に平行する軸をZ軸、Z軸に鉛直に直交する軸をY軸、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸とする。また、治療用架台71の回転軸A1を含む位置には、天板76に対向してディスプレイ77が設置される。
【0025】
医師等のユーザは、計画時の体位を治療時に再現するように患者Pの体位を固定具81で固定するセットアップを行う。このとき、ユーザは、セットアップについてのノウハウを話しながら作業する。作業中、ユーザは、適宜、放射線治療装置7を操作することにより、治療計画画像などの治療計画データをディスプレイ77に表示させる。セットアップの作業は、以下のステップST1~ST7の間、継続して行われる。
【0026】
始めに、セットアップ支援装置3の処理回路31は、セットアップの状況を表す状況情報としての音声データ及び動画データをマイク及びTVカメラ341から取得する(ステップST1)。ステップST1は、セットアップの作業が終了するまで継続して行われる。
【0027】
処理回路31は、状況情報のうち、音声データをテキストデータに変換する(ステップST2)。
【0028】
ステップST2の後、処理回路31は、テキストデータから抽出条件に基づいてチェックポイント情報を抽出する(ステップST3)。例えば、抽出条件がキーワードを含んでいる場合、処理回路31は、
図5の時点t1に示すように、キーワードに基づいてテキストデータからチェックポイント情報を抽出する。
図5中、時点t1~t5は、抽出の様々な例を場合分けして述べるための符号であり、t1~t5の順に抽出を行うことを意味しない。また、チェックポイント情報は、抽出条件を満たすテキストデータを含んでいる。例えば、チェックポイント情報としては、照射位置合わせのポイント(骨、軟部組織)、照射を避けるリスク臓器との距離、照射ターゲットの優先位置合わせポイント、固定具の位置合わせ確認ポイント、等を表す情報が使用可能となっている。なお、チェックポイント情報は、テキストデータに限らず、画像データの場合もある。また、ステップST3は、テキストデータが抽出条件を満たさない場合には、実行されない。
【0029】
ステップST3の後、処理回路31は、ステップST3で抽出したチェックポイント情報を含むチェックリストを作成する(ステップST4)。なお、チェックリストは、チェックポイント情報を抽出する毎に、新たなチェックポイント情報が追加される。
【0030】
ステップST4の後、処理回路31は、テキストデータ以外のチェックポイント情報として、抽出条件に基づいて、キーワードが発生した時点の静止画像を動画データから抽出する(ステップST5)(時点t2)。ここで、抽出条件が所定のジェスチャー動作を更に含む場合、処理回路31は、当該静止画像をズームして抽出する。この場合、静止画像は、動画データが表す状況のうちのジェスチャー動作により指示された付近を拡大した画像を表す。例えば、所定のジェスチャー動作が患者P又は固定具81に対する指差し動作を含む場合、静止画像は、指差し動作により指示された患者P又は固定具81付近の拡大画像となる。なお、ジェスチャー動作による抽出は、キーワードによる抽出とは無関係に実行してもよい(時点t3)。また、ステップST5は、ステップST3が実行されない場合や、動画データが所定のジェスチャ-動作を含まない場合には、実行されない。
【0031】
ステップST5の後、処理回路31は、治療計画画像に関する抽出条件としてのキーワードに基づいて、例えば、ディスプレイ77に表示中の治療計画画像を放射線治療装置7から取得する(ステップST6)(時点t4)。あるいは、処理回路31は、治療計画画像に関する抽出条件としてのジェスチャー動作に基づいて、ディスプレイ77に表示中の治療計画画像を放射線治療装置7から取得する(時点t5)。この場合、例えば、ジェスチャー動作は、患者Pの治療計画画像に対する指差し動作を含んでいる。また、ステップST6は、テキストデータや動画データが治療計画画像に関する抽出条件を満たさない場合には実行されない。
【0032】
ステップST6の後、処理回路31は、ユーザによる入力インタフェース34の操作に応じてセットアップが終了か否かを判定し(ステップST7)、否の場合にはステップST1に戻って、ステップST1~ST7の処理を繰り返し実行する。一方、ステップST7の判定の結果、セットアップが終了の場合、ステップST8に移行する。
【0033】
ステップST7の後、処理回路31は、例えば
図6に示すように、チェックリスト91、静止画像92及び治療計画画像93を含むセットアップ情報9を出力する(ステップST8)。なお、セットアップ情報9は、患者や治療計画の識別情報94が予め設定されることが好ましい。また、チェックリスト91は、複数のチェックポイント情報911を含んでいる。また、
図6中、カッコ内のt1~t5は、それぞれ時点t1~t5で抽出又は取得したことを意味している。出力されたセットアップ情報9は、今回のセットアップのチェックポイントを表すレポートドキュメントに相当する。係るセットアップ情報9は、例えばディスプレイ77に表示されてもよく、必要により、医師等のユーザに修正されてもよい。また、セットアップ情報9は、次回以降のセットアップに使用されるため、メモリ32に保存される。ステップST8の終了により、セットアップ支援装置3の動作が終了する。
【0034】
上述したように第1の実施形態によれば、処理回路31は、放射線治療が施される被検体に対するセットアップの状況を表す状況情報を取得する。処理回路31は、状況情報から抽出条件に基づいてチェックポイント情報を抽出する。処理回路31は、チェックポイント情報に基づいて、次回以降のセットアップをガイドするセットアップ情報を出力する。このように、セットアップの状況情報を取得して次回以降のセットアップ情報を出力する構成により、セットアップをガイドするためのドキュメントの作成に対する負担を軽減させつつ、セットアップの品質の低下を抑制することができる。また、次回以降のセットアップをガイドするセットアップ情報によれば、セットアップ作業の再現性と効率の向上を図ることが可能となる。
【0035】
また、第1の実施形態によれば、状況情報は、音声データを含んでいる。処理回路31は、音声データをテキストデータに変換し、テキストデータから抽出条件に基づいてチェックポイント情報を抽出する。従って、前述した効果に加え、セットアップ時に音声で述べたチェックポイントを抽出することができる。
【0036】
また、第1の実施形態によれば、抽出条件は、キーワードを含んでいる。処理回路31は、キーワードに基づいてテキストデータからチェックポイント情報を抽出する。従って、前述した効果に加え、キーワードを発した付近から抽出する等の工夫により、チェックポイントの抽出精度を向上させることができる。
【0037】
また、第1の実施形態によれば、チェックポイント情報は、抽出条件を満たすテキストデータを含んでいる。処理回路31は、複数のチェックポイント情報の各々を含むチェックリストを作成し、チェックリストを含むセットアップ情報を出力する。従って、前述した効果に加え、チェックリストを作成する負担を軽減することができる。
【0038】
また、第1の実施形態によれば、状況情報は、動画データを更に含んでいる。処理回路31は、テキストデータ以外のチェックポイント情報として、抽出条件に基づいて、キーワードが発生した時点の静止画像を動画データから抽出する。従って、前述した効果に加え、静止画像を抽出する構成により、テキストデータ以外に静止画像を含むセットアップ情報を出力することができる。
【0039】
また、第1の実施形態によれば、抽出条件は、所定のジェスチャー動作を更に含んでいる。静止画像は、動画データが表す状況のうちのジェスチャー動作により指示された付近を拡大した画像を表す。従って、前述した効果に加え、天井に設置したTVカメラ341から取得した動画データにおいて、必要な部分が小さく撮影されていても、指示した付近を拡大した静止画像を抽出する構成により、必要な部分を拡大した静止画像を含むセットアップ情報を出力することができる。
【0040】
また、第1の実施形態によれば、所定のジェスチャー動作は、患者P又は固定具に対する指差し動作を含む。従って、前述した効果に加え、患者P又は固定具に対する指差し動作により指示された付近を拡大した静止画像を抽出する構成により、患者P又は固定具の一部とその付近を拡大した静止画像を含むセットアップ情報を出力することができる。
【0041】
なお、第1の実施形態では、キーワードについて所定の文字列としたが、これに限定されない。例えば、処理回路31の抽出機能312は、被検体とは異なる複数の被検体に関する複数の状況情報が変換された複数のテキストデータから頻出ワード又はトレンドワードを選択し、選択した頻出ワード又はトレンドワードをキーワードとして用いてもよい。この変形例の場合、第1の実施形態の効果に加え、キーワードを選択して設定する手間の軽減を図ることができる。
【0042】
また、第1の実施形態では、テキストデータ以外のチェックポイント情報として、静止画像を抽出したが、これに限定されない。例えば、状況情報が、状況を表す動画データを更に含んでいる場合、処理回路31は、テキストデータ以外のチェックポイント情報として、抽出条件に基づいて、キーワードが発生した時点の動画像を動画データから抽出する。この変形例の場合、セットアップ情報9は、
図7に示すように、例えば、付帯情報と動画ドキュメントとを含む動画情報として作成される。
図7中、付帯情報は、抽出元の動画データの時点t1~t5を表している。動画ドキュメントは、テキストデータ、動画像及び治療計画画像を表す複数のフレームFLからなる動画データを含んでいる。例えば、動画ドキュメントは、テキストデータを表す動画データと、セットアップの状況を拡大して表す動画像の動画データと、治療計画画像を表す動画データとを含んでいる。
図7に示すセットアップ情報9は、
図6に示すセットアップ情報9に対応する動画情報の一例である。従って、第1の実施形態の効果に加え、動画のセットアップ情報により、次回以降のセットアップをガイドする構成により、チェックポイントを分かり易く伝達可能となるので、セットアップ品質の向上を図ることができる。
【0043】
なお、この変形例では、前述したTVカメラ341から取得した動画データから動画像を抽出したが、これに限定されない。例えば、MRグラスの如き、ユーザの頭部に装着したウェアラブルデバイスから取得した動画データから動画像を抽出してもよい。MRは、Mixed Reality(複合現実)の略語である。例えば、
図8に示すように、ウェアラブルデバイス4は、処理回路41と、メモリ42と、ディスプレイ43と、視線カメラ44と、センサ45と、通信インタフェース46とを備えている。処理回路41は、ウェアラブルデバイス4の制御を司る。メモリ42は、処理回路41の制御プログラムと、3D-CADデータ等のデータとを保存する。3D-CADデータは、例えば、固定具81及び天板76のCADデータである。3D-CADデータは、患者PのCADデータを含んでもよい。ディスプレイ43は、ユーザの目に対向して配置される表示デバイスである。視線カメラ44は、ユーザの視線の向きに撮影を行い、動画データ(視線動画データ)を取得する。センサ45は、ウェアラブルデバイス4の位置及び角度を検出し、検出結果を処理回路41に送出する。通信インタフェース46は、処理回路41に制御され、セットアップ支援装置3との間の無線通信を行う。このようなウェアラブルデバイス4は、例えば、視線カメラ44が取得する視線動画データにCADデータ等の半透明データを重畳してディスプレイ43に表示可能となっている。重畳の際に、ウェアラブルデバイス4の位置及び角度の検出結果に基づいて、重畳する半透明データの位置及び角度が調整される。すなわち、ウェアラブルデバイス4は、視線カメラ44が捉える現実世界の視線動画データにCADデータ等の半透明データを重畳表示可能となっている。この変形例によれば、
図9に示すように、ステップST5に代えて、ステップST5aにおいて、状況情報の視線動画データから動画像が抽出される。また、ステップST8において、チェックリスト、動画像及び治療計画画像を含むセットアップ情報が出力される。また、
図10に示すように、TVカメラ341からの動画データは、ジェスチャー動作の検出には用いられるものの、動画像の抽出には用いられない。視線カメラ44からの視線動画データは、ジェスチャー動作の検出と、動画像の抽出とにそれぞれ用いられる。また、
図11に示すように、セットアップ情報9は、
図7に示した構成において、セットアップの状況を表す動画像が視線カメラ44から抽出したものとなっている。また、
図11に示すセットアップ情報9は、視線カメラ44が捉える現実世界の視線動画データの上層に重畳表示させるレイヤーであり、少なくとも一部が視線動画データを透過させる。このような変形例としても、第1の実施形態の効果に加え、視線カメラ44からの動画像のセットアップ情報により、次回以降のセットアップをガイドする構成により、チェックポイントを分かり易く伝達可能となるので、セットアップ品質の向上を図ることができる。
【0044】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係るセットアップ支援装置3は、初回のセットアップにおいて、セットアップの状況情報からセットアップ情報を出力した第1の実施形態とは異なり、次回以降のセットアップにおいて、セットアップ情報を再生するものである。
【0045】
これに伴い、セットアップ支援装置3の処理回路31は、
図12に示すように、再生機能314が付加されている。再生機能314は、セットアップ情報9を放射線治療装置7の治療用架台71に設けられたディスプレイ77に再生する。なお、これに限らず、再生機能314は、セットアップ情報9を放射線治療装置7の近傍に設けられたディスプレイに再生してもよい。再生機能314及び処理回路31は、再生部の一例である。
【0046】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0047】
以上のような構成によれば、次回以降のセットアップを開始する前に、セットアップ支援装置3の処理回路31は、ユーザの操作により、
図6に示した如き、セットアップ情報9をメモリ32から読み出し、治療用架台71のディスプレイ77に再生する。治療用架台71のディスプレイ77は、天板76に対向配置されているため、天板76の近傍でセットアップを行う者から視認し易い位置にある。このため、次回以降のセットアップを行うユーザに対し、効率よく、セットアップをガイドすることができる。なお、このユーザは、初回のセットアップを行った医師と同一ユーザでもよく、異なるユーザでもよい。異なるユーザとしては、例えば、セットアップのタスクシフトを受けた物理士又は技師の場合がある。
【0048】
いずれにしても、第2の実施形態によれば、セットアップ情報9を放射線治療装置7の治療用架台71に設けられたディスプレイ77に再生する構成により、効率よく、セットアップをガイドすることができる。従って、例えば、医師等の第1ユーザが初回のセットアップを行うことによりセットアップ情報を出力し、当該セットアップ情報の再生中に、物理士又は技師等の第2ユーザが次回以降のセットアップを行う。これにより、医師から物理士や技師へのセットアップ作業のタスクシフトをスムーズに効率よくかつ正確に実施することができる。あるいはタスクシフトに限らず、初回のセットアップを行った第1ユーザが次回以降のセットアップを行ってもよい。この場合でも、第1ユーザは、次回以降のセットアップの作業をスムーズに効率よくかつ正確に実施することができる。
【0049】
なお、第2の実施形態では、動画像を含まないセットアップ情報9を再生したが、これに限定されない。例えば、処理回路31は、
図7に示した如き、TVカメラ341から取得した動画データから抽出した動画像のセットアップ情報9を治療用架台71のディスプレイ77又はその近傍のディスプレイに再生してもよい。この場合、処理回路31は、
図13に示すように、動画像のセットアップ情報9をディスプレイ77に再生すると共に、今回のセットアップの状況情報をTVカメラ341から取得する(ステップST11~ST12)。また、処理回路31は、取得した状況情報の動画データをリアルタイムで解析し、解析結果に基づいて、セットアップ情報9の再生を制御する(ステップST13~ST14)。例えば、処理回路31は、状況情報の解析結果に基づき、解析結果に対応するセットアップ情報9の一部をディスプレイ77に強調表示させる。例えば、処理回路31は、現在のセットアップの作業に対応するチェックポイント情報を強調表示させる。また、処理回路31は、取得した状況情報の音声データをリアルタイムで解析し、解析結果に基づいて、治療計画画像や患部画像をディスプレイ77に表示させる(ステップST15~ST16)。患部画像は、リアルタイムで取得した患部画像でもよく、直近に取得した患部画像でもよい。ステップST16の後、ステップST17において、処理回路31は、ユーザによる入力インタフェース34の操作に応じてセットアップが終了か否かを判定し、否の場合にはステップST11に戻って、ステップST11~ST17の処理を繰り返し実行する。一方、ステップST17の判定の結果、セットアップが終了の場合、処理を終了する。このような変形例としても、第2の実施形態の効果に加え、動画のセットアップ情報により、チェックポイントを分かり易く伝達でき、セットアップ品質の向上を図ることができる。また、現在のセットアップの作業に対応するチェックポイント情報を強調表示できるので、自動で段階ごとの表示を変えることができる。
【0050】
また、この変形例では、TVカメラ341からの動画データに基づくセットアップ情報9を再生したが、これに限定されない。例えば、処理回路31は、視線カメラ44からの視線動画データに基づくセットアップ情報9を、ユーザの頭部に装着されるウェアラブルデバイス4のディスプレイ43に再生してもよい。このような変形例としても、第2の実施形態の効果に加え、動画のセットアップ情報により、チェックポイントを分かり易く伝達でき、セットアップ品質の向上を図ることができる。また、ウェアラブルデバイス4のディスプレイ43の場合、セットアップ情報9の固定具81等に対応するCADデータの半透明データを現在視野に重畳表示(ゴースト表示)できるので、より一層、セットアップ品質の向上を期待できる。
【0051】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係るセットアップ支援装置3は、セットアップ情報を再生した第2の実施形態に加え、セットアップ情報に基づく制御を行うものである。係る制御としては、例えば、複数のチェックポイント情報を含むチェックリストの実施チェック、音声案内、ポインタ指示などがある。
【0052】
ここで、セットアップ支援装置3は、
図14に示すように、出力インタフェース36を更に備えている。また、セットアップ支援装置3は、
図15に示すように、処理回路31から出力インタフェース36を介して制御されるレーザポインタ361及びスピーカ362を更に備えている。
【0053】
図14に戻り、処理回路31の再生機能314は、前述した機能に加え、チェックリストの実施チェックを行う。例えば、再生機能314は、複数のチェックポイント情報の各々を順に再生する毎に、当該再生の進行を一時停止させ、一時停止中のチェックポイント情報に対応するセットアップが実施されたことが入力されると、当該一時停止を解除する。
【0054】
他の構成は、第2の実施形態と同様である。
【0055】
以上のような構成によれば、
図16に示すように、処理回路31は、動画像のセットアップ情報9をディスプレイ77に再生すると共に、今回のセットアップの状況情報をTVカメラ341から取得する(ステップST21~ST22)。
【0056】
また、処理回路31は、取得した状況情報の動画データ及び音声データを解析し、セットアップ情報及び解析結果に基づいて、メッセージの出力やレーザポインタ361の制御を実行する(ステップST23~ST24)。例えば、処理回路31は、状況情報の動画データの解析結果に基づき、天板76の位置の移動を促すメッセージをディスプレイ77に表示出力すると共に、当該メッセージをスピーカ362から音声出力する。また例えば、処理回路31は、状況情報の動画データの解析結果に基づき、注目すべきチェックポイントをレーザポインタ361からのレーザ光で示す。これにより、再生中のセットアップ情報に対して修正又は注目すべき現在の状況をユーザに教えることができる。
【0057】
また、処理回路31は、セットアップ情報に含まれるチェックリストの各々に対応するセットアップの実施を確認する(ステップST25)。例えば、処理回路31は、セットアップ情報に含まれる複数のチェックポイント情報の各々を順に再生する毎に、当該再生の進行を一時停止させる。このとき、処理回路31は、一時停止中のチェックポイント情報に対応するセットアップの実施を促すメッセージをディスプレイ77に表示出力してもよく、当該メッセージをスピーカ362から音声出力してもよい。しかる後、処理回路31は、一時停止中のチェックポイント情報に対応するセットアップが実施されたことが入力されると、当該一時停止を解除し、次のチェックポイント情報を再生する。なお、セットアップを実施した旨の入力は、ユーザの発声による音声入力としてもよく、ユーザのジェスチャー動作による入力としてもよい。
【0058】
ステップST25の後、処理回路31は、実施した状況を示す状況情報を含む実施エビデンスを生成し(ステップST26)、実施エビデンスをメモリ32に保存する。
【0059】
ステップST26の後、処理回路31は、実施エビデンスがチェックリストに整合しない場合、指示を出力する(ステップST27)。例えば、処理回路31は、生成した実施エビデンスとしての状況情報の動画データと、チェックリストのチェックポイント情報としての動画像とを比較し、両者が整合するか否かを判定する。判定の結果、整合しない場合、処理回路31は、整合しないチェックポイント情報に対応するセットアップ情報の実施を促すメッセージをディスプレイ77及びスピーカ362から出力する。なお、整合しない場合としては、例えば、作業漏れ等の場合がある。また、整合する場合にはステップST27を終了し、ステップST28に移行する。
【0060】
ステップST27の後、処理回路31は、ユーザによる入力インタフェース34の操作に応じてセットアップが終了か否かを判定し(ステップST28)、否の場合にはステップST21に戻って、ステップST21~ST28の処理を繰り返し実行する。一方、ステップST28の判定の結果、セットアップが終了の場合、医師によるチェックを促すメッセージを出力し(ステップST29)、処理を終了する。
【0061】
上述したように第3の実施形態によれば、セットアップ情報は、複数のチェックポイント情報を含んでいる。処理回路31は、複数のチェックポイント情報の各々を順に再生する毎に、当該再生の進行を一時停止させ、一時停止中のチェックポイント情報に対応するセットアップが実施されたことが入力されると、当該一時停止を解除する。従って、第2の実施形態の効果に加え、チェックポイント毎に、セットアップ作業の実施を促すことができる。
【0062】
また、第3の実施形態によれば、処理回路31は、状況情報の解析結果とセットアップ情報とに基づいて、スピーカ362やレーザポインタ361を制御する構成により、一層、セットアップ品質の向上を図ることができる。
【0063】
また、第3の実施形態によれば、チェックポイント情報毎に実施エビデンスを保存することにより、複数の実施エビデンスを含む実施記録を自動で作成することができる。
【0064】
<第4の実施形態>
第4の実施形態に係るセットアップ支援装置3は、チェックポイント情報の各々を順に再生する第3の実施形態に加え、チェックポイント情報の各々を更新可能なものである。
【0065】
これに伴い、処理回路31の取得機能311は、チェックポイント情報の再生の一時停止中に、患者Pに対する今回のセットアップの状況を表す今回の状況情報を取得する。抽出機能312は、今回の状況情報から抽出条件に基づいて今回のチェックポイント情報を抽出する。
【0066】
また、処理回路31は、
図17に示すように、更新機能315が付加されている。更新機能315は、チェックポイント情報の更新指示が入力されると、更新指示に基づいて、一時停止中のチェックポイント情報を今回のチェックポイント情報に更新する。更新指示の入力は、ユーザの発声による音声入力としてもよく、ユーザのジェスチャー動作による入力としてもよい。更新機能315及び処理回路31は、更新部の一例である。
【0067】
他の構成は、第3の実施形態と同様である。
【0068】
以上のような構成によれば、
図18に示すように、処理回路31は、動画像のセットアップ情報に含まれる複数のチェックポイント情報の各々を順に再生する毎に、当該再生の進行を一時停止させる(ステップST31)。
【0069】
ステップST31の後、処理回路31は、チェックポイント情報の再生の一時停止中に、患者Pに対する今回のセットアップの状況を表す今回の状況情報を取得する(ステップST32)。
【0070】
ステップST32の後、処理回路31は、今回の状況情報から抽出条件に基づいて今回のチェックポイント情報を抽出する(ステップST33)。
【0071】
ステップST33の後、処理回路31は、チェックポイント情報の更新指示が入力されたか否かを判定し(ステップST34)、更新指示が入力された場合にはステップST35に移行する。一方、判定の結果、否の場合にはステップST35をスキップしてステップST36に移行する。
【0072】
ステップST34の後、処理回路31は、チェックポイント情報の更新指示が入力されると、更新指示に基づいて、一時停止中のチェックポイント情報を今回のチェックポイント情報に更新する(ステップST35)。これにより、ステップST35は終了する。
【0073】
ステップST34又はST35の後、処理回路31は、チェックポイント情報の一時停止を解除する(ステップST36)。しかる後、ステップST31に戻り、次のチェックポイント情報に関してステップST31~ST36の処理を繰り返し実行する。
【0074】
ステップST36の後、ステップST37において、処理回路31は、ユーザによる入力インタフェース34の操作に応じてセットアップが終了か否かを判定し、否の場合にはステップST31に戻って、ステップST31~ST37の処理を繰り返し実行する。一方、ステップST37の判定の結果、セットアップが終了の場合、処理を終了する。
【0075】
上述したように第4の実施形態によれば、処理回路31は、チェックポイント情報の再生の一時停止中に、患者Pに対する今回のセットアップの状況を表す今回の状況情報を取得する。処理回路31は、今回の状況情報から抽出条件に基づいて今回のチェックポイント情報を抽出する。処理回路31は、チェックポイント情報の更新指示が入力されると、更新指示に基づいて、一時停止中のチェックポイント情報を今回のチェックポイント情報に更新する。従って、第3の実施形態の効果に加え、一時停止中に係るチェックポイント情報に改善すべき点が見つかると、更新指示の入力により、改善すべき点を含むチェックポイント情報を今回のチェックポイント情報に更新することができる。
【0076】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、セットアップをガイドするためのドキュメントの作成に対する負担を軽減させつつ、セットアップの品質の低下を抑制することができる。
【0077】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムがメモリに保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1、
図2、
図12、
図14及び
図17における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
1 放射線治療システム
3 セットアップ支援装置
31,41 処理回路
311 取得機能
312 抽出機能
313 出力機能
314 再生機能
315 更新機能
32,42 メモリ
33,43 ディスプレイ
34 入力インタフェース
341 TVカメラ
35,46 通信インタフェース
36 出力インタフェース
361 レーザポインタ
362 スピーカ
4 ウェアラブルデバイス
44 視線カメラ
45 センサ
5 治療計画画像撮影装置
6 治療計画装置
7 放射線治療装置
71 治療用架台
72 保持装置
73 照射ヘッド
74 治療用寝台
75 基台
76 天板
81 固定具