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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110690
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/14 20060101AFI20240808BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20240808BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G03G15/14 101F
G03G15/16
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015425
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山木 秀郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋太郎
(72)【発明者】
【氏名】速水 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】高谷 俊一
(72)【発明者】
【氏名】阿曽 熙
【テーマコード(参考)】
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H200FA04
2H200GA42
2H200GB22
2H200JB10
2H200JB49
2H200JB50
2H200JC04
2H200JC19
2H200JC20
2H200KA03
2H200KA07
2H200KA29
2H200KA30
2H200PA04
2H200PA10
2H200PB16
2H270KA64
2H270KA69
2H270LA44
2H270LB14
2H270LB15
2H270MA26
2H270MB05
2H270MC40
2H270MC42
2H270MD02
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】転写部における転写不良を抑制することである。
【解決手段】トナー像を担持する像担持体(中間転写ベルト37)と、搬送される記録媒体に、転写電界の作用によって像担持体(中間転写ベルト37)からトナー像を転写する転写部(転写部38)と、転写部に対して記録媒体の搬送方向の下流部に配置され、記録媒体(記録媒体9)に分離電流を供給して像担持体(中間転写ベルト37)から記録媒体(を分離する分離部(分離部39)と、画像形成に関する制御を行なう制御部(制御部31)とを備え、制御部(制御部31)は、記録媒体(上における箔の位置および箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、転写部(転写部38)の転写電界の低下を抑制する制御を行なう。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
搬送される記録媒体に、転写電界の作用によって前記像担持体から前記トナー像を転写する転写部と、
前記転写部に対して前記記録媒体の搬送方向の下流部に配置され、前記記録媒体に分離電流を供給して前記像担持体から記録媒体を分離する分離部と、
画像形成に関する制御を行なう制御部とを備え、
前記制御部は、前記記録媒体上における箔の位置および前記箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、前記転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なう、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記記録媒体における前記箔の位置および前記箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、前記記録媒体における搬送方向の前記箔の長さを調整することにより、前記転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なう、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記記録媒体における前記箔の位置および前記箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、搬送中の前記記録媒体における前記箔の位置に対応して、前記分離電流の電流値を調整することにより、前記転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なう、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記記録媒体における前記箔の位置および前記箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、搬送中の前記記録媒体における前記箔の位置に対応して、前記転写部に供給される転写電流の電流値を調整することにより、前記転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なう、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記記録媒体における前記箔の位置および前記箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、搬送中の前記記録媒体における前記箔の位置に対応して、前記分離部を移動させることにより、前記転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なう、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記記録媒体における前記箔の位置および前記箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、搬送中の前記記録媒体における前記箔の位置に対応して、前記記録媒体に対して前記分離部を遮蔽することにより、前記転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なう、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写部よりも前記記録媒体の搬送方向の上流側に設けられ、前記記録媒体に前記箔を形成する箔形成部をさらに備え、
前記制御部は、前記箔形成部において、前記記録媒体に前記箔を複数形成する場合に、当該複数の箔の間を電気的に接続する接続箔を前記記録媒体に形成させることによって、電気的に接続された前記複数の箔における前記搬送方向の合計の長さを調整する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記箔形成部において、通電可能な前記複数の箔の合計の長さが、前記分離部と前記転写部との間の距離よりも長くなるように、前記通電可能な箔の合計の長さを調整させる、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記箔形成部において前記記録媒体に前記接続箔が形成された場合に、前記転写部において、前記接続箔の上に、前記トナー像を転写する制御をさらに行なう、請求項7または請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記記録媒体の搬送方向における前記箔の長さが、前記分離部と前記転写部との間の距離以上となる場合に、前記箔が前記分離部と前記転写部との間に跨る期間において、前記分離電流の電流値を基準電流値よりも低下させる、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記記録媒体の搬送方向における前記箔の長さが、前記分離部と前記転写部との間の距離以上となる場合に、前記箔が前記分離部と前記転写部との間に跨る期間において、前記転写電流の電流値を基準電流値よりも上昇させる、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記記録媒体の搬送方向における前記箔の長さが、前記分離部と前記転写部との間の距離以上となる場合に、前記箔が前記分離部の基準位置と、前記転写部との間に跨る期間において、前記分離部を、前記基準位置から、前記分離電流を抑制する退避位置に移動させる、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記転写部に対して前記記録媒体の搬送方向の下流部に配置され、搬送される前記記録媒体に対して、前記分離部を遮蔽することが可能な遮蔽部材をさらに備え、
前記制御部は、前記記録媒体の搬送方向における前記箔の長さが、前記分離部と前記転写部との間の距離以上となる場合に、前記箔が前記分離部の基準位置と、前記転写部との間に跨る期間において、前記遮蔽部材を動作させることにより前記記録媒体に対して前記遮蔽部材によって前記分離部を遮蔽する、請求項6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では、導電性の箔を記録媒体上に転写することが可能なものがある。箔を記録媒体上に転写可能な画像形成装置においては、箔が転写された記録媒体上に、さらにトナー像を転写することが可能なものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-37734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の画像形成装置においては、箔が転写された記録媒体にトナー像を転写するときに、記録媒体の搬送方向において転写部と分離部との間に跨るように箔が存在する状態となった場合に次のような問題が生じるおそれがあった。
【0005】
従来の画像形成装置では、転写部での転写に用いられる電荷が箔を通じて分離部に漏れるおそれがあるので、転写部において転写不良が生じるおそれがある。また、従来の画像形成装置では、分離部の分離電流が箔を通じて転写部に流れ込むことにより、このような分離電流と、転写部に供給される転写電流とが干渉し、転写部において転写不良が生じるおそれがある。
【0006】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、その目的は、転写部における転写不良を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施の形態に従う画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、搬送される記録媒体に、転写電界の作用によって像担持体からトナー像を転写する転写部と、転写部に対して記録媒体の搬送方向の下流部に配置され、記録媒体に分離電流を供給して像担持体から記録媒体を分離する分離部と、画像形成に関する制御を行なう制御部とを備える。制御部は、記録媒体上における箔の位置および箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なう。
【0008】
ある局面において、制御部は、記録媒体における箔の位置および箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、記録媒体における搬送方向の箔の長さを調整することにより、転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なう。
【0009】
ある局面において、制御部は、記録媒体における箔の位置および箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、搬送中の記録媒体における箔の位置に対応して、分離電流の電流値を調整することにより、転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なう。
【0010】
ある局面において、制御部は、記録媒体における箔の位置および箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、搬送中の記録媒体における箔の位置に対応して、転写部に供給される転写電流の電流値を調整することにより、転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なう。
【0011】
ある局面において、制御部は、記録媒体における箔の位置および箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、搬送中の記録媒体における箔の位置に対応して、分離部を移動させることにより、転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なう。
【0012】
ある局面において、制御部は、記録媒体における箔の位置および箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、搬送中の記録媒体における箔の位置に対応して、記録媒体に対して分離部を遮蔽することにより、転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なう。
【0013】
ある局面において、画像形成装置は、転写部よりも記録媒体の搬送方向の上流側に設けられ、記録媒体に箔を形成する箔形成部をさらに備え、制御部は、箔形成部において、記録媒体に箔を複数形成する場合に、当該複数の箔の間を電気的に接続する接続箔を記録媒体に形成させることによって、電気的に接続された複数の箔における搬送方向の合計の長さを調整する。
【0014】
ある局面において、制御部は、箔形成部において、通電可能な複数の箔の合計の長さが、分離部と転写部との間の距離よりも長くなるように、通電可能な箔の合計の長さを調整させる。
【0015】
ある局面において、制御部は、箔形成部において記録媒体に接続箔が形成された場合に、転写部において、接続箔の上に、トナー像を転写する制御をさらに行なう。
【0016】
ある局面において、制御部は、記録媒体の搬送方向における箔の長さが、分離部と転写部との間の距離以上となる場合に、箔が分離部と転写部との間に跨る期間において、分離電流の電流値を基準電流値よりも低下させる。
【0017】
ある局面において、制御部は、記録媒体の搬送方向における箔の長さが、分離部と転写部との間の距離以上となる場合に、箔が分離部と転写部との間に跨る期間において、転写電流の電流値を基準電流値よりも上昇させる。
【0018】
ある局面において、制御部は、記録媒体の搬送方向における箔の長さが、分離部と転写部との間の距離以上となる場合に、箔が分離部の基準位置と、転写部との間に跨る期間において、分離部を、基準位置から、分離電流を抑制する退避位置に移動させる。
【0019】
ある局面において、画像形成装置は、転写部に対して記録媒体の搬送方向の下流部に配置され、搬送される記録媒体に対して、分離部を遮蔽することが可能な遮蔽部材をさらに備える。制御部は、記録媒体の搬送方向における箔の長さが、分離部と転写部との間の距離以上となる場合に、箔が分離部の基準位置と、転写部との間に跨る期間において、遮蔽部材を動作させることにより記録媒体に対して遮蔽部材によって分離部を遮蔽する。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、制御部が、記録媒体上における箔の位置および箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、転写部の転写電界の低下を抑制する制御を行なうことにより、転写部における転写不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に従う画像形成装置1の一例を示す図である。
図2】第2画像形成部30における転写部38と分離部39との関係を示す拡大図である。
図3】制御部31と制御対象装置との関係を示すブロック図である。
図4】制御部31により実行される箔長さ調整制御を説明する図である。
図5】制御部31により実行される箔長さ調整制御を説明する図である。
図6】制御部31により実行される箔長さ調整制御の処理を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態において制御部31により実行される分離電流調整制御を説明する図である。
図8】第2実施形態において制御部31により実行される分離電流調整制御の処理を示すフローチャートである。
図9】第3実施形態において制御部31により実行される転写電流調整制御を説明する図である。
図10】第3実施形態において制御部31により実行される転写電流調整制御の処理を示すフローチャートである。
図11】第4実施形態において制御部31により実行される分離部移動制御を説明する図である。
図12】第4実施形態において制御部31により実行される分離部移動制御の処理を示すフローチャートである。
図13】第5実施形態において制御部31により実行される分離部移動制御を説明する図である。
図14】第6実施形態において制御部31により実行される分離部遮蔽制御を説明する図である。
図15】第6実施形態において制御部31により実行される分離部遮蔽制御の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下では、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1実施形態>
[画像形成装置1の全体構成]
図1は、第1実施形態に従う画像形成装置1の一例を示す図である。図1においては、主に画像形成装置1を側面視した状態における画像形成装置1の内部の構成が示されている。
【0023】
画像形成装置1は、第1画像形成部10、箔形成部20、第2画像形成部30、制御部31、操作部70、および、表示部80を含む。画像形成装置1は、第1画像形成部10、箔形成部20、および、第2画像形成部30が一体的に設けられてもよく、別体的に設けられてもよい。
【0024】
第1画像形成部10は、紙等の記録媒体にトナー像を形成する機能を有する。箔形成部20は、第1画像形成部10で記録媒体上に形成されたトナー像上に箔を形成する機能を有する。第2画像形成部30は、箔形成部20で形成された箔を含む記録媒体上にトナー像として追加画像を形成する機能を有する。
【0025】
第1画像形成部10で形成されるトナー像は、箔形成部20で形成される箔の下地となる画像である。このような箔の下地となるトナー像は、下地トナー像と呼ばれる。下地トナー像は、例えば黒色のような予め定められた色で形成される。第2画像形成部30で形成されるトナー像は、記録媒体上において、箔が形成された領域と、箔が形成されていない領域とのいずれにも追加形成可能な画像である。
【0026】
操作部70は、画像形成装置1において実行される画像形成に関する各種のデータを入力可能な入力装置である。表示部80は、操作部70により入力されるデータおよび画像形成装置1の動作状態を示すデータ等の各種の情報を表示可能な表示装置である。
【0027】
表示部80は、例えば液晶表示装置により構成される。操作部70は、例えば、表示部80と一体に設けたタッチパネルである。なお、操作部70は、表示部80とは別に設けた操作ボタンを有する入力装置であってもよい。また、操作部70は、制御部31との間でデータの通信が可能なパーソナルコンピューター等の装置であってもよい。
【0028】
制御部31は、コンピュータにより構成される。制御部31は、操作部70から入力されたデータ、および、図3に示すような各種センサの検出データ等のデータが入力され、そのような入力データに応じて、第1画像形成部10、箔形成部20、および、第2画像形成部30の動作を制御するとともに、表示部80に各種の情報を表示する制御を行なう。
【0029】
第1画像形成部10は、媒体トレイ11、トナー画像形成ユニット12y,12m,12c,12k、中間転写ベルト15、感光体ドラム16、および、定着部170を含む。
【0030】
媒体トレイ11は、紙等の記録媒体9を収納する。第1画像形成部10においては、搬送路に設けられた搬送ローラ13が駆動されることにより、媒体トレイ11に収納された記録媒体9が、搬送路を経て、中間転写ベルト15および感光体ドラム16に搬送される。
【0031】
トナー画像形成ユニット12y,12m,12c,12kは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の有色トナーに対応して設けられる。各トナー像形成ユニット12y,12m,12c,12kは、感光体12を含み、感光体12の表面において、露光部による露光走査によって形成された静電潜像に各トナーを付着させてトナー像を形成する。
【0032】
各感光体12の表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト15に転写される。中間転写ベルト15上には、各感光体12からトナー像が順次転写されて、4色のトナー像が重ね合わされる。中間転写ベルト15は、トナー像を担持する像担持体である。重ね合わされたトナー像は、感光体ドラム16において、中間転写ベルト15から記録媒体9上に転写される。記録媒体9上に転写されたトナー像は、一対の定着ローラ17を含む定着装置170において加熱および加圧されることにより、記録媒体上に定着される。
【0033】
第1画像形成部10では、記録媒体9において箔を形成する領域に、箔の下地となる下地画像がトナー像により形成される。下地画像となるトナー像が第1画像形成部10において形成された記録媒体9は、搬送装置(図示省略)により第1画像形成部10を出て箔形成部20の内部に搬送される。
【0034】
箔形成部20は、箔ロール21、箔供給ローラ22,箔転写ローラ23、および、箔巻取りローラ24を含む。箔ロール21は、箔膜シートが巻かれている。箔供給ローラ22は、箔ロール21から箔膜シートを取出して、箔転写ローラ23に箔膜シートを供給する。箔転写ローラ23は、一対のローラであり、箔供給部21から供給される箔膜シートを加熱し、第1画像形成部10から搬送されてきた記録媒体9におけるトナー像上に箔を転写する。箔が転写された箔膜シートは、箔転写ローラ23から箔巻取りローラ24によって巻取られる。
【0035】
箔形成部20において箔が転写された記録媒体9は、搬送装置(図示省略)により箔形成部20を出て第2画像形成部30の内部に搬送される。
【0036】
箔形成部20においては、箔供給ローラ22よりも記録媒体の搬送方向の上流側に、トナー像パターンセンサ51が設けられる。トナー像パターンセンサ51は、第1画像形成部10から搬送されてきた記録媒体9に形成されたトナー像の位置およびパターンを検出する光学センサである。トナー像パターンセンサ51としては、例えば記録媒体9で反射する光を検出し、記録媒体9に形成されたトナー像の濃度を算出することに応じてトナー像の位置およびパターンを検出する濃度反射センサが用いられる。
【0037】
第2画像形成部30は、搬送ローラ300、トナー画像形成ユニット32y,32m,32c,32k、中間転写ベルト37、支持ローラ33,34,35,36、転写部38、分離部39、および、定着部40を含む。転写部38は、転写ローラ380を含む。分離部39は、分離電極390を含む。定着部40は、一対の定着ローラ400を含む。
【0038】
第2画像形成部30は、搬送ローラ300、トナー画像形成ユニット32y,32m,32c,32k、中間転写ベルト37、支持ローラ33,34,35,36、転写部38、分離部39、および、定着部40を含む。
【0039】
第2画像形成部30においては、搬送路に設けられた搬送ローラ300が駆動されることにより、箔形成部20から搬送されてきた記録媒体9が転写部38に供給される。
【0040】
トナー画像形成ユニット32y,32m,32c,32kは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の有色トナーに対応して設けられる。各トナー像形成ユニット32y,32m,32c,32kは、感光体32を含み、感光体32の表面において、露光部による露光走査によって形成された静電潜像に各トナーを付着させてトナー像を形成する。
【0041】
各感光体32の表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト37に転写される。中間転写ベルト37は、支持ローラ33,34,35,36によって支持される。中間転写ベルト37は、支持ローラ33,34,35,36が回転することにより回転する。中間転写ベルト37上には、各感光体32からトナー像が順次転写されて、4色のトナー像が重ね合わされる。重ね合わされたトナー像は、転写ローラ380を含む転写部38において、中間転写ベルト37から記録媒体上に転写される。中間転写ベルト37は、トナー像を担持する像担持体である。
【0042】
転写部38における記録媒体の搬送経路の下流側には、分離部39が設けられる。分離部39は、分離電極390を含み、分離電極390から記録媒体9に分離電流を供給することにより、中間転写ベルト37から記録媒体9を分離する。分離部39により分離された記録媒体9が、定着部40に搬送される。
【0043】
第2画像形成部30においては、支持ローラ33よりも記録媒体9の搬送方向の上流側の位置に、箔パターンセンサ52が設けられる。箔パターンセンサ52は、箔形成部20から搬送されてきた記録媒体9に形成された箔の位置およびパターンを検出する光学センサである。箔パターンセンサ52としては、例えば記録媒体9で反射する光を検出し、記録媒体9に形成された像の濃度を算出することに応じて箔の位置およびパターンを検出する濃度反射センサが用いられる。
【0044】
記録媒体9上に転写されたトナー像は、一対の定着ローラ400を含む定着部40において、加熱および加圧等の定着処理がされることにより、記録媒体9上に定着される。定着部40により定着処理がされた記録媒体9は、第2画像形成部30から外部に排出される。
【0045】
[第2画像形成部30における転写部38と分離部39との関係]
図2は、第2画像形成部30における転写部38と分離部39との関係を示す拡大図である。
【0046】
分離電極390を含む分離部39は、転写ローラ380を含む転写部38よりも記録媒体9の搬送方向における下流側に設けられる。記録媒体9の搬送方向は、図中に破線の矢印で示された方向である。転写ローラ380と分離電極390との間の距離は、箔が形成可能な1枚の記録媒体9の長さよりも短い距離である。これにより、記録媒体9は、分離電極390と転写ローラ380との間に跨る態様で搬送される。
【0047】
[制御部31と制御対象装置との関係]
図3は、制御部31と制御対象装置との関係を示すブロック図である。制御部31は、コンピュータにより構成される。コンピュータは、CPU31A(Central Processing Unit)、メモリ31B(ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory、および、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ等を含む各種記憶装置)、および、各種信号を入出力するための入出力バッファ(図示せず)等を含む。
【0048】
制御部31には、トナー像パターンセンサ51、箔パターンセンサ52、第1画像形成部駆動装置54、箔形成部駆動装置55、第2画像形成部駆動装置56、転写部給電装置57、分離部給電装置58、および、その他の駆動装置59等が接続される。
【0049】
第1画像形成部駆動装置54は、第1画像形成部10における各種動作部を駆動するためのモータ等の駆動装置の総称である。箔形成部駆動装置55は、箔形成部20における各種動作部を駆動するためのモータ等の駆動装置の総称である。第2画像形成部駆動装置56は、第2画像形成部30における各種動作部を駆動するためのモータ等の駆動装置の総称である。
【0050】
転写部給電装置57は、転写部38に転写電流を供給する装置である。分離部給電装置58は、分離部39に分離電流を供給する装置である。その他の駆動装置59は、画像形成装置1におけるトナー像パターンセンサ51、箔パターンセンサ52、第1画像形成部駆動装置54、箔形成部駆動装置55、第2画像形成部駆動装置56、転写部給電装置57、および、分離部給電装置58以外の各種駆動装置である。
【0051】
なお、転写部給電装置57および分離部給電装置58は、後述する第2実施形態および第3実施形態の説明を明確化するために単体の装置として図示したものであり、第2画像形成部駆動装置56に含まれてもよい。
【0052】
CPU31Aは、メモリ31Bにおいて、ROMに格納されているソフトウェアプログラムをRAM等に展開して実行する。メモリ31Bにおいて、ROMには、画像形成装置1の各種制御に関する制御手順が示されたプログラム等の各種プログラムが記憶されている。制御部31は、このようなプログラムに従って動作し、画像形成装置1の各種制御を実行する。
【0053】
このようなプログラムの実行に従って、制御部31は、トナー像パターンセンサ51および箔パターンセンサ52等の各種センサの検出データを受信し、第1画像形成部駆動装置54、箔形成部駆動装置55、第2画像形成部駆動装置56、転写部給電装置57、分離部給電装置58、および、その他の駆動装置59を駆動することにより、画像形成装置1の各種制御を実行する。
【0054】
[箔長さ調整制御]
次に、転写部38の転写電界の低下を抑制するために制御部31により実行される箔長さ調整制御を説明する。図4および図5は、制御部31により実行される箔長さ調整制御を説明する図である。図4および図5には、第2画像形成部30において、記録媒体9が転写部38および分離部39を通過する場合の一例を上方から見た状態が示されている。
【0055】
図4および図5を参照して、記録媒体9が転写部38および分離部39を通過する場合には、分離電極390と転写ローラ380とを跨るような態様で、記録媒体9が搬送される。記録媒体9には、図4および図5に示すように、複数の箔91a,91b,91c,91d,91eが形成される。
【0056】
分離電極390と転写ローラ380の中心部との間の距離は、長さL4である。実際の転写状態においては、記録媒体9が転写ローラ380の中心部よりも記録媒体9の搬送方向の下流側において、ある程度の長さにわたり転写ローラ380に接触する。これにより、実際の転写状態においては、記録媒体9が分離電極390に接触する位置と、記録媒体9が転写部38の転写ローラ380に接触する位置との間の最短距離が、一例として、長さL4よりも短い長さL1となる。
【0057】
図4および図5において、箔91a,91b,91eは、記録媒体9の搬送方向における長さが例えば長さL2のように、長さL1よりも短い箔である。図4および図5において、箔91cは、記録媒体9の搬送方向における長さが例えば長さL1と同様の箔である。図4および図5において、箔91dは、記録媒体9の搬送方向における長さが例えば長さL3のように、長さL1よりも長い箔である。
【0058】
箔91cのように、記録媒体9の搬送方向における長さが例えば長さL1と同様の箔では、次に説明するように、転写部38において転写不良が生じるおそれがある。搬送される記録媒体9において、箔91cの先端部が分離電極390の位置上に存在し、箔91cの後端部が記録媒体9の搬送方向において転写ローラ380に記録媒体9が接触する最も下流側の位置上に存在する状態が生じる。このような状態は、箔91cが分離電極390の位置上と転写ローラ380の位置上との間に跨った状態である。
【0059】
このような状態では、箔91cの先端部が分離電極390の位置上に存在していることにより、記録媒体9においてトナー像を保持する電荷が、記録媒体9から分離電極390側に流れるように移動する。このような電荷の移動は、記録媒体9において箔91a~91eのような箔が形成されている領域が、このような箔91a~91eが形成されていない領域と比べて、導電性が高いことに起因すると考えられる。
【0060】
そして、箔91cの後端部は、間もなく、転写中の記録媒体9が転写ローラ380に接触する最も下流側の位置から離れて、その位置よりも記録媒体9の搬送方向の下流側に移動する。このように、トナー像を保持する電荷が記録媒体9から分離電極390側に流れた場合、転写部38においては、箔91c上へのトナー像の転写に用いる電界の強度が低下する。
【0061】
トナー像を保持する電荷が記録媒体9から分離電極390側に流れた場合でも、記録媒体9の搬送方向における箔の長さが、例えば箔91dのようにL1よりも長い場合は、電荷が流れた後、ある程度の期間にわたり、トナー像を保持する電荷が、箔91dが形成された領域を通じて転写ローラ380から記録媒体9に補給される。これにより、例えば箔91dのように記録媒体9の搬送方向における箔の長さL3がL1よりも長い場合は、転写部38での転写に用いる電界の強度の低下が抑制される。
【0062】
しかし、箔91cのように、記録媒体9の搬送方向における長さが例えば長さL1と同様の箔については、トナー像を保持する電荷が記録媒体9から分離電極390側に流れた後に、箔91aの後端部が、間もなく、転写中の記録媒体9が転写ローラ380に接触する最も下流側の位置から離れるので、トナー像を保持する電荷が転写ローラ380から記録媒体9に補給されない。これにより、箔91cのように、記録媒体9の搬送方向における長さが例えば長さL1と同様の箔については、転写部38での転写に用いる電界の強度の低下が抑制できず、転写部38において転写不良が生じるおそれがある。
【0063】
また、箔91a,91b,91eのように、記録媒体9の搬送方向における長さ(例えば箔91eのような長さL2)がL1よりも短い箔については、箔91a,91b,91eの先端部が分離電極390の位置上に存在し、かつ箔91a,91b,91eの後端部が記録媒体9の搬送方向において転写ローラ380に記録媒体9が接触する最も下流側の位置上に存在する状態が生じ得ない。したがって、このような箔91a,91b,91eについては、転写部38において転写不良が生じるおそれがないと考えられる。
【0064】
以上に説明したように、箔91cのような、記録媒体9の搬送方向における長さが例えば長さL1と同様の箔については、転写部38での転写に用いる電界の強度の低下が抑制できず、転写部38において転写不良が生じるおそれがある。このような転写不良を抑制するために、制御部31では、記録媒体9における箔の位置および箔のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、記録媒体9における搬送方向の箔の長さを調整することにより、転写部の転写電界の低下を抑制する制御である箔長さ調整制御を行なう。
【0065】
制御部31は、記録媒体9において、例えば図4(A)および図5(A)に示す箔91cのように、記録媒体9の搬送方向における長さが例えば長さL1と同様の箔が形成される場合に、箔長さ調整制御を実行する。箔長さ調整制御においては、図4(B)および図5(B)に示すように、複数の箔の間を電気的に接続する接続箔92,93,96を記録媒体9に形成させることによって、電気的に接続された複数の箔における記録媒体9の搬送方向の合計の長さが調整される。
【0066】
具体的に、箔長さ調整制御においては、図4に示すように、複数の箔91a,91b,91cを電気的に接続すると、複数の箔91a,91b,91cにおける記録媒体9の搬送方向の合計の長さL5がL1よりも長くなる場合に、箔91cと箔91aとを電気的に接続する接続箔92を形成するとともに、箔91cと箔91bとを電気的に接続する接続箔93を形成する。このように接続箔92,93を形成すれば、電気的に接続された複数の箔91a,91b,91cにおける記録媒体9の搬送方向の合計の長さL5が長さL1よりも長くなる。
【0067】
このように接続箔92,93を形成すれば、複数の箔91a,91b,91cが電気的に接続されるので、箔91cは、単体の長さがL1と同様の長さであっても、接続された箔91a,91b,91c全体における記録媒体9の搬送方向の最大の長さL5が長さL1よりも長くなる。
【0068】
このように、箔91a,91b,91cにおける記録媒体9の搬送方向の合計の長さL5が長さL1よりも長くなることにより、箔91cは、箔91dと同様に、トナー像を保持する電荷がトナー像を保持する電荷が分離電極390側に流れた後でも、トナー像を保持する電荷が、箔91a,91b,91cが形成された領域を通じて転写ローラ380から記録媒体9に補給される。これにより、接続箔92,93により複数の箔91a,91b,91cを接続した場合には、例えば箔91dのように記録媒体9の搬送方向における箔の長さL3がL1よりも長い場合と同様に、転写部38での転写に用いる電界の強度の低下を抑制することができる。
【0069】
また、例えば箔91dのように記録媒体9の搬送方向における箔の長さL3がL1よりも長い箔が存在する場合には、図5に示すように、箔91cと箔91dとを電気的に接続する接続箔96を形成してもよい。このように接続箔96を形成すれば、電気的に接続された複数の箔91a,91dにおける記録媒体9の搬送方向の最大の長さL3が長さL1よりも長くなる。このように複数の箔を接続した場合にも、図4に示すように接続箔92,93により複数の箔91a,91b,91cを接続した場合と同様の理由により、転写部38での転写に用いる電界の強度の低下を抑制することができる。
【0070】
図4および図5に示す接続箔92,93,96のような接続箔上には、図4(C)および図5(C)に破線で示すように、転写部38によって、記録媒体9の色と同色のトナー像94,95,97が形成される。このように、接続箔上に記録媒体9の色と同色のトナー像を形成することにより、接続箔92,93,96が視認不可能となるようにすることができる。このように、接続箔上に記録媒体9の色と同色のトナー像を形成すれば、記録媒体9に形成される画像の美観を向上させることができる。
【0071】
なお、図4および図5に示す接続箔92,93,96のような接続箔を記録媒体9に形成した場合においては、記録媒体9の色と同色のトナー像94,95,97を形成しないようにしてもよい。
【0072】
[制御部31により実行される箔長さ調整制御の処理]
次に、箔長さ調整制御の処理の一例を説明する。図6は、制御部31により実行される箔長さ調整制御の処理を示すフローチャートである。図6において、制御部31のCPU31Aは、以下のような処理を実行する。
【0073】
CPU31Aは、ステップS1により、記録媒体9に箔形成部20で箔を形成する前に、トナー像パターンセンサ51により検出された記録媒体9における下地トナー像の位置およびパターンの検出データを取得する。ステップS2により、ステップS1で取得した検出データに基づき、図4および図5に示した長さL1のような転写不良となる長さの下地トナー像があるか否かを判定する。
【0074】
CPU31Aは、ステップS2で転写不良となる長さL1の下地トナー像がない場合に、処理を終了する。一方、CPU31Aは、ステップS2で転写不良となる長さL1の下地トナー像がある場合に、ステップS3により、ステップS1で取得した検出データに基づき、接続すると下地トナー像の全長が長さL1を超えることとなる条件を満たすような他の下地トナー像を探す。
【0075】
CPU31Aは、ステップS4により、ステップS3での条件を満たすような他の下地トナー像があるか否かを判定する。CPU31Aは、ステップS4でステップS3での条件を満たすような他の下地トナー像がない場合に、処理を終了する。一方、CPU31Aは、ステップS4でステップS3での条件を満たすような他の下地トナー像がある場合に、ステップS5により、例えば図4および図5に示した接続箔92,93,96のような接続箔の形状を決定する。
【0076】
CPU31Aは、箔形成部20において、ステップS6により、ステップS5で接続箔の形状が決定された記録媒体9の下地トナー像上に箔を形成する際に、下地トナー像上に形成する接続箔に加えて、ステップS5で決定された形状の接続箔を記録媒体9に形成する。
【0077】
CPU31Aは、ステップS7により、第2画像形成部30で記録媒体9にトナー像を形成する前に、箔パターンセンサ52により検出された記録媒体9における下地トナー像の位置およびパターンの検出データを取得する。CPU31Aは、ステップS8により、ステップS7で取得した検出データに基づき、第2画像形成部30に搬入された記録媒体9において、例えば図4および図5に示した接続箔92,93,96のような接続箔があるか否かを判定する。
【0078】
CPU31Aは、ステップS8で接続箔がない場合に、処理を終了する。一方、CPU31Aは、ステップS8で接続箔がある場合に、第2画像形成部30において、転写部38により、例えば図4および図5に示したような箔91a,91b,91c,91d,91eを含む記録媒体9の領域にトナー像を形成する際に、例えば図4および図5に示した接続箔92,93,96のような接続箔上に、例えば図4および図5に示した記録媒体9の色と同色のトナー像94,95,97を形成し、処理を終了する。
【0079】
以上に説明した第1実施形態によれば、記録媒体9の搬送方向における箔の長さが例えば図4および図5に示される長さL1である場合のように、トナー像を保持する電荷が分離電極390側に流れることにより転写部38の転写電界の低下が生じる得る場合は、接続箔92,93,97のような接続箔を形成することにより、複数の箔を電気的に接続することにより、接続した複数の箔の全長をL1よりも長くすることにより、転写部38の転写電界の低下を抑制することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態としては、転写部38において、転写部38に供給される転写電流と分離部39に供給される分離電流とが干渉することに起因して転写部38での転写に用いる電界の強度が低下することを抑制するために、制御部31が分離電流の電流値を調整する分離電流調整制御を説明する。
【0080】
[第2実施形態における画像形成装置1の構成]
第2実施形態における画像形成装置1の構成は、図1図3に示すような第1実施形態の構成と同様である。
【0081】
[分離電流調整制御]
図7は、第2実施形態において制御部31により実行される分離電流調整制御を説明する図である。図7には、分離部給電装置58から分離部39の分離電極390に供給される分離電流の電流値を分離電極出力Iとして縦軸に示し、時間Tの経過を横軸に示すことにより、分離電極出力の調整パターンを示すタイミングチャートが示される。
【0082】
図4および図5の箔91dのように、記録媒体9の搬送方向における箔の長さが、記録媒体9が分離部39の分離電極390に接触する位置と、記録媒体9が転写部38の転写ローラ380に接触する位置との間の最短距離である長さL1以上の長さである場合には、箔が分離部39と転写部38との間に跨る期間が生じる。
【0083】
このような期間においては、記録媒体9において箔91dが形成されている領域を通じて、分離部39の分離電極390から転写部38まで分離電流が流れ込む場合がある。このような場合には、分離部39から転写部38に流れ込む分離電流と、転写部38に供給される転写電流とが干渉することにより、箔91d上へのトナー像の転写に用いる電界の強度が低下するおそれがある。
【0084】
図7を参照して、制御部31は、分離部給電装置58から供給される分離電極出力Iを基本的に基準値I1に制御することにより、分離部39による分離機能を実現する。制御部31により実行される分離電流調整制御は、箔の長さがL1以上の箔について、箔の先端が分離部39の分離電極390の位置に到達する直前のタイミングT1から、箔の後端が転写部38における箔の後端が転写部38から離れる直後のタイミングT2との間にわたり、分離電極出力Iを基準値I1よりも低い下降値I2に低下させる制御をする。下降値I2は、例えば図7のように0である。
【0085】
分離電流調整制御において、分離電極出力Iを基準値I1よりも低い下降値I2に低下させる制御をする期間は、箔の長さがL1以上の箔が、分離部39と転写部38との間に跨る期間である。このような期間において、制御部31は、分離電極出力Iを基準値I1よりも低い下降値I2に低下させる制御をするので、当該期間中において分離電流の供給が抑制されるため、分離部39から転写部38に流れ込む分離電流を抑制することができる。これにより、第2実施形態の画像形成装置1では、転写部38における転写不良を抑制することができる。
【0086】
[制御部31により実行される分離電流調整制御の処理]
次に、制御部31が分離部給電装置58から供給する分離電流を制御する分離電流調整制御の処理の一例を説明する。図8は、第2実施形態において制御部31により実行される分離電流調整制御の処理を示すフローチャートである。図8において、制御部31のCPU31Aは、以下のような処理を実行する。
【0087】
CPU31Aは、ステップS11により、記録媒体9に第2画像形成30でトナー像を形成する前に、箔パターンセンサ52により検出された記録媒体9における箔の位置およびパターンの検出データを取得する。CPU31Aは、ステップS12により、ステップS11で取得した検出データに基づき、図4および図5に示した長さL1以上の長さの箔があるか否かを判定する。
【0088】
CPU31Aは、ステップS12で長さL1以上の長さの箔がない場合は、処理を終了する。一方、CPU31Aは、ステップS12で長さL1以上の長さの箔がある場合は、ステップS13により、その箔の先端が分離電極390に到達する直前のタイミングT1を演算により求める。具体的に、ステップS13では、ステップS11で検出データを取得した箔パターンセンサ52が箔を検出したタイミング、第2画像形成30における記録媒体9の搬送速度、長さL1以上の長さの箔の形成パターン、および、長さL1以上の長さの箔の先端の位置等の情報に基づき、当該箔の先端が分離電極390に到達する直前のタイミングT1を演算により求める。
【0089】
CPU31Aは、ステップS14により、その箔の後端が転写ローラ380から記録媒体9の搬送の下流側に離れる直後のタイミングT2を演算により求める。具体的に、ステップS14では、ステップS11で検出データを取得した箔パターンセンサ52が箔を検出したタイミング、第2画像形成30における記録媒体9の搬送速度、長さL1以上の長さの箔の形成パターン、および、長さL1以上の長さの箔の後端の位置等の情報に基づき、当該箔の後端が転写ローラ380から記録媒体9の搬送の下流側に離れる直後のタイミングT2を演算により求める。
【0090】
CPU31Aは、ステップS15により、ステップS13で求めたタイミングT1となったか否かを判定する。CPU31Aは、ステップS15でタイミングT1となった場合に、ステップS16により、分離電極出力Iを基準値I1から下降値I2まで低下させる。
【0091】
CPU31Aは、ステップS17により、ステップS14で求めたタイミングT2となったか否かを判定する。CPU31Aは、ステップS17でタイミングT2となった場合に、ステップS18により、分離電極出力Iを下降値I2から基準値I1に復帰させ、処理を終了する。
<第3実施形態>
第3実施形態としては、転写部38に供給される転写電流と分離部39に供給される分離電流とが干渉することに起因して転写部38での転写に用いる電界の強度が低下することを抑制するために、制御部31が転写電流の電流値を調整する転写電流調整制御を説明する。
【0092】
[第3実施形態における画像形成装置1の構成]
第3実施形態における画像形成装置1の構成は、図1図3に示すような第1実施形態の構成と同様である。
【0093】
[転写電流調整制御]
図9は、第3実施形態において制御部31により実行される転写電流調整制御を説明する図である。図9には、転写部給電装置57から転写部38に供給される転写電流の電流値Iを転写出力として縦軸に示し、時間Tの経過を横軸に示すことにより、転写出力の調整パターンを示すタイミングチャートが示される。
【0094】
第2実施形態で説明したように、記録媒体9の搬送方向における箔の長さにより、分離部39から転写部38に流れ込む分離電流と、転写部38に供給される転写電流とが干渉することにより、箔91d上へのトナー像の転写に用いる電界の強度が低下するおそれがある。
【0095】
図9を参照して、制御部31は、転写部給電装置57から供給する転写出力Iを基本的に基準値I3に制御することにより、転写部38による転写機能を実現する。制御部31により実行される転写電流調整制御は、箔の長さがL1以上の箔について、箔の先端が分離部39の分離電極390の位置に到達する直前のタイミングT1から、箔の後端が転写部38における箔の後端が転写部38から離れる直後のタイミングT2との間にわたり、転写出力Iを基準値I3よりも高い上昇値I4に低下させる制御をする。
【0096】
転写電流調整制御において、転写出力Iを基準値I3よりも高い上昇値I4に上昇させる制御をする期間は、箔の長さがL1以上の箔が、分離部39と転写部38との間に跨る期間である。このような期間において、制御部31は、転写出力Iを基準値I3よりも高い上昇値I4に上昇させる制御をするので、当該期間中において転写部38に分離電流が流れ込みにくくなるため、分離部39から転写部38に流れ込む転写電流を抑制することができる。これにより、第3実施形態の画像形成装置1では、転写部38における転写不良を抑制することができる。
【0097】
[制御部31により実行される転写電流調整制御の処理]
次に、制御部31が転写部給電装置57から供給する転写電流を制御する転写電流調整制御の処理の一例を説明する。図10は、第3実施形態において制御部31により実行される転写電流調整制御の処理を示すフローチャートである。図10において、制御部31のCPU31Aは、以下のような処理を実行する。
【0098】
CPU31Aは、ステップS21,S22により、図8のステップS11,S12と同様の処理を実行する。CPU31Aは、ステップS23において、図8のステップS13と同様の処理を実行することにより、タイミングT1を演算により求める。CPU31Aは、ステップS24において、図8のステップS14と同様の処理を実行することにより、タイミングT2を演算により求める。
【0099】
CPU31Aは、ステップS25により、ステップS23で求めたタイミングT1となったか否かを判定する。CPU31Aは、ステップS25でタイミングT1となった場合に、ステップS26により、転写出力Iを基準値I3から上昇値I4まで上昇させる。
【0100】
CPU31Aは、ステップS27により、ステップS24で求めたタイミングT2となったか否かを判定する。CPU31Aは、ステップS27でタイミングT2となった場合に、ステップS28により、転写出力Iを上昇値I4から基準値I3に復帰させ、処理を終了する。
<第4実施形態>
第4実施形態としては、転写部38に供給される転写電流と分離部39に供給される分離電流とが干渉することに起因して転写部38での転写に用いる電界の強度が低下することを抑制するために、制御部31が、搬送中の記録媒体9における箔の位置に対応して分離部39を移動させる分離部移動制御を説明する。
【0101】
[第4実施形態における画像形成装置1の構成]
第4実施形態における画像形成装置1の構成は、基本的に図1図3に示すような第1実施形態の構成と同様であるが、分離部39を移動させることが可能な分離部移動装置63を備えることが第1実施形態の構成と異なる。
【0102】
[分離部移動制御]
図11は、第4実施形態において制御部31により実行される分離部移動制御を説明する図である。図11では、分離部移動制御における分離部39の移動態様が示されている。図11(A)には、分離部39の分離電極390が基準位置で静止している例が示されている。図11(B)には、分離部39の分離電極390が退避位置に移動する例が示されている。
【0103】
図11においては、分離部39と記録媒体9との位置関係が明確化できるように、分離部39、記録媒体9、および、分離部移動装置63が示される。したがって、分離部39と記録媒体9との間の距離は、図示した距離に限られるものではない。このような分離部39と記録媒体9との位置関係については、後述する図13および図14についても同様である。
【0104】
図11を参照して、分離部移動装置63は、支持部材631と駆動機構装置632とを含む。支持部材631は、棒状の部材であり、一方端側に分離電極390が取付けられ、他方端側が駆動機構装置632内に設けられる。駆動機構装置632は、支持部材631の長さ方向に支持部材631の出し入れ動作をするラックアンドピニオン機構部と、当該ラックアンドピニオン機構部を動作させるモータ等の駆動部とを含む。分離部移動装置63は、図3において、破線で示されるように、制御部31により制御される。
【0105】
記録媒体9に形成された箔91が、前述した長さL1以上の長さ以上でない場合は、図11(A)に示すような基準位置で分離電極390が静止するように、制御部31は、分離部移動装置63が動作させる支持部材631の突出長を設定している。分離電極390の基準位置は、搬送される記録媒体9が通過する位置である。
【0106】
一方、記録媒体9に形成された箔91が、前述した長さL1以上である場合は、箔91の先端が図11(B)に示すように基準位置に到達する直前に、破線で示す基準位置から実線で示す退避位置まで分離電極390が移動するように、制御部31が、分離部移動装置63が動作させる支持部材631の突出長を変更する。分離電極390の退避位置は、例えば記録媒体9の搬送方向に対して交差する位置から後退した位置のように、搬送される記録媒体9が到達し得ない位置である。このような分離電極390の退避位置は、分離電極390から箔91に流れる分離電流を抑制することが可能となるように分離電極390と箔91とが離隔した位置である。
【0107】
分離部移動制御においては、記録媒体9に形成された箔91が、前述した長さL1以上である場合に、箔91の先端が分離電極390の基準位置に到達する直前のタイミングから、箔91の後端が転写ローラ380から記録媒体9の搬送の下流側に離れる直後のタイミングまでの期間にわたり、分離電極390を基準位置から退避位置に移動させる制御が制御部31により行なわれる。
【0108】
このように、第4実施形態の分離部移動制御においては、箔91の先端が分離電極390の基準位置に到達する直前のタイミングから、箔91の後端が転写ローラ380から記録媒体9の搬送の下流側に離れる直後のタイミングまでの期間において、分離電極390が退避位置に移動することにより分離電流の供給が抑制されるため、分離部39から転写部38に流れ込む分離電流を抑制することができる。これにより、第4実施形態の画像形成装置1では、転写部38における転写不良を抑制することができる。
【0109】
[制御部31により実行される分離部移動制御の処理]
次に、制御部31が分離電極390を移動させる分離部移動制御の処理の一例を説明する。図12は、第4実施形態において制御部31により実行される分離部移動制御の処理を示すフローチャートである。図12において、制御部31のCPU31Aは、以下のような処理を実行する。
【0110】
CPU31Aは、ステップS31,S32により、図8のステップS11,S12と同様の処理を実行する。CPU31Aは、ステップS33において、図8のステップS13と同様の処理を実行することにより、タイミングT1を演算により求める。CPU31Aは、ステップS34において、図8のステップS14と同様の処理を実行することにより、タイミングT2を演算により求める。
【0111】
CPU31Aは、ステップS35により、ステップS33で求めたタイミングT1となったか否かを判定する。CPU31Aは、ステップS35でタイミングT1となった場合に、ステップS36により、分離部移動装置63を動作させて分離電極390を退避位置に移動させる。
【0112】
CPU31Aは、ステップS37により、ステップS34で求めたタイミングT2となったか否かを判定する。CPU31Aは、ステップS37でタイミングT2となった場合に、ステップS38により、分離部移動装置63を動作させて分離電極390を基準位置に移動させ、処理を終了する。
<第5実施形態>
第5実施形態としては、第4実施形態で説明した分離部移動制御のその他の例を説明する。
【0113】
[第5実施形態における画像形成装置1の構成]
第5実施形態は、分離部移動装置64の構成が、第4実施形態における分離部移動装置64の構成と異なる。
【0114】
[分離部移動制御]
図13は、第5実施形態において制御部31により実行される分離部移動制御を説明する図である。図13では、分離部移動制御における分離部39の移動態様が示されている。図13(A)には、分離部39の分離電極390が基準位置で静止している例が示されている。図13(B)には、分離部39の分離電極390が退避位置に移動する例が示されている。
【0115】
図13を参照して、分離部移動装置64は、支持部材641と駆動機構装置642とを含む。支持部材641は、棒状の部材であり、一方端側に分離電極390が取付けられ、他方端側が駆動機構装置642内に設けられる。駆動機構装置642は、支持部材641の昇降動作をするラックアンドピニオン機構部と、当該ラックアンドピニオン機構部を動作させるモータ等の駆動部とを含む。分離部移動装置64は、駆動機構装置642が、支持部材641を上下方向に昇降させる動作を行なう。分離部移動装置64は、図3において、破線で示されるように、制御部31により制御される。
【0116】
記録媒体9に形成された箔91が、前述した長さL1以上の長さ以上でない場合は、図13(A)に示すような基準位置で分離電極390が静止するように、制御部31は、分離部移動装置64の支持部材641が上下方向の可動範囲の上端部に位置するように支持部材641を上昇させた状態とする。分離電極390の基準位置は、搬送される記録媒体9が通過する位置である。
【0117】
一方、記録媒体9に形成された箔91が、前述した長さL1以上である場合は、箔91の先端が図13(B)に示すように基準位置に到達する直前に、破線で示す基準位置から実線で示す退避位置まで分離電極390が移動するように、制御部31は、分離部移動装置64が支持部材641を下降させる。分離電極390の退避位置は、分離部移動装置64における支持部材641の上下方向の可動範囲の下端部であり、分離電極390から記録媒体9に、分離電流が流れなくなる位置または分離電流が流れにくくなるような位置である。また、分離電極390の退避位置は、分離電流が分離電極390から箔91に流れる分離電流を抑制することが可能に分離電極390と箔91とが離隔した位置である。
【0118】
分離部移動制御においては、記録媒体9に形成された箔91が、前述した長さL1以上である場合に、箔91の先端が分離電極390の基準位置に到達する直前のタイミングから、箔91の後端が転写ローラ380から記録媒体9の搬送の下流側に離れる直後のタイミングまでの期間に、分離電極390を基準位置から退避位置に移動させる制御が制御部31により行なわれる。
【0119】
このように、第5実施形態の分離部移動制御においては、箔91の先端が分離電極390の基準位置に到達する直前のタイミングから、箔91の後端が転写ローラ380から記録媒体9の搬送の下流側に離れる直後のタイミングまでの期間において、分離電極390が退避位置に移動することにより分離電流の供給が抑制されるため、分離部39から転写部38に流れ込む分離電流を抑制することができる。これにより、第5実施形態の画像形成装置1では、転写部38における転写不良を抑制することができる。
【0120】
[制御部31により実行される分離部移動制御の処理]
次に、制御部31が分離電極390を移動させる分離部移動制御の処理の一例を説明する。第5実施形態の分離部移動制御の処理は、図12に示す分離部移動制御の処理と比べて、ステップS36の処理内容およびステップS37の処理内容が異なる。
【0121】
第5実施形態では、図12のステップS36における分離電極390を退避位置に移動させる処理が、分離部移動装置64が支持部材641を可動範囲の下端部まで下降させる処理として実行される。第5実施形態では、図12のステップS37における分離電極390を基準位置に移動させる処理が、分離部移動装置64が支持部材641を可動範囲の上端部まで上昇させる処理として実行される。
<第6実施形態>
第6実施形態としては、転写部38に供給される転写電流と分離部39に供給される分離電流とが干渉することに起因して転写部38での転写に用いる電界の強度が低下することを抑制するために、制御部31が搬送中の記録媒体9における箔の位置に対応し、記録媒体9に対して分離部39を遮蔽することが可能な遮蔽部材651を動作させる分離部遮蔽制御を説明する。
【0122】
[第6実施形態における画像形成装置1の構成]
第6実施形態における画像形成装置1の構成は、基本的に図1図3に示すような第1実施形態の構成と同様であるが、記録媒体9に対して分離部39を遮蔽することが可能な遮蔽装置65を備えることが第1実施形態の構成と異なる。
【0123】
[分離部遮蔽制御]
図14は、第6実施形態において制御部31により実行される分離部遮蔽制御を説明する図である。図14では、分離部遮蔽制御における分離部の動作態様が示されている。図14(A)には、分離部39の分離電極390が遮蔽装置65で遮蔽されていない例が示されている。図14(B)には、分離部39の分離電極390が遮蔽装置65で遮蔽されている例が示されている。
【0124】
図14を参照して、遮蔽装置65は、遮蔽部材651と駆動機構装置652とを含む。遮蔽部材651は、平板状の部材であり、駆動機構装置652から遮蔽部材651の長手方向に出し入れ可能に設けられる。駆動機構装置652は、遮蔽部材651の出し入れ動作をするラックアンドピニオン機構部と、当該ラックアンドピニオン機構部を動作させるモータ等の駆動部とを含む。遮蔽装置65は、図3において、破線で示されるように、制御部31により制御される。
【0125】
記録媒体9に形成された箔91が、前述した長さL1以上の長さ以上でない場合は、図14(A)に示すように、遮蔽部材651が分離電極390と記録媒体9との間に突出しないように、制御部31が、遮蔽装置65が動作させる遮蔽部材651の突出長を設定している。
【0126】
一方、記録媒体9に形成された箔91が、前述した長さL1以上である場合は、箔91の先端が図14(B)に示すように基準位置まで到達する直前に、遮蔽部材651が分離電極390と記録媒体9との間に突出するように、制御部31が、遮蔽装置65を動作させる。図14(B)のように遮蔽部材651が分離電極390と記録媒体9との間に突出した状態では、遮蔽部材651により、記録媒体9と分離部39の分離電極390との間が遮蔽される。
【0127】
図14(A)のように記録媒体9に対して遮蔽部材651によって分離部39の分離電極390が遮蔽されない遮蔽部材651の位置は、待機位置と呼ばれる。図14(B)のように記録媒体9に対して遮蔽部材651によって分離部39の分離電極390が遮蔽される遮蔽部材651の位置は、遮蔽位置と呼ばれる。
【0128】
分離部遮蔽制御においては、記録媒体9に形成された箔91が、前述した長さL1以上である場合に、箔91の先端が分離電極390の基準位置に到達する直前のタイミングから、箔91の後端が転写ローラ380から記録媒体9の搬送の下流側に離れる直後のタイミングまでの期間に、記録媒体9に対して遮蔽部材651によって分離部39の分離電極390が遮蔽されるように、遮蔽部材651を遮蔽位置に移動させる制御が制御部31により行なわれる。
【0129】
このように、分離部遮蔽制御においては、箔91の先端が分離電極390の基準位置に到達する直前のタイミングから、箔91の後端が転写ローラ380から記録媒体9の搬送の下流側に離れる直後のタイミングまでの期間において、遮蔽部材651によって分離部39の分離電極390が遮蔽されることにより、分離電流の供給が抑制されるため、分離部39から転写部38に流れ込む分離電流を抑制することができる。これにより、第6実施形態の画像形成装置1では、転写部38における転写不良を抑制することができる。
【0130】
[制御部31により実行される分離部遮蔽制御の処理]
次に、制御部31が遮蔽部材651を動作させる分離部遮蔽制御の処理の一例を説明する。図15は、第6実施形態において制御部31により実行される分離部遮蔽制御の処理を示すフローチャートである。図15において、制御部31のCPU31Aは、以下のような処理を実行する。
【0131】
CPU31Aは、ステップS41,42により、図8のステップS11,S12と同様の処理を実行する。CPU31Aは、ステップS43において、図8のステップS13と同様の処理を実行することにより、タイミングT1を演算により求める。CPU31Aは、ステップS44において、図8のステップS14と同様の処理を実行することにより、タイミングT2を演算により求める。
【0132】
CPU31Aは、ステップS45により、ステップS43で求めたタイミングT1となったか否かを判定する。CPU31Aは、ステップS45でタイミングT1となった場合に、ステップS46により、遮蔽装置65が遮蔽部材651を動作させて遮蔽部材651を遮蔽位置に移動させる。これにより、遮蔽部材651によって分離部39の分離電極390が遮蔽される。
【0133】
CPU31Aは、ステップS47により、ステップ44で求めたタイミングT2となったか否かを判定する。CPU31Aは、ステップS47でタイミングT2となった場合は、ステップS48により、遮蔽装置65が遮蔽部材651を動作させて遮蔽部材651を待機位置に移動させ、処理を終了する。これにより、遮蔽部材651によって分離部39の分離電極390が遮蔽されない。
<実施の形態の変形例>
(1) 第1実施形態では、箔長さ調整制御において、ステップS1により、トナー像パターンセンサ51により検出された記録媒体9における下地トナー像の位置およびパターンの検出データを取得する例を示した。しかし、これに限らず、このような記録媒体9における下地トナー像の位置およびパターンのデータについては、操作部70等の入力装置から入力したデータを用いてもよい。
【0134】
(2) 第1実施形態~第6実施形態では、箔長さ調整制御のステップS7、分離電流調整制御のステップS11、転写電流調整制御のステップS21、分離部移動制御のステップS31、および、分離部遮蔽制御のステップS41により、箔パターンセンサ52により検出された記録媒体9における箔の位置およびパターンの検出データを取得する例を示した。しかし、これに限らず、このような記録媒体9における箔の位置およびパターンの検出データについては、操作部70等の入力装置から入力したデータを用いてもよい。
【0135】
(3) 第1実施形態~第6実施形態では、トナー像パターンセンサ51および箔パターンセンサ52として、濃度反射センサが用いられる例を示した。しかし、これに限らず、トナー像パターンセンサ51および箔パターンセンサ52としては、濃度反射センサ以外の抵抗検出センサ、および、イメージセンサ等のその他のセンサを用いてもよい。
【0136】
(4) 第1実施形態~第6実施形態では、箔の長さが、記録媒体9が分離電極390に接触する位置と、記録媒体9が転写部38の転写ローラ380に接触する位置との間の最短距離であるL1と同じ長さとなる場合に、転写部38の転写電界の低下を抑制する制御を実行する例を示した。しかし、これに限らず、このような制御を実行する条件としては、L1と同じ長さに限らず、L1に対して、正負の長さ幅を持たせた長さの範囲内となった場合を条件として用いてもよい。ただし、その長さ幅の範囲は、広くなり過ぎないようにすることが望ましい。
【0137】
(5) 第2実施形態~第6実施形態では、箔の長さが、記録媒体9が分離電極390に接触する位置と、記録媒体9が転写部38の転写ローラ380に接触する位置との間の最短距離であるL1以上である場合に、転写部38の転写電界の低下を抑制する制御を実行する例を示した。しかし、これに限らず、このような制御を実行する条件としては、L1を超える長さとなった場合を条件として用いてもよい。
【0138】
(6) 第2実施形態~第6実施形態では、箔の長さが、記録媒体9が分離電極390に接触する位置と、記録媒体9が転写部38の転写ローラ380に接触する位置との間の最短距離であるL1以上である場合に、箔の先端が分離部39の分離電極390の位置に到達する直前のタイミングT1から、箔の後端が転写部38における箔の後端が転写部38から離れる直後のタイミングT2との間にわたり、転写部38の転写電界の低下を抑制する制御を実行する例を示した。しかし、これに限らず、箔の長さがL1以上である場合に、記録媒体における箔が形成されていない先端部のみ、分離部39による分離動作をさせ、当該先端部以外について、転写部38の転写電界の低下を抑制する制御を実行するようにしてもよい。
【0139】
(7) 第1実施形態~第6実施形態では、転写部38の転写電界の低下を抑制する制御を実行する条件となる箔の長さL1として、箔の長さが、記録媒体9が分離電極390に接触する位置と、記録媒体9が転写部38の転写ローラ380に接触する位置との間の最短距離を用いる例を示した。しかし、これに限らず、転写部38の転写電界の低下を抑制する制御を実行する条件となる箔の長さL1は、箔の長さが転写部38と分離部39との間の距離であって、転写部38の転写電界の低下が生じるような距離であれば、第1実施形態~第6実施形態に示した長さL1以外の長さであってもよい。
<付記>
以上に説明した実施の形態は、以下のような開示を含む。
【0140】
[構成1]
トナー像を担持する像担持体(中間転写ベルト37)と、
搬送される記録媒体(記録媒体9)に、転写電界の作用によって前記像担持体(中間転写ベルト37)から前記トナー像を転写する転写部(転写部38)と、
前記転写部に対して前記記録媒体(記録媒体9)の搬送方向の下流部に配置され、前記記録媒体(記録媒体9)に分離電流を供給して前記像担持体(中間転写ベルト37)から記録媒体(記録媒体9)を分離する分離部(分離部39)と、
画像形成に関する制御を行なう制御部(制御部31)とを備え、
前記制御部(制御部31)は、前記記録媒体(記録媒体9)上における箔(箔91,91a~91e)の位置および前記箔(箔91,91a~91e)のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、前記転写部(転写部38)の転写電界の低下を抑制する制御(ステップS1~S6、ステップS21~S28、ステップS31~S38、ステップS41~S48)を行なう、画像形成装置(画像形成装置1)。
【0141】
[構成2]
前記制御部(制御部31)は、前記記録媒体(記録媒体9)における前記箔(箔91,91a~91e)の位置および前記箔(箔91,91a~91e)のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、前記記録媒体における搬送方向の前記箔の長さを調整することにより、前記転写部(転写部38)の転写電界の低下を抑制する制御(ステップS1~S6)を行なう、構成1に記載の画像形成装置(画像形成装置1)。
【0142】
[構成3]
前記制御部(制御部31)は、前記記録媒体(記録媒体9)における前記箔(箔91,91a~91e)の位置および前記箔(箔91,91a~91e)のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、搬送中の前記記録媒体(記録媒体9)における前記箔の位置に対応して、前記分離電流の電流値を調整することにより、前記転写部(転写部38)の転写電界の低下を抑制する制御(ステップS11~S18)を行なう、構成1に記載の画像形成装置(画像形成装置1)。
【0143】
[構成4]
前記制御部(制御部31)は、前記記録媒体(記録媒体9)における前記箔(箔91,91a~91e)の位置および前記箔(箔91,91a~91e)のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、搬送中の前記記録媒体(記録媒体9)における前記箔の位置に対応して、前記転写部(転写部38)に供給される転写電流の電流値を調整することにより、前記転写部(転写部38)の転写電界の低下を抑制する制御を行なう(ステップS21~S28)、構成1に記載の画像形成装置(画像形成装置1)。
【0144】
[構成5]
前記制御部(制御部31)は、前記記録媒体(記録媒体9)における前記箔(箔91,91a~91e)の位置および前記箔(箔91,91a~91e)のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、搬送中の前記記録媒体(記録媒体9)における前記箔の位置に対応して、前記分離部(分離部39)を移動させることにより、前記転写部(転写部38)の転写電界の低下を抑制する制御を行なう(ステップS31~S38)、構成1に記載の画像形成装置(画像形成装置1)。
【0145】
[構成6]
前記制御部(制御部31)は、前記記録媒体(記録媒体9)における前記箔(箔91,91a~91e)の位置および前記箔(箔91,91a~91e)のパターンに関する情報を取得し、取得した情報に応じ、搬送中の前記記録媒体(記録媒体9)における前記箔の位置に対応して、前記記録媒体(記録媒体9)に対して前記分離部(分離部39)を遮蔽することにより、前記転写部(転写部38)の転写電界の低下を抑制する制御を行なう(ステップS41~S48)、構成1に記載の画像形成装置(画像形成装置1)。
【0146】
[構成7]
前記転写部(転写部38)よりも前記記録媒体(記録媒体9)の搬送方向の上流側に設けられ、前記記録媒体(記録媒体9)に前記箔(箔91,91a~91e)を形成する箔形成部(箔形成部20)をさらに備え、
前記制御部(制御部31)は、前記箔形成部(箔形成部20)において、前記記録媒体に(記録媒体9)前記箔(箔91,91a~91e)を複数形成する場合に、当該複数の箔の間を電気的に接続する接続箔(接続箔94,95,96)を前記記録媒体(記録媒体9)に形成させることによって、電気的に接続された前記複数の箔(箔91a,91b,91c、91a,91d)における前記搬送方向の合計の長さ(L5,L3)を調整する(ステップS1~S6)、構成2に記載の画像形成装置(画像形成装置1)。
【0147】
[構成8]
前記制御部(制御部31)は、前記箔形成部(箔形成部20)において、通電可能な前記複数の箔(箔91a,91b,91c、91a,91d)の合計の長さ(L5,L3)が、前記分離部(分離部39)と前記転写部(転写部38)との間の距離(L1)よりも長くなるように、前記通電可能な箔の全長を調整させる(ステップS1~S6)、構成7に記載の画像形成装置(画像形成装置1)。
【0148】
[構成9]
前記制御部(制御部31)は、前記箔形成部(箔形成部20)において前記記録媒体に前記接続箔(接続箔94,95,96)が形成された場合に、前記転写部(転写部38)において、前記接続箔(接続箔94,95,96)の上に、前記トナー像を転写する制御(ステップS9)をさらに行なう、構成7または構成8に記載の画像形成装置(画像形成装置1)。
【0149】
[構成10]
前記制御部(制御部31)は、前記記録媒体(記録媒体9)の搬送方向における前記箔(箔91,91a~91e)の長さが、前記分離部(分離部39)と前記転写部(転写部38)との間の距離(L1)以上となる場合に、前記箔(箔91,91a~91e)が前記分離部(分離部39)と前記転写部(転写部38)との間に跨る期間において、前記分離電流の電流値を基準電流値(I1)よりも低下させる(I2)、構成3に記載の画像形成装置(画像形成装置1)。
【0150】
[構成11]
前記制御部(制御部31)は、前記記録媒体(記録媒体9)の搬送方向における前記箔(箔91,91a~91e)の長さが、前記分離部(分離部39)と前記転写部(転写部38)との間の距離(L1)以上となる場合に、前記箔(箔91,91a~91e)が前記分離部(分離部39)と前記転写部(転写部38)との間に跨る期間において、前記転写電流の電流値を基準電流値(I1)よりも上昇させる(I3)、構成4に記載の画像形成装置(画像形成装置1)。
【0151】
[構成12]
前記制御部(制御部31)は、前記記録媒体(記録媒体9)の搬送方向における前記箔(箔91)の長さが、前記分離部(分離部39)と前記転写部(転写部38)との間の距離(L1)以上となる場合に、前記箔が前記分離部(分離部39)の基準位置と、前記転写部(転写部38)との間に跨る期間において、前記分離部(分離部39)を、前記基準位置から、前記分離電流を抑制する退避位置に移動させる(ステップS31~S38)、構成5に記載の画像形成装置(画像形成装置1)。
【0152】
[構成13]
前記転写部(転写部38)に対して前記記録媒体(記録媒体9)の搬送方向の下流部に配置され、搬送される前記記録媒体(記録媒体9)に対して、前記分離部(分離部39)を遮蔽することが可能な遮蔽部材(遮蔽部材651)をさらに備え、
前記制御部(制御部31)は、前記記録媒体(記録媒体9)の搬送方向における前記箔(箔91)の長さが、前記分離部(分離部39)と前記転写部(転写部38)との間の距離(L1)以上となる場合に、前記箔(箔91)が前記分離部(分離部39)の基準位置と、前記転写部(転写部38)との間に跨る期間において、前記遮蔽部材(遮蔽部材651)を動作させることにより前記記録媒体(記録媒体9)に対して前記遮蔽部材(遮蔽部材651)によって前記分離部(分離部39)を遮蔽する、構成6に記載の画像形成装置(画像形成装置1)。
【0153】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0154】
37 中間転写ベルト37、9 記録媒体、38 転写部、39 分離部、31 制御部、91,91a~91e 箔、1 画像形成装置、20 箔形成部、94,95,96 接続箔、651 遮蔽部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15