(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110691
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】X線診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240808BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20240808BHJP
【FI】
A61B6/00 320M
A61B6/00 331D
A61B6/00 320Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015426
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 諒駿
(72)【発明者】
【氏名】征矢 正治
(72)【発明者】
【氏名】前濱 登美男
(72)【発明者】
【氏名】落合 理絵
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA17
4C093CA18
4C093DA01
4C093ED05
4C093EE15
4C093EE16
4C093FA49
4C093FD03
4C093FD09
4C093FD11
4C093FF23
4C093FG19
(57)【要約】
【課題】操作者の技量が低い場合でも、再検査を回避し、検査時間の延長を抑制する。
【解決手段】 実施形態に係るX線診断装置は、X線管と、X線検出器と、画像生成部と、指示生成部と、通知部とを備えている。前記X線管は、造影剤及び発泡剤を投与した被検体に対してX線を照射する。前記X線検出器は、前記X線管から照射され、前記被検体を透過したX線を検出する。前記画像生成部は、前記X線検出器の出力に基づき、前記被検体のX線画像を生成する。前記指示生成部は、前記X線画像から前記造影剤と前記被検体の部位との位置関係を判定し、前記判定した結果に基づいて、前記造影剤を前記部位の内壁に過不足無く付着させるための指示を生成する。前記通知部は、前記指示を操作者又は前記被検体に通知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造影剤及び発泡剤を投与した被検体に対してX線を照射するX線管と、
前記X線管から照射され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器の出力に基づき、前記被検体のX線画像を生成する画像生成部と、
前記X線画像から前記造影剤と前記被検体の部位との位置関係を判定し、前記判定した結果に基づいて、前記造影剤を前記部位の内壁に過不足無く付着させるための指示を生成する指示生成部と、
前記指示を操作者又は前記被検体に通知する通知部と、
を備えたX線診断装置。
【請求項2】
前記位置関係は、前記部位の複数の位置と前記X線画像の輝度との関係に基づく造影剤付着状態に対応する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記指示生成部は、前記被検体の左右方向における前記複数の位置で前記輝度の差が閾値以上の場合、前記被検体に左右方向の回転動作を促す前記指示を生成する、請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記指示生成部は、前記被検体の頭尾方向における前記複数の位置で前記輝度の差が閾値以上の場合、前記被検体を支持する天板の短手方向を軸にした前記天板の起倒操作を促す前記指示を生成する、請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記閾値は、前記被検体の部位に対する過去の検査画像内の前記複数の位置における輝度の差に基づく値である、請求項3又は4に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記指示生成部は、前記被検体の左右方向における前記複数の位置で前記輝度の差が所定範囲内にある場合、前記被検体に体位の変更動作を促す前記指示を生成する、請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記指示生成部は、前記輝度の差に応じた回転量を含む前記指示を生成する、請求項3に記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記指示生成部は、前記輝度の差に応じた起倒角度を含む前記指示を生成する、請求項4に記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記指示生成部は、前記X線画像内の前記部位が過去の検査画像内の部位に対応しない場合、前記X線画像の撮影位置の変更操作を促す前記指示を生成する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記被検体を支持する天板を、予め決定された動作シーケンスに従い目標位置及び目標角度まで移動させるオートポジショニング動作を行うように制御する制御部、を更に備えた、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項11】
前記指示生成部は、前記内壁の凹部に生じた造影剤溜まりに応じて前記輝度のムラがある場合、前記被検体に回転動作を促す前記指示を生成する、請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項12】
前記指示生成部は、前記X線画像内の前記部位が過去の検査画像内の部位に比べてしぼんでいる場合、前記被検体に対する発泡剤の追加投与を操作者に促す前記指示を生成する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項13】
前記指示生成部は、前記X線画像に基づいて前記指示を生成するための学習済みモデルに対して、前記生成されたX線画像を入力することで、前記指示を生成する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項14】
前記指示生成部は、
前記X線画像に基づいて、前記位置関係に対応する造影剤付着状態を生成するための学習済みモデルに対して、前記生成されたX線画像を入力することで、前記造影剤付着状態を生成する第1生成部と、
前記生成された造影剤付着状態に基づいて前記指示を生成する第2生成部と
を備えた、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項15】
予め造影剤付着状態と指示とを関連付けて記憶する記憶部を更に備え、
前記第2生成部は、前記生成された造影剤付着状態に基づいて前記記憶部を検索することにより、前記指示を生成する、請求項14に記載のX線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体に対する消化管造影検査では、例えば、バリウムを投与した被検体にX線透視撮像を行い、被検体の体位の変更や回転により、胃壁にバリウムを薄く付着させて胃壁の表面状態を観察する。この種のバリウム検査は、被検体の体形、体位の変更又は回転方法により、胃壁に付着するバリウム量が不足又は過剰となる場合がある。この場合、技師等の操作者がX線画像を視認し、被検体に体位の変更や回転を指示することにより、バリウム量の不足又は過剰を解消させてX線撮影を行う。なお、X線診断装置を用いたバリウム検査は、胃に限らず、大腸などに対しても同様に行われる。
【0003】
しかしながら、このようなバリウム検査は、バリウム量の過不足の判断や、被検体への指示に、技師の技量の差が出る。このため、操作者の技量が低い場合、診断に役立つ画像を収集できずに再検査となる可能性や、検査時間が延長される可能性がある。従って、操作者の技量が低い場合でも、再検査を回避し、検査時間の延長を抑制できることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、操作者の技量が低い場合でも、再検査を回避し、検査時間の延長を抑制できることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るX線診断装置は、X線管と、X線検出器と、画像生成部と、指示生成部と、通知部とを備えている。前記X線管は、造影剤及び発泡剤を投与した被検体に対してX線を照射する。前記X線検出器は、前記X線管から照射され、前記被検体を透過したX線を検出する。前記画像生成部は、前記X線検出器の出力に基づき、前記被検体のX線画像を生成する。前記指示生成部は、前記X線画像から前記造影剤と前記被検体の部位との位置関係を判定し、前記判定した結果に基づいて、前記造影剤を前記部位の内壁に過不足無く付着させるための指示を生成する。前記通知部は、前記指示を操作者又は前記被検体に通知する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成の例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置の外観の例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、同実施形態における全体動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図4は、同実施形態におけるステップST30の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、同実施形態におけるステップST314の動作を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、同実施形態におけるステップST317の動作を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、同実施形態の変形例における指示テーブルを説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、同実施形態の変形例における全体動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、同実施形態の変形例におけるステップST30Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2の実施形態におけるステップST30の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、同実施形態の変形例におけるステップST30Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図12】
図12は、第3の実施形態におけるステップST30の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、第4の実施形態におけるステップST30の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図14は、同実施形態の変形例におけるステップST30Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図15】
図15は、第6の実施形態におけるステップST30の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図16】
図16は、同実施形態の変形例におけるステップST30Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図17】
図17は、第7の実施形態におけるステップST30の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図18】
図18は、同実施形態の変形例におけるステップST30Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図19】
図19は、第8の実施形態における学習済みモデルを説明するための模式図である。
【
図20】
図20は、同実施形態における全体動作を説明するためのフローチャートである。
【
図21】
図21は、同実施形態の変形例における学習済みモデルを説明するための模式図である。
【
図22】
図22は、同実施形態の変形例における全体動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係るX線診断装置について説明する。なお、以下の説明では、造影剤としてバリウムを用いた例を述べるが、これに限定されない。例えば、造影剤として、水溶性ヨード造影剤を用いてもよい。X線診断装置は、X線TV装置と呼んでもよい。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係るX線診断装置1の構成の例を表すブロック図であり、
図2は、X線診断装置1の外観の例を表す模式図である。以下の説明では、略同一の機能及び構成を有する構成要素については同一符号を付すことにより、重複した記載を省略する。
【0010】
X線診断装置1は、X線管3と、照射範囲限定器5と、X線検出器7と、移動支持機構9と、回転支持機構11と、駆動部13と、出力部16と、コンソール装置20とを有する。
【0011】
透視撮影台は、被検体を支持する天板14と移動支持機構9とX線検出器7と回転支持機構11とを有し、起倒、映像系(X線管3、照射範囲限定器5、X線検出器7)の上下動、斜入、圧迫などの動作を行う。
図2におけるX線検出器7は、被検体を透過したX線を検出し、コンソール装置20へ転送する。
【0012】
X線管3は、図示しない高電圧発生器に接続されている。高電圧発生器は、X線管3に供給する管電流と、X線管に印加する管電圧とを発生する。高電圧発生器は、X線撮影およびX線透視にそれぞれ適した管電流をX線管3に供給し、X線撮影およびX線透視各々にそれぞれ適した管電圧をX線管3に印加する。具体的には、高電圧発生器は、後述する制御機能251による制御のもとで、X線撮影条件に応じた管電圧と管電流とを発生する。
【0013】
X線管3は、高電圧発生器から供給された管電流と、高電圧発生器により印加された管電圧とに基づいて、X線の焦点(以下、管球焦点と呼ぶ)からX線を発生する。発生されたX線は、X線管3におけるX線放射窓から放射される。例えば、消化管造影剤検査の場合、X線管3は、造影剤及び発泡剤を投与した被検体Pに対してX線を照射する。
【0014】
照射範囲限定器5は、X線管3の前面であって、X線管3とX線検出器7との間に設けられる。具体的には、照射範囲限定器5は、X線管3におけるX線放射窓の前面に設けられる。照射範囲限定器5は、X線可動絞りとも称される。照射範囲限定器5は、X線管3で発生されたX線を操作者が所望する撮影部位以外に照射させないように、X線の照射範囲を限定する。例えば、照射範囲限定器5は、入力インタフェース22により入力された照射範囲の限定指示に従って、絞り羽根を移動させることにより、照射範囲を限定する。
【0015】
具体的には、照射範囲限定器5は、複数の絞り羽根を有する。複数の絞り羽根の各々は、X線管3により発生されたX線を遮蔽する鉛により構成される。なお、照射範囲限定器5は、被検体Pへの被曝線量の低減および画質の向上を目的として、X線の照射野に挿入される複数のフィルタ(以下、付加フィルタと呼ぶ)を有していてもよい。付加フィルタは、X線フィルタ、濾過板、ビームフィルタ、線質フィルタ、またはビームスペクトグラムフィルタとも呼ばれる。
【0016】
X線検出器7は、X線管3から発生され、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、X線検出器7は、例えば、フラットパネルディテクタ(FPD)である。X線検出器7は、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子には、直接変換形と間接変換形とがある。直接変換形とは、入射X線を直接的に電気信号に変換する形式である。間接変換形とは、入射X線を蛍光体で光に変換し、その光を電気信号に変換する形式である。
【0017】
X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、図示していないアナログディジタル変換器(Analog to Digital converter:以下、A/D変換器と呼ぶ)に出力される。A/D変換器は、電気信号をディジタルデータに変換する。A/D変換器は、ディジタルデータを、図示していない前処理部に出力する。なお、X線検出器7として、イメージインテンシファイア(Image intensifier)などが用いられてもよい。
【0018】
移動支持機構9は、後述する制御機能251による制御のもとで、映像系(X線管3、照射範囲限定器5、およびX線検出器7)を、天板14の長軸(X軸)方向に沿って移動可能に支持する。例えば、映像系を移動させて被検体を撮影する長尺撮影などの撮影方法が入力インタフェース22を介して入力された場合、移動支持機構9は、入力された撮影方法における撮影タイミングに従って、映像系を第1方向に沿って移動させる。なお、映像系を、移動させる必要がない場合、移動支持機構9は、映像系を天板14に対して固定させることも可能である。
【0019】
回転支持機構11は、X線管3、照射範囲限定器5、およびX線検出器7を含む移動支持機構9と、天板14とを、天板14の短軸(Y軸)方向を回転軸として回転可能(起倒可能)に支持する。具体的には例えば、回転支持機構11は、入力インタフェース22を介した操作者の指示により、映像系(X線管3、照射範囲限定器5、およびX線検出器7)又は天板14を回転軸周りに回転させる。回転軸周りの天板14の回転角度としては、例えば、天板14の水平位置を0°とし、天板14を鉛直方向に平行な位置に回転させた回転角度を、90°とする。なお、水平位置の天板14は長手方向がX軸に平行であり、短手方向がY軸に平行である。また、X軸及びY軸に直交するZ軸は鉛直方向に平行である。以下、回転角度が90°となる天板14の位置を、立位と呼ぶ。すなわち、回転角度が90°となる天板14の位置において、天板14に支持された被検体Pは、立位状態となる。
【0020】
なお、移動支持機構9、および回転支持機構11は、X線管3と、照射範囲限定器5と、X線検出器7と、天板14とを、
図1に示す直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)に移動可能に支持してもよい。例えば、移動支持機構9は、X線管におけるX線発生の焦点とX線検出器7との間の距離(線源受像面間距離(Source Image Distance:以下、SIDと呼ぶ))を変更可能に、X線管3と照射範囲限定器5とX線検出器7などとを支持する。
【0021】
駆動部13は、制御機能251の制御の下で、移動支持機構9および回転支持機構11を駆動する。具体的には、駆動部13は、制御機能251による制御信号に従って、回転支持機構11を回転軸周りに回転させるために、回転支持機構11を駆動する。これにより、天板14などの各構成要素は、回転軸周りに回転される。例えば、天板14を立位に配置させる指示が入力インタフェース22を介して入力されたとき、駆動部13は、天板14を立位の角度(90°)に回転させるために、回転支持機構11を駆動する。駆動部13は、入力インタフェース22を介した操作者の指示に従って、映像系をX軸方向に沿って移動させるために、移動支持機構9を駆動する。
【0022】
図示していない天板駆動部は、制御機能251の制御の下で、天板14を駆動することにより、天板14を移動させる。具体的には、天板駆動部は、制御機能251からの制御信号に基づいて、X軸方向、Y軸方向に天板14をスライドさせる。
【0023】
スピーカ16a及びディスプレイ16bは、コンソール装置20に制御され、被検体への指示を音声出力又は表示出力する出力部16に対応する。なお、ディスプレイ16bは、任意の付加的事項であり、省略してもよい。また、これに限らず、ディスプレイ16bを用いる場合、スピーカ16aを省略してもよい。
【0024】
一方、コンソール装置20は、メモリ21と、入力インタフェース22と、ディスプレイ23と、通信インタフェース24と、処理回路25とを有する。
【0025】
メモリ21は、種々の情報を記憶するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及び集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、メモリ21は、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。なお、メモリ21は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、メモリ21は、複数の記憶装置により実現されても構わない。また、メモリ21は、X線診断装置1にネットワークを介して接続された他のコンピュータ内にあってもよい。
【0026】
メモリ21は、X線診断装置1の処理プログラム等の各種プログラムと、処理に用いる各種情報、処理途中のデータ、処理後のデータ等の各種データとを記憶する。なお、この処理プログラムは、例えば、メモリ21に予め記憶されていてもよい。また、例えば、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されて配布され、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体から読み出されてメモリ21にインストールされてもよい。また、各種データとしては、例えば、今回検査時の透視画像及び撮影画像などのX線画像、過去の検査画像(過去の検査時のX線画像)などがある。以下、撮影画像と透視画像とをまとめてX線画像と呼ぶ。過去の検査画像は、例えば、処理回路25により、ネットワークを介して画像サーバから取得され、メモリ21内に保存される。
【0027】
入力インタフェース22は、技師又は医師に代表される医療従事者である操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路25へ出力する。本実施形態に係る入力インタフェース22は、例えば、マイク、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド、及び操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパネル等の入力機器に接続されている。また、入力インタフェースに接続される入力機器は、ネットワーク等を介して接続された他のコンピュータに設けられた入力機器でもよい。
【0028】
ディスプレイ23は、処理回路25からの指示に従って種々の情報を表示する。例えば、ディスプレイ23は、画像処理機能252により生成され、画像処理されたX線画像を表示する。また、ディスプレイ23は、X線撮影条件、X線透視条件、SID等を入力するための入力画面を表示してもよい。例えば、ディスプレイ23は、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示してもよい。ディスプレイ23は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等、任意のディスプレイが適宜利用可能である。なお、X線診断装置1にディスプレイ23を含まず、外部のディスプレイにGUIを表示してもよいし、プロジェクタ等を介してGUIを表示させるようにしてもよい。
【0029】
通信インタフェース24は、例えば、ネットワーク、図示していない外部記憶装置に関するインタフェースである。X線診断装置1によって得られたX線画像等のデータなどは、通信インタフェース24およびネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0030】
処理回路25は、入力インタフェース22から出力される入力操作の電気信号に応じてX線診断装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路25は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路25は、メモリ21に展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、制御機能251、画像処理機能252、指示生成機能253、通知機能254などを実行する。なお、各機能251~254は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能251~254を実現するものとしても構わない。また、以下に説明する各機能の分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。ある機能が分担する処理を他の機能が分担する場合でも、処理回路25がその処理を実行することに変わりはないからである。各機能の分担が変更可能なことは、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
【0031】
制御機能251は、例えば、入力インタフェースから入力された操作者によるコマンド信号、及び各種初期設定条件等の情報を一旦記憶した後、これらの情報を処理回路25の各機能に送信する。
【0032】
また、制御機能251は、例えば、入力インタフェースから入力された移動支持機構9および回転支持機構11の駆動に関する情報を用いて、駆動部13及び天板駆動部の制御を行う。例えば、制御機能251は、天板14の回転又はスライドや、映像系の移動などを制御する。また、制御機能251は、例えば、入力インタフェースから入力された照射範囲限定器5の駆動に関する情報を用いて、X線の照射範囲を制御する。
【0033】
また、制御機能251は、例えば、各種初期設定条件等の情報を読み込んで、高電圧発生器における管電圧、管電流、照射時間などの撮影条件の制御を行う。撮影条件は、管電流と照射時間の積(mAs)を含んでもよい。
【0034】
画像処理機能252は、X線検出器7からの出力に基づき、被検体のX線画像を生成する。例えば、画像処理機能252は、X線検出器7からの出力に基づき、透視画像および撮影画像を収集し、表示のための各種画像処理を実行し、透視画像および撮影画像などの被検体のX線画像をディスプレイ23に表示させる。また、画像処理機能252は、動画像である透視画像を固定し、得られた静止画像である現在のX線画像をディスプレイ23に表示させる。また、画像処理機能252は、現在のX線画像に対応する過去の検査画像をメモリ21から読み出し、現在のX線画像と過去の検査画像とを並列にディスプレイ23に表示させてもよい。画像処理機能252及び処理回路25は、画像生成部の一例である。
【0035】
指示生成機能253は、X線画像から造影剤と被検体Pの部位との位置関係を判定し、当該判定した結果に基づいて、造影剤を部位の内壁に過不足無く付着させるための指示を生成する。なお、位置関係は、例えば、部位の複数の位置とX線画像の輝度との関係に基づく造影剤付着状態に対応する。例えば、指示生成機能253は、被検体Pの左右方向における当該複数の位置で輝度の差が閾値以上の場合、被検体Pに左右方向の回転動作を促す指示を生成する。また例えば、指示生成機能253は、被検体Pの頭尾方向における当該複数の位置で輝度の差が閾値以上の場合、被検体Pを支持する天板14の短手方向を軸にした天板14の起倒操作を促す指示を生成する。また、閾値は、被検体Pの部位に対する過去の検査画像内の当該複数の位置における輝度の差に基づく値としてもよい。過去の検査画像は、過去の検査時のX線画像と呼んでもよい。指示は、推奨指示と呼んでもよい。なお、指示生成機能253及び処理回路25は、指示生成部の一例である。
【0036】
通知機能254は、指示生成機能253により生成された指示を操作者又は被検体Pに通知する。なお、操作者に通知する指示としては、天板14の回転や映像系の移動などの機器操作を促す指示と、姿勢変更や回転動作を被検体Pに行わせる音声案内を促す指示とがある。機器操作の場合、処理回路25は、例えば、操作者による入力インタフェース22の操作に応じて駆動部13を制御する。音声案内の場合、処理回路25は、操作者による入力インタフェース22のマイクに対する音声入力に応じた音声信号をスピーカ16aに出力させる。これに対し、生成された指示を被検体Pに通知する場合、通知機能254は、当該指示を音声出力又は表示出力するように、スピーカ16a又はディスプレイ16bを制御する。なお、通知機能254は、生成された指示をスピーカ16aにより被検体Pに通知する場合、操作者を介さずに直接的に被検体Pに通知してもよく、操作者を介して間接的に被検体Pに通知してもよい。また、通知機能254は、生成された指示をディスプレイ16bにより被検体Pに通知する場合、当該スピーカ16aによる直接的又は間接的な通知を併用してもよく、併用しなくてもよい。通知機能254及び処理回路25は、通知部の一例である。
【0037】
次に、以上のように構成されたX線診断装置の動作について
図3及び
図4のフローチャート並びに
図5及び
図6の模式図を用いて説明する。以下の説明では、被検体Pの消化管造影剤検査として、被検体Pの胃のバリウム検査を例に挙げて述べる。胃のバリウム検査では、基準撮影法に従い、被検体Pが回転するタイミングや、被検体Pの撮影体位、撮影する胃の部位が標準的に決まっている。基準撮影法の撮影体位は、例えば8体位法の場合、背臥位正面位、背臥位第一斜位、背臥位第二斜位、腹臥位正面位(下部前壁、頭低位)、腹臥位第一斜位(上部前壁)、右側臥位(胃上部)、背臥位第二斜位(ふりわけ)、立位第一斜位(胃上部)がある。但し、基準撮影法の撮影体位は、8体位法に限らず、例えば12体位法など、他の方法のものを用いてもよい。いずれにしても、X線診断装置1においては、バリウム検査の流れの中で、所定の撮影体位毎に、胃の部位のバリウム付着状態が良好であれば、操作者の操作により、X線画像を撮影する。以下、具体的に説明する。
【0038】
始めに、X線診断装置1では、バリウム及び発泡剤が投与された被検体Pが天板14に支持された状態となる。続いて、ステップST10が開始される。
【0039】
ステップST10において、X線診断装置1は、入力インタフェース22の操作に応じて、被検体PのX線透視撮像を行う。すなわち、X線管3は、バリウム及び発泡剤を投与した被検体Pに対してX線を照射する。X線検出器7は、X線管3から照射され、被検体Pを透過したX線を検出する。処理回路25は、X線検出器7の出力に基づき、被検体PのX線画像を生成する。また、処理回路25は、生成したX線画像を動画状態でディスプレイ23に表示させる。
【0040】
ステップST10の後、ステップST20において、処理回路25は、操作者による入力インタフェース22の操作に応じて、当該操作の時点のX線画像が固定画像(現在のX線画像)として得られる。しかる後、処理回路25は、得られた現在のX線画像をメモリ21に記憶すると共に、ディスプレイ23に表示させる。これにより、処理回路25は、表示中の現在のX線画像と過去の検査画像とを比較する。
【0041】
ステップST20の後、ステップST30において、処理回路25は、現在のX線画像の良否を判定し、否の場合にはステップST40に移行する。なお、ステップST30の具体的な動作については後述する。
【0042】
ステップST30の後、ステップST40において、処理回路25は、ステップST30内で生成された指示をディスプレイ23に表示し、被検体P又は操作者へ指示を通知する。
【0043】
ステップST40の後、ステップST50において、X線診断装置1では、通知した指示に応じて、被検体P又は天板14の動作が行われる。天板14の動作は、ステップST40で操作者に指示が通知された場合に、ディスプレイ23の表示を視認した操作者による入力インタフェース22の操作に応じて行われる。一方、被検体Pの動作は、ステップST40で被検体Pに指示が通知された場合に行われる。被検体Pに指示が通知される場合、例えば、被検体Pの回転動作や姿勢変更を促す指示がスピーカ16a及びディスプレイ16bから音声出力及び表示出力される。スピーカ16aからの音声出力は、ディスプレイ23の表示を視認した操作者がマイクに入力した音声による指示としてもよく、操作者を介さずに処理回路25が生成した音声信号による指示としてもよい。すなわち、被検体Pへの指示は、操作者を介して間接的に通知してもよく、操作者を介さずに直接的に通知してもよい。また、音声出力による指示がある場合、ディスプレイ16bによる表示出力は省略してもよい。ステップST50の後、ステップST10に戻り、ステップST10以降の処理が繰り返し実行される。
【0044】
一方、ステップST30の判定の結果、現在のX線画像が良の場合、ステップST60において、処理回路25は、当該判定結果をディスプレイ23に表示させる。しかる後、処理回路25は、操作者による入力インタフェース22の操作に応じて、X線撮影を行うようにX線管3等を制御する。これにより、処理回路25は、撮影されたX線画像を今回の検査画像としてメモリ21に保存する。
【0045】
ステップST60の後、ステップST70において、処理回路25は、基準撮影法の8体位についてステップST60が終了したか否かに応じて、撮影したい部位があるか否かを判定し、否の場合にはステップST10に戻る。なお、基準撮影法の8体位についてステップST60が終了した場合、体位毎にステップST60を行い、X線画像を撮影したことになる。すなわち、ステップST10~ST70の処理は、体位毎に撮影するX線画像の枚数に応じた回数だけ実行される。一方、ステップST70の判定の結果、撮影したい部位がない場合には、処理回路25は、被検体Pの今回のバリウム検査を終了する。
【0046】
次に、ステップST30の具体的な動作について
図4乃至
図6を用いて説明する。ステップST30は、ステップST310~ST340を含んでいる。
【0047】
ステップST310において、処理回路25は、現在のX線画像に基づいて、バリウム量の過不足があるか否かを判定する。この判定は、例えば、現在のX線画像において、所定範囲外の輝度があるか否か、ぼやけた状態か否か、輪郭が不明確か否か、を判定することに応じて実行される。ステップST310の判定の結果、否の場合、処理回路25は、現在のX線画像を良と判定し(ステップST330)、ステップST30を終了する。
【0048】
一方、ステップST310の判定の結果、バリウム量に過不足がある場合、ステップST312において、処理回路25は、現在のX線画像内の輝度の差の向きが上下方向(頭尾方向)か否かを判定する。例えば、処理回路25は、被検体Pの頭尾方向における部位の複数の位置で輝度の差が閾値以上か否かを判定することにより、当該輝度の差の向きが上下方向か否かを判定する。なお、閾値は、被検体Pの部位に対する過去の検査画像内の当該複数の位置における輝度の差に基づく値としてもよい。いずれにしても、ステップST312の判定の結果、上下方向の場合にはステップST314に移行する。
【0049】
ステップST314において、処理回路25は、被検体Pを支持する天板14の短手方向を軸にした天板14の起倒操作を促す指示を生成する。例えば、
図5に示すように、現在のX線画像Bxiにおける下側のバリウムの付着が不足することで上下方向に輝度の差があるとする。この場合、処理回路25は、当該バリウムを胃の内壁に過不足無く付着させるため、天板14の起倒指示を生成する。
【0050】
一方、ステップST312の判定の結果、否の場合には、ステップST317において、処理回路25は、被検体Pに左右方向の回転動作を促す指示を生成する。例えば、
図6に示すように、現在のX線画像Bxiにおける左側のバリウムの付着が不足することで被検体Pの左右方向における複数の位置で閾値以上の輝度の差があるとする。この場合、処理回路25は、当該バリウムを胃の内壁に過不足無く付着させるため、被検体Pに回転動作を促す回転指示を生成する。
【0051】
ステップST314又はST317の後、ステップST340において、処理回路25は、現在のX線画像を否(不良)と判定し、ステップST30を終了する。
【0052】
以下、前述同様にステップST40以降の処理が実行される。
【0053】
上述したように第1の実施形態によれば、X線診断装置1において、X線管3は、造影剤及び発泡剤を投与した被検体Pに対してX線を照射する。X線検出器7は、X線管3から照射され、被検体Pを透過したX線を検出する。処理回路25は、X線検出器7の出力に基づき、被検体PのX線画像を生成する。処理回路25は、X線画像から造影剤と被検体の部位との位置関係を判定し、判定した結果に基づいて、造影剤を部位の内壁に過不足無く付着させるための指示を生成する。処理回路25は、当該指示を操作者又は被検体Pに通知する。このように、被検体のX線画像に基づいて、造影剤を部位の内壁に過不足無く付着させるための指示を生成する構成により、操作者の技量が低い場合でも、再検査を回避し、検査時間の延長を抑制することができる。また、被ばく低減や、ワークフロー改善を行うことができる。また、再検査する手間、費用、被ばくを抑制することができる。補足すると、操作者がX線画像から指示を行うのではなく、処理回路25がX線画像から指示を生成する構成により、操作者の技量の差が出ない。従って、操作者の技量が低い場合でも、バリウム検査を円滑に進行できる。
【0054】
また、第1の実施形態によれば、当該位置関係が、部位の複数の位置とX線画像の輝度との関係に基づく造影剤付着状態に対応する。この場合、X線画像内の部位の各位置の輝度を平滑化するための指示を生成することにより、造影剤付着状態を平滑化するための指示を生成できる。従って、前述した効果に加え、X線画像内の各位置の輝度に基づいて、造影剤を部位の内壁に過不足無く付着させるための指示を生成できる。
【0055】
また、第1の実施形態によれば、処理回路25は、被検体Pの左右方向における複数の位置で輝度の差が閾値以上の場合、被検体Pに左右方向の回転動作を促す指示を生成する。この場合、前述した効果に加え、被検体Pの左右方向において造影剤を部位の内壁に過不足無く付着させるための指示として、被検体Pの回転指示を生成することができる。
【0056】
また、第1の実施形態によれば、被検体Pの頭尾方向における複数の位置で輝度の差が閾値以上の場合、被検体Pを支持する天板14の短手方向を軸にした天板14の起倒操作を促す指示を生成する。この場合、前述した効果に加え、被検体Pの頭尾方向において造影剤を部位の内壁に過不足無く付着させるための指示として、天板14の起倒指示を生成することができる。
【0057】
また、第1の実施形態によれば、閾値は、被検体Pの部位に対する過去の検査画像内の複数の位置における輝度の差に基づく値である。従って、前述した効果に加え、過去の検査画像における輝度の差以下の状態のX線画像を今回の検査時に撮影することができる。
【0058】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態は、以下のように変形してもよい。また、各変形例は、互いに組み合わせてもよく、以下の各実施形態及びその変形例に組み合わせてもよい。このことは、以下の各実施形態の各変形例についても同様である。
【0059】
第1の実施形態では、現在のX線画像の良否を判定したが、これに限定されない。例えば、バリウム付着状態の良否を判定し、否の場合に指示を生成する構成としてもよい。
【0060】
これに伴い、メモリ21は、バリウム付着状態と、検査時の指示とを関連付けて記憶する。具体的には例えば、メモリ21は、
図7に示すように、バリウム付着状態と、検査時の指示とを関連付けて記述した指示テーブル21aを記憶する。
【0061】
処理回路25の指示生成機能253は、X線画像から被検体の部位の複数の位置と当該X線画像の輝度との関係に基づくバリウム付着状態を判定する。また、指示生成機能253は、判定した結果に基づいて、メモリ21内の指示を読み出すことにより、造影剤を部位の内壁に過不足無く付着させるための指示を生成する。
【0062】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0063】
以上のような構成によれば、
図8に示すように、ステップST30に代えて、ステップST30A及びST39Aが実行される。ステップST30Aにおいて、処理回路25は、X線画像からバリウム付着状態の良否を判定し、否の場合にはバリウム付着状態に基づいて指示テーブル21a内を検索することにより、指示を生成する(ステップST39A)。ステップST39Aの後、前述同様にステップST40以降の処理が実行される。また、ステップST30Aの判定の結果、バリウム付着状態が良の場合、前述同様にステップST60以降の処理が実行される。
【0064】
また、ステップST30Aの具体的な動作については、
図9に示すように、ステップST314~ST340に代えて、ステップST314A~ST340Aが実行される。
【0065】
まず、前述したステップST310において、処理回路25は、現在のX線画像に基づいて、バリウム量の過不足があるか否かを判定する。ステップST310の判定の結果、否の場合、処理回路25は、バリウム付着状態を良と判定し(ステップST330A)、ステップST30を終了する。
【0066】
一方、ステップST310の判定の結果、過不足がある場合、ステップST312において、処理回路25は、被検体Pの頭尾方向における部位の複数の位置で輝度の差が閾値以上か否かを判定することで、輝度の差の向きが上下方向か否かを判定する。この判定の結果、上下方向の場合にはステップST314Aに移行する。
【0067】
ステップST314Aにおいて、処理回路25は、例えば、現在のX線画像における下側のバリウムの付着が不足した状態をバリウム付着状態として検出する。
【0068】
一方、ステップST312の判定の結果、否の場合には、ステップST317Aにおいて、処理回路25は、例えば、現在のX線画像における左側のバリウムの付着が不足した状態をバリウム付着状態として検出する。なお、左側に限らず、ステップST317Aでは、右側の付着不足の状態を検出する場合もある。
【0069】
ステップST314A又はST317Aの後、ステップST340Aにおいて、処理回路25は、バリウム付着状態を否(不良)と判定し、ステップST30を終了する。
【0070】
以下、前述同様にステップST39A以降の処理が実行される。
【0071】
このような変形例としても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係るX線診断装置について説明する。
【0073】
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、被検体Pの現在のX線画像内の輝度の差の大きさから指示する対象を判断する形態である。例えば、輝度の差が大きければ寝台動作を指示し、輝度の差が小さければ、患者の姿勢を少し変えるよう指示する。
【0074】
これに伴い、処理回路25の指示生成機能253は、前述した機能に加え、X線画像において、被検体Pの左右方向における複数の位置で輝度の差が所定範囲内にある場合、被検体Pに体位の変更動作を促す指示を生成する。
【0075】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0076】
以上のような構成によれば、
図10に示すように、前述したステップST310で「否」と判定された後、ステップST311が実行される。ステップST311において、処理回路25は、X線画像の輝度の差が閾値より大きいか否かを判定する。例えば、処理回路25は、X線画像において、X線画像内の被検体Pの複数の位置で輝度の差が所定範囲以上か否かを判定することにより、ステップST311の判定を行う。この判定の結果、輝度の差が大きい場合には、前述したステップST312に移行する。一方、ステップST311の結果、否の場合、すなわち、輝度の差が所定範囲内にある場合には、ステップST319に移行する。
【0077】
ステップST319において、処理回路25は、被検体Pの姿勢の変更指示を生成する。例えば、現在のX線画像内の被検体Pのいずれかの位置でバリウムの付着が不足することで複数の位置の間で若干の輝度の差があるとする。この場合、処理回路25は、当該バリウムを胃の内壁に過不足無く付着させるため、被検体Pに体位の変更動作を促す指示を生成する。
【0078】
ステップST319の後、前述同様にステップST340以降の処理が実行される。
【0079】
上述したように第2の実施形態によれば、処理回路25は、X線画像において、被検体Pの左右方向における複数の位置で輝度の差が所定範囲内にある場合、被検体Pに体位の変更動作を促す指示を生成する。これにより、前述した効果に加え、被検体Pの現在のX線画像内の輝度の差の大きさから指示する対象を判断することができる。例えば、輝度の差が大きければステップST312を介して寝台動作を指示し、輝度の差が小さければ、ステップST319を介して被検体Pの姿勢を少し変えるよう指示することができる。
【0080】
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態は、
図10に示したように、第1の実施形態に対する変形例として述べたが、これに限らず、第1の実施形態の変形例に対する変形例としてもよい。このような第2の実施形態の変形例では、
図11に示すように、前述したステップST310で「否」と判定された後、ステップST311が実行される。ステップST311において、処理回路25は、X線画像の輝度の差が閾値より大きいか否かを判定する。例えば、処理回路25は、X線画像において、X線画像内の被検体Pの複数の位置で輝度の差が所定範囲以上か否かを判定することにより、ステップST311の判定を行う。この判定の結果、輝度の差が大きい場合には、前述したステップST312に移行する。一方、ステップST311の結果、否の場合、すなわち、輝度の差が所定範囲内にある場合には、ステップST319Aに移行する。
【0081】
ステップST319Aにおいて、処理回路25は、例えば、X線画像内の被検体Pの複数の位置の全てにおいてバリウムの付着が不足した状態をバリウム付着状態として検出する。
【0082】
ステップST319Aの後、前述同様にステップST340以降の処理が実行される。
【0083】
このような変形例としても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係るX線診断装置について説明する。
【0085】
第3の実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、被検体Pの現在のX線画像内の輝度の差から、バリウムを効率よく付着させるための動作を判断する形態である。例えば、輝度の差が相対的に大きい場合に被検体Pの回転量や寝台角度などの動作量を判断してもよく、輝度の差が小さい場合に被検体Pの姿勢変更などの動作を判断してもよい。
【0086】
これに伴い、処理回路25の指示生成機能253は、前述した機能に加え、被検体Pに回転動作を促す指示を生成する場合、輝度の差に応じた回転量を含む当該指示を生成する。また、指示生成機能253は、前述した機能に加え、天板14の起倒操作を促す指示を生成する場合、輝度の差に応じた起倒角度を含む当該指示を生成する。また、指示生成機能253は、前述した機能に加え、被検体Pに姿勢の変更動作を促す指示を生成する場合、輝度の差に応じた姿勢の変更を含む当該指示を生成する。
【0087】
他の構成は、第2の実施形態と同様である。
【0088】
以上のような構成によれば、
図12に示すように、処理回路25は、前述したステップST314、ST317又はST319に移行する直前に、ステップST313、ST316又はST318を実行する。
【0089】
ステップST313において、処理回路25は、天板14の起倒操作に関し、バリウムを効率よく付着させるための寝台角度などの動作量を判断する。例えば、処理回路25は、X線画像内の被検体Pの頭尾方向における部位の複数の位置での輝度の差に応じた起倒角度を判断する。ここで、起倒角度は、例えば、輝度の差に直線的又は曲線的に応じてもよく、輝度の差に階段状に応じてもよい。例えば、起倒角度は、輝度の差と起倒角度との関係式から算出してもよく、輝度の差と起倒角度とを関連付けたテーブルから求めてもよい。
【0090】
ステップST313の後、ステップST314において、処理回路25は、天板14の起倒操作を促す指示を生成する場合、X線画像内の被検体Pの頭尾方向における部位の複数の位置での輝度の差に応じた起倒角度を含む当該指示を生成する。ここで、起倒角度は、ステップST313で得られた角度である。
【0091】
一方、ステップST316において、処理回路25は、被検体Pの回転動作に関し、バリウムを効率よく付着させるための回転量などの動作量を判断する。例えば、処理回路25は、X線画像内の被検体Pの左右方向における部位の複数の位置での輝度の差に応じた回転量を判断する。ここで、回転量は、例えば、輝度の差に階段状に応じてもよい。また、回転量は、例えば2回転又は3回転のように、1回転を超える量としてもよい。例えば、回転量は、輝度の差と回転量とを関連付けたテーブルから求めてもよい。
【0092】
ステップST316の後、ステップST317において、処理回路25は、被検体Pに左右方向の回転動作を促す指示を生成する場合、X線画像内の被検体Pの左右方向における部位の複数の位置での輝度の差に応じた回転量を含む当該指示を生成する。ここで、回転量は、ステップST316で得られた量である。
【0093】
また一方、ステップST318において、処理回路25は、被検体Pの姿勢の変更動作に関し、バリウムを効率よく付着させるための姿勢の変更動作を判断する。例えば、処理回路25は、X線画像内の被検体Pの部位内の輝度の分布に応じた姿勢の変更動作を判断する。基本的には処理回路25は、バリウム不足の位置を低くするように姿勢の変更動作を判断する。このとき、処理回路25は、現在の撮影体位に応じた胃の形状を考慮してもよい。姿勢の変更動作は、例えば、X線画像内の部位内でバリウム不足の領域と、当該領域を低くする姿勢の変更動作とを関連付けたテーブルから求めてもよい。あるいは胃の形状を考慮した場合、姿勢の変更動作は、例えば、現在の撮影体位と、X線画像内の部位内でバリウム不足の領域と、当該領域を胃の形状に応じて低くする姿勢の変更動作とを関連付けたテーブルから求めてもよい。
【0094】
ステップST318の後、ステップST319において、処理回路25は、被検体Pの姿勢の変更指示を生成する場合、X線画像内の被検体Pの部位内の輝度の分布に応じた姿勢の変更動作を含む当該変更指示を生成する。ここで、姿勢の変更動作は、ステップST318で得られた量である。
【0095】
ステップST314、ST317又はST319の後、前述同様にステップST340以降の処理が実行される。
【0096】
上述したように第3の実施形態によれば、処理回路25は、被検体Pに回転動作を促す指示を生成する場合、輝度の差に応じた回転量を含む当該指示を生成する。従って、前述した効果に加え、X線画像から、より具体的な指示を生成することができる。例えば、バリウムを胃の内壁に過不足無く付着させる観点から、より効率的な回転動作を促す指示を生成することができる。
【0097】
また、第3の実施形態によれば、処理回路25は、天板14の起倒操作を促す指示を生成する場合、輝度の差に応じた起倒角度を含む当該指示を生成する。従って、前述した効果に加え、X線画像から、より具体的な指示を生成することができる。例えば、当該付着させる観点から、より効率的な起倒操作を促す指示を生成することができる。
【0098】
また、第3の実施形態によれば、処理回路25は、被検体Pの姿勢の変更指示を生成する場合、X線画像内の被検体Pの部位内の輝度の分布に応じた姿勢の変更動作を含む当該変更指示を生成する。従って、前述した効果に加え、X線画像から、より具体的な指示を生成することができる。例えば、当該付着させる観点から、より効率的な姿勢変更動作を促す指示を生成することができる。
【0099】
(第3の実施形態の変形例)
第3の実施形態は、
図12に示したように、第2の実施形態に対する変形例として述べたが、これに限らず、第1の実施形態に対する変形例としてもよい。このような第3の実施形態の変形例では、
図12中、ステップST311、ST318、ST319が省略されて実行される。このような変形例によれば、省略した部分の効果を除き、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態に係るX線診断装置について説明する。
【0101】
第4の実施形態は、第3の実施形態の変形例であり、撮影したい部位がX線画像上で視認しにくい場合には、撮影位置の変更を指示する形態である。例えば、撮影したい部位と、別の臓器、骨又はバリウム溜まり等とが重なる場合には、撮影位置の変更を指示する。
【0102】
これに伴い、処理回路25の指示生成機能253は、前述した機能に加え、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に対応しない場合、X線画像の撮影位置の変更操作を促す指示を生成する。この場合の例としては、X線画像における部位と、バリウム溜まり等とが重なることで、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に対応しない状況が挙げられる。
【0103】
他の構成は、第3の実施形態と同様である。
【0104】
以上のような構成によれば、
図13に示すように、ステップST30を開始する場合、前述したステップST310の前に、ステップST301を実行する。
【0105】
ステップST301において、処理回路25は、X線画像に基づいて、撮影位置の良否を判定する。例えば、処理回路25は、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に対応するか否かを判定することにより、ステップST301の判定を行う。この判定の結果、撮影位置が良の場合、すなわち、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に対応する場合には、前述したステップST310に移行する。一方、ステップST301の結果、否の場合、すなわち、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に対応しない場合には、ステップST302に移行する。
【0106】
ステップST302において、処理回路25は、撮影位置の変更操作を促す指示を生成する。例えば、撮影したい部位と、別の臓器、骨又はバリウム溜まり等とが重なり、撮影したい部位の一部又は全部が見づらい状況であるとする。この場合、処理回路25は、撮影したい部位を見易くするため、撮影位置の変更操作を促す指示を生成する。撮影位置の変更操作は、例えば、撮影体位毎に、撮影したい部位と、予め準備した重畳画像と、撮影位置の変更操作とを関連付けたテーブルから求めてもよい。ここで、重畳画像としては、例えば、撮影したい部位と別の臓器とが重畳した画像、撮影したい部位と骨とが重畳した画像、及び撮影したい部位とバリウム溜まりとが重畳した画像、などが適宜、使用可能となっている。
【0107】
ステップST302の後、前述同様にステップST340以降の処理が実行される。
【0108】
上述したように第4の実施形態によれば、処理回路25は、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に対応しない場合、X線画像の撮影位置の変更操作を促す指示を生成する。従って、前述した効果に加え、撮影したい部位がX線画像上で視認しにくい場合には、撮影位置の変更操作を促すことができる。
【0109】
(第4の実施形態の変形例)
第4の実施形態は、
図13に示したように、第3の実施形態に対する変形例として述べたが、これに限らず、第1又は第2の実施形態に対する変形例としてもよい。このような第4の実施形態の変形例では、
図13中、第3の実施形態に関するステップST313、ST316、ST318が省略されて実行される。あるいは、更に第2の実施形態に関するステップST311、ST319が省略されて実行される。いずれにしても、第4の実施形態の変形例によれば、省略した部分の効果を除き、適用した実施形態と同様の効果を得ることができる。この変形例は、次に述べる変形例についても同様に適用される。
【0110】
第4の実施形態は、
図13に示したように、第3の実施形態に対する変形例として述べたが、これに限らず、第3の実施形態の変形例に対する変形例としてもよい。このような第4の実施形態の変形例では、
図14に示すように、ステップST30Aを開始する場合、前述したステップST310の前に、ステップST301を実行する。
【0111】
ステップST301において、処理回路25は、X線画像に基づいて、撮影位置の良否を判定する。例えば、処理回路25は、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に対応するか否かを判定することにより、ステップST301の判定を行う。この判定の結果、撮影位置が良の場合、すなわち、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に対応する場合には、前述したステップST310に移行する。一方、ステップST301の結果、否の場合、すなわち、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に対応しない場合には、ステップST302Aに移行する。
【0112】
ステップST302Aにおいて、処理回路25は、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に対応せず、撮影位置が不良である状態をバリウム付着状態として検出する。
【0113】
ステップST302Aの後、前述同様にステップST340以降の処理が実行される。
【0114】
このような変形例としても、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0115】
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態に係るX線診断装置について説明する。
【0116】
第5の実施形態は、第1乃至第4の実施形態の変形例であり、被検体Pを支持する天板14のオートポジショニングに関する形態である。例えば、検査のワークフローに沿って被検体Pが適切な姿勢になるよう、駆動部13を介して天板14の動作を制御する。
【0117】
これに伴い、処理回路25の制御機能251は、前述した機能に加え、被検体Pを支持する天板14を、予め決定された動作シーケンスに従い目標位置及び目標角度まで移動させるオートポジショニング動作を行うように制御する。例えば、制御機能251は、天板14のオートポジショニング動作を、駆動部13及び/又は天板駆動部を介して制御する。また例えば、制御機能251は、映像系(X線管3、照射範囲限定器5、X線検出器7)のオートポジショニング動作を、駆動部13を介して制御してもよい。また、動作シーケンスは、基準撮影法の撮影体位毎に、天板14の目標位置及び目標角度を予め規定し、検査のワークフローに沿った順序で、天板14を目標位置及び目標角度まで移動させるオートポジショニング動作を定めている。制御機能251及び処理回路25は、制御部の一例である。
【0118】
他の構成は、第1乃至第4の実施形態と同様である。
【0119】
以上のような構成によれば、
図3に示したステップST10を行う場合、処理回路25は、X線を照射する前に、天板14を、予め決定された動作シーケンスに従い目標位置及び目標角度まで移動させるオートポジショニング動作を行うように制御する。オートポジショニング動作の後、前述した被検体PのX線透視撮像を行う。
【0120】
ステップST10後、前述同様にステップST20以降の処理が実行される。
【0121】
上述したように第5の実施形態によれば、処理回路25は、被検体Pを支持する天板14を、予め決定された動作シーケンスに従い目標位置及び目標角度まで移動させるオートポジショニング動作を行うように制御する。従って、前述した効果に加え、天板14のポジショニング動作の手間を軽減できると共に、撮影体位毎に必要なX線画像の撮影忘れ等を防止することができる。
【0122】
(第5の実施形態の変形例)
第5の実施形態は、検査のワークフローに沿ってオートポジショニング動作を行うが、これに限らず、造影剤を部位の内壁に過不足無く付着させるための指示に基づいてオートポジショニング動作を行う変形例としてもよい。この場合、動作シーケンスは、ステップST40で操作者に通知される指示毎に、天板14の目標位置及び目標角度を予め規定し、検査のワークフローに沿った順序で、天板14を目標位置及び目標角度まで移動させるオートポジショニング動作を定めている。これにより、
図3中、ステップST40で操作者に通知された指示に応じて、処理回路25は、駆動部13を介して、ステップST50で天板14のオートポジショニング動作を実行する。このような第5の実施形態の変形例によれば、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0123】
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態に係るX線診断装置について説明する。
【0124】
第6の実施形態は、第4又は第5の実施形態の変形例であり、撮影したい部位にバリウム溜まりなどで輝度のムラがある場合、被検体に回転動作を指示する形態である。
【0125】
これに伴い、処理回路25の指示生成機能253は、前述した機能に加え、X線画像において、被検体Pの部位の内壁の凹部に生じたバリウム溜まりに応じて輝度のムラがある場合、被検体Pに回転動作を促す指示を生成する。
【0126】
他の構成は、第4又は第5の実施形態と同様である。
【0127】
以上のような構成によれば、
図15に示すように、前述したステップST311にて輝度の差が小さいと判定された後、ステップST315が実行される。
【0128】
ステップST315において、処理回路25は、X線画像の輝度の差が閾値より大きいか否かを判定する。例えば、処理回路25は、X線画像において、被検体Pの部位の内壁の凹部に生じたバリウム溜まりに応じて輝度のムラがあるか否かを判定する。この判定の結果、輝度のムラがある場合には、前述したステップST316に移行する。この場合、ステップST316の後、ステップST317において、処理回路25は、被検体Pに回転動作を促す指示を生成する。
【0129】
一方、ステップST315の判定の結果、否の場合、すなわち、輝度のムラがない場合には、ステップST318に移行する。この場合、ステップST318の後、ステップST319において、処理回路25は、被検体Pに姿勢の変更動作を促す指示を生成する。
【0130】
ステップST317又はST319の後、前述同様にステップST340以降の処理が実行される。
上述したように第6の実施形態によれば、処理回路25の指示生成機能253は、X線画像において、被検体Pの部位の内壁の凹部に生じた造影剤溜まりに応じて輝度のムラがある場合、被検体Pに回転動作を促す指示を生成する。従って、前述した効果に加え、造影剤溜まりに応じた輝度のムラを解消でき、良好な造影剤付着状態とすることができる。
【0131】
(第6の実施形態の変形例)
第6の実施形態は、
図15に示したように、第4又は第5の実施形態に対する変形例として述べたが、これに限らず、第1乃至第3の実施形態に対する変形例としてもよい。このような第6の実施形態の変形例では、
図15中、第4の実施形態に関するステップST301、ST302が省略されて実行される。あるいは、更に第3の実施形態に関するステップST313、ST316、ST318が省略されて実行される。またあるいは、更に第2の実施形態に関するステップST311、ST319が省略されて実行される。いずれにしても、第6の実施形態の変形例によれば、省略した部分の効果を除き、適用した実施形態と同様の効果を得ることができる。この変形例は、次に述べる変形例についても同様に適用される。
【0132】
第6の実施形態は、
図15に示したように、第4又は第5の実施形態に対する変形例として述べたが、これに限らず、第4又は第5の実施形態の変形例に対する変形例としてもよい。このような第6の実施形態の変形例では、
図16に示すように、前述したステップST311にて輝度の差が小さいと判定された後、ステップST315が実行される。
【0133】
ステップST315において、処理回路25は、X線画像において、被検体Pの部位の内壁の凹部に生じた造影剤溜まりに応じて輝度のムラがあるか否かを判定する。この判定の結果、輝度のムラがある場合には、前述したステップST317Aに移行する。一方、ステップST315の結果、否の場合、すなわち、輝度のムラがない場合には、ステップST319Aに移行する。
【0134】
以下、前述同様に、ステップST317A又はST319A以降の処理が実行される。
【0135】
このような変形例としても、第4又は第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0136】
<第7の実施形態>
次に、第7の実施形態に係るX線診断装置について説明する。
【0137】
第7の実施形態は、第1乃至第6の実施形態の変形例であり、X線画像内のバリウムの状態から発泡剤の追加を指示する形態である。例えば、X線画像内の被検体Pの部位がしぼんでいる場合、発泡剤の追加投与を操作者に促す指示を生成する。
【0138】
これに伴い、処理回路25の指示生成機能253は、前述した機能に加え、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に比べてしぼんでいる場合、被検体Pに対する発泡剤の追加投与を操作者に促す指示を生成する。この場合の例としては、バリウム及び発泡剤を投与した被検体Pがげっぷをしてしまい、発泡剤によるガスが胃から抜けた状況が挙げられる。
【0139】
他の構成は、第1乃至第6の実施形態と同様である。
【0140】
以上のような構成によれば、例えば
図17に示すように、前述したステップST310で「良」と判定された後、前述したステップST330の前に、ステップST320を実行する。
【0141】
ステップST320において、処理回路25は、X線画像に基づいて、バリウムの状態の良否を判定する。例えば、処理回路25は、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に比べてしぼんでいるか否かを判定することにより、ステップST320の判定を行う。この判定の結果、バリウムの状態が良の場合、すなわち、X線画像内の部位がしぼんでいない場合には、前述したステップST330に移行する。この場合、前述同様にステップST330以降の処理が実行される。一方、ステップST320の結果、否の場合、すなわち、X線画像内の部位がしぼんでいる場合には、ステップST321に移行する。
【0142】
ステップST321において、処理回路25は、被検体Pに対する発泡剤の追加投与を操作者に促す指示を生成する。
【0143】
ステップST321の後、前述同様にステップST340以降の処理が実行される。
【0144】
上述したように第7の実施形態によれば、処理回路25は、X線画像内の部位が過去の検査画像内の部位に比べてしぼんでいる場合、被検体Pに対する発泡剤の追加投与を操作者に促す指示を生成する。従って、前述した効果に加え、撮影したい部位がX線画像上でしぼんでいる場合には、被検体Pに対する発泡剤の追加投与を促すことができる。
【0145】
(第7の実施形態の変形例)
第7の実施形態は、
図17に示したように、第6の実施形態に対する変形例として述べたが、これに限らず、第1乃至第5の実施形態に対する変形例としてもよい。このような第7の実施形態の変形例では、
図17中、第4又は第5の実施形態に関するステップST301、ST302が省略されて実行される。あるいは、更に第3の実施形態に関するステップST313、ST316、ST318が省略されて実行される。更に第2の実施形態に関するステップST311、ST319が省略されて実行される。いずれにしても、第4の実施形態の変形例によれば、省略した部分の効果を除き、適用した実施形態と同様の効果を得ることができる。この変形例は、次に述べる変形例についても同様に適用される。
【0146】
第7の実施形態は、
図17に示したように、第6の実施形態に対する変形例として述べたが、これに限らず、第6の実施形態の変形例に対する変形例としてもよい。このような第7の実施形態の変形例では、
図18に示すように、前述したステップST310で「良」と判定された後、前述したステップST330の前に、前述したステップST320を実行する。
【0147】
ステップST320による判定の結果、バリウムの状態が良の場合、すなわち、X線画像内の部位がしぼんでいない場合には、前述したステップST330に移行する。この場合、前述同様にステップST330以降の処理が実行される。
【0148】
一方、ステップST320による判定の結果、否の場合、すなわち、X線画像内の部位がしぼんでいる場合には、ステップST321Aに移行する。
【0149】
ステップST321Aにおいて、処理回路25は、被検体Pの部位のしぼみ状態をバリウム付着状態として検出する。ステップST321Aの後、前述同様にステップST340以降の処理が実行される。
【0150】
このような変形例としても、第6の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0151】
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態に係るX線診断装置について説明する。
【0152】
第8の実施形態は、第1乃至第7の実施形態の具体例であり、AI(人工知能)の機械学習モデルに過去の検査画像及び検査時の指示を学習させて得た学習済みモデルを用い、学習済みモデルにより、被検体の部位のX線画像から指示を生成する形態である。
【0153】
これに伴い、処理回路25の指示生成機能253は、被検体Pの部位のX線画像に基づいて、造影剤を当該部位の内壁に過不足無く付着させるための指示を生成するための学習済みモデルに対して、生成されたX線画像を入力することで、当該指示を生成する。
【0154】
学習済みモデルは、
図19(a)に学習時の例を示すように、学習時のデータセットに基づいて、モデル学習プログラムに従い機械学習モデルMd1に機械学習を行わせることにより、得られた学習済みの機械学習モデルMd1が実装されたものである。機械学習としては、例えば、深層学習(Deep Learning)の対象となる多層ニューラルネットワークである深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)を用いている。DNNとしては、例えば、動画に対して再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network:RNN)を用いてもよく、静止画に対して畳込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)を用いてもよい。この種のCNNは、DCNN(Deep CNN)ともいう。本実施形態では、学習済みモデルとしてDCNNを用いている。また、RNNは、長・短期記憶(Long Short-Term Memory:LSTM)を含んでもよい。但し、機械学習は、DNNに限らず、例えば、サポートベクターマシン(SVM)などの教師あり学習アルゴリズムを用いてもよい。すなわち、機械学習としては、分類対象を入力データとし、分類結果を出力データとした教師あり学習アルゴリズムを用いるものであればよい。以上の機械学習に関する説明は、以下の全ての機械学習モデルMd1及び学習済みモデルMd2にも該当する。
【0155】
学習時のデータセットは、過去の検査画像及び部位に関する情報を入力データとし、過去の検査時の指示を出力データとした、入力データと出力データとの組である。但し、部位に関する情報は省略してもよい。過去の検査画像は、過去の造影剤検査において、互いに同じ部位を撮影したX線画像である。ここで、過去の検査画像は、同一の被検体を撮影した画像が好ましいが、他の被検体を撮影した画像でもよい。また、過去の検査画像は、基準撮影法の様々な撮影体位で撮影した画像が好ましいが、基準撮影法の同一の撮影体位で撮影した画像でもよい。なお、同一の撮影体位で撮影した画像を学習データに用いた場合、撮影体位毎に機械学習を行い、検査時に撮影体位毎の学習済みモデルを切り替えて用いることが好ましい。また、過去の検査画像は、同一の撮像ジオメトリで撮影した画像が好ましいが、他の撮像ジオメトリで撮影した画像でもよい。撮像ジオメトリは、被検体、X線管及びX線検出器の位置関係を示す情報である。撮像ジオメトリとしては、例えば、天板14の高さ、撮影範囲の中心に対する天板14の位置(左右位置)、X線管焦点とX線検出器との間の距離(SID)、天板14の起倒角度、X線管及びX線検出器を保持するCアームの角度(X線照射角度)、などが適宜、使用可能となっている。SIDは、Source Image Distance(線源受像面間距離)の略語である。
【0156】
部位に関する情報は、過去の検査画像の付帯情報に含めてもよい。部位に関する情報は、例えば、撮影部位、撮影部位の形状、撮影部位の臓器(胃又は大腸)に関する情報、撮影体位、被検体情報、撮像ジオメトリが適宜、使用可能となっている。
【0157】
過去の検査時の指示としては、例えば、X線画像の良否のうちの否の場合の指示が適宜、使用可能となっている。否の場合の指示は、前述したステップST302、ST314、ST317、ST319、ST321で生成される指示である。すなわち、否の場合の指示としては、前述同様に、被検体に回転動作を促す指示、天板14の起倒操作を促す指示、被検体に体位の変更動作を促す指示、撮影位置の変更操作を促す指示、発泡剤の追加投与を操作者に促す指示、などがある。また同様に、被検体に回転動作を促す指示は回転量を含んでもよく、天板14の起倒操作を促す指示は、起倒角度を含んでもよい。また、過去の検査時の指示は、否の場合の指示に限らず、X線画像の良否のうちの良の場合の撮影指示を含んでもよい。
【0158】
また、学習済みモデルMd2は、
図19(b)に検査時の例を示すように、実装された学習済みの機械学習モデルMd1であり、現在のX線画像及び部位に関する情報が入力されると、検査時の指示を出力する。なお、部位に関する情報は省略してもよく、現在のX線画像の付帯情報に含めてもよい。部位に関する情報の内容は、前述した通りである。なお、学習済みモデルMd2は、学習済みモデルが出力した成果物に対して、操作者がフィードバックを与えることにより、学習済みモデルの内部アルゴリズムを更に更新する「自己学習するモデル」を含んでもよい。このような学習済みモデルMd2は、X線診断装置1の工場出荷前に予めメモリ21に保存することで実装してもよい。あるいはX線診断装置1の工場出荷後に、図示しないサーバ装置などから取得した学習済みの機械学習モデルMd1をメモリ21に保存することで実装してもよい。このことは、後述する変形例でも同様である。
【0159】
他の構成は、第1乃至第7の実施形態と同様である。
【0160】
以上のような構成によれば、
図20に示すように、前述したステップST10のX線透視撮像が行われているとする。ステップST10のX線透視撮像中、前述したステップST20、ST30に代えて、ステップST30Bが実行される。ステップST30Bは、ステップST31B~ST35Bを含んでいる。
【0161】
ステップST31Bにおいて、処理回路25は、操作者による入力インタフェース22の操作に応じて、当該操作の時点のX線画像を固定画像(現在のX線画像)として取得すると共に、ディスプレイ23に表示させる。また、処理回路25は、取得した現在のX線画像を学習済みモデルMd2に入力する。
【0162】
ステップST32Bにおいて、学習済みモデルMd2は、入力された現在のX線画像に基づいて、バリウムを部位の内壁に過不足無く付着させるための指示を生成する。処理回路25は、当該生成された指示を、現在の検査時の指示として取得する。
【0163】
ステップST33Bにおいて、処理回路25は、取得した検査時の指示が、被検体の回転又は体位変更に関する指示、天板14の起倒に関する指示、撮影位置の変更に関する指示、又は発泡剤の追加投与に関する指示であるか否かに応じて、被検体P又は天板14の動作指示か否かを判定する。なお、これに限らず、処理回路25は、取得した検査時の指示が撮影指示でないか否かに応じて、被検体P又は天板14の動作指示か否かを判定してもよい。いずれにしても、ステップST33Bの判定の結果、被検体P又は天板14の動作指示の場合にはステップST34Bに移行し、X線画像の良否を「否」と判定する(ステップST34B)。ステップST34Bの後、前述同様にステップST40以降の処理が実行される。
【0164】
一方、ステップST33Bの判定の結果、否の場合には、ステップST35Bにおいて、処理回路25は、X線画像の良否を「否」と判定する。
【0165】
ステップST35Bの後、前述同様にステップST60以降の処理が実行される。
【0166】
上述したように第8の実施形態によれば、処理回路25は、X線画像に基づいて指示を生成するための学習済みモデルMd2に対して、生成されたX線画像を入力することで、指示を生成する。従って、学習済みモデルを用いた構成により、第1乃至第7の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0167】
(第8の実施形態の変形例)
第8の実施形態では、学習済みモデルMd2により現在のX線画像の良否を判定したが、これに限定されない。例えば、学習済みモデルMd2によりバリウム付着状態の良否を判定し、否の場合に、前述した指示テーブル21aに基づいて、指示を生成する構成としてもよい。
【0168】
これに伴い、メモリ21は、前述した各実施形態の各変形例と同様に、バリウム付着状態と、検査時の指示とを関連付けて記憶する。具体的には例えば、メモリ21は、
図7に示したように、バリウム付着状態と、検査時の指示とを関連付けて記述した指示テーブル21aを記憶する。メモリ21及び指示テーブル21aは、予め造影剤付着状態と指示とを関連付けて記憶する記憶部の一例である。
【0169】
処理回路25の指示生成機能253は、第1生成機能と、第2生成機能とを含んでいる。指示生成機能253の第1生成機能は、バリウムと被検体Pの部位との位置関係に対応するバリウム付着状態を生成するための学習済みモデルに対して、生成されたX線画像を入力することで、バリウム付着状態を生成する。指示生成機能253の第2生成機能は、生成されたバリウム付着状態に基づいて指示を生成する。ここで、指示生成機能253の第2生成機能は、当該生成されたバリウム付着状態に基づいて指示テーブル21aを検索することにより、指示を生成してもよい。指示生成機能253の第1生成機能及び第2生成機能は、第1生成部及び第2生成部の一例である。
【0170】
学習済みモデルは、
図21(a)に学習時の例を示すように、学習時のデータセットに基づいて、モデル学習プログラムに従い機械学習モデルMd1に機械学習を行わせることにより、得られた学習済みの機械学習モデルMd1が実装されたものである。
【0171】
学習時のデータセットは、過去の検査画像及び部位に関する情報を入力データとし、バリウム付着状態を出力データとした、入力データと出力データとの組である。すなわち、この変形例の学習時のデータセットは、第8の実施形態における学習時のデータセットのうち、出力データをバリウム付着状態に変更したものである。また、過去の検査画像及び部位に関する情報は、それぞれ前述した通りである。
【0172】
バリウム付着状態としては、例えば、バリウム付着状態の良否のうちの否の場合の状態が適宜、使用可能となっている。否の場合の状態は、前述したステップST302A、ST314A、ST317A、ST319A、ST321Aで検出される状態である。すなわち、否の場合の状態としては、前述同様に、撮影位置が不良である状態、現在のX線画像における下側のバリウムの付着が不足した状態、現在のX線画像における左側又は右側のバリウムの付着が不足した状態、X線画像内の被検体Pの複数の位置の全てにおいてバリウムの付着が不足した状態、被検体Pの部位のしぼみ状態、などがある。また、バリウム付着状態は、否の場合の状態に限らず、バリウム付着状態の良否のうちの良の場合の状態を含んでもよい。
【0173】
また、学習済みモデルMd2は、
図21(b)に検査時の例を示すように、実装された学習済みの機械学習モデルMd1であり、現在のX線画像及び部位に関する情報が入力されると、バリウム付着状態を出力する。なお、部位に関する情報は省略してもよく、現在のX線画像の付帯情報に含めてもよい。部位に関する情報の内容は、前述した通りである。学習済みモデルMd2の自己学習及び実装形態は、前述した通りである。
【0174】
他の構成は、第8の実施形態と同様である。
【0175】
以上のような構成によれば、
図22に示すように、ステップST30Bに代えて、ステップST30C及びST39Aが実行される。ステップST30Cは、ステップST31C~ST35Cを含んでいる。
【0176】
ステップST31Cにおいて、処理回路25は、操作者による入力インタフェース22の操作に応じて、当該操作の時点のX線画像を固定画像(現在のX線画像)として取得すると共に、ディスプレイ23に表示させる。また、処理回路25は、取得した現在のX線画像を学習済みモデルMd2に入力する。
【0177】
ステップST32Cにおいて、学習済みモデルMd2は、入力された現在のX線画像に基づいて、撮影位置の不良、部位内のバリウム付着不良、部位のしぼみ状態を示すバリウム付着状態を生成する。処理回路25は、当該生成されたバリウム付着状態を取得する。
【0178】
ステップST33Bにおいて、処理回路25は、取得したバリウム付着状態が、撮影位置の不良に関する状態、部位内のバリウム付着不良に関する状態、又は部位のしぼみ状態に関する状態であるか否かに応じて、バリウム付着の不良又は不足の状態か否かを判定する。なお、これに限らず、処理回路25は、取得したバリウム付着状態が良の状態でないか否かに応じて、バリウム付着の不良又は不足の状態か否かを判定してもよい。いずれにしても、ステップST33Cの判定の結果、バリウム付着の不良又は不足の状態の場合にはステップST34Cに移行し、バリウム付着状態の良否を「否」と判定する(ステップST34C)。ステップST34Cの後、ステップST39Aに移行する。
【0179】
ステップST39Aにおいて、処理回路25は、X線画像からバリウム付着状態の良否を判定し、否の場合にはバリウム付着状態に基づいてメモリ21内を検索することにより、指示を生成する。ステップST39Aの後、前述同様にステップST40以降の処理が実行される。
【0180】
一方、ステップST33Cの判定の結果、否の場合には、ステップST35Cにおいて、処理回路25は、バリウム付着状態の良否を「否」と判定する。
【0181】
ステップST35Cの後、前述同様にステップST60以降の処理が実行される。
【0182】
このような変形例としても、第8の実施形態と同様の効果を得ることができる。これに加え、この変形例によれば、機械学習としては、入力されたX線画像をバリウム付着状態に分類する教師あり学習アルゴリズムを用いることから、検査時の指示に分類する第8の実施形態に比べ、機械学習の困難性を低減させることができる。
【0183】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、操作者の技量が低い場合でも、再検査を回避し、検査時間の延長を抑制することができる。
【0184】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0185】
1 X線診断装置
3 X線管
5 照射範囲限定器
7 X線検出器
9 移動支持機構
11 回転支持機構
13 駆動部
14 天板
16 出力部
16a スピーカ
16b,23 ディスプレイ
20 コンソール装置
21 メモリ
22 入力インタフェース
24 通信インタフェース
25 処理回路
251 制御機能
252 画像処理機能
253 指示生成機能
254 通知機能
Md1 機械学習モデル
Md2 学習済みモデル