(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110689
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】蒸発燃料処理装置
(51)【国際特許分類】
F02M 25/08 20060101AFI20240808BHJP
F02D 41/04 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
F02M25/08 301H
F02D41/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015421
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉井 翔
【テーマコード(参考)】
3G144
3G301
【Fターム(参考)】
3G144BA08
3G144DA02
3G144EA18
3G144EA19
3G144EA38
3G144GA02
3G301JA06
3G301NE20
3G301PE01
(57)【要約】
【課題】蒸発燃料の処理時のエンジンのサイクルごとの空燃比のばらつきを抑制することができる蒸発燃料処理装置を提供すること。
【解決手段】ECUは、エンジン回転速度およびデューティ比に応じた所定の開閉周波数下限値を設定し、開閉周波数下限値より高い開閉周波数で制御弁を動作させる(ステップS7、S8)。ECUは、開閉周波数下限値を、エンジンのサイクルの1周期の時間(T)が制御弁の開弁時間と閉弁時間のうち長い方の時間(t)と等しくなる周波数に設定する。ECUは、制御弁の開弁時間と閉弁時間とが等しくなる基準デューティ比を基準として、基準デューティ比よりデューティ比が大きくなるにつれて開閉周波数下限値を高くなるように設定し、基準デューティ比よりデューティ比が小さくなるにつれて開閉周波数下限値を高くなるように設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発燃料を一時的に吸着するキャニスタと、
前記キャニスタからエンジンの吸気通路に蒸発燃料を導入するパージ通路と、
前記パージ通路に設けられた制御弁と、
開閉周波数およびデューティ比を変化させるように前記制御弁を制御する制御部と、を備えた蒸発燃料処理装置であって、
前記制御部は、前記エンジンのエンジン回転速度および前記デューティ比に応じた所定の開閉周波数下限値を設定し、前記開閉周波数下限値より高い開閉周波数で前記制御弁を動作させることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記開閉周波数下限値を、前記エンジンのサイクルの1周期の時間が前記制御弁の開弁時間と閉弁時間のうち長い方の時間と等しくなる周波数に設定することを特徴とする請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記制御弁の開弁時間と閉弁時間とが等しくなる基準デューティ比を基準として、前記基準デューティ比より前記デューティ比が大きくなるにつれて前記開閉周波数下限値を高くなるように設定し、前記基準デューティ比より前記デューティ比が小さくなるにつれて前記開閉周波数下限値を高くなるように設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記エンジン回転速度が大きくなるにつれて前記開閉周波数下限値を大きくすることを特徴とする請求項3に記載の蒸発燃料処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発燃料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両において、燃料タンクから発生する蒸発燃料の排出量を規制する対策として、蒸発燃料を一時的にキャニスタに吸着させ、キャニスタに吸着させた蒸発燃料をエンジンの吸気経路に排出(パージ)して処理する技術が用いられている。
【0003】
従来のこの種の技術として特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載のものは、蒸発燃料の処理時のエンジンの気筒ごとの空燃比のばらつきを抑制するため、エンジン回転速度の増加に応じてパージコントロールバルブの開閉周波数を増加させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、蒸発燃料の処理時の空燃比のばらつきには、蒸発燃料の吸入量が気筒ごとに異なることによる気筒ごとの空燃比のばらつきだけでなく、蒸発燃料の吸入量がエンジンのサイクルごとに異なることによるサイクルごとの空燃比のばらつきも存在する。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものにあっては、エンジンの気筒ごとの空燃比のばらつきにのみ着目しており、エンジンのサイクルごとの空燃比のばらつきを抑制することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、蒸発燃料の処理時のエンジンのサイクルごとの空燃比のばらつきを抑制することができる蒸発燃料処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する蒸発燃料処理装置の発明の一態様は、蒸発燃料を一時的に吸着するキャニスタと、前記キャニスタからエンジンの吸気通路に蒸発燃料を導入するパージ通路と、前記パージ通路に設けられた制御弁と、開閉周波数およびデューティ比を変化させるように前記制御弁を制御する制御部と、を備えた蒸発燃料処理装置であって、前記制御部は、前記エンジンのエンジン回転速度および前記デューティ比に応じた所定の開閉周波数下限値を設定し、前記開閉周波数下限値より高い開閉周波数で前記制御弁を動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明によれば、蒸発燃料の処理時のエンジンのサイクルごとの空燃比のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る蒸発燃料処理装置を搭載する車両の構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係る蒸発燃料処理装置の制御弁の開閉制御の動作を説明するフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る蒸発燃料処理装置におけるデューティ比が50%以上の場合の制御弁の開閉周期とエンジンのサイクルの1周期との関係を説明する図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係る蒸発燃料処理装置におけるデューティ比が50%未満の場合の制御弁の開閉周期とエンジンのサイクルの1周期との関係を説明する図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係る蒸発燃料処理装置におけるデューティ比およびエンジン回転速度と開閉周波数下限値との相関を定めるマップである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態に係る蒸発燃料処理装置は、蒸発燃料を一時的に吸着するキャニスタと、キャニスタからエンジンの吸気通路に蒸発燃料を導入するパージ通路と、パージ通路に設けられた制御弁と、開閉周波数およびデューティ比を変化させるように制御弁を制御する制御部と、を備えた蒸発燃料処理装置であって、制御部は、エンジンのエンジン回転速度およびデューティ比に応じた所定の開閉周波数下限値を設定し、開閉周波数下限値より高い開閉周波数で制御弁を動作させることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る蒸発燃料処理装置は、蒸発燃料の処理時のエンジンのサイクルごとの空燃比のばらつきを抑制することができる。
【実施例0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る蒸発燃料処理装置について詳細に説明する。
図1において、本発明の一実施例に係る蒸発燃料処理装置を搭載した車両1は、エンジン2と、制御部としてのECU(Electronic Control Unit)20とを含んで構成されている。
【0013】
エンジン2は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程の4つの行程からなる1サイクルをピストンが気筒内を2往復する間に行なう4サイクルのエンジンによって構成されている。各気筒に収納されたピストンは、コネクティングロッドを介してクランクシャフトに連結されている。コネクティングロッドは、ピストンの往復動をクランクシャフトの回転運動に変換するようになっている。
【0014】
エンジン2は、吸気弁2Bを介して気筒内の燃焼室2Aに導入した燃料と空気との混合気を燃焼させて排気弁2Cから排出させる。エンジン2は、ピストンを往復動させ、コネクティングロッドを介してクランクシャフトを回転させることにより、車両1を駆動させる駆動力を発生する。
【0015】
エンジン2の吸気ポートには、空気を燃焼室2Aに導入するための吸気マニホールド6が設けられている。吸気マニホールド6は、サージタンク5を介して、外気を吸入する吸気通路としての吸気管3に接続されている。すなわち、吸気マニホールド6は、吸気管3と各気筒の吸気ポートとを連通している。吸気管3と吸気マニホールド6とは、サージタンク5を介して接続されている。吸気管3には、吸入空気量を調整するスロットルバルブ4が設けられている。
【0016】
エンジン2の排気ポートには、燃焼室2Aのなかで混合気の燃焼によって発生した排気ガスを車外に排出するための排気マニホールド8が設けられている。排気マニホールド8は、排気管9に接続されている。すなわち、排気マニホールド8は、排気管9と各気筒の排気ポートとを連通している。
【0017】
排気管9には図示しない触媒が設けられており、触媒は、エンジン2の燃焼室2Aから排出された排気ガスを浄化するようになっている。触媒は三元触媒からなる。三元触媒は、排ガスに含まれる炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を同時に浄化する。詳しくは、三元触媒は、炭化水素を水と二酸化炭素に酸化し、一酸化炭素を二酸化炭素に酸化し、窒素酸化物を窒素に還元する。
【0018】
排気管9における触媒の上流部には酸素センサ10が設けられている。酸素センサ10は、排気ガスに含まれる酸素濃度を検出することで空燃比を検出し、検出信号をECU20に送信する。酸素センサ10は、理論空燃比を境に空燃比がリッチ側のときとリーン側のときとで出力が急変する出力特性を有するセンサである。
【0019】
エンジン2にはインジェクタ7が設けられており、インジェクタ7は、燃料タンク11から燃料ポンプにより圧送された燃料を、吸気ポートを介して各気筒の燃焼室2Aに噴射する。
【0020】
車両1は、蒸発燃料を一時的に吸着するキャニスタ13を備えており、キャニスタ13は、蒸発燃料導入配管12を介して燃料タンク11の上部空間と接続されている。燃料タンク11で発生した蒸発燃料は、蒸発燃料導入配管12を通ってキャニスタ13に導入され、キャニスタ13に一時的に吸着される。
【0021】
キャニスタ13は、パージ通路14を介して吸気管3におけるスロットルバルブ4とサージタンク5の間の部位に接続されており、キャニスタ13内に吸着された蒸発燃料は、パージ通路14を介してパージガスとして吸気マニホールド6に導入される。
【0022】
パージ通路14には制御弁15が設けられている。制御弁15は、負圧により作動するバキュームスイッチングバルブからなり、ECU20によって開閉が制御される。ECU20は、制御弁15の開閉を制御することで吸気マニホールド6へのパージガスの導入量を制御する。
【0023】
ECU20は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、フラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0024】
ECU20のROMには、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをECU20として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、ECU20として機能する。
【0025】
ECU20の入力ポートには、上述の酸素センサ10を含む各種のセンサ類が接続されている。ECU20の出力ポートには、上述のスロットルバルブ4、制御弁15、インジェクタ7を含む各種の制御対象が接続されている。
【0026】
ECU20は、開閉周波数およびデューティ比を変化させるように制御弁15を制御する。
【0027】
ここで、制御弁15の開閉タイミングによっては、エンジン2のあるサイクルでは制御弁15が開弁状態(または閉弁状態)で、別のサイクルではその逆の状態となることにより、蒸発燃料の処理時にエンジン2のサイクルごとの空燃比のばらつきが生じるおそれがある。
【0028】
そこで、本実施例において、ECU20は、エンジン2のエンジン回転速度およびデューティ比に応じた所定の開閉周波数下限値を設定し、開閉周波数下限値より高い開閉周波数で制御弁を動作させる。
【0029】
詳しくは、ECU20は、
図5に示すマップを参照して開閉周波数下限値を設定する。このマップには、デューティ比およびエンジン回転速度と開閉周波数下限値との相関が定められている。
図5において、縦軸に表す開閉周波数下限値(図中、単に開閉周波数と記す)は、横軸に表すデューティ比ごとに定められている。また、開閉周波数下限値は、エンジン回転速度ごとに定められている。なお、
図5では、エンジン回転速度は、マップの簡略化のため、高、中、低の3段階で示している。デューティ比の50%は、制御弁15の開弁時間と閉弁時間とが等しくなる基準デューティ比である。このようにすることで、エンジン2のサイクルの1周期ごとに制御弁15の開弁状態と閉弁状態が同頻度で含まれるように調整される。
【0030】
ここで、エンジン2のサイクルの1周期の時間をTとし、制御弁15の開弁時間と閉弁時間のうち長い方の時間をtとする。このtは、duty比が50%より大きいときは開弁時間であり、duty比が50%より小さいときは閉弁時間である。T≦tの場合、制御弁15の開閉タイミングによっては、エンジン2のあるサイクルで制御弁15が開弁状態(または閉弁状態)で、別のサイクルではその逆の状態となることにより、蒸発燃料の処理時にエンジン2のサイクルごとの空燃比のばらつきが生じるおそれがある。
【0031】
そこで、ECU20は、
図5に示すように、制御弁15の開弁時間と閉弁時間とが等しくなる基準デューティ比を基準として、基準デューティ比よりデューティ比が大きくなるにつれて開閉周波数下限値を高くなるように設定し、基準デューティ比よりデューティ比が小さくなるにつれて開閉周波数下限値を高くなるように設定することが好ましい。また、ECU20は、エンジン回転速度が大きくなるにつれて開閉周波数下限値を大きくすることが好ましい。なお、デューティ比が基準デューティ比に近い領域では相対的に開閉周波数下限値が低い値に抑えられている。
【0032】
ECU20は、開閉周波数下限値を、エンジン2のサイクルの1周期の時間(T)が制御弁15の開弁時間と閉弁時間のうち長い方の時間(t)と等しくなる周波数に設定する。
【0033】
詳しくは、ECU20は、T=tとなる開閉周波数を開閉周波数下限値として設定する。そして、ECU20は、このようにして設定した開閉周波数下限値以上の開閉周波数で制御弁15を制御する。このようにすることで、確実にエンジン2のサイクルの1周期ごとに制御弁15の開弁状態と閉弁状態が同頻度で含まれるように調整される。
【0034】
例えば、
図3において、実線で表す本実施例のduty比は75%であり、この場合、制御弁15の開弁時間と閉弁時間のうち開弁時間の方が長いため、開弁時間がtとなる。そこで、ECU20は、T=tとなるように設定した開閉周波数下限値よりも実際の開閉周波数が高くなるように制御弁15を制御する。これにより、開弁時間の長さtが、エンジン2のサイクルの1周期の時間Tよりも小さくなる。このため、エンジン2のサイクルの1周期ごとに制御弁15の開弁状態と閉弁状態が同頻度で含まれるように調整される。一方、
図3において、破線で表す比較例では、開閉周波数が低いことから、T≦tとなってしまい、エンジン2のあるサイクルで制御弁15が開弁状態で、別のサイクルでは閉弁状態が含まれることにより、蒸発燃料の処理時にエンジン2のサイクルごとの空燃比のばらつきが生じている。
【0035】
また、
図4おいて、実線で表す本実施例のduty比は25%であり、この場合、制御弁15の開弁時間と閉弁時間のうち閉弁時間の方が長いため、閉弁時間がtとなる。そこで、ECU20は、T=tとなるように設定した開閉周波数下限値よりも実際の開閉周波数が高くなるように制御弁15を制御する。これにより、閉弁時間の長さtが、エンジン2のサイクルの1周期の時間Tよりも小さくなる。このため、エンジン2のサイクルの1周期ごとに制御弁15の開弁状態と閉弁状態が同頻度で含まれるように調整される。一方、
図4において、破線で表す比較例では、開閉周波数が低いことから、T≦tとなってしまい、エンジン2のあるサイクルで制御弁15が閉弁状態で、別のサイクルでは開弁状態が含まれることにより、蒸発燃料の処理時にエンジン2のサイクルごとの空燃比のばらつきが生じている。
【0036】
以上のように構成された本実施例に係る蒸発燃料処理装置による動作について、
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
図2において、ECU20は、各種運転条件から情報を取得する(ステップS1)。この情報には、現在のエンジン回転速度とduty比とが含まれる。
【0038】
次いで、ECU20は、duty比が0%か否かを判断し(ステップS2)、duty比が0%の場合(ステップS2でYes)、制御弁15を全閉し(ステップS3)、今回の動作を終了する。
【0039】
ECU20は、duty比が0%ではない場合(ステップS2でNo)、duty比が100%か否かを判断し(ステップS4)、duty比が100%の場合(ステップS4でYes)、制御弁15を開放し(ステップS5)、今回の動作を終了する。
【0040】
このように、ECU20は、duty比が0%の場合は制御弁15を全閉し、duty比が100%の場合は制御弁15を開放する。
【0041】
ECU20は、duty比が100%ではない場合(ステップS4でNo)、duty比が50%未満か否かを判断し(ステップS6)、duty比が50%未満の場合(ステップS6でYes)、開閉周波数が次の式(1)で算出される開閉周波数下限値よりも大きくなるように制御弁15を作動させ(ステップS7)、今回の動作を終了する。
【0042】
(100-duty比[%])×エンジン回転速度[rpm]/12000・・・式(1)
【0043】
ECU20は、duty比が50%未満ではない場合(ステップS6でNo)、開閉周波数が次の式(2)で算出される開閉周波数下限値よりも大きくなるように制御弁15を作動させ(ステップS7)、今回の動作を終了する。
【0044】
duty比[%]×エンジン回転速度[rpm]/12000・・・式(2)
【0045】
以上のように、本実施例によれば、ECU20は、エンジン2のエンジン回転速度およびデューティ比に応じた所定の開閉周波数下限値を設定し、開閉周波数下限値より高い開閉周波数で制御弁を動作させる。
【0046】
これにより、エンジン2のサイクルの1周期ごとに制御弁15の開弁状態と閉弁状態が同頻度で含まれるように調整される。この結果、蒸発燃料の処理時のエンジン2のサイクルごとの空燃比のばらつきを抑制することができる。
【0047】
また、ECU20は、開閉周波数下限値を、エンジン2のサイクルの1周期の時間(T)が制御弁15の開弁時間と閉弁時間のうち長い方の時間(t)と等しくなる周波数に設定する。
【0048】
これにより、開閉周波数下限値を、T=tとなる周波数に設定し、T>tの関係が成立するように制御弁15を開閉周波数下限値より大きな周波数で動作させることで、より確実にエンジン2のサイクルの1周期ごとに制御弁15の開弁状態と閉弁状態が同頻度で含まれるように調整される。この結果、より確実に、蒸発燃料の処理時のエンジン2のサイクルごとの空燃比のばらつきを抑制することができる。
【0049】
また、ECU20は、制御弁15の開弁時間と閉弁時間とが等しくなる基準デューティ比を基準として、基準デューティ比よりデューティ比が大きくなるにつれて開閉周波数下限値を高くなるように設定し、基準デューティ比よりデューティ比が小さくなるにつれて開閉周波数下限値を高くなるように設定する。
【0050】
これにより、制御弁15の開弁時間と閉弁時間とが同じとなる基準デューティ比よりデューティ比が大きい場合は、開弁状態の頻度が多くなるため、開閉周波数下限値を高く設定することでエンジン2のサイクルの1周期ごとに制御弁15の開弁状態が同頻度で含まれるように調整される。このため、蒸発燃料の処理時のエンジン2のサイクルごとの空燃比のばらつきを抑制することができる。
【0051】
一方で、制御弁15の開弁時間と閉弁時間とが同じとなる基準デューティ比よりデューティ比が小さい場合は、閉弁状態の頻度が多くなるため、開閉周波数下限値を高く設定することでエンジン2のサイクルの1周期ごとに制御弁15の閉弁状態が同頻度で含まれるように調整される。このため、蒸発燃料の処理時のエンジン2のサイクルごとの空燃比のばらつきを抑制することができる。
【0052】
また、ECU20は、エンジン回転速度が大きくなるにつれて開閉周波数下限値を大きくする。
【0053】
これにより、エンジン回転速度の増加に応じた適切な開閉周波数で制御弁15を動作させることができ、かつ、デューティ比が基準デューティ比に近い領域では相対的に開閉周波数を低く抑えることができる。このため、デューティ比が基準デューティ比に近い領域において、制御弁15の耐久性の低下や制御弁15から発生する高周波や振動を抑制できる。
【0054】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。